説明

電鋳用の型および電鋳用の型を製造する方法

【課題】電鋳用の型および電鋳用の型を製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、型(39、39’)を製造する方法(3)であって、
a)ケイ素ベース材料から作製されたウェーハ(21)の上部(20)および下部(22)の上に導電性層を堆積するステップ(9)と、b)接着層を使用して基板(23)に前記ウェーハを固着するステップ(13)と、c)前記ウェーハ(21)の上部から前記導電性層の一部(26)を除去するステップ(15)と、d)前記型中に少なくとも1つの空洞部(25)を形成するために、上部導電性層(20)から除去された前記部分の形状(26)で、前記ウェーハの下部導電性層(22)に達するまで前記ウェーハをエッチングするステップ(17)とを含む方法(3)に関する。本発明は、微小機械部品、とりわけ計時器のムーブメント用の微小機械部品の分野に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電鋳(galvanoplasty)を利用して微小機械部品を製造するための型、および前記型を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電鋳は、長い間にわたり利用され、知られている。LIGAタイプ方法(「roentgenLIthographie、Galvanoformung & Abformung」というドイツ語のよく知られている略語)は、より最近のものである。これらは、感光性樹脂を使用するフォトリソグラフィにより、さらに、ニッケルなどの金属析出物をその感光性樹脂内にて成長させる電鋳により、型を形成することからなる。LIGA技術の精度は、例えば機械加工から得られる従来の型の精度に比べてはるかに優れている。したがって、この精度によって、以前には想像することもできなかった、微小機械部品、とりわけ計時器のムーブメント用の微小機械部品の製造が可能である。
【0003】
しかし、これらの方法は、例えば12%のリンを含有するニッケル−リンから作製される同軸がんぎ車などの、高い細長比を有する微小機械部品には適していない。このタイプの部品の電解析出物は、めっきの際に、めっきされたニッケル−リン内の内部応力によりこの電解析出物が基板との接合面で分離されることによって、薄層剥離する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、少なくとも同一の製造精度を実現し、複数の高さ部分および/または高い細長比を有する部品の製造を可能にする、代替的な型を提供することにより、前述の欠点の全てまたは一部を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、型を製造する方法であって、
a)ケイ素ベース材料から作製されたウェーハの上部および下部の上に導電性層を堆積するステップと、
b)接着層を使用して基板に前記ウェーハを固着するステップと、
c)ウェーハの上部から前記導電性層の一部を除去するステップと、
d)前記型中に少なくとも1つの空洞部を形成するために、上部導電性層から除去された前記部分の形状で、前記ウェーハの前記下部上の導電性層に達するまで前記ウェーハをエッチングするステップと
を含む方法に関する。
【0006】
本発明の他の有利な特徴によれば、
− ステップd)の後に、この方法は、e)前記型内において第2の高さ部分を形成するために、前記ウェーハの前記上部上の導電性層の上に部分を設けるステップを含み、
− ステップe)は、フォトリソグラフィにより感光性樹脂を構築することによって、または、事前エッチングされたケイ素ベース材料から作製された部分を固着することによって、遂行され、
− ステップd)の後に、この方法は、f)前記部品中に軸穴を形成するために、前記少なくとも1つの空洞部内にロッドを設置するステップを含み、
− 接着層および下部上の導電性層の位置が、逆転され、
− 接着層は、感光性樹脂を含み、
− 基板は、ケイ素ベース材料を含み、
− この方法は、d’)型中に少なくとも1つの凹部を形成するために、導電性上部層に達するまで基板をエッチングするステップを含み、
− ステップd’)の後に、この方法は、e’)型内において追加の高さ部分を形成するために、基板の上部上に堆積された導電性層の上に部分を設けるステップを含み、
− ステップd’)の後に、この方法は、f’)部品中に軸穴を形成するために、前記少なくとも1つの中空部内にロッドを設置するステップを含み、
− ステップd)は、以下の段階、すなわち、g)感光性樹脂を使用するフォトリソグラフィにより、除去されていない上部導電性層の部分の上に保護マスクを構築する段階と、h)前記保護マスクにより覆われていない部分に沿ってウェーハの異方性エッチングを実施する段階と、i)保護マスクを除去する段階とを含み、
− ステップd)は、h’)前記導電性層から除去された部分においてウェーハをエッチングするために、上部導電性層をマスクとして使用して、ウェーハの異方性エッチングを実施する段階を含み、
− 複数の型が、同一の基板上で製造される。
【0007】
さらに、本発明は、電鋳により微小機械部品を製造する方法において、
j)先述の変形形態の中の1つの方法により型を製造するステップと、
k)前記型内において前記部品を形成するために、ケイ素ベース材料から作製されたウェーハの下部上の導電性層に電極を接続することによって、電着を実施するステップと、
l)前記型から部品を放出するステップと
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0008】
最後に、本発明は、有利には、電鋳により微小機械部品を製造するための型において、基板を備え、ケイ素ベース材料から作製された部分が、前記基板の上に設けられ、前記基板の導電性表面が露出された少なくとも1つの空洞部を備え、それにより、電解析出物が、前記少なくとも1つの空洞部内において成長することが可能となることを特徴とする、型に関する。
【0009】
本発明の他の有利な特徴によれば、
− この型は、第2の部分を有し、この第2の部分は、第1の部分の上に設けられ、電気絶縁表面が露出された少なくとも1つの凹部、および前記第1の部分の少なくとも1つの空洞部を備え、それにより、前記少なくとも1つの空洞部が充填された後に、前記少なくとも1つの凹部内における電解析出が継続され、
− 基板は、ケイ素ベース材料から形成され、前記基板の導電性表面が露出された少なくとも1つの中空部を備え、それにより、電解析出物が、前記少なくとも1つの中空部内において成長することが可能となり、
− 型は、追加部分を備え、この追加部分は、基板の上に設けられ、導電性表面が露出された少なくとも1つの凹部および前記基板中の少なくとも1つの中空部を備え、それにより、前記少なくとも1つの中空部が充填された後に、前記少なくとも1つの凹部内における電解析出が継続される。
【0010】
添付の図面を参照として、非限定的な例として与えられる以下の説明によって、他の特徴および利点がより明らかに提示されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による、微小機械部品を製造する方法の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図2】本発明による、微小機械部品を製造する方法の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図3】本発明による、微小機械部品を製造する方法の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図4】本発明による、微小機械部品を製造する方法の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図5】本発明による、微小機械部品を製造する方法の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図6】本発明による、微小機械部品を製造する方法の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図7】本発明による、微小機械部品を製造する方法の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図8】本発明による、微小機械部品を製造する方法の流れ図である。
【図9】本発明による微小機械部品を製造する方法の最終の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図10】本発明による微小機械部品を製造する方法の最終の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図11】本発明による微小機械部品を製造する方法の最終の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図12】本発明による微小機械部品を製造する方法の最終の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【図13】本発明による微小機械部品を製造する方法の最終の一連のステップの中の1つのステップの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図8に図示されるように、本発明は、電鋳により微小機械部品41、41’を製造する方法1に関する。この方法1は、好ましくは、型39、39’を製造する方法3と、その後の、電鋳ステップ5および前記型から部品41、41’を放出するステップ7とを含む。
【0013】
型製造方法3は、ケイ素ベース材料から作製される少なくとも1つの部分21を含む型39、39’を製造するための一連のステップを含む。方法3の第1のステップ9においては、ケイ素ベース材料から作製されるウェーハ21が、その上部および下部において、図1に図示されるようにそれぞれ20および22に参照される導電性層によって被覆される。導電性層20、22は、例えば金または銅などを含んでよい。
【0014】
第2のステップ11において、やはりケイ素ベースのものであってよい基板23が、その上部において、図2に図示されるように接着材料からなる層24により被覆される。この材料は、例えば、不活性感光性樹脂、またはより一般的には、容易に除去可能な感光性樹脂などであってよい。第3のステップ13において、接着層24は、図3に図示されるように、少なくとも暫定的にウェーハ21を固定して、基板23で被覆するように使用される。
【0015】
本発明の代替形態によれば、接着層24および下部導電性層22の位置が、以下において説明されるように逆転される。
【0016】
第4のステップ15において、ウェーハ21の上部上の導電性層20の一部分26が、除去されて、図3において図示されるようにウェーハ21の一部が露出される。第5のステップ17において、ウェーハ21が、下部導電性層22が露出されるまでエッチングされる。本発明によれば、エッチング・ステップ17は、好ましくは、ステップ15において導電性層20から除去された部分26と同一のパターンにおいて行われる。
【0017】
エッチング・ステップ17は、好ましくは、深堀り反応性イオン・エッチング・タイプ(DRIE)の異方性乾式腐食を含む。
【0018】
ステップ17の第1の変形形態によれば、ウェーハ21の上部上の導電性層20の材料は、保護マスクとして作用するように選択される。したがって、マスク20/ウェーハ21のアセンブリが、異方性エッチングを施されると、ウェーハの非保護部分26のみが、エッチングされる。ステップ17の最後には、少なくとも1つの空洞部25が、このようにしてウェーハ21中に得られ、この少なくとも1つの空洞部25の底部には、図4において図示されるように下部導電性層22が部分的に露出される。
【0019】
ステップ17の第2の変形形態によれば、第1に、保護マスクが、感光性樹脂を使用してフォトリソグラフィ法により、好ましくは例えば除去された部分26と同一の形状において、ウェーハ21の上に被覆される。第2に、マスク/ウェーハ・アセンブリが、異方性エッチングを施されると、ウェーハの非保護部分のみが、エッチングされる。最後に、第3の段階において、保護マスクが除去される。ステップ17の最後には、少なくとも1つの空洞部25が、このようにしてウェーハ21中に得られ、この少なくとも1つの空洞部25の底部には、図4に図示されるように下部導電性層22が部分的に露出される。
【0020】
接着層24および下部導電性層22の位置が逆転された、図8に三重線において図示される前述の代替形態の場合においては、ステップ18において、前記下部導電性層22が露出されるまで接着層24中に前記空洞部25を延長させる必要性はなくなる。好ましくは、この場合にこの代替形態において使用される材料は、空洞部25を延長させるために放射線に暴露される感光性樹脂である。
【0021】
ステップ17の後に、本発明は、2つの実施形態を提供する。図8に単線において図示される第1の実施形態においては、ステップ17の後に、型製造方法3は、終了し、微小機械部品製造方法1が、電鋳ステップ5および前記型から部品を放出するステップ7により即座に継続される。電鋳ステップ5は、ウェーハ21の下部導電性層22に析出電極を接続して、初めに、前記型の空洞部25内において電解析出物を成長させ、次いで、ステップ7において、空洞部25内において形成された部品が、前記型から放出されることによって、実施される。
【0022】
この第1の実施形態によれば、得られた微小機械部品は、全体の厚さが同一である形状を有する単一の高さ部分を有することが、明らかである。
【0023】
図8に二重線において図示される本発明の第2の実施形態によれば、ステップ17の後には、型39中に少なくとも1つの第2の高さ部分を形成するためのステップ19が続く。したがって、この第2の高さ部分は、ステップ15において除去されなかった上部導電性層20の一部の上に部分27を設けることによって、実現される。
【0024】
部分27は、好ましくは、導電性層20の上に形成されて、例えば感光性樹脂を使用するフォトリソグラフィ法などにより、除去された部分26よりも広い断面からなる凹部28が形成される。
【0025】
さらに、図5に図示されるように、ステップ19において、好ましくは、電鋳の際にその場で微小機械部品41用の軸穴42を形成するために、ロッド29が設置される。これは、電鋳の終了時に部品41を機械加工する必要性がなくなるという利点を有するのみならず、さらにこれにより、任意の形状の内方断面が、均一であるか否かにかかわらず穴42の高さ全体にわたって形成され得ることになる。好ましくは、ロッド29は、ステップ19において、例えば感光性樹脂を使用するフォトリソグラフィ法などによって、部分27と同時に得られる。
【0026】
第2の実施形態においては、型39の製造方法3は、ステップ19の後に終了し、微小機械部品製造方法1が、電鋳ステップ5および前記型から部品を放出するステップ7により継続する。
【0027】
電鋳ステップ5は、ウェーハ21の下部上の導電性層22に析出電極を接続して、図6に図示されるように、初めに、前記型の空洞部25内において電解析出物を成長させ、次いで、もっぱら第2の段階において凹部28内において電解析出物を成長させることによって、遂行される。
【0028】
実は、有利には、本発明によれば、電解析出物が、空洞部25の上部と同一平面内にある場合に、この電解析出物は、導電性層20に電気的に接続し、それにより、この析出物は、凹部28の全体にわたって成長を継続することが可能となる。本発明により、高い細長比を有する部品を作製することが可能となり、すなわち、空洞部25の断面が、凹部28の断面よりもはるかに小さなものとなり、これにより、例えば12%のリンを含有するニッケル−リン材料に関しても、薄層剥離の問題が回避されることとなり、有利である。
【0029】
導電性層20の下方においてケイ素を使用することにより、接合部における薄層剥離現象が軽減され、これにより、電着された材料内の内部応力により引き起こされる分離が、回避される。
【0030】
第2の実施形態によれば、製造方法1は、ステップ7で終了し、このステップ7では、空洞部25内において、次いで凹部28内において形成された部品41が、型39から放出される。放出ステップ7は、例えば、層24を薄層剥離することにより、または基板23およびウェーハ21をエッチングすることにより、遂行することが可能である。この第2の実施形態によれば、図7において図示されるように、得られた微小機械部品41は、それぞれ異なる形状および完全に別個の厚さからなる2つの高さ部分43、45を有することが、明らかである。
【0031】
この微小機械部品41は、例えば、マイクロメートルのオーダの幾何学的形状精度を有するだけでなく、さらに理想的な相互基準性を有する、すなわち前記高さ部分同士の完全な位置決めがなされる、同軸がんぎ車またはがんぎ車43/ピニオン45アセンブリなどであることが可能である。
【0032】
図1から図5および図8から図13に二重破線によって図示される方法1の第2の変形形態によれば、型39に対して少なくとも第3の高さ部分を追加することが可能である。この第2の変形形態は、利用される代替形態または変形形態に応じて、ステップ17、18、または19までは上述の方法1と同一のままである。図9から図13に図示される例においては、開始点として、図8に二重線において図示される第2の実施形態の例が採用される。
【0033】
好ましくは、この第2の変形形態によれば、基板23は、ケイ素ベース材料から形成され、型39’中に中空部35を形成するためにエッチングされる。
【0034】
好ましくは図5から図9の間において見られるように、堆積物33が、第1の空洞部25の一部分に事前形成されて、方法1の第2の変形形態のステップに機械的に耐えるために、層22のみよりも厚い導電性層が形成されている。好ましくは、この堆積物33の堆積は、ステップ5を開始することによって、所定の厚さまで行われる。しかし、この堆積は、別の方法により実施されてもよい。
【0035】
図8に二重破線において図示されるように、方法1の第2の変形形態は、基板23に対して方法3の最後のステップ17、18および/または19を適用する。したがって、この新規ステップ17において、基板23は、導電性層22が露出されるまでエッチングされる。エッチング・ステップ17は、好ましくは、深堀り反応性イオン・エッチング(DRIE)を含む。
【0036】
好ましくは、第1に、図9において図示されるように、保護マスク30が、基板23の上に被覆され、例えば感光性樹脂を使用するフォトリソグラフィ法などにより穿孔部分36が形成される。第2に、マスク30/基板23アセンブリが、異方性エッチングを施されて、基板の非保護部分のみが、エッチングされる。
【0037】
第3に、保護マスク30が、除去される。少なくとも1つの中空部35が、このようにして基板23中に得られ、この少なくとも1つの中空部35の底部には、図10に図示されるように接着層24が部分的に露出される。最後に、第4に、中空部35が、層24中に延伸され、場合によってはさらに層22中に延伸される。接着層24について使用される材料は、好ましくは、中空部35を延長させるために放射線に暴露される感光性樹脂である。ステップ17の最後には、少なくとも1つの中空部35が、このようにして基板23中に得られ、この少なくとも1つの中空部35の底部には、導電性層22が、または場合によっては堆積物33が部分的に露出される。
【0038】
当然ながら、上述と同様に、光造形樹脂マスク30の代わりに、保護マスクとして作用し得るように選択された材料からなる導電性層を、基板23の上に堆積することも可能である。
【0039】
同様に、接着層24および下部導電性層22の位置が逆転される先に述べた代替形態の場合には、導電性層22が、または場合によっては堆積物33が露出されるまで、接着層24中に前記中空部35を延長させる必要性はなくなる。
【0040】
方法1の第2の変形形態のステップ17の後に、本発明は、2つの先に述べた実施形態を実施することがやはり可能であり、すなわち、電鋳ステップ5および放出ステップ7によって継続されてよく、または、基板23の上に少なくとも1つの追加の高さ部分を形成するためのステップ19によって継続されてよい。図面を簡略化するために、図11から図13は、第1の実施形態から実現される。
【0041】
好ましくは、いずれの実施形態が選択される場合でも、図11に図示されるように、電鋳の際にその場で微小機械部品41’用の穴42’を形成するために、ロッド37が設置される。ロッド29および37が空洞部25および中空部35内にそれぞれ形成される場合に、これらのロッドは整列されると好ましい。好ましくは、ロッド37は、例えば感光性樹脂を使用するフォトリソグラフィなどによって得られる。
【0042】
新規ステップ17または19の後に、電鋳ステップ5は、導電性層22に析出電極を接続して、図12に図示されるように、中空部35内において電解析出物を成長させるだけでなく、さらに、空洞部25内における析出物33の成長と、それに次ぐ、もっぱら第2の段階における凹部28内での析出物33の成長とを継続させることによって、実施される。製造方法1は、ステップ7で終了し、このステップ7において、部品41’は、上述のように型39’から放出される。
【0043】
この第2の変形形態によれば、図13に図示されるように、得られた微小機械部品41’は、単一の軸穴42’を有する、それぞれ異なる形状および完全に別個の厚さからなる、少なくとも3つの高さ部分43’、45’、および47’を有することが、明らかである。
【0044】
この微小機械部品41’、例えば、マイクロメートルのオーダの幾何学的形状精度を有し、さらに理想的な相互基準性を有する、すなわち前記高さ部分同士の完全な位置決めがなされる、ピニオン47’を有する同軸がんぎ車43’、45’、または、3つの高さ部分からなる歯43’、45’、47’の歯車セットなどであることが可能である。
【0045】
当然ながら、本発明は、示された例に限定されず、当業者には明らかであろう種々の代替形態および変形形態に対しても開かれている。とりわけ、部分27は、事前エッチングされたケイ素ベース材料を含み、さらに導電性層20に固着されてよい。
【0046】
さらに、複数の型39、39’が、微小機械部品41、41’の一連の製造を達成するために、同一の基板23から製造されるが、微小機械部品41、41’は、必ずしも互いに同一ではない。
【0047】
同様に、第1の単一の高さ部分の実施形態の範囲内においても、後の部品41用の軸穴42を形成するために、ロッド29を形成することが可能である。さらに、ケイ素ベース材料を、結晶アルミナまたは結晶シリカまたは炭化ケイ素に変更することを予期することが可能である。
【0048】
最後に、ステップ9において形成され、次いでステップ15において部分的に穿孔される層20を、単一の選択的堆積ステップ15により得ることも可能である。この場合に、このステップ15は、初めに、導電性層20を堆積する前に、断面部26と同一の形状で犠牲層を堆積することからなってよい。第2に、導電性層20が、アセンブリの上部上に堆積される。最後に、第3の段階において、犠牲層が除去され、随伴的に、犠牲層の上に堆積された導電性層部分が除去される。これにより、図3において確認することが可能なものと同一の層20が形成される。このステップ15は、「リフト・オフ」として知られている。
【符号の説明】
【0049】
20 導電性層; 21 ウェーハ; 22 下部導電性層; 23 基板;
24 接着層; 25 空洞部; 26 除去された部分; 27 部分;
28 凹部; 29 ロッド; 30 保護マスク; 33 堆積物;
35 中空部; 36 穿孔部分; 37 ロッド; 39、39’ 型;
41、41’ 微小機械部品; 42、42’ 軸穴;
43、43’、45、45’、47’ 高さ部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型(39、39’)を製造する方法(3)であって、
a)ケイ素ベース材料から作製されたウェーハ(21)の上部(20)および下部(22)の上に導電性層を堆積するステップ(9)と、
b)接着層を使用して基板(23)に前記ウェーハを固着するステップ(13)と、
c)前記ウェーハ(21)の前記上部から前記導電性層の一部(26)を除去するステップ(15)と、
d)前記型中に少なくとも1つの空洞部(25)を形成するために、前記ウェーハの前記上部上の前記導電性層(20)から除去された前記部分の形状(26)で、前記ウェーハの前記下部上の前記導電性層(22)に達するまで前記ウェーハをエッチングするステップ(17)と
を含む、方法(3)。
【請求項2】
ステップd)の後に、以下のステップ、すなわち、
e)前記型内において第2の高さ部分を形成するために、前記ウェーハの前記上部上の前記導電性層(20)の上に部分(27)を設けるステップ(19)
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法(3)。
【請求項3】
ステップe)は、フォトリソグラフィにより感光性樹脂を構築することによって遂行されることを特徴とする、請求項2に記載の方法(3)。
【請求項4】
ステップe)は、事前エッチングされたケイ素ベース材料から作製された部分(27)を固着することによって遂行されることを特徴とする、請求項2に記載の方法(3)。
【請求項5】
ステップd)の後に、以下のステップ、すなわち、
f)前記部品中に軸穴(42)を形成するために、フォトリソグラフィによって前記少なくとも1つの空洞部(25)内にロッド(29)を形成するステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法(3)。
【請求項6】
前記接着層(24)および前記下部導電性層(22)の位置が逆転されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の方法(3)。
【請求項7】
前記接着層(24)は、感光性樹脂を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の方法(3)。
【請求項8】
前記基板(23)は、ケイ素ベース材料を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の方法(3)。
【請求項9】
以下のステップ、すなわち、
d’)前記型(39’)中に少なくとも1つの中空部(35)を形成するために、前記下部導電性層(22)に達するまで前記基板(23)をエッチングするステップ(17)
を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法(3)。
【請求項10】
ステップd’)の後に、以下のステップ、すなわち、
e’)前記型(39’)内において追加の高さ部分を形成するために、前記基板(23)の前記下部の上に堆積された導電性層の上に部分を設けるステップ
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法(3)。
【請求項11】
ステップd’)の後に、以下のステップ、すなわち、
f’)前記部品(41’)中に軸穴(42’)を形成するために、前記少なくとも1つの中空部(35)内にロッド(37)を形成するステップ
を含むことを特徴とする、請求項9または10に記載の方法(3)。
【請求項12】
ステップd)は、以下の段階、すなわち、
g)感光性樹脂を使用するフォトリソグラフィにより、除去されていない上部導電性層の部分の上に保護マスクを構築する段階と、
h)前記保護マスクにより被覆されていない部分においてウェーハの異方性エッチングを実施する段階と、
i)前記保護マスクを除去する段階と
を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の方法(3)。
【請求項13】
ステップd)は、以下の段階、すなわち、
h’)前記導電性層から除去された部分においてウェーハをエッチングするために、前記上部導電性層をマスクとして使用して、前記ウェーハの異方性エッチングを実施する段階
を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の方法(3)。
【請求項14】
複数の型(39、39’)が、同一の基板(23)から製造されることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の方法(3)。
【請求項15】
電鋳により微小機械部品(41、41’)を製造する方法(1)において、
j)請求項1から14のいずれか一項に記載の方法(3)により型(39、39’)を製造するステップと、
k)前記型内において前記部品を形成するために、ケイ素ベース材料から作製された前記ウェーハ(21)の前記下部上の前記導電性層(22)に電極を接続することによって、電着を実施するステップ(5)と、
l)前記型から前記部品(41、41’)を放出するステップ(7)と
を含むことを特徴とする、方法(1)。
【請求項16】
電鋳により微小機械部品(41、41’)を製造するための型(39、39’)において、基板(23)を備え、ケイ素ベース材料から作製された部分(21)が、前記基板の上に設けられ、前記基板の導電性表面(22)が露出された少なくとも1つの空洞部(25)を備え、それにより、電解析出物が、前記少なくとも1つの空洞部内において成長することが可能となることを特徴とする、型(39、39’)。
【請求項17】
第2の部分(27)を備え、前記第2の部分(27)は、前記第1の部分(21)の上に設けられ、電気絶縁表面(20)が露出された少なくとも1つの凹部(28)、および前記第1の部分中の少なくとも1つの空洞部(25)を備え、それにより、前記少なくとも1つの空洞部が充填された後に、前記少なくとも1つの凹部内における電解析出が継続されることを特徴とする、請求項16に記載の型(39、39’)。
【請求項18】
前記基板(23)は、ケイ素ベース材料から形成され、前記基板の導電性表面(22)が露出された少なくとも1つの中空部(35)を有し、それにより、電解析出物が、前記少なくとも1つの中空部内において成長することが可能となることを特徴とする、請求項16または17に記載の型(39’)。
【請求項19】
追加部分を備え、前記追加部分は、前記基板(23)の上に設けられ、導電性表面が露出された少なくとも1つの凹部および前記基板中の少なくとも1つの中空部(35)を備え、それにより、前記少なくとも1つの中空部が充填された後に、前記少なくとも1つの凹部内における電解析出が継続されることを特徴とする、請求項18に記載の型(39’)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−216013(P2010−216013A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57497(P2010−57497)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(599040492)ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム (33)
【Fターム(参考)】