説明

露光ヘッドおよび画像形成装置

【課題】レンズアレイを支持する支持部材を高精度に形成することで発光素子とレンズとの位置関係のずれを抑制し、良好な露光を実現可能とする技術を提供する。
【解決手段】第1の方向に配設されて光を発光する発光素子、及び発光素子が配設される発光素子基板293を有する発光素子アレイと、発光素子基板293と当接して配設されるとともに、発光素子基板293と同じ材質で構成された第1の支持部材SP1と、第1の支持部材SP1の第1の方向と直交、もしくは略直交する第2の方向で発光素子基板293と当接して配設されるとともに、発光素子基板293と同じ材質で構成された第2の支持部材SP1と、第1の支持部材SP1及び第2の支持部材SP1により支持されるとともに、発光素子から発光された光を結像するレンズLS1を有するレンズアレイLA1と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子からの光をレンズにより被露光面に結像する露光ヘッドおよび該露光ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、発光素子とレンズとを備えた露光ヘッド(同文献のラインヘッド)が知られている。つまり、同文献の露光ヘッドでは、発光素子を有する発光素子基板と、レンズを有するレンズアレイとが互いに対向して設けられており、発光素子から射出された光がレンズを透過した後に、被露光面に照射されてスポットが形成される。
【0003】
また、この露光ヘッドでは、発光素子基板とレンズアレイとの間に遮光部材が設けられている。この遮光部材には、発光素子からレンズに向かって導光孔が貫通形成されており、発光素子からの光は導光孔を通過した後にレンズへと入射する。さらに、この遮光部材は、発光素子基板およびレンズアレイのそれぞれに当接して配設されており、発光素子基板との間隔を保ちつつ発光素子基板に対してレンズアレイを支持する支持部材としての機能を果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−254418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の露光ヘッドにおいて、発光素子基板と、支持部材としての機能を果たす遮光部材とが異なる材質で構成されている場合には、次のような問題が発生することがあった。つまり、発光素子基板は、発光素子の位置精度を確保するために、その形状を高精度に形成できる材質で構成されている。これに対して、支持部材としての遮光部材が発光素子基板と異なる材質で構成されている場合には、その形状を高精度に形成できない可能性があった。ところで、レンズアレイを支持する支持部材の形状がばらつくと、発光素子基板とレンズアレイとの位置関係にばらつきが発生する。このように発光素子基板とレンズアレイとの位置関係にばらつきが発生することで、発光素子基板に配設された発光素子とレンズアレイのレンズとの位置関係にずれが生じ、その結果、当該発光素子によるスポットを所望の位置に形成できずに良好な露光が実現できなくなるおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、発光素子からの光をレンズにより被露光面に結像する露光ヘッドおよび該露光ヘッドを備えた画像形成装置において、レンズアレイを支持する支持部材を高精度に形成可能にすることで発光素子とレンズとの位置関係のずれを抑制し、良好な露光を実現可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、第1の方向に配設されて光を発光する発光素子、及び発光素子が配設される発光素子基板を有する発光素子アレイと、発光素子基板と当接して配設されるとともに、発光素子基板と同じ材質で構成された第1の支持部材と、第1の支持部材の第1の方向と直交、もしくは略直交する第2の方向で発光素子基板と当接して配設されるとともに、発光素子基板と同じ材質で構成された第2の支持部材と、第1の支持部材及び第2の支持部材により支持されるとともに、発光素子から発光された光を結像するレンズを有するレンズアレイと、を有することを特徴としている。
【0008】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、潜像が形成される潜像担持体と、第1の方向に配設されて光を発光する発光素子及び発光素子が配設される発光素子基板を有する発光素子アレイ、発光素子基板と当接して配設されるとともに発光素子基板と同じ材質で構成された第1の支持部材、第1の支持部材の第1の方向と直交もしくは略直交する第2の方向で発光素子基板と当接して配設されるとともに発光素子基板と同じ材質で構成された第2の支持部材、及び第1の支持部材及び第2の支持部材により支持されるとともに発光素子から発光された光を結像するレンズを有するレンズアレイを備え、潜像担持体と露光して潜像を形成する露光ヘッドと、露光ヘッドにより形成された潜像を現像する現像部と、現像部で現像された像を転写材に転写する転写部と、を有することを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)では、第1の支持部材および第2の支持部材は、発光素子基板と同じ材質で構成されている。したがって、発光素子基板と同様に、第1の支持部材および第2の支持部材の形状を高精度に形成することができる。よって、発光素子基板と、第1の支持部材および第2の支持部材が支持するレンズアレイとの位置関係にばらつきが発生するのを抑制し、その結果、発光素子とレンズとの位置関係を安定させて、良好な露光動作を実現することが可能となる。
【0010】
また、発光素子基板は、光透過性部材であり、発光素子から発光された光は、発光素子基板を通過してレンズで結像されるとしてもよい。この構成によれば、発光素子から発光された光は、光透過性部材である発光素子基板を通過してレンズで結像されることから、発光素子は、発光素子基板のレンズアレイと反対側の面に配設されることとなる。
【0011】
また、第1の支持部材の第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向で、レンズアレイと当接して配設される第3の支持部材と、第2の支持部材の第3の方向で、レンズアレイと当接して配設される第4の支持部材と、第3の支持部材及び第4の支持部材で支持される第2のレンズアレイと、を有するとしてもよい。この構成によれば、第3の支持部材は第1の支持部材の第3の方向でレンズアレイと当接して配設され、第4の支持部材は第2の支持部材の第3の方向でレンズアレイと当接して配設され、第2のレンズアレイは、第3および第4の支持部材によって支持されている。
【0012】
また、第3の支持部材及び第4の支持部材は、発光素子基板と同じ材質であるとしてもよい。この構成によれば、第3の支持部材および第4の支持部材は発光素子基板と同じ材質であるため、発光素子基板と同様に、第3の支持部材および第4の支持部材の形状を高精度に形成することができる。よって、発光素子基板と、第3の支持部材および第4の支持部材が支持する第2のレンズアレイとの位置関係にばらつきが発生するのを抑制することが可能となる。
【0013】
また、第1の支持部材と第2の支持部材との間の第2の方向の間隔は、第3の支持部材と第4の支持部材との第2の方向の間隔よりも広いとしてもよい。この構成によれば、第1の支持部材と第2の支持部材との間の第2の方向の間隔が第3の支持部材と第4の支持部材との第2の方向の間隔よりも広いため、第1の支持部材と第2の支持部材との間に遮光部材などの他の部材を配設するためのスペースを確保することができる。
【0014】
また、第1の支持部材及び第2の支持部材は、発光素子により発光されて、レンズで結像される光が通過する位置とは異なる位置に配設されるとしてもよい。この構成によれば、第1および第2の支持部材は、発光素子により発光されてレンズで結像される光が通過する位置とは異なる位置に配設されているため、第1の支持部材及び第2の支持部材が、発光素子からレンズに入射する光に干渉するなどの悪影響を及ぼすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の画像形成装置が備える電気的構成を示すブロック図。
【図3】ラインヘッドの一実施形態の概略を示す斜視図。
【図4】厚さ方向からヘッド基板を平面視した部分平面図。
【図5】図4のA−A線におけるラインヘッドの部分断面図。
【図6】ヘッド基板等の各部材の位置関係を示す部分平面図。
【図7】スペーサーを透過する光の進路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.実施形態
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置が備える電気的構成を示すブロック図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、このヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0017】
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラーMC、エンジンコントローラーECおよびヘッドコントローラーHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0018】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラム21は、軸方向が主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モーターに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナー27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0019】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラーを備えている。この帯電ローラーは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラーは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0020】
ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して離間して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDに平行もしくは略平行であるとともに、ラインヘッド29の幅方向は副走査方向SDに平行もしくは略平行である。このラインヘッド29は複数の発光素子を備えており、各発光素子はヘッドコントローラーHCからのビデオデータVDに応じて発光する。そして、帯電した感光体ドラム21表面に発光素子からの光が照射されることで、感光体ドラム21表面に静電潜像が形成される。
【0021】
現像部25は、その表面にトナーを担持する現像ローラー251を有する。そして、現像ローラー251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラー251に印加される現像バイアスによって、現像ローラー251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラー251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0022】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0023】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナー27が設けられている。この感光体クリーナー27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0024】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラー82と、図1において駆動ローラー82の左側に配設される従動ローラー83(ブレード対向ローラー)と、これらのローラーに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラー85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラー85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0025】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラー85のうち、カラー1次転写ローラー85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラー85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラー85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラー85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0026】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラー85Kの下流側で且つ駆動ローラー82の上流側に配設された下流ガイドローラー86を備える。また、この下流ガイドローラー86は、モノクロ1次転写ローラー85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラー85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0027】
駆動ローラー82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラー121のバックアップローラーを兼ねている。駆動ローラー82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラー121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラー82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラー82と2次転写ローラー121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0028】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラー79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラー79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラー対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0029】
2次転写ローラー121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラー駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラー131と、この加熱ローラー131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラー131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラー1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラー1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラー131の周面に押し付けることで、加熱ローラー131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0030】
また、この装置では、ブレード対向ローラー83に対向してクリーナー部71が配設されている。クリーナー部71は、クリーナーブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナーブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラー83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。
【0031】
図3は、ラインヘッドの一実施形態の概略を示す斜視図である。同図では、ラインヘッド29の厚さ方向TKDの構成を理解しやすくするために、ラインヘッド29の長手方向LGDの端部(図3の左下の端部)が断面で示されている。ここで、厚さ方向TKDは、長手方向LGDおよび幅方向LTDに垂直もしくは略垂直な方向であり、後述する発光素子Eが光を射出する側(つまり、ラインヘッド29から感光体ドラム21に向う側)を向いた方向とする。ラインヘッド29は、ヘッド基板293、遮光部材297、第1レンズアレイLA1、第2レンズアレイLA2およびレンズカバーCV(図5参照)をこの順番で厚さ方向TKDに配置するとともに、ヘッド基板293の裏面から(厳密には、ヘッド基板293に設けられた封止部材294の裏面から)剛性部材299で、これらの部材を支持した概略構成を備えている。そして、ヘッド基板293の発光素子Eからの光が、遮光部材297の導光孔2971を通過して、第1・第2レンズアレイLA1、LA2のレンズLS1、LS2により結像される。次に、各部材の詳細な構成について、図3、図4および図5を用いつつ説明する。なお、実施形態の説明において、厚さ方向TKDの下流側(図3の上側)を「(厚さ方向TKDの)一方側」と称し、厚さ方向TKDの上流側(図3の下側)を「(厚さ方向TKDの)他方側」と称する。また、基板あるいは平板の一方側の面を表面と称し、基板あるいは平板の他方側の面を裏面と称することとする。なお、図3では、便宜上、第2レンズアレイLA2を覆うガラス製のレンズカバーCV、ヘッド基板293に取り付けられたFPC(Flexible Printed Circuit)296およびヘッド基板293等を防護するカバー部材298(いずれも図5参照)の図示を省略している。
【0032】
図4は、厚さ方向TKDからヘッド基板293を平面視した部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側(図3の上側)からヘッド基板293の裏面293−tを透視した場合に相当する。図5は、この実施形態でのラインヘッドの図4のA−A線における部分断面図であり、該断面を長手方向LGD(主走査方向MD)から見た場合に相当する。このA−A線断面は、長手方向LGDに距離Dgを空けるとともに幅方向LTDに距離Dtを空けて、一列に並ぶ3個の発光素子グループEGの各重心(あるいは、3枚のレンズLS1等の各レンズ中心)を通る。また、図4、図5に示す方向Dlscは、A−A線に平行な方向である。さらに、図4では、ヘッド基板293に形成された発光素子グループEG、第1レンズアレイLA1に形成された第1レンズLS1および第2レンズアレイLA2に形成された第2レンズLS2の位置関係を示すために、第1レンズLS1および第2レンズLS2がそれぞれ一点鎖線で併記されている。ちなみに、第1レンズLS1および第2レンズLS2についての図中記載は、これらの位置関係を示すためのものであり、第1レンズLS1および第2レンズLS2がヘッド基板裏面293−t(図5)に形成されていることを示すものではない。また、図5において、光透過性(つまり透明)である部材には、点の集合からなるハッチングが施されている。
【0033】
ヘッド基板293は光を透過するガラス基板(光透過性基板)で構成されており、ヘッド基板裏面293−tでは、ボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である発光素子Eが複数形成されるとともに、封止部材294により封止されている(図3、図5)。これら複数の発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有しており、光ビームを感光体ドラム21表面へ向けて射出する。また、図4に示すように、ヘッド基板裏面293−tに形成された複数の発光素子Eの配置態様は、グループ構造を有している。つまり、15個の発光素子Eが長手方向LGDに2行千鳥で配置されて1個の発光素子グループEGが構成されており、さらに複数の発光素子グループEGが長手方向LGDに3行千鳥で離散的に配置されている。
【0034】
より詳しくは、この配置態様は次のように説明することができる。つまり、各発光素子グループEG内では、15個の発光素子Eが長手方向LGDの互いに異なる位置に配置されており、しかも長手方向LGDにおける位置が隣り合う2つの発光素子E、Eの長手方向LGDへの距離は素子間距離Pelとなっている(言い換えれば、各発光素子グループEG内では、15個の発光素子EがピッチPelで長手方向LGDに配置されている)。そして、素子間距離Pelよりも長いグループ間距離Pegを空けて複数の発光素子グループEGが長手方向LGDに沿って離散的に並んで、1行の発光素子グループ行GRa等が構成されている。さらに、3行の発光素子グループ行GRa、GRb、GRcが距離Dtだけ空けて幅方向LTDの異なる位置に離散的に配置されており、しかも、発光素子グループ行GRa、GRb、GRcのそれぞれは、長手方向LGDに距離Dgだけ相互にシフトされている。こうして、3個の発光素子グループEGが、長手方向LGDに距離Dgを空けるとともに幅方向LTDに距離Dtを空けて、方向Dlscに一列に並ぶ。
【0035】
ここで、素子間距離Pelは、対象となる2個の発光素子Eの幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、グループ間距離Pegは、対象となる2個の発光素子グループEGのうち、長手方向LGDの一方側の発光素子グループEGの他方側端部にある発光素子Eの幾何重心と、長手方向LGDの他方側の発光素子グループEGの一方側端部にある発光素子Eの幾何重心との長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dgは、長手方向LGDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループEGそれぞれの幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dtは、幅方向LTDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループEGそれぞれの幾何重心間の幅方向LTDにおける距離として求めることができる。
【0036】
また、特開2004−082330号公報等に記載の技術を応用して、この実施形態は、各発光素子Eの光量制御に役立てるために、予め各発光素子Eの光量を検出する構成を備えている。具体的には、ヘッド基板裏面293−tの幅方向LTDの両側のそれぞれにおいて、複数の光センサーSCが所定間隔で長手方向LGDに一列に並べられている。こうして、光センサーSCの列が、複数の発光素子グループEGを挟んで幅方向LTDの両側に配置される。そして、各光センサーSCは発光素子Eからの光量を検出した結果をヘッドコントローラーHCに出力し、ヘッドコントローラーHCは受信した光量信号に基づいて以後の発光素子Eの光量を制御する。
【0037】
このようにヘッド基板293の裏面293−tには、発光素子グループEGおよび光センサーSCが配置されている。一方、ヘッド基板293の表面293−hには、遮光部材297が配置されている。遮光部材297には厚さ方向TKDに貫通する導光孔2971が形成されており、この導光孔2971は厚さ方向TKDからの平面視において円形状を有しており、その内壁には黒色メッキが施されている。この導光孔2971は、発光素子グループEG毎に1個づつ形成されており、すなわち、1個の発光素子グループEGに対して1個の導光孔2971が開口している。こうして、遮光部材297は、導光孔2971を発光素子グループEGに開口させた状態でヘッド基板表面293−hに当接して固定されている。
【0038】
このような遮光部材297を設ける目的は、いわゆる迷光がレンズLS1、LS2に入射するのを抑制するためである。つまり、各発光素子グループEGには、レンズ対LS1、LS2の対からなる結像光学系がそれぞれ専用に設けられている。このような構成では、光ビームは、それ自身の射出源である発光素子グループEGに設けられたレンズLS1、LS2にのみ入射して結像されることが望ましい。しかしながら、光ビームの一部には、その射出源である発光素子グループEGに設けられたレンズLS1、LS2に向わずに迷光となってしまうものもある。そして、このような迷光が、それ自身の射出源でない発光素子グループEGに設けられたレンズLS1、LS2に入射してしまうと、いわゆるゴーストが発生してしまうおそれがある。これに対して、この実施形態では、発光素子グループEGとレンズLS1、LS2との間に遮光部材297が設けられている。この遮光部材297には、内壁に黒色メッキが施された導光孔2971が発光素子グループEGに開口して設けられている。したがって、迷光の多くは、導光孔2971の内壁で吸収されることとなる。その結果、先ほどのゴーストを抑制して、良好な露光動作の実現が図られる。
【0039】
また、遮光部材297の厚さ方向TKDの一方側では、第1レンズアレイLA1が該遮光部材297と間隔を空けて支持されている。この第1レンズアレイLA1は、ヘッド基板293の表面293−hに当接して配設されたガラス製の第1スペーサーSP1により支持されている。さらに、この第1レンズアレイLA1の厚さ方向TKDの一方側では、第2レンズアレイLA2が該第1レンズアレイLA1と間隔を空けて支持されている。この第2レンズアレイLA1は、第1レンズアレイLA1のガラス基板SB1の表面SB1-hに当接して配設されたガラス製の第2スペーサーSP2により支持されている。この第1レンズアレイLA1および第2レンズアレイLA2の支持態様について、図3〜図5および図6を用いて説明する。
【0040】
図6は、この実施形態のヘッド基板、第1スペーサー、第1レンズアレイ、第2スペーサーおよび第2レンズアレイの位置関係を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側から見た場合に相当する。なお、図6では、便宜上、第1スペーサーSP1と第2スペーサーSP2とを長手方向LGDにずらせて図示している。図3、図6に示すように、ヘッド基板表面293−hでは、複数の第1スペーサーSP1が、長手方向LGDに隙間CL1を空けて一列に並んでいる。なお、各隙間CL1の長手方向LGDへの長さは互いに等しい。また、この第1スペーサーSP1の列は、幅方向LTDの一方側および他方側の両側に設けられている。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、第1スペーサーSP1の列が、複数の発光素子グループEGが配置されている領域を挟んで2列配置される。換言すれば、発光素子グループEG(または第1レンズLS1および第2レンズLS2)から幅方向LTDの一方側および他方側に外れた位置に2列配置されている。なお、ヘッド基板293と第1スペーサーSP1とは例えば紫外線硬化型の接着剤等による方法で固定されている。
【0041】
こうして2列に配置された第1スペーサSP1には、第1レンズアレイLA1が幅方向LTDに架設されており、これにより、第1レンズアレイLA1がヘッド基板293に対して位置決めされた状態で対向する。つまり、ガラス製の第1スペーサSP1は、断面矩形形状を有し、一つの平面がヘッド基板293に当接し、他の平面が第1レンズアレイLA1のガラス基板SB1に当接している。この第1レンズアレイLA1は、長手方向LGDの両端が斜めに(方向Dlscと平行に)カットされた菱形形状のガラス基板SB1の裏面SB1-tに、光硬化性樹脂で形成された複数の第1レンズLS1をアレイ配置した構成を有している。また、これら複数の第1レンズLS1は、対向する発光素子グループEGの配置に対応して3行千鳥で配置されている(図4)。なお、第1スペーサーSP1の内側の端面SP1a、SP1bは黒色塗料を塗布したり遮光テープを貼り付ける等の方法により遮光されている。
【0042】
この実施形態では、複数の第1レンズアレイLA1が長手方向LGDに一列に並んでいる。そして、これら第1レンズアレイLA1を、長手方向LGDに隙間CL1を空けて一列に並ぶ第1スペーサーSP1が支持している。この際、1個の第1スペーサーSP1が、境界BD1を挟んで隣接する2枚の第1レンズアレイLA1を長手方向LGDに跨いで支持している。こうして長手方向LGDに並ぶ複数の第1レンズアレイLA1から1つの長尺レンズアレイが構成される。なお、第1スペーサーSP1と第1レンズアレイLA1とは例えば紫外線硬化型の接着剤等による方法で固定されている。
【0043】
図3、図6に示すように、第1レンズアレイLA1のガラス基板SB1の表面SB1-hでは、複数の第2スペーサーSP2が、長手方向LGDに隙間CL2を空けて一列に並んでいる。なお、各隙間CL2の長手方向LGDへの長さは互いに等しい。また、この第2スペーサーSP2の列は、幅方向LTDの一方側および他方側の両側に設けられている。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、第2スペーサーSP1の列が、複数の発光素子グループEGが配置されている領域を挟んで2列配置される。換言すれば、発光素子グループEG(または第1レンズLS1および第2レンズLS2)から幅方向LTDの一方側および他方側に外れた位置に2列配置されている。なお、第1レンズアレイLA1と第2スペーサーSP2とは例えば紫外線硬化型の接着剤等による方法で固定されている。
【0044】
こうして2列に配置された第2スペーサSP2の列には、第2レンズアレイLA2が幅方向LTDに架設されており、これにより、第2レンズアレイLA2が第1レンズアレイLA1に対して位置決めされた状態で対向する。つまり、ガラス製の第2スペーサSP2は、断面矩形形状を有し、一つの平面が第1レンズアレイLA1のガラス基板SB1に当接し、他の平面が第2レンズアレイLA2のガラス基板SB2に当接している。この第2レンズアレイLA2は、長手方向LGDの両端が斜めに(方向Dlscと平行に)カットされた菱形形状のガラス基板SB2の裏面SB2−tに、光硬化性樹脂で形成された複数の第2レンズLS2をアレイ配置した構成を有している。また、これら複数の第2レンズLS2は、対向する第1レンズLS1の配置に対応して3行千鳥で配置されている(図4)。なお、第2スペーサーSP2の内側の端面SP2a、SP2bは黒色塗料を塗布したり遮光テープを貼り付ける等の方法により遮光されている。
【0045】
そして、この実施形態では、複数の第2レンズアレイLA2が長手方向LGDに一列に並んでおり、これら第2レンズアレイLA2を、長手方向LGDに隙間CL2を空けて一列に並ぶ第2スペーサーSP2が支持している。この際、1個の第2スペーサーSP2が、境界BD2を挟んで隣接する2枚の第2レンズアレイLA2を長手方向LGDに跨いで支持している。こうして長手方向LGDに並ぶ第2レンズアレイLA2から1つの長尺レンズアレイが構成される。なお、第2スペーサーSP2と第2レンズアレイLA1とは例えば紫外線硬化型接着剤等による方法で固定されている。また、第2レンズアレイLA2のガラス基板SB2の表面SB2−hには、平板状でガラス製のレンズカバーCVが、例えば紫外線硬化型接着剤等による方法で固定されている。
【0046】
こうして、第1レンズアレイLA1のレンズLS1と第2レンズアレイLA2のレンズLS2が厚さ方向TKDに並んで、すなわち、レンズLS1およびレンズLS2の光軸OAが一致するように配設されて、1つの結像光学系を構成する。この結像光学系は、反転した縮小像を形成するものであり、その倍率は負であるとともに1未満の絶対値を有している。そして、特開2008−036937号公報の図11等に記載のように、感光体ドラム21表面の副走査方向SDへの移動に応じて各発光素子Eの発光を制御することで、主走査方向MDに延びるライン潜像を形成することができる。
【0047】
ここで、図5、図6を用いて、第1スペーサーSP1と第2スペーサーSP2との位置関係について説明する。図5中、右側の第2スペーサーSP2の左側の端面SP2aは、第1スペーサーSP1の左側の端面SP1aより左側(つまり、レンズLS1、LS2側、または発光素子グループEG側)に位置するように、第1スペーサーSP1と第2スペーサーSP2とが配設されている。すなわち、図6中、下側の第2スペーサーSP2の上側の端面SP2aは、第1スペーサーSP1の上側の端面SP1aより上側(つまり、レンズLS1、LS2側、または発光素子グループEG側)に位置するように、第1スペーサーSP1と第2スペーサーSP2とが配設されている。また、図5中、左側の第2スペーサーSP2の右側の端面SP2bは、第1スペーサーSP1の右側の端面SP1bより右側(つまり、レンズLS1、LS2側、または発光素子グループEG側)に位置するように、第1スペーサーSP1と第2スペーサーSP2とが配設されている。すなわち、図6中、上側の第2スペーサーSP2の下側の端面SP2bは、第1スペーサーSP1の下側の端面SP1bより下側(つまり、レンズLS1、LS2側、または発光素子グループEG側)に位置するように、第1スペーサーSP1と第2スペーサーSP2とが配設されている。つまり、幅方向LTDの両側に配設された第1スペーサーSP1の幅方向LTDの間隔は、幅方向LTDの両側に配設された両方の第2スペーサーSP2を幅方向LTDの内側に含んだ形で、第2スペーサーSP2の幅方向LTDの間隔より広くなっている。このように第1スペーサーSP1および第2スペーサーSP2を配設することの利点について、図7を用いて説明する。
【0048】
図7は、スペーサーを透過する光の進路を示す図である。図7(a)は、この実施形態を示す図で、図5の一部を省略した部分断面図である。また、図7(b)は、第1スペーサーおよび第2スペーサーの配置がこの実施形態と異なる参考例を示す図である。この実施形態では、第1スペーサーSP1および第2スペーサーSP2はガラス製であるため、スペーサーSP1、SP2を光が透過する。このため、第1スペーサーSP1および第2スペーサーSP2の配置について十分に考慮しないと、この透過光が迷光となってしまう可能性がある。
【0049】
この実施形態において、例えば図7(a)中、右側の第1スペーサーSP1を透過して、第1スペーサーSP1の端面SP1aで反射せずに、第2スペーサーSP2に向かう光GL1は、第2スペーサーSP2の端面SP2aで反射して、レンズLS2から離れる向きに進む。同様に、図7(a)中、左側の第1スペーサーSP1を透過して、第1スペーサーSP1の端面SP1bで反射せずに、第2スペーサーSP2に向かう光GL2は、第2スペーサーSP2の端面SP2bで反射して、レンズLS2から離れる向きに進む。したがって、迷光の発生を抑制することができる。
【0050】
これに対して、図7(b)の参考例では、第1スペーサーおよび第2スペーサーが実施形態と異なる位置に配置されている。すなわち、図7(b)中、右側の第2スペーサーSP12の左側の端面SP12aは、第1スペーサーSP11の左側の端面SP11aより右側(つまり、レンズLS1、LS2から遠い側)に位置するように、第1スペーサーSP11と第2スペーサーSP12とが配設されている。また、左側の第2スペーサーSP12の右側の端面SP12bは、第1スペーサーSP11の右側の端面SP11bより左側(つまり、レンズLS1、LS2から遠い側)に位置するように、第1スペーサーSP11と第2スペーサーSP12とが配設されている。
【0051】
したがって、例えば図7(b)中、右側の第1スペーサーSP11を透過して、第1スペーサーSP11の端面SP11aで反射せずに、第2スペーサーSP12の端面SP12aより左側に向かう光GL11は、レンズLS2に進入する可能性がある。同様に、図7(b)中、左側の第1スペーサーSP11を透過して第2スペーサーSP12の端面SP12bより右側に向かう光GL12は、レンズLS2に進入する可能性がある。したがって、図7(b)の参考例のような構成では、迷光が発生する可能性が高いこととなる。
【0052】
以上のように、この実施形態にかかるラインヘッド29では、第1レンズアレイLA1を支持する第1スペーサーSP1が、幅方向LTDの両側にヘッド基板293に当接するように配設されている。そして、ヘッド基板293がガラス基板で構成され、第1スペーサーSP1も同じ材質、つまりガラスで形成されている。ここで、ガラスは形状を高精度に形成することが容易にできる。したがって、ヘッド基板293と同様に、第1スペーサーSP1の形状を高精度に形成することができる。これによって、第1スペーサーSP1が支持する第1レンズアレイLA1とヘッド基板293との位置関係のばらつきを抑制し、発光素子EとレンズLS1との位置関係を安定させることができる。こうして、この実施形態によれば、良好な露光動作を実現することが可能となっている。
【0053】
また、この実施形態のラインヘッド29では、第2レンズアレイLA2を支持する第2スペーサーSP2が、幅方向LTDの両側に第1レンズアレイLA1のガラス基板SB1に当接するように配設されている。そして、第2スペーサーSP2は、ヘッド基板293と同じ材質、つまりガラスで形成されている。したがって、ヘッド基板293と同様に、第2スペーサーSP2の形状を高精度に形成することができる。これによって、第2スペーサーSP2が支持する第2レンズアレイLA2とヘッド基板293との位置関係のばらつきを抑制し、発光素子EおよびレンズLS1と、レンズLS2との位置関係を安定させることができる。
【0054】
また、この実施形態のラインヘッド29では、図7(a)中、右側の第1、第2スペーサーSP1、SP2を、第2スペーサーSP2の端面SP2aが第1スペーサーSP1の端面SP1aより発光素子グループEG(またはレンズLS1、LS2)に近くなるように、配設している。したがって、図7(a)中、右側の第1スペーサーSP1の透過光を第2スペーサーSP2の端面SP2aで反射させることができ、これによって、図7(a)中、右側の第1スペーサーSP1の透過光GL1が迷光となるのを抑制することができる。また、この実施形態のラインヘッド29では、図7(a)中、左側の第1、第2スペーサーSP1、SP2を、第2スペーサーSP2の端面SP2bが第1スペーサーSP1の端面SP1bより発光素子グループEG(またはレンズLS1、LS2)に近くなるように、配設している。したがって、図7(a)中、左側の第1スペーサーSP1の透過光を第2スペーサーSP2の端面SP2bで反射させることができ、これによって、図7(a)中、左側の第1スペーサーSP1の透過光GL2が迷光となるのを抑制することができる。
【0055】
また、この実施形態では、幅方向LTDの一方側および他方側のそれぞれに、長手方向LGDに一列に隙間CL1を空けて並ぶ第1スペーサーSP1を配置しており、これらの第1スペーサーSP1によって幅方向LTDの一方側および他方側の両側から第1レンズアレイLA1を支持している。したがって、第1レンズアレイLA1を確実に支持することが可能となっている。また、この実施形態では、幅方向LTDの一方側および他方側のそれぞれに、長手方向LGDに一列に隙間CL2を空けて並ぶ第2スペーサーSP2を配置しており、これらの第2スペーサーSP2によって幅方向LTDの一方側および他方側の両側から第2レンズアレイLA2を支持している。したがって、第2レンズアレイLA2を確実に支持することが可能となっている。
【0056】
また、この実施形態では、第1、第2スペーサーSP1、SP2は、発光素子E(またはレンズLS1、LS2)が設けられた領域から、幅方向LTDの一方側および他方側に外れた位置に配設されている。したがって、各発光素子Eからの光と第1、第2スペーサーSP1、SP2との干渉を抑制して、第1レンズアレイLA1のレンズLS1および第2レンズアレイLA2のレンズLS2に十分な光量の光を入射させることが可能となっている。
【0057】
B.その他
以上のように、上記実施形態では、長手方向LGDが本発明の「第1の方向」に相当し、幅方向LTDが本発明の「第2の方向」に相当し、厚さ方向TKDが本発明の「第3の方向」に相当し、第1レンズアレイLA1が本発明の「レンズアレイ」に相当し、発光素子基板293および発光素子Eが本発明の「発光素子アレイ」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当し、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、ヘッド基板293が本発明の「発光素子基板」に相当する。また、幅方向LTDの一方側(例えば図5中、右側)の第1スペーサーSP1が本発明の「第1の支持部材」に相当し、他方側の第1スペーサーSP1(例えば図5中、左側)が本発明の「第2の支持部材」に相当し、幅方向LTDの一方側(図5中、右側)の第2スペーサーSP2が本発明の「第3の支持部材」に相当し、他方側の第2スペーサーSP2(図5中、左側)が本発明の「第4の支持部材」に相当する。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、第1レンズアレイLA1のレンズLS1および第2レンズアレイLA2のレンズLS2で結像光学系を構成しているが、結像光学系を構成するレンズの数は2個に限られない。例えば第3レンズアレイを備え、3個のレンズで結像光学系を構成してもよい。
【0059】
また、例えば、図6に示すように、上記実施形態では、レンズアレイLA1の幅方向LTDの一端は、長手方向LGDに並ぶ2個のスペーサーSP1に支持されている。しかしながら、レンズアレイLA1の幅方向LTDの一端を支持するスペーサーSP1の個数はこれに限られない。
【0060】
また、上記実施形態では、長手方向LGDに一列に並ぶ第1スペーサーSP1の各隙間CL1は互いに等しかったが、これらの隙間CL1を互いに異ならせても良い。
【0061】
また、各第1スペーサーSP1の形状やサイズ等の構成も適宜変更可能であり、全第1スペーサーSP1の構成を同一に構成しても良いし、あるいは、第1スペーサー毎にSP1の形状・サイズを異ならせても良い。また、第2スペーサーSP2についても同様の変更が可能である。
【0062】
また、上記実施形態の結像光学系は、反転した縮小像を形成するものであり、その倍率は負であるとともに1未満の絶対値を有していたが、結像光学系の倍率はこれに限られず、正であっても良く、1以上の絶対値を有していても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、各レンズアレイLA1、LA2において3行千鳥でレンズが並んでいたが、レンズの配置態様はこれに限られない。
【0064】
また、上記実施形態では、レンズアレイLA1、LA2の裏面にレンズLS1、LS2が形成されていた。しかしながら、例えば、レンズアレイLA1、LA2の表面にレンズLS1、LS2が形成されても良い。
【0065】
また、レンズアレイLA1、LA2の形状や大きさについても種々の変更が可能である。
【0066】
また、上記第1実施形態では、複数の発光素子グループEGは3行千鳥で配置されていたが、複数の発光素子グループEGの配置態様はこれに限られない。
【0067】
また、上記実施形態では、15個の発光素子Eから発光素子グループEGが構成されている。しかしながら、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数はこれに限られない。
【0068】
また、上記実施形態では、発光素子グループEG内において、複数の発光素子Eが2行千鳥で配置されていたが、発光素子グループEG内での複数の発光素子Eの配置態様はこれに限られない。
【0069】
また、上記実施形態では、発光素子Eとしてボトムエミッション型の有機EL素子が用いられている。しかしながら、トップエミッション型の有機EL素子を発光素子Eとして用いても良く、あるいは有機EL素子以外のLED(Light Emitting Diode)等を発光素子Eとして用いても良い。
【0070】
また、光センサーSCの配設態様も上記以外に種々の変更が可能である。例えば、第1スペーサーSP1がガラス製で光を透過するため、第1スペーサーSP1の側面に配置してもよい。また、光センサーSCを備えないように構成しても良い。
【符号の説明】
【0071】
LGD…長手方向、 LTD…幅方向、 TKD…厚さ方向、 21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 293…ヘッド基板、 293-h…ヘッド基板表面、 293-t…ヘッド基板裏面、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 LA1…レンズアレイ、 LA2…レンズアレイ、 OA…光軸、 SB1…ガラス基板、 SB2…ガラス基板、 LS1…レンズ、 LS2…レンズ、 SP1…スペーサー、 SP2…スペーサー、 SP1a、SP2a、SP1b、SP2b…(スペーサーの)端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に配設されて光を発光する発光素子、及び前記発光素子が配設される発光素子基板を有する発光素子アレイと、
前記発光素子基板と当接して配設されるとともに、前記発光素子基板と同じ材質で構成された第1の支持部材と、
前記第1の支持部材の前記第1の方向と直交、もしくは略直交する第2の方向で前記発光素子基板と当接して配設されるとともに、前記発光素子基板と同じ材質で構成された第2の支持部材と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材により支持されるとともに、前記発光素子から発光された光を結像するレンズを有するレンズアレイと、
を有することを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記発光素子基板は、光透過性部材であり、
前記発光素子から発光された光は、前記発光素子基板を通過して前記レンズで結像される請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記第1の支持部材の前記第1の方向及び前記第2の方向と直交する第3の方向で、前記レンズアレイと当接して配設される第3の支持部材と、
前記第2の支持部材の前記第3の方向で、前記レンズアレイと当接して配設される第4の支持部材と、
前記第3の支持部材及び前記第4の支持部材で支持される第2のレンズアレイと、
を有する請求項1または2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記第3の支持部材及び前記第4の支持部材は、前記発光素子基板と同じ材質である請求項3に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間の前記第2の方向の間隔は、前記第3の支持部材と前記第4の支持部材との前記第2の方向の間隔よりも広い請求項3または4に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材は、前記発光素子により発光されて、前記レンズで結像される光が通過する位置とは異なる位置に配設される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
潜像が形成される潜像担持体と、
第1の方向に配設されて光を発光する発光素子及び前記発光素子が配設される発光素子基板を有する発光素子アレイ、前記発光素子基板と当接して配設されるとともに前記発光素子基板と同じ材質で構成された第1の支持部材、前記第1の支持部材の前記第1の方向と直交もしくは略直交する第2の方向で前記発光素子基板と当接して配設されるとともに前記発光素子基板と同じ材質で構成された第2の支持部材、及び前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材により支持されるとともに前記発光素子から発光された光を結像するレンズを有するレンズアレイを備え、前記潜像担持体と露光して前記潜像を形成する露光ヘッドと、
前記露光ヘッドにより形成された前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部で現像された像を転写材に転写する転写部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−51311(P2011−51311A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204774(P2009−204774)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】