説明

青色レーザーを使用して書き込みが可能な光学記録材料

本発明は、基体、記録層を含み、そして場合により1以上の反射層を含む光学記録媒体であって、該記録層が、式(I)の化合物(式中、GおよびGが、それぞれ互いに独立に、C(R)またはNであり;Mが、ランタニドまたは第4族〜第7族の遷移金属であり;Pがフタロシアニノジラジカルであり;R〜Rが明細書および特許請求の範囲に定義されたとおりの置換基である)、またはその互変異性もしくは共鳴異性体を含む、光学記録媒体に関する。記録および再生は、特に、350〜500nmの波長で、例えば青色レーザーを用いて行われる。記録および再生の品質は素晴らしく、高貯蔵密度を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた記録および再生特性、特に、350〜500nmの波長での記録および再生特性を有する新規な光学記録材料に関するものである。記録および再生は、同じ波長で、高感度で極めて都合よく行うことができ、達成できる記憶密度は、既知の材料の場合におけるよりも顕著に高い。更に、本発明による材料は、記録の前後で極めて良好な記憶性を有し、特に、過酷な状況、例えば、太陽光または蛍光灯、熱および/または高湿度への暴露等の下でさえも良好な記憶性を有する。更に、それらの製造は、通常のコーティング方法、例えば、回転塗布等を使用して簡単かつ容易に再生産可能である。
【0002】
フタロシアニンは、近赤外領域における光学記録に対するそれらの良好な性質で知られている。
【0003】
その目的に対して提案されている置換フタロシアニンとしては、その中心原子が、1以上の更なるリガンドに結合した三価以上の原子価の半金属または金属を含むものが挙げられる。例えば、JP−03/077840およびJP−03/100066は、フタロシアニン核の両側上の半金属または金属上にアシル基を有する、ケイ素および錫フタロシアニンをそれぞれに開示している。
【0004】
更に、JP−A−09/226248およびJP−A−09/226249は、また、中心元素としてチタン(実際にはTiO)およびジルコニムを開示し、JP−A−09/226249は、また、中心元素のアシルリガンドとしてオキサリル基を記載している。しかしながら、両方のケースは、ほとんどのユザーの要望に十分に合致しない取り扱いにくい可逆系を代表している。
【0005】
多くのその他の金属の中でも、EP0381211は、中心原子としてハフニウムを記載しているが、可能なリガンドについて全く指摘していない。SPIE Proceedings 3359,479−483(1998)は、ホールを、レーザーアブレーションまたは昇華により形成できる、PTFEにおける、非置換H−、VIVO−、HfII−またはLuII−フタロシアニン上に層を有する光学記録媒体を開示している。
【0006】
JP−A−61/246091は、HfIVOを含めて、中心原子としてオキソ−およびチオ−金属を有する高度に置換されたフタロシアニンは、近赤外範囲における記録に適することを開示している。
【0007】
フタロシアニンは、低波長においても最大吸収を示すが、それらは、一般に、より最新のシステム、例えば、DVD±R(635〜658nm)またはいわゆる「青色レーザー」(約405nm)等に適合性がほとんどない。WO−03/019548は、それでもなお、軸方向のハロゲン化物リガンドを伴うSi−、Ge−およびSn−フタロシアニンを提案している。それらの着色剤は、蒸着により適用しなければならず、その結果、適切な結晶変形で存在させることとなる。しかしながら、実用においては、回転塗布により適用され、可能な限り無定形である層を生成させる着色剤を有することが望ましい。
【0008】
更に、青色レーザーを使用して書き込みが可能な光学記録材料は、WO03/030158において開示されており、特に、ジ−トリメチルシロキシ−ジルコニウムフタロシアニンおよびジエトキシ−ルテニウムフタロシアニンが、昇華によりこの場合に適用される。しかしながら、WO03/030158においては、主要なのは着色剤ではなく、被覆層の厚さおよび開口数が重要である。
【0009】
本発明の根底にある問題は、高い情報密度、感度およびデータの信頼性を有する光学記録媒体を提供することであった。その様な記録媒体は、丈夫で、耐久性があり、使用が簡単でなければならない。更に、それは、大量生産品として製造のための費用が安く、かつできるだけ小さくて安価な装置を必要とするものでなかればならない。驚くべき解決手段は、しっかりと錯体化された重金属を有するフタロシアニンの使用であった。
【0010】
したがって、本発明は、基体、記録層を含み、そして場合により1以上の反射層を含む光学記録媒体であって、該記録層が、式
【0011】
【化8】

【0012】
[式中、
およびGは、それぞれ互いに独立に、C(R)またはNであり;
【0013】
は、ランタニドまたは第4族〜第10族の遷移金属であり;
【0014】
【化9】

【0015】
は、フタロシアニノジラジカルであり;
【0016】
およびQは、それぞれ互いに独立に、OまたはSであり;
【0017】
およびRは、それぞれ互いに独立に、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アルケニルもしくはC〜C12シクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり、またはC〜C10アリール、C〜Cヘテロアリール、C〜C12アラルキルもしくはC〜C12ヘテロアラルキル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
【0018】
およびRは、それぞれ互いに独立に、水素、ヒドロキシ、S−R、O−R、O−CO−R、OCOOR、NH、NH−R、NR、NHCOR、NRCOR10、NHCOOR、NRCOOR10、ウレイド、NR−CO−NHR10、またはC〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アルケニルもしくはC〜C12シクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり、またはC〜C10アリール、C〜Cヘテロアリール、C〜C12アラルキルもしくはC〜C12ヘテロアラルキル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
【0019】
各Rは、どれか他のRと独立に、水素、またはC〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アルケニルもしくはC〜C12シクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり、またはC〜C10アリール、C〜Cヘテロアリール、C〜C12アラルキルもしくはC〜C12ヘテロアラルキル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
【0020】
およびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、結合構成要素で結合でき、またはR、R、RおよびRの2つは、それぞれ、結合構成要素によって2つのその他のR、R、RおよびRの1つに結合して対を形成することができ、それぞれの結合構成要素は、直接結合であり、またはO、SもしくはN(R)ブリッジであり;または
【0021】
は、GのRと一緒になって、および/またはRは、GのRと一緒になって、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和もしくは芳香族5−または6−員環を形成し、該環は、場合により、1、2または3つの同じか異なるヘテロ原子の−O−、−S−、−N=または−N(R)−を含んでもよく、該環は、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されており;および/または
【0022】
は、GのRと一緒になって、および/またはRは、GのRと一緒になって、飽和もしくはモノ−もしくはポリ−不飽和5−または6−員環を形成し、該環は、場合により、1、2または3つの同じか異なるヘテロ原子の−O−、−S−、−N=または−N(R)−を含んでもよく、該環は、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されており;
【0023】
は、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R11、O−CO−R11、オキソ、S−R11、チオキソ、NH、NH−R11、NR1112、NH、NH11、NHR1112、NR111213、NR11−CO−R13、NR11COOR13、シアノ、ホルミル、COO−R11、カルボキシ、カルバモイル、CONH−R11、CONR1112、ウレイド、NH−CO−NHR13、NR11−CO−NHR13、ホスファト、P(=O)R1113、POR11OR13、OPR1113、OPR11OR13、P(=O)R11OR13、P(=O)OR11OR13、OP(=O)R11OR13、OP(=O)OR11OR13、OPO11、SO11、スルファト、スルホ、R14、N=N−R14、またはC〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、ハロゲンによりモノ−もしくはポリ−置換されている)であり;
【0024】
は、どれか他のRとは独立に、R15、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオシアノ、ヒドロキシ、S−R、O−R、O−CO−R、OCOOR、NH、NH−R、NR、NHCOR、NRCOR10、NHCOOR、NRCOOR10、ウレイド、NR−CO−NHR10、NH、NH、NHR、NR10、N=N−R15、N=CR、N=CR1617、C(R18)=NR、C(R18)=NR16、C(R18)=CR1617、CHO、CHOROR10、COR、CROROR10、CONH、CONHR、CONR、SO、SO、SONH、SONHR、SONR、COOH、COOR、B(OH)、B(OH)(OR)、B(OR)OR10、ホスファト、P(=O)R10、POROR10、P(=O)ROR10、P(=O)OROR10、OPR10、OPROR10、OP(=O)ROR10、OP(=O)OROR10、OPO、スルファト、スルホ、またはC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルキルチオ、C〜Cシクロアルキルチオ、C〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
【0025】
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、R15、R19−[O−C〜Cアルキレン]、R19−[NH−C〜Cアルキレン]、またはC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルもしくはC〜Cシクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている)であり;または
【0026】
共有窒素と一緒のRおよびRは、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンであり(それぞれは、非置換であるか、またはC〜Cアルキルで、1〜4置換されている);または
【0027】
およびR10は、同時に、C〜Cアルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cシクロアルケニレンであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている);
【0028】
11、R12およびR13は、それぞれ互いに独立に、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルケニル、R19−[O−C〜Cアルキレン]、R19−[NH−C〜Cアルキレン]、C〜C10アリール、C〜Cヘテロアリール、C〜C10アラルキルまたはC〜Cヘテロアラルキルであり;または
【0029】
共有窒素と一緒のR11およびR12は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンであり(それぞれは、非置換であるか、またはC〜Cアルキルで、1〜4置換されている);
【0030】
14は、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、C〜C12アラルキルまたはC〜C12ヘテロアラルキルであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている);
【0031】
15は、フェニル、C〜Cヘテロアリール、C〜CアラルキルまたはC〜Cヘテロアラルキルであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R20基で置換されている);
【0032】
16およびR17は、それぞれ互いに独立に、NR1112、CN、CONH、CONHR、CONRまたはCOORであり;
【0033】
18は、R15、水素、シアノ、ヒドロキシ、C〜C12アルコキシ、C〜C12シクロアルコキシ、C〜C12アルキルチオ、C〜C12シクロアルキルチオ、アミノ、NHR13、NR1112、ハロゲン、ニトロ、ホルミル、COO−R11、カルボキシ、カルバモイル、CONH−R11、CONR1112、またはC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルもしくはC〜Cシクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシまたはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている)であり;または
【0034】
およびR18は、同時に、C〜Cアルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cシクロアルケニレンであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシまたはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている);
【0035】
19は、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルカルボニルであり;
【0036】
20は、ニトロ、SONHR11、SONR1112、またはC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルキルチオ、C〜Cシクロアルキルチオ、C〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシまたはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている)であり;および
mは、1〜4の数である]の化合物またはその互変異性もしくは共鳴異性体を含む、光学記録媒体に関するものである。
【0037】
適切なランタニドおよび遷移金属は、例えば、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Mo、Ru、Ce、Pr、Tb、Hf、W、Re、Os、IrおよびPtである。III、IV、VまたはVI価の酸化状態において、本発明によるランタニドおよび遷移金属を使用することが特に有利であるが、リガンド−置換体とは関係なく、IV価の酸化状態、即ち、例えば、Ti4+、Zr4+またはHf4+、更に具体的には、Zr4+において使用することが常に好ましい。
【0038】
酸基、例えば、カルボキシ、スルホ、スルファトおよびホスファト等は、塩の形態、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはホスホニウム塩、例えば、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Fe2+、Co2+、Zn2+、Sn2+、La3+、NH、NH11、NH1112、NHR111213、NR111213、PR111213等、または、個々に参照が本明細書において明確にされる米国特許第6225024号に記載されている任意のカチオンB−1〜B−169であってもよいことが理解される。
【0039】
アンモニウムおよびホスホニウム基の具体的な例としては、アンモニウム、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、テトラメチルアンモニム、テトラエチルアンモニウム、テトロブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルエンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム、Primene 81−R(商標)、Rosin Amine D(商標)、ペンタデシルアンモニウム、Primene JM−T(商標)、テトラブチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、ブチルトリフェニルホスホニウムおよびエチルトリフェニルホスホニウムが挙げられる。
【0040】
ハロゲンは、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素であり、好ましくは、フッ素または塩素であり、特に、アルキル上のフッ素(例えば、トリフルオロメチル、α,α,α−トリフルオロエチルまたはペルフルオロアルキル基、例えば、ヘプタフルオロプロピル等)およびアリール、ヘテロアリール上またはアラルキルのアリール部分上もしくはヘテロアラルキルのヘテロアリール部分上の塩素である。
【0041】
アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびシクロアルケニルは、直鎖もしくは分岐、または単環もしくは多環であることができる。アルキルは、例えば、メチル、直鎖C〜C12アルキルまたは好ましくは分岐C〜C12アルキルである。アルケニルは、例えば、直鎖C〜C12アルケニルまたは好ましくは分岐C〜C12アルケニルである。
【0042】
したがって、本発明は、特にまた、分岐C〜C12アルキルもしくは分岐C〜C12アルケニルを含む式(I)の化合物、およびその様な化合物を含む光学記録材料に関するものである。したがって、C〜C12アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシルまたはドデシルである。C〜C12シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ツジル、ボルニル、1−アダマンチルまたは2−アダマンチルである。
【0043】
〜C12アルケニルまたはC〜C12シクロアルケニルは、それぞれに、モノ−またはポリ不飽和で、2以上の二重結合が、隔離されていてもよく、または共役されていてもよいC〜C12アルキルまたはC〜C12シクロアルキルであり、例えば、ビニル、2−プロペン−2−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル−、1,3−ブタジエン−2−イル−、2−シクロブテン−1−イル−、2−ペンテン−1−イル−、3−ペンテン−2−イル−、2−メチル−1−ブテン−3−イル−、2−メチル−3−ブテン−2−イル−、3−メチル−2−ブテン−1−イル−、1,4−ペンタジエン−3−イル−、2−シクロペンテン−1−イル−、2−シクロヘキセン−1−イル−、3−シクロヘキセン−1−イル−、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル−、1−p−メンテン−8−イル−、4(10)−ツジェン−10−イル−、2−ノルボルネン−1−イル−、2,5−ノルボルナジエン−1−イル−、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イル−またはヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニルもしくはドデセニルの様々な異性体であってもよい。
【0044】
〜C12アラルキルは、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチル−ベンジル、ω−フェニル−ブチルまたはω−フェニル−ヘキシルである。C〜C12アラルキルが置換される場合は、アラルキル基のアルキル部分およびアリール部分の両方が置換でき、どちらかと言えば後者が好ましい。
【0045】
〜C10アリールは、例えば、フェニル、ナフチルまたはビフェニリルである。
【0046】
〜Cヘテロアリールは、4n+2共役π−電子を有する不飽和または芳香族基であり、例えば、2−チエニル、2−フリル、2−ピリジル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、2−イミダゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリルまたは、チオフェン、フラン、ピリジン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリジンおよびベンゼン環から成る任意のその他の環系で、非置換もしくは、1〜6のエチル、メチル、エチレンおよび/またはメチレン置換基で置換されている、例えば、ベンゾトリアゾリル、ならびにN−ヘテロ環の場合においては、適用できる場合はそれらのN−オキシド形態にあるものである。
【0047】
〜C12ヘテロアラルキルは、例えば、C〜C11ヘテロアリールで置換されたC〜Cアルキルである。
【0048】
更に、アリールおよびアラルキルは、また、金属に結合した芳香族基、例えば、それ自体公知の、遷移金属のメタロセンの形態、更に具体的には、
【0049】
【化10】

【0050】
であることもできる。
【0051】
式(I)の化合物は、また、例えば、1以上のスルホネート基が存在する場合または金属Mが、1以上の過剰の負電荷を有する場合、例えば、Ce3+等の場合は、カチオンで中和されているアニオンであってもよい。対イオンは、したがって、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、NH、NH11、NH1112、NHRR1213、NR1213、または1/2Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+もしくは1/3Al3+である。
【0052】
式(I)の化合物は、また、例えば、1以上のアンモニウム基が存在する場合または金属Mが、1以上の過剰の正電荷を有する場合、例えば、V5+等の場合は、無機、有機または有機金属アニオンで中和されているカチオンであってもよい。無機、有機または有機金属アニオンは、例えば、無機酸のアニオン、有機酸の共役塩基(例えば、アルコレート、フェノレート、カルボキシレート、スルホネートまたはホスホネート)のアニオンまたは有機金属錯体アニオン、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、1/2炭酸塩、1/2硫酸塩、C〜Cアルキルスルフェート、硫酸水素塩、1/3ホスフェート、1/2リン酸水素塩、二水素リン酸塩、1/2C〜Cアルカンホスホネート、C〜Cアルカン−C〜C12アルキルホスホネート、ジ−C〜Cアルキルホスフィネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、アセテート、トリフルロアセテート、ヘプタフルオロブチレート、1/2オキサレート、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、トシレート、p−クロロベンゼンスルホネート、p−ニトロベンゼンスルホネート、フェノレート、ベンゾエートまたは負帯電金属錯体であってもよい。
【0053】
当業者は、当業者がよく知るその他のアニオンを使用することも可能であることを容易に認識する。xの負電荷を有する無機、有機または有機金属アニオンの1/xは、幾つかの単一帯電カチオンまたはx電荷を有するカチオンを中和する複数帯電アニオンで、その例は、例えば、1/2・SO2−であってもよいことが理解される。
【0054】
フェノレートまたはカルボキシレートは、例えば、式
【0055】
【化11】

【0056】
(式中、R21、R22およびR23は、それぞれ互いに独立に、水素、R、またはC〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、C〜C12アラルキルもしくはC〜C12ヘテロアラルキル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基、例えば、C〜C12アルキレート化、特に、t−C〜Cアルキレート化フェノールおよび安息香酸のアニオン、例えば、
【0057】
【化12】

【0058】
等で置換されている)のものである。
【0059】
式(I)の化合物の好ましい例は、
およびGが、それぞれ互いに独立に、C(R)であり;
が、ランタニドまたは第4族〜第7族の遷移金属、特に、Ti、ZrまたはHf、更に
具体的には、Zrであり;
【0060】
【化13】

【0061】
が、
【0062】
【化14】

【0063】
(式中、A〜AおよびZ〜Zは、全て互いに独立に、NまたはCR24であり、各R24は、その他のR24とは独立に、HまたはRであり;または2つの隣接R24は、同時に、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、
【0064】
【化15】

【0065】
(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されていて、1または2個の炭素は、窒素で置換されていてもよい)である)のフタロシアニノジラジカルであり;および
【0066】
およびQが、Oであり;
【0067】
およびRが、それぞれ互いに独立に、水素、ヒドロキシ、S−R、O−R、NH、NH−R、NR;C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルもしくはC〜Cシクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている);またはC〜C10アリールもしくはC〜Cヘテロアリール(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
【0068】
が、水素であり、またはRもしくはRと一緒になって5または6−員環を形成し;
【0069】
が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R11、O−CO−R11、オキソ、NH、NH−R11、NR1112、または非置換もしくはハロゲンでモノ−またはポリ−置換されているC〜Cアルコキシであり;および
【0070】
が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオシアノ、S−R、O−R、NH、NH−R、NR、NHCOR、N=CR、N=CR1617、CHO、CHOROR10、COR、CONR、SO、COOR、またはC〜CアルキルもしくはC〜Cアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)である、化合物である。
【0071】
式(I)は、次の様に理解されるべきである:2つのN・ラジカルは、Mに結合し、
【0072】
【化16】

【0073】
の2つのその他のイソインドール−Nは、更にMと配位する事が可能である。
【0074】
式(I)の化合物の特に好ましい例は、
【0075】
およびGが、それぞれ互いに独立に、C(R)であり;
【0076】
が、Ti、ZrまたはHfであり、更に具体的には、Zrであり;
【0077】
【化17】

【0078】
が、式
【0079】
【化18】

【0080】
(式中、
25〜R40は、全て互いに独立に、H、ハロゲン、O−R、S−R、O−CO−R、NH−R、NR、CHOR11、CHNR1112、C(R18)=CR1617、CHO、CHOROR10、C(R18)=NR、COR、CROROR10、CN、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONR、SO、SONH、SONHR、SONR、SO、SiR10、POROR10、P(=O)R10、P(=O)ROR10、P(=O)OROR10、P(=O)(NH、P(=O)(NHR、P(=O)(NR、OPR10、OPROR10、OP(=O)ROR10、OP(=O)OROR10またはOPOであり、更に具体的には、H、ハロゲン、O−R、O−CO−R、NH−R、NR、CHOR11またはCHNR1112である)のフタロシアニノジラジカルであり;およびまた、
【0081】
およびQが、Oであり;
【0082】
およびRが、それぞれ互いに独立に、C〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニルであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)、またはフェニルもしくはC〜Cヘテロアリール(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
【0083】
およびRが、それぞれ互いに独立に、水素、ヒドロキシ、S−R、O−R、NH、NH−R、NR、またはC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり、または非置換フェニルもしくは1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されているフェニルであり;
【0084】
が、水素であり、またはRもしくはRと一緒になって5または6−員環を形成し;
【0085】
が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R11、オキソ、NH、NH−R11またはNR1112であり;および
【0086】
が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、O−R、NH−R、NR、CHO、CHOROR10、COR、CONR、SO、COOR、またはC〜CアルキルもしくはC〜Cアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)である、化合物である。
【0087】
記録層は、主成分として、式(I)の化合物またはその様な化合物の混合物を、例えば、少なくとも30重量%、好ましくは、少なくとも60重量%、特に、少なくとも80重量%含むのが有利である。更に、通常の構成成分、例えば、その他の発色団(例えば、WO01/75873において開示されているもの、または300〜1000nmで最大吸収を有するその他のもの)、安定剤、−、三重項−もしくは発光消光剤、融点降下剤、分解促進剤または、光記録媒体において既に記載されている任意のその他の添加剤が可能である。好ましくは、必要に応じて安定剤または蛍光消光剤が添加される。
【0088】
記録層が更に発色団を含む場合、その様な発色団の量は、好ましくは、全体の固体層の吸収の最長波長側面の反転点の波長におけるその吸収が、同じ波長において、全体の固体層における式(I)の純粋化合物の吸収の画分であるように、有利には、多くて1/3、好ましくは、多くて1/5、特に、多くて1/10程度の少量であるべきである。最大吸収は、好ましくは、425nmよりも高く、特に、500nmよりも高く、または、ある場合においては、式(I)の純粋化合物の最大吸収より低くてもよい。
【0089】
安定剤および−、三重項−もしくは発光消光剤は、例えば、N−もしくはS−含有エノレート、フェノレート、ビスフェノレート、チオレートもしくはビスチオレートまたはアゾ、アゾメチンもしくはホルマザン染料の金属錯体、例えば、ビス(4−ジメチルアミノ−ジチオベンジル)ニッケル[CAS No.38465−55−3]等、Irgalan(登録商標) Bordeaux EL、Cibafast(登録商標) Nもしくは類似化合物、ヒンダードフェノールおよびその誘導体(場合により、また対イオンXとして)、例えば、Cibafast(登録商標) AO、o−ヒドロキシフェニル−トリアゾールもしくは−トリアジン等またはその他のUV吸収剤、例えば、Cibafast(登録商標) WもしくはCibafast(登録商標) P等またはヒンダードアミン(TEMPOまたはHALS、また、ニトロオキシドもしくはNOR−HALSとして、場合によって、また、対イオンXとして)、およびまたジインモニウムカチオン、Paraquat(商標)もしくはOrthoquat(商標)塩、例えば、Kayasorb(登録商標) IRG 022、Kayasorb(登録商標) IRG 040、場合により、また、ラジカルイオンとして、例えば、N,N,N′,N′−テトラキス(4−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンアミン−アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネートもしくはペルクロレート等である。
後者は、Organica(Wolfen/DE)から入手可能である;Kayasorb(登録商標)銘柄は、Nippon Kayaku Co.Ltd.から入手可能であり、Irgalan(登録商標)およびCibafast(登録商標)銘柄は、Ciba Speziealitatenchemie AGから入手可能である。
【0090】
多数のその様な構造は、例えば、米国特許第5219707号、JP−A−06/199045、JP−A−07/76169、JP−A−07/262604またはJP−A−2000/272241から公知であり、それらの幾つかは光学記録媒体に関連している。それらは、例えば、上述の金属錯体アニオンと任意の所望のカチオン、例えば、上述のカチオンとの塩、または、例えば、式
【0091】
【化18】

【0092】
の化合物により示される金属錯体であってもよい。
【0093】
当業者は、添加剤の濃度が、どの目的に特に良く適するかを、その他の光学情報媒体から知り、または、容易に特定する。添加剤の適切な濃度は、例えば、式(I)の記録媒体を基準にして、0.001〜1000重量%、好ましくは1〜50重量%である。
【0094】
本発明による光学記録材料は、固体無定形記録層の優れたスペクトル性を示す。屈折率は、並外れて高い。その様な化合物にとっては驚くほどに低い固体における凝集傾向により、吸収バンドは狭く且つ強烈で、吸収バンドは、長波長側において特に急勾配である。クリスタラリットは、意外に、そして極めて都合よく、形成されないか、無視できる程度で形成されるに過ぎない。書き込みおよび読み取り波長の範囲における層の反射率は、書き込まれていない状態において非常に高い。
【0095】
本発明による光学記録材料の極めて特殊な利点は、極めて正確で、容易に読み取り可能なマークのエラーのない書き込みが可能である点である。更に、本発明により使用される化合物は、狭い温度範囲内で、急速かつ不可逆的に、確実な閾値より上で、青色レーザー放射線の作用下で分解するので、マークの書き込みが促進され、一度書き込まれた媒体は、情報の読み取り中にまたは保管の影響、例えば、太陽光への暴露によって変化しない。
【0096】
それらの優れた層の性質によって、高感度、高再生および幾何学的に正確なマークの境目、屈折率、吸収および高度のコントラストを与える実質的に変化する反射率を有する迅速な光学記録を達成する事が可能である。マークの長さおよび間隔の距離における差(「ジッター」(jitter))が極めて小さく、比較的に狭いトラック間隔(「ピッチ」)を伴う比較的に薄い記録チャンネルを使用して得られる高記憶密度を可能にする。更に、記録されたデータは、驚くほどに低いエラー率で再生され、エラー修正が少量の記憶空間しか必要としない。
無極性溶媒における溶解度を含めて、優れた溶解度により、溶液は、例えば、貯蔵中の沈殿の煩わしさなしに高濃度においてでも使用することができ、回転塗布中の問題が大いに改善される。これは、特に、分岐C〜Cアルキルを含む化合物に適用する。
【0097】
記録および再生は、同じ波長において行うことができ、したがって、350〜500nmの単独レーザー源を伴う簡単な光学系が求められる。特に好ましいのは、370〜390nm、特に、約380nmのUV範囲、または、特に、390〜430nm、更に具体的には、約405±5nmの可視範囲の端である。高い開口数の光学系を伴う小型青色または紫色ダイオード(例えば、Nichia GaN 405nm等)の分野においては、マークは非常に小さく、トラックは非常に狭くすることができるので、記録層当たり約20〜25Gbまでを、120mmディスク上で達成させる事ができる。380nmでは、レーザー源が既にプロトタイプとして存在する、インジウムをドープしたUV−VCSEL(ertical−avity urface−mitting aser)を使用することが可能である[Jung Han et al., MRS Internet J. Nitride Semicond. Res. 5S1, W6.2(2000)を参照されたい]。
【0098】
したがって、本発明は、また、データを記録または再生する方法に関するものであり、本発明による光学記録媒体上のデータは、350nm〜500nmの波長において記録または再生される。
【0099】
記録媒体は、公知の記録媒体の構造を基礎とし、例えば、上述のものに対してアナログである。それは、例えば、透明な基体、式(I)の少なくとも1つの化合物を含む記録層、反射体層および被覆層から成ることができ、書き込みおよび読み出しが基体により行われる。
【0100】
適切な基体は、例えば、ガラス、無機物、セラミックスならびに熱硬化性および熱可塑性プラスチックである。好ましい支持体は、ガラスおよびホモ−またはコ−ポリマープラスチックである。適切なプラスチックは、例えば、熱可塑性ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、熱硬化性ポリエステルおよびエポキシ樹脂である。特に好ましいものは、例えば、射出成形により製造することのできるポリカーボネート基体である。基体は、純粋形態であることもできれば、通常の添加剤、例えば、記録層のための光安定化として、例えば、JP−A−04/167239において提案されているUV吸収剤または染料を含んでもよい。後者の場合においては、書き込み波長(レーザーの発光波長)の範囲においては、支持基体に添加される染料は、吸収を持たないか、多くても極めて低い吸収、好ましくは、記録層上に焦点が合わされたレーザー光の最大約20%までの吸収を有するものであってもよい。
【0101】
基体は、例えば、書き込みまたは読み出し波長の入射光の少なくとも80%が透過可能であるように、350〜500nmの範囲の部分にわたって透明であることが有利である。基体は、溝深さが10〜200nm、好ましくは、80〜150nmで、溝幅が100〜400nm、好ましくは、150〜250nmおよび2つの回転間の間隔が、200〜600nm、好ましくは、300〜450nm、特に、300〜350nmの、好ましくは被覆側上の螺旋案内溝(トラックwobble)を伴う、10μm〜2mm厚さ、好ましくは100〜1200μm厚さ、特に、600〜1100μm厚さが有利である。異なる断面形状の溝は公知であり、例えば、長方形、台形またはV−形状である。公知のCD−RおよびDVD−R媒体と同様に、案内溝は、回転速度の同期化および読み取りヘッド(ピックアップ)の確実な位置決めを可能にするために、小さな周期的または準周期的方向修正(揺れ)を更に受けてもよい。この振れに代わる、または振れに加える同じ機能は、隣接溝(プレピット)間にマーキングすることにより行うことができる。
【0102】
記録媒体は、例えば、回転塗布による溶液の適用により適用され、その目的は、表面(「ランド」)上に、できるだけ無定形である層で、その層の厚さが、0〜40nm、好ましくは、1〜20nm、特に、2〜10nmが有利な層および溝の幾何学によって、20〜150nm、好ましくは、50〜120nm、特に、60〜100nmが有利な溝を生成することである。
【0103】
反射体層に適する反射材料としては、特に、記録および再生に使用されるレーザー放射線の良好な反射を与える金属、例えば、元素の周期律表の第3、第4および第5主族および亜族の金属の、Al、In、Sn、Pb、Sb、Bi、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptおよびランタニド金属のCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuが挙げられ、その合金が特に適当である。その高反射率および製造の容易さを考慮して、特に好ましいものは、アルミニウム、銀、金またはその合金(例えば、ホワイトゴールド合金)の反射層であり、特に、経済性かつ環境を根拠にすればアルミニウムの反射層である。反射体層は、5〜200nmの厚さ、好ましくは、10〜100nmの厚さ、特に、40〜60nmの厚さが有利であるが、更に厚みのある反射体層、例えば、1mmまたはそれ以上の反射体層も可能である。
【0104】
被覆層に適した材料としては、主に、直接または接着促進剤の助けで反射体層に薄い層において適用されるプラスチックが挙げられる。例えば、書き込みによって更に変性され得る良好な表面性を有する、機械的にかつ熱的に安定なプラスチックを選択することが有利である。プラスチックは、熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチックであってもよい。直接に適用される被膜層は、好ましくは、生成するのが特に簡単でかつ経済的な放射線硬化(例えば、UV放射線を使用する)被膜である。様々な種類の放射線硬化性材料が知れられている。放射線硬化性モノマーおよびオリゴマーの例は、ジオール、トリオールもしくはテトロールのアクリレートおよびメタクリレート、芳香族テトラカルボン酸およびアミノ基の少なくとも2つのオルト位においてC〜Cアルキル基を有する芳香族ジアミンのポリイミドならびにジアルキルマレイミジル基、例えば、ジメチルマレイミジル基を伴うオリゴマーである。接着促進剤を使用して適用される被覆層に対しては、基体層に使用するものと同じ材料、特に、ポリカーボネートを使用することが好ましい。使用される接着促進剤は、好ましくは、放射線硬化性モノマーおよびオリゴマーと同じものである。接着促進剤を使用して適用される被覆層に代えて、記録媒体を両面で再生できるように、記録層および反射体層を含む第二の基体を使用してもよい。好ましいシステム構造は、2つの部分が、直接に接着促進剤により、または中間層により反射体側で一緒に結合されている構造である。
【0105】
その様な構造においては、被覆層または被覆材料の光学性は、適用できる場合は、例えば、UV放射線によるその硬化が達成されるのであれば、それ自体の本来の役割を果さない。被覆層の機能は、全体として記録媒体の機械的強度を確保することであり、必要に応じて、薄い反射体層の機械的強度を確保することである。記録媒体が十分に頑丈な場合、例えば、厚い反射体層が存在する場合は、全部被覆層で済ませることも可能である。被覆層の厚みは、好ましくは、最大で約2mmの厚さであるべき全体としての記録媒体の厚みに依存する。被覆層は、好ましくは、10μm〜1mmの厚さである。
【0106】
本発明による記録媒体は、また、追加の層、例えば、妨害層(interference layer)またはバリヤー層を有してもよい。また、複数(例えば、2〜10)の記録層を有する記録媒体を構成することも可能である。その様な材料の構造および使用は、当業者には公知である。存在する場合、妨害層は、好ましくは、記録層と反射層との間および/または記録層と基体との間に配置され、誘電材料、例えば、EP−A−0353393に記載されているような、TiO、Si、ZnSまたはケイ素樹脂から成る。
【0107】
本発明による記録媒体は、それ自体公知の方法により製造することができ、使用される材料およびそれらの機能によって、様々な被覆方法の使用が可能である。
【0108】
適切な被覆方法は、例えば、浸漬、注入、刷毛塗り、ブレード施工および回転塗布、ならびに高真空下で行われる蒸着方法である。例えば、注入方法が使用される時は、有機溶媒における溶液が一般に使用される。溶媒が使用される時は、使用される支持体が、それらの溶媒に対して不感応であることに気を付けなければならない。適切な被覆方法および溶媒は、例えば、EP−A−0401791において記載されている。
【0109】
記録層は、好ましくは、回転塗布による染料溶液の適用により適用され、満足度を与える溶媒は、特に、アルコール、例えば、2−メトキシエタノール、イソプロパノールもしくはn−ブタノール、ヒドロキシケトン、例えば、ジアセトンアルコールもしくは3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、ヒドロキシエステル、例えば、乳酸メチルエステルもしくはイソ酪酸メチルエステル、または好ましくはフッ素化アルコール、例えば、2,2,2−トリフルオロエタノールもしくは2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、およびその混合物である。しかしながら、優れた溶解度によって、極性に乏しいもしくは無極性溶媒、例えば、エーテル、例えば、ジブチルエーテル等、飽和もしくは不飽和炭化水素、例えば、Tetralinもしくはt−ブチルベンゼン、またはできればケトン、例えば、2,6−ジメチル−4−ヘプタノンもしくは5−メチル−2−ヘキサノン等を、特に、混合物もしくは混合された成分の形態において使用することも可能である。染料が金属反射体上に塗布される場合は(反転層構造において)、また、支持体の材料(アクリレート、ポリカーボネート)に対して攻撃的な溶媒、例えば、塩素化炭化水素または低級芳香族化合物等、例えば、トリクロロエチレン、トルエンもしくはキシレンを使用することも可能である。更に適切な溶媒は、例えば、EP−A−0483387において開示されている;このリストは、決して完全なものではないが、当業者は、その者がよく知る任意の溶媒を通常の手順で試しうるであろう。
【0110】
金属反射体層の適用は、好ましくは、スパッタリングまたは真空蒸着により行われる。その様な方法は、公知であり、専門家の文献(例えば、J.L. Vossen and W.Kern, “Thin Film Processes”, Academic Press, 1978)において記載されている。操作は、連続的に行うことができ、良好な反射率および金属反射体層の高度の接着性を達成することができる。
【0111】
記録は、記録層の表面全体にわたって、一定もしくは変動速度で誘導される変調集束レーザービームにより、固定されたもしくは変動長さの書き込みピット(マーク)により、公知の方法にしたがって行われる。情報の読み出しは、例えば、“CD−Player und R−DAT Recorder”(Claus Biaesch−Wiepke, Vogel Buchverlag, Wurzburg 1992)において記載されているように、レーザー放射線を使用して、反射における変化を記録することによるそれ自体公知の方法により行われる。当業者は、その必要条件には詳しい。
【0112】
本発明による、情報を含む媒体は、特に、WORMタイプの光学情報材料である。それは、例えば、コンピュータにおいて、CD−R(ompact isc−ecordable)またはDVD−R(igital ideo isc−ecordable)に対してアナログ的に使用することができ、およびまた、身分証明および社会保障カードとして、もしくは回折光学要素、例えば、ホログラムの生産用に使用することができる。
【0113】
あるいはまた、CD−RおよびDVD−Rとは実質的に異なり、記録および再生が、基体により行われるのではなく、被覆層により行われる(「溝中記録」および/または「溝上記録」)記録媒体も存在する。したがって、被覆層および基体のそれぞれの役割、特に、幾何学的および光学的性質は、上述の構造と比べて逆転する。アナログ的概念は、青色GaNレーザーダイオードと連動するデジタルビデオ記録のための、Proceedings SPIE−Int.Soc.Opt.Eng. 1999, 3864において何度も記載されている。高記憶密度のために特に適するものであり、それ相応に小さなマーク(「ピット」)を有するその様な記録媒体に対しては、正確な焦点合わせが重要であり、製造方法は、アナログと共に、相当厄介である。
【0114】
しかしながら、本発明による式(I)の化合物は、反転層構造への更なる要望に驚くほどよく合致する。したがって、層が順番に、基体、反射体層、記録層および被覆層となっている反転層構造が好ましい。したがって、記録層は、反射体層および被覆層との間に配置される。厚みが約50〜400μmの薄い被覆層は、特に有利である(一般に、0.85の開口数において100μm)。
【0115】
反転層構造における記録および反射体層は、上で示されたとおり基本的に同じ機能を有する。したがって、溝の幾何学と同様に、それらは、通常、上で示された範囲内の寸法を有する。
【0116】
反転層構造は、特に高い基準を必要とし、これを本発明により使用される化合物が驚くほどよく満たし、例えば、記録層が、金属反射体層に適用される時、そして特に、被覆層が記録層に適用される時は、被覆層は、摩擦、光酸化、指紋、水分およびその他の環境の影響に対して適切な保護を記録層に与えること、ならびに0.01〜0.5mmの範囲、好ましくは、0.05〜0.2mmの範囲、特に、0.08〜0.13mmの範囲の厚みを有することが要求される。
【0117】
被覆層は、好ましくは、レーザーの書き込みまたは読み出し波長において80%以上の透過を示す材料から成る。被覆層にとって適切な材料としては、例えば、上述のそれらの材料が挙げられるが、特に、ポリカーボネート(例えば、Pure Ace(登録商標)またはPanlite(登録商標)等、Teijin ltd.)、三酢酸セルロース(例えば、Fujitac(登録商標)等、Fuji Photo Film)またはポリエチレンテレフタレート(例えば、Lumirror(登録商標)、Toray Industry)であり、特に好ましくは、ポリカーボネートである。特に、直接適用される被覆層の場合は、放射線硬化被膜、例えば、上で既に述べたもの等、例えば、SD347(商標)(Dainippon Ink)が有利である。
【0118】
被覆層は、適切な接着促進剤により固体記録層に直接適用できる。その他の態様においては、金属性架橋有機金属または好ましくは誘電性無機材料の、追加の薄い分離層が、例えば、0.001〜10μm、好ましくは0.005〜1μm、特に0.01〜0.1μmの厚さで、例えば、誘電性分離層の場合においては、0.05〜0.08μmの厚さでおよび金属性分離層の場合においては、0.01〜0.03μmの厚さで固体記録層に適用される。分離層および相当する方法は、本明細書において明示的に参照されるWO02/082438において開示されている。必要であれば、その様な被膜は、例えば、同じ厚さにおいて、支持体材料と金属性反射体層との間または金属性反射体層と光学記録層との間に適用することができる。これは、或る場合、例えば、銀反射体が、記録層において硫黄含有添加剤と組み合わせて使用される時に有利であることがある。
【0119】
特別の変形態様においては、金属性架橋有機金属または誘電性無機材料の、追加の薄い分離層が、例えば、0.001〜10μm、好ましくは、0.005〜1μm、特に、0.01〜0.1μmの厚さで固体記録層に適用される。それらの高反射率を考慮して、金属性分離層は、最大で0.03μm厚であるのが有利である。分離層および相当する方法は、本明細書において明示的に参照されるWO02/082438において開示されている。
【0120】
本発明により使用される化合物の幾つかは、J.Porphyrins Phthalocyanines 5, 731−734(2001)およびJ.Porphyrins Phthalocyanines 6, 114−121(2002)から公知である。
【0121】
公知の化合物と同様に、光学記録媒体において本発明により使用することのできる新規な化合物を調製することも可能である。したがって、本発明は、また、式(I)の新規な化合物に関するものである。式(I)の化合物の混合物も使用できることが理解される。
【0122】
成分を一緒に混合することにより調製するのに代えて、混合物は、また、例えば、最初に金属が、次いで金属なしのフタロシアニンが、式
【0123】
【化20】

【0124】
のリガンドの予め調製された混合物に添加される混合合成により特に有利に調製することもできる。混合合成により調製された混合物は、一般に、それらが多数の非対称成分を含むので、物理的混合物よりも幾分良好な溶解度を有する。
【0125】
式(I)の1以上の化合物および場合により通常の添加剤を含むことに加えて、本発明による光学記録媒体は、また、その他の発色団、好ましくは、無金属発色団を含んでもよい。その他の発色団は、必要に応じて、式(I)の全化合物を基準にして、1〜200重量%の量において添加されてもよい。その他の発色団の量は、式(I)の全化合物を基準にして、好ましくは、5〜100重量%、特に、10〜50重量%である。発色団は、染料またはUV吸収剤であることができ、好ましくは、350〜400nmまたは600〜700nm、例えば、380もしくは630nm近辺の最大吸収を有する。
【0126】
特に好ましい追加の無金属発色団は、シアニン、アザシアニン、メロシアニンおよびオキソノールおよびまた、例えば、WO04/006878、WO02/082438またはEP−A−1083555において開示されているローダミン、ならびにまた、
【0127】
【化21】

【0128】
(式中、R41は、C〜C24アルキルまたはC〜C24アルケニル(それぞれは、非置換であるか、または置換ができる)であり、R42は、任意の置換基であり、R41は、例えば、メチル、エチル、ビニル、アリル、イソプロピル、n−ブチル、2−イソプロピルオキシ−エチル、n−ペンチル、3−メチル−ブチル、3,3−ジメチル−ブチル、2−エチル−ヘキシル、2−シアノ−エチル、フラン−2−イル−メチルまたは2−ヒドロキシ−メチルであってもよく;R42は、例えば、C〜C10アリール、C〜C24アルキルまたはC〜C24アルケニルである)である。
【0129】
その様な発色団の純粋に例示的な例は、
【0130】
【化22】



【0131】
である。
【0132】
以下の実施例は本発明の例示であって、その範囲を限定するものではない(別段の指示がなければ、「%」は、常に重量%を意味する)。
【0133】
実施例1
1.0gの式
【0134】
【化23】

【0135】
の化合物(トルエンにおけるUV/VIS:λmax=691nm、ε=161300l・mol-1・cm-1;λmax=334nm、ε=138000l・mol-1・cm-1)を、99gのトルエンに溶解し、0.2μmのテフロン(商標)フィルターで濾過する。次いで、染料溶液を、1.2mm厚の平らなポリカーボネート板(直径120mm)に、250回転/分の回転で適用する。次いで、回転速度を1200回転/分まで増加して過剰の溶液を除去し、均一固体層を形成する。乾燥後、固体層は、355nmで0.54の吸収を有する。光学測定システム(ETA−RT、STEAG ETA−Optik)を使用して、層の厚みおよび屈折率が決められる。405nmで、染料層は、29nmの層厚、1.97の屈折率nおよび0.060の減衰係数kを有する。
【0136】
実施例2
手順は実施例1と同様であるが、次式
【0137】
【化24】

【0138】
の化合物が使用される(トルエンにおけるUV/VIS:λmax=690nm、ε=173860l・mol-1・cm-1;λmax=334nm、ε=131800l・mol-1・cm-1)。乾燥後、均一で、33.5nm厚の固体層は、333nmで0.45の吸収を有する。405nmで、染料層は、1.89の屈折率nおよび0.042の減衰係数kを有する。
【0139】
実施例3
真空塗布装置において(Twister(商標)、Balzers Unaxis)、80nm厚の銀反射体層を、1.15mm厚の溝付ポリカーボネートディスク(直径120mm、溝深さ21nm、トラック幅150nm、トラックピッチ320nm)に適用する。20.0gの実施例1による化合物を1000mlの4−メチル−シクロヘキサノンに溶解し、0.2μmのテフロン(商標)フィルターで濾過する。得られた溶液を、回転塗布により反射体層に適用する。乾燥後(15分、70℃)、固体層は、335nmで0.47の吸収を有する(銀層の固有吸収を考慮に入れる)。次いで、シリコンオキシナイトライド(SiON)[12594−30−8])の40nm厚の層を、真空塗布装置(Cube、Balzers Unaxis)において、RF−スパッタリングによりその上に適用する。記録層を保護するために、全厚みが97μmの感圧接着ポリカーボネートフィルム(Nitto Denko、Japan)を、スパッタリングしたSiON誘電性層の上にラミネートする。波長が407nmで、0.85の対物レンズ開口数のレーザー装置(Blu−ray(商標)Disc用ODU−1000(商標)、Pulstec、Japan)を使用して、マークを、出力8mWおよび5.28m/sの線速度で活性層に書き込む。この方法は、書き込み側で、反射において顕著な減少をもたらす(変調I8/I8H 0.47)。次いで、マークを、0.3mWまで低減したレーザー出力で読み、次のパラメータを得る:変調I8pp/I8H=0.45;I2pp/I8pp=0.17;CNR=46.9dB;クロストーク=18dB。
【0140】
実施例4
実施例3を繰り返すが、今回は、マークを10mWの出力で書き込む。
【0141】
比較例
実施例4と並行して、実施例4と全く同じ手順に従うが、実施例1に従って化合物に代えて、式
【0142】
【化25】

【0143】
の化合物を使用する(WO03/030158の実施例22に相当する)。更に、実施例4と比較できる0.47の吸収(340nmにおける)を達成するために、回転塗布を低速で行う。
【0144】
波長が407nmで、0.85の対物レンズ開口数のレーザー装置(Blu−ray(商標)Disc用ODU−1000(商標)/Pulstec、Japan)を使用して、マークを、10mWの出力および5.28m/sの線速度で活性層に書き込む。次いで、マークを、0.3mWまで低減したレーザー出力で読む。
【0145】
実施例4との比較において、全ての関連値は著しく悪い:変調 23%低下;CNR11%低下;クロストーク 22%高い。
【0146】
更に、回転塗布の速度が、最適吸収を達成するために減少されねばならないことは、システムコストが高くなり、同じ時間帯における生産ラインでわずかなディスクしか生産されないので、極端に不利である。
【0147】
あらゆる努力がなされたが、JP−A−09/226248の実施例8に従って化合物14を調製することは不可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体、記録層を含み、そして場合により1以上の反射層を含む光学記録媒体であって、該記録層が、式
【化1】


[式中、
およびGは、それぞれ互いに独立に、C(R)またはNであり;
は、ランタニドまたは第4族〜第10族の遷移金属であり;
【化2】


は、フタロシアニノジラジカルであり;
およびQは、それぞれ互いに独立に、OまたはSであり;
およびRは、それぞれ互いに独立に、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アルケニルもしくはC〜C12シクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり、またはC〜C10アリール、C〜Cヘテロアリール、C〜C12アラルキルもしくはC〜C12ヘテロアラルキル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
およびRは、それぞれ互いに独立に、水素、ヒドロキシ、S−R、O−R、O−CO−R、OCOOR、NH、NH−R、NR、NHCOR、NRCOR10、NHCOOR、NRCOOR10、ウレイド、NR−CO−NHR10、またはC〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アルケニルもしくはC〜C12シクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり、またはC〜C10アリール、C〜Cヘテロアリール、C〜C12アラルキルもしくはC〜C12ヘテロアラルキル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
各Rは、任意のその他のRと独立に、水素、またはC〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アルケニルもしくはC〜C12シクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり、またはC〜C10アリール、C〜Cヘテロアリール、C〜C12アラルキルもしくはC〜C12ヘテロアラルキル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
およびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、結合構成要素で結合でき、またはR、R、RおよびRの2つは、それぞれ、結合構成要素によって2つのその他のR、R、RおよびRの1つに結合して対を形成することができ、それぞれの結合構成要素は、直接結合であり、またはO、SもしくはN(R)ブリッジであり;または
は、GのRと一緒になって、および/またはRは、GのRと一緒になって、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和もしくは芳香族5−または6−員環を形成し、該環は、場合により、1、2または3つの同じか異なるヘテロ原子の−O−、−S−、−N=または−N(R)−を含んでもよく、該環は、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されており;および/または
は、GのRと一緒になって、および/またはRは、GのRと一緒になって、飽和もしくはモノ−もしくはポリ−不飽和5−または6−員環を形成し、該環は、場合により、1、2または3つの同じか異なるヘテロ原子の−O−、−S−、−N=または−N(R)−を含んでもよく、該環は、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されており;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R11、O−CO−R11、オキソ、S−R11、チオキソ、NH、NH−R11、NR1112、NH、NH11、NHR1112、NR111213、NR11−CO−R13、NR11COOR13、シアノ、ホルミル、COO−R11、カルボキシ、カルバモイル、CONH−R11、CONR1112、ウレイド、NH−CO−NHR13、NR11−CO−NHR13、ホスファト、P(=O)R1113、POR11OR13、OPR1113、OPR11OR13、P(=O)R11OR13、P(=O)OR11OR13、OP(=O)R11OR13、OP(=O)OR11OR13、OPO11、SO11、スルファト、スルホ、R14、N=N−R14、またはC〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、ハロゲンによりモノ−もしくはポリ−置換されている)であり;
は、どれか他のRとは独立に、R15、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオシアノ、ヒドロキシ、S−R、O−R、O−CO−R、OCOOR、NH、NH−R、NR、NHCOR、NRCOR10、NHCOOR、NRCOOR10、ウレイド、NR−CO−NHR10、NH、NH、NHR、NR10、N=N−R15、N=CR、N=CR1617、C(R18)=NR、C(R18)=NR16、C(R18)=CR1617、CHO、CHOROR10、COR、CROROR10、CONH、CONHR、CONR、SO、SO、SONH、SONHR、SONR、COOH、COOR、B(OH)、B(OH)(OR)、B(OR)OR10、ホスファト、P(=O)R10、POROR10、P(=O)ROR10、P(=O)OROR10、OPR10、OPROR10、OP(=O)ROR10、OP(=O)OROR10、OPO、スルファト、スルホ、またはC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルキルチオ、C〜Cシクロアルキルチオ、C〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、R15、R19−[O−C〜Cアルキレン]、R19−[NH−C〜Cアルキレン]、またはC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルもしくはC〜Cシクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている)であり;または
共有窒素と一緒のRおよびRは、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンであり(それぞれは、非置換であるか、またはC〜Cアルキルで、1〜4置換されている);または
およびR10は、同時に、C〜Cアルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cシクロアルケニレンであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている);
11、R12およびR13は、それぞれ互いに独立に、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルケニル、R19−[O−C〜Cアルキレン]、R19−[NH−C〜Cアルキレン]、C〜C10アリール、C〜Cヘテロアリール、C〜C10アラルキルまたはC〜Cヘテロアラルキルであり;または
共有窒素と一緒のR11およびR12は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンであり(それぞれは、非置換であるか、またはC〜Cアルキルで、1〜4置換されている);
14は、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、C〜C12アラルキルまたはC〜C12ヘテロアラルキルであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている);
15は、フェニル、C〜Cヘテロアリール、C〜CアラルキルまたはC〜Cヘテロアラルキルであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R20基で置換されている);
16およびR17は、それぞれ互いに独立に、NR1112、CN、CONH、CONHR、CONRまたはCOORであり;
18は、R15、水素、シアノ、ヒドロキシ、C〜C12アルコキシ、C〜C12シクロアルコキシ、C〜C12アルキルチオ、C〜C12シクロアルキルチオ、アミノ、NHR13、NR1112、ハロゲン、ニトロ、ホルミル、COO−R11、カルボキシ、カルバモイル、CONH−R11、CONR1112、またはC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルもしくはC〜Cシクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシまたはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている)であり;または
およびR18は、同時に、C〜Cアルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cシクロアルケニレンであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシまたはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている);
19は、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルカルボニルであり;
20は、ニトロ、SONHR11、SONR1112、またはC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルキルチオ、C〜Cシクロアルキルチオ、C〜CアルコキシもしくはC〜Cシクロアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシまたはC〜Cシクロアルコキシ基で置換されている)であり;および
mは、1〜4の数である]の化合物またはその互変異性もしくは共鳴異性体を含む、光学記録媒体。
【請求項2】
およびGが、それぞれ互いに独立に、C(R)であり;
が、ランタニドまたは第4族〜第7族の遷移金属であり、特に、Ti、ZrまたはHfであり、更に具体的には、Zrであり;
【化3】


が、式
【化4】


(式中、A〜AおよびZ〜Zは、全て互いに独立に、NまたはCR24であり、各R24は、その他のR24と独立に、HまたはRであり;または2つの隣接R24は、同時に、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、
【化5】


(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されていて、1または2個の炭素は、窒素で置換されていてもよい)である)のフタロシアニノジラジカルであり;および
およびQが、Oであり;
およびRが、それぞれ互いに独立に、水素、ヒドロキシ、S−R、O−R、NH、NH−R、NR;C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルもしくはC〜Cシクロアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;またはC〜C10アリールもしくはC〜Cヘテロアリール(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
が、水素であり、またはRもしくはRと一緒になって5または6−員環を形成し;
が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R11、O−CO−R11、オキソ、NH、NH−R11、NR1112、または非置換もしくはハロゲンでモノ−またはポリ−置換されているC〜Cアルコキシであり;および
が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオシアノ、S−R、O−R、NH、NH−R、NR、NHCOR、N=CR、N=CR1617、CHO、CHOROR10、COR、CONR、SO、COOR、またはC〜CアルキルもしくはC〜Cアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)である、請求項1記載の光学記録媒体。
【請求項3】
およびGが、それぞれ互いに独立に、C(R)であり;
が、Ti、ZrまたはHfであり、更に具体的には、Zrであり;
【化6】


が、式
【化7】


(式中、
25〜R40は、全て互いに独立に、H、ハロゲン、O−R、S−R、O−CO−R、NH−R、NR、CHOR11、CHNR1112、C(R18)=CR1617、CHO、CHOROR10、C(R18)=NR、COR、CROROR10、CN、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONR、SO、SONH、SONHR、SONR、SO、SiR10、POROR10、P(=O)R10、P(=O)ROR10、P(=O)OROR10、P(=O)(NH、P(=O)(NHR、P(=O)(NR、OPR10、OPROR10、OP(=O)ROR10、OP(=O)OROR10またはOPOであり、更に具体的には、H、ハロゲン、O−R、O−CO−R、NH−R、NR、CHOR11またはCHNR1112である)のフタロシアニノジラジカルであり;およびまた、
およびQが、Oであり;
およびRが、それぞれ互いに独立に、C〜CアルキルまたはC〜Cアルケニルであり(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている);またはフェニルもしくはC〜Cヘテロアリール(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり;
およびRが、それぞれ互いに独立に、水素、ヒドロキシ、S−R、O−R、NH、NH−R、NR、またはC〜CアルキルもしくはC〜Cアルケニル(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)であり、または非置換フェニルもしくは1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されているフェニルであり;
が、水素であり、またはRもしくはRと一緒になって5または6−員環を形成し;
が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R11、オキソ、NH、NH−R11またはNR1112であり;および
が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、O−R、NH−R、NR、CHO、CHOROR10、COR、CONR、SO、COOR、またはC〜CアルキルもしくはC〜Cアルコキシ(それぞれは、非置換であるか、1以上の、適用できる場合は同じか異なる、R基で置換されている)である、請求項1または2記載の光学記録媒体。
【請求項4】
式(I)の化合物が、分岐C〜C12アルキルまたは分岐C〜C12アルケニルを含む、請求項1、2または3記載の光学記録媒体。
【請求項5】
記録層が、実質的に無定形である、請求項1、2、3または4記載の光学記録媒体。
【請求項6】
被覆層を更に含み、基体、反射体層、記録層および被覆層がその順序で配列されている、請求項1、2、3、4または5記載の光学記録媒体。
【請求項7】
式(I)の化合物を含むことに加えて、無金属発色団を含む、請求項1、2、3、4、5または6記載の光学記録媒体。
【請求項8】
請求項1記載の式(I)の化合物が、実質的に無定形である、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の光学記録媒体。
【請求項9】
請求項1記載の式(I)の化合物の溶液が、回転塗布により溝付基体に適用される、請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の光学記録媒体の製造方法。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の光学記録媒体上のデータが、350〜500nmの波長で記録されまたは再生される、該データを記録または再生する方法。

【公表番号】特表2007−522973(P2007−522973A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500209(P2007−500209)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050673
【国際公開番号】WO2005/081240
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】