説明

静電層を有する固体支持体及びその用途

【課題】DNAを容易に固定化できて、核酸分子の固定化量が高く、核酸分子の結合強度が高い固体支持体及びその応用を提供する。
【解決手段】基板上に、核酸分子を静電的に引き寄せるための静電層、及び核酸分子と共有結合しうる官能基を有する固体支持体を提供すると共に、それを利用したPCR法による核酸分子の増幅法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNA等を固定化するための支持体及び固定化核酸分子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、既存の配列から核酸配列を合成する方法として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)とは、目的とするDNAを1組のプライマーで挟み、DNAポリメラーゼを作用させることを繰り返し、プライマーで挟んだ領域を無限に増幅させることができる方法である。
【0004】
PCRによれば、目的とする配列のみをかなり正確に多数増幅させることができ、しかも短時間で効率よく増幅することができるので、現在、生化学、医療分野等の各種研究、試験、検査等に広く用いられている。
【0005】
従来より、PCRの原理は温度制御にあるとされ、その反応は加熱及び冷却の繰り返しにより進められている(サーマルサイクル)。すなわち、増幅対象である二本鎖DNA分子を相補的一本鎖に高温変性させた後、冷却して該DNAの一部に相補するように選択されたプライマーを鎖にアニールさせ、再び加熱してDNAポリメラーゼによりプライマーの後ろにDNAを伸長させるという風に、変性、アニール、伸長のプロセスを1サイクルとして複数サイクル繰り返すことにより二本鎖DNAを多数増幅することができる。
【0006】
具体的には、1)二本鎖DNAの水素結合をほどくために試料の温度を95℃に上昇させる、2)次いでDNAを複製するためのプライマーと再結合させるために試料の温度を45℃に下降させる、3)更に耐熱性ポリメラーゼによりプライマーを伸長させてDNAを複製させるために試料の温度を74℃に上昇させる、といった1)〜3)のサーマルサイクルを幾度も繰り返す必要があった。このようなDNAの増幅反応では、試料を合成樹脂の容器などに入れ、この容器をアルミニウムブロックに収容し前記サーマルサイクルを行っていた。
【0007】
しかし、前記サーマルサイクルは多大な時間がかかり、目的とする量のDNAを得るには数時間を要していた。また、加熱、冷却による温度制御により反応を進めると、一瞬にして温度を変化させるには限界があり、各段階への切り替えがスムーズにいかず、増幅される核酸の配列の正確性に影響が出たり、目的とする以外のDNAも複製される場合も考えられた。また、迅速な温度変化をさせるためには、特別の装置や技術が必要となるため、設備投資等の経済的な問題や技術的な問題があった。
【0008】
このような問題に鑑み、DNAを容易に固定化できて、DNA増幅反応によりDNAを複製するために適する支持体として、基板の表面に、表面処理層、及び核酸分子と共有結合しうる官能基を有する化学修飾層を順次設けてなる固体支持体が開発されている(例えば、特許文献3〜5参照)。
【0009】
しかしながら、前記固体支持体のDNAの固定化量及びDNAの結合強度は、必ずしも充分とはいえず、DNAの固定化量がより高くDNA結合強度がより高い固体支持体の出現が望まれている。
【0010】
この出願の発明に関する先行技術文献情報として次のものがある。
【特許文献1】
特開平7−75544号公報
【特許文献2】
特開平7−303469号公報
【特許文献3】
WO00/22108
【特許文献4】
WO02/12891
【特許文献5】
特開2002−82116号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、核酸分子の固定化量がより高く、核酸分子の結合強度がより高い固体支持体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、基板上に、核酸分子と共有結合しうる官能基を有する固体支持体に、更に核酸分子を静電的に引き寄せるための静電層を設けることにより、核酸分子の固定化量及び核酸分子の結合強度が著しく向上することを見出し本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)基板上に、核酸分子を静電的に引き寄せるための静電層、及び核酸分子と共有結合しうる官能基を有する固体支持体。
(2)基板の表面がダイヤモンド、軟ダイヤモンド、炭素系物質及び炭化物から選ばれる少なくとも1種で表面処理されている前記(1)に記載の固体支持体。
(3)静電層が、基板と共有結合していないアミノ基含有化合物を含む前記(1)又は(2)に記載の固体支持体。
(4)静電層が、基板と共有結合しているアミノ基含有化合物で構成され、該アミノ基含有化合物が、基板と結合していない側の末端にアミノ基を有する前記(1)又は(2)に記載の固体支持体。
(5)基板上に、非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物及び炭素化合物を蒸着させた後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入して得られる前記(1)〜(3)のいずれかに記載の固体支持体。
【0014】
(6)基板を、非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物を含有する溶液中に浸漬した後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入して得られる前記(1)〜(4)のいずれかに記載の固体支持体。
(7)非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物がポリアリルアミンである前記(6)に記載の固体支持体。
(8)核酸分子がDNAである前記(1)〜(7)のいずれかに記載の固体支持体。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の固体支持体に核酸分子が固定化されてなる固定化核酸分子。
(10)基板上に、非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物及び炭素化合物を蒸着させた後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入することを特徴とする固体支持体の製造方法。
【0015】
(11)基板を、非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物を含有する溶液中に浸漬した後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入することを特徴とする固体支持体の製造方法。
(12)(1)〜(8)のいずれかに記載の固体支持体上にプライマーを固定化し、該プライマーに核酸分子をハイブリダイズさせて、該核酸分子に相補的な核酸分子を伸長する方法。
(13)(1)〜(8)のいずれかに記載の固体支持体上にプライマーを固定化し、該プライマーに核酸分子をハイブリダイズさせ、標識した核酸の存在下で該核酸分子に相補的な核酸分子を伸長させ、該相補的な核酸分子に取り込まれた標識核酸に由来するシグナルを読みとることを含む、核酸分子の検出方法。
(14)(1)〜(8)のいずれかに記載の固体支持体上にプライマーを固定化し、該プライマーに核酸分子をハイブリダイズさせ、これをPCR反応に付すことにより、該核酸分子を増幅する方法。
(15)(1)〜(8)のいずれかに記載の固体支持体上にプライマーを固定化し、該プライマーにDNAをハイブリダイズさせて、鎖置換型DNAポリメラーゼと反応させることにより、該DNAを増幅する方法。
(16)プライマーに核酸分子をハイブリダイズさせた後に、該核酸分子を増幅する工程をさらに含む、(13)に記載の方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる基板の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、繊維、木材、紙、セラミックス、プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene 樹脂)、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)が挙げられる。
【0017】
基板の材料として前記のものを用いる場合には、表面処理層を施さなくてもよいが、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入するための化合物を基板上に強固に固定化するために、表面処理を施すことがより好ましい。
【0018】
表面処理には、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン、炭素系物質(例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ)のいずれか、それらの混合物、又はそれらを積層させたものを用いることが好ましい。また、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化珪素、炭化タンタル、炭化トリウム、炭化チタン、炭化ウラン、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化クロム、炭化バナジウム等の炭化物を用いてもよい。ここで、軟ダイヤモンドとは、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)等の、ダイヤモンドとカーボンとの混合体である不完全ダイヤモンド構造体を総称し、その混合割合は、特に限定されない。
【0019】
表面処理された基板の一例としては、スライドガラスに軟ダイヤモンドを製膜した基板が挙げられる。このような基板は、ダイヤモンドライクカーボンが、水素ガス0〜99体積%、残りメタンガス100〜1体積%を含んだ混合ガス中で、イオン化蒸着法により作成したものであることが好ましい。
【0020】
表面処理層の厚みは、1nm〜100μmであることが好ましい。
基板の表面処理層の形成は、公知の方法、例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposit)法、ECRCVD(Electric Cyclotron Resonance Chemical Vapor Deposit)法、IPC(Inductive Coupled Plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric Cyclotron Resonance)スパッタリング法、イオンプレーティング法、アークイオンプレーティング法、EB(Electron Beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法、イオン化蒸着法、アーク蒸着法、レーザ蒸着法などにより行うことができる。
【0021】
本発明に用いる基板としては、前記のように表面処理層を形成した構造だけでなく、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン;金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、モリブデン等の金属;プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂);前記金属粉末、セラミック粉末等に、前記樹脂をバインダーとして混合、結合形成したもの;前記金属粉末やセラミックス粉末等の原料をプレス成形機で圧粉したものを高温で焼結したものが挙げられ、また、前記の材料の積層体や複合体(例えば、ダイヤモンドと他の物質との複合体、(例えば2相体))であってもよい。
【0022】
基板の形状及びサイズは特に限定されないが、形状としては、平板状、糸状、球状、多角形状、粉末状などが挙げられ、サイズは、平板状のものを用いる場合、通常は、幅0.1〜100mm、長さ0.1〜100mm、厚み0.01〜10mm程度である。
【0023】
また、基板の表面又は裏面に、反射層としてTi、Au、Pt、Nb、Cr、TiC、TiN等の単層又はこれらの複合膜を製膜してもよい。反射層の厚みは、全体に均一であることが必要なため、好ましくは10nm以上、更に好ましくは100nm以上である。
【0024】
基板としてガラスを用いる場合、その表面は、Ra(JIS B 0601)で1nm〜1000nmの範囲で意図的に粗面化されていることも好ましい。このような粗面化表面は基板の表面積が増えて、多量のDNAプローブ等を高密度で固定化できる点で好都合である。
【0025】
本発明の固体支持体には、核酸分子を静電的に引き寄せるために静電層が設けられている。
静電層としては、核酸分子を静電的に引き寄せ、核酸分子の固定化量を向上させるものであれば、特に制限はないが、例えば、アミノ基含有化合物など正荷電を有する化合物を用いて形成することができる。
【0026】
前記アミノ基含有化合物としては、非置換のアミノ基(−NH)、又は炭素数1〜6のアルキル基等で一置換されたアミノ基(−NHR;Rは置換基)を有する化合物、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、n−プロピルアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、アリルアミン、アミノアゾベンゼン、アミノアルコール(例えば、エタノールアミン)、アクリノール、アミノ安息香酸、アミノアントラキノン、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、シスチン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、アニリン、又はこれらの重合体(例えば、ポリアリルアミン、ポリリシン)や共重合体;4,4’,4”−トリアミノトリフェニルメタン、トリアムテレン、スペルミジン、スペルミン、プトレシンなどのポリアミン(多価アミン)が挙げられる。
【0027】
静電層は、基板又は表面処理層と共有結合させずに形成してもよく、基板又は表面処理層と共有結合させて形成してもよい。
【0028】
静電層を基板又は表面処理層と共有結合させずに形成する場合には、例えば、表面処理層を製膜する際に前記アミノ基含有化合物を製膜装置内に導入することによって、アミノ基を含有する炭素系皮膜を製膜する。製膜装置内に導入する化合物として、アンモニアガスを用いてもよい。また、表面処理層は、密着層を形成した後にアミノ基を含有する皮膜を形成するといった、複層であってもよく、この場合もアンモニアガスを含んだ雰囲気で行ってもよい。
【0029】
また、静電層を基板又は表面処理層と共有結合させずに形成する場合には、静電層と基板又は表面処理層との親和性、即ち密着性を高める点で、基板上に、前記の非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物及び炭素化合物を蒸着させた後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入することが好ましい。ここで用いる炭素化合物としては、気体として供給することができれば特に制限はないが、例えば常温で気体であるメタン、エタン、プロパンが好ましい。蒸着の方法としては、イオン化蒸着法が好ましく、イオン化蒸着法の条件としては、作動圧が0.1〜50Pa、そして加速電圧が200〜1000Vの範囲であることが好ましい。
【0030】
静電層を基板又は表面処理層と共有結合させて形成する場合には、例えば、基板又は表面処理層を施した基板に、塩素ガス中で紫外線照射して表面を塩素化し、次いで前記アミノ基含有化合物のうち、例えば、ポリアリルアミン、ポリリシン、4,4’,4”−トリアミノトリフェニルメタン、トリアムテレン等の多価アミンを反応させて、基板と結合していない側の末端にアミノ基を導入することにより、静電層を形成することができる。
【0031】
また、静電層が施された基板に核酸分子と共有結合しうる官能基を導入する反応(例えば、ジカルボン酸又は多価カルボン酸を用いるカルボキシル基の導入)を溶液中で行う場合には、基板を、前記の非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物を含有する溶液中に浸漬した後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入することが好ましい。前記溶液の溶媒としては、例えば水、N−メチルピロリドン、エタノールが挙げられる。
【0032】
静電層が施された基板に、ジカルボン酸又は多価カルボン酸を用いてカルボキシル基を導入する場合には、予めN−ヒドロキシスクシンイミド及び/又はカルボジイミド類で活性化させたり、あるいは、反応をN−ヒドロキシスクシンイミド及び/又はカルボジイミド類の存在下に行うことが好ましい。
【0033】
基板を、非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物を含有する溶液中に浸漬することにより、静電層を形成する場合に、アミノ基含有化合物としてポリアリルアミンを用いると、基板との密着性に優れ、核酸分子の固定化量がより向上する。
【0034】
静電層の厚みは、1nm〜500μmであることが好ましい。
前記のようにして、静電層を施した基板表面には、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入するため、化学修飾を施す。
前記官能基としては、例えばカルボキシル基、活性エステル基、ハロホルミル基、水酸基、硫酸基、シアノ基、ニトロ基、チオール基、アミノ基が挙げられる。
【0035】
官能基としてカルボキシル基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、式:X−R−COOH(式中、Xはハロゲン原子、Rは炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるハロカルボン酸、例えばクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、2−クロロプロピオン酸、3−クロロプロピオン酸、3−クロロアクリル酸、4−クロロ安息香酸;式:HOOC−R−COOH(式中、Rは単結合又は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;式:R−CO−R−COOH(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Rは炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるケト酸又はアルデヒド酸;式:X−OC−R−COOH(式中、Xはハロゲン原子、Rは単結合又は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸のモノハライド、例えばコハク酸モノクロリド、マロン酸モノクロリド;無水フタル酸、無水コハク酸、無水シュウ酸、無水マレイン酸、無水ブタンテトラカルボン酸などの酸無水物が挙げられる。
【0036】
前記のようにして導入されたカルボキシル基は、シアナミドやカルボジイミド(例えば、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)などの脱水縮合剤とN−ヒドロキシスクシンイミドなどの化合物で活性エステル化することができる。
【0037】
官能基としてハロホルミル基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、式:X−OC−R−CO−X(式中、Xはハロゲン原子、Rは単結合又は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸のジハライド、例えばコハク酸クロリド、マロン酸クロリドが挙げられる。
【0038】
官能基として水酸基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、式:HO−R−COOH(式中、Rは炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるヒドロキシ酸又はフェノール酸が挙げられる。
【0039】
官能基としてアミノ基を導入するために用いられる化合物としては、例えばアミノ酸が挙げられる。
前記の化合物は、そのカルボキシル基が静電層のアミノ基と縮合してアミド結合を形成する。
【0040】
前記の化合物のうち、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸は親水性を向上させるために使用することもできる。
【0041】
本発明の固体支持体には、DNA、RNAのいずれの核酸分子も固定化することができる。DNA、RNAの塩基数は、通常1〜200、好ましくは5〜150である。また、DNAは一本鎖、二本鎖のいずれも固定化することができる。
【0042】
本発明の固体支持体は、核酸分子、例えば、DNAの伸長反応に用いることができる。この場合、まず、固体支持体上にプライマーを固定化して、一本鎖又は二本鎖DNAをハイブリダイズさせる。その後、DNA伸長反応によりプライマーにハイブリダイズしたDNAと相補的なDNAを伸長させる。
【0043】
プライマーとしては、長さ及び配列が明らかな一本鎖又は二本鎖の核酸分子を使用する。長さは特に限定されないが、好ましくは5〜200塩基、さらに好ましくは10〜100塩基である。プライマーの固定化方法としては、特に限定されないが、例えば、核酸分子をバッファーに溶解してプライマー溶液を作成し、これに本発明の固定化支持体を浸漬することによって、固体支持体表面にプライマーを固定化することができる。浸漬は、通常、0〜98℃、好ましくは4℃〜50℃で、通常、1分〜24時間、好ましくは10分〜1時間行うことによってプライマーを固定化できる。この場合、一定時間浸漬した後、固体支持体を洗浄することによって、固定化されていないプライマーを除去することができる。また、スポッターといわれる装置を使用することによって、多種類のプライマー溶液を固体支持体の表面に固定化できる。スポッターを用いる場合には、例えば、スポッターでプライマー溶液を固体支持体上にスポットした後、加熱したオーブン中で一定時間ベーキングを行い、その後洗浄によって固定していないプライマーを除去する。スポッター装置を用いることにより他種類のプライマーを固体支持体上の異なる位置に固定化できるため一度に多数の試験を実施することができ、膨大な試験を要する核酸検出の分野において有利である。
【0044】
従来の固体支持体では、伸長反応における熱処理によってプライマーが剥離することがあるが、本発明の固体支持体では、熱を加えてもプライマーが剥離せず、プライマーを固体支持体に固定化した状態で伸長反応を進行させることができる。
【0045】
この伸長反応の時に、標識した核酸を取り込ませ、伸長反応後、標識に由来するシグナルを読みとることによって、プライマーに特定のDNAがハイブリダイズして伸長反応が進行したか否かを検出することができる。従って、試験した試料中に、固定化支持体上のプライマーにハイブリダイズしうるDNAが含まれているかどうかを判定することができ、研究及び医療における有用な検出手段となりうる。
【0046】
標識としては、核酸分子に取り込むことが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、蛍光標識(Cy3及びCy5などのCyDye、FITC、RITC、ローダミン、テキサスレッド、TET、TAMRA、FAM、HEX、ROXなど)、放射能標識(α−32P、γ−32P、35Sなど)などが挙げられる。蛍光標識核酸を用いた場合は、伸長反応の後の固体支持体を蛍光撮影することにより、検出することができる。
【0047】
本発明の固体支持体は、DNAの増幅反応に用いることができる。PCR反応により増幅させる場合には、例えば、まず、固体支持体上にフォワードプライマーを固定化して、一本鎖又は二本鎖DNAをハイブリダイズさせ、その後酵素反応で相補鎖DNAを伸長する。更に▲1▼アニーリング、▲2▼ハイブリダイゼーション、▲3▼伸長反応という工程を連続で行うことによって、いわゆるPCR反応が進行する。
【0048】
従来の固体支持体では、PCR反応における熱処理によってプライマーが剥離したり、サーマルサイクルの制御がうまくいかないといった問題があったが、本発明の固体支持体では、熱を加えてもプライマーが剥離せず、さらに、反応を容器の中ではなく固体支持体上にDNAを固定化した状態で行うため、PCR反応における温度制御が正確で、増幅される核酸の配列の正確性に影響が出たり、目的外のDNAが複製される可能性も低く、効率的にDNAを増幅することができる。
【0049】
本発明の固体支持体を上記のPCRによるDNAの増幅に使用する場合は、固体支持体の熱伝導率が0.1W/cm・K以上であることが好ましい。さらに好ましくは熱伝導率が0.5W/cm・K以上、最も好ましくは熱伝導率が1W/cm・K以上である。固体支持体の熱伝導率が高いと、PCR反応を行う場合等において、加熱、冷却の追随性が優れているからである。
【0050】
具体的には、固体支持体を製造するための基板として、熱伝導率の点からはダイヤモンド又は各種基板に表面処理層としてダイヤモンドを被覆した物等を使用するのが好ましい。
【0051】
さらに、上記の標識核酸を用いた検出とPCRによる増幅とを組み合わせることにより、固体支持体上のプライマーにハイブリダイズしうるDNAが試料中に少量しか含まれていない場合であっても、上記のようにDNAが複製され、結果的に多量のDNAが固体支持体上のプライマーにハイブリダイズし、その相補鎖が伸長されるため、検出感度を増大させることが可能になる。
【0052】
あるいは、伸長反応に使用する酵素として、鎖置換型DNAポリメラーゼを選択し、リバースプライマーを加えることによって、サーマルサイクルを経ることなく定温で、DNAを固体支持体上で増幅することができる。鎖置換型DNAポリメラーゼとは、鋳型DNAに相補的なDNA鎖を合成していく過程で、伸長方向に二本鎖領域があった場合その鎖を解離しながら、相補鎖合成を継続できるDNA合成酵素である。
【0053】
鎖置換型DNAポリメラーゼとしては、特に限定されないが、例えば、BcaBEST DNAポリメラーゼ(タカラバイオ)、Phi29 DNA Polymerase(アマシャムバイオサイエンス)等が挙げられる。
【0054】
本発明の別の態様においては、mRNAから合成したcDNAを対象とすることにより、間接的ながらRNAも対象となりうる。
【0055】
この場合には、mRNAから逆転写反応を利用してcDNAを得るが、cDNAを得ると同時に固体支持体に固定化させることができる。まず、固体支持体の化学修飾部分に逆転写プライマーを結合させる。プライマーとしては、一般にオリゴdTプライマー、特定塩基配列に相補的なプライマー、ランダム6塩基プライマーが用いられるが、中でもRNAの5’末端のpoly(A)配列に対応させてT(チミン塩基)が10〜20個程度連なった配列からなるオリゴdTプライマーを用いることが望ましい。
【0056】
オリゴdTプライマーを用いる場合には、鋳型となるRNAの5’末端のpoly(A)部分をアニーリングさせる。これに逆転写酵素を作用させ、鋳型RNAに対し相補的なdNTPをプライマーの3’末端に順々に重合させることで、5’から3’の方向にcDNAを合成する。この逆転写反応のプライマーの結合、アニーリング、逆転写酵素による相補鎖重合は、定法に従い温度制御(サーマルサイクル)行うことによって実施できる。
【0057】
このように逆転写反応を行うと同時に固体支持体への固定も可能であることから、本発明の方法によればいわゆるRT−PCR(reverse transcript−PCR)を効率よく行うことができ、mRNAの定量用としても有用である。
【0058】
更に、本発明の支持体を用い、末端水酸基又は末端カルボキシル基に、水素結合でオリゴ核酸の末端塩基を固定化し、更に、このオリゴ核酸と相補的塩基配列を有するDNAを固定して、DNAライブラリーチップとして用いることもできる。また、DNAの代わりに、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、DNAフラグメント等を固定化して、ライブラリーとすることもできる。
【0059】
本発明の固体支持体を用いて上記のような検出を行うことにより、疾患の診断を行うこともできる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)基板に表面処理層を施すときにアミノ基含有化合物をチャンバーに導入(1)
25mm(幅)×75mm(長さ)×1mm(厚み)のスライドガラスに、イオン化蒸着法によって、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を10nmの厚みに形成した。その後に、メタンガスをキャリアーガスとして5cm/分の割合で15℃に保温したエチレンジアミン中を通してチャンバーに導入した。作動圧を2Paとして加速電圧0.5kvでメタンとエチレンジアミンを原料としてC、N及びHからなる層を10nmの厚みに形成した。
【0061】
その後、メタンとエチレンジアミンを原料としてC、N及びHからなる表面処理層のアミノ基に多価カルボン酸として無水ブタンテトラカルボン酸を縮合した後に、0.1Mリン酸緩衝液(pH6)300mlに0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0062】
その後、0.1μg/μlに調製したλDNAを鋳型としてPCRにより増幅した500bpのCy3標識二本鎖DNA約1nlを、マイクロアレイ作成装置を用いて基板上にスポットした。その後、80℃のオーブンで3時間加熱後、2×SSC/0.2%SDSで洗浄した後に、スポットしたDNAの蛍光強度を測定した。
【0063】
その結果、蛍光強度は36050であった。更に、95℃の2×SSC/0.2%SDSにより洗浄した後に蛍光強度を測定すると、35540と殆ど低下しなかった。
【0064】
比較として、2重量%の3−アミノプロピルトリエトキシシランエタノール溶液にスライドガラスを10分間浸漬した後、取り出し、エタノールで洗浄後、110℃で10分間乾燥した。次に、このアミノ基が導入された基板に無水コハク酸を縮合した後に、0.1Mリン酸緩衝液(pH6)300mlに0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。このようにして得た基板に、同様にしてλDNAを鋳型としてPCRにより増幅した500bpのCy3標識二本鎖DNAを固定した後、2×SSC/0.2%SDSで洗浄したところ、蛍光強度は23500であった。更に、95℃の2×SSC/0.2%SDSにより洗浄した後に蛍光強度を測定すると、蛍光強度は23000とあまり低下しなかった。
【0065】
即ち、静電層が殆どない共有結合タイプの基板によっては、DNAを共有結合により強固に固定できるが、蛍光シグナル強度が上がらなかった。
【0066】
また、静電層を有しない基板(スライドガラスに5%ポリアクリル酸水溶液を塗布乾燥後、60分間紫外線照射して不溶化した。その後、0.1Mリン酸緩衝液(pH6)300mlに0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。)に同様にしてλDNAを鋳型としてPCRにより増幅した500bpのCy3標識二本鎖DNAを固定した後2×SSC/0.2%SDSで洗浄したところ、ポリアクリル酸塗膜の剥離が生じたが、残存した部位での蛍光強度は26220であった。更に、95℃の2×SSC/0.2%SDSにより洗浄すると、ポリアクリル酸塗膜は完全に剥離した。
【0067】
(実施例2)基板に表面処理層を施すときにアミノ基含有化合物をチャンバーに導入(2)
25mm(幅)×75mm(長さ)×1mm(厚み)のスライドガラスに、イオン化蒸着法によって、メタンガスをキャリアーガスとして5cm/分の割合で15℃に保温したエチレンジアミン中を通してチャンバーに導入した。作動圧を2Paとして加速電圧0.5kvでメタンとエチレンジアミンを原料としてC、N及びHからなる層を20nmの厚みに形成した。
【0068】
その後、メタンとエチレンジアミンからなる表面処理層のアミノ基に多価カルボン酸としてポリアクリル酸を0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドの存在下で縮合した後に、0.1Mリン酸緩衝液(pH6)300mlに0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0069】
その後、0.1μg/μlに調製したλDNAを鋳型としてPCRにより増幅した500bpのCy3標識二本鎖DNA約1nlを、マイクロアレイ作成装置を用いて基板上にスポットした。その後、80℃のオーブンで3時間加熱した後に2×SSC/0.2%SDSで洗浄した後に、スポットしたDNAの蛍光強度を測定した。
【0070】
その結果、蛍光強度は34050であった。更に、95℃の2×SSC/0.2%SDSにより洗浄した後に蛍光強度を測定すると、33500と殆ど低下しなかった。
【0071】
比較として、市販されている静電型基板(松浪硝子工業(株)製;スライドガラスにアミノシラン(シランカップリング剤)を塗布した基板)に同様にしてλDNAを鋳型としてPCRにより増幅した500bpのCy3標識二本鎖DNAを固定した後、2×SSC/0.2%SDSで洗浄したところ、蛍光強度は35460であった。更に、95℃の2×SSC/0.2%SDSにより洗浄した後に蛍光強度を測定すると、蛍光強度は26210にまで低下した。
【0072】
また、静電層を有しない基板(スライドガラスに5%ポリアクリル酸水溶液を塗布乾燥後、60分間紫外線照射して不溶化した。その後、0.1Mリン酸緩衝液(pH6)300mlに0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。)に同様にしてλDNAを鋳型としてPCRにより増幅した500bpのCy3標識二本鎖DNAを固定した後2×SSC/0.2%SDSで洗浄したところ、ポリアクリル酸塗膜の剥離が生じたが、残存した部位での蛍光強度は26220であった。更に、95℃の2×SSC/0.2%SDSにより洗浄すると、ポリアクリル酸塗膜は完全に剥離した。
【0073】
(実施例3)後処理で静電層を形成
25mm(幅)×75mm(長さ)×1mm(厚み)のスライドガラスに、イオン化蒸着法によって、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を10nmの厚みに形成した。
その後、塩素ガス中で30分間紫外線照射して塩素化した。その後、ポリアリルアミン水溶液(0.1g/l)に基板を浸漬して、静電層を形成した。
【0074】
その後、静電層のアミノ基に多価カルボン酸としてポリアクリル酸を0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドの存在下で縮合した後に、0.1Mリン酸緩衝液(pH6)300mlに0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0075】
その後、0.1μg/μlに調製したλDNAを鋳型としてPCRにより増幅した500bpのCy3標識二本鎖DNA約1nlを、マイクロアレイ作成装置を用いて基板上にスポットした。その後、80℃のオーブンで3時間加熱した後に2×SSC/0.2%SDSで洗浄した後に、スポットしたDNAの蛍光強度を測定した。
【0076】
その結果、蛍光強度は35000であった。更に、95℃の2×SSC/0.2%SDSにより洗浄した後に蛍光強度を測定すると、蛍光強度は34500と殆ど低下しなかった。
【0077】
比較として、DLCを10nmの厚みに形成したスライドガラスに、5%ポリアクリル酸水溶液を塗布乾燥後、60分間紫外線照射して不溶化した。その後、0.1Mリン酸緩衝液(pH6)300mlに0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。同様にしてλDNAを鋳型としてPCRにより増幅した500bpのCy3標識二本鎖DNAを固定した後、2×SSC/0.2%SDSで洗浄したところ、ポリアクリル酸塗膜が完全に剥離した。
【0078】
(実施例4)浸漬法によるプライマーの固定化
イオン化蒸着法によって、3mm角に切断したSi基板上に、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を100nmの厚みに形成した。その後、メタンガスと水素ガスの代わりに、アンモニアガス雰囲気とし、プラズマ法により10分間アミノ化した。
【0079】
その後、表面処理層に導入したアミノ基に多価カルボン酸(ポリアクリル酸)を縮合した後に、0.1Mリン酸バッファー(pH6)に0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0080】
その後、滅菌水を用いて0.1μg/μlに調製したλDNA 500bpのフォワードプライマー溶液(22塩基)に固体支持体を室温で1時間浸漬することによって固定化反応を行った。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0081】
フォワードプライマーを固定化した固体支持体を、固定化したプライマーに相補的なλDNA 500bpの溶液(0.025μg/μl、バッファー:5×SSC/0.5%SDS/20%ホルムアミド)に浸漬し、98℃で5分間保持したのちに42℃で12時間保持した。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0082】
ハイブリダイゼーション後の固体支持体を、反応液(1×Exbuffer/0.025mM Cy3−dCTP/1.25mM dNTP/0.25U ExTaq)に浸漬して、42℃で6時間保持した。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
洗浄後の固体支持体を、蛍光画像スキャナーで観察したところ、伸長反応による蛍光シグナルが検出された。
【0083】
(実施例5)スポット法によるプライマーの固定化(1)
イオン化蒸着法によって、3mm角に切断したSi基板上に、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を100nmの厚みに形成した。その後、メタンガスと水素ガスの代わりに、アンモニアガス雰囲気とし、プラズマ法により10分間アミノ化した。
【0084】
その後、表面処理層に導入したアミノ基に多価カルボン酸(ポリアクリル酸)を縮合した後に、0.1Mリン酸バッファー(pH6)に0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0085】
その後、20%DMSO溶液を用いて0.1μg/μlに調製したλDNA 500bpのフォワードプライマー溶液(22塩基、10種類)を、スポッター装置を用いて、固体支持体にスポットした。その後、80℃に加熱したオーブンに1時間入れた後、洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄して、滅菌水でリンスした。
【0086】
プライマーを固定化した固体支持体を、固定化したプライマーに相補的な一本鎖λDNA 500bpの溶液(0.025μg/μl、バッファー:5×SSC/0.5%SDS/20%ホルムアミド)に浸漬し、98℃で5分間保持したのちに42℃で12時間保持した。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0087】
ハイブリダイゼーション後の固体支持体を、反応液(1×Exbuffer/0.025mM Cy3−dCTP/1.25mM dNTP/0.25U ExTaq)に浸漬して、42℃で6時間保持した。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
洗浄後の固体支持体を、蛍光画像スキャナーで観察したところ、伸長反応による蛍光シグナルが検出された。
【0088】
(実施例6)スポット法によるプライマーの固定化(2)
イオン化蒸着法によって、25mm(幅)×75mm(長さ)×1mm(厚み)のスライドガラスに、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を10nmの厚みに形成した。その後、メタンガスと水素ガスの代わりに、アンモニアガス雰囲気とし、プラズマ法により10分間アミノ化した。
【0089】
その後、表面処理層に導入したアミノ基に多価カルボン酸(ポリアクリル酸)を縮合した後に、0.1Mリン酸バッファー(pH6)に0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0090】
その後、20%DMSO溶液を用いて0.1μg/μlに調製したλDNA 500bpのフォワードプライマー溶液(22塩基、10種類)を、スポッター装置を用いて、固体支持体にスポットした。その後、80℃に加熱したオーブンに1時間入れた後、洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄して、滅菌水でリンスした。
【0091】
固定化したプライマーに相補的なλDNA 500bpの溶液(0.025μg/μl、バッファー:5×SSC/0.5%SDS/20%ホルムアミド)を固体支持体上に15μlのせ、更にカバーガラスを載せた。42℃で5時間保持してハイブリダイゼーションを行った後、0.1×SSCでカバーガラスを洗い流し、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0092】
ハイブリダイゼーション後の固体支持体上に、反応液(1×Exbuffer/0.025mM Cy3−dCTP/1.25mM dNTP/0.25U ExTaq)を15μlのせ、更にカバーガラスを載せた。42℃で5時間保持して伸長反応を行った後、0.1×SSCでカバーガラスを洗い流し、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
洗浄後の固体支持体を、蛍光画像スキャナーで観察したところ、伸長反応による蛍光シグナルが検出された。
【0093】
(実施例7)アニーリング、ハイブリダイゼーション、伸長反応
イオン化蒸着法によって、3mm角に切断したSi基板上に、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を100nmの厚みに形成した。その後、メタンガスと水素ガスの代わりに、アンモニアガス雰囲気とし、プラズマ法により10分間アミノ化した。
【0094】
その後、表面処理層に導入したアミノ基に多価カルボン酸(ポリアクリル酸)を縮合した後に、0.1Mリン酸バッファー(pH6)に0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0095】
その後、20%DMSO溶液を用いて0.1μg/μlに調製したλDNA 500bpのフォワードプライマー溶液(22塩基、10種類)を、スポッター装置を用いて、固体支持体にスポットした。その後、80℃に加熱したオーブンに1時間入れた後、洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄して、滅菌水でリンスした。
【0096】
0.025μg/μlの濃度になるように、固定化したプライマーのうち1種類に相補的なλDNA 500bpを、反応液(1×Exbuffer/0.025mM Cy3−dCTP/1.25mM dNTP/0.25U ExTaq)に添加した。
【0097】
反応液をPCRチューブに入れ、更にリバースプライマーを加えて、プライマーを固定化した固体支持体を反応溶液に浸漬して、アニーリング(94℃、1分)、ハイブリダイゼーション(60℃、1分)、伸長反応(72℃、1分)を30回繰り返し行った。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0098】
洗浄後の固体支持体を、蛍光画像スキャナーで観察したところ、定温で反応させた場合よりも高いシグナルが検出された。
また、伸長反応を行った固体支持体をPCR反応溶液に入れ、λDNAの500bpを増幅するPCR反応を行ったところ、電気泳動によって500bp部位の増幅が確認された。
【0099】
(実施例8)鎖置換型DNAポリメラーゼを使用した増幅反応
イオン化蒸着法によって、3mm角に切断したSi基板上に、メタンガス95積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を100nmの厚みに形成した。その後、メタンガスと水素ガスの代わりに、アンモニアガス雰囲気とし、プラズマ法により10分間アミノ化した。
【0100】
その後、表面処理層に導入したアミノ基に多価カルボン酸(ポリアクリル酸)を縮合した後に、0.1Mリン酸バッファー(pH6)に0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0101】
その後、20%DMSO溶液を用いて0.1μg/μlに調製したλDNA 500bpのフォワードプライマー溶液(22塩基、10種類)を、スポッター装置を用いて、固体支持体にスポットした。その後、80℃に加熱したオーブンに1時間入れた後、洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄して、滅菌水でリンスした。
【0102】
プライマーを固定化した固体支持体を、固定化したプライマーに相補的なλDNA 500bpの溶液(0.025μg/μl、バッファー:5×SSC/0.5%SDS/20%ホルムアミド)に浸漬し、98℃で5分間保持したのちに42℃で12時間保持した。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0103】
ハイブリダイゼーション後の固体支持体を、リバースプライマーを添加した反応液(BcaBEST DNAポリメラーゼ/20mM Tris/10mM MgCl)に浸漬して、60℃で6時間保持した。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。使用した酵素は鎖置換型のDNAポリメラーゼである(TAKARA製)。
【0104】
洗浄後の固体支持体を、蛍光画像スキャナーで観察したところ、伸長反応による蛍光シグナルが検出された。
また、伸長反応を行った固体支持体をPCR反応溶液に入れ、λDNAの500bpを増幅するPCR反応を行ったところ、電気泳動によって500bp部位の増幅が確認された。
【0105】
(実施例9)アニーリング、ハイブリダイゼーション、伸長反応(2)
イオン化蒸着法によって、3mm角に切断したSi基板上に、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を100nmの厚みに形成した。その後、メタンガスと水素ガスの代わりに、アンモニアガス雰囲気とし、プラズマ法により10分間アミノ化した。
【0106】
その後、表面処理層に導入したアミノ基に多価カルボン酸(ポリアクリル酸)を縮合した後に、0.1Mリン酸バッファー(pH6)に0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0107】
その後、0.1μg/μlのフォワードプライマー溶液(5’−GATGAGTTGTGTCCGTACAACT−3’、22塩基、20%DMSO)、0.1μg/μl リバースプライマー溶液(5’−GGTTATCGAAATCAGCCACAGCGCC−3’、20%DMSO)、0.05μg/μl フォワード+リバースプライマー溶液(20%DMSO)をスポッター装置を用いて、固体支持体にスポットした。その後、80℃に加熱したオーブンに1時間入れた後、洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄して、滅菌水でリンスした。
【0108】
反応液1(0.025μg/μl λDNA/1pmol/μl リバースプライマー/1×Exbuffer/0.025mM Cy3−dCTP/1.25mM dNTP/0.25U ExTaq)をPCRチューブに入れ、プライマーを固定化した固体支持体を反応液に浸漬して、アニーリング(94℃、30秒)、ハイブリダイゼーション、伸長反応(68℃、30秒)を30回繰り返し行った。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0109】
洗浄後の固体支持体を、蛍光画像スキャナーで観察したところ、定温で反応させた場合よりも高いシグナルが検出された。
また、伸長反応を行った固体支持体を反応液2(1pmol/μl フォワードプライマー/1pmol/μl リバースプライマー/1×Exbuffer/1.25mM dNTP/0.25U ExTaq)に入れ、アニーリング(94℃、30秒)、ハイブリダイゼーション、伸長反応(68℃、30秒)を30回繰り返し行ったところ、電気泳動によって500bpにDNA断片の増幅が確認された。
【0110】
(実施例10)浸漬法によるプライマーの固定化(2)
3mm角に切断したガラス基板を、0.1%に調整したポリアリルアミン水溶液に浸漬した後、基板表面に導入したアミノ基に多価カルボン酸(ポリアクリル酸)を縮合した後に、0.1Mリン酸バッファー(pH6)に0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0111】
その後、滅菌水を用いて0.1μg/μlに調製したλDNA 500bpのフォワードプライマー溶液(22塩基)に固体支持体を室温で1時間浸漬することによって固定化反応を行った。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0112】
フォワードプライマーを固定化した固体支持体を、固定化したプライマーに相補的なλDNA 500bpの溶液(0.025μg/μl、バッファー:5×SSC/0.5%SDS/20%ホルムアミド)に浸漬し、98℃で5分間保持したのちに42℃で12時間保持した。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0113】
ハイブリダイゼーション後の固体支持体を、反応液(1×Exbuffer/0.025mM Cy3−dCTP/1.25mM dNTP/0.25U ExTaq)に浸漬して、42℃で6時間保持した。反応後、固体支持体を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
洗浄後の固体支持体を、蛍光画像スキャナーで観察したところ、伸長反応による蛍光シグナルが検出された。
【0114】
(比較例)
3mm角に切断したガラス基板を、95%エタノールで4%の濃度に調整した3−アミノプロピルトリエトキシシラン溶液に10分間浸漬した後、100℃のオーブンで20分間ベーキングする事によって、表面をアミノ化した。
【0115】
その後、滅菌水を用いて0.1μg/μlに調製したλDNA 500bpのフォワードプライマー溶液(22塩基)に基板を室温で1時間浸漬することによって静電結合による固定化反応を行った。反応後、基板を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。また、蛍光標識したλDNA 500bpのフォワードプライマー溶液(22塩基)に浸漬した基板も作成した。
【0116】
フォワードプライマーを固定化した基板を、固定化したプライマーに相補的なλDNA 500bpの溶液(0.025μg/μl、バッファー:5×SSC/0.5%SDS/20%ホルムアミド)に浸漬し、98℃で5分間保持したのちに42℃で12時間保持した。反応後、基板を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0117】
ハイブリダイゼーション後の基板を、反応液(1×Exbuffer/0.025mM Cy3−dCTP/1.25mM dNTP/0.25U ExTaq)に浸漬して、42℃で6時間保持した。反応後、基板を洗浄液(2×SSC/0.2%SDS)で2回洗浄した後、滅菌水でリンスした。
【0118】
洗浄後の基板を、蛍光画像スキャナーで観察したところ、伸長反応による蛍光シグナルが全く検出されなかった。
蛍光標識したλDNA 500bpのフォワードプライマー溶液(22塩基)を固定化した基板については、固定化反応後には若干の蛍光シグナルが観察できたが、同様な操作を行って蛍光画像で観察したところ蛍光シグナルは全く見られなかった。このことは、基板に固定化したプライマーが操作中に剥離したことを意味している。
【0119】
上記実施例4〜10において蛍光画像スキャナーで測定した蛍光強度を以下の表1にまとめる。
【0120】
【表1】



【0121】
【発明の効果】
本発明の固体支持体は、従来の固体支持体よりも核酸分子を大量に固定化することができ、かつ共有結合により強固に固定化できることから、従来DNAアレイの課題であった検出感度と信頼性を改良することができ、また、核酸分子を固定化した状態で伸長反応を行ったり、PCR反応を実施して核酸分子を増幅することもできるので、広くDNAアレイの普及を図ることが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、核酸分子を静電的に引き寄せるための静電層、及び核酸分子と共有結合しうる官能基を有する固体支持体。
【請求項2】
基板の表面がダイヤモンド、軟ダイヤモンド、炭素系物質及び炭化物から選ばれる少なくとも1種で表面処理されている請求項1に記載の固体支持体。
【請求項3】
静電層が、基板と共有結合していないアミノ基含有化合物を含む請求項1又は2に記載の固体支持体。
【請求項4】
静電層が、基板と共有結合しているアミノ基含有化合物で構成され、該アミノ基含有化合物が、基板と結合していない側の末端にアミノ基を有する請求項1又は2に記載の固体支持体。
【請求項5】
基板上に、非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物及び炭素化合物を蒸着させた後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入して得られる請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体支持体。
【請求項6】
基板を、非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物を含有する溶液中に浸漬した後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入して得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体支持体。
【請求項7】
非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物がポリアリルアミンである請求項6に記載の固体支持体。
【請求項8】
核酸分子がDNAである請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体支持体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体支持体に核酸分子が固定化されてなる固定化核酸分子。
【請求項10】
基板上に、非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物及び炭素化合物を蒸着させた後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入することを特徴とする固体支持体の製造方法。
【請求項11】
基板を、非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物を含有する溶液中に浸漬した後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入することを特徴とする固体支持体の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体支持体上にプライマーを固定化し、該プライマーに核酸分子をハイブリダイズさせて、該核酸分子に相補的な核酸分子を伸長する方法。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体支持体上にプライマーを固定化し、該プライマーに核酸分子をハイブリダイズさせ、標識した核酸の存在下で該核酸分子に相補的な核酸分子を伸長させ、該相補的な核酸分子に取り込まれた標識核酸に由来するシグナルを読みとることを含む、核酸分子の検出方法。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体支持体上にプライマーを固定化し、該プライマーに核酸分子をハイブリダイズさせ、これをPCR反応に付すことにより、核酸分子を増幅する方法。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体支持体上にプライマーを固定化し、該プライマーにDNAをハイブリダイズさせて、鎖置換型DNAポリメラーゼと反応させることにより、該DNAを増幅する方法。
【請求項16】
プライマーに核酸分子をハイブリダイズさせた後に、該核酸分子を増幅する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。

【公開番号】特開2004−97173(P2004−97173A)
【公開日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−275797(P2002−275797)
【出願日】平成14年9月20日(2002.9.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成13年度、中国経済産業局、即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業に係る再委託契約に基づく委託研究、産業再生法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(390003193)東洋鋼鈑株式会社 (265)
【Fターム(参考)】