説明

露光装置、組立体、画像形成装置

【課題】像保持体の回転軸方向に沿って長尺状とされた露光装置の反りを簡易な構成で検出することができる露光装置、組立体、画像形成装置を得る。
【解決手段】プリント配線基板52の長手方向中央側には、プリント配線基板52の変形(反り)に応じて電気特性(抵抗値)が変化する検出配線66(所謂ひずみゲージ)がプリント配線基板52に設けられた内側の金属層に形成されている。画像形成装置の出荷前の検査工程で、制御部が、ブリッジ回路から検出された抵抗の変化量を取得する。そして、予め実験によりも求めていた抵抗の変化量と反りとの関係と、検出された抵抗の変化量とを比較してプリント配線基板52を支持する筐体58の反りを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、組立体、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のプリンターヘッド(露光装置)には、光源手段(LED)からの光を被結像面上(像保持体上)に結像させるための結像手段(ロッドレンズ)が設けられている。そして、この結像手段を所望の方向へ変位させることで光源手段に対する結像手段の位置を調整する位置調整手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−48532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、像保持体の回転軸方向に沿って長尺状とされた露光装置の反りを簡易な構成で検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る露光装置は、回転する像保持体の表面を露光するための複数個の発光素子が前記像保持体の回転軸方向に沿って実装されると共に、前記像保持体の回転軸方向に延びる基板と、前記基板を支持する支持部材と、前記基板に実装された前記発光素子と対向するように前記支持部材に支持され、前記発光素子から出射された光を前記像保持体の表面に導く光学素子と、前記基板に形成され、前記基板の変形に応じて電気特性が変化する検出配線と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る露光装置は、請求項1に記載において、前記検出配線から検出された電気特性の変化量に基づいて、前記基板を支持する前記支持部材の反りに対する補正量を求める制御部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る露光装置は、請求項2に記載において、前記制御部によって求められた補正量に基づいて、前記支持部材の反りを強制的に修正する修正手段が設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る組立体は、請求項1〜3の何れか1項に記載の露光装置と、前記露光装置から照射された光で、表面が露光されて静電潜像が形成される像保持体と、前記露光装置の両端部と前記像保持体の両端部とを保持する保持部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、請求項4に記載の組立体と、前記組立体に備えられた像保持体の表面に形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1の露光装置によれば、基板の変形に応じて電気特性が変化する検出配線が基板に形成されていない場合と比して、像保持体の回転軸方向に沿って長尺状とされた露光装置の反りを簡易な構成で検出することである。
【0011】
本発明の請求項2の露光装置によれば、反りに対する補正量を求める制御部が設けられていない場合と比して、検出配線から検出された電気特性の変化量に基づいて、支持部材の反りに対する補正量を求めることができる。
【0012】
本発明の請求項3の露光装置によれば、支持部材の反りを強制的に修正する修正手段が設けられていない場合と比して、修正手段が支持部材の反りを修正することで、露光装置の反りを抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項4の組立体によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の露光装置を備えていない場合と比して、像保持体上に形成される静電潜像の品質を向上させることができる。
【0014】
本発明の請求項5の画像形成装置によれば、請求項4に記載の組立体を備えていない場合と比して、像保持体上に形成されるトナー画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係るLPHを示した斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るLPHを示した斜視図である。
【図3】(A)(B)第1実施形態に係るLPHを示した拡大斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る感光体カートリッジを示した斜視図である。
【図5】第1実施形態に係るLPH及び感光体ドラムを示した平面図である。
【図6】(A)(B)第1実施形態に係るLPHに設けられた検出配線及びブリッジ回路を示した構成図である。
【図7】第1実施形態に係るLPHを示した斜視図である。
【図8】第1実施形態に係るLPHを示した断面図である。
【図9】第1実施形態に係るLPHを示した平面図である。
【図10】第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図11】第2実施形態に係るLPHを示した拡大斜視図である。
【図12】第2実施形態に係るLPHを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1実施形態の露光装置、組立体、及び画像形成装置の一例について図1〜図10に従って説明する。
【0017】
(全体構成)
先ず、露光装置の一例としてのLEDプリントヘッド(LPH)20、及び組立体の一例としての感光体カートリッジ32を備えた画像形成装置10について説明する。
【0018】
図10に示されるように、画像形成装置10の装置本体10Aには、複数のローラ12に張架され、モータ(図示省略)の駆動により矢印A方向に搬送される中間転写体としての無端ベルト状の中間転写体ベルト14が設けられている。
【0019】
この画像形成装置10は、カラー画像の形成に対応しており、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成部28Y、28M、28C、28Kが、中間転写体ベルト14の長手方向に沿って設けられている。
【0020】
なお、各色毎に設けられた部材については、符号の末尾に各々の色を示すアルファベット(Y/M/C/K)を付与して示すが、特に色を区別せずに説明する場合は、この符号末尾のアルファベットを省略して説明する。
【0021】
各色の画像形成部28は、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段によって時計方向へ回転する像保持体の一例としての感光体ドラム16を夫々備えている。
【0022】
さらに、各色の感光体ドラム16の周面には、感光体ドラム16の表面を決められた電位に一様に帯電させるための帯電ローラ18が配置されている。帯電ローラ18は、導電性のローラであり、その周面が感光体ドラム16の周面に接触し、かつ帯電ローラ18の軸方向と感光体ドラム16の軸方向とが平行となるように配置されている。
【0023】
また、感光体ドラム16の回転方向において、帯電ローラ18よりも下流側(以下単に下流側という)の感光体ドラム16の周面には、感光体ドラム16上に光ビームを照射して潜像を形成するLEDプリントヘッド20が感光体ドラム16の軸方向(以下単に軸方向という)に延びて設けられている。なお、以後、LEDプリントヘッド20をLPH20と記載する。
【0024】
さらに、感光体ドラム16及びLPH20は、長手方向両端部を支持部材38に支持されており、感光体ドラム16とLPH20と支持部材38とを含んで、感光体カートリッジ32が構成されている(図4参照)。なお感光体カートリッジ32及びLPH20については、詳細を後述する。
【0025】
さらに、各色の感光体ドラム16の周面において、LPH20の下流側には、感光体ドラム16上に形成された潜像を決められた色(イエロー/マゼンタ/シアン/ブラック)のトナーによって現像してトナー画像を形成する現像器22が配置されている。
【0026】
現像器22は、感光体ドラム16に近接して配置され、回転可能に設けられた円筒状の現像ローラ24を有している。現像ローラ24には、現像バイアスが印加され、現像器22内に装填されたトナーが現像ローラ24の周面に付着されるようになっている。そして、現像ローラ24の回転により、現像ローラ24に付着されたトナーが感光体ドラム16の周面に搬送され、トナーが感光体ドラム16に転移して、感光体ドラム16上に形成された潜像がトナー画像として現像される構成となっている。
【0027】
また、各色の感光体ドラム16の周面において、現像器22よりも下流側には、各色の感光体ドラム16上のトナー画像を中間転写体ベルト14に転写する転写部材としての転写ローラ30が、中間転写体ベルト14を挟んで感光体ドラム16の反対側に設けられている。転写ローラ30は、決められた電位に帯電されて反時計方向に回転して中間転写体ベルト14を決められた速度で搬送し、中間転写体ベルト14を感光体ドラム16に押し付けるようになっている。これにより、転写ローラ30が、感光体ドラム16上のトナー画像を中間転写体ベルト14上に転写させるようになっている。
【0028】
また、各色の感光体ドラム16の周面において、転写ローラ30よりも下流側には、感光体ドラム16上の転写残トナーやリトランスファートナー等の残留トナーを回収するクリーニングブレード26が配置されている。クリーニングブレード26は、角部が感光体ドラム16の周面と接触するように配置されており、中間転写体ベルト14に転写されずに感光体ドラム16上に残留したトナーや、転写時に感光体ドラム16上に付着してしまった他の色のトナー等を削ぎとって回収するようになっている。
【0029】
ここで、各色の画像形成部28により形成された各色のトナー画像は、中間転写体ベルト14上で、互いに重なり合うように転写される。これにより、中間転写体ベルト14上にカラーのトナー画像が形成される。なお、本実施形態では、このようにして4色のトナー画像が重ねて転写されたトナー画像を最終トナー画像と称する。
【0030】
一方、中間転写ベルト14の周面において、4つの感光体ドラム16よりも中間転写体ベルト14の搬送方向下流側には、対向する2つのローラ34A、34Bを含んで構成される転写装置34が配設されている。そして、画像形成装置10の底部に設けられた用紙保持部36から取り出され、ローラ34A、34Bの間に搬送されてきたシート部材Pに、中間転写体ベルト14上に形成された最終トナー画像が転写されるようになっている。
【0031】
また、最終トナー画像が転写されたシート部材Pの搬送経路には、加熱ローラ40Aと加圧ローラ40Bとを含んで構成される定着装置40が配設されている。定着装置40に搬送されたシート部材Pは、加熱ローラ40Aと加圧ローラ40Bとによって挟持搬送されることにより、シート部材P上のトナーが溶融すると共にシート部材Pに圧着されてシート部材Pに定着されるようになっている。
【0032】
一方、中間転写体ベルト14の外周面において、転写装置34よりも中間転写体ベルト14の搬送方向下流側には、転写装置34によってシート部材Pに転写されずに中間転写体ベルト14上に残留したトナーを回収するクリーナ42が配置されている。クリーナ42には、中間転写体ベルト14に接するようにブレード44が備えられており、残留したトナーを擦り取ることによって回収するようになっている。
【0033】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0034】
まず、帯電ローラ18が、感光体ドラム16の表面を予め決められた帯電部電位で一様にマイナス帯電する。さらに、帯電された感光体ドラム16上の画像部分が予定の露光部電位になるようにLHP20で露光を行ない感光体ドラム16上に潜像が形成される。
【0035】
さらに、回転する感光体ドラム16上の潜像が現像器22に備えられた現像ローラ24を通過すると、静電気力によって現像剤Gのトナーが潜像へ付着し、潜像はトナー画像として可視化される。
【0036】
可視化された各色のトナー画像は、転写ローラ30の静電気力で中間転写体ベルト14へ順次転写され、中間転写体ベルト14上にカラーの最終トナー画像が形成される。
【0037】
さらに、用紙保持部36から取り出されて、転写装置34に設けられたローラ34A、34Bの間に搬送されてきたシート部材Pにこの最終トナー画像が転写される。
【0038】
また、シート部材Pへ転写されたトナー画像は定着装置40でシート部材Pに定着され、シート部材Pは、装置外へ排出される。
【0039】
(要部構成)
次に、感光体カートリッジ32及びLPH20について説明する。
【0040】
図4に示されるように、感光体カートリッジ32は、前述したように、感光体ドラム16と、感光体ドラム16の軸方向に延びて設けられるLPH20と、感光体ドラム16及びLPH20の両端部を支持する支持部材38とを含んで構成されている。つまり、支持部材38を用いて、感光体ドラム16とLPH20とを決められた位置関係として保持した後に、装置本体10Aに感光体カートリッジ32を組み付けるようになっている。
【0041】
図4、図7、図8、図9に示されるように、LHP20は、軸方向に延びるプリント配線基板52と、一端部にこのプリント配線基板52を支持した支持部材の一例としての筐体58と、プリント配線基板52と対向するように筐体58によって外周が支持されたレンズアレイ56とを含んで構成されている。
【0042】
詳細には、プリント配線基板52の一方の面(レンズアレイ56と対向する面)には、発光素子の一例としての発光ダイオード(LED)62が千鳥状に実装され、プリント配線基板52の他方の面には、電子部品64が実装されている。
【0043】
そして、レンズアレイ56には、プリント配線基板52に千鳥状に実装された発光ダイオード62と対向する複数のロッドレンズ54が設けられている。
【0044】
この構成により、発光ダイオード62から出射された光は、ロッドレンズ54を通って感光体ドラム16(図10参照)に照射されるようになっている。
【0045】
次に、LPH20を構成するプリント配線基板52について説明する。
【0046】
図1、図6に示されるように、プリント配線基板52の長手方向中央側には、プリント配線基板52の変形(反り)に応じて電気特性(抵抗値)が変化する検出配線66(所謂ひずみゲージ)がプリント配線基板52に設けられた内側の金属層に形成されている。
【0047】
検出配線66は、プリント配線基板52の長手方向(図6(A)に示す矢印G方向:以下単に「長手方向」という)に延びるくし歯状とされている。そして、検出配線66が長手方向に引っ張られると、検出配線66が伸ばされるため検出配線66である金属抵抗体の断面積が減り、金属抵抗体の長さが長くなるため、抵抗値が増えるようになっている。これに対し、検出配線66が長手方向に沿って圧縮されると、検出配線66が縮むため検出配線66である金属抵抗体の断面積が増え、金属抵抗体の長さが短くなるため、抵抗値が減るようになっている。
【0048】
また、図1、図3(A)(B)に示されるように、プリント配線基板52の他方の面(レンズアレイ56と対向しない面)には、発光ダイオード62の発光を制御する制御基板70が設けられており、制御基板70は、プリント配線基板52と電気的に接続されている。そして、図6(B)に示されるように、この制御基板70には、検出配線66の抵抗値(電気特性)の変化を検出する既知のブリッジ回路68が設けられている。詳細には、ブリッジ回路68の対角N及び対角Mの間に決められた電圧を印加し、対角J及び対角Kにおける出力電圧を検出することで抵抗値の変化を検出するようになっている。なお、ブリッジ回路68には、可変抵抗が設けられており、出力電圧を調整することができるようになっている。
【0049】
また、図3(A)(B)に示されるように、制御基板70の一方の面(プリント配線基板52と対向しない面)には、電気信号等が流れるフレキシブル配線72の端部に設けられた直方体状のコネクタ74が脱着自在に取り付けられる取付部70Aが設けられている。
【0050】
詳細には、コネクタ74を、LPH20の光の出射方向(図3に示す矢印D方向(DOF方向)、以下単に出射方向と言う)に移動させることで、コネクタ74が制御基板70に脱着自在とされている。また、コネクタ74に端部が接続されるフレキシブル配線72は、コネクタ74の側面から出射方向及び軸方向に対して直交する方向(図3に示す矢印E方向)に向けて延びている。そして、図4に示されるように、矢印E方向に延びるフレキシブル配線72は、軸方向に延びる巻き掛け部材76に巻き掛けられ、矢印E方向に対して反対方向の矢印F方向に延びている。
【0051】
以上の構成により、コネクタ74を制御基板70に取り付ける際のLPH20に負荷される荷重や、LPH20の熱変形や、LPH20の両端部を支持部材38(図4参照)に取り付ける際の取付誤差等によって、LPH20(筐体58)が湾曲するように変形する(反る)場合がある(図5に示す2点鎖線参照)。
【0052】
そこで、図3(A)(B)に示されるように、前述した、制御基板70には、ブリッジ回路68(図6(B)参照)から検出された抵抗(電気特性)の変化量に基づいて、プリント配線基板52を支持する筐体58の反りに対する補正量を求める制御部80が設けられている。
【0053】
詳細には、制御部80には、ブリッジ回路68(図6(B)参照)から検出された抵抗の変化量と筐体58の反りに対する補正量との関係が示したマップが設けられており、制御部80は、このマップと抵抗の変化量に基づいて補正量を求めるようになっている。なお、制御部80の構成については、後述する制御部80の作用と共に詳細を説明する。
【0054】
そして、図2に示されるように、LPH20には、制御部80によって求められた補正量に基づいて、筐体58の反りを強制的に修正する修正手段の一例としての修正装置82が設けられている。
【0055】
修正装置82は、板部材をL字状に形成したテコ部材84を備え、このテコ部材84は、筐体58に沿った一辺と、筐体58に交差し他辺とで構成されている。テコ部材84の一端側(他辺側)の板厚面84Aに当るカム部材86と、板厚面84Aをカム部材86に向けて付勢するスプリング部材88と、カム部材86を矢印E方向に沿った軸回りに回転させるステッピングモータ90とを備えている。
【0056】
詳細には、テコ部材84の角部84Bは、筐体58の軸方向端部に矢印E方向に沿った軸回りに回転可能に支持されており、テコ部材84の他端側には、コネクタ74との干渉を回避する逃げ部84Cが設けられている。そして、テコ部材84の他端部84Dは、筐体58の軸方向中央側に矢印E方向に沿った軸回りに回転可能に支持されている。さらに、ステッピングモータ90は、制御部80の指示で回転するようになっている。
【0057】
以上の構成により、ステッピングモータ90が制御部80の指示で回転すると、カム部材86が回転する。カム部材86が回転することで、カム部材86に向けて板厚面84Aが付勢されるテコ部材84は角部84Bを中心に回転する。そして、テコ部材84が回転することで、テコ部材84の他端部84Dが円弧状に移動して、筐体58の反りが強制的に修正されるようになっている。
【0058】
(作用)
次に、LPH20、感光体カートリッジ32、及び画像形成装置10の作用について説明する。
【0059】
図1、図2に示されるように、LPH20単品の光学特性を検査する工程では、室温が例えば20°Cに管理された検査室で、LPH20を反っていない状態(無負荷(発熱無し)状態)に保持し、図6(B)に示すブリッジ回路68からの出信電圧が0Vとなるようにブリッジ回路68に設けられた可変抵抗を調整する。
【0060】
次に、図4に示されるように、感光体ドラム16及びLPH20の軸方向の両端部を支持部材38に固定して、感光体カートリッジ32を完成させる。
【0061】
この状態で、LPH20に露光通電することで、LPH20に自己発熱させる。LPH20の自己発熱により、LPH20が熱膨張して、両端部が支持されたLPH20が湾曲するように変形する(反る)。
【0062】
この状態で、感光体カートリッジ32を画像形成装置10の装置本体10A(図10参照)に取り付け、さらに、図3(A)(B)に示されるように、コネクタ74を出射方向に移動させて制御基板70に固定する。
【0063】
そして、画像形成装置10が組み上げられると、画像形成装置10の出荷前の検査工程で、制御部80が、ブリッジ回路68(図6(B)参照)から検出された抵抗の変化量を取得する。そして、予め実験によりも求めていた抵抗の変化量と反り(自己発熱)との関係と、検出された抵抗の変化量とを比較してプリント配線基板52を支持する筐体58の反りを検出し、この反りに対する補正量を求める。
【0064】
制御部80によって求められた補正量が、出力画像の品質を低下させるような数値の場合には、図2、図5に示されるように、制御部80によって求められた補正量に基づき、制御部80はステッピングモータ90を回転させる。ステッピングモータ90が回転することで、カム部材86が回転し、テコ部材84が角部84Bを中心に回転する。そして、テコ部材84が回転することで、テコ部材84の他端部84Dが円弧状に移動して、筐体58の反りが強制的に修正され、この状態で画像形成装置10が出荷される。
【0065】
画像形成装置10が、市場に出荷され、ユーザの手に渡った後については、画像形成装置10内の温度が決められた温度以上変化したときに、制御部80が、ブリッジ回路68(図6(B)参照)から検出された抵抗の変化量を取得して、修正装置82を稼働させて筐体58の反りを強制的に修正する。
【0066】
以上説明したように、LPH20の温度変化によるLPH20の出射方向による反り、LPH20の取り付けバラツキによるLPH20の出射方向の反り、さらに、LPH20に外力が負荷(コネクタ74の取付時の荷重)されることによるLPH20の出射方向による反りについては、制御部80の制御により強制的に修正される。
【0067】
また、LPH20の出射方向による反りについて強制的に修正されることで、LPH20の光が、狙いどおりの方向へ出射される。
【0068】
また、LPH20の光が、狙いどおりの方向へ出射されることで、出力画像の品質が向上される。
【0069】
また、LPH20と感光体ドラム16とを含んで感光体カートリッジ32が構成されており、感光体カートリッジ32に組み上げられた状態で、制御部80が、抵抗の変化量と筐体58の反りに対する補正量との関係を取得する。このため、感光体カートリッジ32として品質が確保される。
【0070】
次に、第2実施形態のLPH20、感光体カートリッジ32、及び画像形成装置10の一例について図11、図12に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図11、図12に示されるように、本第2実施形態では、検出配線66が、プリント配線基板52の軸方向中央側に2個設けられている。詳細には、検出配線66は、出射方向及び軸方向に対して直交する方向(BOW方向(矢印E方向))に沿って並んで設けられている。具体的には、BOW方向の反りに対して圧縮する位置と伸張する位置とに設けられている。
【0072】
このように、検出配線66をBOW方向に沿って2個設けることで、制御部80が夫々の検出配線66から検出された抵抗を比較することで、筐体58のBOW方向の反り(図12に示す2点鎖線)を検出することができる。
【0073】
そして、制御部によって検出された筐体58のBOW方向の反り量が、出力画像の品質を低下させるような数値の場合には、LPH20を取り付け直したり、また、交換することで、筐体58(LPH20)の反りが修正される。
【0074】
つまり、フレキシブル配線72(図4参照)を作業者が誤って引いてしまい、LPH20がBOW方向に沿ってしまった場合でも、その反りが検出されるようになっている。
【0075】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、特に言及しなかったが、検出配線66をプリント配線基板52に設けられた中層のグランド層に設けてもよい。これにより、中層が有効に活用される。
【0076】
また、上記実施形態では、ブリッジ回路68の抵抗の変化量と筐体58の反りに対する補正量との関係の取得については、感光体カートリッジ32を組み上げた後に毎回行ったが、特にこれに限定されなく、設計時に行ってもよいし、ロッド毎に行ってもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、LPH20の単品の検査の工程で、図6(B)に示す回路からの出信電圧が0Vとなるように可変抵抗を調整したが、感光体ドラム16及びLPH20の軸方向の両端部を支持部材38に固定して、感光体カートリッジ32を組み上げた状態で、LPH20の反りに問題がないのを確認した後、又はLPH20の反りが問題ないように修正した後に、図6(B)に示す回路からの出信電圧が0Vとなるように可変抵抗を調整してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、検出修正のタイミングについて、画像形成装置10内の温度が決められた温度以上変化したときとしたが、画像形成装置10の出荷時に検出修正を行ってもよく、また、画像形成装置10の出力枚数(プリント枚数)が決められた枚数に到達する毎に検出修正を行ってもよく、LPH20の交換時に検出修正を行ってもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、特に言及しなかったが、制御部80による出力電圧の検出をLPH20の組付不良の検出に用いてもよい、そして、制御部80がLPH20の組付不良を検出した場合には、主走査方向の光量を補正(スマイル補正)して出力画像を向上させてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、制御部80が、予め実験により求めていた自己発熱と筐体58の反りに対する補正量との関係から、抵抗の変化量と筐体58の反りに対する補正量との関係を取得したが、制御部80が、演算式を用いて、抵抗の変化量から筐体の反りに対する補正量を算出してもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 画像形成装置
16 感光体ドラム(像保持体)
20 LPH(露光装置)
22 現像器(現像装置)
32 感光体カートリッジ(組立体)
52 プリント配線基板(基板)
58 筐体(支持部材)
62 発光ダイオード(発光素子)
66 検出配線
80 制御部
82 修正装置(修正手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する像保持体の表面を露光するための複数個の発光素子が前記像保持体の回転軸方向に沿って実装されると共に、前記像保持体の回転軸方向に延びる基板と、
前記基板を支持する支持部材と、
前記基板に実装された前記発光素子と対向するように前記支持部材に支持され、前記発光素子から出射された光を前記像保持体の表面に導く光学素子と、
前記基板に形成され、前記基板の変形に応じて電気特性が変化する検出配線と、
を備える露光装置。
【請求項2】
前記検出配線から検出された電気特性の変化量に基づいて、前記基板を支持する前記支持部材の反りに対する補正量を求める制御部を備える請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記制御部によって求められた補正量に基づいて、前記支持部材の反りを強制的に修正する修正手段が設けられる請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の露光装置と、
前記露光装置から照射された光で、表面が露光されて静電潜像が形成される像保持体と、
前記露光装置の両端部と前記像保持体の両端部とを保持する保持部材と、
を備える組立体。
【請求項5】
請求項4に記載の組立体と、
前記組立体に備えられた像保持体の表面に形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−24952(P2012−24952A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163297(P2010−163297)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】