説明

非同期クロストークキャンセル

データレートにてデータ信号を配信するための装置は、クロストークキャンセルを有する。クロストーク低減ユニット(14)は、走査されているトラックに隣接するトラックに対応するクロストーク信号を生成するための適応フィルター(15)を有する。減算器(16)は、読み取り信号からクロストーク信号を減算する。計算ユニット(17)は、適応フィルターのためのフィルター係数を計算する。適応フィルター(15)と減算器(16)は、非同期サンプルレートにて動作するための非同期クロック(18)へと結合される。クロストーク低減ユニット(14)は、減算器の出力を同期サンプルレートでのデータ信号(8)へと変換するための同期クロックへと結合されるサンプルレート変換器(19)を有する。これは、クロストークキャンセル処理によって導入された待ち時間が、タイミングリカバリーループの全体遅延に寄与しないが、後者はまだクロストークキャンセルから恩恵を受けるという利点をもつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データレートにてデータ信号を配信するための装置に関し、その装置は、データを示す入力信号と、やはり入力信号に存在するクロストーク信号とを受信し、読み取り信号を生成するための少なくとも1つの補助信号とを有する入力ユニットと、データレートに対応する同期クロックを取り出すためのタイミングリカバリーユニットと、データ信号においてクロストークを軽減するためのクロストーク軽減ユニットとを有し、クロストーク軽減ユニットは、クロストーク信号を生成するために補助信号をフィルターするための適応フィルターと、入力ユニットからの読み取り信号からクロストーク信号を減算する減算器と、適応フィルターに対してフィルター係数を計算するための計算ユニットとを有する。
【0002】
本発明は、特に、中心スポットによって走査されているトラックに対応する入力信号と、付随スポットによって走査されているトラックに隣接するトラックに対応する補助信号とに適している。
【背景技術】
【0003】
トラックを走査して情報を読み取るための装置は、米国特許第6、134、211号から周知のことである。装置は、光ディスクのような記録担体上のトラックのマークからデータを示す読み取り信号を生成するための検出器を有するヘッドを持つ。読み取り信号は、例えば、記録担体と読み取りヘッドとの間のキュー又はチルトと言われる角度によって生じる隣接するトラックからのクロストークのために、劣化するかもしれない。ヘッドは、中心スポットからの主信号を検出するための検出器と、少なくとも隣接トラックを部分的にカバーする付随スポットからの補助信号を検出するための追加検出器とを有する。クロストークによる劣化は、クロストーク除去回路において補助信号を用いることによって低減される。クロストーク除去回路の出力は、同期データクロックを生成するために、例えば、ビタビ検出器などのデータ検出器と、例えば、位相同期ループのようなタイミングリカバリー回路とに結合されるデータ信号である。検出器からの信号は、データクロックによって決定されるサンプルレートでデジタルドメインへと入力ユニット内で変換され、クロストーク除去回路での処理は、また、デジタルドメイン、同期システムと呼ばれる構成においてデータクロックレートで実行される。既知の装置の問題は、タイミング除去回路がクロストーク除去回路の出力に結合されていることである。よって、クロストーク除去回路によって引き起こされる遅延はタイミングリカバリーループ内に含まれる。そのような遅延は、逆の状況においてデータクロックを修復するとき、不安定を引き起こす。従って、クロストーク除去回路に蓄積されうる処理の量が制限される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の目的は、タイミングリカバリーを劣化することなくクロストーク低減回路にて高度な処理を許す、クロストークを低減するための装置及び方法を提供することである。
【0005】
本発明の第一の形態によれば、上記目的は、適応フィルターと減算器とが同期サンプルレートで動作するための同期クロックに結合され、クロストーク低減ユニットは、非同期サンプルレートで減算器の出力をデータ信号へと変換するための同期クロックと結合されるサンプルレート変換器と、同期クロックの取り出しのためにデータ信号と結合されるタイミングリカバリーユニットとを有することを特徴とする、冒頭段落にて定義される装置によって達成される。非同期クロックにて実行される処理の第一の部分を持つ効果は、この部分がタイミングリカバリー処理によって影響されないことである。タイミングリカバリーは、つまり、クロストーク補正後、データ信号に結合されているという利点をもつ。配置は、非同期部分、例えば適応フィルターにおける遅延はタイミングリカバリーループに含まれない。よって、顕著な遅延を要求する高度なタイプのフィルタリングは、タイミングリカバリー安定性が危険にさらされることなく、高性能のデータ信号抽出を達成して適応可能である。
【0006】
装置の実施例において、計算ユニットは、非同期サンプルレートにて動作するための非同期クロックに結合される。これは、計算がデータ信号内の実際のデータ内容に同期する瞬時のデータ信号の値に基づいているという利点をもつ。よって、計算された係数は、データ内容を改善するために最適化されるであろう。
【0007】
装置の実施例において、クロストーク低減ユニットは、非同期サンプルレートで動作する適応フィルターのための同期サンプルレートで計算されるフィルター係数を変換するための逆変換手段を有する。これは、係数が適応フィルターを非同期に動作するための値に対応するために変換されるという利点をもつ。装置の実用的な実施例において、逆変換手段は、非同期サンプルレートでのフィルター係数の再サンプリングを許容するためのラッチを有する。これは、ラッチが急速に変化しない信号値に適した低コストの逆変換であるという利点をもつ。発明者は、クロストーク機構が急速に変化しないこと、よって、フィルター係数が急速に変化しないことが分かっている。特に、光ディスク読み取りシステムについて事実である。特に、これは、適応定数が小さいことを意味している。低域通過特性をもつ係数計算における積分器とLMS機能との組み合わせにおいて、これは、ラッチの使用を許容する。
【0008】
装置の実施例について、適応フィルターは、非同期サンプルレートに対応するサンプル周期で間隔の空く部分を有し、逆変換手段は、同期サンプルレートに対応するサンプル周期(T)で間隔を空けた部分を有する適応フィルターのためのフィルター係数を、適応フィルターのためのフィルター係数へと変換するための空間補間器を有する。これは、空間的に補間されたフィルター係数は、非同期に動作する適応フィルターにおいて実際に要求されるフィルター係数により正確に対応している。
【0009】
装置の実施例において、計算ユニットは、少なくとも平均二乗機能によってデータ信号と付随信号とに基づいてフィルター係数を計算するために配置される。これは、等化器及び/又は有限インパルス応答フィルターのような適応フィルターのためのフィルター係数を計算する便利な方法を提供するといった利点をもつ。
【0010】
装置の実施例において、クロストーク低減ユニットは、キャンセルユニットのための入力信号として、遅延され同期された信号を付随信号から生成するための更なるサンプルレート変換器へと結合される遅延ユニットを少なくとも有する。これは、付随入力信号がフィルター係数の更に正確な計算を提供する同期された信号へと変換されるという利点をもつ。特に、構造は、ビット同期ドメインへの変換を要求するフィルター係数の適応方法に適切である。例えば、遷移の瞬間時のエネルギーが小さくされる最小ジッタ基準は、遷移の瞬間はビット同期信号において測定のみが可能であるため、ビット同期ドメイン内にて計算されなければならない。全体的な非相関方法は、一方で、ビット同期ドメインへ必ずしも変換されなくてもよい。
【0011】
装置の実施例において、計算ユニットは、最小平均二乗機能に従って計算されるフィルター係数補正値を積分するための積分ユニットを有する。席分岐は、フィルター適応のための制御ループを終了する効果をもつ。これは、短い乱れがフィルター係数を即財に変化しないという利点をもつ。特に、積分は、機能がその結果低域特性を有するLMS機能の部分であり、従って小さな乱れを除去するであろう。
【0012】
装置の実施例において、装置は、予め定義された、実質的に一定の、比率で非同期サンプルレートを同期サンプルレートに設定するための手段を有する。これは、非同期部分における処理ステップの遅延が、データレートへの関係において知られるという効果をもつ。これは、例えば、メモリ遅延ライン、通常FIFOが既知の遅延での大きさとされることを許容する。例えば、主スポットと主スポットに先行又は後続する付随スポットを有する光学ピックアップユニットにおいて、主スポットからの入力信号に対して付随スポットの付随信号の治安は、既知の遅延によって補償される。
【0013】
本発明に係る装置の更なる実施の形態は更なる請求項にて与えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のこれら及び他の形態は、以下の説明の例示によって記述される実施例を更に参照及び添付の図面を参照することにより、明らかとなりまた明確に説明されるであろう。
【0015】
図において、既に説明された要素に対応する要素は、同一の参照番号をもつ。
【0016】
図1は、クロストーク低減ユニットを示す。入力ユニット10は、例えば、光記録担体上のトラックを走査するために生成された入力信号12を受信するための入力と、記録担体の隣接するトラックのようなクロストークの源となる少なくともいくつかの構成部品を含んでいる少なくとも一つの補助信号13とをもつ。更に、装置は、データ信号8からのデータレートに対応する同期クロックを取り出すための、例えば、位相同期ループ(PLL)のようなタイミングリカバリーユニット11をもつ。入力ユニット10は、以下の素子をもつクロストーク低減ユニット14に結合される。入力ユニット10は、適応フィルター15への補正された読み取り信号及び補助信号を生成するための減算器16へ、読み取り信号を提供する。減算器16からの補正読み取り信号は、同期クロックレートでデータ信号へ変換されるためのサンプルレート変換器(SRC)19へ結合される。適応フィルター15は、走査されているトラックに隣接するトラックに対応するクロストーク信号を生成するために補助信号をフィルターする。更に、クロストーク低減ユニット14は、適応フィルター15に対するフィルター係数を計算するための計算ユニット17を含む。適応フィルター15と減算器16とは、非同期サンプルレート(1/Ts)で動作するためのクロック生成器9からの非同期クロック18へと結合される。クロストーク低減ユニット14は、更に、同期サンプルレートで減算器16の出力をデータ信号8へと変換するためのサンプルレート変換器19を有する。タイミングリカバリーユニット11は、同期クロックの取り出しのためにデータ信号(8)へと接続される。
【0017】
図2は、記録担体32上の情報を走査するための走査装置を示す。装置は、記録担体32を回転するためのドライブユニット21と、ヘッド22と、トラック上の半径方向にヘッド22を粗く位置決定するための位置決定ユニット25と、制御ユニット20とを備えている。ヘッド22は、記録担体の情報層のトラック上の放射線スポット23へフォーカスされる光学素子を介してガイドされる放射線ビーム24を生成するために既知のタイプの光学システムを有する。放射線ビーム24は、例えば、レーザーダイオードのような放射線源によって生成される。ヘッドは、更に、ビームの光軸に沿って放射線ビーム24の焦点を移動するフォーカシングアクチュエータと、トラックの中心上の半径方向にてスポット23の高精な位置決定のためのトラッキングアクチュエータとを(図示せず)を有する。トラッキングアクチュエータは、光学素子を放射状に移動するためのコイルを有してもよく、或いは、反射素子の角度を変更するために配置されてもよい。情報層によって反射される放射線を読み取りは、読み取り信号と、更に、トラッキング及びフォーカシングアクチュエータを制御するためのトラッキングエラー及びフォーカシングエラーを含む検出信号とを生成するためのヘッド22において、通常のタイプの検出器、例えば、4象限ダイオードによって検出される。ヘッドからの信号は、図1を参照して上述されるようにクロストーク低減装置31へと接続される。更に、クロストーク低減装置31の実施例は、図3及び4を参照しつつ以下に説明される。クロストーク低減装置31は、情報を取り出すために、復調器、変形器、及び出力ユニットを含む通常のタイプの読み取り処理ユニット30によって処理されるデータ信号を引き起こす。よって、情報を読み取るための取り出し手段は、ドライブユニット21と、ヘッド22と、位置決定ユニット25と、読み取り処理ユニット30を含む。
【0018】
制御ユニット20は、情報を走査及び取り出す制御をし、また、ユーザ又はホストコンピュータからコマンドを受信するために配列されてもよい。制御ユニット20は、制御線26、例えば、システムバスを介して装置内の他のユニットに接続される。制御ユニット20は、例えば、上述したように手順及び機能を実行するためのミクロプロセッサ、プログラムメモリ、及びインターフェースのような制御回路構成を有する。制御ユニット20は、論理回路にて状態装置として実装されてもよい。
【0019】
実施例において、装置は、書き込み可能又は書き換え可能な、例えば、CD−R又はCD−RW、又はDCD+RW又はBDであるタイプの記録担体上に情報を記録するための手段を備えている。装置は、ヘッダ22を駆動するための書き込み信号を生成するために入力情報を処理するための、入力ユニット27を有する書き込み処理手段と、フォーマッター28と変調器29とを有する変調手段とを有する。情報の書き込むために、放射線は、記録層の光学的に検出可能なマークを作成するために制御される。マークは、光学的に読み取り可能ないかなる形式、例えば、塗料、合金、若しくは相変化材料のような材料にて記録されるときに取得される、それらの環境による反射係数の違いのある領域の形式であってもよいし、又は、光磁気材料にて記録されるときに取得される、それら環境による磁性の違いの方向をもつ領域の形式であってもよい。
【0020】
光ディスクに記録し、フォーマットするために情報を書き込んで読み取ること、エラーを補正すること、そしてチャンネルコーディングルールは、例えば、CD又はDVDシステムにより技術的によく知られている。実施例において、入力ユニット27は、アナログオーディオ及び/又はビデオ、又はデジタルの圧縮されていないオーディオ/ビデオのような入力信号のための圧縮手段を有する。適切な圧縮手段は、MPEG標準におけるビデオに対して説明される。MPEG−1はISO/IEC11172にて定義され、MPEG−2はISO/IEC13818にて定義される。入力信号は、或いは、そのような標準に従って既にエンコードされていてもよい。
【0021】
図3は、非同期のクロストーク低減システムを示す。システムは、入力信号を生成するための入力ユニットと、主入力信号(図にて中央位置)及び2つの補助信号(図にて上及び下の位置)とを有する。例えば、3ビームピックアップとアナログ前置処理からの中心スポットと先導及び遅延付随スポットの3つの入力信号である。入力信号は、フリーランクロック44で動作するアナログ・デジタル変換器(ADC)36と結合される。なお、ピックアップの出力信号が約固定データレートであるならば、フリーランとすることができる。クロックがそのデータレートに関して選択可能である。或いは、クロックは、固定率T/Tsとなるデータレートに対する所定率で予めセットしておくことも可能である。入力信号は、例えば、主スポットに対する付随スポットの位置によって、時間通りに違いを補償するために入力信号を遅延させるための、例えば、FIFOタイプの遅延メモリ37に結合される。主入力信号は、減算器41に結合される。減算器41の出力は、サンプルレート変換器(SRC)42に結合されている補正された主信号であり、ビット検出器43へのSRCの後に、実際のデジタル情報を取り出すためにビット決定に利用可能な出力信号45を生成するための主信号である。タイミングリカバリー回路(PLL)40は、データ信号と同期する同期クロックを修復するための補正された主信号に結合される。変換され補正された主信号は、以下に示されるように、補正された主信号における乱れを判断し、そのフィルター係数を計算するための係数計算ユニット39に更に結合される。フィルター係数は、付随信号のための適応フィルター38(通常FIRタイプ)に結合される。付随フィルターは、(遅延メモリ37からの適切な遅延の後に)付随信号を受信する。適応フィルター38の出力は、減算器41へ結合される補正値を示す。
【0022】
なお、適応フィルター38よって導入される待ち時間はタイミングリカバリーループの全遅延に寄与しないし、タイミングリカバリーは、適応FIRフィルターの後に配置された際、クロストークキャンセルから恩恵をうける。構造は、同期回路と十分に比較されるFIRフィルターに対する適応ループに更なる複雑さをもたらす。フィルター更新は、ある逆サンプルレート変換を必要とする非同期ドメインにてなされなければならないと同時に、係数計算は同期ドメインにてなされなければならない。システムの他の効果は、信号の帯域幅がナイキスト基準に従って十分に小さいと仮定すると、非同期ドメインにおける処理がシンボルレートより低いスピードで行える。
【0023】
図4は、非同期クロストーク低減システムを詳細に示す。以下素子は、図3と比較して加えられる。ADC36の出力は、プリセットクロック48で動作する第一サンプルレート変換(SRCI)45へ結合される。上記図3において、代替は、フリーランクロック又は固定プリセット率を用いて与えられる。システムは、矢印49によって指示される非同期部分Tsと、矢印50によって指示される同期部分Tとをもつ。プリセットクロックが、T/Ts率が固定値(数パーセントの偏差が許容される)をもつように選択される。実施例において、プリセットクロックは、DVD+RWのような光ディスクの記録可能なタイプのウォブル情報を用いて決定される。プリセット拘束は、固定時間範囲、独立のオーバーサンプリングを伴うクロストークフィルターへとうまく導く。非同期TsドメインからデータレートTドメインへの信号を転送するタイミングリカバリーが、固定されたT/Ts率を採用することによって最適化可能となる。等化器46は、フィルターされた主信号Cmへの主入力信号を等化するために、主入力信号へと結合される。付随信号(遅延後)Sm及びSmは、係数計算ユニット39への入力としての同期部分において信号Sk及びSkへと変換すべき遅延ユニット(τ)及び第二SRC2と結合される。係数計算ユニット39の出力は、積分器バンク47へ結合され、それから、係数値を非同期部分へ戻すためのラッチ48と結合される。それから、値は、フィルタータップ距離Tsへの(T距離でのフィルタータップに対して計算された)値を調整するために、空間保管器49によって処理される。機能は以下の通りである。第一サンプルレート変換器(SRC1)は、入ってくる付随信号をデータレートに非同期な1/Tsのサンプリングレートをもつデジタル信号へと変化する。中心トラック信号と付随信号との間の時間遅延は、デジタルメモリ(FIFO)37で調整される。FIFOは、非同期ドメインに位置しているため、メモリ長が、また、オーバーサンプリングレートT/Tsに依存している。SRCIのプリセットクロック48は、T/Ts率が概略で予め決められた値となるように選択される。Ts間隔の適応FIRフィルターの出力は、近隣のトラックによって導かれるクロストークの予測であって、等化後、それら出力は、主チャンネルから取り去られる。
【0024】
(外1)

は、クロストークキャンセル後の中心トラックを表す。
【0025】
【数1】

Cm:中心スポット信号
fk:上位付随フィルターのタップ、fk:下位付随フィルターのタップ
Sm:上位付随信号、Sm:下位付随信号
K:フィルターのタップ数2M+1にて−M、・・・、+M
この結果信号は、第二サンプルレート変換器(SRC2)を用いて同期データレートドメインへと変換される。同様の方法において、FIRフィルターの入力は、先ず、入力から出力へのFIRフィルターの遅延τによって表示される、それから、同期ドメインへと変換される。このドメインでは、フィルター係数更新がLMSアルゴリズムに従って容易に計算される。ik,nによって示される積分器バンクの出力での変数は、以下の等式に子が従う。
【0026】
【数2】

及び
【0027】
【数3】

k:サンプル数、n:FIRフィルターのタップ数
k,n:時刻kでn番目の積分器kの出力
Δk,n:反復ステップkでタップエラー予測
μ:倍率
実施例において、これら更新値は、逆サンプルレート変換器のバンクを用いて非同期ドメインへと逆に変換される。逆サンプルレート変換器の煩雑さを避けるために、積分器のバンクの出力は単にゆっくりと変動することに注意する。結果として、この出力は、例えば、ラッチ48のバンクを用いて、非常に簡単な手段によって正確に再度サンプルされることが可能である。この技術は、ほぼ同期の応用に対して(T/Ts率=1に対して)、主に有用である。フィルター更新は、同期データレートドメインにてもたらされ、T間隔等化器に向けられている。実際に、このフィルターは、異なるタップ間隔Tsを持ち、適応能力が増大するであろう。実施例において、空間補完器49によって解決される。
【0028】
実施例において、係数計算は、以下のように同期の最小二乗(LMS)アルゴリズムに基づいている。LMSアルゴリズムの目的は、クロストークキャンセルの後の中間中心トラック信号パワーが最小とされるようにフィルターを適応することである。
【0029】
【数4】

この適応実装は、等式
【0030】
【数5】

を反復的に解くことに基づいており、最急降下法
【0031】
【数6】

を用いる。ここで、μは適応定数である。よって、
【0032】
【数7】

となる。
【0033】
上記最急降下法の実際的見地から更新は計算可能ではない。予測指示は、非常に長期間に渡って平均的な計算結果を要求する。従って、変化度は、結果として、「全体的な非相関方法」と呼ばれるLMSアルゴリズムとなる、即時な変化によって置き換えられる。
【0034】
【数8】

全体的な非相関方法は、クロストークキャンセル後の中心トラック信号パワーが最小とされるようにフィルターを適応するであろう。パワーの代わりに、平均絶対値を最小とするかもしれない。
【0035】
【数9】

これは、符号化アルゴリズム
【0036】
【数10】

となる。
【0037】
この適応ループは、
(外2)

での符号化動作を除いて、前のアルゴリズムと同一である。
【0038】
(外3)

による
(外4)

の乗算は、符号逆転のみを伴い、従って、従来のLMSアルゴリズムより著しく単純となる。全体的な非相関方法は、オントラック付随体による3ビームセットアップに対して用いられる。しかしながら、ハーフウェイ付随体によるセットアップでは使用に適さない。なぜなら、これら付随体は、全体的な非相関方法に中心のトラック信号を相殺させる中心のトラック信号上に情報を含んでいるからである。しかしながら、遷移時のエネルギーは、LMS駆動期間として最小にされる。このエネルギーは、ビット同期サンプルm及びm+1の間の遷移にて線形的に補間した波形を用いて計算される。
【0039】
【数11】

最急降下法を用いて、遷移時の中間エネルギー
【0040】
【数12】

を反復して最小にし、
【0041】
【数13】

となる。ここで、μは適応定数であり、
【0042】
【数14】

であるとき、即時変化によって変化を置き換えることで、「最小ジッタ方法」
【0043】
【数15】

を導く。
【0044】
また、この方法に対して、単一アルゴリズム変数
【0045】
【数16】

を考えることができる。
【0046】
実施例において、LMSアルゴリズムは、以下に示すように非同期部分に対して適応される。フィルター係数更新は、容易に計算される。上述したような同期最小ジッタ方法に対して、
【0047】
【数17】

更新
(外5)

を逆SRCのバンクによって非同期ドメインに変換し、積分器のバンクを介して制御ループを終了することが可能となる。積分器の出力がゆっくりと変動するとき、出力はラッチのバンクを介して再度サンプルされる。この技術は、ほぼ同期の応用に対して(T/Ts率=1に対して)、主に有用である。なお、TsがTからかなり外れると、空間補間と呼ばれる追加の機能性を要求する別の問題が引き起こされる。
【0048】
この補間は、制御ループ内にて生成された初期T空間列を、等化係数ベクトルを制御するための等化なTs空間列へと変換するであろう。補間の最も簡潔な形態の一つは、計算の観点から魅力的である線形補間であり、補間の他の形態として、例えば、同等に簡素である最近傍補間のようなものが考えられる。
【0049】
実施例において、他の率に対して、非同期クロストークキャンセラーに基づくLMS用のための空間補間が以下のように適用される。例えば、光学受信器において、関係T/Tsは、4/3となる。概念的には、計算されたT空間フィルータ更新を、補間を必要とする3/4Tドメインへと変換する必要がある。補間は、実際、計算の観点から非常に魅力的である線形補間である。再サンプリング位置
【0050】
【数18】

は、
【0051】
【数19】

として書かれる。ここで、
【0052】
【数20】

であり、
【0053】
【数21】

【0054】
【数22】

である。
【0055】
Ciが0と1の間で変化する際、tiはmiTと(mi+1)Tとの間で変化し、そして、f+−はf+−(miT)とf+−((mi+1)T)との間で変化する。
【0056】
図5は、線形補間を示す。時間は、水平軸上に示される。第一の値f+−(miT)と第二の値f+−((mi+1)T)とが与えられる。iTsでの線形補間は、
【0057】
【数23】

として与えられる。
【0058】
4/3のT/Ti率を用いて、図6及び図7の変換式を導く。他オーバーサンプリング率に対する式は、同様に導き出される。実用的な実施例では、非同期ドメインは4/3オーバーサンプルされ、補間は僅かにフィルターの適応ループを回線し、従って除外されてもよい。
【0059】
図6は、空間補間を示す。時間は水平軸上に示される。フィルタータップ値の上位列は、矢印で示されるフィルタータップ値の下位列から、また図7に与えられる式に従って導かれる。
【0060】
図7は、空間補間のための変換式を示す。非同期ドメイン内で間隔を空けたフィルタータップ値f+−(kTs)が、非同期ドメインにてフィルタータップ値f+−(mkT)から導かれる。
【0061】
本願は、主に、光ディスクを用いる実施例によって説明されてきたが、本願は、また、隣接するトラックからの付随信号に基づいてクロストーク補正を要求する、長方形の光学カード、磁気ディスク、若しくは情報格納システムの他のタイプのような他記録担体に対しても適している。なお、スキームは、クロストークを示す特定の構成部品を含んでいるいくつかのパラレル信号を発生する他のシステムにおけるクロストークキャンセルに対しても使用可能である、ことを留意すべきである。なお、「有する」は、一覧されている以外の要素又はステップの存在を排除しないし、また要素に先行する用語は、複数を示す要素の村税を排除しない、いかなる参照符号もクレームの範囲を限定しない、本発明はハードウェア及びソフトウェアの両方によって実装されてもよい、そして、いくつかの「手段」又は「ユニット」は、ハードウェア又はソフトウェアの同様な項目によって示されてもよい、ことを留意すべきである。更に、本発明の範囲は、実施例に限定されない、また、本発明は、上述したありとあらゆる新規の特長又は特長の組み合わせにある。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、クロストーク低減システムを示す。
【図2】図2は、走査装置を示す。
【図3】図3は、非同期クロストーク低減システムを示す。
【図4】図4は、非同期クロストーク低減システムを詳細に示す。
【図5】図5は、線形補間を示す。
【図6】図6は、空間補間を示す。
【図7】図7は、空間補間のための変換式を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データレートにてデータ信号を配信するための装置であって、
データを示す入力信号と該入力信号にも存在するクロストークを有する少なくとも1つの付随信号とを受信し、特に、中心スポットによって走査されているトラックに対応する該入力信号と、付随スポットによって走査されるトラックに隣接するトラックに対応する該付随信号とから、読み取り信号を生成するための入力ユニットと、
前記データレートに対応する同期クロックを取り出すためのタイミングリカバリーユニットと、
前記データ信号におけるクロストークを低減するためのクロストーク低減ユニットとを有し、
前記クロストーク低減ユニットは、クロストーク信号を生成するために前記付随信号をフィルターするための適応フィルターと、
前記入力ユニットからの読み取り信号から前記クロストーク信号を減算するための減算器と、
前記適応フィルターのためのフィルター係数を計算するための計算ユニットとを有し、
前記適応フィルター及び減算器は、非同期サンプルレートにて動作させるための非同期クロックに結合され、前記クロストーク減算ユニットは、前記減算器の出力を同期サンプルレートにて前記データ信号へと変換するための前記同期信号と結合されたサンプルレート変換器と、前記同期信号の取り出しのために前記データ信号と結合されている前記タイミングリカバリーユニットとを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記計算ユニットは、前記同期サンプルレートにて動作するための前記同期クロックへと結合される請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記クロストーク減算ユニットは、前記非同期サンプルレートにて動作する前記適応フィルターのための前記同期サンプルレートにて計算される前記フィルター係数を変換するための逆変換手段を有する請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記逆変換手段は、前記非同期サンプルレートにてフィルター係数の再サンプリングを許すためのラッチを有する請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記適応フィルターは、前記非同期サンプルレートに対応するサンプル周期で間隔を空けた部分を有し、前記逆変換手段は、前記同期サンプルに対応するサンプル周期で間隔を空けた部分を有する適応フィルターのために計算されたフィルター係数を、前記適応フィルターのためのフィルター係数へと変換するための空間補間器を有する請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記計算ユニットは、平均二乗機能によってデータ信号及び付随信号に基づいて前記フィルター係数を計算するために配置される請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記クロストーク低減ユニットは、前記計算ユニットのための入力信号として遅延した同期した信号を付随信号から生成するための更なるサンプルレート変換器に結合される遅延ユニットを少なくとも有する請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記計算ユニットは、最小平均二乗機能に従って計算されたフィルター係数補正値を積分するための積分ユニットを有する請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、予め定義された、実質的に定数の比率で前記非同期サンプルレートを前記同期サンプルレートに設定するための手段を有する請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記入力ユニットは、入力信号を前記非同期サンプルレートにてサンプルされた前記読み取り信号へ変換するための手段を有し、特に、該入力ユニットは、前記サンプルされた入力信号を、前記非同期サンプルレートにてサンプルされた前記読み取り信号へと変換するためのサンプルレート変換器に結合されたフリーランクロックにて動作するアナログ・デジタル変換ユニットを少なくとも有する請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、記録担体上のトラックを走査するための装置であって、該トラックは、情報を示すマークを有し、該装置は、トラックを走査して前記入力信号と前記付随信号とを生成するためのヘッドと、前記データ信号から情報を取り出すための読み取りユニットとを有する請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−511025(P2006−511025A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561807(P2004−561807)
【出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005761
【国際公開番号】WO2004/057598
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】