説明

需要家発電装置

【課題】太陽光パネルが抗力型風車の羽根と独立しているために、羽根の作用に抑制的に働くことはなく、抵抗なく風車が自由に回転できる発電装置を提供する。
【解決手段】パイプないし線材を逆U字形に折り曲げてなるフレーム1の下部に直立する台座となり得るケース5を一体に設け、フレームの上端とケースの下部壁との間にロータ軸7を通しに設けて両方に軸支し、ケースの上部壁27の上にロータ軸と一体に回転する風車3を設け、風車は、それぞれ車輪に相当する天板15と底板17とに数枚の羽根19が外周において取り付けられ、羽根と羽根との間が広くその間から風、太陽光の通しが良好な抗力型風車であって、風車の天板の上下両面にそれぞれ太陽光パネル21を配設し、底板の上には羽根の間から入射した太陽光を天板の下の太陽光パネルに照射させる反射板25を張設し、また、太陽光パネルの出力線がロータ軸を通してケース内に導入してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャンプ等の野外において、また、住宅、事務所、商店、町工場等において自前の電力を得るために使用する簡易な需要家発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
簡易な発電装置としては、従来、構造が簡単で取扱いも容易な抗力型風車が利用されてきた。その構造については、中心となるロータ軸の周囲に、長く形成されたパドル(又はブレード)と称される羽根を配列したもので、従来、別の電源としてこれに太陽光パネルを配設することで、風の有無や昼夜の区別なく常時電力が得られるよう提案がなされてきた(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
上記特許文献は本出願人の発明に係るもので、風車がロータ軸の中心として羽根の配列がなされる抗力型風車であるが、各羽根には太陽光パネルが貼着されていた。こうして、風車が回転する動力で発電された電力と、太陽光パネルで発電された電力とを合わせて利用することで無電力状態が避けられるようにしたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−2728号公報
【特許文献2】特開2007−303459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いずれにしても、従来のように、抗力型風車の羽根の表面に太陽光パネルを張り合わせた場合には、太陽光を縦長であるが斜め急角度で受けるために光を受ける量が少なく、また、羽根に付く太陽光パネルが抑制的に働きやすいため、抗力型風車としての羽根作用の良好な調整が難しく、さらに、各羽根の太陽光パネルを電気的に一つにまとめる構造が複雑となるという問題があった。
【0006】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、太陽光を受けやすい太陽光パネル配置であって、しかも、太陽光パネルが抗力型風車の羽根と独立しているために、羽根の作用に抑制的に働くことはなく、抵抗なく風車が自由に回転し、また、各太陽光パネルを一つにまとめる電気的接続が簡単になる需要家発電装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明は、パイプないし線材を逆U字形に折り曲げてなるフレームの下部に直立する台座となり得るケースを一体に設け、フレームの上端とケースの下部壁との間にロータ軸を通しに設けて両方に軸支し、ケースの上部壁の上にロータ軸と一体に回転する風車を設け、風車は、それぞれ車輪に相当する天板と底板とに数枚の羽根が外周において取り付けられ、羽根と羽根との間が広くその間から風、太陽光の通しが良好な抗力型風車であって、風車の天板の上下両面にそれぞれ太陽光パネルを配設し、底板の上には羽根の間から入射した太陽光を天板の下の太陽光パネルに照射させる反射板を張設し、また、太陽光パネルの出力線がロータ軸を通してケース内に導入してあり、ケースにはロータ軸の回転で駆動される発電機を内装し、太陽光パネルの電力と、発電機の電力を合わせて利用できるようケースに電気取出口を設けたことを特徴とする需要家発電装置を提供する。
【0008】
需要家発電装置を上記のように構成したから、太陽光は、風車の天板の上面と下面との両方の太陽光パネルで受けることになり、上の太陽光パネルについては、太陽光の照射が直射に受けやすく、また、下面の太陽光パネルについても、反射板を介して直射的な角度で受けることになる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明の需要家発電装置によれば、太陽光を受けやすい太陽光パネル配置であって、太陽光パネルの張設に天板の両面が利用されることとも相まって、限られた空間で多量の電力が得られ、しかも、太陽光パネルが抗力型風車の羽根と独立しているために、羽根の作用に抑制的に働くことはなく、抵抗なく風車が自由に回転し、風車としても獲得電力が多く望めるものであり、また、各太陽光パネルの配置箇所から見て、一つにまとめる電気的接続が簡単で安価な提供に適するという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施例による需要家発電装置を示す斜視図である。
【図2】同需要家発電装置の縦断面図である。
【図3】他の実施例による需要家発電装置を示す斜視図である。
【図4】同需要家発電装置に使用される補強枠の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の需要家発電装置は、大きさは様々となるもので、前記したように、住宅、事務所、商店、町工場等において自前の電力を得るために使用できるが、持ち手となりやすい逆U字形のフレーム1に装備したものであり、また、ケース5がそれ自体で正立し得る台座型であるから、小型として製造すれば、自動車に積んで持ち運びして自由な箇所に設置して使用できるから、例えばキャンプ等で使用するのに適しており、テントの外に置いておくことにより、発生した電力を自由に利用できる。さらに安定した電力を得るには、ケース5内に蓄電池を内装して蓄電池を介して必要な電力を取り出して利用する。
【0012】
太陽光パネル21,22から得られる電力は直流であるが、発電機35で得られる電力は交流であるので、蓄電池を使用するとすれば、変換器により直流に整合させる。また、売電も可能とする場合には、接続ユニット18でまとめられた直流をパワーコンディショナーにより交流に変換する。いずれもケース5にいずれかの電気的設備を置くことにより可能である。
【0013】
つまり、風車3の発電機35と太陽光パネル21とで発電された電力は、直流として利用するか、交流として利用するかの選択についてケース5の内装される装置により決定される。なお、ケース5は円筒形とは限らなく、四角形の他、六角形等の他多角形であっても良い。
【実施例1】
【0014】
金属パイプから構成されるフレーム1において、上端部に発電用の風車3が、下端部にケース5がそれぞれ内装される。そして、中心に風車3と一体に回転するロータ軸7を設け、ケース5内にロータ軸7の回転により起動する発電装置35が設けられ、ロータ軸7の上端を支持する軸受12がフレーム1のフレーム1の上端に、下端を支持する軸受14がケース5の底部に設けられる。
【0015】
フレーム1は、上端が横架部となるようにほゞ逆U字形に屈曲して形成され、下端が二股に形成され、左右において二股脚部11,11の端でケース5を挟み、その接触部が溶接されることにより、ケース5がフレーム1に安定して固定される。また、風車3の箇所においては、上及び周囲がフレーム1だけであり、風通し・光通しが極めて良好である。
【0016】
風車3は、車輪に相当する円板形の天板15と底板17とがロータ軸7に固定して設けられ、天板15と底板17との外周に添えることにより4枚の羽根19,19,19,19が取り付けられ、ロータ軸7を中心として羽根19,19,19,19が等位に配置された抗力型風車が構成されている。
【0017】
天板15の上には、多数枚の太陽光パネル21,21,・・が張設されている。これが屋根瓦と同じで、降雨が排出されやすく中心から周囲に低く傾斜した配置となっている。太陽は真上からずれているのでこの傾斜があると太陽光を多量に受けやすい。なお、天板15の上には太陽光パネル21,21,・・を傾斜受けするため図示しない構造受材が置かれている。
【0018】
底板17は、天板15と上下に対をなすもので、底板17の上には、アルミの反射板25が張られている。これは、外からの太陽光線が天板15の下側の太陽光パネル22に照射されるように、中央にほんの少し低く傾斜されている。
【0019】
各太陽光パネル21,・・及び22,・・の送電線は中心のボス部23に集められ、そこからロータ軸7の中を通してケース5内の接続ユニット18において発電した電力が一つにまとめられる。
【0020】
羽根19,19,・・は、この場合、帯板状であって、風車3の回転の仕方については、風の向きの如何にかかわらず、風上の羽根19が風力を受けて風下に回動し、同時に、風下の羽根19が比較的抵抗なく風上に回動し、こうして風車3が回転を継続する。
【0021】
ケース5は、上部壁27と下部壁29とを有する円筒状であって、一側に開閉扉31(図2)を有する。そして、上部壁27の上に軸受33を介して上記風車3が回転可能に支承されている。また、ケース5内においては、前記した接続ユニット18が内装される他、ロータ軸7からの回転で起動される発電機35が内装される。これには大歯車39による増速機付きである。
【0022】
ケース5内には、さらに、ボックス41および蓄電池43が内装され、発電機35の交流はボックス41内の変換器を介して直流に変換されてから蓄電池43に充電され、また、接続ユニット18からの直流も蓄電池43に充電される。蓄電池43に充電された電力は、電源コードで取り出し得るように、ケース5の側面に電源コードを接続する差込口としての電気取出口45が設けられている。
【実施例2】
【0023】
図3及び図4は、他の実施例を示したもので、前記実施例のものと同様であるが、フレーム1に対してケース5を安定して一体結合するために、フレーム1にその下端部に嵌まる補強枠47が取り付けられる。
【0024】
補強枠47は、フレーム1の縦の部分の間に納まる大リング49と、ケース5に嵌まる小リング51を上下とし、その間に周壁53を介在させて一体化したもので、両リング49,51がフレーム1に溶接される。
【符号の説明】
【0025】
1 フレーム
3 風車
5 ケース
7 ロータ軸
15 天板
17 底板
19 羽根
21,22 太陽光パネル
25 反射板
27 上部壁
29 下部壁
35 発電機
45 電気取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプないし線材を逆U字形に折り曲げてなるフレームの下部に直立する台座となり得るケースを一体に設け、フレームの上端とケースの下部壁との間にロータ軸を通しに設けて両方に軸支し、ケースの上部壁の上にロータ軸と一体に回転する風車を設け、風車は、それぞれ車輪に相当する天板と底板とに数枚の羽根が外周において取り付けられ、羽根と羽根との間が広くその間から風、太陽光の通しが良好な抗力型風車であって、風車の天板の上下両面にそれぞれ太陽光パネルを配設し、底板の上には羽根の間から入射した太陽光を天板の下の太陽光パネルに照射させる反射板を張設し、また、太陽光パネルの出力線がロータ軸を通してケース内に導入してあり、ケースにはロータ軸の回転で駆動される発電機を内装し、太陽光パネルの電力と、発電機の電力を合わせて利用できるようケースに電気取出口を設けたことを特徴とする需要家発電装置。
【請求項2】
フレームの両方の下端部をケースを挟むように二股に形成し、ケースに固着して一体化したことを特徴とする請求項1記載の需要家発電装置。
【請求項3】
風車の天板において、上の太陽光パネルを円錐形の凸面に張設してあることを特徴とする請求項1又は2記載の需要家発電装置。













【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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