説明

露光装置及び露光方法

【課題】マスクを用いることなく、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成する。
【解決手段】光ビーム照射装置(20)から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板(1)を走査して、基板に塗布された配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与する。光ビーム照射装置に、それぞれ異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器(25)へ供給する複数の照明光学系を設け、各照明光学系から供給した異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器によりそれぞれ変調して、照射光学系(26a,26b)からチャックに支持された基板へ複数の異なる入射角度の光ビームを照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置の製造において、高分子化合物から成る配向膜へ直線偏光の露光光を照射して、配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与する配向膜の露光装置及び露光方法に係り、特に、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成する配向膜の露光装置及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス駆動方式の液晶ディスプレイ装置は、TFT(Thin Film Transistor)基板とカラーフィルタ基板との間に液晶を封入して製造され、TFT基板及びカラーフィルタ基板の表面には、液晶の配列方向を整えるための配向膜が形成されている。配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与する処理は、従来、配向膜の表面を布で擦る「ラビング法」により行われていたが、近年、ポリイミド等の高分子化合物から成る配向膜へ直線偏光の紫外光を照射し、偏光方向の高分子鎖を選択的に反応させて、異方性を発生させる「光配向法」が開発されている。光配向法において、配向膜にプレチルト角を発現させる方法の1つとして、直線偏光の紫外光を配向膜へ斜めに照射する方法がある。
【0003】
特許文献1には、液晶表示装置の視野角拡大、表示品位の向上及びコントラストの向上を図るために、液晶層を挟む一対の基板において、各基板上の配向膜を、プレチルト方向が約180°異なる2つの配向領域に各々分割し、一方の基板上の配向領域の境界と他方の基板上の配向領域の境界とが略直交するように両基板を貼り合わせて、4つの配向状態の領域を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−352486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の様に、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成するためには、直線偏光の紫外光を、配向領域毎に異なる方向から斜めに照射する必要がある。そのため、従来は、フォトリソグラフィー技術で用いられる、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置と同様の構成を用い、露光する配向領域以外の領域を覆うマスクを設けて、露光光照射装置からマスクへ直線偏光の露光光を斜めに照射していた。
【0006】
しかしながら、マスクを用いた従来の方式は、露光する基板の種類毎にマスクを交換する必要がある。また、従来のプロキシミティ露光装置に用いられる露光光照射装置は、露光光を照射する方向を変更することができないため、各配向領域を露光する度に基板をチャックから取り外して基板の向きを回転させる必要がある。そのため、タクトタイムが長くなって、スループットが低下するという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、マスクを用いることなく、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成することである。また、本発明の課題は、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成する際、タクトタイムを短縮して、スループットを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の配向膜の露光装置は、基板を支持するチャックと、二方向に配列した複数のミラーの角度を変更して光ビームを変調する空間的光変調器、描画データに基づいて空間的光変調器を駆動する駆動回路、及び空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を有し、照射光学系からチャックに支持された基板へ直線偏光の光ビームを斜めに照射する光ビーム照射装置と、チャックと光ビーム照射装置とを相対的に移動する移動手段とを備え、移動手段によりチャックと光ビーム照射装置とを相対的に移動し、光ビーム照射装置から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板を走査して、基板に塗布された配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与する配向膜の露光装置であって、光ビーム照射装置が、それぞれ異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器へ供給する複数の照明光学系を有し、各照明光学系から供給された異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器によりそれぞれ変調して、照射光学系からチャックに支持された基板へ複数の異なる入射角度の光ビームを照射するものである。
【0009】
また、本発明の配向膜の露光方法は、基板をチャックで支持し、チャックと、二方向に配列した複数のミラーの角度を変更して光ビームを変調する空間的光変調器、描画データに基づいて空間的光変調器を駆動する駆動回路、及び空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を有し、照射光学系からチャックに支持された基板へ直線偏光の光ビームを斜めに照射する光ビーム照射装置とを、相対的に移動し、光ビーム照射装置から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板を走査して、基板に塗布された配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与する配向膜の露光方法であって、光ビーム照射装置に、それぞれ異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器へ供給する複数の照明光学系を設け、各照明光学系から供給した異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器によりそれぞれ変調して、照射光学系からチャックに支持された基板へ複数の異なる入射角度の光ビームを照射するものである。
【0010】
光ビーム照射装置から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板を走査して、基板に塗布された配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与するので、光ビーム照射装置の空間的光変調器を駆動する駆動回路へ供給する描画データを変更して、所望の位置及び所望の形状の配向領域を露光することができる。従って、マスクを用いることなく、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成することができる。
【0011】
そして、光ビーム照射装置に、それぞれ異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器へ供給する複数の照明光学系を設け、各照明光学系から供給した異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器によりそれぞれ変調して、照射光学系からチャックに支持された基板へ複数の異なる入射角度の光ビームを照射するので、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成する際、各配向領域を露光する度に基板をチャックから取り外して基板の向きを回転させる必要が無い。従って、タクトタイムが短縮されて、スループットが向上する。
【0012】
さらに、本発明の配向膜の露光装置は、光ビーム照射装置が、空間的光変調器の複数のミラーを各照明光学系に対応する複数の領域に分割し、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを供給するものである。また、本発明の配向膜の露光方法は、空間的光変調器の複数のミラーを各照明光学系に対応する複数の領域に分割し、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを供給するものである。
【0013】
空間的光変調器の複数のミラーを各照明光学系に対応する複数の領域に分割し、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを供給するので、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを同時に供給し、異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器の対応する領域により同時に変調して、照射光学系からチャックに支持された基板の異なる場所へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを同時に照射することができる。従って、露光光のパターンや基板に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響しない場合、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を同時に形成することができる。
【0014】
さらに、本発明の配向膜の露光装置は、光ビーム照射装置の複数の照明光学系を切り換えて、チャックに支持された基板へ照射される光ビームの方向を変え、かつ、光ビームの方向の変更と、移動手段によるチャックと光ビーム照射装置との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、配向膜に付与する配向特性のプレチルト方向を変更するものである。また、本発明の配向膜の露光方法は、光ビーム照射装置の複数の照明光学系を切り換えて、チャックに支持された基板へ照射される光ビームの方向を変え、かつ、光ビームの方向の変更と、チャックと光ビーム照射装置との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、配向膜に付与する配向特性のプレチルト方向を変更するものである。
【0015】
露光光のパターンや基板に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響する場合、光ビームの方向の変更と、チャックと光ビーム照射装置との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、所望のプレチルト方向を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光ビーム照射装置から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板を走査して、基板に塗布された配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与することにより、光ビーム照射装置の空間的光変調器を駆動する駆動回路へ供給する描画データを変更して、所望の位置及び所望の形状の配向領域を露光することができる。従って、マスクを用いることなく、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成することができる。
【0017】
そして、光ビーム照射装置に、それぞれ異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器へ供給する複数の照明光学系を設け、各照明光学系から供給した異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器によりそれぞれ変調して、照射光学系からチャックに支持された基板へ複数の異なる入射角度の光ビームを照射することにより、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成する際、タクトタイムを短縮して、スループットを向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明によれば、空間的光変調器の複数のミラーを各照明光学系に対応する複数の領域に分割し、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを供給することにより、露光光のパターンや基板に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響しない場合、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を同時に形成することができる。
【0019】
さらに、本発明によれば、光ビーム照射装置の複数の照明光学系を切り換えて、チャックに支持された基板へ照射される光ビームの方向を変え、かつ、光ビームの方向の変更と、チャックと光ビーム照射装置との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、配向膜に付与する配向特性のプレチルト方向を変更することにより、露光光のパターンや基板に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響する場合、光ビームの方向の変更と、チャックと光ビーム照射装置との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、所望のプレチルト方向を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態による配向膜の露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態による配向膜の露光装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態による配向膜の露光装置の正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態による光ビーム照射装置の概略構成を示す図である。
【図5】DMDのミラー部の一例を示す図である。
【図6】レーザー測長系の動作を説明する図である。
【図7】描画制御部の概略構成を示す図である。
【図8】DMDの分割された領域を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態による配向膜の露光方法を説明する図である。
【図10】本発明の他の実施の形態による配向膜の露光方法を説明する図である。
【図11】本発明の他の実施の形態による配向膜の露光方法を説明する図である。
【図12】本発明のさらに他の実施の形態による光ビーム照射装置の概略構成を示す図である。
【図13】本発明のさらに他の実施の形態による光ビーム照射装置の上面図である。
【図14】DMDの分割された領域を示す図である。
【図15】本発明のさらに他の実施の形態による配向膜の露光方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態による配向膜の露光装置の概略構成を示す図である。また、図2は本発明の一実施の形態による配向膜の露光装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態による配向膜の露光装置の正面図である。露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック10、ゲート11、光ビーム照射装置20、リニアスケール31,33、エンコーダ32,34、レーザー測長系、レーザー測長系制御装置40、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70を含んで構成されている。なお、図2及び図3では、レーザー測長系のレーザー光源41、レーザー測長系制御装置40、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70が省略されている。露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0022】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0023】
図1及び図2において、チャック10は、基板1の受け渡しを行う受け渡し位置にある。受け渡し位置において、図示しない基板搬送ロボットにより基板1がチャック10へ搬入され、また図示しない基板搬送ロボットにより基板1がチャック10から搬出される。チャック10は、基板1の裏面を真空吸着して支持する。基板1の表面には、ポリイミド等の高分子化合物から成る配向膜が塗布されている。
【0024】
基板1の露光を行う露光位置の上空に、ベース3をまたいでゲート11が設けられている。ゲート11には、複数の光ビーム照射装置20が搭載されている。なお、本実施の形態は、8つの光ビーム照射装置20を用いた露光装置の例を示しているが、光ビーム照射装置の数はこれに限らず、本発明は1つ又は2つ以上の光ビーム照射装置を用いた露光装置に適用される。
【0025】
図4は、本発明の一実施の形態による光ビーム照射装置の概略構成を示す図である。本実施の形態の光ビーム照射装置20は、光ビームをDMDへ供給する照明光学系を2つ有するものである。光ビーム照射装置20は、第1の照明光学系、第2の照明光学系、DMD(Digital Micromirror Device)25、投影レンズ26a,26b、及びDMD駆動回路27を含んで構成されている。第1の照明光学系は、光ファイバー22a、レンズ23a、ミラー24、偏光子28、及びプリズム29を含んで構成されている。第2の照明光学系は、光ファイバー22b、レンズ23b、ミラー24、偏光子28、及びプリズム29を含んで構成されている。ミラー24、偏光子28、及びプリズム29は、第1の照明光学系と第2の照明光学系で共用されている。
【0026】
第1の照明光学系の光ファイバー22aは、レーザー光源ユニット21aから発生された紫外光の光ビームを、光ビーム照射装置20内へ導入する。光ファイバー22aから射出された光ビームは、レンズ23a及びプリズム29を透過した後、偏光子28を透過して直線偏光となり、ミラー24で反射されてDMD25へ照射される。第2の照明光学系の光ファイバー22bは、レーザー光源ユニット21bから発生された紫外光の光ビームを、光ビーム照射装置20内へ導入する。光ファイバー22bから射出された光ビームは、レンズ23b及びプリズム29を透過した後、偏光子28を透過して直線偏光となり、ミラー24で反射されてDMD25へ照射される。プリズム29の働きにより、第1の照明光学系と第2の照明光学系は、図4に示す様に、それぞれ異なる入射角度の光ビームをDMD25へ供給する。
【0027】
DMD25は、光ビームを反射する複数の微小なミラーを直交する二方向に配列して構成された空間的光変調器であり、各ミラーの角度を変更して光ビームを変調する。DMD25により変調された光ビームは、投影レンズ26a,26bを含むヘッド部20aから照射される。DMD駆動回路27は、主制御装置70から供給された描画データに基づいて、DMD25の各ミラーの角度を変更する。
【0028】
なお、偏光子28は、プリズム29とミラー24の間に限らず、光ビーム照射装置20内で光ビームの光路中の任意の位置に設置することができる。
【0029】
図2及び図3において、チャック10は、θステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8には、ボールねじ及びモータや、リニアモータ等の図示しない駆動機構が設けられており、各駆動機構は、図1のステージ駆動回路60により駆動される。
【0030】
θステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1は、直交する二辺がX方向及びY方向へ向く様に回転される。Xステージ5のX方向への移動により、チャック10は、受け渡し位置と露光位置との間を移動される。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動により、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームが、基板1をX方向へ走査する。また、Yステージ7のY方向への移動により、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームによる基板1の走査領域が、Y方向へ移動される。図1において、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、θステージ8のθ方向へ回転、Xステージ5のX方向への移動、及びYステージ7のY方向への移動を行う。
【0031】
図5は、DMDのミラー部の一例を示す図である。光ビーム照射装置20のDMD25は、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査方向(X方向)に対して、所定の角度θだけ傾いて配置されている。DMD25を、走査方向に対して傾けて配置すると、直交する二方向に配列された複数のミラー25aのいずれかが、隣接するミラー25a間の隙間に対応する箇所をカバーするので、配向膜の露光を隙間無く行うことができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、Xステージ5によりチャック10をX方向へ移動することによって、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査を行っているが、光ビーム照射装置20を移動することにより、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査を行ってもよい。また、本実施の形態では、Yステージ7によりチャック10をY方向へ移動することによって、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査領域を変更しているが、光ビーム照射装置20を移動することにより、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査領域を変更してもよい。
【0033】
図1及び図2において、ベース3には、X方向へ伸びるリニアスケール31が設置されている。リニアスケール31には、Xステージ5のX方向への移動量を検出するための目盛が付けられている。また、Xステージ5には、Y方向へ伸びるリニアスケール33が設置されている。リニアスケール33には、Yステージ7のY方向への移動量を検出するための目盛が付けられている。
【0034】
図1及び図3において、Xステージ5の一側面には、リニアスケール31に対向して、エンコーダ32が取り付けられている。エンコーダ32は、リニアスケール31の目盛を検出して、パルス信号を主制御装置70へ出力する。また、図1及び図2において、Yステージ7の一側面には、リニアスケール33に対向して、エンコーダ34が取り付けられている。エンコーダ34は、リニアスケール33の目盛を検出して、パルス信号を主制御装置70へ出力する。主制御装置70は、エンコーダ32のパルス信号をカウントして、Xステージ5のX方向への移動量を検出し、エンコーダ34のパルス信号をカウントして、Yステージ7のY方向への移動量を検出する。
【0035】
図6は、レーザー測長系の動作を説明する図である。なお、図6においては、図1に示したゲート11、及び光ビーム照射装置20が省略されている。レーザー測長系は、公知のレーザー干渉式の測長系であって、レーザー光源41、レーザー干渉計42,44、及びバーミラー43,45を含んで構成されている。バーミラー43は、チャック10のY方向へ伸びる一側面に取り付けられている。また、バーミラー45は、チャック10のX方向へ伸びる一側面に取り付けられている。
【0036】
レーザー干渉計42は、レーザー光源41からのレーザー光をバーミラー43へ照射し、バーミラー43により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源41からのレーザー光とバーミラー43により反射されたレーザー光との干渉を測定する。この測定は、Y方向の2箇所で行う。レーザー測長系制御装置40は、主制御装置70の制御により、レーザー干渉計42の測定結果から、チャック10のX方向の位置及び回転を検出する。
【0037】
一方、レーザー干渉計44は、レーザー光源41からのレーザー光をバーミラー45へ照射し、バーミラー45により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源41からのレーザー光とバーミラー45により反射されたレーザー光との干渉を測定する。レーザー測長系制御装置40は、主制御装置70の制御により、レーザー干渉計44の測定結果から、チャック10のY方向の位置を検出する。
【0038】
図4において、主制御装置70は、光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ描画データを供給する描画制御部を有する。図7は、描画制御部の概略構成を示す図である。描画制御部71は、メモリ72、バンド幅設定部73、中心点座標決定部74、及び座標決定部75を含んで構成されている。メモリ72は、各光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ供給する描画データを、そのXY座標をアドレスとして記憶している。
【0039】
バンド幅設定部73は、メモリ72から読み出す描画データのY座標の範囲を決定することにより、光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射される光ビームのY方向のバンド幅を設定する。
【0040】
レーザー測長系制御装置40は、露光位置における基板1の露光を開始する前のチャック10のXY方向の位置を検出する。中心点座標決定部74は、レーザー測長系制御装置40が検出したチャック10のXY方向の位置から、基板1の露光を開始する前のチャック10の中心点のXY座標を決定する。図1において、光ビーム照射装置20からの光ビームにより基板1の走査を行う際、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、Xステージ5によりチャック10をX方向へ移動させる。基板1の走査領域を移動する際、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、Yステージ7によりチャック10をY方向へ移動させる。図7において、中心点座標決定部74は、エンコーダ32,34からのパルス信号をカウントして、Xステージ5のX方向への移動量及びYステージ7のY方向への移動量を検出し、チャック10の中心点のXY座標を決定する。
【0041】
座標決定部75は、中心点座標決定部74が決定したチャック10の中心点のXY座標に基づき、各光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ供給する描画データのXY座標を決定する。メモリ72は、座標決定部75が決定したXY座標をアドレスとして入力し、入力したXY座標のアドレスに記憶された描画データを、各光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ出力する。
【0042】
以下、本発明の一実施の形態による配向膜の露光方法について説明する。図4において、第1の照明光学系から供給される光ビームと、第2の照明光学系から供給される光ビームとは、それぞれ異なる入射角度でDMD25へ入射する。DMD25の複数のミラー25aは、各照明光学系に対応する2つの領域に分割されている。図8は、DMDの分割された領域を示す図である。図8において、DMD25の複数のミラー25aは、2つの領域A,Bに分割されており、領域Aには、第1の照明光学系から供給される光ビームが照射され、領域Bには、第2の照明光学系から供給される光ビームが照射される。
【0043】
図9は、本発明の一実施の形態による配向膜の露光方法を説明する図である。本実施の形態は、露光光のパターンや基板に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響しない場合の例である。光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響しない場合、光ビーム照射装置20は、第1の照明光学系及び第2の照明光学系からDMD25の対応する領域A,Bへそれぞれ異なる入射角度の光ビームを同時に供給する。
【0044】
図9において、第1の照明光学系からDMD25の対応する領域Aへ供給された光ビームは、領域Aの各ミラー25aにより反射されて、右斜め上方から、投影レンズ26aへその光軸に対して斜めに入射する。そして、投影レンズ26bを通過した光ビームは、チャック10に支持された基板1に対して、左斜め上方から照射される。また、第2の照明光学系からDMD25の対応する領域Bへ供給された光ビームは、領域Bの各ミラー25aにより反射されて、左斜め上方から、投影レンズ26aへその光軸に対して斜めに入射する。そして、投影レンズ26bを通過した光ビームは、チャック10に支持された基板1に対して、右斜め上方から照射される。露光装置は、チャック10と光ビーム照射装置20とを相対的に移動し、光ビーム照射装置20から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板1を矢印で示す走査方向へ走査する。
【0045】
光ビーム照射装置20から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板1を走査して、基板1に塗布された配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与するので、光ビーム照射装置20のDMD25を駆動するDMD駆動回路27へ供給する描画データを変更して、所望の位置及び所望の形状の配向領域を露光することができる。従って、マスクを用いることなく、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成することができる。
【0046】
そして、光ビーム照射装置20に、それぞれ異なる入射角度の光ビームをDMD25へ供給する複数の照明光学系を設け、各照明光学系から供給した異なる入射角度の光ビームをDMD25によりそれぞれ変調して、投影レンズ26bからチャック10に支持された基板1へ複数の異なる入射角度の光ビームを照射するので、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成する際、各配向領域を露光する度に基板をチャックから取り外して基板の向きを回転させる必要が無い。従って、タクトタイムが短縮されて、スループットが向上する。
【0047】
さらに、DMD25の複数のミラー25aを各照明光学系に対応する複数の領域に分割し、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを供給するので、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを同時に供給し、異なる入射角度の光ビームをDMD25の対応する領域により同時に変調して、投影レンズ26bからチャック10に支持された基板1の異なる場所へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを同時に照射することができる。従って、露光光のパターンや基板1に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板1の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響しない場合、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を同時に形成することができる。
【0048】
図10及び図11は、本発明の他の実施の形態による配向膜の露光方法を説明する図である。本実施の形態は、露光光のパターンや基板に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響する場合の例である。光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響する場合、光ビーム照射装置20は、第1の照明光学系と第2の照明光学系を切り換えて、DMD25の対応する領域A,Bへそれぞれ異なる入射角度の光ビームを順番に供給する。
【0049】
図10において、主制御装置70は、レーザー光源ユニット21aをオン状態にし、レーザー光源ユニット21bをオフ状態にする。第1の照明光学系からDMD25の対応する領域Aへ供給された光ビームは、領域Aの各ミラー25aにより反射されて、右斜め上方から、投影レンズ26aへその光軸に対して斜めに入射する。そして、投影レンズ26bを通過した光ビームは、チャック10に支持された基板1に対して、左斜め上方から照射される。露光装置は、チャック10と光ビーム照射装置20とを相対的に移動し、光ビーム照射装置20から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板1を矢印で示す走査方向へ走査する。このとき、露光光のパターンや基板1に塗布された配向膜の性質等に応じて、プレチルト方向が露光光の進行方向に沿う場合、基板1の配向膜には、プレチルト方向が図面右側となる配向特性が付与される。また、プレチルト方向が露光光の進行方向と逆方向に沿う場合、基板1の配向膜には、プレチルト方向が図面左側となる配向特性が付与される。
【0050】
図11において、主制御装置70は、レーザー光源ユニット21aをオフ状態にし、レーザー光源ユニット21bをオン状態にする。第2の照明光学系からDMD25の対応する領域Bへ供給された光ビームは、領域Bの各ミラー25aにより反射されて、左斜め上方から、投影レンズ26aへその光軸に対して斜めに入射する。そして、投影レンズ26bを通過した光ビームは、チャック10に支持された基板1に対して、右斜め上方から照射される。露光装置は、チャック10と光ビーム照射装置20とを相対的に移動し、光ビーム照射装置20から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板1を矢印で示す走査方向へ走査する。このとき、露光光のパターンや基板1に塗布された配向膜の性質等に応じて、プレチルト方向が露光光の進行方向に沿う場合、基板1の配向膜には、プレチルト方向が図面左側となる配向特性が付与される。また、プレチルト方向が露光光の進行方向と逆方向に沿う場合、基板1の配向膜には、プレチルト方向が図面右側となる配向特性が付与される。
【0051】
なお、光ビームを基板1へ照射する方向と、光ビームによる基板1の走査方向の組合せは、図10及び図11に示した例に限らず、露光光のパターンや基板1に塗布された配向膜の性質等に応じて、適宜決定される。
【0052】
光ビーム照射装置20の複数の照明光学系を切り換えて、チャック10に支持された基板1へ照射される光ビームの方向を変え、かつ、光ビームの方向の変更と、チャック10と光ビーム照射装置20との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、配向膜に付与する配向特性のプレチルト方向を変更するので、露光光のパターンや基板に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板1の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響する場合、光ビームの方向の変更と、チャック10と光ビーム照射装置20との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、所望のプレチルト方向を得ることができる。
【0053】
なお、以上説明した実施の形態では、基板の配向膜にプレチルト方向が180度異なる2種類の配向領域群を形成していたが、プレチルト方向がほぼ90度ずつ異なる4種類の配向領域群を形成する場合には、図9、または図10及び図11に示す様にして光ビームによる基板の走査を行った後、基板をほぼ90度回転させてから、再び、図9、または図10及び図11に示す様にして光ビームによる基板の走査を行えばよい。
【0054】
図12は、本発明のさらに他の実施の形態による光ビーム照射装置の概略構成を示す図である。また、図13は、本発明のさらに他の実施の形態による光ビーム照射装置の上面図である。本実施の形態の光ビーム照射装置20’は、光ビームをDMDへ供給する照明光学系を4つ有するものである。各照明光学系は、光ファイバー22、レンズ23、ミラー24、及び偏光子28を含んで構成されている。ミラー24及び偏光子28は、各照明光学系で共用されている。
【0055】
4つの照明光学系は、図12の図面上下方向に2つ、図12の図面奥行き方向に2つ並んでおり、図12には、図面手前側の2つの照明光学系が示されている。また、図13には、図12の図面上側の2つの照明光学系が示されている。各照明光学系の光ファイバー22は、各レーザー光源ユニット21から発生された紫外光の光ビームを、光ビーム照射装置20’内へ導入する。各光ファイバー22から射出された光ビームは、各レンズ23を透過した後、偏光子28を透過して直線偏光となり、ミラー24で反射されてDMD25へ照射される。各照明光学系は、図12及び図13に示す様に、それぞれ異なる入射角度の光ビームをDMD25へ供給する。
【0056】
DMD25の複数のミラー25aは、各照明光学系に対応する4つの領域に分割されている。図14は、DMDの分割された領域を示す図である。図14において、DMD25の複数のミラー25aは、破線で示す4つの領域に分割されており、各領域の各ミラー25aで反射された光ビームは、投影レンズ26a,26bを通過した後、チャック10に支持された基板1に対して、矢印で示す様にほぼ90度ずつ異なる方向で斜めに照射される。
【0057】
図15は、本発明のさらに他の実施の形態による配向膜の露光方法を説明する図である。本実施の形態は、露光光のパターンや基板に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響しない場合の例である。光ビームによる基板の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響しない場合は、光ビーム照射装置20’は、各照明光学系からDMD25の対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを同時に供給する。露光装置は、チャック10と光ビーム照射装置20’とを相対的に移動し、光ビーム照射装置20’から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板1を矢印で示す走査方向へ走査する。
【0058】
光ビーム照射装置20’に、それぞれ異なる入射角度の光ビームをDMD25へ供給する4つの照明光学系を設け、DMD25の複数のミラー25aを各照明光学系に対応する4つの領域に分割し、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを同時に供給し、異なる入射角度の光ビームをDMD25の対応する領域により同時に変調して、投影レンズ26bからチャック10に支持された基板1へ4つの異なる入射角度の光ビームを照射するので、1つの基板上の配向膜に4つ異なる配向領域を同時に形成することができる。
【0059】
なお、以上説明した実施の形態では、プレチルト方向が基板の長辺又は短辺に平行であったが、表示用パネルの特性として、プレチルト方向を基板の長辺又は短辺に対して斜めにする必要がある場合は、基板をXY方向に対して回転させた状態で光ビームによる基板の走査を行うことにより、所望のプレチルト方向を得ることができる。
【0060】
以上説明した実施の形態によれば、光ビーム照射装置20,20’から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板1を走査して、基板1に塗布された配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与することにより、光ビーム照射装置20,20’のDMD25を駆動するDMD駆動回路27へ供給する描画データを変更して、所望の位置及び所望の形状の配向領域を露光することができる。従って、マスクを用いることなく、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成することができる。
【0061】
そして、光ビーム照射装置20,20’に、それぞれ異なる入射角度の光ビームをDMD25へ供給する複数の照明光学系を設け、各照明光学系から供給した異なる入射角度の光ビームをDMD25によりそれぞれ変調して、投影レンズ26bからチャック10に支持された基板1へ複数の異なる入射角度の光ビームを照射することにより、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を形成する際、タクトタイムを短縮して、スループットを向上させることができる。
【0062】
さらに、図9及び図15に示した実施の形態によれば、DMD25の複数のミラー25aを各照明光学系に対応する複数の領域に分割し、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを供給することにより、露光光のパターンや基板に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板1の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響しない場合、1つの基板上の配向膜に複数の異なる配向領域を同時に形成することができる。
【0063】
また、図10及び図11に示した実施の形態によれば、光ビーム照射装置20の複数の照明光学系を切り換えて、チャック10に支持された基板1へ照射される光ビームの方向を変え、かつ、光ビームの方向の変更と、チャック10と光ビーム照射装置20との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、配向膜に付与する配向特性のプレチルト方向を変更することにより、露光光のパターンや基板1に塗布された配向膜の性質等に応じて、光ビームによる基板1の走査方向が配向膜に付与される配向特性のプレチルト方向に影響する場合、光ビームの方向の変更と、チャック10と光ビーム照射装置20との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、所望のプレチルト方向を得ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 基板
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
10 チャック
11 ゲート
20,20’ 光ビーム照射装置
20a ヘッド部
21,21a,21b レーザー光源ユニット
22,22a,22b 光ファイバー
23,23a,23b レンズ
24 ミラー
25 DMD(Digital Micromirror Device)
26a,26b 投影レンズ
27 DMD駆動回路
28 偏光子
29 プリズム
31,33 リニアスケール
32,34 エンコーダ
40 レーザー測長系制御装置
41 レーザー光源
42,44 レーザー干渉計
43,45 バーミラー
60 ステージ駆動回路
70 主制御装置
71 描画制御部
72 メモリ
73 バンド幅設定部
74 中心点座標決定部
75 座標決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するチャックと、
二方向に配列した複数のミラーの角度を変更して光ビームを変調する空間的光変調器、描画データに基づいて空間的光変調器を駆動する駆動回路、及び空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を有し、照射光学系から前記チャックに支持された基板へ直線偏光の光ビームを斜めに照射する光ビーム照射装置と、
前記チャックと前記光ビーム照射装置とを相対的に移動する移動手段とを備え、
前記移動手段により前記チャックと前記光ビーム照射装置とを相対的に移動し、前記光ビーム照射装置から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板を走査して、基板に塗布された配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与する配向膜の露光装置であって、
前記光ビーム照射装置は、それぞれ異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器へ供給する複数の照明光学系を有し、各照明光学系から供給された異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器によりそれぞれ変調して、照射光学系から前記チャックに支持された基板へ複数の異なる入射角度の光ビームを照射することを特徴とする配向膜の露光装置。
【請求項2】
前記光ビーム照射装置は、空間的光変調器の複数のミラーを各照明光学系に対応する複数の領域に分割し、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを供給することを特徴とする請求項1に記載の配向膜の露光装置。
【請求項3】
前記光ビーム照射装置の複数の照明光学系を切り換えて、前記チャックに支持された基板へ照射される光ビームの方向を変え、かつ、光ビームの方向の変更と、前記移動手段による前記チャックと前記光ビーム照射装置との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、配向膜に付与する配向特性のプレチルト方向を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配向膜の露光装置。
【請求項4】
基板をチャックで支持し、
チャックと、二方向に配列した複数のミラーの角度を変更して光ビームを変調する空間的光変調器、描画データに基づいて空間的光変調器を駆動する駆動回路、及び空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を有し、照射光学系からチャックに支持された基板へ直線偏光の光ビームを斜めに照射する光ビーム照射装置とを、相対的に移動し、
光ビーム照射装置から斜めに照射された直線偏光の光ビームにより基板を走査して、基板に塗布された配向膜に液晶の配列方向を整える配向特性を付与する配向膜の露光方法であって、
光ビーム照射装置に、それぞれ異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器へ供給する複数の照明光学系を設け、各照明光学系から供給した異なる入射角度の光ビームを空間的光変調器によりそれぞれ変調して、照射光学系からチャックに支持された基板へ複数の異なる入射角度の光ビームを照射することを特徴とする配向膜の露光方法。
【請求項5】
空間的光変調器の複数のミラーを各照明光学系に対応する複数の領域に分割し、各照明光学系から対応する領域へそれぞれ異なる入射角度の光ビームを供給することを特徴とする請求項4に記載の配向膜の露光方法。
【請求項6】
光ビーム照射装置の複数の照明光学系を切り換えて、チャックに支持された基板へ照射される光ビームの方向を変え、かつ、光ビームの方向の変更と、チャックと光ビーム照射装置との相対的な移動方向の変更とを組み合わせて、配向膜に付与する配向特性のプレチルト方向を変更することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の配向膜の露光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−145899(P2012−145899A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6334(P2011−6334)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】