説明

露天床

【課題】 露天床自体の適正な強度実現を図りながら、遮熱効果が期待できる露天床の提供。
【解決手段】 合成樹脂製の座板と該座板の上面で成形硬化され同上面に層着された表面材とを有し、座板の下面に該座板を支持する多数の支持脚を突設して、床下地面に該支持脚を介して上記座板と同床下地面間に連続した空隙を画成して敷設される露天床において、上記表面材はセメントと骨材とを混練したセメント混練材から成り、該セメント混練材に中空球状のフライアッシュを配合することにより、露天床自体の強度を図りながら、表面材の遮熱効果が期待できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、家屋やビルなどの太陽光線を直に受けるベランダ・バルコニー・屋上などに連続して敷設される露天床に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種露天床は、具体的には図示しないが、略方形の合成樹脂製の座板と該座板の上面で成形硬化され同上面に層着された表面材とを有し、該座板の上面には表面材中に埋設される多数のアンカーを突設し、座板の下面には露天床自体を支持する多数の支持脚を突設して、太陽光線を直に受けるベランダなどの床下地面に上記座板と同床下地面間に連続した空隙を画成して敷設されるものであるが、上記表面材としては、一般に、セメントと細骨材を混練したセメント混練材が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−155956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この露天床は、その名の通り、ベランダやバルコニーや屋上などで、外気に照らされてその床下地面に敷設される関係で、特に、真夏には、太陽光線を受けて昇温して熱くなるので、ピーク時には、歩行が困難となる恐れもあった。そこで、近年は安価な価格で、ベランダなどの床下地面を紫外線や熱劣化から保護しながら、温度上昇を効果的に軽減できる露天床の出現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、斯かる従来の露天床が抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、合成樹脂製の座板と該座板の上面で成形硬化され同上面に層着された表面材とを有し、座板の下面に該座板を支持する多数の支持脚を突設して、床下地面に該支持脚を介して上記座板と同床下地面間に連続した空隙を画成して敷設される露天床において、上記表面材はセメントと骨材とを混練したセメント混練材から成り、該セメント混練材に中空球状のフライアッシュを配合したことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1を前提として、上記骨材として砂を用い、該砂の容積比の25%〜35%を上記中空球状のフライアッシュに置換したことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1乃至請求項2を前提として、上記座板の上面に表面材中に埋設される多数のアンカーを突設したことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3を前提として、上記表面材の上面に目地溝が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項3を前提として、上記表面材の上面に目地溝が形成されていないことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5を前提として、上記座板は窓を有し、該窓内にフライアッシュが配合された断熱層が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
依って、請求項1記載の発明にあっては、セメント混練材中に中空球状のフライアッシュを配合した関係で、露天床自体の適正な強度実現を図りながら、甚大な遮熱効果を有する露天床を提供できる。しかも、露天床の表面においても裏面においても温度の低減が可能となるが、露天床自体は床下地面に空隙を画成して敷設されるので、この空隙の通気効果と相乗して、温度の低下が一層可能となる。
【0012】
請求項2記載の発明にあっては、セメントと一緒に混練される骨材たる砂の容積比の25%〜35%を中空球状のフライアッシュに置換した関係で、特に、真夏のピーク時には、露天床の表面温度でも裏面温度でも、露天床自体の強度を図りながら、大幅な温度低減が期待できる。
【0013】
請求項3記載の発明にあっては、中空球状のフライアッシュが配合された硬化前のセメント混練材は流動性が向上する関係で、各種形状のアンカーに入り込み易いので、座板と表面材の結合が強固となる。
【0014】
請求項4記載の発明にあっては、表面材の上面に目地溝が形成されている関係で、床下地面に不陸が発生しているような場合には、踏圧などで、表面材が目地溝から割れて、該不陸に追随できるので、簡単に不陸を吸収できる。
【0015】
請求項5記載の発明にあっては、表面材の上面に目地溝が形成されていない関係で、不陸に対してはそれ程の吸収性はないが、座板の熱による収縮が抑制できる。
【0016】
請求項6記載の発明にあっては、窓の存在により、座板の面積が少なくなって、該窓内にフライアッシュが配合された断熱層を形成するので、この点からも、温度低減が大いに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】座板の平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】座板の底面図である。
【図4】座板に表面材を層着した露天床の底面図である。
【図5】図4におけるB−B線断面図である。
【図6】座板に目地溝を形成した表面材を層着した露天床の平面図である。
【図7】図6におけるC−C線断面図である。
【図8】座板に表面材を層着した露天床の平面図である。
【図9】図8におけるD−D線断面図である。
【図10】露天床を床下地面に連続して敷設した状態を示す断面図である。
【図11】連結具の平面図である。
【図12】連結具による露天床の連結部を示す底面図である。
【図13】図12におけるE−E線断面図である。
【図14】図12におけるF−F線断面図である。
【図15】A・Bは硬化前表面材中に座板のアンカーを埋設する工程を説明する断面図である。
【図16】フライアッシュを示す説明図である。
【図17】A・Bは材質別比較表面温度表である。
【図18】A・Bは材質別比較裏面温度表である。
【図19】A・Bは配合別比較表面温度表である。
【図20】フライアッシュの貧配合と富配合を示す要部拡大説明図である。
【図21】座板の連結窓に断熱層が形成された状態を示す要部拡大説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、露天床の表面材を成形するセメント混練材中に中空球状のフライアッシュを配合することにより、太陽光線を直に受けるベランダなどの床下地面に敷設される露天床の適正な強度を図りつつ、露天床自体の温度上昇を効果的に低減せんとするものである。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を図示する好適な実施例に基づいて詳述すれば、該実施例に係る露天床は、図1乃至図5に示す如く、略方形で且つ平板の一体成形構造を有する合成樹脂製の座板1と、該座板1の上面で成形硬化され同上面に層着されたセメント混練材から成る表面材2とを有して、太陽光線を直に受けるベランダなどの床下地面に連続して敷設されるものである。尚、上記セメント混練材とは、セメントと細骨材たる砂を混練したものであり、砂としては、御影石や石灰石に代表される鉱石の砕砂を使用する。
【0020】
上記表面材2は、合成樹脂製座板1の上面において成形硬化して同上面に層着したものであり、該表面材2の層着に際しては、座板1の上面から一体且つ垂直に突出する多数のアンカー3を硬化前の表面材2中に埋設して、該表面材2と座板1とを連結する。
【0021】
又、上記座板1の下面から一体に突出せる多数の支持脚6を設け、図10に示す如く、該各支持脚6を以って、座板1を床下地面17に多点支持し、座板1を該支持脚6によって上記床下地面17に対して浮かし支持して、座板1と床下地面17間に連続した通気用の空隙18を画成する。
【0022】
上記表面材2の成形方法と構造について説明すると、図15に示す如く、硬化前表面材2(硬化前セメント混練材)を表面材成形型10内に充填して同表面材2を成形すると共に、表面材成形型10の開放面(表面材2の下面に相当する開放面)に上記座板1のアンカー3を押し込んで硬化前表面材2内に埋設しながら、同座板1の上面を硬化前表面材2の下面に密着し、これにより、座板1と該座板1の上面において成形し硬化された表面材2を有する上記露天床を得る。露天床の脱型前又は脱型後に自然乾燥又は熱風乾燥して上記硬化を促す。
【0023】
上記表面材成形型10には凹型(開放型)から成るゴム型又は合成樹脂フィルム型などを用いる。該型10によって表面材2の外形(輪郭)と表面模様を成形すると共に、図6・図7に示す如く、必要に応じ、該表面材2の上面に縦方向又は/及び横方向に延びる目地溝11を付形して、外観上、該目地溝11によって表面材2を複数の区分に区画するか、或いは、図8・図9に示す如く、この目地溝11を施さずに、全体が平滑な表面材2を成形する。
【0024】
又、図2・図3に示す如く、上記支持脚6群は、座板1の下面から下方へ突出されて、その一部は座板1の辺縁部下面から下方へ突出されている。この支持脚6は、上記座板1の辺縁部に沿って等間隔に複数配置する。
【0025】
上記構成に加えて、座板1の全面に上下面を貫通し硬化前の表面材2を流入せしめる多数の結合窓8を配置し、上記アンカー3を硬化前表面材2内へ埋設するにあたり、該各結合窓8内へも硬化前表面材2を浸入せしめ、表面材2と座板1との一体結合を強化する。
【0026】
上記硬化前表面材2は、座板1の上面の略全面を覆うと共に、上記各結合窓8の内周壁面を覆って座板1の下面を露出せしめ、該露出した座板1の下面から上記支持脚6が突出する。
【0027】
座板1は、座板1の辺縁部たる外枠部1´と、該外枠部1´の内域に配設された縦方向・横方向・斜め方向の平板ビーム13で上記結合窓8を画成する。
【0028】
上記外枠部1´、平板ビーム13、アンカー3、支持脚6を有する座板1は、合成樹脂にて一体成形する。この合成樹脂としては、温度変化による変形が少なく静電気帯電が少ないポリアセタールが適材である。
【0029】
図10に示す如く、上記方形の露天床をもって床下地面17に縦横に多数置き敷きしつつ連結具36を用い連結して、前記空隙18を有する広面積の床構造を形成する。
【0030】
連結具36は上記各露天床の四辺において隣接する各露天床と互いに連結される。以下、図11乃至図14に基づいて連結具36を用いた連結構造を説明する。
【0031】
上記隣接する一方の露天床の下面に配置された支持脚6群中、座板1の辺縁部下面に配置された第一支持脚6に上下方向の遊び29を存して第一連結リング30を外嵌めし、同様に、他方の露天床の座板1の辺縁部下面に配置された第二支持脚6に上下方向の遊び29を存して第二連結リング31を外嵌めし、上記第一連結リング30と第二連結リング31を互いに連結した構造にする。
【0032】
詳しくは、上記第一連結リング30は、上記第一支持脚6に対し上下方向の遊び29に加え、横方向の遊び32を存して外嵌めし、上記第二連結リング31は、上記第二支持脚6に対し上下方向の遊び29に加え、横方向の遊び32を存して外嵌めし、上下方向と横方向の移動を許容する。
【0033】
又、上記第一・第二支持脚6の外面に係止爪23aを突設し、上記第一・第二連結リング30・31の内面に被係止爪22aを突設し、上記係止爪23aと被係止爪22aとを上下方向の遊び29を存して係合可能に配置する。
【0034】
即ち、上記係止爪23aが被係止爪22aを強制的に乗り越えて、第一・第二支持脚6に第一・第二連結リング30・31が外嵌めされ、係止爪23aと被係止爪22aとは該外嵌め時に上下に遊間を存して配置されて、該遊間によって上記上下方向の遊び29の下限を設定する。又、遊び29の上限は、連結具36の上面が座板下面に面当たりすることによって設定される。
【0035】
上記第一・第二連結リング30・31は上記遊び29の範囲で上下動が許容され、遊び29を解消する下方移動によって、係止爪23aと被係止爪22aとが係合状態となる。
【0036】
上記座板1の辺縁部に支持脚6を設ける具体例としては、図1乃至図3に示す如く、座板1の辺縁部に外側方向へ向け突出した複数の連結片20を辺縁部長手方向に沿い等間隔をおいて配設し、上記隣接する一方の露天床の連結片20下面に配置された第一支持脚6に第一連結リング30を外嵌めし、同様に、他方の露天床の連結片20下面に配置された第二支持脚6に第二連結リング31を外嵌めした構造にする。
【0037】
そして、上記第一連結リング30対の外側リング部分を第一アーム33で連結し、上記第二連結リング31対の外側リング部分を第二アーム34で連結し、更に、上記第一連結リング30対を連結する第一アーム33一端の第一連結リング30と上記第二連結リング31対を連結する第二アーム34一端の第二連結リング31とを内側リング部分で結合35し、上記第一連結リング30対を第一アーム33他端の第一連結リング30と上記第二連結リング31対を連結する第二アーム34他端の第二連結リング31とを内側リング部分で結合35した構造にする。
【0038】
従って、上記連結具36は、離間して配した2個一対の第一連結リング30対と、離間して配した2個一対の第二連結リング31対とを有し、計4個の連結リング30・31を有することとなる。
【0039】
上記第一・第二連結リング30・31と第一・第二アーム33・34と結合部35を備えた連結具36は合成樹脂で一体成形する。
【0040】
又、図13に示す如く、上記支持脚6、即ち、第一・第二支持脚6には中央を通る割溝37を設けて、該割溝37によって、第一・第二連結リング30・31の被係止爪22aが支持脚6の係止爪23aを乗り越えて嵌合する時に、径方向に縮閉可能とし、上記嵌合を容易とする。
【0041】
そして、本実施例にあっては、斯かる構造の露天床を前提として、上記したセメント混練材のセメントと砂(細骨材)の配合中に、該砂の容積比の30%を中空球状のフライアッシュ41に置換して配合し、これらセメントと砂とフライアッシュ41とを一緒に混練したセメント混練材で表面材2を成形するものである。
【0042】
このフライアッシュ41には、東京都品川区大崎一丁目2番2号アートヴィレッジ大崎セントラルタワー12階に住所を有する巴工業株式会社が製造・販売する商品名「セノライト」を使用した。当該商品名の「セノライト」は、図16に示す如く、シリカ・アルミナを主成分とする無機の中空バルーンで、軽量骨材として使用されているものであり、その平均粒子径は85.06μmである。
【0043】
尚、配合比は、従来品にあっては、セメント1kgに対して砂が2.5kg(6.5L)〜3.5kg(9.1L)配合されていたが、本実施例品にあっては、セメント1kgに対して砂を1.75kg(4.55L)〜2.45kg(6.37L)、フライアッシュ41を0.75kg(1.95L)〜1.05kg(2.73L)配合した。
【0044】
そこで、当該フライアッシュ41が配合されていない従来の露天床と、フライアッシュ41が配合された本実施例の露天床との遮熱効果を比較するために、各表面材2の表面にサーモレコーダーのセンサー部分を設置すると共に、同表面材2の裏面に同じくサーモレコーダーのセンサー部分を設置して、表面材2の温度をハンディタイプの赤外線放射温度計を用いて、9時・10時・11時・12時・13時・14時・15時・16時での数値を測定した。尚、この場合に、露天床としては、セメント混練材で表面材2を成形する他に、座板1の上面にタイルから成る表面材2を層着したものもあるので、このタイル製の表面材2も測定の対象に加えた。
【0045】
その結果、表面材2の表面温度については図17に示す測定値が得られ、表面材2の裏面温度については図18に示す測定値が得られた。尚、各図において、A線は外気温、B線は本実施例品、C線は標準の従来品、D線はタイル貼りの従来品である。
【0046】
各図の測定数値を検討すると、表面材2の表面側では、ピーク時に、タイル貼りの従来品と標準の従来品では50℃又は50℃を越えているのに対して、本実施例品では45℃を下回っている。又、表面材2の裏面側では、ピーク時に、タイル貼りの従来品と標準の従来品では50℃又は45℃を若干下回っているが、本実施例品では40℃であった。これにより、表面材2の表面側でも裏面側でも、本実施例品に係る露天床の方が遮熱効果に優っていることが判明した。しかも、この場合には、露天床自体は床下地面17に空隙18を画成して敷設されるので、この空隙18の通気効果と相乗して、温度の低下が一層期待できる訳である。
【0047】
次に、上記した測定結果は細骨材たる砂の容積比の30%を中空球状のフライアッシュ41に置換したものであるが、今度は、この置換量30%を含め、置換量が25%と40%のものを加えて測定したら、図19に示す結果が得られた。尚、この図において、A線は外気温、X線は置換量25%、Y線は置換量40%、Z線は置換量30%である。
【0048】
この容積比別の測定数値を検討すると、三者は殆ど変らぬ数値を示しているが、置換量25%のものが若干遮熱効果が低いことが判明した。従って、遮熱効果だけを見れば、置換量40%の方が置換量25%のものより遮熱効果が期待できる。
【0049】
そこで、今度は、露天床自体の強度を見るために、フライアッシュ41の置換量が20%のものと同置換量30%のものと同置換量40%のものを用意して、各露天床の強度を測定したら、置換量20%では50N/mm、置換量30%では35N/mm、置換量40%では18N/mmの結果が得られたので、これにより、露天床自体の適正な強度実現を図りながら、有効な遮熱効果を期待するためには、置換量が25%〜35%の範囲内が良好であることが判明し、その中でも、置換量30%のものが強度と遮熱効果が最も期待できることを認識した。
【0050】
依って、本実施例に係る露天床を太陽光線で直に照らされるベランダなどの床下地面17に連続して敷設すれば、それが表面側でも裏面側でも上記した実験結果の遮熱効果を得て、露天床自体の適正な強度を図りつつ、露天床自体の温度上昇を低減せしめることが可能となるが、特に、この場合には、露天床自体は床下地面17に空隙18を画成して敷設されるので、この空隙18の通気効果と相乗して、温度の低下が大いに期待できる。
【0051】
又、中空球状のフライアッシュ41が配合された硬化前の表面材2は流動性が向上するので、該硬化前表面材2は上記したアンカー3内に入り込んで、アンカー効果を得て、座板1と表面材2との結合をより強固にすることができる。
【0052】
更に、これはフライアッシュ41とは直接関係するものではないが、図6・図7に示すように、表面材2の上面に目地溝11を形成すれば、床下地面17に不陸が発生しているような場合には、踏圧などで、表面材2が目地溝11から割れて、該不陸に追随できるので、簡単に不陸を吸収でき、図8・図9に示すように、表面材2の上面に目地溝11を形成しなければ、不陸に対してはそれ程の吸収性はないが、座板1の熱による収縮が抑制できる利点がある。
【0053】
又、このフライアッシュ41が配合された表面材2を座板1の上面に成形硬化する場合に、上記した表面材成形型10にバイブレーションを加えると、図20に示す如く、硬化前表面材2の中で多くのフライアッシュ41が浮上して、座板1側が富配合となり、表面材2の上面側が貧配合となるので、表面材2の上面側では、フライアッシュ41の配合量が少ない関係で、座板1側よりも固く歩行や衝撃に強くなり、且つ、アンカー3の上端部がこの強度の高い貧配合層に入り込んで、表面材2との一体化を一層強固となし、座板1側では、フライアッシュ41の配合量が多い関係で、座板1側の温度上昇を抑えて、座板1の寸法変化を抑制できる利点がある。
【0054】
この結果、図21に示す如く、硬化前の表面材2が流入される座板1の各結合窓8内にはフライアッシュ41が富配合されて、各結合窓8ごとで断熱層2aを形成することとなるので、断熱効果が一層期待できることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、表面材を成形するセメント混練材中に中空球状のフライアッシュを配合した関係で、露天床自体の適正な強度を図りつつ、露天床自体の温度上昇を低減せしめることが可能となるので、これを太陽光線に照らされるベランダ、バルコニー、屋上等で使用される露天床に応用すれば、頗る好都合なものとなる。
【符号の説明】
【0056】
1 座板
1´ 外枠部
2 表面材
2a 断熱層
3 アンカー
6 支持脚
8 結合窓(窓)
10 表面材成形型
11 目地溝
13 平板ビーム
17 床下地面
18 空隙
20 連結片
22a 被係止爪
23a 係止爪
29 上下方向の遊び
30 第一連結リング
31 第二連結リング
32 横方向の遊び
33 第一アーム
34 第二アーム
35 内側リング部分の結合部
36 連結具
37 割溝
41 フライアッシュ
A線 外気温
B線 実施例品
C線 標準の従来品
D線 タイル貼り従来品
X線 置換量25%
Y線 置換量40%
Z線 置換量30%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の座板と該座板の上面で成形硬化され同上面に層着された表面材とを有し、座板の下面に該座板を支持する多数の支持脚を突設して、床下地面に該支持脚を介して上記座板と同床下地面間に連続した空隙を画成して敷設される露天床において、上記表面材はセメントと骨材とを混練したセメント混練材から成り、該セメント混練材に中空球状のフライアッシュを配合したことを特徴とする露天床。
【請求項2】
上記骨材として砂を用い、該砂の容積比の25%〜35%を上記中空球状のフライアッシュに置換したことを特徴とする請求項1記載の露天床。
【請求項3】
上記座板の上面に表面材中に埋設される多数のアンカーを突設したことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の露天床。
【請求項4】
上記表面材の上面に目地溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の露天床。
【請求項5】
上記表面材の上面に目地溝が形成されていないことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の露天床。
【請求項6】
上記座板は窓を有し、該窓内にフライアッシュが配合された断熱層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の露天床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−46934(P2012−46934A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189030(P2010−189030)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(591281459)マックストン株式会社 (25)
【Fターム(参考)】