説明

露光ヘッド、画像形成装置

【課題】光学部材の熱変形を抑制して、レンズの良好な光学特性の実現を可能とする技術を提供する。
【解決手段】発光素子が配設された発光素子基板と、導光孔が設けられるとともに、発光素子基板と当接する遮光部材と、発光素子から導光孔を通過した光が入射するレンズが配設された光学部材と、遮光部材と光学部材とを離間させて、光学部材を保持する保持部材と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子からの光により被露光面を露光する露光ヘッドおよび当該露光ヘッドを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光素子とレンズとを用いて被露光面に光のスポットを形成して、被露光面を露光する露光ヘッドが提案されている。例えば、特許文献1記載の露光ヘッド(同文献のラインヘッド)では、複数のレンズがアレイ配置された光学部材(同文献のレンズアレイ)に対向して、発光素子が形成された発光素子基板(同文献のガラス基板)が設けられている。また、この発光素子基板では、複数の発光素子をグループ化したものが、レンズ毎に対向して配置されている。そして、発光素子は対向するレンズに向けて光を射出し、レンズの光学的作用により被露光面に光のスポットが形成される。なお、このスポット形成は、特許文献1記載のように複数枚のレンズの協働により実現されても良いし、1枚のレンズにより実現されても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−036937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光の一部は、自身の射出源の発光素子に対向するレンズに向わずに、迷光となる場合がある。そして、このような迷光はいわゆるゴースト等の露光不良の一因となる。そこで、特許文献1にも記載されているような遮光部材を、発光素子基板と光学部材との間に設けることが考えられる。つまり、この遮光部材には、厚さ方向に導光孔が貫通形成されている。そして、発光素子に対して導光孔を開口させた状態で、遮光部材の裏側が発光素子基板に当接する。また、遮光部材の表側には光学部材が当接しており、光学部材のレンズに対して導光孔が開口している。したがって、発光素子が射出した光のうち導光孔を通過した光がレンズに入射する一方、迷光の多くは導光孔の内壁に当たって吸収される。こうして、迷光に起因した露光不良の発生を抑制することができる。しかしながら、遮光部材を設けるにあたっては次のような問題が発生する可能性があった。
【0005】
つまり、発光素子は発光に伴なって発熱する性質を有するため、発光素子が発光を繰り返すと、発光素子基板の発光素子近傍の温度が上昇する。そして、この発光素子近傍の熱が遮光部材を介して光学部材にまで伝わって、光学部材が熱変形してしまい、レンズの光学特性が悪化してしまうおそれがあった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、光学部材の熱変形を抑制して、レンズの良好な光学特性の実現を可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、発光素子が配設された発光素子基板と、導光孔が設けられるとともに、発光素子基板と当接する遮光部材と、発光素子から導光孔を通過した光が入射するレンズが配設された光学部材と、遮光部材と光学部材とを離間させて、光学部材を保持する保持部材と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、発光素子が配設された発光素子基板、導光孔が設けられるとともに発光素子基板と当接する遮光部材、発光素子から導光孔を通過した光が入射するレンズが配設された光学部材、および遮光部材と光学部材とを離間させて光学部材を保持する保持部材を有する露光ヘッドと、レンズにより結像された光により露光される像担持体と、を有することを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)では、遮光部材と光学部材とを離間させて光学部材を保持する保持部材が備えられている。つまり、本発明は、光学部材を遮光部材から離間させることで、遮光部材から光学部材への熱伝導を抑えている。その結果、光学部材の熱変形が抑制されて、光学部材に配設されたレンズの良好な光学特性の実現が可能となっている。
【0010】
ところで、露光ヘッドの使用環境によっては、露光ヘッドが振動源と一緒に配設されることがある。そして、この振動が露光ヘッドに伝わることで、光学部材も振動してしまい、良好な露光動作が実現できない可能性も考えられる。そこで、保持部材は、遮光部材の一方端側で発光素子基板と当接する一方側保持部と、遮光部材の他方端側で発光素子基板と当接する他方側保持部と、を有し、光学部材は、一方側保持部および他方側保持部に架設されるように構成しても良い。なぜなら、このように光学部材を一方側保持部および他方側保持部に架設して支持することで、光学部材をしっかりと支持して、露光ヘッド外部からの振動が光学部材に与える影響を小さくすることができるため、良好な露光動作の実現が図られるからである。
【0011】
また、保持部材は、発光素子基板に固定され、遮光部材は一方側保持部および他方側保持部の間に配設されて、一方側保持部および他方側保持部と当接するように構成しても良い。このような構成を備えた露光ヘッドでは、一方側保持部および他方側保持部の間に配設された遮光部材を、これら一方側保持部および他方側保持部の両方に当接させることで、遮光部材の位置決めを簡便に行なうことができる。
【0012】
また、遮光部材と光学部材との間に配設されて、遮光部材に支持される絞り部材を備え、絞り部材は、発光素子からレンズに入射する光を制限する開口絞りが配設されるように、露光ヘッドを構成することができる。ただし、このような構成では、絞り部材を介した遮光部材から光学部材への熱伝導を抑制することが望まれる。そこで、保持部材は、絞り部材と光学部材とを離間させるように露光ヘッドを構成することが好適である。
【0013】
また、光学部材は、レンズを配設した光透過性基板を有するように構成することができる。つまり、例えば、光透過性基板としてガラスを用い、レンズを光硬化性樹脂で形成することができる。ただし、一般に異なる基材同士は、線膨張係数等の熱変形特性も異なる。したがって、互いに基材が異なるレンズと光透過性基板とで光学部材を構成した場合、温度上昇によって光学部材が反ってしまって、レンズの光学特性の悪化が顕著に現れる場合があった。そこで、このような構成の露光ヘッドに対しては、本発明を適用して、光学部材への熱伝導を抑制することが特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかるラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】ラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図4】厚さ方向からヘッド基板293を平面視した部分平面図。
【図5】第1実施形態にかかるラインヘッドのA−A線部分断面図。
【図6】第2実施形態にかかるラインヘッドのA−A線部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1実施形態
図1は本発明の第1実地形態にかかるラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、このヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0016】
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラーMC、エンジンコントローラーECおよびヘッドコントローラーHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0017】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラムは、軸方向が主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モーターに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナー27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0018】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラーを備えている。この帯電ローラーは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラーは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0019】
ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して離間して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDに平行もしくは略平行であるとともに、ラインヘッド29の幅方向は副走査方向SDに平行もしくは略平行である。このラインヘッド29は複数の発光素子を備えており、各発光素子はヘッドコントローラーHCからのビデオデータVDに応じて発光する。そして、帯電した感光体ドラム21表面に発光素子からの光が照射されることで、感光体ドラム21表面に静電潜像が形成される。
【0020】
現像部25は、その表面にトナーを担持する現像ローラー251を有する。そして、現像ローラー251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラー251に印加される現像バイアスによって、現像ローラー251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラー251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0021】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0022】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナー27が設けられている。この感光体クリーナー27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0023】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラー82と、図1において駆動ローラー82の左側に配設される従動ローラー83(ブレード対向ローラー)と、これらのローラーに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラー85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラー85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0024】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラー85のうち、カラー1次転写ローラー85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラー85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラー85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラー85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0025】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラー85Kの下流側で且つ駆動ローラー82の上流側に配設された下流ガイドローラー86を備える。また、この下流ガイドローラー86は、モノクロ1次転写ローラー85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラー85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0026】
駆動ローラー82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラー121のバックアップローラーを兼ねている。駆動ローラー82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラー121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラー82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラー82と2次転写ローラー121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0027】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラー79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラー79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラー対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0028】
2次転写ローラー121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラー駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラー131と、この加熱ローラー131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラー131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラー1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラー1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラー131の周面に押し付けることで、加熱ローラー131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0029】
また、この装置では、ブレード対向ローラー83に対向してクリーナー部71が配設されている。クリーナー部71は、クリーナーブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナーブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラー83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。
【0030】
図3は、ラインヘッドの概略を示す斜視図である。同図では、ラインヘッド29の厚さ方向TKDの構成を理解しやすくするために、ラインヘッド29の一部が断面で示されている。ここで、厚さ方向TKDは、長手方向LGDおよび幅方向LTDに垂直もしくは略垂直な方向であり、後述する発光素子2951が光を射出する側(つまり、ラインヘッド29から感光体ドラム21に向う側)を向いた方向とする。ラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺なヘッドフレーム291を備えており、このヘッドフレーム291の厚さ方向TKDの一方側で、第1レンズアレイLA1および第2レンズアレイLA2が保持されるとともに、ヘッドフレーム291の厚さ方向TKDの他方側でヘッド基板293が保持される。また、ヘッドフレーム291の内部には遮光部材297が配設されている。このように、ラインヘッド29は、ヘッド基板293、遮光部材297、第1レンズアレイLA1および第2レンズアレイLA2をこの順番で厚さ方向TKDに配置した概略構成を備えている。次に、各部材の詳細な構成について、図3および図4を用いつつ説明する。なお、実施形態の説明において、厚さ方向TKDの下流側(図3の上側)を「(厚さ方向TKDの)一方側」と称し、厚さ方向TKDの上流側(図3の下側)を「(厚さ方向TKDの)他方側」と称する。また、基板あるいは平板の一方側の面を表面と称し、基板あるいは平板の他方側の面を裏面と称することとする。
【0031】
図4は、厚さ方向からヘッド基板293を平面視した部分平面図であり、厚さ方向TKDの下流側(図3の上側)からヘッド基板293の裏面293−tを透視した場合に相当する。さらに、図4では、ヘッド基板293に形成された発光素子グループ295、遮光部材297に形成された導光孔2971、第1レンズアレイLA1に形成された第1レンズLS1および第2レンズアレイLA2に形成された第2レンズLS2の位置関係を示すために、導光孔2971、第1レンズLS1および第2レンズLS2がそれぞれ一点鎖線、二点鎖線、二点鎖線で併記されている。なお、導光孔2971、第1レンズLS1および第2レンズLS2についての図中記載は、これらの位置関係を示すためのものであり、導光孔2971、第1レンズLS1および第2レンズLS2がヘッド基板裏面293−t(図5)に形成されていることを示すものではない。
【0032】
ヘッド基板293は光を透過するガラス基板で構成されており、ヘッド基板裏面293−tにはボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である発光素子2951が複数形成されている。これら複数の発光素子2951は、互いに同一波長の光ビームを感光体ドラム21表面へ向けて射出する。また、図4に示すように、ヘッド基板裏面293−tに形成された複数の発光素子2951の配置態様は、グループ構造を有している。つまり、15個の発光素子2951が長手方向LGDに2行千鳥で配置されて1個の発光素子グループ295が構成されており、さらに複数の発光素子グループ295が長手方向LGDに3行千鳥で離散的に配置されている。
【0033】
より詳しくは、この配置態様は次のように説明することができる。つまり、各発光素子グループ295内では、15個の発光素子2951が長手方向LGDの互いに異なる位置に配置されており、しかも長手方向LGDにおける位置が隣り合う2つの発光素子2951、2951の長手方向LGDへの距離は素子間距離Pelとなっている(言い換えれば、各発光素子グループ295内では、15個の発光素子2951がピッチPelで長手方向LGDに配置されている)。そして、素子間距離Pelよりも長いグループ間距離P295を空けて複数の発光素子グループ295が長手方向LGDに沿って離散的に並んで、1行の発光素子グループ行295Rが構成されている。さらに、3行の発光素子グループ行295R、295R、295Rが距離Dtだけ空けて幅方向LTDの異なる位置に離散的に配置されており、しかも、発光素子グループ行295R、295R、295Rのそれぞれは、長手方向LGDに距離Dgだけ相互にシフトされている。
【0034】
ここで、素子間距離Pelは、対象となる2個の発光素子2951の幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、グループ間距離P295は、対象となる2個の発光素子グループ295のうち、長手方向LGDの一方側の発光素子グループ295の他方側端部にある発光素子2951の幾何重心と、長手方向LGDの他方側の発光素子グループ295の一方側端部にある発光素子2951の幾何重心との長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dgは、長手方向LGDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループ295それぞれの幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dtは、幅方向LGDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループ295それぞれの幾何重心間の幅方向LTDにおける距離として求めることができる。
【0035】
このようにヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子グループ295が離散的に配置されている。一方、ヘッド基板293の表面293−hは、ヘッドフレーム291の厚さ方向TKDの他方側に、当接した状態で接着材により固定されているとともに、ヘッドフレーム291内部に配置された遮光部材297に当接している。なお、遮光部材297の厚さ方向の他方側は、ヘッド基板表面293−hに接着剤により固定されている。遮光部材297には厚さ方向TKDに貫通する導光孔2971が形成されており、この導光孔2971は厚さ方向TKDからの平面視において口径D2971の円形状を有している。また、各導光孔2971の内壁には黒色メッキが施されている。そして、遮光部材297には、発光素子グループ295毎に導光孔2971が1個づつ形成されており、すなわち、1個の発光素子グループ295に対して1個の導光孔2971が開口している。このように、遮光部材297は、導光孔2971を発光素子グループ295に開口させた状態でヘッド基板表面293−hに当接して固定されている。
【0036】
遮光部材297の厚さ方向TKDの一方側では、略平板形状を有する第1レンズアレイLA1が、ヘッドフレーム291の幅方向LTDにおける両辺部291A、291Bに架設されている。この第1レンズアレイLA1の裏面には、第1レンズLS1が、各発光素子グループ295に対して1枚づつ形成されており、すなわち1個の発光素子グループ295に対して1枚の第1レンズLS1が対向している。さらに、この第1レンズアレイLA2の厚さ方向TKDの一方側では、略平板形状を有する第2レンズアレイLA2が、ヘッドフレーム291の幅方向LTDにおける両辺部291A、291Bに架設されている。この第2レンズアレイLA2の裏面には、第2レンズLS2が、各発光素子グループ295に対して1枚づつ形成されており、すなわち1個の発光素子グループ295に対して1枚の第2レンズLS2が対向している。また、図4に示すように平面透視において、第1レンズLS1および第2レンズLS2は、導光孔口径D2971よりも大きい口径Dlsの円形状を有しており、第1レンズLS1および第2レンズLS2の内部に、導光孔2971がすっぽりと収まっている。
【0037】
続いて、ラインヘッド29の断面構造について詳述する。図5は、第1実施形態にかかるラインヘッドのA−A線部分断面図である。上述のとおりヘッド基板裏面293−tには有機EL素子である発光素子2951(図5では記載を省略)が形成されており、この発光素子2951は封止部材294により封止されている。また、上述のとおり、ヘッド基板表面293−hには、ヘッドフレーム291の幅方向LTDの両辺部291A、291Bが固定されている。しかも、これらフレーム辺部291A、291Bの間隔は遮光部材297の幅と等しく設計されており、遮光部材297は、ヘッドフレーム291の幅方向LTDの両辺部291A、291Bの間に嵌装されて、これらフレーム辺部291A、291Bに当接している。つまり、本実施形態のラインヘッド29では、フレーム辺部291A、291Bの間に嵌装された遮光部材を、これらフレーム辺部291A、291Bに当接させることで、遮光部材297の位置決めを簡便に行なえるように構成されている。
【0038】
また、これらフレーム辺部291A、291Bのそれぞれには、第1レンズアレイ支持部2912A、2912Bおよび第2レンズアレイ支持部2913A、2913Bが形成されている。具体的には、フレーム辺部291A、291Bの厚さ方向TKDの他方側は、厚さ方向TKDに直交もしくは略直行する平面形状に仕上げられている。これに対して、フレーム辺部291A、291Bの厚さ方向TKDの一方側は幅方向LTD外側に向って昇る階段状に仕上げられている。また、フレーム辺部291A、291Bに形成された各段の厚さ方向TKDの一方側面は、いずれも平らに仕上げられており厚さ方向TKDに直交もしくは略直交している。そして、フレーム辺部291A、291Bに形成された各段が、第1レンズアレイ支持部2912A、2912Bおよび第2レンズアレイ支持部2913A、2913Bとして機能する。より詳細は次のとおりである。
【0039】
フレーム辺部291Aに形成された第1レンズアレイ支持部2912Aとフレーム辺部291Bに形成された第1レンズアレイ支持部2912Bとは、いずれも同じ厚さT2912を有しており、これら第1レンズアレイ支持部2912A、2912Bに第1レンズアレイLA1が架設される。そして、第1レンズアレイ支持部2912A、2912Bに当接した状態で、第1レンズアレイLA1は、第1レンズアレイ支持部2912A、2912Bそれぞれに接着剤により固定される。また、これら第1レンズアレイ支持部2912A、2912Bの厚さT2912は、遮光部材297の厚さT297よりも厚いため、第1レンズアレイLA1は遮光部材297に対して間隔CLを空けて保持される。なお、この間隔CLは、厚さT2912と厚さT297との差(T2912−T297)と略等しい。
【0040】
フレーム辺部291Aに形成された第2レンズアレイ支持部2913Aとフレーム辺部291Bに形成された第2レンズアレイ支持部2913Bとは、いずれも同じ厚さT2913を有しており、これら第2レンズアレイ支持部2913A、2913Bに第2レンズアレイLA2が架設される。そして、第2レンズアレイ支持部2913A、2913Bに当接した状態で、第2レンズアレイLA2は、第2レンズアレイ支持部2913A、2913Bそれぞれに接着剤により固定される。また、これら第2レンズアレイ支持部2913A、2913Bの厚さT2913は、第1レンズアレイ支持部2912A、2912Bの厚さT2912よりも厚いため、第2レンズアレイLA2は第1レンズアレイLA2に対して間隔を空けて保持される。
【0041】
なお、レンズアレイLA1、LA2は、いずれも裏面にレンズLS1、LS2が形成された構成を備える。つまり、レンズアレイLA1、LA2は、ガラスを基材とした光透過性のレンズアレイ基板SBを備えており、このレンズアレイ基板SBの裏面SB−tに樹脂製のレンズLS1、LS2が形成される。このようなレンズアレイLA1、LA2は従来から提案されている種々の方法で作成可能であり、例えば、金型を用いた方法で作成することができる。この方法では、レンズLS1、LS2の形状に応じた凹部を有する金型がレンズアレイ基板SBの裏面SB−tに当接した状態で、金型とレンズアレイ基板SBとの間に光硬化性樹脂が充填される。そして、光硬化性樹脂に光が照射されると、当該樹脂が硬化して、レンズアレイ基板SBにレンズLS1、LS2が形成される。
【0042】
このように、ラインヘッド29では、導光孔2971、第1レンズLS1および第2レンズLS2からなる光学系が、発光素子グループ295毎に設けられている。したがって、発光素子グループ295が射出した光ビームは、導光孔2971を通過した後にレンズLS1、LS2に入射する。また、レンズLS1およびレンズLS2は協働して結像光学系を構成しているため、発光素子グループ295が射出した光ビームは、これらレンズLS1、LS2の結像作用により、スポットSPとして感光体ドラム21表面に結像される。なお、結像光学系LS1、LS2は縮小した倒立像を形成する。
【0043】
ここで、遮光部材297の機能について説明する。この遮光部材297は、いわゆる迷光がレンズLS1、LS2に入射するのを抑制することを目的として設けられている。つまり、上述のとおり、各発光素子グループ295にはそれぞれ専用の結像光学系LS1、LS2が設けられている。このような構成では、光ビームは、それ自身の射出源である発光素子グループ295に設けられた結像光学系LS1、LS2にのみ入射して結像されることが望ましい。しかしながら、光ビームの一部には、その射出源である発光素子グループ295に設けられた結像光学系LS1、LS2に向わずに迷光となってしまうものもある。そして、このような迷光が、それ自身の射出源でない発光素子グループ295に設けられた結像光学系LS1、LS2に入射してしまうと、いわゆるゴーストが発生してしまうおそれがある。これに対して、この実施形態では、発光素子グループ295と結像光学系LS1、LS2との間に遮光部材297が設けられている。この遮光部材297には、内壁に黒色メッキが施された導光孔2971が発光素子グループ295に開口して設けられている。したがって、迷光の多くは、導光孔2971の内壁で吸収されることとなる。その結果、上述のゴーストを抑制して、良好な露光動作の実現が図られる。
【0044】
そして、このラインヘッド29は、特開2008−036937の図11に記載されている露光動作と同様にして、感光体ドラム21の表面に潜像を形成する。つまり、感光体ドラム21表面の副走査方向SDへの移動に応じたタイミングで、各発光素子2951が発光することで、複数のスポットSPを主走査方向MDに並べて形成する。
【0045】
ところで、上述のような発光素子2951は発光に伴なって発熱する性質を有するため、発光素子2951が発光を繰り返すと、ヘッド基板293の発光素子近傍(図5の破線楕円で示した領域HA)の温度が上昇する。そして、この発光素子近傍HAの熱が遮光部材297を介してレンズアレイLA1にまで伝わって、レンズアレイLA1が熱変形してしまい、レンズLS1の光学特性が悪化してしまうおそれがあった。これに対して第1実施形態にかかるラインヘッド29では、遮光部材297から離間させた状態でレンズアレイLA1を保持するヘッドフレーム291が備えられている。つまり、このラインヘッド29は、レンズアレイLA1を遮光部材297から離間させることで、遮光部材297からレンズアレイLA1への熱伝導を抑えている。その結果、レンズアレイLA1の熱変形が抑制されて、レンズアレイLA1に配設されたレンズLS1の良好な光学特性の実現が可能となっている。
【0046】
また、レンズアレイLA2についても同様に、ヘッドフレーム291により遮光部材297から離間した状態で保持されている。したがって、レンズアレイLA2への熱伝導もやはり抑えられており、レンズLS2の良好な光学特性の実現が可能となっている。
【0047】
ところで、ラインヘッド29の使用環境によっては、ラインヘッド29が振動源と一緒に配設されることがある。例えば、本実施形態では、ラインヘッド29は、感光体ドラム21用の駆動モーター等と一緒に画像形成装置内部に配設されている。したがって、モーターの振動がラインヘッド29に伝わることで、レンズアレイLA1、LA2も振動してしまい、良好な露光動作が実現できない可能性も考えられる。これに対して、第1実施形態のヘッドフレーム291は、遮光部材297の幅方向LTDの一方外側(一方端側)でヘッド基板に当接するフレーム辺部291Aと、遮光部材297の幅方向LTDの他方外側(他方端側)でヘッド基板293に当接するフレーム辺部291Bとを有している。そして、これら両フレーム辺部291A、291BにレンズアレイLA1、LA2が架設されている。つまり、このように、レンズアレイLA1、LA2を両フレーム辺部291A、291Bに架設して支持することで、レンズアレイLA1、LA2をしっかりと支持して、ラインヘッド29外部からの振動がレンズアレイLA1、LA2に与える影響を小さくすることができ、良好な露光動作の実現が図られている。
【0048】
ところで、第1実施形態では、レンズLS1、LS2と基材が異なるレンズアレイ基板SBに、このレンズLS1、LS2を形成して、レンズアレイLA1、LA2を構成している。しかしながら、一般に異なる基材同士は、線膨張係数等の熱変形特性も異なる。したがって、このようにレンズアレイLA1、LA2を構成した場合、温度上昇によってレンズアレイLA1、LA2が反ってしまって、レンズLS1、LS2の光学特性の悪化が顕著に現れる場合があった。そこで、このように構成されたレンズアレイLA1、LA2を備えたラインヘッド29に対しては、本発明を適用して、レンズアレイLA1、LA2への熱伝導を抑制することが特に好適である。
【0049】
第2実施形態
図6は、第2実施形態にかかるラインヘッドのA−A線部分断面図である。第1実施形態と第2実施形態との差異は、遮光部材297と第1レンズアレイLA1との間に、絞り平板298が設けられた点である。したがって、以下では、この差異点について主に説明することとし、共通する部分については共通符号を付して説明を省略する。
【0050】
図6に示すように、遮光部材297の厚さ方向TKDの一方側には、絞り平板298が載置されて接着剤により固定されている。この絞り平板298には、厚さ方向TKDに貫通する開口絞りDAが、各発光素子グループ295毎に1個づつ形成されており、すなわち1個の発光素子グループ295に対して1個の開口絞りDAが開口している。また、厚さ方向TKDからの平面透視において、開口絞りDAは、導光孔口径D2971よりも小さい口径の円形状を有しており、導光孔2971の内部にすっぽりと納まるように配置されている。
【0051】
このように、第2実施形態のラインヘッド29では、導光孔2971、開口絞りDA、第1レンズLS1および第2レンズLS2からなる光学系が、発光素子グループ295毎に設けられている。したがって、発光素子グループ295が射出した光ビームは、導光孔2971を通過した後に開口絞りDAで光量調整されて、レンズLS1、LS2に入射する。また、レンズLS1およびレンズLS2は協働して結像光学系を構成しているため、発光素子グループ295が射出した光ビームは、これらレンズLS1、LS2の結像作用により、スポットSPとして感光体ドラム21表面に結像される。なお、結像光学系LS1、LS2は縮小した倒立像を形成する。
【0052】
開口絞りDAの機能についてさらに詳述すると、この開口絞りDAは、レンズLS1、LS2が所望の結像作用を発揮できるようにすることを目的として設けられている。つまり、開口絞りDAは、第1レンズLS1に入射する光ビームの量を制限して、最終的に形成されるスポットSPの大きさ、形状、あるいはスポット形成に供する光の量を調整する。特に第2実施形態では、開口絞りDAは、レンズLS1、LS2からなる結像光学系の前側焦点位置に配置されており、像側テレセントリックが実現されている。
【0053】
そして、同図に示すように、この開口絞りDAが設けられた絞り平板298の厚さ方向TKDの一方側に、間隔CLを空けて第1レンズアレイLA1が支持されている。つまり、第1レンズアレイ支持部2912A、2912Bの厚さT2912は、遮光部材297の厚さT297に絞り平板298の厚さを加えた厚さT2978よりも厚く、これら第1レンズアレイ支持部2912A、2912Bに第1レンズアレイLA1が架設されることで、間隔CLが設けられている。なお、この間隔CLは、厚さT2912と厚さT2978との差(T2912−T2978)と略等しい。
【0054】
以上のように構成された第2実施形態のラインヘッド29によれば、第1実施形態のラインヘッド29と同様の効果が得ることができる他、さらに次のような効果が奏される。つまり、遮光部材297と第1レンズアレイLA1との間に絞り平板298が設けられたラインヘッド29では、絞り平板298を介した遮光部材297からレンズアレイLA1への熱伝導を抑制することが望まれる。これに対して、第2実施形態のラインヘッド29では、ヘッドフレーム291は、絞り平板298から離間させた状態でレンズアレイLA1を保持しているため、絞り平板298を介したレンズアレイLA1への熱伝導が抑えられ、レンズアレイLA1の熱変形が抑制されている。その結果、レンズLS1の良好な光学特性が実現可能となっている。
【0055】
その他
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、ヘッド基板293が本発明の「発光素子基板」に相当し、レンズアレイLA1が本発明の「光学部材」に相当し、ヘッドフレーム291が本発明の「保持部材」に相当している。また、フレーム辺部291Aが本発明の「一方側保持部」に相当し、フレーム辺部291Bが本発明の「他方側保持部」に相当している。また、絞り平板298が本発明の「絞り部材」に相当している。また、レンズアレイ基板SBが本発明の「光透過性基板」に相当している。また、感光体ドラム21が本発明の「像担持体」に相当している。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、ヘッドフレーム291は、ヘッド基板表面293−hでヘッド基板293を保持していた。しかしながら、ヘッド基板裏面293−tを当接保持する保持部をヘッドフレーム291に形成し、ヘッド基板裏面293−tからヘッド基板293を保持するようにヘッドフレーム291を構成しても良い。
【0057】
また、上記実施形態では、ヘッドフレーム291は、レンズアレイLA1、LA2の裏面(つまり、レンズアレイ基板SBの裏面SB−t)でレンズアレイLA1、LA2を保持していた。しかしながら、レンズアレイLA1、LA2の表面を当接保持する保持部をヘッドフレーム291に形成し、レンズアレイLA1、LA2を表面から保持するようにヘッドフレーム291を構成しても良い。
【0058】
また、上記実施形態では、第1レンズLS1と第2レンズLS2の2枚のレンズで1個の結像光学系が構成されている。しかしながら、結像光学系を構成するレンズの枚数はこれに限られず、例えば、第1レンズLS1のみで1個の結像光学系を構成して、第2レンズLS2を排しても良い。
【0059】
また、上記第2実施形態では、像側テレセントリックが実現されていた。しかしながら、像側テレセントリックとは異なる光学的特性を実現するように構成しても良い。
【0060】
また、上記実施形態では、レンズアレイLA1、LA2の裏面にレンズLS1、LS2が形成されていた。しかしながら、例えば、レンズアレイLA1、LA2の表面にレンズLS1、LS2が形成されても良い。
【0061】
また、上記実施形態では、レンズアレイLA1、LA2は、ガラス製のレンズアレイ基板SBに樹脂製のレンズLS1、LS2を形成したものであった。しかしながら、レンズアレイLA1、LA2を1つの材料で一体的に構成することもできる。
【0062】
また、上記実施形態では、レンズアレイLA1、LA2は接着剤によりヘッドフレーム291に固定されていたが、これらの固定方法は接着剤によるものに限られず、例えばネジ止めによって実行されても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、ヘッドフレーム291は接着剤によりヘッド基板293に固定されていたが、これらの固定方法は接着剤によるものに限られず、例えばネジ止めによって実行されても良い。
【0064】
また、上記第2実施形態では、絞り平板298は接着剤により遮光部材297に固定されていたが、これらの固定方法は接着剤によるものに限られず、例えばネジ止めによって実行されても良い。
【0065】
また、上記実施形態では、遮光部材297は、ヘッドフレーム291の幅方向LTDの両辺部291A、291Bの間に嵌装されて、これらフレーム辺部291A、291Bに当接している。しかしながら、遮光部材297と、フレーム辺部291A、291Bとの間に間隔を設けても良い。
【0066】
また、上記実施形態では、複数の発光素子グループ295は3行千鳥で配置されていたが、複数の発光素子グループ295の配置態様はこれに限られない。
【0067】
また、上記実施形態では、15個の発光素子2951から発光素子グループ295が構成されている。しかしながら、発光素子グループ295を構成する発光素子2951の個数はこれに限られない。
【0068】
また、上記実施形態では、発光素子グループ295内において、複数の発光素子2951が2行千鳥で配置されていたが、発光素子グループ295内での複数の発光素子2951の配置態様はこれに限られない。
【0069】
また、遮光部材297についても種々の変更が可能である。つまり、例えば、2008−307885号公報に記載のように、発光素子グループ295毎に孔を1個づつ設けた薄い平板で遮光板を構成し、この遮光板を厚さ方向TKDに間隔を空けて並べた遮光部材297を用いることもできる。
【0070】
また、上記実施形態では、発光素子2951として有機EL素子が用いられている。しかしながら、有機EL素子以外のものを発光素子2951として用いても良く、例えば、LED(Light Emitting Diode)を発光素子2951として用いても良い。
【符号の説明】
【0071】
21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 291…ヘッドフレーム、 291A,291B…フレーム辺部、 2912A,2912B…第1レンズアレイ支持部、 2913A,2913B…第2レンズアレイ支持部、 293…ヘッド基板、 295…発光素子グループ、 2951…発光素子、 297…遮光部材、 2971…導光孔、 298…絞り平板、 DA…開口絞り、 LA1…レンズアレイ、 LA2…レンズアレイLA2、 LS1…レンズ、 LS2…レンズ、 SB…レンズアレイ基板、 TKD…厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が配設された発光素子基板と、
導光孔が設けられるとともに、前記発光素子基板と当接する遮光部材と、
前記発光素子から前記導光孔を通過した光が入射するレンズが配設された光学部材と、
前記遮光部材と前記光学部材とを離間させて、前記光学部材を保持する保持部材と、
を備えたことを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記保持部材は、前記遮光部材の一方端側で前記発光素子基板と当接する一方側保持部と、前記遮光部材の他方端側で前記発光素子基板と当接する他方側保持部と、を有し、
前記光学部材は、前記一方側保持部および前記他方側保持部に架設される請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記保持部材は、前記発光素子基板に固定され、
前記遮光部材は前記一方側保持部および前記他方側保持部の間に配設されて、前記一方側保持部および前記他方側保持部と当接する請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記遮光部材と前記光学部材との間に配設されて、前記遮光部材に支持される絞り部材を備え、
前記絞り部材は、前記発光素子から前記レンズに入射する光を制限する開口絞りが配設され、
前記保持部材は、前記絞り部材と前記光学部材とを離間させる請求項1ないし3のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記光学部材は、前記レンズを配設した光透過性基板を有する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記光透過性基板はガラスであり、前記レンズは光硬化性樹脂である請求項5に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
発光素子が配設された発光素子基板、導光孔が設けられるとともに前記発光素子基板と当接する遮光部材、前記発光素子から前記導光孔を通過した光が入射するレンズが配設された光学部材、および前記遮光部材と前記光学部材とを離間させて前記光学部材を保持する保持部材を有する露光ヘッドと、
前記レンズにより結像された光により露光される像担持体と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−247337(P2010−247337A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96022(P2009−96022)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】