静電容量式センサ
【課題】複数の操作対象への入力に対応し、操作が直感的に分かりやすく、かつ、手のひらなどが誤作動の原因となり難い静電容量式センサを用いた入力装置を提供する。
【解決手段】対をなす電極からなる検知部1を複数備える。複数の検知部は、立体的に配置され、かつ、特定の平面に投影したとき、内包する1点を位置基準点として共有する複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されている。対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指を検知して出力を発生する。複数の検知部は、内包する1点を位置基準点として共有して平面上に形成された複数の相似多角形又は同心円の周上に配置してもよい。
【解決手段】対をなす電極からなる検知部1を複数備える。複数の検知部は、立体的に配置され、かつ、特定の平面に投影したとき、内包する1点を位置基準点として共有する複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されている。対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指を検知して出力を発生する。複数の検知部は、内包する1点を位置基準点として共有して平面上に形成された複数の相似多角形又は同心円の周上に配置してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビやオーディオ、エアコン等の車載装置、あるいはパソコンやAV機器などの電気製品において、コマンドや入力信号を発生する入力装置に、入力デバイスとして組み込まれる静電容量式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家電品や車載装置などの電気製品の入力デバイスとして使われるのは、電気接点を持つ機械式のプッシュボタンスイッチや回転式セレクター、あるいはノブを回す、あるいはスライドさせることで電気抵抗を変化させるボリュームなどであった。これらは比較的安価で構造も簡単なものであったが、装置の機能が高度なものになるにつれて、機械的な動作部分が少なく信頼性が高いことや、センサ部となる電極形状や配置の自由度が高くデザイン上の自由度を高く取れることなどから、接触式デバイスとして抵抗膜式や超音波式のタッチパッドやタッチパネルが用いられるようになってきた。なかでも、静電容量式近接センサは、近接した物体の誘電率の違いで異なる電極間の静電容量の変化量から人体の接近を識別する方式のため、検出の閾値を適当に設定することにより、電極の保護や見栄えの向上等のために電極と検知対象物である指等の間に絶縁板を置いての検知も可能であり、さらに人体以外の物体が近接しても誤作動を起こしにくい。また、特許文献1のように格子状に電極を配置し、スキャンする事で多点認識も可能であり、複数の指先を検知して、指先でつまむといった、人間にとってより直感的な入力動作を識別できる。しかしこの方式では、接近した複数の指の位置や動きを検出できるものの、検出処理が複雑になる、あるいは平らな面で検出電極を大きくしたり、数を多くしたりすると、指先より面積の広い手のひらなどからの影響を受けて、誤作動を起こしやすくなる、などの問題がある。
【0003】
そこで指先の動きの自由度は減るものの、直感的に分かりやすく、処理もしやすいものとして、回転式可変抵抗(ボリューム)を操作するような動作、つまり指先の回転を検知するものとして、特許文献2に示すような構造が存在する。この方式では検知部となる電極は円周上に配置され、指はその円周上を動くことで、次々に検知され、入力信号となる。また必要に応じて指先のガイドとなる円周状の凹みなどの構造や、塗装による円周状のマークを設けることもある。また類似のものとしてスライド式の可変抵抗のように直線上に電極を配置するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−342033号公報
【特許文献2】特表2005−522797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した指先の動きを利用する入力装置は、その操作法、構造から、直感的に指先での接触操作が想起されるため、操作時には、指を伸ばし、手のひらは大きく浮かせることが多くなり、単体では手のひらによる静電容量変化の影響を受けにくい。しかし、近傍に複数の同様のセンサが密集している場合などは、やはり入力対象のセンサ以外のセンサに不用意に接近し、誤作動などの影響を与えることがある。
【0006】
本発明は、従来の構成では、実現が難しかった複数の操作対象への入力に対応し、操作が直感的に分かりやすく、かつ、手のひらなどが誤作動の原因となり難い静電容量式センサを用いた入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の入力装置は、対をなす電極からなる検知部を複数備え、複数の検知部は、内包する1点を位置基準点として共有して平面上に形成された複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指の接近を検知して出力を発生するものである。
【0008】
また、本発明の入力装置は、対をなす電極からなる検知部を複数備え、複数の検知部は、立体的に配置され、かつ、特定の平面に投影したとき、内包する1点を位置基準点として共有する複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指を検知して出力を発生するものである。
【0009】
この入力装置は、操作者が指を相似多角形の位置基準点あるいは同心円の中心に向かって外側から内側に、あるいはその逆方向に、複数の周上の検知部を横切るように動かすとき、その動作を検知し、その位置、速度から対応する入力信号を発生する。
【0010】
検知電極を凸あるいは凹の半球あるいは類似した形状に立体的に配置することで、電極のある面に触れただけで、その時の指先の姿勢、触れた面の位置、方向、傾きから、操作者は空間上でどの位置の電極に触れているかについてのおおよその位置情報を確認することが出来る。さらに、検知対象部位以外が検知範囲に入らないように、支えとなる立体構造物を備えることで、手のひらなどが不用意に検知範囲に入り誤作動を起こすことを避ける。
【0011】
本発明の入力装置は、カーナビゲーション装置、車載オーディオ装置、カーエアコン等の車載装置を制御するための入力装置として用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
操作者が指を相似多角形の位置基準点あるいは同心円の中心、つまり扇形の頂点に向かって内側から外側に、あるいはその逆方向に、複数の周上の電極を横切るように動かす動作は、手のひらを扇形の頂点近傍上に置いた状態で、指を開く、あるいはすぼめる動作となり、直感的に量の大小表現につながりやすく、理解しやすい。また、静電容量のセンシング処理の上では、扇形内の組になった電極のうち、最外側で反応しているものを操作指の位置として処理すればよく、すべての電極を計測処理する必要がなく、内側の電極での反応は無視できるので、手のひらの接近等によるノイズに対する耐性も高い。
【0013】
また、平面に電極を配置した場合、操作指が面に触れただけでは、その感触から、入力装置のどの電極近傍に指があるのかを操作者が判断することは難しく、指先を視認することで位置を確認するか、指先を移動することで相対的な変化を表現するしかない。しかし、検知電極を凸あるいは凹の半球あるいは類似した形状に立体的に配置することで、操作者は電極のある面に触れただけで、その時の指先の姿勢、触れた面の位置、方向、傾きから、操作者は空間上でどの位置の電極に触れているかについてのおおよその位置を認識することが出来るので、入力値を絶対値として指先を見ずに認識できる。
【0014】
さらに、操作中、手のひらがあるべき部分に支えや支持となる突起などの構造物を設けることで、直感的に指先で電極面に接触する姿勢を作りやすくし、かつ手のひらを電極から遠ざけることで、手のひらが近づきすぎることによる静電容量の変化から生じるセンサの誤作動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示す概略図。
【図2】検知電極の配置を示す上面図。
【図3】検知電極と信号処理装置周りのハードウェアの概略を示すブロック図。
【図4】指の位置から入力信号の絶対値が類推できることを説明するための断面図。
【図5】図4の例とは逆の方向にある検知電極に操作する場合の説明図。
【図6】検知電極出力と信号出力の関係例を示すタイムチャート。
【図7】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図8】検知電極の配置を示す上面図。
【図9】指の位置から入力信号の絶対値が類推できることを説明するための図。
【図10】検知電極の配置パターンの一例を示す上面図。
【図11】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図12】手のひらを支える突起の効果を説明する断面図。
【図13】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図14】検知電極の配置を示す上面図。
【図15】図13の断面図。
【図16】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図17】検知電極の配置を示す上面図。
【図18】図16の断面図。
【図19】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図20】本発明の入力装置をカーナビゲーションの操作に適用した例を示す概略図。
【図21】本発明の入力装置をカーオーディオの操作に適用した例を示す概略図。
【図22】本発明の別の実施例を示す上面図。
【図23】操作方法を説明するための概略図。
【図24】図22の断面図。
【図25】検知電極と信号処理装置のハードウェアの概略を説明するブロック図。
【図26】検知電極配置例を説明するための断面図。
【図27】検知電極出力と信号出力の関係例を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明による入力装置の一実施例を示す概略図であり、図2はその検知電極の配置を示す上面図である。本実施例の入力装置では、静電容量式センサの検知電極1は、支え及び処理装置の収納部となる下部構造物4の上に半球状に上に凸に盛り上がった立体構造物2に対し、上面から見て同心円状にかつ円周方向に4つに扇状に分割されて設けられている。
【0017】
図3は、本実施例における電気信号処理のハードウェアの概略を示すブロック図である。静電容量式近接センサは、各々対になっている検知電極9での、検知対象物の接近による、つまり誘電率の異なるものが近接したことによる静電容量の変化を処理装置10で検出し、対応する信号を出力する仕組みである。静電容量の変化は、検知電極9のそれぞれの電極間に交流電圧をかけ、インピーダンスを測定することで、インピーダンスの変化として計測できる。静電容量の変化は、検知対象物の接近によっても起こるので、電極の保護や、見た目の改善のため、検知対象物が電極9に直接接触することがないように、適当な厚みの樹脂やガラス等で保護材として電極9をカバーし、検出の閾値をその条件に合わせて設定することで、保護材を介しても電極上に対象物が存在することを検知できる。
【0018】
ここで、図1、図2を含め以降の図で記述される検知電極1は、図の簡単化のために一つの電極であるかのように図上で表記しているが、実際には図3のように、それぞれが、近接した2つの検知電極9で構成されている。図2の例では、検知電極1は4つの方向に4つずつ設けられ、全体で16個となっている。電極を4方向に分割配置しているのは、検知対象である操作者5の指先の4方向への動きを検知するためである。全周方向に対する分割数が多ければ、指先の動きの方向に対する分解能は上がるが、検知電極が占める面積が小さくなり、静電容量変化の感度が下がる。これを補うために処理装置側で検知対象物を検出したと認識する静電容量変化の閾値を下げると、各検知電極同士が細かく隣接しているために、意図していない隣接した検知電極での静電容量変化が認識されてしまうなど、誤作動が起こりやすくなるので、注意が必要である。16個の検知電極1の静電容量を測るには、電極当たり2本の配線が必要であり、同時に全検知電極を測定するためには32本の配線が必要になる。しかし、図3の処理装置10内で切替機構を持っており、切り替え測定が十分早ければ、4本×4本の組み合わせで16個の切り替え測定は実現できるので、処理装置10からは測定用に最低8本の配線があればよい。
【0019】
次に図4を用いて、図1の実施例において、指の位置から入力信号の絶対値が類推できることを説明する。図4は、図2のA−A’断面図である。本実施例においては、操作者が片手で操作する場合、指を開くことで、それぞれの指で複数の方向について同時に入力することも可能であるが、説明の簡単化のために、ここでは一方向のみについて考える。まず、図4(a)に示すように、操作者が入力操作のために検知対象となる指先6を電極1a近傍においた場合、その指先6と立体構造物2の接触面の中心における接平面とその法線は、接平面8aと法線7aで示される。図上では接平面の断面を直線8aとして表している。次に、図4(b)に示すように、操作者が入力操作のために検知対象となる指先6を電極1c近傍におくと、その指先6と立体構造物2の接触面の中心における接平面とその法線は、接平面8cと法線7cで示される。このように半球状の立体構造物2に検知電極を設けた場合、各電極近傍での接平面及び法線の方向は各々異なり、その違いは操作者の指先6の感覚で容易に認識できる。従って、操作者は手元を見なくとも指先6の感覚から、入力装置上の指先の絶対位置をおおよそ類推でき、ひいては入力信号も類推できる。また、図5に示すように、図4とは反対の側の電極1eを操作指6aで操作する場合においても、その指先6aと立体構造物2の接触面の中心における接平面とその法線は、接平面8eと法線7eで示され、他の電極の場合とは異なるので、操作者は容易に識別可能である。
【0020】
図6は、本実施例における検知電極出力と処理装置10からの出力信号の関係例を示すタイムチャートである。図6に示した検知電極a1〜d1,a2〜d2は、図2に示すように同心状に配置された各電極の内側から検知電極a,b,c,dに割り振られ、時計回りにa1,a2のように割り振られているものとする。また処理装置出力は、検知電極の内向き又は外向きの出力変化には一段階変化する毎に外又は内の変化がどこで起こったかを「外1」、「内2」のように出力し、回転方向の出力変化には「右回転」か「左回転」かを出力するものとし、内側又は外側に二つ以上はなれた電極での検知は無視するものとする。むろんこれらの出力は、実際に適用される場合には、それぞれの機器の制御信号と最終的に入れ替わる。
【0021】
操作者の指は、図2において非接触の状態から電極a1、電極b1、電極c1、電極c2、電極d2、電極c2、電極b1の順番で動いたものとする。出力変化の流れ50に従って説明する。まず、検知電極a1で指の検知があった時点で「入力有り」となり、続いて電極b1から出力があると「外1」が出力され、さらに電極c1から出力があると再び「外1」が出力される。次に電極c2からの出力により「右回転」が出力され、電極d2の検知により「外2」が出力される。次に、一旦無くなった電極c2で再び出力があったことから「内2」が出力され、さらに電極b2からの出力でもう一度「内2」が出力される。最後に、電極b1からの出力で「左回転」を出力し、電極出力が無くなったことで「入力無し」を出力する。
【0022】
図7は、本発明の入力装置の別の実施例を示す概略図であり、図8はその検知電極の配置を示す上面図である。本実施例においては、検知電極12が配置された立体構造物11は、複数の平面を持つ多面体となっており、頭頂部の面11aにも検知電極12が設けられている。図8の上面図から分かるように、立体構造物11の検知電極12を埋められた各平面は、頭頂面を除いて、前後左右の4方向に向くように立体構造物11の稜線により分けられている。
【0023】
図9は、図8のA−A’断面であり、本実施例において指の位置から入力信号の絶対値が類推できることを説明するための断面図である。平面の多面体からなる本実施例の立体構造物では、上下に隣り合う電極間を含む面、例えば電極12bを含む面と電極12cを含む面の間にも、稜線すなわち角が存在する。実施例1では各検知電極1は曲面を描いていたので、隣り合う二つの電極間では方向差が小さかった。そのため、操作する指を表面に沿って滑らせていったとき、隣り合う電極1の境界近傍では、どちらの電極に反応しているか操作者が感覚だけで知ることは難しい。それに対し、本実施例では、隣り合う2つの電極間には必ず2つの面の接線である峰や角があり、操作者は、指が稜線を乗り越える感覚から、隣の検知領域に入ったことをはっきり意識できる。また、図9(a)に示すように、電極12bを指している場合の指が接触している面14b及びその法線方向13bは、図9(b)に示すように電極12dを指している場合の指が接触している面14d及びその法線方向13dとはっきりと異なっており、操作者は手元を見なくとも指先6の感覚から、入力装置上の指先の絶対位置をおおよそ類推でき、ひいては入力信号も類推できる。
【0024】
図10に、検知電極12のパターンの例を示す。先の実施例で述べたように、検知電極12は、一対の+側電極52と−側電極53から構成される。本実施例においては、検知電極12は直線であるため、最も簡単な配置は図10(a)に示すように、+側電極52と−側電極53を並列に並べておくことである。検知電極はコンデンサ(キャパシタ)と同じであるので、感度を上げるためには、+−間の電極間隔を狭く、単位面積当たりの電極面積を大きくし、電極間の静電容量を上げればよい。図10(b)の例は、+側電極52と−側電極53をくし歯状に組み合わせることで、電極間隔を狭め、検知電極感度を上げる。また図10(c)の例では、入り組んだ構造にすることにより、単位面積当たりの電極面積を増やすことで感度を上げる。
【0025】
図11は本発明の別の実施例を示す概略図であり、図12は本実施例において、手のひらを支える突起の効用を説明するための断面図である。本実施例においては、検知電極12が配置された立体構造物2の頂上近傍に、操作者の手のひらを支えるための突起15が設けられている。この突起15により、図12(a)に示すように、操作者が手5を立体構造物2上に置いて休めるばあいでも、突起15の高さの分だけ、手5が持ち上げられ、不用意に検知電極12に接触するのを避けることが出来る。さらに図12(b)に示すように、操作者が指先6で検知電極12に接触する場合でも、指先より面積が大きいため静電容量の変化に与える影響が大きい手のひら部分を、持ち上げて電極12から離しておくことができ、手のひら部分の影響による誤動作の可能性を減らすことが出来る。
【0026】
図13は本発明の別の実施例を示す概略図であり、図14は本実施例における検知電極の配置を示す上面図、図15は本実施例の入力装置の断面図である。本実施例の入力装置は、先の実施例の手のひらを支える突起に代わり、トラックボールのボールとして働く球体18を備える。この球体18は、図11に示した突起15と同様に、操作者の手が不用意に検知電極16,17に接近してしまうのを避ける役目を持つとともに、裏面にある検知器19により球体18の回転を捉え、トラックボールとしての動作も行う。
【0027】
また、図14から分かるように、検知電極16,17は球体の中心を位置基準点60として共有する相似多角形の各々の周上に並んでおり、図13における操作者の手5の親指近傍の検知電極群17とそれ以外の指近傍の検知電極群16の二つに分かれている。これは球体18上に手5を置いた状態から指で検知電極に触れる動作をするとき、親指とそれ以外の指では動かしやすい方向が異なることへの対処である。図15に示した親指6aでの操作時のように、指がどの検知電極に触れているかは、手5が球体18に触れたまま、操作指6aを検知電極17が埋め込まれている上面板20に接触するようにすることで、球体18と操作指6a間の距離として直感的に認識できる。親指以外の指で検知電極群16に対して操作する場合も同様である。
【0028】
図16は本発明の別の実施例を示す概略図であり、図17は本実施例における検知電極の配置を示す上面図、図18は本実施例の入力装置の断面図である。本実施例では、先の実施例とは異なり、主に左手23で操作することを考慮している。そのため図16、図17に示したように、親指側検知電極17とその他の指用の電極16の配置は、図13に示した右手で操作する場合の配置とは左右が逆になっている。また、中央の突起22は、図18に示すようにプッシュスイッチ21に繋がっている。このプッシュスイッチ21は、手を載せただけの重量では反応せず、意図的に押し込むことでスイッチが入る程度の強さとなっており、突起22は、パームレストとして、誘電体である手のひらを電極16,17から遠ざける機能も持つ。また、プッシュスイッチ21には回転計も内蔵されており、突起22の左右回転量も入力信号となる。
【0029】
図19は本発明の別の実施例を示す概略図であり、図20は本実施例をカーナビゲーションの操作に適用した例を示す概略図である。本実施例の入力装置は、図11に示した入力装置と似た立体構造を有するが、頭頂部のパームレストとなる突起は、図13に示した実施例と同じように前後左右に回転するトラックボールとして機能する球体18となっている。同心円状に配置された周囲の検知電極12は4方向に分割されており、トラックボール18で測定できる2軸分を合わせて、6つの変化量データを本実施例は取り込むことが出来る。
【0030】
図20を参照して、本実施例の入力装置をカーナビゲーション装置に適用して、ナビゲーション中の操作を行う例を説明する。図中、27はステアリング、25はアクセルペダル、26はブレーキペダルである。右ハンドル車の場合、本発明による入力装置33は、センターコンソール下方の運転者が左手で操作しやすい位置に置かれる。カーナビゲーション表示装置28は運転者の視線変更が少なくてすむように、かつ、外部視界を妨げることがないように可能な限りダッシュボード上部に置くのが望ましい。カーナビゲーション表示装置28にはナビゲーション中の地図画面29が表示されており、そこには自車位置を示すアイコン30や、ナビゲーションルート31の表示、地図のズーム率を示す表示32などがある。ナビゲーションされている運転者が運転中に気になり参照したくなるのは、自車位置周囲の地図と、ナビゲーションルートの先の地図であることが多い。そこで本実施例においては、球体18による前後左右の回転入力を、地図の自車位置を基準にしてのスライド表示に、前方検知電極群33aに対する入力をナビゲーションルート31に沿った前方地図の表示に、後方検知電極群33cに対する入力をナビゲーションルート31に沿った後方地図の表示に、左右検知電極33b,33dを地図のズーム率変更に対応させる。前述したように検知電極に対する入力操作は、操作指の位置角度から絶対的な入力量を知ることが可能であり、例えば現在位置からどのくらい先のナビゲーションルートを見るにはどうすればよいかといったことが、手元を見ずに直感的に行える。地図のズーム率変更についても同様である。さらに、入力装置がコントロールするものを、カーナビゲーション装置からカーオーディオやエアコンといった装置に切り替える入力動作は、操作指の検知電極群間での移動、つまり前方検知電極群33aから右検知電極群33b、さらに後方検知電極群33cに入力するような円を描くような入力に対し割り当てることが出来る。
【0031】
図21は、本発明の入力装置をカーオーディオの操作に適用した別の実施例を示す概略図である。本実施例の入力装置40は、図16に示したのと同様の平らで多角形の検知電極群40a,40bと、回転とプッシュ入力の機能を持ちパームレストを兼ねる中央突起40cを備える。車載機器の一つであるカーオーディオの状態表示は、車載機器コントロール装置表示部38の画面38aと、ヘッドアップディスプレイ34上にカーオーディオアイコン35と曲名表示36及び音量表示37のように行われている。本実施例においては、オーディオ機能のうち音量変更が人差し指側検知電極群40aの入力に登録されている。人差し指側検知電極群40a上で指を操作することでカーオーディオの音量を操作でき、それに従い車載機器コントロール装置表示部38の画面38aとヘッドアップディスプレイ34上の音量表示37も変化する。例えば、中央突起40cから遠く離れた検知電極40aの方に指を広げていくと音量が次第に大きくなり、指を中央突起40cの方に近づけてくると音量が小さくなるような制御が行われる。従来のボリュームつまみによる操作に比べると、場所も分かりやすく、細かな操作でもないので、運転者が気を散らす可能性を低減できる。この場合、曲名表示36の変更は中央突起40cの回転によって行う。中央突起40cを回転させると回転に合わせて曲名表示36が切り替わり、聞きたい曲名の時に中央突起40cをプッシュ入力することで音楽再生が始まり、再びプッシュ入力することで停止する。また、中央突起40cをプッシュ入力しながら回転させることで曲の変更ではなく、アルバム、ジャンル、あるいは再生リスト間の変更が曲名表示36に変わって表示され、実行される。
【0032】
図22は、本発明の別の実施例を示す上面図であり、図23はその操作方法を説明するための概略図、図24は図22の断面図である。また、図25は本実施例の検知電極と信号処理装置のハードウェアの概略を説明するブロック図、図26は本実施例における検知電極配置例を説明するための断面図、図27は本実施例における検知電極出力と信号出力の関係例を示すタイムチャートである。
【0033】
本実施例においては、図23、図24から分かるように、手のひらを電極から離しておくための突起を兼ねる回転スイッチ兼プッシュスイッチ42の周囲の平面基板45の裏面に同心円状に検知電極41が設けられている。回転スイッチ兼プッシュスイッチ42直下の基板45裏面には、スイッチの機構部42aが設けられており、回転スイッチ兼プッシュスイッチ42の回転と押し込み操作を電気信号に変換している。同心円状の各検知電極41は、正確には図25、図26(a)に示すように、+極41fと−極41eで一組、+極41gと−極41hで一組となっており、この電極間の静電容量が人体の接近により変化することを処理装置10で検出し、信号として出力する。そして、この信号がカーナビゲーション装置やカーオーディオ装置、その他機器への入力信号となり、音量や地図の解像度などを制御する制御信号となる。検知電極41は、図26(a)に示すように、単に+極41fと−極41eを並列させ、人体が直接接触しないよう絶縁体43で絶縁しておくだけでも良いが、検知感度を高めるために、図26(b)に示すように、+極41fと−極41eを互い違いに並列させ、電極間の静電容量を増大させ、人体の接近による容量変化を増大することで感度を上げてもよい。
【0034】
検知電極41に対する操作は、図23に示すように手44の親指と人差し指間を、基板45表面に触れながらつまみ42を中心に同心円の外側あるいは内側に向けて開いたり閉じたりすることによって行う。このとき発生する検知電極出力と処理装置10からの出力信号の関係の例を図27に示す。図27における各検知電極a,b,c,dは、図23に示すように同心状に配置された各電極の内側から検知電極a,b,c,dに割り振られているものとし、指は検知電極a上から検知電極c上まで開いたものとする。まず図27(a)に示すように、一番外側の検知結果を出力とするシステムでは、指が接近する前は、検知電極出力がないので処理装置出力はなく、ついで指の動きに従って検知電極a,b,cで指を検知すると、矢印48に流れを示すように最外側の値を出力として出す。この時途中で内側の入力49が起こっても、これはノイズとして排除され処理装置出力とはならない。このような出力決定仕様にすると、常に最外の検知電極47の出力のみを探せばよく、他の指が触れたことによる、あるいは電波の影響など電気的なノイズ信号にも強く、処理も簡単になる。続いて図27(b)は、2個以上順番に外側の検知電極に出力があったとき50は「拡大」の出力を、逆に2個以上順番に内側の検知電極に出力があったとき51は「縮小」の出力を出す仕様の場合の例である。本仕様では最低でも3つの電極での検知が必要になるので、信号の解像度は低くなるが、連続して隣の検知電極からの出力があることが条件になるので、やはりノイズに対しては高い耐性を持つとともに、指の大きな動きが必要となるので誤操作の防止にも役立つ。
【符号の説明】
【0035】
1…検知電極、1a〜1e…検知電極、2…立体構造物、4…下部構造物、5…操作者の手、6,6a…操作者の指先、9…対を成す検知電極、10…処理装置、11…多面体、12…検知電極、12a〜2e…検知電極、15…突起、16…検知電極、17…親指側検知電極、18…球体、19…回転検知器、20…上面板、21…プッシュスイッチ、22…半球状の突起、25…アクセルペダル、26…ブレーキペダル、27…ステアリング、28…カーナビゲーション表示装置、29…地図画面、30…自車位置マーク、31…ナビゲーションルート表示、32…地図ズーム率表示、33a…前方検知電極群、33b…右側検知電極群、33c…後方検知電極群、33d…左方検知電極群、34…ヘッドアップディスプレイ、35…操作対象表示アイコン、36…曲名表示、37…音量表示メータ、38…車載機器コントロール装置表示部、38a…車載機器コントロール装置表示部画面、39…操作者の左手、40a…人差し指側検知電極群、40b…親指側検知電極群、40c…中央突起、41…同心円状配置電極群、41e…−側検知電極、41f…+側検知電極、41g…−側検知電極、41h…+側検知電極、42…回転スイッチ兼プッシュスイッチ、43…絶縁体、45…基板、60…位置基準点
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビやオーディオ、エアコン等の車載装置、あるいはパソコンやAV機器などの電気製品において、コマンドや入力信号を発生する入力装置に、入力デバイスとして組み込まれる静電容量式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家電品や車載装置などの電気製品の入力デバイスとして使われるのは、電気接点を持つ機械式のプッシュボタンスイッチや回転式セレクター、あるいはノブを回す、あるいはスライドさせることで電気抵抗を変化させるボリュームなどであった。これらは比較的安価で構造も簡単なものであったが、装置の機能が高度なものになるにつれて、機械的な動作部分が少なく信頼性が高いことや、センサ部となる電極形状や配置の自由度が高くデザイン上の自由度を高く取れることなどから、接触式デバイスとして抵抗膜式や超音波式のタッチパッドやタッチパネルが用いられるようになってきた。なかでも、静電容量式近接センサは、近接した物体の誘電率の違いで異なる電極間の静電容量の変化量から人体の接近を識別する方式のため、検出の閾値を適当に設定することにより、電極の保護や見栄えの向上等のために電極と検知対象物である指等の間に絶縁板を置いての検知も可能であり、さらに人体以外の物体が近接しても誤作動を起こしにくい。また、特許文献1のように格子状に電極を配置し、スキャンする事で多点認識も可能であり、複数の指先を検知して、指先でつまむといった、人間にとってより直感的な入力動作を識別できる。しかしこの方式では、接近した複数の指の位置や動きを検出できるものの、検出処理が複雑になる、あるいは平らな面で検出電極を大きくしたり、数を多くしたりすると、指先より面積の広い手のひらなどからの影響を受けて、誤作動を起こしやすくなる、などの問題がある。
【0003】
そこで指先の動きの自由度は減るものの、直感的に分かりやすく、処理もしやすいものとして、回転式可変抵抗(ボリューム)を操作するような動作、つまり指先の回転を検知するものとして、特許文献2に示すような構造が存在する。この方式では検知部となる電極は円周上に配置され、指はその円周上を動くことで、次々に検知され、入力信号となる。また必要に応じて指先のガイドとなる円周状の凹みなどの構造や、塗装による円周状のマークを設けることもある。また類似のものとしてスライド式の可変抵抗のように直線上に電極を配置するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−342033号公報
【特許文献2】特表2005−522797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した指先の動きを利用する入力装置は、その操作法、構造から、直感的に指先での接触操作が想起されるため、操作時には、指を伸ばし、手のひらは大きく浮かせることが多くなり、単体では手のひらによる静電容量変化の影響を受けにくい。しかし、近傍に複数の同様のセンサが密集している場合などは、やはり入力対象のセンサ以外のセンサに不用意に接近し、誤作動などの影響を与えることがある。
【0006】
本発明は、従来の構成では、実現が難しかった複数の操作対象への入力に対応し、操作が直感的に分かりやすく、かつ、手のひらなどが誤作動の原因となり難い静電容量式センサを用いた入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の入力装置は、対をなす電極からなる検知部を複数備え、複数の検知部は、内包する1点を位置基準点として共有して平面上に形成された複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指の接近を検知して出力を発生するものである。
【0008】
また、本発明の入力装置は、対をなす電極からなる検知部を複数備え、複数の検知部は、立体的に配置され、かつ、特定の平面に投影したとき、内包する1点を位置基準点として共有する複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指を検知して出力を発生するものである。
【0009】
この入力装置は、操作者が指を相似多角形の位置基準点あるいは同心円の中心に向かって外側から内側に、あるいはその逆方向に、複数の周上の検知部を横切るように動かすとき、その動作を検知し、その位置、速度から対応する入力信号を発生する。
【0010】
検知電極を凸あるいは凹の半球あるいは類似した形状に立体的に配置することで、電極のある面に触れただけで、その時の指先の姿勢、触れた面の位置、方向、傾きから、操作者は空間上でどの位置の電極に触れているかについてのおおよその位置情報を確認することが出来る。さらに、検知対象部位以外が検知範囲に入らないように、支えとなる立体構造物を備えることで、手のひらなどが不用意に検知範囲に入り誤作動を起こすことを避ける。
【0011】
本発明の入力装置は、カーナビゲーション装置、車載オーディオ装置、カーエアコン等の車載装置を制御するための入力装置として用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
操作者が指を相似多角形の位置基準点あるいは同心円の中心、つまり扇形の頂点に向かって内側から外側に、あるいはその逆方向に、複数の周上の電極を横切るように動かす動作は、手のひらを扇形の頂点近傍上に置いた状態で、指を開く、あるいはすぼめる動作となり、直感的に量の大小表現につながりやすく、理解しやすい。また、静電容量のセンシング処理の上では、扇形内の組になった電極のうち、最外側で反応しているものを操作指の位置として処理すればよく、すべての電極を計測処理する必要がなく、内側の電極での反応は無視できるので、手のひらの接近等によるノイズに対する耐性も高い。
【0013】
また、平面に電極を配置した場合、操作指が面に触れただけでは、その感触から、入力装置のどの電極近傍に指があるのかを操作者が判断することは難しく、指先を視認することで位置を確認するか、指先を移動することで相対的な変化を表現するしかない。しかし、検知電極を凸あるいは凹の半球あるいは類似した形状に立体的に配置することで、操作者は電極のある面に触れただけで、その時の指先の姿勢、触れた面の位置、方向、傾きから、操作者は空間上でどの位置の電極に触れているかについてのおおよその位置を認識することが出来るので、入力値を絶対値として指先を見ずに認識できる。
【0014】
さらに、操作中、手のひらがあるべき部分に支えや支持となる突起などの構造物を設けることで、直感的に指先で電極面に接触する姿勢を作りやすくし、かつ手のひらを電極から遠ざけることで、手のひらが近づきすぎることによる静電容量の変化から生じるセンサの誤作動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示す概略図。
【図2】検知電極の配置を示す上面図。
【図3】検知電極と信号処理装置周りのハードウェアの概略を示すブロック図。
【図4】指の位置から入力信号の絶対値が類推できることを説明するための断面図。
【図5】図4の例とは逆の方向にある検知電極に操作する場合の説明図。
【図6】検知電極出力と信号出力の関係例を示すタイムチャート。
【図7】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図8】検知電極の配置を示す上面図。
【図9】指の位置から入力信号の絶対値が類推できることを説明するための図。
【図10】検知電極の配置パターンの一例を示す上面図。
【図11】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図12】手のひらを支える突起の効果を説明する断面図。
【図13】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図14】検知電極の配置を示す上面図。
【図15】図13の断面図。
【図16】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図17】検知電極の配置を示す上面図。
【図18】図16の断面図。
【図19】本発明の別の実施例を示す概略図。
【図20】本発明の入力装置をカーナビゲーションの操作に適用した例を示す概略図。
【図21】本発明の入力装置をカーオーディオの操作に適用した例を示す概略図。
【図22】本発明の別の実施例を示す上面図。
【図23】操作方法を説明するための概略図。
【図24】図22の断面図。
【図25】検知電極と信号処理装置のハードウェアの概略を説明するブロック図。
【図26】検知電極配置例を説明するための断面図。
【図27】検知電極出力と信号出力の関係例を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明による入力装置の一実施例を示す概略図であり、図2はその検知電極の配置を示す上面図である。本実施例の入力装置では、静電容量式センサの検知電極1は、支え及び処理装置の収納部となる下部構造物4の上に半球状に上に凸に盛り上がった立体構造物2に対し、上面から見て同心円状にかつ円周方向に4つに扇状に分割されて設けられている。
【0017】
図3は、本実施例における電気信号処理のハードウェアの概略を示すブロック図である。静電容量式近接センサは、各々対になっている検知電極9での、検知対象物の接近による、つまり誘電率の異なるものが近接したことによる静電容量の変化を処理装置10で検出し、対応する信号を出力する仕組みである。静電容量の変化は、検知電極9のそれぞれの電極間に交流電圧をかけ、インピーダンスを測定することで、インピーダンスの変化として計測できる。静電容量の変化は、検知対象物の接近によっても起こるので、電極の保護や、見た目の改善のため、検知対象物が電極9に直接接触することがないように、適当な厚みの樹脂やガラス等で保護材として電極9をカバーし、検出の閾値をその条件に合わせて設定することで、保護材を介しても電極上に対象物が存在することを検知できる。
【0018】
ここで、図1、図2を含め以降の図で記述される検知電極1は、図の簡単化のために一つの電極であるかのように図上で表記しているが、実際には図3のように、それぞれが、近接した2つの検知電極9で構成されている。図2の例では、検知電極1は4つの方向に4つずつ設けられ、全体で16個となっている。電極を4方向に分割配置しているのは、検知対象である操作者5の指先の4方向への動きを検知するためである。全周方向に対する分割数が多ければ、指先の動きの方向に対する分解能は上がるが、検知電極が占める面積が小さくなり、静電容量変化の感度が下がる。これを補うために処理装置側で検知対象物を検出したと認識する静電容量変化の閾値を下げると、各検知電極同士が細かく隣接しているために、意図していない隣接した検知電極での静電容量変化が認識されてしまうなど、誤作動が起こりやすくなるので、注意が必要である。16個の検知電極1の静電容量を測るには、電極当たり2本の配線が必要であり、同時に全検知電極を測定するためには32本の配線が必要になる。しかし、図3の処理装置10内で切替機構を持っており、切り替え測定が十分早ければ、4本×4本の組み合わせで16個の切り替え測定は実現できるので、処理装置10からは測定用に最低8本の配線があればよい。
【0019】
次に図4を用いて、図1の実施例において、指の位置から入力信号の絶対値が類推できることを説明する。図4は、図2のA−A’断面図である。本実施例においては、操作者が片手で操作する場合、指を開くことで、それぞれの指で複数の方向について同時に入力することも可能であるが、説明の簡単化のために、ここでは一方向のみについて考える。まず、図4(a)に示すように、操作者が入力操作のために検知対象となる指先6を電極1a近傍においた場合、その指先6と立体構造物2の接触面の中心における接平面とその法線は、接平面8aと法線7aで示される。図上では接平面の断面を直線8aとして表している。次に、図4(b)に示すように、操作者が入力操作のために検知対象となる指先6を電極1c近傍におくと、その指先6と立体構造物2の接触面の中心における接平面とその法線は、接平面8cと法線7cで示される。このように半球状の立体構造物2に検知電極を設けた場合、各電極近傍での接平面及び法線の方向は各々異なり、その違いは操作者の指先6の感覚で容易に認識できる。従って、操作者は手元を見なくとも指先6の感覚から、入力装置上の指先の絶対位置をおおよそ類推でき、ひいては入力信号も類推できる。また、図5に示すように、図4とは反対の側の電極1eを操作指6aで操作する場合においても、その指先6aと立体構造物2の接触面の中心における接平面とその法線は、接平面8eと法線7eで示され、他の電極の場合とは異なるので、操作者は容易に識別可能である。
【0020】
図6は、本実施例における検知電極出力と処理装置10からの出力信号の関係例を示すタイムチャートである。図6に示した検知電極a1〜d1,a2〜d2は、図2に示すように同心状に配置された各電極の内側から検知電極a,b,c,dに割り振られ、時計回りにa1,a2のように割り振られているものとする。また処理装置出力は、検知電極の内向き又は外向きの出力変化には一段階変化する毎に外又は内の変化がどこで起こったかを「外1」、「内2」のように出力し、回転方向の出力変化には「右回転」か「左回転」かを出力するものとし、内側又は外側に二つ以上はなれた電極での検知は無視するものとする。むろんこれらの出力は、実際に適用される場合には、それぞれの機器の制御信号と最終的に入れ替わる。
【0021】
操作者の指は、図2において非接触の状態から電極a1、電極b1、電極c1、電極c2、電極d2、電極c2、電極b1の順番で動いたものとする。出力変化の流れ50に従って説明する。まず、検知電極a1で指の検知があった時点で「入力有り」となり、続いて電極b1から出力があると「外1」が出力され、さらに電極c1から出力があると再び「外1」が出力される。次に電極c2からの出力により「右回転」が出力され、電極d2の検知により「外2」が出力される。次に、一旦無くなった電極c2で再び出力があったことから「内2」が出力され、さらに電極b2からの出力でもう一度「内2」が出力される。最後に、電極b1からの出力で「左回転」を出力し、電極出力が無くなったことで「入力無し」を出力する。
【0022】
図7は、本発明の入力装置の別の実施例を示す概略図であり、図8はその検知電極の配置を示す上面図である。本実施例においては、検知電極12が配置された立体構造物11は、複数の平面を持つ多面体となっており、頭頂部の面11aにも検知電極12が設けられている。図8の上面図から分かるように、立体構造物11の検知電極12を埋められた各平面は、頭頂面を除いて、前後左右の4方向に向くように立体構造物11の稜線により分けられている。
【0023】
図9は、図8のA−A’断面であり、本実施例において指の位置から入力信号の絶対値が類推できることを説明するための断面図である。平面の多面体からなる本実施例の立体構造物では、上下に隣り合う電極間を含む面、例えば電極12bを含む面と電極12cを含む面の間にも、稜線すなわち角が存在する。実施例1では各検知電極1は曲面を描いていたので、隣り合う二つの電極間では方向差が小さかった。そのため、操作する指を表面に沿って滑らせていったとき、隣り合う電極1の境界近傍では、どちらの電極に反応しているか操作者が感覚だけで知ることは難しい。それに対し、本実施例では、隣り合う2つの電極間には必ず2つの面の接線である峰や角があり、操作者は、指が稜線を乗り越える感覚から、隣の検知領域に入ったことをはっきり意識できる。また、図9(a)に示すように、電極12bを指している場合の指が接触している面14b及びその法線方向13bは、図9(b)に示すように電極12dを指している場合の指が接触している面14d及びその法線方向13dとはっきりと異なっており、操作者は手元を見なくとも指先6の感覚から、入力装置上の指先の絶対位置をおおよそ類推でき、ひいては入力信号も類推できる。
【0024】
図10に、検知電極12のパターンの例を示す。先の実施例で述べたように、検知電極12は、一対の+側電極52と−側電極53から構成される。本実施例においては、検知電極12は直線であるため、最も簡単な配置は図10(a)に示すように、+側電極52と−側電極53を並列に並べておくことである。検知電極はコンデンサ(キャパシタ)と同じであるので、感度を上げるためには、+−間の電極間隔を狭く、単位面積当たりの電極面積を大きくし、電極間の静電容量を上げればよい。図10(b)の例は、+側電極52と−側電極53をくし歯状に組み合わせることで、電極間隔を狭め、検知電極感度を上げる。また図10(c)の例では、入り組んだ構造にすることにより、単位面積当たりの電極面積を増やすことで感度を上げる。
【0025】
図11は本発明の別の実施例を示す概略図であり、図12は本実施例において、手のひらを支える突起の効用を説明するための断面図である。本実施例においては、検知電極12が配置された立体構造物2の頂上近傍に、操作者の手のひらを支えるための突起15が設けられている。この突起15により、図12(a)に示すように、操作者が手5を立体構造物2上に置いて休めるばあいでも、突起15の高さの分だけ、手5が持ち上げられ、不用意に検知電極12に接触するのを避けることが出来る。さらに図12(b)に示すように、操作者が指先6で検知電極12に接触する場合でも、指先より面積が大きいため静電容量の変化に与える影響が大きい手のひら部分を、持ち上げて電極12から離しておくことができ、手のひら部分の影響による誤動作の可能性を減らすことが出来る。
【0026】
図13は本発明の別の実施例を示す概略図であり、図14は本実施例における検知電極の配置を示す上面図、図15は本実施例の入力装置の断面図である。本実施例の入力装置は、先の実施例の手のひらを支える突起に代わり、トラックボールのボールとして働く球体18を備える。この球体18は、図11に示した突起15と同様に、操作者の手が不用意に検知電極16,17に接近してしまうのを避ける役目を持つとともに、裏面にある検知器19により球体18の回転を捉え、トラックボールとしての動作も行う。
【0027】
また、図14から分かるように、検知電極16,17は球体の中心を位置基準点60として共有する相似多角形の各々の周上に並んでおり、図13における操作者の手5の親指近傍の検知電極群17とそれ以外の指近傍の検知電極群16の二つに分かれている。これは球体18上に手5を置いた状態から指で検知電極に触れる動作をするとき、親指とそれ以外の指では動かしやすい方向が異なることへの対処である。図15に示した親指6aでの操作時のように、指がどの検知電極に触れているかは、手5が球体18に触れたまま、操作指6aを検知電極17が埋め込まれている上面板20に接触するようにすることで、球体18と操作指6a間の距離として直感的に認識できる。親指以外の指で検知電極群16に対して操作する場合も同様である。
【0028】
図16は本発明の別の実施例を示す概略図であり、図17は本実施例における検知電極の配置を示す上面図、図18は本実施例の入力装置の断面図である。本実施例では、先の実施例とは異なり、主に左手23で操作することを考慮している。そのため図16、図17に示したように、親指側検知電極17とその他の指用の電極16の配置は、図13に示した右手で操作する場合の配置とは左右が逆になっている。また、中央の突起22は、図18に示すようにプッシュスイッチ21に繋がっている。このプッシュスイッチ21は、手を載せただけの重量では反応せず、意図的に押し込むことでスイッチが入る程度の強さとなっており、突起22は、パームレストとして、誘電体である手のひらを電極16,17から遠ざける機能も持つ。また、プッシュスイッチ21には回転計も内蔵されており、突起22の左右回転量も入力信号となる。
【0029】
図19は本発明の別の実施例を示す概略図であり、図20は本実施例をカーナビゲーションの操作に適用した例を示す概略図である。本実施例の入力装置は、図11に示した入力装置と似た立体構造を有するが、頭頂部のパームレストとなる突起は、図13に示した実施例と同じように前後左右に回転するトラックボールとして機能する球体18となっている。同心円状に配置された周囲の検知電極12は4方向に分割されており、トラックボール18で測定できる2軸分を合わせて、6つの変化量データを本実施例は取り込むことが出来る。
【0030】
図20を参照して、本実施例の入力装置をカーナビゲーション装置に適用して、ナビゲーション中の操作を行う例を説明する。図中、27はステアリング、25はアクセルペダル、26はブレーキペダルである。右ハンドル車の場合、本発明による入力装置33は、センターコンソール下方の運転者が左手で操作しやすい位置に置かれる。カーナビゲーション表示装置28は運転者の視線変更が少なくてすむように、かつ、外部視界を妨げることがないように可能な限りダッシュボード上部に置くのが望ましい。カーナビゲーション表示装置28にはナビゲーション中の地図画面29が表示されており、そこには自車位置を示すアイコン30や、ナビゲーションルート31の表示、地図のズーム率を示す表示32などがある。ナビゲーションされている運転者が運転中に気になり参照したくなるのは、自車位置周囲の地図と、ナビゲーションルートの先の地図であることが多い。そこで本実施例においては、球体18による前後左右の回転入力を、地図の自車位置を基準にしてのスライド表示に、前方検知電極群33aに対する入力をナビゲーションルート31に沿った前方地図の表示に、後方検知電極群33cに対する入力をナビゲーションルート31に沿った後方地図の表示に、左右検知電極33b,33dを地図のズーム率変更に対応させる。前述したように検知電極に対する入力操作は、操作指の位置角度から絶対的な入力量を知ることが可能であり、例えば現在位置からどのくらい先のナビゲーションルートを見るにはどうすればよいかといったことが、手元を見ずに直感的に行える。地図のズーム率変更についても同様である。さらに、入力装置がコントロールするものを、カーナビゲーション装置からカーオーディオやエアコンといった装置に切り替える入力動作は、操作指の検知電極群間での移動、つまり前方検知電極群33aから右検知電極群33b、さらに後方検知電極群33cに入力するような円を描くような入力に対し割り当てることが出来る。
【0031】
図21は、本発明の入力装置をカーオーディオの操作に適用した別の実施例を示す概略図である。本実施例の入力装置40は、図16に示したのと同様の平らで多角形の検知電極群40a,40bと、回転とプッシュ入力の機能を持ちパームレストを兼ねる中央突起40cを備える。車載機器の一つであるカーオーディオの状態表示は、車載機器コントロール装置表示部38の画面38aと、ヘッドアップディスプレイ34上にカーオーディオアイコン35と曲名表示36及び音量表示37のように行われている。本実施例においては、オーディオ機能のうち音量変更が人差し指側検知電極群40aの入力に登録されている。人差し指側検知電極群40a上で指を操作することでカーオーディオの音量を操作でき、それに従い車載機器コントロール装置表示部38の画面38aとヘッドアップディスプレイ34上の音量表示37も変化する。例えば、中央突起40cから遠く離れた検知電極40aの方に指を広げていくと音量が次第に大きくなり、指を中央突起40cの方に近づけてくると音量が小さくなるような制御が行われる。従来のボリュームつまみによる操作に比べると、場所も分かりやすく、細かな操作でもないので、運転者が気を散らす可能性を低減できる。この場合、曲名表示36の変更は中央突起40cの回転によって行う。中央突起40cを回転させると回転に合わせて曲名表示36が切り替わり、聞きたい曲名の時に中央突起40cをプッシュ入力することで音楽再生が始まり、再びプッシュ入力することで停止する。また、中央突起40cをプッシュ入力しながら回転させることで曲の変更ではなく、アルバム、ジャンル、あるいは再生リスト間の変更が曲名表示36に変わって表示され、実行される。
【0032】
図22は、本発明の別の実施例を示す上面図であり、図23はその操作方法を説明するための概略図、図24は図22の断面図である。また、図25は本実施例の検知電極と信号処理装置のハードウェアの概略を説明するブロック図、図26は本実施例における検知電極配置例を説明するための断面図、図27は本実施例における検知電極出力と信号出力の関係例を示すタイムチャートである。
【0033】
本実施例においては、図23、図24から分かるように、手のひらを電極から離しておくための突起を兼ねる回転スイッチ兼プッシュスイッチ42の周囲の平面基板45の裏面に同心円状に検知電極41が設けられている。回転スイッチ兼プッシュスイッチ42直下の基板45裏面には、スイッチの機構部42aが設けられており、回転スイッチ兼プッシュスイッチ42の回転と押し込み操作を電気信号に変換している。同心円状の各検知電極41は、正確には図25、図26(a)に示すように、+極41fと−極41eで一組、+極41gと−極41hで一組となっており、この電極間の静電容量が人体の接近により変化することを処理装置10で検出し、信号として出力する。そして、この信号がカーナビゲーション装置やカーオーディオ装置、その他機器への入力信号となり、音量や地図の解像度などを制御する制御信号となる。検知電極41は、図26(a)に示すように、単に+極41fと−極41eを並列させ、人体が直接接触しないよう絶縁体43で絶縁しておくだけでも良いが、検知感度を高めるために、図26(b)に示すように、+極41fと−極41eを互い違いに並列させ、電極間の静電容量を増大させ、人体の接近による容量変化を増大することで感度を上げてもよい。
【0034】
検知電極41に対する操作は、図23に示すように手44の親指と人差し指間を、基板45表面に触れながらつまみ42を中心に同心円の外側あるいは内側に向けて開いたり閉じたりすることによって行う。このとき発生する検知電極出力と処理装置10からの出力信号の関係の例を図27に示す。図27における各検知電極a,b,c,dは、図23に示すように同心状に配置された各電極の内側から検知電極a,b,c,dに割り振られているものとし、指は検知電極a上から検知電極c上まで開いたものとする。まず図27(a)に示すように、一番外側の検知結果を出力とするシステムでは、指が接近する前は、検知電極出力がないので処理装置出力はなく、ついで指の動きに従って検知電極a,b,cで指を検知すると、矢印48に流れを示すように最外側の値を出力として出す。この時途中で内側の入力49が起こっても、これはノイズとして排除され処理装置出力とはならない。このような出力決定仕様にすると、常に最外の検知電極47の出力のみを探せばよく、他の指が触れたことによる、あるいは電波の影響など電気的なノイズ信号にも強く、処理も簡単になる。続いて図27(b)は、2個以上順番に外側の検知電極に出力があったとき50は「拡大」の出力を、逆に2個以上順番に内側の検知電極に出力があったとき51は「縮小」の出力を出す仕様の場合の例である。本仕様では最低でも3つの電極での検知が必要になるので、信号の解像度は低くなるが、連続して隣の検知電極からの出力があることが条件になるので、やはりノイズに対しては高い耐性を持つとともに、指の大きな動きが必要となるので誤操作の防止にも役立つ。
【符号の説明】
【0035】
1…検知電極、1a〜1e…検知電極、2…立体構造物、4…下部構造物、5…操作者の手、6,6a…操作者の指先、9…対を成す検知電極、10…処理装置、11…多面体、12…検知電極、12a〜2e…検知電極、15…突起、16…検知電極、17…親指側検知電極、18…球体、19…回転検知器、20…上面板、21…プッシュスイッチ、22…半球状の突起、25…アクセルペダル、26…ブレーキペダル、27…ステアリング、28…カーナビゲーション表示装置、29…地図画面、30…自車位置マーク、31…ナビゲーションルート表示、32…地図ズーム率表示、33a…前方検知電極群、33b…右側検知電極群、33c…後方検知電極群、33d…左方検知電極群、34…ヘッドアップディスプレイ、35…操作対象表示アイコン、36…曲名表示、37…音量表示メータ、38…車載機器コントロール装置表示部、38a…車載機器コントロール装置表示部画面、39…操作者の左手、40a…人差し指側検知電極群、40b…親指側検知電極群、40c…中央突起、41…同心円状配置電極群、41e…−側検知電極、41f…+側検知電極、41g…−側検知電極、41h…+側検知電極、42…回転スイッチ兼プッシュスイッチ、43…絶縁体、45…基板、60…位置基準点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対をなす電極からなる検知部を複数備え、
前記複数の検知部は、内包する1点を位置基準点として共有して平面上に形成された複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、
前記対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指の接近を検知して出力を発生することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
対をなす電極からなる検知部を複数備え、
前記複数の検知部は、立体的に配置され、かつ、特定の平面に投影したとき、内包する1点を位置基準点として共有する複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、
前記対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指を検知して出力を発生することを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2記載の入力装置において、1つの検知部が配置された面とそれに隣接する検知部が配置された面の間に稜線が存在することを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項2記載の入力装置において、前記検知部は、多面体の個々の面に設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の入力装置において、前記複数の検知部は、前記位置基準点を頂点とする扇状の領域内に配置されていることを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項5記載の入力装置において、1つの扇状の領域内に配置されている複数の検知部は、同じ操作対象への入力信号を作るためのものであることを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の入力装置において、前記位置基準点上に操作者の手のひらを支えるための突起を有することを特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項7記載の入力装置において、前記突起は回転可能であり、トラックボールとしての機能を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項9】
請求項7記載の入力装置において、前記突起は回転及び押し込み可能であり、回転スイッチとプッシュスイッチとしての機能を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の入力装置において、入力信号を送るべき複数の操作対象を有し、操作者の指が通過する前記複数の検知部上の位置、方向あるいは速度によって、操作対象を識別し、当該操作対象に対応する入力信号を送信することを特徴とする入力装置。
【請求項11】
車載装置と、前記車載装置の制御を行う入力装置とを備える車載システムにおいて、
前記入力装置は、対をなす電極からなる検知部を複数備え、前記複数の検知電極は、内包する1点を位置基準点として共有して平面上に形成された複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、前記対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指の接近を検知して出力を発生することを特徴とする車載システム。
【請求項12】
車載装置と、前記車載装置の制御を行う入力装置とを備える車載システムにおいて、
前記入力装置は、対をなす電極からなる検知部を複数備え、前記複数の検知部は、立体的に配置され、かつ、特定の平面に投影したとき、内包する1点を位置基準点として共有する複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、前記対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指を検知して出力を発生することを特徴とする車載システム。
【請求項13】
請求項11又は12記載の車載システムにおいて、前記車載装置は地図表示部を有するカーナビゲーション装置であり、前記入力装置は、前記地図表示部に表示された地図の拡大率の制御に用いられることを特徴とする車載システム。
【請求項14】
請求項11又は12記載の車載システムにおいて、前記車載装置は地図表示部に現在地とナビゲーションルートの表示機能を有するカーナビゲーション装置であり、前記入力装置は、前記地図表示部にナビゲーションルートに沿った前方あるいは後方の地図を表示するための制御、及び現在位置の周辺の地図を表示するための制御に用いられることを特徴とする車載システム。
【請求項15】
請求項11又は12記載の車載システムにおいて、前記車載装置はカーオーディオであり、前記入力装置は、前記カーオーディオのボリューム制御及び曲目選択に用いられることを特徴とする車載システム。
【請求項1】
対をなす電極からなる検知部を複数備え、
前記複数の検知部は、内包する1点を位置基準点として共有して平面上に形成された複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、
前記対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指の接近を検知して出力を発生することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
対をなす電極からなる検知部を複数備え、
前記複数の検知部は、立体的に配置され、かつ、特定の平面に投影したとき、内包する1点を位置基準点として共有する複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、
前記対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指を検知して出力を発生することを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2記載の入力装置において、1つの検知部が配置された面とそれに隣接する検知部が配置された面の間に稜線が存在することを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項2記載の入力装置において、前記検知部は、多面体の個々の面に設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の入力装置において、前記複数の検知部は、前記位置基準点を頂点とする扇状の領域内に配置されていることを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項5記載の入力装置において、1つの扇状の領域内に配置されている複数の検知部は、同じ操作対象への入力信号を作るためのものであることを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の入力装置において、前記位置基準点上に操作者の手のひらを支えるための突起を有することを特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項7記載の入力装置において、前記突起は回転可能であり、トラックボールとしての機能を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項9】
請求項7記載の入力装置において、前記突起は回転及び押し込み可能であり、回転スイッチとプッシュスイッチとしての機能を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の入力装置において、入力信号を送るべき複数の操作対象を有し、操作者の指が通過する前記複数の検知部上の位置、方向あるいは速度によって、操作対象を識別し、当該操作対象に対応する入力信号を送信することを特徴とする入力装置。
【請求項11】
車載装置と、前記車載装置の制御を行う入力装置とを備える車載システムにおいて、
前記入力装置は、対をなす電極からなる検知部を複数備え、前記複数の検知電極は、内包する1点を位置基準点として共有して平面上に形成された複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、前記対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指の接近を検知して出力を発生することを特徴とする車載システム。
【請求項12】
車載装置と、前記車載装置の制御を行う入力装置とを備える車載システムにおいて、
前記入力装置は、対をなす電極からなる検知部を複数備え、前記複数の検知部は、立体的に配置され、かつ、特定の平面に投影したとき、内包する1点を位置基準点として共有する複数の相似多角形又は同心円の周上に配置されており、前記対をなす電極間の静電容量の変化により操作者の指を検知して出力を発生することを特徴とする車載システム。
【請求項13】
請求項11又は12記載の車載システムにおいて、前記車載装置は地図表示部を有するカーナビゲーション装置であり、前記入力装置は、前記地図表示部に表示された地図の拡大率の制御に用いられることを特徴とする車載システム。
【請求項14】
請求項11又は12記載の車載システムにおいて、前記車載装置は地図表示部に現在地とナビゲーションルートの表示機能を有するカーナビゲーション装置であり、前記入力装置は、前記地図表示部にナビゲーションルートに沿った前方あるいは後方の地図を表示するための制御、及び現在位置の周辺の地図を表示するための制御に用いられることを特徴とする車載システム。
【請求項15】
請求項11又は12記載の車載システムにおいて、前記車載装置はカーオーディオであり、前記入力装置は、前記カーオーディオのボリューム制御及び曲目選択に用いられることを特徴とする車載システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2010−182201(P2010−182201A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26661(P2009−26661)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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