説明

非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター

式(1)
【化1】


(式中、R1はH、ハロゲン、(C1-4)アルキル、O(C1-4)アルキル、及びハロアルキルであり、R2はH又はメチルであり、R3はH又は(C1-4)アルキルであり、R4はH又は(C1-4)アルキルであり、R5は(C1-4)アルキル、(C1-4)アルキル(C3-7)シクロアルキル又は(C3-7)シクロアルキルであり、かつWはN又はSから選ばれた1個又は2個のヘテロ原子を有する縮合フェニル5員又は6員複素環であり、又はWはフェニル、1,1'-ビフェニル、2,3-ジヒドロ-1H-インデン、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、又はナフチルであり、前記Wは必要により(C1-4)アルキル(これは順に必要によりカルボキシ又は(C1-4)アルコキシカルボニルで置換されていてもよい)で置換されていてもよい)
により表される化合物、又はこれらの塩もしくはエステル。これらの化合物はHIVの野生型、単一突然変異株及び二重突然変異株に対し抑制活性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規化合物及びその医薬上許される塩、HIV感染症の治療又は予防における単独又はその他の治療薬と組み合わせてのそれらの使用、並びにNNRTI耐性突然変異体に対し活性であるこれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
後天性免疫不全症候群(AIDS)として知られている疾患はヒト免疫不全ウイルス(HIV)、特にHIV-1として知られている株により引き起こされる。HIVが宿主細胞により複製されるために、ウイルスゲノムの情報が宿主細胞のDNAに組み込まれる必要がある。しかしながら、HIVはレトロウイルスであり、その遺伝情報はRNAの形態であることを意味する。それ故、HIV複製サイクルはDNAへのウイルスゲノム(RNA)の転写の工程を必要とし、これはイベントの通常の連鎖の逆である。適当に平滑にされた逆転写酵素(RT)であった酵素はDNAへのウイルスRNAの転写を行なう。HIVビリオンはウイルスRNAとともにRTのコピーを含む。
逆転写酵素は三つの知られている酵素機能を有する。それはRNA依存性DNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼ、及びDNA依存性DNAポリメラーゼとして作用する。RNA依存性DNAポリメラーゼとして作用して、RTはウイルスRNAから一本鎖DNAコピーを転写する。リボヌクレアーゼとして作用して、RTは初期のウイルスRNAを分解し、初期のRNAから丁度生成されたDNAを遊離する。最後に、DNA依存性DNAポリメラーゼとして作用して、RTは第一DNAストランドを鋳型として使用して、第二の相補性DNAストランドをつくる。その二つのストランドが二本鎖DNAを形成し、これがインテグラーゼと称される別の酵素により宿主細胞のゲノムに組み込まれる。
HIV-1逆転写酵素の酵素機能を抑制する化合物は感染された細胞中のHIV-1の複製を抑制するであろう。このような化合物はAIDSの治療用に今までに認可された主な薬物である既知のRTインヒビター、例えば、3'-アジド-3'-デオキシチミジン(AZT)、2',3'-ジデオキシイノシン(ddI)、2',3'-ジデオキシシチジン(ddC)、d4T、3TC、ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、アバカバー、及びテノフォバーにより実証されたようなヒト被験者のHIV-1感染症の予防又は治療に有益である。
抗ウイルス療法について、AIDSの治療におけるRTインヒビターの使用は所定の薬物にそれ程感受性ではないウイルスを最終的にもたらす。これらの薬物に対する耐性(低下された感受性)はpol遺伝子の逆転写酵素セグメント中に生じる突然変異の結果である。HIVの幾つかの突然変異体株が特性決定されており、既知の治療薬に対する耐性はRT遺伝子中の突然変異のためであると考えられる。非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターについて一層普通に臨床上観察された突然変異体の一種は、Y181C突然変異体であり、この場合、コドン181にあるチロシン(Y)がシステイン(C)残基に突然変異されていた。その他の突然変異体(これらは既知のNNRTI抗ウイルス薬を使用する治療中に増大する頻度で出現する)として、単一突然変異体K103N、V106A、G190A、Y188C、及びP236L、並びに二重突然変異体K103N/Y181C、K103N/P225H、K103N/V108I及びK103N/L100Iが挙げられる。
【0003】
HIV感染症の治療及び予防における抗ウイルス薬使用が続くにつれて、新たな耐性株の出現が増大すると予想される。それ故、RTの新規インヒビターに対する継続している要望があり、これらは種々の耐性突然変異体に対する有効性の異なるパターンを有する。
三環式構造を有する化合物(これらはHIV-1のインヒビターである)が米国特許第5,366,972号に記載されている。HIV-1逆転写酵素のその他のインヒビターがHargraveら, J. Med. Chem., 34, 2231 (1991)、Cywinら, J. Med. Chem., 41, 2972 (1998)及びKlunderら, J. Med. Chem., 41, 2960 (1998)に記載されている。
米国特許第5,705,499号はRTのインヒビターとして8-アリールアルキル-及び8-アリールヘテロアルキル-5,11-ジヒドロ-6H-ジピリド〔3,2-b:2',3'-e〕〔1,4〕ジアゼピンを提案している。例示された化合物はHIV WT逆転写酵素に対する或る種の活性を有することが示されている。
WO 01/96338A1(米国特許第6,420,359B1号に相当する)はRTのインヒビターとしてキノリン置換基及びキノリン-N-オキサイド置換基を有するジアゼピン構造を開示している。例示された化合物はHIV WT、単一突然変異体株及び二重突然変異体株に対する活性を有する。
米国特許第5,747,488号はHIV感染症を治療するための2-アリール-5,11-ジヒドロ-6H-ジピリド〔3,2-b:2',3'-e〕〔1,4〕-ジアゼピンを開示しており、またEP 791594 A2は同疾患を治療するためのジピリドジアゼピンの関連グループを開示している。
Terretら著Biorg. Med. Chem. Lett., 2(12), 1745 (1992)はRTインヒビターとしてのイミダゾ〔2',3':6,5〕-ジピリド〔3,2-b:2',3'-e〕〔1,4〕ジアゼピンを記載している。
WO 02/076982及びWO 03/011862はまたその他のジアゼピンをベースとするHIVインヒビターを開示している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はHIV-1 RTの野生型(WT)及び二重突然変異体株、特に二重突然変異K103N/Y181Cの強力なインヒビターである新規な縮合環を含む化合物を提供する。
第一局面において、本発明は式1:
【0005】
【化1】

【0006】
により表される化合物又はその医薬上許される塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
式中、
R1はH、ハロゲン、(C1-4)アルキル、O(C1-4)アルキル、及びハロアルキルからなる群から選ばれ、
R2はH又はMeであり、
R3はH又は(C1-4)アルキルであり、
R4はH又は(C1-4)アルキルであり、
R5は(C1-4)アルキル、(C1-4)アルキル(C3-7)シクロアルキル、又は(C3-7)シクロアルキルであり、かつ
Wは
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、
a) Yの一つはSO2であり、かつその他のYはNR6であり、但し、両方が同じではないことを条件とし、R6はH、C(O)O(C1-4)アルキル、(C1-4)アルキル又はピリジニル-N-オキサイドもしくはC(O)OR8(式中、R8はH又は(C1-4)アルキルである)で置換された(C1-4)アルキルからなる群から選ばれ、かつ夫々のR9は独立にH又は(C1-4)アルキルであり、かつ
b) EはCR10R10(式中、夫々のR10は独立にH又は(C1-4)アルキルである)であり、JはCH2であり、かつ点線は単結合を表し、又は
c) E及びJは両方ともCR11(式中、R11はH又は(C1-4)アルキルである)であり、かつ点線は二重結合を表す)
から選ばれ、又は
Wは
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、
mは1又は2であり、
R12はH又は(C1-4)アルキルであり、
R13はH又は(C1-4)アルキルであり、かつ
ZはOであり、又はZはNR14(式中、R14はH又は(C1-4)アルキルである)である)
から選ばれ、又は
Wは








【0011】
【化4】

【0012】
(式中、R15は(C1-4)アルキル又はCF3であり、かつnは整数0、1又は2である)
からなる芳香族基の群から選ばれる。
本発明の第二局面によれば、HIV感染症の治療又は予防のための薬物の製造のための、本明細書記載の式1の化合物の使用が提供される。
本発明の第三局面によれば、坑HIV感染症薬としての、本明細書記載の式1の化合物の使用が提供される。
本発明の第四局面によれば、本明細書記載の式1の化合物、又はその医薬上許される塩、エステルもしくはプロドラッグ、及び医薬上許される担体を含むことを特徴とする、HIV感染症の治療又は予防のための医薬組成物が提供される。
本発明の第五局面によれば、HIV抑制量の本明細書記載の式1の化合物、又はその医薬上許される塩、エステルもしくはプロドラッグを患者に投与することを特徴とする、HIV感染症の治療又は予防方法が提供される。
本発明の第六局面によれば、HIV抑制量の本明細書記載の医薬組成物を患者に投与することを特徴とする、HIV感染症の治療又は予防方法が提供される。
本発明の第七局面によれば、












式2:
【0013】
【化5】

【0014】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は本明細書に記載されたとおりである)
の化合物を




























【0015】
【化6】

【0016】
(式中、PG1は窒素保護基であり、かつPG2はカルボキシ保護基であり、保護基は温和な酸性条件、温和なアルカリ性条件又は還元条件下で除去でき、かつR6、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、m、n、及びZは本明細書に記載されたとおりである)
から選ばれたフェノール誘導体とカップリングする工程を含むことを特徴とする、式1の化合物の製造方法が提供される。
本発明の第八局面によれば、
式2:
【0017】
【化7】

【0018】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は本明細書に記載されたとおりである)
の中間体化合物が提供される。
本発明の第九局面によれば、HIV感染症の治療又は予防における使用のための医薬製剤であって、活性成分が本明細書で特定された式1の化合物、又はその医薬上許される塩、エステルもしくはプロドラッグであることを特徴とする医薬製剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
定義
特にことわらない限り、下記の定義が適用される。
本明細書に使用される“カルボキシ保護基”という用語は合成操作中にカルボキシを望ましくない反応に対し保護することができる基を意味する(“有機合成における保護基”, Theodora W. Greene及びPeter G.M. Wuts, 第3編, 1999を参照のこと)。例えば、使用し得るカルボキシ保護基として、1)アルキルエステル、例えば、メチルエステル、トリメチルシリルエチルエステル及びt-ブチルエステル、2)アラルキルエステル、例えば、ベンジルエステル及び置換ベンジルエステル、又は3)温和な塩基処理もしくは温和な還元手段により開裂し得るエステル、例えば、トリクロロエチルエステル及びフェナシルエステルが挙げられる。
単独又は別の基と組み合わせて本明細書に使用される“(C1-4)アルキル”という用語は、夫々1〜4個の炭素原子を含む非環式直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味することが意図されている。このような基の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルが挙げられる。
本明細書に使用される“(C3-7)シクロアルキル”という用語は3〜7個の炭素原子を含む飽和環状炭化水素基を意味することが意図されており、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。
単独又は別の基と組み合わせて本明細書に使用される“ハロアルキル”という用語は1個以上の水素がブロモ、クロロ、フルオロ又はヨードから選ばれたハロゲンで置換された先に定義された非環式の直鎖又は分岐鎖アルキル置換基を意味する。
本明細書に使用される“{(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキル}”という用語は1〜6個の炭素原子を含むアルキレン基に直接結合された3〜7個の炭素原子を含むシクロアルキル基、例えば、シクロプロピルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、及びシクロヘキシルエチルを意味する。
【0020】
本明細書に使用される“HIV複製のインヒビター”という用語はDNAコピーをRNA鋳型から複製するHIV-1逆転写酵素の能力が実質的に低下され、又は実質的に排除されることを意味する。
本明細書に使用される“窒素保護基”又は“N保護基”という用語は合成操作中に窒素原子を望ましくない反応に対し保護することができる基を互換可能に意味する(“有機合成における保護基”, Theodora W. Greene及びPeter G.M. Wuts, 第3編, 1999を参照のこと)。N保護基として、例えば、アルキルカルバメート(例えば、メチル、エチル又はt-ブチル)及びアリールカルバメート(例えば、ベンジル)が挙げられる。
本明細書に使用される“医薬上許される塩”という用語は医薬上許される塩基から誘導されたものを含み、無毒性である。好適な塩基の例として、コリン、エタノールアミン及びエチレンジアミンが挙げられる。Na+塩、K+塩、及びCa++塩がまた本発明の範囲内にあることが意図されている(また、本明細書に参考として含まれるPharmaceutical salts, Birge, S.M.ら, J. Pharm. Sci., (1977), 66, 1-19を参照のこと)。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書に使用される“医薬上許されるエステル”という用語は、分子のカルボキシル官能基のいずれか、好ましくはカルボキシ末端が、アルコキシカルボニル官能基:
【0021】
【化8】

【0022】
(そのエステルのR部分は必要によりハロゲン、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシで置換されていてもよい、アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アルコキシアシル(例えば、アセトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、フェニル)から選ばれる)
により置換されている式Iの化合物のエステルを意味する。
上記エステルに関して、特に明記されない限り、存在するあらゆるアルキル部分は1〜16個の炭素原子、特に1〜6個の炭素原子を含むことが有利である。このようなエステル中に存在するあらゆるアリール部分はフェニル基を含むことが有利である。特に、エステルはC1-16アルキルエステル、未置換ベンジルエステル又は少なくとも1個のハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ニトロもしくはトリフルオロメチルで置換されたベンジルエステルであってもよい。
【0023】
本明細書に使用される“予防”という用語はウイルスへの個体の暴露後であるが疾患の症候の出現の前、かつ/又は血液中のウイルスの検出の前の本発明の化合物又は組成物の投与を意味する。
本明細書に使用される“プロドラッグ”という用語は薬理学上許される誘導体を表し、その結果、誘導体の得られる生物変換生成物が式Iの化合物において特定されたような活性薬物である。このような誘導体の例として、エステル及びアミドが挙げられるが、これらに限定されない(本明細書に参考として含まれる、Goodman及びGilman著“治療薬の薬理学的基礎”, 第9編, McGraw-Hill, Int. Ed. 1995, “薬物の生物変換”, 11-16頁を参照のこと)。その他の好適なプロドラッグエステルが本明細書に参考として含まれるプロドラッグの設計, Bundgaard, H.編集, Elsevier (1985)に見られる。このような医薬上許されるエステルは哺乳類に注射された場合に通常in vivoで加水分解され、式1の化合物の酸形態に変換される。
本明細書に使用される“単一又は二重突然変異体株”という用語はWT HIV-1株中に存在する一つ又は二つのアミノ酸残基がWT株中に見られない残基により置換されたことを意味する。例えば、単一突然変異体Y181Cは残基181にあるチロシンがシステイン残基により置換された部位誘導突然変異誘発より調製される。同様に、二重突然変異体K103N/Y181Cについて、アスパラギン残基が残基103にあるリシンを置換し、またシステイン残基が残基181にあるチロシンを置換した。
好ましい実施態様
R1がH、Cl、F、(C1-4)アルキル及びCF3からなる群から選ばれる、先に特定された式1の化合物が好ましい。R1がH、Cl、F及びMeであることが更に好ましい。
R2、R3及びR4が夫々独立にH又はMeであることが好ましい。
R5がエチル又はシクロプロピルであることが好ましい。
Wが
【0024】
【化9】

【0025】
(式中、YはSO2であり、かつその他のYはNR6であり、但し、両方が同じではないことを条件とし、R6はH、C(O)OMe、C(O)OEt、(4-ピリジニル-N-オキサイド)メチル、CH2C(O)OH、CH2C(O)OMe、CH2C(O)OEt又はCH2C(O)OCMe3であり、かつ夫々のR9は独立にH又はMeである)
であることが好ましい。
Wが
【0026】
【化10】

【0027】
(式中、YはSO2であり、かつその他のYはNR6であり、但し、両方が同じではないことを条件とし、R6はH、C(O)OEt、(4-ピリジニル-N-オキサイド)メチル、CH2C(O)OH、CH2C(O)OMe、CH2C(O)OEt又はCH2C(O)OCMe3であり、かつ夫々のR9は独立にH又はMeである)
であることが好ましい。R6がH、C(O)OEt又は(4-ピリジニル-N-オキサイド)メチルであることが更に好ましい。R6が(4-ピリジニル-N-オキサイド)メチルであることが最も好ましい。
Wが
【0028】
【化11】

【0029】
(式中、YはSO2であり、かつその他のYはNR6であり、但し、両方が同じではないことを条件とし、R6はH、C(O)OEt、CH2C(O)OH、CH2C(O)OCMe3であり、かつ夫々のR9は独立にH又はMeである)
であることが好ましい。R6がHであり、かつ夫々のR9がMeであることが更に好ましい。
Wが
【0030】
【化12】

【0031】
(式中、EはCR10R10(式中、R10の夫々は独立にH又はMeである)であり、JはCH2であり、かつ点線は単結合を表し、又はE及びJは両方ともCR11(式中、R11はH又はMeである)であり、かつ点線は二重結合を表し、YはSO2であり、かつその他のYはNR6(式中、R6は水素又はメチルである)である)
であることが好ましい。Wが









【0032】
【化13】

【0033】
であることが最も好ましい。
Wが
【0034】
【化14】

【0035】
であることが好ましい。
R2がH又はMeであり、かつWが
【0036】
【化15】

【0037】
であることが好ましい。
Wが



【0038】
【化16】

【0039】
(式中、R15はMe又はEtであり、かつnは0又は1である)
から選ばれることが好ましい。R15がMeであることが最も好ましい。
Wが
【0040】
【化17】

【0041】
(式中、R15はMeである)であり、又は
Wが





【0042】
【化18】

【0043】
(式中、R15はMeである)であり、又は
Wが
【0044】
【化19】

【0045】
であり、又は
Wが
【0046】
【化20】

【0047】
であることが最も好ましい。
R3がMeであり、かつWが

【0048】
【化21】

【0049】
であることが更に好ましい。
特別な実施態様
表1に示された式1の夫々の単一化合物が本発明の範囲内に含まれる。
坑ウイルス活性
式1の化合物は野生型HIVの有効なインヒビターであるだけでなく、二重突然変異酵素K103N/Y181Cを抑制する。本発明の化合物はまた単一突然変異酵素V106A、Y188L、K103N、Y181C、P236L及びG190Aを抑制し得る。これらの化合物はまたK103N/P225H、K103N/V108I及びK103N/L100Iを含むその他の二重突然変異酵素を抑制し得る。
式1の化合物はHIV-1複製に対する抑制活性を有する。好適な投薬形態で投与される場合、それらはAIDS、ARC及びHIV-1感染症と関連する関連疾患の治療に有益である。それ故、本発明の別の局面は、HIV-1により感染されているヒトに、治療有効量の上記式Iの新規化合物を投与することを特徴とするHIV-1感染症の治療方法である。それが治療又は予防と称されることを問わないで、これらの化合物はまた出産前の母体への投与により母体から新生児へのHIV-1の周産期伝染を予防するのに使用し得る。
式1の化合物は経口経路、非経口経路又は局所経路により単一用量又は分けられた用量で投与し得る。式Iの化合物に適した経口用量は毎日約0.5mg〜3gの範囲であろう。式Iの化合物に好ましい経口用量は体重70kgの患者について毎日約100mg〜800mgの範囲であろう。非経口製剤において、好適な投薬単位は前記化合物0.1〜250mg、好ましくは1mg〜200mgを含んでもよく、一方、局所投与について、0.01〜1%の活性成分を含む製剤が好ましい。しかしながら、投与用量は患者により変化することが理解されるべきである。特別な患者に関する用量は臨床医の判断に依存し、彼らは適切な用量を固定するための判断基準として患者のサイズ及び症状だけでなく、薬物に対する患者の応答を使用するであろう。
【0050】
本発明の化合物が経口経路により投与される場合、それらは適合性の医薬担体物質と混在してそれらを含む医薬製剤の形態の医薬品として投与されてもよい。このような担体物質は経口投与に適した不活性な有機又は無機担体物質であってもよい。このような担体物質の例は水、ゼラチン、タルク、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、アラビアゴム、植物油、ポリアルキレン-グリコール、石油ゼリー等である。
式Iの化合物は個体のHIV感染症を治療又は予防するための同時、別々又は逐次の投与に有益な組み合わせ製剤として、当業者に知られている抗レトロウイルス薬と組み合わせて使用し得る。式Iの化合物との組み合わせ療法に使用し得る抗レトロウイルス薬の例として、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素インヒビター(例えば、AZT及びテノフォバー)、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(例えば、ネビラピン)、プロテアーゼインヒビター(例えば、リトナバー)、ウイルス融合インヒビター(例えば、T-20)、CCR5アンタゴニスト(例えば、SCH-351125)、CXCR4アンタゴニスト(例えば、AMD-3100)、インテグラーゼインヒビター(例えば、L-870,810)、TATインヒビター、その他の研究薬(例えば、PRO-542、BMS-806、TMC-114又はAI-183)、抗真菌剤又は抗菌剤(例えば、フルコナゾール)、及び免疫調節薬(例えば、レバミゾール)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、式Iの化合物は式Iの別の化合物とともに使用し得る。
【0051】
医薬製剤は通常の様式で調製でき、仕上げ投薬形態は固体投薬形態、例えば、錠剤、糖剤、カプセル等、又は液体投薬形態、例えば、溶液、懸濁液、エマルション等であってもよい。医薬製剤は通常の医薬操作、例えば、滅菌にかけられてもよい。更に、医薬製剤は通常のアジュバント、例えば、防腐剤、安定剤、乳化剤、風味改良剤、湿潤剤、緩衝剤、浸透圧を変化するための塩等を含んでもよい。使用し得る固体担体物質として、例えば、澱粉、ラクトース、マンニトール、メチルセルロース、微結晶性セルロース、タルク、シリカ、二塩基性リン酸カルシウム、及び高分子量ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)が挙げられる。
非経口用について、式1の化合物は医薬上許される油又は液体の混合物(これは静菌薬、酸化防止剤、防腐剤、緩衝剤又は溶液を血液と等張にするその他の溶質、増粘剤、懸濁剤或いはその他の医薬上許される添加剤を含んでもよい)中の水性又は非水性の溶液、懸濁液又はエマルション中で投与し得る。この型の添加剤として、例えば、酒石酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩緩衝剤、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、錯生成剤(例えば、EDTA)、酸化防止剤(例えば、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及びアスコルビン酸)、粘度調節のための高分子量ポリマー(例えば、液体ポリエチレンオキサイド)及びソルビトール酸無水物のポリエチレン誘導体が挙げられる。防腐剤、例えば、安息香酸、メチルパラベン又はプロピルパラベン、ベンザルコニウムクロリド及びその他の四級アンモニウム化合物がまた必要により添加されてもよい。
本発明の化合物はまた鼻内適用のための溶液として投与されてもよく、本発明の化合物に加えて水性ビヒクル中に好適な緩衝剤、張度調節剤、微生物防腐剤、酸化防止剤及び増粘剤を含んでもよい。増粘に使用される薬剤の例はポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート又はグリセリンである。添加される微生物防腐剤として、ベンザルコニウムクロリド、チメロサール、クロロ-ブタノール又はフェニルエチルアルコールが挙げられる。
更に、本発明により提供された化合物は座薬により投与されてもよい。
方法及び合成
WO 01/96338A1(その内容が参考として本明細書に含まれる)に開示された、例示の反応スキームは以下に説明される三環式化合物〔1(i)、1(ii)及び1(iii)〕への多くの合成経路を示す。本発明の化合物は合成有機化学者のスキルを使用してつくられてもよい。例示の反応スキームがスキーム1及び2に示される。置換基R1、R2、R3、R4、R5及びWは本明細書に定義されたとおりである。
スキーム1:
9H-イミダゾ〔1,2-d〕ジピリド〔2,3-b:3',2'-f〕〔1,4〕ジアゼピンコアーの合成








【0052】
【化22】

【0053】
〔(PG)は一級ヒドロキシ保護基を表す〕
簡単に言えば、8-ブロモ-5,11-ジヒドロ-6H-ジピリド〔3,2-b:2',3'-e〕〔1,4〕ジアゼピン-6-オン誘導体1(i)が触媒(例えば、Pd(Ph3)4)の存在下でアリルスズ試薬(例えば、CH2=CHCH2SnBu3)を使用して8-(2-プロペニル)誘導体1(ii)に変換し得る。1(ii)中の末端オレフィンの開裂(例えば、オゾン分解、続いて還元)が8-(2-ヒドロキシエチル)誘導体1(iii)を生じる。C-8置換基を導入するためのその他の方法は当業者に知られている。誘導体1(iii)の一級アルコールの保護(例えば、“有機合成における保護基”, Theodora W. Greene及びPeter G.M. Wuts, 第二編, 1991を参照のこと)がアミド1(iv)を生じる。アミド1(iv)は、例えば、ロウエッセン試薬を使用して相当するチオアミド1(v)に変換し得る。イミダゾール環がTerretら(Bioorg. Med. Chem. Lett. 1992, 2, 1745)により記載された方法を使用してチオアミド1(v)からつくられ、これは同時に一級アルコールを脱保護して式2の9H-イミダゾ〔1,2-d〕ジピリド〔2,3-b:3',2'-f〕〔1,4〕ジアゼピン化合物を生じる。
スキーム2:
W置換基の導入

【0054】
【化23】

【0055】
ミツノブ型カップリング反応を使用して、式2の化合物は適当なフェノール誘導体とのカップリングにより式1の相当する化合物に変換し得る。フェノール誘導体が特有の二級窒素、又はカルボキシ基の保護を必要としない場合、式2の化合物は適当なフェノール誘導体、即ち、W-OHとカップリングされて式1の相当する化合物を提供し得る。フェノール誘導体が窒素又はカルボキシ基の保護を必要とする場合、式2の化合物は式(PG)-W-OHの適当に保護された中間体とカップリングされて式2(ii)の保護された中間体を生じ得る。中間体2(ii)の保護基(PG)はその後に好適な温和な酸性条件、温和なアルカリ性条件、又は還元条件下で除去されて式1の所望の相当する化合物を生じ得る。式1の化合物中のエーテル結合を生じるためのその他の縮合の方法、例えば、W-OH又は(PG)-W-OHによる2中の好適に誘導体化された一級アルコールのSN2置換がまた意図されている。
下記の反応スキーム(式中、R1〜R5は上記のとおりである)は式1の化合物を調製するための別法を説明するのに利用できる。














【0056】
【化24】

【0057】
簡単に言えば、ミツノブ型反応を使用して、WO 01/96338A1に記載された、8-(2-ヒドロキシエチル)誘導体3(i)が上記された、適当なフェノール誘導体(式
【0058】
【化25】

【0059】
(式中、m及びR12は先に定義されたとおりである)
のラクタムを除く)
とカップリングされて式3(ii)の相当するジアゼピン-6-オン誘導体(式中、W'はWだけでなく、必要とされる場合には保護されたW(上記PG1及びPG2を参照のこと)を含む)を得ることができる。3(ii)の誘導体は、例えば、ロウエッセン試薬を使用して相当するチオアミド3(iii)に変換し得る。その後に、イミダゾールがTerretら, Biorg. Med. Chem. Lett., 2(12), 1745 (1992)により記載された方法を使用してチオアミドから仕上げられてジアゼピン中間体3(iv)を生じ、又は窒素もしくはカルボキシ保護が必要とされない場合には式1の相当する化合物を直接生じる。窒素又はカルボキシ保護が存在する場合には、保護基の除去が式1の所望の相当する化合物を与える。
更に、ジアゼピン中間体3(iv)、その関連型(例えば、カルボキシがカルボキシアルデヒドにより置換されている)、又は式1の或る種の化合物が、式1のその他の化合物の前駆体として利用することができる。このような前駆体はアルキル化、エステル化でき、又はこれらの官能基が公知の変換により修飾でき、例えば、カルボキシアルデヒド含有前駆体がカルボキシに酸化されて、式1の相当する化合物を生じ得る。
前記のように、本発明により提供された化合物はHIV-1 RTの酵素活性を抑制する。以下に記載されるような、これらの化合物の試験に基づいて、それらはHIV-1 RTのRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を抑制することが知られる。以下に記載される逆転写酵素(RT)アッセイを利用して、化合物がHIV-1 RTのRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を抑制するそれらの能力について試験し得る。以下に見られる実施例に記載された或る特定の化合物がこうして試験された。この試験の結果が表2中にIC50(nM)及びEC50(nM)として見られる。
【実施例】
【0060】
本発明を以下の非限定実施例により更に詳しく説明する。特にことわらない限り、全ての反応を窒素又はアルゴン雰囲気中で行なった。温度を℃で示す。特にことわらない限り、溶液%又は比は容積対容積関係を表す。
ここに使用した略号又は記号として、下記のものが挙げられる。
DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート、DIAD:ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、DIEA:ジイソプロピルエチルアミン、Et2O:ジエチルエーテル、HPLC:高性能液体クロマトグラフィー、iPr:イソプロピル、Me:メチル、MeOH:メタノール、MeCN:アセトニトリル、NBS:N-ブロモスクシンイミド、Ph:フェニル、TBE:トリス-ボレート-EDTA、TBTU:2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、TFA:トリフルオロ酢酸、THF:テトラヒドロフラン、PFU:プラーク形成単位、DEPC:ジエチルピロカーボネート、DTT:ジチオスレイトール、EDTA:エチレンジアミンテトラアセテート、UMP:ウリジン-5'-モノホスフェート、UTP:ウリジン5'-トリホスフェート、MES:2-(n-モルホリノ)エタンスルホン酸、SDS-PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、MWCO:分子量カットオフ、ビス-トリスプロパン:1,3-ビス{トリス(ヒドロキシメチル)-メチルアミノ}プロパン、GSH:還元グルタチオン、OBG:n-オクチル-β-D-グルコシド、AIBN:2,2'アゾビスイソブチロニトリル。
実施例1:
8-{2-{{(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル}オキシ}エチル}-5,11-ジヒドロ-9-エチル-6H-ジピリド〔3,2-b:2',3'-e〕〔1,4〕ジアゼピン-6-チオン













【0061】
【化26】

【0062】
工程a:
THF(650ml)中の2-クロロ-3-ニトロピリジン1a(51g、325ミリモル)の溶液に、THF中のエチルアミンの2M溶液(365ml、731ミリモル)を添加した。その反応液を室温で一夜撹拌した。反応混合物を水(約1.5L)に注ぎ、得られる固体を濾過し、減圧下で乾燥させて化合物1b(52g)を得た。
工程b:
MeOH(600ml)中の2-(エチルアミノ)-3-ニトロピリジン1b(52g)の溶液を20%のPd(OH)2/C(10.4g)の存在下で水素(1気圧)のもとに室温で一夜撹拌した。触媒をケイソウ土による濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮して化合物1cを黒色の固体(39g、2工程にわたって88%の収率)として得た。
工程c:
MeCN(740ml)中の3-アミノ-2-(エチルアミノ)ピリジン1c(30.6g、223ミリモル)の冷却溶液に、固体NaHCO3(56.3g、669ミリモル)を添加した。5分後、粗5-ブロモ-2-クロロ-3-ピリジンカルボニルクロリド(5-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-ピリジンカルボン酸及びSOCl2から調製した〔水処理を除いた以外はT.W. Gero著Synth. Commun. 1989, 19, 553-559(参考として本明細書に含まれる)により記載されたようにして〕)を添加した(1当量、223ミリモル)。2時間後、その反応混合物を氷/水(1.5L)に注ぎ、得られる固体を濾過し、水ですすぎ、次いでヘキサンですすいだ。減圧下で一夜乾燥させた後、化合物1dを黒色の固体(54.9g、69%の収率)として得た。
工程d:
50℃のピリジン(308ml)中の2-クロロ-N-{2-(エチルアミノ)-3-ピリジニル}-5-ブロモ-3-ピリジンカルボキサミド1d(54.9g、154.4ミリモル)の溶液に、THF中のNaHMDS(ナトリウムヘキサメチルジシラジド)の1.0M溶液(355ml、355ミリモル)を滴下して添加した。10分後、その反応液を室温に冷却し、次いで氷水(2L)に注いだ。得られる固体を濾過し、水次いでヘキサンですすいだ。固体を減圧下で乾燥させて化合物1e(36g、75%の収率)を暗緑色の固体として得た。
【0063】
工程e:
アリルトリブチルスズ(1.2ml、3.7ミリモル)及びPd(Ph3P)4(358mg、0.31ミリモル)を室温のDMF(12ml)中の1e(1.0g、3.1ミリモル)の脱気(30分間にわたって溶液中にN2)溶液に添加した。その混合物を90℃で1.5時間撹拌し、次いで室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、2/1)により精製して化合物1f(523mg、59%の収率)を得た。
工程f:
オゾン化酸素の流れを2.5時間にわたってCH2Cl2(40ml)及びMeOH(40ml)中の1f(523mg、1.9ミリモル)の冷却(-78℃)溶液に吹き込んだ。次にN2の流れを15分間にわたってその溶液に吹き込み、次いで固体のNaBH4(138mg、3.7ミリモル)をその溶液に添加した。その反応混合物を室温に温めた。1時間後、飽和NH4Cl水溶液(20ml)を添加し、その混合物を室温で2時間撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去した。水(30ml)及びCHCl3(30ml)を残渣に添加した。相を分離し、水層をCHCl3(3x10ml)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)により精製して化合物1g(501mg、94%の収率)を白色の固体として得た。
工程g:
DMF(32ml)中の1g(2.4g、8.5ミリモル)の溶液に、イミダゾール(1.2g、17ミリモル)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(1.6g、10.7ミリモル)を添加した。その反応混合物を室温で一夜撹拌した。その混合物をEtOAc中で希釈し、水、食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して1h(3.1g、90%の収率)を白色の固体として得た。
工程h:
THF(100ml)中の1h(3.1g、7.7ミリモル)及びロウエッセン試薬(3.3g、8.1ミリモル)の混合物を2時間にわたって80℃に加熱した。室温に冷却した後、その反応混合物を濃縮、乾燥した。得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、3/1)により精製して化合物1i(2.1g、67%の収率)を得た。
実施例2:(エントリー110)9-エチル-3-メチル-12-{2-{(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-オキソ-5-イソキノリニル)オキシ}エチル}-9H-イミダゾ〔1,2-d〕ジピリド〔2,3-b:3',2'-f〕〔1,4〕ジアゼピン










【0064】
【化27】

【0065】
工程a:
n-ブタノール(100ml)中のチオアミド1i(5.6g、13.5ミリモル)及びプロパルギルアミン(21.5g、390ミリモル)の混合物を100℃で2時間加熱した。その反応混合物を減圧下で濃縮し、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、2/1)により精製して化合物2a(4.9g、83%の収率)を黄色の固体として得た。
工程b:
THF(120ml)中のシリルエーテル2a(4.9g、11.2ミリモル)の溶液に、THF中の1.0Mのテトラブチルアンモニウムフルオリドの溶液(20.2ml、20.2ミリモル)を添加した。室温で1時間後に、その反応混合物を蒸発、乾燥させ、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/EtOH、10/1)により精製して化合物2b(3.3g、93%の収率)を黄色の固体として得た。
工程c:
THF(3ml)中のDEAD(57μL、0.55ミリモル)の溶液を室温のTHF(10ml)中の2b(89mg、0.28ミリモル)、Ph3P(145mg、0.55ミリモル)及び5-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-2Hイソキノリン-1-オン(45mg、0.28ミリモル)の溶液に滴下して添加した。2時間後、その反応混合物を減圧下で濃縮し、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/EtOH、95/5)により精製して化合物110(36mg、28%の収率)を白色の固体として得た。
実施例3:(エントリー119)
4'-{(9H-イミダゾ〔1,2-d〕ジピリド〔2,3-b:3',2'-f〕〔1,4〕ジアゼピン-12-イル)エトキシ}-3'-メチル-〔1,1'-ビフェニル〕-4-酢酸







【0066】
【化28】

【0067】
工程a:
n-ブタノール(40ml)中のチオアミド1i(2.1g、5.1ミリモル)及びアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(9ml、90ミリモル)の混合物を100℃で加熱した。2時間後、濃硫酸(8ml)を添加し、加熱を1時間続けた。その反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈した。飽和NaHCO3水溶液を添加した(pH約10)。相分離後に、水相をEtOAcで再度抽出した。合わせた有機相を水及び食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発、乾燥させた。得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/EtOAc、1/3、続いてCHCl3/EtOH、10/1)により精製して化合物3a(770mg、50%の収率)を黄色の固体として得た。
工程b:
DMF(310ml)中の3b(10.0g、49.7ミリモル)の脱気(アルゴン)溶液に、ビス(ピナコラート)ジボラン(13.9g、54.7ミリモル)、KOAc(14.2g、149ミリモル)及びPdCl2dppf(CH2Cl2との1:1錯体、4.87g、5.96ミリモル)を添加した。その反応混合物を24時間にわたって80℃に加熱し、次いで25℃に冷却した。4-ブロモベンゼン酢酸(21.4g、99.5ミリモル)、2MのNa2CO3水溶液(124ml、248ミリモル)及び追加のPdCl2dppf(CH2Cl2との1:1錯体、4.87g、5.96ミリモル)をその混合物に添加した。その反応混合物を12時間にわたって80℃に加熱した。その冷却混合物を4NのHCl水溶液で酸性にし、EtOAc(3x)で抽出した。合わせた有機層を水(2x)及び食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られる粗酸をEt2Oに溶解し、過剰のエーテル性CH2N2溶液(約0.6M)で処理した。その混合物を減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、19/1)により精製して3c(4.25g、32%の収率)を淡黄色の固体として得た。
【0068】
工程c:
CH2Cl2中の1.0MのBBr3溶液(20.0ml、20.0ミリモル)をCH2Cl2(96ml)中の3c(2.60g、9.62ミリモル)の氷冷溶液に徐々に添加した。その反応混合物を25℃で2時間撹拌し、次いで0℃に冷却した。MeOH(5ml)を徐々に添加し、その混合物を水に注ぎ、EtOAc(3x)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、4/1)により精製して3d(1.70g、70%の収率)を白色の固体として得た。
工程d:
THF(0.8ml)中のDIAD(77μL、0.39ミリモル)の溶液を2時間にわたってTHF(3.3ml)中の3a(99.9mg、0.32ミリモル)、3d(100mg、0.39ミリモル)及びPPh3(102mg、0.39ミリモル)の氷冷溶液に添加した。その反応混合物を25℃で16時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(トルエン/EtOAc、3/2)により精製して3e(54mg、30%の収率)を得た。
工程e:
THF(0.67ml)及びMeOH(0.33ml)中の3e(54.0mg、0.099ミリモル)及び1NのNaOH水溶液(3.00ml、3.00ミリモル)の溶液を25℃で1時間撹拌した。その反応混合物を水で希釈し、得られる溶液をEtOAc(2x)で洗浄した。水層を1NのHCl水溶液で酸性にし、EtOAc(3x)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られる酸をTHFに溶解し、1当量の0.02NのNaOH水溶液で処理した。得られる溶液を水で希釈し、次いで冷凍し、凍結乾燥して化合物119のナトリウム塩(44mg、80%の収率)を白色の固体として得た。


















実施例4:(エントリー101)
【0069】
【化29】

【0070】
工程a:
n-ブタノール(3ml)中のチオアミド1i(100mg、0.24ミリモル)及び2-アミノプロピオンアルデヒドジメチルアセタール(0.6ml、4.8ミリモル)の混合物を2日にわたって110℃で加熱した。濃硫酸(0.1ml)を添加し、加熱を1時間続けた。その反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈した。飽和NaHCO3水溶液を添加した(pH約10)。相分離後、水相をEtOAcで再度抽出した。合わせた有機相を水及び食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発、乾燥させた。得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(MeOH/EtOAc、勾配2%〜5%)により精製して化合物4a(36mg、46%の収率)を透明なガムとして得た。
工程b:
THF(300ml)中の2-メチル-3-ニトロフェノール(10.0g、65.3ミリモル)の溶液に、イミダゾール(5.8g、85ミリモル)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(10.8g、71.8ミリモル)を添加した。その反応混合物を室温で一夜撹拌した。その混合物をEtOAc中で希釈し、水及び食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルの薄いパッドで濾過した(ヘキサン/Et2O)。得られる黄色の油(13.3g)をCCl4に溶解し、AIBN(350mg)及びNBS(10.2g、57.3ミリモル)を添加した。その反応混合物を太陽灯(275W)を使用して3時間照射し、Et2O中で希釈し、シリカゲルの薄いパッドで濾過し、濃縮、乾燥させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、9/1)により精製して4b(15g、2工程にわたって66%の収率)を得た。
工程c:
THF(100ml)中の4b(8.0g、23.1ミリモル)の溶液に、水(10ml)中のNaN3(7.7g、118ミリモル)の溶液を添加した。室温で2時間後、その反応混合物をEtOAcで希釈し、水、食塩水で連続して希釈し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られる固体をTHF(100ml)に溶解し、水(1.5ml)及びトリフェニルホスフィン(7.7g、29.3ミリモル)を添加した。室温で16時間後、その反応混合物をEtOAcで希釈し、水、食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH、9/1、次いで8/2)により精製して4c(2.6g、68%の収率)を黄色の固体として得た。
【0071】
工程d:
THF(150ml)中の4c(2.1g、12.5ミリモル)の溶液に、Et3N(4.4ml、31.3ミリモル)及びエチルクロロホルメート(6ml、62.5ミリモル)を添加した。室温で1時間後、その反応混合物をEtOAcで希釈し、水、食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、5/5)により精製して4d(2.96g、76%の収率)を白色の固体として得た。
工程e:
THF(100ml)中の4d(3.6g、11.5ミリモル)の溶液を水素(1気圧)のもとに10%のPd/C(360mg)の存在下で4時間撹拌した。触媒をケイソウ土による濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮した。THF(150ml)に溶解した得られる化合物に、Et3N(4ml、28.9ミリモル)、続いてホスゲンのトルエン溶液(20%、6.6ml)を添加した。45分後、水を添加し、反応混合物をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を1NのHCl水溶液及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して環状尿素(3.52g、99%)を黄色の固体として得た。THF(150ml)及びMeOH(50ml)中の相当する環状尿素(2.9g、9.4ミリモル)の溶液に、1NのLiOH水溶液(47ml、47ミリモル)を添加した。1時間後、HCl水溶液を使用してその反応混合物を酸性にした。水層をEtOAcで4回洗浄し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して化合物4e(1.5g、98%)をピンク色の固体として得た。
工程f:
THF(0.3ml)中のDEAD(24μL、0.15ミリモル)の溶液を室温のTHF(1.5ml)中の4a(32mg、0.1ミリモル)、Ph3P(39.5mg、0.15ミリモル)及びフェノール4e(24.7mg、0.15ミリモル)の溶液に滴下して添加した。その反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(CombiPrep ADS-AQ 50x20mm、5μ、120Å、MeCN+0.10%TFA/水+0.10%TFA)により精製して化合物101のトリフルオロ酢酸塩(6.3mg、11%の収率)を白色の固体として得た。

















実施例5:(エントリー118)
【0072】
【化30】

【0073】
工程a:
MeOH(100ml)中の4-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸(5.13g、33.7ミリモル)の溶液に、濃HCl(1ml)を添加した。その反応混合物を加熱、還流した。16時間後、その反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAcに溶解した。有機層を飽和NaHCO3溶液及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。固体をヘキサン/EtOAc(9/1)ですり砕いて5a(4.7g、84%の収率)をベージュ色の固体として得た。
工程b:
THF(0.5ml)中のDIAD(76.8μL、0.39ミリモル)の溶液を室温のTHF(1.5ml)中の2a(112.5mg、0.35ミリモル)、Ph3P(102.3mg、0.39ミリモル)及びフェノール5a(63.9mg、0.39ミリモル)の溶液に滴下して添加した。その混合物を1時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/EtOAc、1/1)により精製して化合物5b(99mg、60%の収率)を得た。
工程c:
MeOH(0.5ml)及びTHF(5ml)中の5b(96mg、0.2ミリモル)及び1NのNaOH水溶液(2ml)の溶液を室温で24時間撹拌した。1NのHCl水溶液を反応混合物に添加し(pH約6)、その混合物をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機相を水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られる固体をすり砕き(Et2O/ヘキサン)、濾過し、乾燥させて化合物118(41.8mg、45%の収率)を白色の固体として得た。











実施例6:(エントリー112)
【0074】
【化31】

【0075】
工程a:
実施例1で工程g及びhについて記載された操作に従って、6aから所望の保護された中間体6bを得た。
工程b:
実施例3で工程aについて記載された操作に従って、6b(643mg、1.5ミリモル)から化合物6c(348mg、72%の収率)を黄色の固体として得た。
工程c:
水(10ml)中のNa2SO3(0.36g、3.36ミリモル)の溶液をアセトン(5ml)中の2-(ブロモメチル)-1-メトキシ-3-ニトロベンゼン(Beckett, A.H.; Daisley, R.W.; Walker, J. Tetrahedron 1968, 24, 6093)(750mg、3.05ミリモル)の溶液に添加した。次いでその溶液を16時間還流して撹拌し、周囲温度に冷却し、減圧下で濃縮した。得られるペーストを熱エタノールに溶解し、熱時濾過した。母液を氷浴中で冷却し、沈殿した固体を吸引濾過により回収し、減圧下で乾燥させて所望の生成物及びNaBrを含む白色の固体(1.10g)を得た。この固体の一部(100mg、0.41ミリモル)を水(5ml)中の50%のEtOHに溶解し、10%のPd/C(10mg)を添加し、反応がHPLCにより完結していると判断されるまで(90分間)得られる混合物を水素の雰囲気下で撹拌した。混合物を水(5ml)で希釈し、濾過し、濃縮して6d(86mg、97%の収率)を得た。
【0076】
工程d:
POCl3(3.0ml)中の6d(35mg、0.16ミリモル)の溶液を2時間にわたって加熱、還流した。反応液を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。氷と水の混合物を慎重に添加し、その溶液を2NのNaOH水溶液で塩基性にした。その混合物を10分間にわたって70℃に加熱し、熱時濾過した。濾液を濃塩酸水溶液で酸性にし、その間氷浴中で冷却した。沈殿した生成物を吸引濾過により回収して6e(19mg、60%)を得た。
工程e:
CH2Cl2(15ml)中の6e(0.8g、4.0ミリモル)の溶液を-78℃に冷却した。次いでCH2Cl2中のBBr3の3.3Mの溶液(7.9ml、32.3ミリモル)を15分間にわたって徐々に添加した。添加が完結した後、反応混合物を4時間にわたって室温に温め、次いで氷と水の混合物に慎重に注いだ。その混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた固体をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1/1)により精製して6f(0.55g、74%)を得た。
工程f:
エチルクロロホルメート(2.71ml、28.3ミリモル)を10分間にわたってTHF(60ml)中の6f(1.75g、9.45ミリモル)及びEt3N(5.27ml、37.8ミリモル)の氷冷溶液に添加した。得られる懸濁液を2時間にわたって周囲温度で撹拌した。次いで水を添加し、その混合物をEtOAcで抽出した。有機層を1.0NのHCl水溶液、飽和NaHCO3水溶液及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮してベージュ色の固体(2.54g、86%)を得た。THF(80ml)中の25%のEtOH中のこの固体(2.52g、8.04ミリモル)に、NH4OH(28%溶液23ml、150ミリモル)を添加し、得られる溶液を90分間撹拌した。その混合物を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、7/3)により精製して6g(1.41g、68%)を得た。
工程g:
THF(0.7ml)中のDIAD(200μL、1.0ミリモル)の溶液を2時間にわたってTHF(6.7ml)中の6c(217mg、0.68ミリモル)、6g(260mg、1.0ミリモル)及びPPh3(265mg、1.0ミリモル)の氷冷溶液に添加した。その反応混合物を16時間にわたって25℃で撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/CH2Cl2、3/1)により精製して化合物112(320mg、86%の収率)を白色の粉末として得た。





















実施例7:(エントリー113、114、115)
【0077】
【化32】

【0078】
工程a:
THF(45ml)及びEtOH(15ml)中の化合物112(295mg、0.52ミリモル)及び水酸化アンモニウム(0.8ml)の溶液を室温で16時間撹拌した。その反応混合物を減圧下で濃縮した。その混合物をEtOAcで希釈し、得られる溶液を1NのHCl水溶液、水及び食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発、乾燥させた。得られる固体をエーテル/ヘキサン溶液(1/1)ですり砕いて化合物113(140mg、55%の収率)をベージュ色の固体として得た。
工程b:
DMF(10ml)中の化合物113(71.5mg、0.12ミリモル)の溶液に、K2CO3、続いてtert-ブチル2-ブロモアセテート(72.5μL、0.45ミリモル)を添加した。1時間後、その反応混合物をEtOAcで希釈し、水、食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発、乾燥させた。得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1/3)により精製して化合物114(77.2mg、72%の収率)を白色の粉末として得た。
工程c:
CH2Cl2(2ml)中の化合物114(71.5mg、0.12ミリモル)及びTFA(2ml)の溶液を室温で一夜撹拌した。その反応混合物を蒸発、乾燥させ、ヘキサン/EtOAcの混合物を添加して沈殿を得た。得られる固体を濾過し、EtOAcですすぎ、乾燥させて化合物115(58mg、90%の収率)を白色の固体として得た。







実施例8:(エントリー105)
【0079】
【化33】

【0080】
工程a:
THF中の1.0MのLiAlH4溶液(5.8ml、5.8ミリモル)をTHF(10ml)中の8a(Hlasta, D.J.; Court, J.J.; Dessai, C.; Tetrahedron Lett. 1991, 32, 7179)(250mg、1.1ミリモル)の溶液に添加した。得られる溶液を周囲温度で16時間撹拌した。その反応混合物をロシェル塩の飽和溶液で慎重に反応停止し、EtOAcで希釈し、20分間にわたって激しく撹拌した。その混合物をケイソウ土で濾過し、濾液を減圧下で濃縮して白色の固体(162mg、70%の収率)を得た。この固体(130mg、0.65ミリモル)をCH2Cl2(10ml)に溶解し、その溶液を-78℃に冷却した。CH2Cl2中の3.5MのBBr3溶液(2.0ml、7ミリモル)を添加し、冷却浴を除去し、得られる混合物を16時間エージングした。その反応を水の慎重な添加により停止し、その混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の70〜80%のEtOAc)により精製して8b(96mg、79%の収率)を得た。
工程b:
ピリジン(4ml)に溶解したスルタム8b(92mg、0.5ミリモル)に、エチルクロロホルメート(100μL、1.1ミリモル)を添加した。その反応液を室温で16時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。その混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を1.0NのHCl水溶液、水、飽和NaHCO3溶液及び食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮してカルボネート/カルバメート誘導体を得た。この物質をEtOAc中の10%のEtOH(2ml)に溶解し、EtOH中のNH3の2.0M溶液(0.6ml、1.2ミリモル)を添加し、その溶液を周囲温度で1時間撹拌した。その反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 1/1)により精製して8c(42mg、32%の収率)を得た。
工程c:
実施例2で工程cについて記載された操作に従って、8cから化合物8d(95mg、75%の収率)を得た。
工程d:
EtOH/THF(6/2ml)中の8d(95mg、0.17ミリモル)の溶液に、水酸化アンモニウム(4ml)を添加した。16時間撹拌した後、4NのHCl水溶液を使用してその反応混合物を酸性にし、EtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して化合物105(64.2mg、77%の収率)を白色の固体として得た。
実施例9:(エントリー107)
【0081】
【化34】

【0082】
工程a
サッカリン8a(290mg、4.08ミリモル)を少量の活性炭(50mg)を含むキシレン(10ml)に溶解した。DMF(2滴)及び新たに蒸留したSOCl2(0.30ml、4.08ミリモル)を添加し、得られる混合物を15時間にわたって加熱、還流した。冷却した反応混合物を減圧下で濃縮してペーストを得た。ペーストをTHFに溶解し、次いで得られる溶液をTHF(7ml)中のMeMgClの溶液(THF中の3.0Mの溶液1.36ml、4.08ミリモル)に滴下して添加した。得られる溶液を40℃で24時間撹拌した。その反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の40〜60%のEtOAc)により精製して所望の化合物(9aメチルエステル、124mg、40%)を得た。-78℃のCH2Cl2(50ml)中のこの物質(100mg、0.44ミリモル)の溶液に、CH2Cl2中のBBr3の1.0Mの溶液(2.64ml、2.64ミリモル)を添加した。得られる混合物を周囲温度で16時間撹拌した。水の慎重な添加後、その混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出液を水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発、乾燥させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 6/4)により精製して化合物9a(54mg、58%の収率)を得た。
工程b:
THF(2ml)中のスルタム9a(64mg、0.3ミリモル)、PPh3(78mg、0.3ミリモル)及び化合物6c(64.3mg、0.2ミリモル)の溶液に、THF(0.5ml)中のDEAD(0.059ml、0.3ミリモル)を徐々に添加した。その反応液を室温で一夜撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/CH2Cl2、2/1)により精製して化合物107(47.2mg、46%の収率)を白色の固体として得た。


















実施例10:(エントリー102)
【0083】
【化35】

【0084】
工程a:
DMF(100ml)中のN-(3-メトキシ-2-メチルフェニル)メタンスルホンアミド10a(Blondet, D.; Pascal. J.-C. Tetrahedron Lett. 1994, 35, 2911)(4.5g、20.9ミリモル)、K2CO3(4.33g、31.4ミリモル)及びMeI(6.5ml、105ミリモル)のスラリーを5日間にわたって激しく撹拌した。その反応混合物を水(250ml)に注いだ。その混合物を10分間撹拌し、エーテルで抽出した。合わせた有機抽出液を水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して10b(5.10g)を得た。
工程b:
MeCN(15ml)中の10b(1.0g、4.37ミリモル)の溶液を水(15ml)中のK2S2O8(2.35g、8.73ミリモル)及びCuSO4(219mg、0.87ミリモル)の溶液に添加した。ピリジン(0.71ml、8.73ミリモル)を導入し、得られる混合物を2時間にわたって還流して激しく撹拌した。室温に冷却した後、その懸濁液を濾過した。濾液をEtOAcで抽出し、合わせた抽出液を1.0NのNaOH水溶液、1.0NのHCl水溶液、水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られるシロップ(731mg)を水(2滴)を含むCH2Cl2(15ml)に溶解した。デス-マーチンペリオジナン(1.69g、3.83ミリモル)を添加し、得られる溶液を90分間撹拌した。10%のNa2S2O3水溶液と飽和NaHCO3水溶液の等しい部分の混合物を添加し、両方の層が透明になるまで得られる2相混合物を撹拌した。その混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出液を飽和NaHCO3水溶液、水及び食塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、40〜70%)により精製して化合物10c(432mg、41%の収率)を得た。
工程c:
KOtBu(1.92g、17.1ミリモル)を10分間にわたってTHF(300ml)中のアルデヒド10c(3.80g、15.6ミリモル)の溶液に2回に分けて添加した。その反応液を周囲温度で10分間撹拌し、次いで水の添加により反応停止した。その混合物をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、2/8)により精製して所望の中間体(2.97g、85%)を得た。CH2Cl2中の1.0MのBBr3溶液(3.95ml、3.95ミリモル)をCH2Cl2(15ml)中のこの物質(120mg、0.49ミリモル)の氷冷溶液に添加した。次いで冷却浴を除去し、得られる溶液を周囲温度で16時間撹拌した。水を反応混合物に慎重に添加し、その混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出液を水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中のEtOAc、30〜100%)により精製して10d(76mg、73%)を得た。
工程d:
実施例2で工程cについて記載された操作に従って、フェノール10dから化合物102(80mg、65%の収率)を得た。
実施例11:(エントリー103)
【0085】
【化36】

【0086】
工程a:
CCl4(20ml)中の11a(2.58g、14.3ミリモル)、NBS(2.79g、15.7ミリモル)及びAIBN(232mg、1.4ミリモル)の溶液を3時間還流させた。その反応混合物を室温に冷却し、得られる懸濁液を濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/CH2Cl2、75/25)により精製して11b(3.4g、92%の収率)を白色の固体として得た。
工程b:
THF(19ml)中の11b(997mg、3.85ミリモル)及び水酸化アンモニウム(9ml)の溶液を4時間にわたって室温で撹拌した。その反応混合物を蒸発、乾燥させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、40/60;MeOH1%を含む)により精製して白色の固体(595mg、95%の収率)を得た。
工程c:
CH2Cl2(20ml)中の11c(291mg、1.78ミリモル)の氷冷溶液に、CH2Cl2中の1.0MのBBr3溶液(3.6ml、3.6ミリモル)を添加した。次いで冷却浴を除去し、得られる溶液を周囲温度で16時間撹拌した。その反応を水の添加により慎重に停止し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出液を水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発、乾燥させて11d(232mg、87%の収率)をベージュ色の固体として得た。
工程d:
実施例2で工程cについて記載された操作に従って、フェノール11dから化合物103(30.4mg、65%の収率)を得た。
【0087】
【表1】



【0088】
【表2】



【0089】
【表3】



【0090】
【表4】

【0091】
逆転写酵素(RT)アッセイ及び細胞をベースとするアッセイ
これらのアッセイはWO 01/96338A1に記載されており、その内容が参考として本明細書に含まれる。結果を表2中にIC50(nM)及びEC50(nM)としてリストする。
表の記号の説明:
IC50(nM) A=>100; B=100-50; C=<50
EC50(nM) A>50; B=10-50; C<10; NT=試験せず
【0092】
表2

【0093】
表2続き



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1により表される化合物、又はその医薬上許される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【化1】

〔式中、
R1はH、ハロゲン、(C1-4)アルキル、O(C1-4)アルキル、及びハロアルキルからなる群から選ばれ、
R2はH又はMeであり、
R3はH又は(C1-4)アルキルであり、
R4はH又は(C1-4)アルキルであり、
R5は(C1-4)アルキル、(C1-4)アルキル(C3-7)シクロアルキル、又は(C3-7)シクロアルキルであり、かつ
Wは
【化2】

(式中、
a) Yの一つはSO2であり、かつその他のYはNR6であり、但し、両方が同じではないことを条件とし、R6はH、C(O)O(C1-4)アルキル、(C1-4)アルキル又はピリジニル-N-オキサイドもしくはC(O)OR8(式中、R8はH又は(C1-4)アルキルである)で置換された(C1-4)アルキルからなる群から選ばれ、かつ夫々のR9は独立にH又は(C1-4)アルキルであり、かつ
b) EはCR10R10(式中、夫々のR10は独立にH又は(C1-4)アルキルである)であり、JはCH2であり、かつ点線は単結合を表し、又は
c) E及びJは両方ともCR11(式中、R11はH又は(C1-4)アルキルである)であり、かつ点線は二重結合を表す)
から選ばれ、又は
Wは
【化3】

(式中、
mは1又は2であり、
R12はH又はC(1-4)アルキルであり、
R13はH又は(C1-4)アルキルであり、かつ
ZはOであり、又はZはNR14(式中、R14はH又は(C1-4)アルキルである)である)
から選ばれ、又は
Wは
【化4】

(式中、R15は(C1-4)アルキル又はCF3であり、かつnは整数0、1又は2である)
からなる芳香族基の群から選ばれる〕
【請求項2】
R1がH、Cl、F、(C1-4)アルキル及びCF3からなる群から選ばれ、R2、R3及びR4が夫々独立にH又はMeであり、R5がエチル又はシクロプロピルであり、
Wが
【化5】

(式中、YはSO2であり、かつその他のYはNR6であり、但し、両方が同じではないことを条件とし、R6はH、C(O)OMe、C(O)OEt、(4-ピリジニル-N-オキサイド)メチル、CH2C(O)OH、CH2C(O)OMe、CH2C(O)OEt又はCH2C(O)OCMe3であり、かつ夫々のR9は独立にH又はMeである)、又は
【化6】

(式中、EはCR10R10(式中、R10の夫々は独立にH又はMeである)であり、JはCH2であり、かつ点線は単結合を表し、又はE及びJの両方はCR11(式中、R11はH又はMeである)であり、かつ点線は二重結合を表し、Yの一つはSO2であり、かつその他のYはNR6(式中、R6は水素又はメチルである)である)、又は
【化7】

(式中、R15はMe又はEtであり、かつnは0又は1である)
である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R15がMeである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R1がH、Cl、F及びMeであり、R2がH又はMeであり、
Wが
【化8】

(式中、YはSO2であり、かつその他のYはNR6であり、但し、両方が同じではないことを条件とし、R6はH、C(O)OEt、(4-ピリジニル-N-オキサイド)メチル、CH2C(O)OH、CH2C(O)OMe、CH2C(O)OEt又はCH2C(O)OCMe3であり、かつ夫々のR9は独立にH又はMeである)
である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R3がMeであり、R6がH、C(O)OEt又は(4-ピリジニル-N-オキサイド)メチルであり、かつWが
【化9】

である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
Wが
【化10】

(式中、一つのYはSO2であり、かつその他のYはNR6であり、但し、両方が同じではないことを条件とし、R6はH、C(O)OEt、CH2C(O)OH、CH2C(O)OCMe3、(4-ピリジニル-N-オキサイド)メチルであり、かつ夫々のR9は独立にH又はMeである)
である、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
R6がHであり、かつ夫々のR9がMeである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
HIV感染症の治療又は予防のための薬物の製造のための、請求項1記載の式1の化合物の使用。
【請求項9】
HIV感染症の治療又は予防における使用のための医薬製剤であって、活性成分が請求項1記載の式1の化合物、又はその医薬上許される塩、エステルもしくはプロドラッグであることを特徴とする医薬製剤。
【請求項10】
坑HIV感染症薬としての、請求項1記載の式1の化合物の使用。
【請求項11】
医薬上許される担体と組み合わせて、請求項1記載の式1の化合物、又はその医薬上許される塩、エステルもしくはプロドラッグを含むことを特徴とする、HIV感染症の治療又は予防のための医薬組成物。
【請求項12】
HIV抑制量の請求項1記載の式1の化合物、又はその医薬上許される塩、エステルもしくはプロドラッグを患者に投与することを特徴とする、HIV感染症の治療又は予防方法。
【請求項13】
HIV抑制量の請求項11記載の医薬組成物を患者に投与することを特徴とする、HIV感染症の治療又は予防方法。
【請求項14】
式2:
【化11】

(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は請求項1に定義されたとおりである)
の化合物を
【化12】

(式中、PG1は窒素保護基であり、かつPG2はカルボキシ保護基であり、前記保護基は温和な酸性条件、温和なアルカリ性条件又は還元条件下で除去でき、かつR6、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、m、n、及びZは請求項1に定義されたとおりである)
から選ばれたフェノール誘導体とカップリングする工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の式1の化合物の製造方法。
【請求項15】
前記窒素保護基がアルキルエステル、アラルキルエステル、及び温和な塩基処理又は温和な還元手段により開裂し得るエステルから選ばれる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記カルボキシ保護基がBoc(tert-ブチルオキシカルボニル)及びアルキルカルバメートから選ばれる、請求項14記載の方法。
【請求項17】
式2:
【化13】

(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は請求項1に定義されたとおりである)
の中間体化合物。

【公表番号】特表2006−505532(P2006−505532A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536726(P2004−536726)
【出願日】平成15年9月15日(2003.9.15)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001410
【国際公開番号】WO2004/026875
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(501263533)ベーリンガー インゲルハイム (カナダ) リミテッド (7)
【Fターム(参考)】