説明

静電アクチュエータ及び静電駆動デバイス並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置の製造方法

【課題】凹部の深さ(ギャップ長)を高精度に測定できるようにした静電アクチュエータ
の製造方法等を得る。
【解決手段】ガラス基板50にエッチングマスク51を形成する工程と、エッチングマス
ク51をエッチングして、電極用凹部11及びダミーパターン凹部14を形成するための
開口部を形成する工程と、エッチングを行い、開口部に対応する部分に電極用凹部11及
びダミーパターン凹部14を形成する工程と、電極用凹部11及びダミーパターン凹部1
4を形成するための開口部もさらに広げる工程と、エッチングを行って、広げた開口部に
対応する部分に、階段状の凹部を形成する工程と、上記の工程を1又は複数回繰り返して
所望の段数の凹部を形成する工程と、固定電極となる膜を形成する工程と、ダミーパター
ン凹部14の部分における深さを接触式段差計により測定する工程とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細加工素子において、加わった力により可動部が変位等し、動作(駆動)
等を行う液滴吐出ヘッド等の静電アクチュエータ、そのアクチュエータを用いた液滴吐出
装置等の静電デバイス、それらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばシリコン等を加工して微小な素子等を形成する微細加工技術(MEMS:Micro
Electro Mechanical Systems)が急激な進歩を遂げている。微細加工技術により形成され
る微細加工素子の例としては、例えば液滴吐出方式のプリンタのような記録(印刷)装置
で用いられている液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)、マイクロポンプ、波長可変
光フィルタ、モータに利用される静電アクチュエータ、圧力センサ等がある。
【0003】
ここで、微細加工素子の一例として静電アクチュエータを利用した液滴吐出ヘッドにつ
いて説明する。液滴吐出方式の記録(印刷)装置は、家庭用、工業用を問わず、あらゆる
分野の印刷に利用されている。液滴吐出方式とは、例えば複数のノズルを有する液滴吐出
ヘッドを対象物(紙等)との間で相対移動させ、液滴吐出ヘッドから吐出した液滴を対象
物の所定の位置に付着させて印刷等をするものである。この方式は、液晶(Liquid Cryst
al)を用いた表示装置を作製する際のカラーフィルタ、有機化合物等の電界発光(Electr
oLuminescence )素子を用いた表示パネル(OLED)、DNA、タンパク質等、生体分
子のマイクロアレイ等の製造にも利用されている。
【0004】
そして液滴吐出ヘッドには、液体をためておく吐出室を流路の一部に備え、吐出室の少
なくとも一面の壁(ここでは、底部の壁とし、以下、この壁のことを振動板ということに
する)を撓ませて(駆動させて)形状変化により吐出室内の圧力を高め、連通するノズル
から液滴を吐出させる方法を利用したヘッドがある。振動板を変位させ、撓ませる力とし
ては、例えば、振動板を可動電極とし、振動板と距離を空けて対向するもう一方の電極(
固定電極)との間に電圧(以下、駆動電圧という)を印可し、それにより発生する静電気
力(特に静電引力)を利用している。静電気力を利用して駆動して仕事を行うため、静電
アクチュエータとなる。
【0005】
液滴吐出ヘッドの場合、固定電極に対して可動電極となる振動板を対向させ、変位させ
るため、一方の基板に凹部を形成し、固定電極をその底部(底壁)に設けて振動板が形成
された基板と積層して接合する。ここで振動板が撓むための空間(隙間)をギャップとい
い、その幅のことをギャップ長という。
【0006】
例えば、液滴吐出ヘッドに関しては、近年、高精細な印刷等が要求されており、ノズル
の高密度化が進んでいる。それに伴い、静電アクチュエータを構成する、各ノズルに対応
する振動板及び固定電極の幅も狭くなっていっている。ここで、振動板の幅が狭くなると
、排除体積(振動板面積×電極間の対向距離(ギャップ長))が小さくなり、ノズルから
の液滴の吐出量も少なくなる。高密度化を保ちつつ排除体積を大きくするためにはギャッ
プ長を長くすればよいが、必要な静電気力を得るために駆動電圧を大きくしなければなら
なくなる。
【0007】
そのため、細長い長方形の形状の電極が形成される溝を幅(短辺)方向に階段状にして
、固定電極と振動板の間のギャップ長を2以上とすることにより、駆動電圧を低下させる
ようにしている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−318155号公報(図2、図4、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、例えば、液滴吐出ヘッドにおいては吐出性能に大きく影響する等、ギャップ長
は静電アクチュエータの駆動に大きく影響する。そのため、凹部(ギャップ長)を設計し
た通りの深さ(長さ)に形成することは非常に重要である。特に、上述のような階段状の
凹部(固定電極)を有する場合にはギャップ長が異なる箇所が複数存在するため、その分
、凹部の各段の形成において精度が要求される。
【0009】
そして、このような精度は、凹部の深さを測定する場合にも要求される。凹部の深さの
測定には、ナノメートルオーダの精度が要求されるため、例えば触針式段差計等の装置を
用いて測定を行うことが望ましいとされている。
【0010】
しかしながら、上述したように、高密度化が図られると、形成される凹部の幅等も小さ
くなる。そのため、凹部開口部分が小さくなり、測定用の針を凹部に挿入して凹部の深さ
を測定することは困難である。うまく測定できなければ歩留まりを落とす場合がある。ま
た、装置に自動で測定を行わせることができない場合があり、この場合には手動による測
定を行わなければならず、工数増加、コストの大幅な上昇を招くことになる。
【0011】
そこで、本発明はこのような問題を解決するため、凹部の深さ(ギャップ長)を高精度
に測定できるようにした静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び静電駆
動デバイスの製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る静電アクチュエータの製造方法では、電極基板となる基板にエッチングマ
スクを形成する工程と、エッチングマスクをエッチングして、固定電極形成用の凹部及び
検査測定用のダミーパターン凹部を形成するための開口部を形成する工程と、エッチング
を行い、基板の開口部に対応する部分に、固定電極形成用の凹部及びダミーパターン凹部
を形成する工程と、エッチングマスクをエッチングして、開口部を広げることにより、開
口部よりも広い開口部を形成すると共に、ダミーパターン凹部を形成するための開口部に
ついても、さらに広い開口部を形成する工程と、エッチングを行って、広げた開口部に対
応する部分に、階段状の凹部を形成する工程と、広い開口部の形成工程及び階段状の凹部
の形成工程を1又は複数回繰り返して基板に所望の段数の凹部を形成する工程と、固定電
極形成用の凹部及びダミーパターン凹部に、固定電極となる導電膜を形成する工程と、ダ
ミーパターン凹部の部分における深さを接触式段差計により測定する工程とを行って、電
極基板を形成するものである。
本発明によれば、固定電極形成用の凹部を形成すると同時に、ダミーパターン凹部を同
時に形成するようにしたので、固定電極形成用の凹部の部分の代わりに、ダミーパターン
凹部の部分を測定することで、固定電極形成用の凹部の深さについての検査を行うことが
できる。
【0013】
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、ダミーパターン凹部の一辺を固
定電極形成用の凹部の短辺よりも広く形成する。
本発明によれば、ダミーパターン凹部の各辺を固定電極形成用の凹部の短辺よりも広く
形成するようにしたので、広い面積において、触針式段差計等の装置を用いて、電極用凹
部の深さの検査をより精確に行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、一辺が100μm以上の幅を有
する矩形状のダミーパターン凹部を形成する。
本発明によれば、一辺を100μm以上の幅の矩形状のダミーパターン凹部を形成する
ようにしたので、触針式段差計等の装置を用いて、ダミーパターン凹部の深さを自動測定
し、固定電極形成用の凹部の検査をより精確に行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、導電膜を形成する前に、形成し
たダミーパターン凹部の部分における深さを接触式段差計により測定する。
本発明によれば、導電膜を形成する前にダミーパターン凹部の部分における深さを接触
式段差計により測定するようにしたので、導電膜を形成する前においても、固定電極形成
用の凹部の深さの検査をより精確に行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記の静電アクチュエータの製造方
法を適用して液滴吐出ヘッドを製造するものである。
本発明によれば、上記の静電アクチュエータの製造方法を適用するようにしたので、検
査を精確に行うことができ、不良の電極基板をあらかじめ除いた形で液滴吐出ヘッドを製
造することができるので、最終的に製造される液滴吐出ヘッドの歩留まりをよくすること
ができる。また、製造された液滴吐出ヘッドについては、所定の吐出性能を得ることがで
きる。
【0017】
また、本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適
用して液滴吐出装置を製造するものである。
本発明によれば、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用するようにしたので、高精細
等、高品質の印刷等を行える液滴吐出装置を製造することができる。
【0018】
また、本発明に係る静電駆動デバイスの製造方法は、上記の静電アクチュエータの製造
方法を適用してデバイスを製造するものである。
本発明によれば、上記の静電アクチュエータの製造方法を適用するようにしたので、動
作性能が高い静電駆動デバイスを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。図1で
は液滴吐出ヘッドの一部を示している。本実施の形態では、例えば静電方式で駆動する静
電アクチュエータを用いたデバイスの代表として、フェイスイジェクト型の液滴吐出ヘッ
ドについて説明する。(なお、構成部材を図示し、見やすくするため、図1を含め、以下
の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものと異なる場合がある。また、図の上側
を上とし、下側を下として説明する)。
【0020】
図1に示すように本実施の形態に係る液滴吐出ヘッドは、電極基板10、キャビティ基
板20及びノズル基板30の3つの基板が下から順に積層されて構成される。ここで本実
施の形態では、電極基板10とキャビティ基板20とは陽極接合により接合する。また、
キャビティ基板20とノズル基板30とはエポキシ樹脂等の接着剤を用いて接合する。
【0021】
電極基板10は、厚さ約1mmの例えばホウ珪酸系の耐熱硬質ガラス等の基板を主要な
材料としている。本実施の形態ではガラス基板とするが、例えば単結晶シリコンを基板と
することもできる。電極基板10の表面には、後述するキャビティ基板20の吐出室21
に合わせて複数の電極用凹部11が形成されている。ここで本実施の形態では、電極用凹
部11の吐出室21(振動板22)に対応する部分は、特に長辺方向について、中央部分
が最も深くなるような階段(ステップ)状に形成し、段差を有するようにしている。短辺
方向でもよいが、長辺方向の方が加工しやすく、効率のよい効果が期待できる。ここでは
段差は3つあるとする。そして、個別電極12Aが形成される部分において、最も浅い両
端部分の深さを、ここでは例えば150nmとする。そして、次に浅い部分を例えば17
0nmとし、最も深い中央部分を例えば190nmとする。ここで、製造において、電極
用凹部11の内側に確実に電極材料を成膜できるようにするため、電極用凹部11は実際
に形成する個別電極12A等よりも広く形成しておく。
【0022】
また、電極用凹部11の内側(特に底部)には、キャビティ基板20の各吐出室21(
振動板22)と対向するように、固定電極となる個別電極12Aが設けられ、さらにリー
ド部12B及び端子部12Cが個別電極12Aと一体となって設けられている(以下、特
に区別する必要がなければこれらを合わせて電極部12とする)。電極部12は、例えば
スパッタ法により、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を約0.07μm
(70nm)の厚さで電極用凹部11の内側に成膜することで形成される。ここで、本実
施の形態では、電極用凹部11に対し、電極部12の厚さが均一になるようにしているた
め、個別電極12Aについては電極用凹部11と同様の段差を有している。振動板22と
個別電極12Aとの間には、振動板22が撓む(変位する)ことができるギャップが電極
用凹部11により形成される。個別電極12Aが階段状で段を有しているため、位置によ
ってギャップ長も異なる。ここで、上述したように段差は3つあるため、個別電極12A
が形成される部分について、最も浅い両端部分のギャップ長は80nm(以下、このギャ
ップ長をG1とする)、次に浅いギャップ長は100nm(以下、このギャップ長をG2
とする)、そして最も深い中央部分のギャップ長は120nm(以下、このギャップ長を
G3とする)となる。電極基板10には、他にも外部のタンク(図示せず)から供給され
た液体を取り入れる流路となる液体供給口13となる貫通穴が設けられている。
【0023】
また、実施の形態では、ギャップ長(電極用凹部11の深さ)をより精確に測定できる
ようにするため、電極基板10にダミーパターン凹部14を設けているものとする。ダミ
ーパターン凹部14は電極用凹部11と同じ工程で形成されるため、電極用凹部11と同
じ深さの段差が形成されている。ここで、触針式段差計等の装置による測定に対応するた
めにはダミーパターン凹部14においては長さが長く、例えば開口部分の面積が大きいほ
どよいが、大きすぎると1枚のガラス基板あたりの電極基板10の製造数が減ることもあ
るため、適当な大きさにすることが望ましい。例えば、現状、電極用凹部11の幅(短辺
)方向が約35μmに形成されることを考えると、ダミーパターン凹部14の一辺が少な
くとも約40μmの長さが必要となると考えられる。また、触針式段差計等の装置による
自動測定により、精度の高いギャップ長(凹部の深さ)の測定を行うためには、一辺が約
100μm以上であることが好ましく、さらに一辺が150μm以上となるようにダミー
パターン凹部14を形成するがより好ましいと考えられる。以上を考慮して、ガラス基板
あたりの製造数に応じてダミーパターン凹部14の長さを決定する。
【0024】
キャビティ基板20は、例えば表面が(100)面方位、(110)面方位等のシリコ
ン単結晶基板(以下、シリコン基板という)を主要な材料としている。キャビティ基板2
0には、吐出させる液体を一時的にためる吐出室21となる凹部(底壁が可動電極となる
振動板22となっている)が形成されている。本実施の形態においては、振動板22につ
いても、特に長辺方向について、中央部分が最も深くなるような階段状に形成される。そ
して、キャビティ基板20の下面(電極基板10と対向する面)には、振動板22と個別
電極12Aとの間を電気的に絶縁するためのTEOS膜(ここでは、Tetraethyl orthosi
licate Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン(珪酸エチル)を用いてできるSiO
2 膜をいう)である絶縁膜23をプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition :TEO
S−pCVDともいう)法を用いて、0.1μm(100nm)成膜している。ここでは
絶縁膜23をTEOS膜としているが例えばAl2O3(酸化アルミニウム(アルミナ)
)を用いてもよい。また、各吐出室21に液体を供給するリザーバ(共通液室)24とな
る凹部が形成されている。さらに、外部の発振回路から基板(振動板22)に個別電極1
2Aと反対の極性の電荷を供給するための端子となる共通電極端子27を備えている。
【0025】
ノズル基板30についても、例えばシリコン基板を主要な材料とする。ノズル基板30
には、複数のノズル孔31が形成されている。各ノズル孔31は、振動板22の駆動(変
位)により加圧された液体を液滴として外部に吐出する。ノズル孔31を複数段で形成す
ると、液滴を吐出する際の直進性向上が期待できるため、本実施の形態ではノズル孔31
を2段で形成する。本実施の形態では、振動板22が変位することでリザーバ24方向に
加わる圧力を緩衝するダイヤフラム32がさらに設けられている。また、吐出室21とリ
ザーバ24とを連通させるためのオリフィス33を下面に有している。
【0026】
図2は液滴吐出ヘッドの断面図である。封止材25は、異物、水分(水蒸気)等がギャ
ップに浸入しないように、ギャップと外の空間とを遮断し、密閉するために電極取出し口
26に設ける。電極取出し口26は端子部12Cを外部に露出させるために設けられてい
る。発振回路41は、ワイヤ、FPC(Flexible Print Circuit)等の配線42を介して
、電気的に共通電極端子27及び電極取出し口25から露出した端子部12Cと接続され
、個別電極12A、キャビティ基板20(振動板22)に電荷(電力)の供給及び停止を
制御する。発振回路41は例えば24kHzで発振し、個別電極12Aに電荷供給を行い
、例えば0Vと30Vのパルス電圧を印加する。発振回路41が発振駆動して、個別電極
12Aに電荷を供給して正に帯電させ、振動板22を相対的に負に帯電させると、振動板
22は静電気力により個別電極12Aに引き寄せられて撓む。これにより吐出室21の容
積は排除体積分広がる。そして電荷供給を止めると振動板22は元の形に戻る(復元する
)が、そのときの吐出室21の容積も元に戻り、その圧力により差分の液滴が吐出する。
この液滴が例えば記録対象となる記録紙に着弾することによって印刷等の記録が行われる

【0027】
図3は電極基板10の作製工程例を表す図である。図3に基づいて、本実施の形態に係
る電極基板10の作製手順について説明する。ここで、液滴吐出ヘッドの製造では、電極
基板10等、各基板は、実際にはウェハ単位で複数個分が同時に作製され、他の基板と接
合等をした後に個々に切り離して、液滴吐出ヘッドを製造するが、以下の各工程を示す図
では、1つの液滴吐出ヘッドに係る一部分を長辺方向で切ったときの断面を示している。
そして、図3の左側は電極用凹部11が形成される側を示し、右側はダミーパターン凹部
14が形成される側を示す。ここで、理論的には1のウェハに対して1のダミーパターン
凹部14を形成すればよいが、ここでは、各電極基板10に近い部分で精度の高い測定を
行えるように、各電極基板10に1のダミーパターン凹部14を形成するものとする。
【0028】
まず、例えば厚さが2〜3mmのガラス基板50を、機械研削、エッチング等によって
例えば基板3aの厚さが約1mmになるまで両面を研削(グラインド)する。そして、例
えば、ガラス基板50を10〜20μmエッチングして加工変質層を除去する(図3(a
))。この加工変質層の除去には、例えばSF6 等によるドライエッチング、フッ酸水溶
液によるスピンエッチング等で行ってよい。ドライエッチングを行う場合は、ガラス基板
50の片面にできた加工変質層を効率よく除去することができ、反対面の保護を必要とし
ない。またスピンエッチング(ウェットエッチング)を行う場合は、必要とするエッチン
グ液が少量で済み、また常に新しいエッチング液が供給されるため安定したエッチングを
行うことができる。
【0029】
ガラス基板50の片面全体に、例えばスパッタ法によってクロム(Cr)からなるエッ
チングマスク51となる膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ法によりエッチング
マスク51の表面に、レジスト(図示せず)を中央部分(ギャップ長G3の部分)の形状
(長方形)及びダミーパターン凹部14の一部の形状に対応させてパターニングし、さら
にウェットエッチング等を行い、ガラス基板50を露出させる(図3(b))。その後、
例えばBHF(バッファードフッ酸。フッ酸:フッ化アンモニウム=1:6)水溶液等の
フッ酸水溶液でガラス基板50をウェットエッチングし、凹部52を形成する(図3(c
))。このときのエッチング量(エッチングの深さ)は、約20nm(ギャップ長G3の
部分とギャップ長G2の部分との段差)にする。
【0030】
そして、フォトリソグラフィ法により、ギャップ長G2の部分の形状に対応させてパタ
ーニングしてウェットエッチング等を行い、ギャップ長G2の部分及びダミーパターン凹
部14のさらに一部の形状に対応させてガラス基板50も露出させる(図3(d))。そ
して、例えばフッ酸水溶液でガラス基板50をウェットエッチングし、凹部53を形成す
る(図3(e))。このときのエッチング量(エッチングの深さ)は、約20nm(ギャ
ップ長G2の部分とギャップ長G1の部分との段差)にする。これにより、凹部53は2
段となり、エッチングによる中央部分の深さは40nmとなる。
【0031】
さらにフォトリソグラフィ法により、ギャップ長G1の部分(リード部12B、端子部
12Cが形成される部分も含む)の形状及びダミーパターン凹部14のさらに一部の形状
に対応させてパターニングしてウェットエッチング等を行い、ギャップ長G1の部分のガ
ラス基板50も露出させる(図3(f))。そして、例えばフッ酸水溶液でガラス基板5
0をウェットエッチングし、最終的に電極用凹部11を形成する(図3(g))。また、
例えば、後の工程でギャップ内の圧力と外部の圧力とを同じにするための大気開放穴(図
示せず)を形成するようにしてもよい。このときのエッチング量(エッチングの深さ)は
、150nm(ギャップ長G1と同じ)にする。ここで、例えば4段以上の電極用凹部1
1及びダミーパターン凹部14を形成する場合は、上記の工程を繰り返すことになる。
【0032】
その後、例えばスパッタによって導電性を有するITO膜54を、ガラス基板50の電
極用凹部11が形成された側の面の全体に形成する(図3(h))。このとき、ITO膜
54を、階段状に形成された電極用凹部11が有するいずれの段差よりも厚く形成して断
線を防ぐようにする。そしてフォトリソグラフィーによってレジスト(図示せず)をパタ
ーニングし、電極部12として残す部分を保護した上でITO膜54をエッチングする。
ここで、ダミーパターン凹部14の部分についてもITO膜54の保護を行ってITO膜
54を残しておく。これは、例えば、後述するように、シリコン基板との陽極接合を行う
際、シリコン基板とガラス基板とが接合されてしまうのを防ぐために設けておくものであ
る。また、ギャップ長の検査を行う際により電極を形成した部分と同じ条件で検査ができ
るようにするためである。また、液体供給口13となる貫通穴をサンドブラスト法または
切削加工により形成する(図3(i))。以上の工程により電極基板10が作製される。
【0033】
以上のようにして形成した電極基板10について、ダミーパターン凹部14の部分を用
いて触針式段差計等の装置を用いて自動測定を行う。ダミーパターン凹部14の内側には
電極部12と同じ厚さのITO膜54が成膜されているため、個別電極12A(電極部1
2)の部分の深さ(ギャップ長)の測定を、ダミーパターン凹部14の部分において行う
ことができる。ここでは、最終的に作成した電極基板10について深さの測定を行ったが
、例えば、ITO膜54を成膜する前に測定を行うようにしてもよい。
【0034】
図4は液滴吐出ヘッドの製造工程を示す図である。シリコン基板60の片面(電極基板
10との接合面側となる)を鏡面研磨し、例えば220μmの厚みの基板(キャビティ基
板20となる)を作製する。次に、シリコン基板60のボロンドープ層61を形成する面
を、B23を主成分とする固体の拡散源に対向させ、縦型炉に入れてボロンをシリコン基
板60中に拡散させ、高濃度(約5×1019atoms/cm3 )のボロンドープ層61
を形成する。そして、ボロンドープ層61を形成した面に、プラズマCVD法により、成
膜時の処理温度は360℃、高周波出力は250W、圧力は66.7Pa(0.5Tor
r)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量10
00cm3 /min(1000sccm)の条件で絶縁膜23を0.1μm成膜する(図
4(a))。
【0035】
シリコン基板60と電極基板10とを360℃に加熱した後、電極基板10に負極、シ
リコン基板60に正極を接続して、800Vの電圧を印加し、陽極接合を行う。このとき
、シリコン基板60と電極基板10の界面において、ガラスが電気化学的に分解され酸素
が気体となって発生する場合がある。また加熱によって表面に吸着していたガス(気体)
が発生する場合もある。しかしながら、これらの気体が大気開放穴から逃げる為、ギャッ
プ内が正圧になることは無い。そして、陽極接合した後の基板(以下、接合済み基板とい
う)において、シリコン基板60の厚みが約60μmになるまでシリコン基板60表面の
研削加工を行う。その後、加工変質層を除去する為に、32w%の濃度の水酸化カリウム
溶液でシリコン基板60を約10μmウェットエッチングする。これによりシリコン基板
60の厚みを約50μmにする(図4(b))。
【0036】
この研削工程及び加工変質層除去工程において、大気開放穴から液体がギャップに入り
込まないように、片面保護治具、テープ等を用いて大気開放穴を塞ぎ、保護する。ここで
、次の工程において、再度基板を加熱するため、ギャップに気体が発生する可能性がある
。そこで、この工程では大気開放穴を完全に塞がないようにし、再度、ギャップ(電極用
凹部11)と外部とが連通できるようにしておく。
【0037】
例えば、ここで、可視光領域において透明なガラス基板10及びITO膜を介して振動
板22(シリコン基板60)を見た場合、光の干渉等の関係で、ギャップ長の長さにより
色が変化する。これによりギャップ長の検査を行うことができる。本実施の形態では、こ
の検査をダミーパターン凹部14が形成されている部分において行うものとする。ダミー
パターン凹部14が電極用凹部11よりも大きく形成されているので、色の変化をとらえ
やすく、検査しやすくなる。そのため、より簡単に精度の高い検査を行うことができる。
【0038】
次に、ウェットエッチングを行った面に対し、TEOSによるエッチングマスク(以下
、TEOSエッチングマスクという)61をプラズマCVD法により成膜する。成膜条件
としては、例えば、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は700W、圧力は33.
3Pa(0.25Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100s
ccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)の条件で約1.0μm
成膜する(図4(c))。TEOSを用いた成膜は比較的低温で行うことができるので、
基板の加熱をできる限り抑えられる点で都合がよい。TEOSエッチングマスク61を成
膜した後、例えばエポキシ系接着剤等を大気開放穴に流し込み、大気開放穴を封止する。
これによりギャップは密閉状態となるため、以後の工程で大気開放穴から液体等が入り込
むことがなくなる。TEOSエッチングマスク61を成膜した後に大気開放穴を封止する
ことで、成膜時の加熱によるギャップ内の気体膨張を防ぐことができる。
【0039】
そして、吐出室22及び電極取出し口25となる部分のTEOSエッチングマスク61
をエッチングするため、レジストパターニングを施す。そして、フッ酸水溶液を用いてT
EOSエッチングマスク61がなくなるまで、その部分をエッチングしてTEOSエッチ
ングマスク61をパターニングし、シリコン基板を露出させる。そして、エッチングした
後にレジストを剥離する。ここで電極取出し口25となる部分については、全てについて
シリコンを露出させなくても、例えば電極取出し口25とキャビティ基板20との境界と
なる部分を露出させ、残りの部分を島状に残して、シリコンの割れを防ぐようにしてもよ
い。
【0040】
さらに、リザーバ24となる部分のTEOSエッチングマスク61をエッチングするた
め、レジストパターニングを施す。そして、フッ酸水溶液でそれらの部分のTEOSエッ
チングマスク61を約0.7μmエッチングし、パターニングする。これによりリザーバ
24となる部分に残っているTEOSエッチングマスク61の厚みは約0.3μmとなる
がシリコン基板は露出しない。ここでは、残すTEOSエッチングマスク43の厚みを約
0.3μmとするが、所望するリザーバ24の深さによって、この厚みを調整する必要が
ある。そして、エッチングした後にレジストを剥離する(図4(d))。
【0041】
次に、接合済み基板を35wt%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、吐出室22と
なる部分及び電極取出し口26となる部分のシリコンを露出させた部分の厚みが約10μ
mになるまでウェットエッチングを行う。その後、リザーバ24となる部分のTEOSエ
ッチングマスク61を除去する為、フッ酸水溶液に接合済み基板を浸してエッチングを行
い、除去する。そして、さらに、接合済み基板を3wt%の濃度の水酸化カリウム水溶液
に浸し、ボロンドープ層において、エッチングストップが十分効いたものと判断するまで
エッチングを続ける。このように、前記2種類の濃度の異なる水酸化カリウム水溶液を用
いたエッチングを行うことによって、形成される振動板22の面荒れを抑制し、厚み精度
を0.80±0.05μm以下にすることができる。その結果、液滴吐出ヘッドの吐出性
能を安定化することができる。そして、この工程で階段状(3段)に形成された振動板2
2が現れる(図4(e))。
【0042】
ウェットエッチングを終了すると、接合済み基板をフッ酸水溶液に浸し、シリコン基板
60表面のTEOSエッチングマスク61を剥離する。そして、シリコン基板60の電極
取出し口25となる部分のシリコンを除去する為に、電極取出し口25となる部分が開口
したシリコンマスクを接合済み基板のシリコン基板60側の表面に取り付ける。そして、
例えば、RFパワー200W、圧力40Pa(0.3Torr)、CF4 流量30cm3
/min(30sccm)の条件で、RIEドライエッチング(異方性ドライエッチング
)を2時間行い、電極取出し口25となる部分のみにプラズマを当てて、開口する。開口
することでギャップについても大気開放される。ここで、ピン等で突いて電極取出し口2
5となる部分のシリコンを除去するようにしてもよい。
【0043】
そして、例えばエポキシ樹脂からなる封止材25を、電極取出し口26の端部(キャビ
ティ基板20と電極基板10の凹部との間で形成されるギャップの開口部分)に沿って流
し込み、ギャップを封止する。また、共通電極端子27となる部分を開口したマスクを、
接合基板のシリコン基板60側の表面に取り付ける。そして、例えばプラチナ(Pt)を
ターゲットとしてスパッタ等を行い、共通電極端子27を形成する。また、液体供給口1
3とリザーバ24とを連通させる貫通穴をシリコン基板60に形成する。ここで、流路を
流れる液体からキャビティ基板20を保護するため、例えば酸化シリコン等の液体保護膜
(図示せず)をさらに成膜してもよい。これにより、接合済み基板に行う加工処理は完了
する(図4(f))。
【0044】
あらかじめノズル孔31、ダイヤフラム32及びオリフィス33を形成することにより
、作製していたノズル基板30を例えば、エポキシ系接着剤により、接合済み基板のキャ
ビティ基板20側から接着する。そして、ダイシングを行い、個々の液滴吐出ヘッドに切
断し、液滴吐出ヘッドが完成する(図4(g))。ここでは、最終的に製造した液滴吐出
ヘッドにダミーパターン凹部14の部分を残しておくようにするが、ダイシングと共に切
断してもよい。
【0045】
以上のように、実施の形態1の静電アクチュエータ(液滴吐出ヘッド)では、電極用凹
部11を形成すると同時に、電極用凹部11の短辺方向に長い辺を有するダミーパターン
凹部14を同時に形成するようにし、ダミーパターン凹部14の部分を触針式段差計等の
装置で自動測定することによって電極用凹部11の深さの検査を行うようにしたので、形
成されたギャップ長(ウェットエッチングにより形成した凹部の深さ)の測定をより精確
に行うことができる。また、キャビティ基板20となるシリコン基板を接合した後におい
ても、広い面積におけるギャップ長の長さに基づく干渉光の変化をさらによく捉え、ギャ
ップ長の幅の測定を精確に行うことができる。これにより、所定のギャップ長が形成され
ていない電極基板10をあらかじめその後の液滴吐出ヘッドの製造に用いることなく、最
終的に製造される液滴吐出ヘッドの歩留まりをよくすることができる。また、製造された
液滴吐出ヘッドについては、所定の吐出性能を得ることができる。ここでは、製造の都合
上、個別電極12A等は階段状で、段を有する構造としているが、例えば、斜面等を有す
るように形成してもよい。
【0046】
実施の形態2.
上述の実施の形態では、3段で構成した電極用凹部11及びダミーパターン凹部14に
ついて測定を行ったが、例えば1段の凹部でも適用することができる。また、上述の実施
の形態では、ダミーパターン凹部14の形状を、電極用凹部11の形状に合わせて矩形状
としたが、触針式段差計等の装置による深さの測定が可能であり、所定数の電極基板10
が製造できるのであれば、形状は限定するものではない。
【0047】
実施の形態3.
図5は上述の実施の形態で製造した液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置の外観図であ
る。また、図6は液滴吐出装置の主要な構成手段の一例を表す図である。図5及び図6の
液滴吐出装置は液滴吐出方式(インクジェット方式)による印刷を目的とする。また、い
わゆるシリアル型の装置である。図6において、被印刷物であるプリント紙100が支持
されるドラム101と、プリント紙100にインクを吐出し、記録を行う液滴吐出ヘッド
102とで主に構成される。また、図示していないが、液滴吐出ヘッド102にインクを
供給するためのインク供給手段がある。プリント紙110は、ドラム101の軸方向に平
行に設けられた紙圧着ローラ103により、ドラム101に圧着して保持される。そして
、送りネジ104がドラム101の軸方向に平行に設けられ、液滴吐出ヘッド102が保
持されている。送りネジ104が回転することによって液滴吐出ヘッド102がドラム1
01の軸方向に移動するようになっている。
【0048】
一方、ドラム101は、ベルト105等を介してモータ106により回転駆動される。
また、プリント制御手段107は、印画データ及び制御信号に基づいて送りネジ104、
モータ106を駆動させ、また、ここでは図示していないが、発振回路を駆動させて振動
板4を振動させ、制御をしながらプリント紙110に印刷を行わせる。
【0049】
ここでは液体をインクとしてプリント紙110に吐出するようにしているが、液滴吐出
ヘッドから吐出する液体はインクに限定されない。例えば、カラーフィルタとなる基板に
吐出させる用途においては、カラーフィルタ用の顔料を含む液体、OLED等の表示基板
に吐出させる用途においては、発光素子となる化合物を含む液体、基板上に配線する用途
においては、例えば導電性金属を含む液体を、それぞれの装置において設けられた液滴吐
出ヘッドから吐出させるようにしてもよい。また、液滴吐出ヘッドをディスペンサとし、
生体分子のマイクロアレイとなる基板に吐出する用途に用いる場合では、DNA(Deoxyr
ibo Nucleic Acids :デオキシリボ核酸)、他の核酸(例えば、Ribo Nucleic Acid:リ
ボ核酸、Peptide Nucleic Acids:ペプチド核酸等)タンパク質等のプローブを含む液体
を吐出させるようにしてもよい。その他、布等の染料の吐出等にも利用することができる

【0050】
実施の形態4.
図7は本発明を利用した静電アクチュエータを用いた光スイッチを表す図である。上述
の実施の形態は、液滴吐出ヘッド、その液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置を例として
説明したが、本発明はそれだけに限定されず、他の微細加工の素子(デバイス)、装置に
も適用することができる。
【0051】
例えば、光通信、光演算、光記憶装置、光プリンタ、映像表示装置等に用いられている
図7の光スイッチは、マイクロミラー200の傾斜角度を変化させ、選択した方向に光を
反射させ、光によるスイッチング素子を利用したとしての役割を果たすものである。マイ
クロミラー200の傾斜角度を制御するため、マイクロミラー200を支える支軸210
を中心として例えば線対称の位置に被駆動部である可動電極220を設け、電極基板24
0に形成した、駆動部である固定電極230と所定の間隔(ギャップ)で対向配置させて
いる。そして、静電力を利用して、支軸210を回転させることで、マイクロミラー20
0の傾斜角度を制御する。その際、実施の形態1等のように、可動電極220、固定電極
230を階段状に形成しておくことで、従来に比して、駆動電圧に対して可動電極220
の変位を大きくすることができ、マイクロミラー200の傾斜角度を所望の角度に変化さ
せることができる。また、同様にモータ、センサ、SAWフィルタのような振動素子(レ
ゾネータ)、波長可変光フィルタ、他のミラーデバイス等、他の種類の微細加工の静電ア
クチュエータにも上述の可動電極、固定電極の組み合わせを適用することができる。特に
、液滴吐出ヘッドでは、可動電極となる振動板については、長辺においてその両端が支持
されているが、片端を支持する構造のアクチュエータ等にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。
【図2】液滴吐出ヘッドの断面図である。
【図3】電極基板10の作製工程例を表す図である。
【図4】液滴吐出ヘッドの製造工程を示す図である。
【図5】液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置の外観図である。
【図6】液滴吐出装置の主要な構成手段の一例を表す図である。
【図7】本発明の静電アクチュエータを用いた光スイッチを表す図である。
【符号の説明】
【0053】
10 電極基板、11 電極用凹部、12 電極部、12A 個別電極、12B リー
ド部、12C 端子部、13 液体供給口、20 キャビティ基板、21 吐出室、22
振動板、23 絶縁膜、24 リザーバ、25 封止材、26 電極取出し口、27
共通電極端子、30 ノズル基板、31 ノズル孔、32 ダイヤフラム、33 オリフ
ィス、41 発振回路、42 配線、50 ガラス基板、51 エッチングマスク、52
,53 凹部、54 ITO膜、60 シリコン基板、61 TEOSエッチングマスク
、100 プリンタ、101 ドラム、102 液滴吐出ヘッド、103 紙圧着ローラ
、104 送りネジ、105 ベルト、106 モータ、107 プリント制御手段、1
10 プリント紙、200 マイクロミラー、210 支軸、220 可動電極、230
固定電極、240 電極基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極基板となる基板にエッチングマスクを形成する工程と、
該エッチングマスクをエッチングして、固定電極形成用の凹部及び検査測定用のダミー
パターン凹部を形成するための開口部を形成する工程と、
エッチングを行い、前記基板の前記開口部に対応する部分に、固定電極形成用の凹部及
び前記ダミーパターン凹部を形成する工程と、
前記エッチングマスクをエッチングして、前記開口部を広げることにより、前記開口部
よりも広い開口部を形成すると共に、前記ダミーパターン凹部を形成するための開口部に
ついても、さらに広い開口部を形成する工程と、
エッチングを行って、広げた開口部に対応する部分に、階段状の前記凹部を形成する工
程と、
前記広い開口部の形成工程及び前記階段状の凹部の形成工程を1又は複数回繰り返して
前記基板に所望の段数の凹部を形成する工程と、
前記固定電極形成用の凹部及び前記ダミーパターン凹部に、前記固定電極となる導電膜
を形成する工程と、
前記ダミーパターン凹部の部分における深さを接触式段差計により測定する工程と
を行って、前記電極基板を形成することを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
【請求項2】
前記ダミーパターン凹部の各辺を前記固定電極形成用の凹部の短辺よりも広く形成する
ことを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエータの製造方法。
【請求項3】
一辺が100μm以上の幅を有する矩形状の前記ダミーパターン凹部を形成することを
特徴とする請求項2記載の静電アクチュエータの製造方法。
【請求項4】
前記導電膜を形成する前に、形成した前記ダミーパターン凹部の部分における深さを接
触式段差計により測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電アクチ
ュエータの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の静電アクチュエータの製造方法を適用して液滴吐出ヘ
ッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造することを特
徴とする液滴吐出装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の静電アクチュエータの製造方法を適用してデバイスを
製造することを特徴とする静電駆動デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−254391(P2008−254391A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101361(P2007−101361)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】