説明

露光ヘッド、画像形成装置

【課題】レンズへ入射する一次反射光の量を抑制して、良好な露光の実現可能とする技術を提供する。
【解決手段】光を発する発光素子が配設された基板と、発光素子からの光が通過する第1の孔を有する第1の遮光板および第1の孔を通過した発光素子からの光が通過する第2の孔を有する第2の遮光板を備え、基板の第1の方向に配設された遮光部と、遮光部を通過した発光素子からの光が入射するレンズと、を備え、第1の遮光板の第1の方向の厚みT1は、第2の遮光板の第1の方向の厚みT2よりも厚く、発光素子の側から第1の方向に第1の孔および第2の孔を見た場合に、第1の孔が第2の孔を囲む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子と当該発光素子に対向するレンズとの間に遮光部材を配設した露光ヘッドおよび当該露光ヘッドを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の露光ヘッドは、複数のレンズをアレイ状に配列するとともに、各レンズに対向して発光素子を配置した構成を備えている。発光素子から射出された光は、当該発光素子に対向するレンズによる光学的作用を受けた後に、被露光面にスポットとして照射される。ただし、特許文献1でも指摘されているとおり、このような露光ヘッドでは、ゴースト光が問題となる場合がある。そして、このゴースト光の発生原因の1つとして、クロストークが挙げられる。
【0003】
つまり、この露光ヘッドは、互いに対向する発光素子とレンズとを用いて、被露光面にスポットを形成するものである。したがって、発光素子から射出された光は、当該発光素子に対向するレンズにのみ入射して、その他のレンズには入射しないことが望ましい。しかしながら、発光素子から射出された光の一部は、当該発光素子に対向するレンズに向かわずに、その他のレンズに向かって入射し(クロストーク)、その結果、ゴースト光となってしまう場合があった。
【0004】
そこで、特許文献1では、発光素子とレンズとの間に遮光部材を配置している。この遮光部材は、発光素子からレンズに向けて貫通する導光孔を、レンズ毎に設けている。したがって、発光素子から射出された光は、当該発光素子に対向するレンズ以外のレンズに向かったとしても、その途中で導光孔の内壁により遮断されることとなる。こうして、クロストークに起因したゴースト光の発生が抑えられている。
【0005】
しかしながら、このようにクロストーク起因のゴーストを抑えても、別の原因によりゴースト光が発生する場合があった。つまり、導光孔の内壁で遮断された光の一部は、この内壁で一次反射光として反射されるため、当該一次反射光がレンズに入射して、ゴースト光となる場合があった。
【0006】
そこで、特許文献1は、レンズに対向する位置に孔を貫通形成した遮光板を、複数枚重ねて配置することで、各遮光版の孔を連ねて導光孔として機能させるとともに、遮光板同士を接着する接着剤の中に小球状のギャップ材を入れて、各遮光板の間に若干のギャップを持たせている。そして、このギャップは、入射してきた光をその内部で複数回反射させて吸収したり、接着剤で吸収したりすることで、一次反射光を抑える機能を果たす。つまり、特許文献1の露光ヘッドは、導光孔の壁面にこのようなギャップを形成することで、導光孔の壁面での一次反射光の発生を抑えて、一次反射光に起因したゴースト光の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−155559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記露光ヘッドでは、ギャップの厚みは遮光板の厚みと比較して狭小である。そのため、ギャップに入射せずに遮光板の孔の内壁で一次反射される光が、相当量あり、このような一次反射光がレンズに入射することで、良好な露光が行なえないおそれがあった。
【0009】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、レンズへ入射する一次反射光の量を抑制して、良好な露光の実現可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、光を発する発光素子が配設された基板と、発光素子からの光が通過する第1の孔を有する第1の遮光板および第1の孔を通過した発光素子からの光が通過する第2の孔を有する第2の遮光板を備え、基板の第1の方向に配設された遮光部と、遮光部を通過した発光素子からの光が入射するレンズと、を備え、第1の遮光板の第1の方向の厚みT1は、第2の遮光板の第1の方向の厚みT2よりも厚く、発光素子の側から第1の方向に第1の孔および第2の孔を見た場合に、第1の孔が第2の孔を囲むことを特徴としている。
【0011】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、光を発する発光素子が配設された基板、発光素子からの光が通過する第1の孔を有する第1の遮光板と第1の孔を通過した発光素子からの光が入射する第2の孔を有する第2の遮光板を備えて発光素子の第1の方向に配設された遮光部、および遮光部を通過した発光素子からの光が入射するレンズを有する露光ヘッドと、レンズを透過した光によって潜像が形成される潜像担持体と、を備え、第1の遮光板の第1の方向の厚みT1は、第2の遮光板の第1の方向の厚みT2よりも厚く、発光素子の側から第1の方向に第1の孔および第2の孔を見た場合に、第1の孔が第2の孔を囲むことを特徴としている。
【0012】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)は、発光素子とレンズとの間に遮光部を備えている。この遮光部では、第1の孔を有する第1の遮光板が設けられており、しかも、第1の遮光板は第1の方向に比較的厚い厚みT1を有する。したがって、この第1の遮光板の第1の孔の内壁で光が反射されて、多くの一次反射光が発生しうる。そのため、良好な露光の実現のためには、第1の孔の内壁で発生した一次反射光のレンズへの入射を抑制することが重要となる。そこで、本発明は、第1の方向に比較的薄い厚みT2を有するとともに第2の孔を有する第2の遮光板を備えており、発光素子からの光が第1の孔および第2の孔の順番に通過するように構成している。しかも、発光素子の側から第1の方向に第1の孔および第2の孔を見た場合に、第1の孔が第2の孔を囲むように、第1の遮光板および第2の遮光板が配設されており、その結果、第1の遮光板の第1の孔から、第2の遮光板の第1の孔の周囲が突出する。そのため、第1の遮光板の第1の孔の内壁で一次反射された光の多くは、この突出した部分によってレンズとは逆側に反射されて、レンズに入射しない。こうして、本発明は、レンズへ入射する一次反射光の量を抑制して、良好な露光の実現を図っている。
【0013】
ちなみに、一次反射光は第2の遮光板の第2の孔の内壁においても幾らか発生しうるが、本発明では、第2の遮光板の厚みT2が第1の遮光板の厚みT1に対して薄いため、かかる一次反射光の量が少なく抑えられている。
【0014】
特に、厚みT1が厚みT2の2倍以上であるとともに50倍以下となるように、第1の遮光板および第2の遮光板を構成することで、第2の遮光板の第2の孔の内壁で発生する一次反射光の量を極少なく抑えることができる。
【0015】
また、遮光部は、第3の孔有するとともに第1の方向の厚みが厚みT1よりも薄い第3の遮光板を備え、発光素子からの光は、第3の孔を通過したのち、第1の孔を通過し、レンズの側から第1の方向に第1の孔および第3の孔を見た場合に、第1の孔が第3の孔を囲むように構成しても良い。この構成では、発光素子からの光は、第3の孔、第1の孔および第2の孔の順番で通過する。しかも、レンズの側から第1の方向に第1の孔および第3の孔を見た場合に、第1の孔が第3の孔を囲むように構成されている。換言すれば、第1の遮光板の第1の孔から、第の遮光板の第1の孔の周囲が突出している。したがって、発光素子から第1の孔の内壁に向かう光を、この突出した部分で遮ることで、第1の孔の内壁へ入射する光の量を少なくすることができる。その結果、第1の孔の内壁での一次反射光の発生を抑え、レンズへ入射する一次反射光の量を抑制し、より良好な露光の実現を図ることが可能となる。
【0016】
また、第4の孔が配設された第4の遮光板を備え、第4の遮光板は基板に配設され、発光素子が発光した光は第4の孔を通過して第1の遮光板の第1の孔へ入射するように構成しても良い。このような構成では、基板から射出された後にゴースト光となりうる光の多くは、第4の遮光板によってレンズと逆側に反射される。その結果、より良好な露光が実現可能となる。
【0017】
また、第2の遮光板とレンズとの間に配設された開口絞りを備え、第2の遮光板の第2の孔を通過した光は、開口絞りを通過してレンズに入射するように構成しても良い。なぜなら、このような開口絞りを設けることで、レンズへ入射する一次反射光の量を抑制して、より良好な露光を図ることができるからである。
【0018】
また、発光素子としては、有機EL素子を用いることができる。また、基板は、第1の面に有機EL素子を配設し、有機EL素子からの光は第1の面と異なる第2の面から射出されるといった構成、すなわちボトムエミッション型の構成を採用することができる。ちなみに、ボトムエミッション型の構成を用いた場合、発光素子の光量が少なくなる傾向がある。したがって、一次反射光がレンズに入射することによる露光への影響が目立ちやすい。そこで、ボトムエミッション型の構成を用いた場合には、本発明を適用して、レンズへ入射する一次反射光の量を抑制して、良好な露光の実現を図ることが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す平面図。
【図2】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す部分階段断面図。
【図3】遮光部材のA−A線における階段断面図。
【図4】遮光部材の分解斜視図。
【図5】発光素子グループでの発光素子の配列態様を示す部分平面図。
【図6】ラインヘッドの電気的構成を示すブロック図。
【図7】迷光吸収層の部分断面図。
【図8】積層される2枚の遮光平板をレンズ側から平面視した部分平面図。
【図9】開口の幾何重心の断面における3枚の遮光平板を示す部分断面図。
【図10】開口の幾何重心の断面における3枚の遮光平板を示す部分断面図。
【図11】開口の幾何重心の断面における3枚の遮光平板を示す部分断面図。
【図12】ラインヘッドを適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図13】図12の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図14】積層される2枚の遮光平板をレンズ側から平面視した部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1実施形態
図1および図2は、本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図である。特に、図1は、ラインヘッド29が備える発光素子およびレンズの位置関係をラインヘッド29の厚さ方向TKDから見た平面図であり、図2は、ラインヘッド29のA−A線(図1の階段状の二点鎖線)における部分階段断面図であって、該断面をラインヘッド29の長手方向LGDから見た場合に相当する。このラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺で幅方向LTDに短尺であるとともに、厚さ方向TKDに所定の厚さ(高さ)を有するものである。図1および図2含む以下の図面では必要に応じて、ラインヘッド29の長手方向LGD、幅方向LTDおよび厚さ方向TKDを示す。なお、これらの方向LGD、LTD、TKDは互いに直交もしくは略直交している。また、以下では、必要に応じて、厚さ方向TKDの矢印側を「表」あるいは「上」と表現し、厚さ方向TKDの矢印と反対側を「裏」あるいは「下」と表現する。
【0021】
また、後述するとおり、同ラインヘッド29を画像形成装置に適用するにあたっては、ラインヘッド29は、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動する被露光面ES(感光体ドラム表面)に対して露光を行なうものであり、しかも、被露光面ESの主走査方向MDはラインヘッド29の長手方向LGDに平行もしくは略平行であり、被露光面ESの副走査方向SDはラインヘッド29の幅方向LTDに平行もしくは略平行である。そこで、必要に応じて、長手方向LGD・幅方向LTDと一緒に、主走査方向MD・副走査方向SDも図示することとする。
【0022】
第1実施形態のラインヘッド29では、複数の発光素子Eをグループ化して1つの発光素子グループEGが構成されており(発光素子Eの配置態様は後に図5を用いて詳述する)、さらに、複数の発光素子グループEGが千鳥状(3行千鳥)で離散的に並べられている(図1)。こうして、複数の発光素子グループEGのそれぞれは、長手方向LGDに距離Dgだけ相互にずれるとともに幅方向LTDに距離Dtだけ相互にずれて配置されている。なお、見方を変えれば、複数の発光素子グループEGが長手方向に直線的に並ぶ発光素子グループ行GRが、幅方向LTDの異なる位置に3行GRa、GRb、GRc配置されているとも言える。
【0023】
また、各発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有する有機EL(Electro-Luminescence)素子である。また、これら有機EL素子は、長手方向LGDに長く幅方向LTDに短いガラス平板であるヘッド基板293の裏面293−tに形成されており、各有機EL素子から射出された光は、ヘッド基板293の表面293−hから射出される。しかも、各有機EL素子は、ガラス製の封止部材294により封止されている。つまり、ヘッド基板293と封止部材294とが、ボトムエミッション型の有機EL素子アレイを構成している。なお、この封止部材294は、ヘッド基板293の裏面293−tに接着剤により固定されている。
【0024】
複数の発光素子グループEGそれぞれに対しては1つの結像光学系が対向している。この結像光学系は、発光素子グループEG側に凸の2枚のレンズLS1、LS2から構成されている。なお、図1では、レンズLS1、LS2が一点鎖線円で示されているが、これらは、厚さ方向TKDの平面視における発光素子グループEGとレンズLS1、LS2との位置関係を示すものであり、レンズLS1、LS2がヘッド基板293に直接形成されていることを示すものではない。また、図2では、発光素子グループEGと結像光学系LS1、LS2との間には部材297が図示されているが、これについては結像光学系の説明の後に説明する。
【0025】
このラインヘッド29では、3行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGのそれぞれに対向してレンズLS1、LS2を配置するために、複数のレンズLS1を3行千鳥で並べたレンズアレイLA1と、複数のレンズLS2を3行千鳥で並べたレンズアレイLA2とが設けられている。つまり、レンズアレイLA1(LA2)では、複数のレンズLS1(LS2)それぞれが、長手方向LGDに距離Dgだけ相互にずれるとともに幅方向LTDに距離Dtだけ相互にずれて配置されている。
【0026】
ちなみに、レンズアレイLA1(LA2)は、光透過製のガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を形成することで構成することができる。また、この実施形態では、長手方向LGDに長尺なレンズアレイLA1(LA2)を一体的な構成で作成することは困難であることに鑑みて、比較的短尺なガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を3行千鳥で並べて1つの短尺なレンズアレイを作製し、この短尺レンズアレイを長手方向LGDに複数並べることで、長手方向LGDに長尺なレンズアレイLA1(LA2)を構成している。
【0027】
より具体的には、ヘッド基板293の表面293−hの幅方向LTDの両端部には、スペーサーAS1が配置されており、長手方向LGDに並ぶ複数の短尺レンズアレイのそれぞれがこれらスペーサーAS1、AS1に架設されて、1つのレンズアレイLA1が構成されている。また、レンズアレイLA1の表面の幅方向LTDの両側にはスペーサーAS2が配置されており、長手方向LGDに並ぶ複数の短尺レンズアレイのそれぞれがこれらスペーサーAS2、AS2に架設されて、1つのレンズアレイLA2が構成されている。さらに、レンズアレイLA2の表面には平板状の支持ガラス299が接着されており、レンズアレイLA2を構成する各短尺レンズアレイはスペーサーAS2のみならず、当該スペーサーAS2の反対側から支持ガラス299によっても支持されている。また、この支持ガラス299は、レンズアレイLA2が外部に露出しないように、当該レンズアレイLA2を覆う機能も併せ持つ。
【0028】
こうして、厚さ方向TKDにおいて、所定間隔を空けて並ぶレンズアレイLA1、LA2がヘッド基板293に対向する。これにより、厚さ方向TKDに平行もしくは略平行な光軸OAを有する結像光学系LS1、LS2が発光素子グループEGに対向することとなり、発光素子グループEGの各発光素子Eが射出した光は、ヘッド基板293、結像光学系LS1、LS2および支持ガラスSSをこの順番に透過して、被露光面ESに照射される(図2の破線)。これにより、発光素子グループEGの各発光素子Eからの光が結像光学系LS1、LS2から結像作用を受けてスポットとして被露光面ESに照射され、被露光面ESに複数のスポットから成るスポットグループSGが形成される。なお、ここでは、結像光学系LS1、LS2は、結像倍率の絶対値が1未満であって倒立像を形成する(結像倍率が負の)縮小反転光学系である。
【0029】
上述の説明から判るように、第1実施形態のラインヘッド29は、複数の発光素子グループEGそれぞれに対して専用の結像光学系LS1、LS2を配置している。そして、このようなラインヘッド29では、発光素子グループEGからの光は、当該発光素子グループEGに設けられた結像光学系にのみ入射し、それ以外の結像光学系に入射しないことが望ましい。そこで、第1実施形態では、ヘッド基板293の表面293−hとレンズアレイLA1との間に、遮光部材297が設けられている。
【0030】
図3は、遮光部材のA−A線における階段断面図であり、図4は、遮光部材の分解斜視図である。両図では、光軸OAに平行であって発光素子グループEGから被露光面ESに向かう方向に、光進行方向Doaがとられている(この光進行方向Doaは厚さ方向TKDに平行もしくは略平行となる)。両図に示すように、遮光部材297は、第1遮光平板FP、第2遮光平板LSPa、第3遮光平板LSPbおよび絞り平板APと、これら平板FP、LSPa、LSPb、APの間隔を規定する第1スペーサーSSaおよび第2スペーサーSSbから成っており、具体的には、これらの平板およびスペーサーを厚さ方向TKDに積層して接着剤で固定した構成を備えている。
【0031】
平板FP、LSPa、LSPb、APはいずれも、発光素子グループEGからの光の一部の通過を許し、その他の光の通過を遮る機能を有するものであり、発光素子グループEGとこれに対向する結像光学系LS1、LS2との間に円形の開口Hf、Ha、Hb、Hpを有している。これら開口Hf、Ha、Hb、Hpは、それぞれの幾何重心(円の中心)が結像光学系LS1、LS2の光軸に一致もしくは略一致するように位置決めされている。つまり、図3、図4に示すように、平板FP、LSPa、LSPb、APのそれぞれには、発光素子グループEGの3行千鳥配列に対応して、厚さ方向TKDに貫通する円形の開口Hf、Ha、Hb、Hpが3行千鳥で並んでいる。そして、発光素子グループEGから射出された光のうち、開口Hf、Ha、Hb、Hpを通過した光が結像光学系LS1、LS2に入射し、その他の光のほとんどは平板FP、LSPa、LSPb、APに遮られる。なお、平板FP、LSPa、LSPb、APの厚さは次の大小関係、FP≒AP≒LSPa<LSPbを満たしており、各開口の径は次の大小関係、Hf<Hp<Ha<Hbを満たしている。
【0032】
スペーサーSSa、SSbは、厚さ方向TKDに貫通する略長方形の長孔Hsa、Hsbが形成された枠体である。この長孔Hsa、Hsbは、厚さ方向TKDから遮光部材297を平面透視した場合において、各開口Hf、Ha、Hb、Hpの全部をすっぽりとその内部に含む程度に十分な大きさで形成されている。したがって、各発光素子グループEGから射出された光は、長孔Hsa、Hsbを抜けて被露光面ES(図2)に向けて進行する。
【0033】
続いて、遮光部材297のより具体的な配列態様について詳述する。第1遮光平板FPはヘッド基板293の表面293−h(図2)上に載置・固定されており、さらに、この第1遮光平板FPの光進行方向Doa側に第2遮光平板LSPaが配置されている。これら第1遮光平板FPと第2遮光平板LSPaとの間には2枚のスペーサーSSa、SSbが介挿されている。この第2遮光平板LSPaの光進行方向Doa側では、2種類の平板から迷光吸収層ALが構成されており、当該第2遮光平板LSPaと迷光吸収層ALとの間には第1スペーサーSSaが介挿されている。迷光吸収層ALは、開口径および厚さにおいて異なる2種類の遮光平板LSPa、LSPbを光進行方向Doaに交互に積層したものであり、具体的には、4枚の第1遮光平板LSPaおよび3枚の第2遮光平板LSPbで構成されている。この迷光吸収層ALの機能については、後に詳述する。迷光吸収層ALの光進行方向Doa側には、第1遮光平板LSPaと絞り平板APとが光進行方向Doaにこの順番に配置されている。また、迷光吸収層ALと第1遮光平板LSPaとの間にはスペーサーSSaが介挿されており、当該第1遮光平板LSPaと絞り平板APとの間には2枚のスペーサーSSa、SSbが介挿されている。
【0034】
このように、遮光部材297を設けることで、各発光素子グループEGとこれに対向する結像光学系LS1、LS2との間には、複数の開口Hf、Ha、Hb、Hpが光の進行方向Doaに並ぶこととなる。その結果、発光素子グループEGから射出された光のうち、当該発光素子グループEGに対向する開口Hf、Ha、Hb、Hpを通過した光が結像光学系LS1、LS2にまで到達し、その他の光のほとんどは遮光平板FP、LSPa、LSPb、APに遮光されて結像光学系LS1、LS2に到達しない。こうして、ゴーストの影響の少ない良好な露光の実現が図られている。
【0035】
続いて、発光素子グループEGにおける発光素子Eの配置態様について説明する。図5は、発光素子グループでの発光素子の配列態様を示す部分平面図である。同図の左端の1点鎖線円は、同図略中央の一点鎖線円で囲まれた範囲を抜粋したものである。同図はヘッド基板293の裏面293−tの構成を示しており、同図に示された構成はいずれもヘッド基板293の裏面293−tに形成されている。同図が示すように、17個の発光素子Eが長手方向LGDにピッチPe1で直線的に並んで1行の発光素子行ERが構成されており、しかも、1個の発光素子グループEGは、幅方向LTDにおいて異なる位置に配置された4行の発光素子行ER1〜ER4から構成されている。より詳しくは、発光素子グループEGは次のような発光素子Eの配置態様を有する。
【0036】
発光素子行ER1と発光素子行ER2とは、長手方向LGDにピッチPe2(=Pe1/2)だけ互いにシフトしており、その結果、発光素子行ER1に属する発光素子Eと発光素子行ER2に属する発光素子Eとが交互に、長手方向LGDにピッチPe2で千鳥状に並んでいる。また、同様に、発光素子行ER3と発光素子行ER4とは、長手方向LGDにピッチPe2だけ互いにシフトしており、その結果、発光素子行ER3に属する発光素子Eと発光素子行ER4に属する発光素子Eとが交互に、長手方向LGDにピッチPe2で千鳥状に並んでいる。また、発光素子行ER1、ER2の発光素子Eから成る千鳥配置ZA12と発光素子行ER3、ER4の発光素子Eから成る千鳥配置ZA34とは、長手方向LGDにピッチPe3(=Pe2/2)だけ互いにシフトしている。その結果、発光素子行ER2、ER4、ER1、ER2に属する4個の発光素子Eがこの順番で周期的に、長手方向LGDにピッチPe3で並んでいる。
【0037】
ここで、例えば、長手方向LGDへの発光素子Eのピッチは、当該ピッチで並ぶ2個の発光素子E、Eそれぞれの幾何重心間の長手方向LGDへの距離として求めることができる。
【0038】
また、発光素子グループEGにおける、4行の発光素子行ER1〜ER4それぞれの間の幅方向LTDへの距離Dr12、Dr23、Dr34は次の通りである。つまり、発光素子行ER1と発光素子行ER2との距離Dr12と、発光素子行ER2と発光素子行ER3との距離Dr23と、発光素子行ER3発光素子行ER4との距離Dr34とは、整数比を満たす。すなわち次式、Dr12:Dr23:Dr34=l:m:n(l、m、nは正の自然数)が満足される。特に、第1実施形態では、Dr12:Dr23:Dr34=l:m:n=2:3:2となっている。
【0039】
ここで、例えば、距離Dr12は、発光素子行ER1の発光素子Eの幾何重心を通って長手方向LGDに平行な仮想直線と、発光素子行ER2の発光素子Eの幾何重心を通って長手方向LGDに平行な仮想直線との間の幅方向LTDへの距離として求められる。距離Dr23、Dr34についても同様にして求めることができる。
【0040】
また、発光素子グループEGの幅方向LTDの一方側には、発光素子行ER1、ER2に属して千鳥配置ZA12を構成する複数の発光素子Eを駆動するための駆動回路DC1、DC2が配置されている。具体的には、発光素子行ER1の発光素子Eを駆動する駆動回路DC1と、発光素子行ER2の発光素子Eを駆動する駆動回路DC2とが長手方向LGDに交互に並んでいる。これら駆動回路DC1、DC2、…は、ピッチPdc(>Pe2)で長手方向LGDに直線的に並んでいる。駆動回路DC1、DC2のそれぞれは、TFT(thin film transistor)から構成されており、後述するドライバーIC295により書き込まれた信号値を一時的に保持し(具体的には、信号値としての電圧値を容量に記憶し)、当該信号値に応じた駆動電流を発光素子Eに供給するものである。
【0041】
また、幅方向LTDにおいて、千鳥配置ZA12を構成する発光素子Eと駆動回路DC1、DC2、…との間には、複数のコンタクトCTが形成されている。これら複数のコンタクトCTは、千鳥配置ZA12を構成する複数の発光素子Eに対して一対一の対応関係で隣接して設けられており、これら複数の発光素子Eと同じピッチPe2で長手方向LGDに直線的に並んでいる。そして、千鳥配置ZA12を構成する各発光素子Eと、当該発光素子Eに隣接するコンタクトCTとが配線WLa(図5の破線)で接続される。なお、図5に示すように、発光素子行ER1の発光素子EとコンタクトCTとを接続する配線Wlaは略一定の幅を有している。これに対して、発光素子行ER2の発光素子EとコンタクトCTとを接続する配線Wlaの幅は一定ではなく、発光素子E側の先端部分が細くなっている。これは、発光素子行ER1の発光素子Eの間を抜けて、発光素子行ER2の発光素子Eにまで配線WLaを通すためである。
【0042】
そして、発光素子行ER1の発光素子Eに接続されたコンタクトCTと、駆動回路DC1とが配線WLbで接続される。また、発光素子行ER2の発光素子Eに接続されたコンタクトCTと、駆動回路DC2とが配線WLbで接続される。そして、これらの配線経路を介して、駆動回路DC1、DC2はそれぞれ対応する発光素子Eに駆動電流を供給する。なお、図5に示すように、千鳥配置ZA12を構成する複数の発光素子Eのうち、長手方向LGDの両端部に2個ずつ形成された発光素子Eには駆動回路DC1、DC2が接続されていない。つまり、これらの発光素子Eは、駆動電流が供給されず、実際には発光しないダミー素子である。
【0043】
また、同様に、発光素子グループEGの幅方向LTDの他方側にも、複数の駆動回路が長手方向LGDにピッチPdc(>Pe2)で並んでいる。これら駆動回路DC3、DC4は、発光素子行ER3、ER4に属して千鳥配置ZA34を構成する複数の発光素子Eを駆動するために設けられたものであり、駆動回路DC3、DC4と発光素子行ER3、ER4(千鳥配置ZA34)との関係は、上述した駆動回路DC1、DC2と発光素子行ER1、ER2(千鳥配置ZA12)との関係と同様であるので、説明を省略する。
【0044】
このように、発光素子グループEGの発光素子Eには、駆動回路DC1〜DC4が接続されており、駆動回路DC1〜DC4からの駆動電流の供給を受けて、各発光素子Eは光を射出する。この駆動回路DC1〜DC4による電流供給は、ラインヘッド29が備える電気的構成により制御される。
【0045】
図6は、ラインヘッドの電気的構成を示すブロック図である。図6に示すように、ラインヘッド29の電気的構成は、上述した駆動回路DC1〜DC4以外に、データ転送基板TBと複数のドライバーIC295とを備える。データ転送基板TBは、外部から受信したビデオデータVDを各ドライバーIC295に転送する。また、各ドライバーIC295は、ビデオデータVD(具体的には、電圧値に変換されたビデオデータVD)を駆動回路DC1〜DC4に書き込んで、発光素子Eの発光制御を行う。この際、ドライバーIC295は、発光素子Eの劣化や温度特性等に応じて補正したビデオデータVDを駆動回路DC1〜DC4に書き込んでも良い。また、この書き込み動作は、いわゆる時分割駆動によって実行しても良い。ちなみに、データ転送基板TBは、外部から供給された電源Vddを、ヘッド基板293(の駆動回路DC1〜DC4)に給電する機能も果たす。
【0046】
ところで、図3、図4を用いて上述したとおり、第1実施形態のラインヘッド29が備える遮光部材297には、迷光吸収層ALが形成されていた。そして、この迷光吸収層ALが迷光、特に一次反射光のレンズLS1への入射を抑制する機能を果たす。この点について、次に詳述する。
【0047】
図7は、開口の幾何重心を通る断面における迷光吸収層を示した部分断面図である。図8は、迷光吸収層において積層される2枚の遮光平板LSPa、LSPbをレンズ側から平面視した部分平面図である。図8において、実線円が同平面視において見える開口Haを示し、破線円が同平面視において見えない開口Hbを示している。
【0048】
上述のとおり、この迷光吸収層ALは、遮光平板LSPa、LSPbを光進行方向Doaに交互に積層して構成される。遮光平板LSPaは、光進行方向Doaに貫通する円形の開口Haが複数形成された、厚みTaを有する平板である。遮光平板LSPbは、光進行方向Doaに貫通する円形の開口Hbが複数形成された、厚みTbを有する平板である。そして、遮光平板LSPbの厚みTbは、遮光平板LSPaの厚みTaよりも厚い。ここで、厚みTaは遮光平板LSPaの厚さ方向TKD(光進行方向Doa)への厚みであり、厚みTbは遮光平板LSPbの厚さ方向TKD(光進行方向Doa)への厚みである。
【0049】
そして、迷光吸収層ALでは、この2種類の遮光平板LSPa、LSPbが光進行方向Doaに交互に積層される。こうして、開口Ha、Hbは、それぞれの幾何重心が光軸OAに一致もしくは略一致した状態で、光進行方向Doaに一列に並ぶ。しかも、開口Hbの開口径Dbは、開口Haの開口径Daよりも大きい。したがって、互いに隣接する2枚の遮光平板LSPa、LSPbをレンズ側から平面視した場合に、開口Hbの縁(図8の破線円)は開口Haの周囲に隠れることとなり、逆に言えば、互いに隣接する2枚の遮光平板LSPa、LSPbを発光素子側から光進行方向Doaに平面視した場合に、開口Hbの縁の内部に開口Haの縁がすっぽりと収まることとなる(換言すれば、開口Hbが開口Haを囲む)。このような配置関係を開口Ha、Hbが有することから、互いに隣接する遮光平板LSPbおよび遮光平板LSPaにおいて、遮光平板LSPbの開口Hb(の縁)から遮光平板LSPaの開口Haの周囲が突出して、ひさし状の突出部PKが形成されている(図8、図9)。
【0050】
以上のように、本実施形態のラインヘッド29は、発光素子EとレンズLS1との間に遮光部材297を備えている。この遮光部材297では、開口Hb(第1の孔)が形成された遮光平板LSPb(第1の遮光板)が設けられており、しかも、遮光平板LSPbは比較的厚い厚みTbを有する。したがって、この遮光平板LSPbの開口Hbの内壁で光が反射されて、多くの一次反射光が発生しうる。そのため、良好な露光の実現のためには、開口Hbの内壁で発生した一次反射光のレンズLS1への入射を抑制することが重要となる。そこで、本実施形態のラインヘッド29は、比較的薄い厚みTaを有するとともに開口Haが形成された遮光平板LSPa(第2の遮光板)を備えており、発光素子Eからの光が、開口Hbおよび開口Haの順番に通過するように構成している。しかも、発光素子Eの側から光進行方向Doaに開口Ha、Hbを見た場合に、開口Hbが開口Haを囲むように、遮光平板LSPa、LSPbが位置決めされている。そのため、開口Hb(の縁)から開口Haの周囲が突出し、遮光平板LSPbの開口Hbの内壁で一次反射された光Lstの多くは、この突出部PKによってレンズLS1とは逆側に反射されて(あるいは吸収されて)、レンズLS1に入射しない。こうして、レンズLS1へ入射する一次反射光の量を抑制して、良好な露光の実現が図られている。
【0051】
ちなみに、一次反射光は遮光平板LSPaの開口Haの内壁においても幾らか発生しうるが、本実施形態では、遮光平板LSPaの厚みTaが遮光平板LSPbの厚みTbに対して薄いため、かかる一次反射光が少なく抑えられている。
【0052】
特に、厚みTbが厚みTaの2倍以上でかつ50倍以下となるように、遮光平板LSPa、LSPbを構成することで、遮光平板LSPbの開口Hbの内壁で発生する一次反射光の量を極少なく抑えることができる。
【0053】
また、本実施形態のように、ボトムエミッション型の有機EL素子アレイを用いたラインヘッド29に対しては、本発明を適用することが好適である。つまり、ボトムエミッション型の有機EL素子アレイを用いた場合、発光素子Eの光量が少なくなる傾向がある。したがって、一次反射光がレンズLS1に入射することによる露光への影響が目立ちやすい。そこで、ボトムエミッション型の有機EL素子アレイを用いた構成に対しては、本発明を適用して、レンズLS1へ入射する一次反射光の量を抑制して、良好な露光の実現を図ることが好適である。
【0054】
また、本実施形態では、ヘッド基板293の表面293−h上に、開口Hfが形成された遮光平板FPが載置されている。そして、この遮光平板FPの開口Hfを通過した光が、遮光部材297へと入射することができる。このような構成では、ヘッド基板表面293−hから射出された後にゴースト光となりうる光の多くは、遮光平板FPによってレンズLS1と逆側に反射される。その結果、より良好な露光が実現可能となる。
【0055】
ところで、上記では、厚い遮光平板LSPaの上側(レンズ側)に薄い遮光平板LSPbを積層することで、厚い遮光平板LSPaの開口Haの内壁で反射された一次反射光のレンズLS1への入射を抑制している点について説明した。ただし、本実施形態のラインヘッド29は、厚い遮光平板LSPaの下側(発光素子側)にも薄い遮光平板LSPbを積層しており、これにより一次反射光のレンズLS1への入射をより効果的に抑制している。これについて、図9を用いて説明する。
【0056】
図9は、開口の幾何重心の断面における3枚の遮光平板LSPa、LSPb、LSPaを示す部分断面図であり、特に、ひさしの周辺を拡大した図である。図7を用いて上述したとおり、遮光平板LSPbの開口Hbの内壁で反射された光Lst1(図7ではLst)のレンズLSへの入射が上側ひさしPKu(図7ではひさしPK)により抑制されている様子が、図9にも示されている。また、図9では、遮光平板LSPbの開口Hbの内壁への光Lst2の入射が、遮光平板LSPbの下側に積層された遮光平板LPaによって遮られているのが判る。つまり、レンズの側から光の進行方向Doa(と真逆の方向)に開口Hb、Haを見た場合に、開口Hbが開口Haを囲むように、遮光平板LSPbとこの下側に積層された遮光平板LSPaとは位置決めされている。逆に言えば、発光素子の側から光の進行方向Doaに開口Ha、Hbを見た場合に、開口Haの周囲に隠れて開口Hbの縁が見えないように、遮光平板LSPbとこの下側に積層された遮光平板LSPaとは位置決めされている。このように遮光平板LSPb、LSPaが位置決めされることから、遮光平板LSPbの開口Hb(の縁)から、遮光平板LSPaの開口Haの周囲が突出して、下側ひさしPKbが形成されている。したがって、この下側ひさしPKbによって、開口Hbの内壁への光Lst2への入射が遮られている。つまり、遮光平板LSPbの下側に遮光平板LSPaを積層することにより、開口Hbの内壁へ入射する光の量を少なくすることができるのである。その結果、開口Hbの内壁での一次反射光の発生を押さえ、レンズLS1へ入射する一次反射光の量を抑制し、より良好な露光の実現を図ることが可能となっている。
【0057】
また、上記実施形態では、レンズLS1の手前に開口Hpを設けている。これによっても、レンズLS1へ入射する一次反射光の量を抑制して、より良好な露光を図ることが可能となっている。
【0058】
第2実施形態
第1実施形態では、3枚の遮光平板LSPa、LSPb、LSPaを積層した構成に付いて説明した。第2実施形態では、これら3枚の遮光平板LSPa、LSPb、LSPaの寸法関係の一例について説明する。図10は、開口の幾何重心の断面における3枚の遮光平板LSPa、LSPb、LSPaを示す部分断面図であり、特に、ひさしの周辺を拡大した図である。本実施形態では、上側ひさしPKuの長さをLpkuとし、下側ひさしPKbの長さLpkbとし、平板LSPb(の開口Hbの内壁)に到達する光線のうち光進行方向Doaに垂直な仮想平面への入射角が最小となる光線が、当該仮想平面へ入射する角度をθmin(入射角)としたとき、次式、
Tb≦(Lpku+Lpkb)×tan(θmin)
を満たすように、ひさしの長さLpku、Lpkbが設定されている。これにより、開口Hbの内壁で発生した一次反射光のレンズLS1への入射をより確実に抑制して、より良好な露光の実現を図ることができる。
【0059】
第3実施形態
なお、上記実施形態では、遮光平板LSPbの上下両側に遮光平板LSPaを積層した場合について説明したが、遮光平板LSPbの上側にのみ遮光平板LSPaを積層するように構成しても良い。そこで、本実施形態では、遮光平板LSPbの上側にのみ遮光平板LSPaを積層した構成において、2枚の遮光平板LSPa、LSPbの寸法関係の一例について説明する。図11は、開口の幾何重心の断面における3枚の遮光平板LSPa、LSPb、LSPaを示す部分断面図であり、特に、ひさしの周辺を拡大した図である。本実施形態では、上側ひさしPKuの長さをLpkuとし、平板LSPb(の開口Hbの内壁)に到達する光線のうち光進行方向Doaに垂直な仮想平面への入射角が最小となる光線が、当該仮想平面へ入射する角度をθmin(入射角)としたとき、次式、
Tb≦(Lpku+Lpkb)×tan(θmin)
を満たすように、ひさしの長さLpku、Lpkbが設定されている。これにより、開口Hbの内壁で発生した一次反射光のレンズLS1への入射をより確実に抑制して、より良好な露光の実現を図ることができる。
【0060】
第4実施形態
図12は上述したラインヘッドを適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図13は図12の装置の電気的構成を示すブロック図である。第4実施形態では、上述したラインヘッド29を備えた画像形成装置の一例について、これらの図を用いて説明する。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。
【0061】
この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号を与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき、各色の画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kそれぞれのラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0062】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図12では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図12に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0063】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図12の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図12中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動することとなる。
【0064】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド29と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図12では、時計回り)に沿って配設されている。
【0065】
この実施形態では、帯電器22は2つのコロナ帯電器221、222で構成されており、感光体ドラム21の回転方向D21においてコロナ帯電器221がコロナ帯電器222に対して上流側に配置されており、2つのコロナ帯電器221、222により2段階で帯電されるように構成されている。各コロナ帯電器221、222は同一構成であり、感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、スコロトロン帯電器である。
【0066】
そして、コロナ帯電器221、222により帯電された感光体ドラム21表面に対して、ラインヘッド29がビデオデータVDに基づいて静電潜像を形成する。つまり、ヘッドコントローラーHCがラインヘッド29のデータ転送基板TB(図6)にビデオデータVDを送信すると、データ転送基板TBが各ドライバーIC295にビデオデータVDを転送し、ドライバーICがこのビデオデータVDに基づいて各発光素子Eを発光させる。これにより、感光体ドラム21表面が露光されて、画像信号に対応した静電潜像が形成される。なお、ラインヘッド29の具体的構成は、既に述べたとおりである。
【0067】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241を有している。この現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターに接続され、図12紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部(定電圧電源)と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0068】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラーが設けられており、アニロックスローラーを介して現像剤貯留部から現像ローラー241へ液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラーは現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラーは、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラーは現像用モーターに接続されて回転する。
【0069】
現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0070】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラーと同時に回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転して現像ローラー241の表面に担持された液体現像剤を現像位置に搬送する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラーに対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0071】
また、現像器24では、この現像ローラー241の回転方向において現像位置の上流側直前にトナー圧縮コロナ発生器242が現像ローラー241に対向して配置されている。このトナー圧縮コロナ発生器242は現像ローラー241の表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、定電流電源で構成されたトナーチャージ発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、トナー圧縮コロナ発生器242に対してトナーチャージバイアスが与えられると、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーに対して、このトナー圧縮コロナ発生器242と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。なお、このトナー帯電、圧縮には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるコンパクションローラーを用いてもよい。
【0072】
また、このように構成された現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、シアン用の画像形成ステーション2Cでは、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0073】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部(定電圧電源)が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0074】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は転写部3の中間転写体31に1次転写される。この中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。これらのうちローラー32はメインモーターに連結されて、中間転写体31を図12の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、本実施形態では、記録紙RMとの密着性を高めて記録紙RMへのトナー像の転写性を高めるために、中間転写体31の表面に弾性層を設け、当該弾性層の表面にトナー像が担持されるように構成されている。
【0075】
ここで、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし36のうち、メインモーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0076】
転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。
【0077】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写部4の二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0078】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。こうして、記録媒体RMに所望の画像を形成することができる。
【0079】
その他
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当している。また、発光素子Eが本発明の「発光素子」に相当し、レンズLS1が本発明の「レンズ」に相当し、遮光部材297が本発明の「遮光部」に相当する。また、遮光平板LSPbが本発明の「第1の遮光板」に相当し、厚みTbが本発明の「厚みT1」に相当し、開口Hbが本発明の「第1の孔」に相当する。また、遮光平板LSPaが本発明の「第2の遮光板」に相当し、厚みTaが本発明の「厚みT2」に相当し、開口Haが本発明の「第2の孔」に相当する。また、厚さ方向TKDが本発明の「第1の方向」に相当する。また、厚い遮光平板LSPaの下側(発光素子側)に積層された薄い遮光平板LSPbが本発明の「第3の遮光板」に相当し、当該薄い遮光平板LSPbに形成された開口Hbが本発明の「第3の孔」に相当する。また、遮光平板FPが本発明の「第4の遮光板」に相当し、開口Hfが本発明の「第4の孔」に相当する。また、ヘッド基板293が本発明の「基板」に相当し、ヘッド基板裏面293−tが本発明の「第1の面」に相当し、ヘッド基板表面293−hが本発明の「第2の面」に相当する。
【0080】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、遮光平板LSPa、LSPbの開口(開口Ha、Hb)の形状は円形であったが、開口の形状はこれに限られず、楕円形、長方形あるいはその他の形状であっても良い。そこで、図14に示すように構成することもできる。ここで、図14は、迷光吸収層において積層される2枚の遮光平板LSPa、LSPbをレンズ側から平面視した部分平面図である。図14において、実線円が同平面視において見える開口Haを示し、破線円が同平面視において見えない開口Hbを示している。同図の例では、開口Haは、幅方向LTDを長軸方向とし長手方向LGDを短軸方向とする楕円形状を有している。そして、同図の例においても、発光素子Eの側から光進行方向Doaに開口Ha、Hbを見た場合に、開口Hbの縁の内部に開口Haの縁がすっぽりと収まるように(換言すれば、開口Hbが開口Haを囲むように)、遮光平板LSPa、LSPbが位置決めされている。そのため、開口Hbの縁から開口Haの周囲が突出し、遮光平板LSPbの開口Hbの縁で一次反射された光Lstの多くは、この突出部PKによってレンズLS1とは逆側に反射されて(あるいは吸収されて)、レンズLS1に入射しない。こうして、レンズLS1へ入射する一次反射光の量を抑制して、良好な露光の実現が図られている。
【0081】
また、上記実施形態では、開口Hp(開口絞り)は遮光部材297の一部として機能していた。しかしながら、遮光部材297と開口Hpとを別々に構成して、遮光部材297とレンズLS1との間に開口Hpを設けても良い。そして、このような開口Hpを設けることで、レンズLS1へ入射する一次反射光の量を抑制して、より良好な露光を図ることが可能となる。
【0082】
また、上記実施形態では、遮光平板LSPbの上下両側に積層された2枚の遮光平板LSPa、LSPaはいずれも同じ厚みTaを有していたが、これら2枚の遮光平板LSPa、LSPaの厚みを異ならせてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、ボトムエミッション型の有機EL素子アレイの有機EL素子が発光素子Eとして用いられている。しかしながら、トップエミッション型の有機EL素子アレイの有機EL素子を発光素子Eとして用いても良く、あるいは有機EL素子以外のLED(Light Emitting Diode)等を発光素子Eとして用いても良い。
【0084】
また、レンズアレイの枚数や、レンズアレイLA1、LA2それぞれの構成(レンズの配置態様、レンズの形成位置等)も適宜変更可能である。
【0085】
また、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数や、各発光素子の配置態様も適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 293…ヘッド基板、 LA1,LA2…レンズアレイ、 Doa…光の進行方向、 LS1,LS2…レンズ、 297…遮光部材、 AL…迷光吸収層、 LSPa…遮光平板、 LSPb…遮光平板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する発光素子が配設された基板と、
前記発光素子からの光が通過する第1の孔を有する第1の遮光板および前記第1の孔を通過した前記発光素子からの光が通過する第2の孔を有する第2の遮光板を備え、前記基板の第1の方向に配設された遮光部と、
前記遮光部を通過した前記発光素子からの光が入射するレンズと、
を備え、
前記第1の遮光板の前記第1の方向の厚みT1は、前記第2の遮光板の前記第1の方向の厚みT2よりも厚く、
前記発光素子の側から前記第1の方向に前記第1の孔および前記第2の孔を見た場合に、前記第1の孔が前記第2の孔を囲むことを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記厚みT1は、前記厚みT2の2倍以上かつ50倍以下である請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記遮光部は、第3の孔有するとともに前記第1の方向の厚みが前記厚みT1よりも薄い第3の遮光板を備え、前記発光素子からの光は、前記第3の孔を通過したのち前記第1の孔を通過し、前記レンズの側から前記第1の方向に前記第1の孔および前記第3の孔を見た場合に、前記第1の孔が前記第3の孔を囲む請求項1または2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
第4の孔を有する第4の遮光板を備え、前記第4の遮光板は前記基板に配設され、前記発光素子が発光した光は前記第4の孔を通過したのち前記第1の遮光板の前記第1の孔を通過する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記第2の遮光板と前記レンズとの間に配設された開口絞りを備え、前記第2の遮光板の前記第2の孔を通過した光は、前記開口絞りを通過して前記レンズに入射する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記発光素子は有機EL素子である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
前記基板は、第1の面に前記有機EL素子を配設し、前記有機EL素子からの光は前記第1の面と異なる第2の面から射出される請求項6に記載の露光ヘッド。
【請求項8】
光を発する発光素子が配設された基板、前記発光素子からの光が通過する第1の孔を有する第1の遮光板と前記第1の孔を通過した前記発光素子からの光が通過する第2の孔を有する第2の遮光板を備えて前記発光素子の第1の方向に配設された遮光部、および前記遮光部を通過した前記発光素子からの光が入射するレンズを有する露光ヘッドと、
前記レンズを透過した光によって潜像が形成される潜像担持体と、
を備え、
前記第1の遮光板の前記第1の方向の厚みT1は、前記第2の遮光板の前記第1の方向の厚みT2よりも厚く、
前記発光素子の側から前記第1の方向に前記第1の孔および前記第2の孔を見た場合に、前記第1の孔が前記第2の孔を囲むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−115960(P2011−115960A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273128(P2009−273128)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】