非導電性アイソレータを備えた構造用取付けインサート
本発明は、構造部材を確実に取り付ける一方で腐食を招く恐れのある環境条件へのこのような構造部材の暴露を阻止し又は実質的に制限する方法及び装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つ又は3つ以上の互いに接合されたコンポーネントを腐食、締結具又は構造的結合の弛み(例えば、トルクフォールオフ)又はこれら課題の任意の組み合わせから保護する方法及び装置に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2009年5月18日に出願された米国特許出願第12/467,478号の出願日に関する権益主張出願であり、この出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
長年にわたり、自動車業界においては燃料節約がますます強調されている。自動車の燃料消費量を減少させる幾つかの対策が存在し、一つの対策は、軽量の材料、例えばアルミニウムやマグネシウムを使用することである。これら材料は、自動車の重量を減少させることができるが、これら材料は、強度が低いために、現行の衝突安全規格をかろうじて満たすことができるに過ぎない。従って、スチール(内側部品)及びアルミニウム(外側部品)で作られた2種金属構造が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら材料には欠点がある。一例として、混合材料部品では、接合領域は、腐食環境に対する耐腐食性が貧弱であり又はないことが知られている。特に、温度変化への暴露中における材料の膨張/収縮特性は、これら材料の封止能力を制限する場合があると共に/或いは材料を劣化させる場合がある。別の例として、このような材料は、材料の相互取付け性能を制限する場合があり又は部材の相互取付けを促進する性能が制限されている。さらに、典型的な材料は、膨張性(又は発泡性)が殆どなく又はゼロであり、それにより、接合構造体相互間の開放空間を完全に満たすのに材料の追加の被着の必要があり、これは、時間がこのようなと共にコスト高となる場合がある。別の例として、材料は、締結具を用いると、変位する場合があり、それにより締結具の周りか接合構造体を穿孔しているときの締結具内かのいずれかに追加の開放空間が形成される。これら追加の開放空間は、部分的に開放状態のままであり、周囲環境(例えば、水分)の影響を受けやすい。
本発明は、シール、構造用接着材料、これら両方等として働き、材料が少なくとも上述の欠点又は他の欠点のうちの1つを解決するのを助けるインサートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、2種類の異なる材料を封止すると共に隔離する構造用取付けインサートを提供することによって先行技術の継ぎ手組立体を改良しようとするものである。第1の態様において、本発明は、接着、封止及び絶縁のためのインサートであって、融点又はガラス転移温度が約115℃以上の全体として非導電性のアイソレータと、アイソレータと接触状態にあり、未硬化状態で粘着性を呈するマトリックス材料とを有し、マトリックス材料は、インサートの取付け後に熱を受けることにより硬化され、粘着性は、表面への被着後の変位に抵抗するほど十分に高く、アイソレータは、2つの互いに異なる種類の材料相互間の接合部への取付け時に、2つの異種材料を結合して2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗することを特徴とするインサートを提供する。
【0006】
この態様は、次の特徴のうちの1つ又は任意の組み合わせによって更に特徴付け可能であり、即ち、アイソレータは、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長い繊維の網状構造を含むこと、アイソレータ中の繊維は、異種材料のうちの任意の一方のどの接触縁部とも全体として平行ではない状態に差し向けられた長手方向軸線を有すること、外面は、マトリックス材料を覆って位置する不粘着性取扱いフィルムの一部であること、マトリックス材料は、高い温度への暴露時に膨張可能であること、インサートは、異種材料のうちのいずれか一方の非平面状表面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備えた1つ又は2つ以上の孔を有し、インサートの形状は、非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより非平面状表面とインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、1つ又は2つ以上の孔が非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対するインサート又は両方のバンチング(bunching)を行うこと、マトリックス材料の活性化時に、マトリックス材料は、1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張すること、インサートは、インサートを撓曲させるのに十分な力を受けると、その元の状態に弾性的に戻ることができること、インサートは、インサートを撓曲させるのに十分な力を受けると、永久的に変形すること、インサートは、第1の粘着性を備えたマトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルムと、実質的には不粘着性である第2の粘着性を備えた外面と接触状態にある取扱いフィルムとを有することである。
【0007】
別の態様では、本発明は、接着、封止及び絶縁のためのインサートであって、全体として非導電性のアイソレータを有し、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長いストランドの網状構造によってアイソレータを貫通して複数個の開口部が形成され、細長いストランドは、ポリアミド、ポリエステル、ガラス繊維又はこれらの任意の組み合わせで形成され、インサートは、アイソレータを覆って埋め込まれていて、未硬化状態で第1の粘着性を呈するマトリックス材料を更に有し、マトリックス材料は、インサートの取付け後に熱への暴露によって硬化され、第1の粘着性は、これが表面への被着後の変位に抵抗するほど十分高く、インサートは、第1の粘着性よりも低い第2の粘着性を備えた外面を更に有し、アイソレータは、約0.1mm〜約0.8mmの範囲の厚さを有し、アイソレータは、互いに異なる種類の材料で作られた2つの対向した部材相互間の接合部への取付け時に、2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、マトリックス材料は、熱が加えられると、膨張して細長いストランドにより形成された複数個の開口部を満たすと共にアイソレータを封止してアイソレータと異種材料相互間の連結領域を結合することを特徴とするインサートを提供する。
【0008】
この態様は、次の特徴のうちの1つ又は任意の組み合わせによって更に特徴付け可能であり、即ち、インサートは、2つの対向した部材のうちのいずれか一方の非平面状表面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備えた1つ又は2つ以上の孔を有し、インサートの形状は、非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより非平面状表面とインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、1つ又は2つ以上の孔が非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対するインサート又は両方のバンチングを行うこと、マトリックス材料の活性化時に、マトリックス材料は、1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張すること、細長いストランドは、ネットワークを形成するようよこ糸ストランドに対して全体として横断方向に延びるたて糸ストランドを含み、1インチ(2.54cm)当たりのたて糸ストランド本数と1インチ当たりのよこ糸ストランド本数の比は、約2:1から約1:2までの範囲にあること、複数個の開口部は、アイソレータを貫通して設けられた同一形状であり且つ等間隔を置いて設けられた開口部であること、インサートは、第1の粘着性を備えたマトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルムと、実質的には不粘着性である第2の粘着性を備えた外面と接触状態にある取扱いフィルムとを有することである。
【0009】
別の態様では、本発明は、自動車の衝撃タワーハウジングとフレーム部材との間の取付け組立体であって、衝撃タワーハウジング組立体は、外壁を有し、外壁は、第1のハウジング部分から全体として横方向に延びて第1のハウジング部分との間にキャビティを形成し、第1のハウジング部分を貫通して延びていて、キャビティ内に配置されたショックアブソーバの一部分に接近するための開口部が設けられ、組立体は、連結領域のところで第1の自動車フレーム部材に取り付けられる第1の取付け部分を更に有し、第1の取付け部分は、第1の取付け部分を第1の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、組立体は、連結領域のところで第2の自動車フレーム部材に取り付けられる第2の取付け部分を更に有し、第2の取付け部分は、第2の取付け部分を第2の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、組立体は、構造用取付けインサートを更に有し、構造用取付けインサートは、連結領域の形状に一致するよう形作られた非導電性の構造用メッシュ材料を有し、非導電性構造用メッシュ材料を貫通して、複数個の同一形状であり且つ等間隔を置いて設けられた開口部が形成され、構造用取付けインサートは、非導電性構造用メッシュ材料の少なくとも一部分を覆うと共に非導電性構造用メッシュ材料を貫通して形成された複数個の開口部内に納められた熱活性化可能材料を更に有し、熱活性化可能材料は、柔軟性材料で形成され、構造用取付けインサートは、第1及び第2の構造用取付けインサートを含み、第1の構造用取付けインサートは、第1の構造用取付けインサートを貫通した1つ又は2つ以上の孔を更に有し、1つ又は2つ以上の孔は、第1の取付け部分の取付け面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備え、第1の構造用取付けインサートの形状は、第1の取付け面の非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより非平面状表面と第1の構造用取付けインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、1つ又は2つ以上の孔が非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対するインサート又は両方のバンチングを行い、組立体は、フレーム部材及びインサートを貫通して衝撃タワーハウジングまで延びる複数個の締結具を更に有し、第1及び第2の取付け部分の材料は、第1及び第2の自動車フレーム部材の材料とは種類が異なっており、非導電性構造用メッシュ材料は、第1及び第2の取付け部分を第1及び第2の自動車フレーム部材に取り付けた際、2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して構造用メッシュ材料を貫通して形成された複数個の開口部を満たし、構造用メッシュ材料並びに第1の取付け部分と第1の自動車フレーム部材の連結領域及び第2の取付け部分と第2の自動車フレーム部材の連結領域を周囲環境から封止すると共にこれらを結合し、熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して複数個の締結具が構造用取付けインサートを貫通して延びる周囲領域を満たし、それにより水分が周囲領域に入るのを実質的に制限し又は阻止することを特徴とする取付け組立体を提供する。
【0010】
この態様は、次の特徴のうちの1つ又は任意の組み合わせによって更に特徴付け可能であり、即ち、マトリックス材料の活性化時に、マトリックス材料は、1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張すること、アイソレータは、細長いストランドの網状構造を有し、ストランドは、側方変位をしないよう互いに対して拘束され、ストランドは異種材料のうちの任意の一方のどの接触縁部とも全体として平行ではない状態に差し向けられた長手方向軸線を有し、細長いストランドは、ポリアミド、ポリエステル、ガラス繊維又はこれらの任意の組み合わせから成ることである。
【0011】
別の態様では、本発明は、自動車の衝撃タワーハウジングとフレーム部材との間の取付け組立体であって、衝撃タワーハウジング組立体は、外壁を有し、外壁は、第1のハウジング部分から全体として横方向に延びて第1のハウジング部分との間にキャビティを形成し、第1のハウジング部分を貫通して延びていて、キャビティ内に配置されたショックアブソーバの一部分に接近するための開口部が設けられ、組立体は、連結領域のところで第1の自動車フレーム部材に取り付けられる第1の取付け部分を更に有し、第1の取付け部分は、第1の取付け部分を第1の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、組立体は、連結領域のところで第2の自動車フレーム部材に取り付けられる第2の取付け部分を更に有し、第2の取付け部分は、第2の取付け部分を第2の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、組立体は、熱活性化可能材料を有する構造用取付けインサートを更に有し、構造用取付けインサートは、第1及び第2の構造用取付けインサートを含み、第1の構造用取付けインサートは、第1の構造用取付けインサートを貫通した1つ又は2つ以上の孔を更に有し、1つ又は2つ以上の孔は、第1の取付け部分の取付け面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備え、第1の構造用取付けインサートの形状は、第1の取付け面の非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより非平面状表面と第1の構造用取付けインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、組立体は、フレーム部材及びインサートを貫通して衝撃タワーハウジングまで延びる複数個の締結具を有し、第1及び第2の取付け部分の材料は、第1及び第2の自動車フレーム部材の材料とは種類が異なっており、非導電性構造用メッシュ材料は、第1及び第2の取付け部分を第1及び第2の自動車フレーム部材に取り付けた際、2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して第1の取付け部分と第1の自動車フレーム部材の連結領域及び第2の取付け部分と第2の自動車フレーム部材の連結領域を周囲環境から封止すると共にこれらを結合し、熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して複数個の締結具が構造用取付けインサートを貫通して延びる周囲領域を満たし、それにより水分が周囲領域に入るのを実質的に制限し又は阻止することを特徴とする取付け組立体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の教示による構造用取付けインサートの一形態の平面図である。
【図2】本発明の教示による構造用取付けインサートの別の形態の平面図である。
【図3】図1に示されている構造用インサートの断面図であり、本発明の教示に従って接合前に第1及び第2の部材が追加された状態を示す図である。
【図4】図3に示された構造用取付けインサートの拡大図である。
【図5】図4に示された構造用取付けインサートを2つのコンポーネントの接合後の状態で示す図である。
【図6】図5に示された構造用取付けインサートを本発明の教示による1つの利用可能な材料の活性化後の状態で(膨張を示している)示す図である。
【図7A】図5に示されている断面図に類似しているが、これとは異なり、2つの部材を接合するために用いられた取付け特徴部の断面図である。
【図7B】図7Aに示されている断面図を本発明の教示による1つの利用可能な材料の活性化後の状態で示す図である。
【図8A】本発明の教示による構造用取付けインサートの幾つかの用途の例のうちの1つを示す図である。
【図8B】本発明の教示による構造用取付けインサートの幾つかの用途の例のうちの1つを示す図である。
【図9A】本発明の教示による構造用取付けインサートの幾つかの用途の例のうちの1つを示す図である。
【図9B】本発明の教示による構造用取付けインサートの幾つかの用途の例のうちの1つを示す図である。
【図10A】本発明の教示による構造用取付けインサートの別の形態の平面図である。
【図10B】図10Aに示された構造用取付けインサートを取付け面への被着後の状態で示す平面図である。
【図11A】本発明の教示による構造用取付けインサートの更に別の形態の平面図である。
【図11B】図11Aに示された構造用取付けインサートを取付け面への被着後の状態で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、構造部材を確実に取り付ける一方で腐食を招く恐れのある環境条件へのこのような構造部材の暴露を阻止し又は実質的に制限する方法及び装置に関する。図面を参照すると、これは、第1の部材12と第2の部材14の接合に先立って、第1の部材12と第2の部材14との間に配置されたインサート10の使用によって達成される。インサートは、第1の部材と第2の部材との間の距離を維持する積極的位置決め特徴部及び第1の部材と第2の部材との間の開放空間を満たすと共にインサート及びインサートとの第1及び第2の部材の接合部分又はこれら両方を包囲するよう構成されるのが良いシーラ又は封止材を含む。シーラは、インサートと構造用部材の接触部分16,18の両方を周囲環境から封止するよう活性化可能であり、柔軟性であり又はこれら両方であるのが良い。
【0014】
本発明の追加の利点として、本発明により接合部材の熱サイクル等の間におけるトルクフォールオフ又は締結具(例えば、ボルト等)の弛みが実質的に制限され又は阻止されることにある。例えば、温かくなったり冷えたりするサイクルの繰り返しの間、代表的な封止装置又は器具は、温度変化に起因して膨張したり収縮したりする。これら先行技術の装置で用いられているスペーサ材料だけが封止材料それ自体で構成されているので、水分がこの熱サイクル中にシールによって形成されている隙間に入り込むことが通例である。また、先行技術の密封装置は又、クリープを生じ、それにより高い温度で大きくなる場合のある隙間が生じることが通例である。
【0015】
本発明は、隙間等を形成する高強度材料を提供し、第1の部材と第2の部材との間にスペーサ層を維持するために第1の部材と第2の部材との間にアイソレータを設けることによって上述の問題及び他の問題を解決する。この場合、インサートのシーラは、第1の部材と第2の部材との間に形成された隙間を封止すると共にインサート及び/又は締結具を包囲し、それにより第1の部材と第2の部材の連結領域の腐食を実質的に制限し又は阻止する。これは、高強度アイソレータと第1の部材と第2の部材との間にスペーサ層を形成してこれを全体として維持する封止材料の組み合わせに起因して、第1の部材と第2の部材の直接的な接触(例えば、浸透接触)が実質的に制限され又は阻止されるからである。さらに、封止材料が第1の部材と第2の部材との間の隙間を封止するので、水分は、第1の部材と第2の部材の接触箇所に接触するのが実質的に制限され又は阻止され、これは、電解質が腐食を開始させるのを一段と阻止する。というのは、上のような電解質は、水分に源を発するからである。
【0016】
例えば、第1の部材と第2の部材が異種材料(例えば、互いに異なる金属、例えばスチールとアルミニウム)で作られている場合、高強度アイソレータとシーラの組み合わせは、スペーサ層を形成し、その結果、第1の部材と第2の部材を互いに直接的な接触状態にする変位に抵抗することができるようになる。第1の部材と第2の部材の直接的な接触に抵抗することは、電解質の存在下における異種材料相互間のガルヴァニックカップルを阻止し、それにより、異種材料のうちの一方又は両方の腐食を実質的に又は完全に減少させることができる。
【0017】
一般に、インサート10は、構造用部材を互いに接続するために用いられる力が加えられたときに第1の部材と第2の部材を互いに直接的に接触させる変形に耐えるよう構成された高強度材料から成るアイソレータ20を有する。インサートは、アイソレータに取り付けられ又は取り付けられるようになる収納体22等を更に有する。収納体22は、インサート及び構造用部材の接触箇所又は領域を包み込むよう少なくとも部分的に柔軟性である。
【0018】
第1の構造用部材と第2の構造用部材の接合時、収納体は、インサート及び構造用部材の接触箇所の封止を生じさせるよう活性化可能であり又は違ったやり方で変形可能であり、それにより第1の部材と第2の部材の接触及び/又は構造用コンポーネントを腐食させる場合のある腐食駆動コンポーネント、例えば水への暴露を制限し又は阻止する。
【0019】
上述の内容は、本発明の多くの例及び利点のうちの1つに過ぎず、以下の説明は、図面によって更に裏付けされる本発明の他の例及び利点を示唆的に且つ/或いは明示的に提供することが解る。
【0020】
アイソレータ‐スペーサ材料
【0021】
インサートは、第1の部材12と第2の部材14との間のスペーサとして働くよう構成された軟質又は硬質材料から成るアイソレータ20を有している。アイソレータは、強度の面で、第1の部材と第2の部材をこれらの取付け中に直接的に接触させる変位に実質的に抵抗するよう構成されている。したがって、アイソレータは、高強度材料で形成されることが想定される。
【0022】
アイソレータを形成するために使用可能な適当な材料としては、例えば金属、プラスチック、ガラス、セラミック、ゴム等のような材料が挙げられる。アイソレータは、疎水性材料で作られるのが良く又は疎水性になるよう積層されるのが良い。一形態では、アイソレータは、可撓性(例えば、弾性)があると共に塑性変形に抵抗するために高強度であることに起因して金属(シム原材料等)で作られる。適当な金属材料の例としては、ステンレス鋼、合金鋼、被覆又は非被覆鋼、亜鉛めっき鋼、低又は高炭素鋼、コバルト、他の金属材料等が挙げられる。好ましい一実施形態では、アイソレータは、金属を除く材料(例えば、非金属材料)から成る。当然のことながら、他の特定の材料、例えば織物等で通常用いられている材料が利用可能である。或る特定の用途に関し、強化材料がマット、布、ロービング、編み物、メッシュ、スクリム等として利用できる一本又は2本以上の非導電性糸又は線材(例えば、細長いフィラメント、繊維材料又は織物材料)であることが好ましい場合がある。このような実施形態では、強化材料は、例えば、綿、ガラス(例えば、E‐ガラス又はS‐ガラス)、ガラス繊維、マイラ(Mylar)、ナイロン、ポリエステル、炭素、アラミド、プラスチック、ポリマー(例えば、熱可塑性樹脂、例えばポリアミド(例えば、ナイロン)、PET(例えば、マイラ)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン(例えば、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル若しくはこれらの任意の組み合わせ)又は他の材料の織り繊維又は不織状態の繊維、フィラメント等で構成されるのが良い。本明細書で用いられる「糸」又は「線材」は、材料の単一のフィラメント、フィラメントの編組束又はフィラメントの非編組束を意味している。本明細書において説明するように、メッシュは、規則的なパターン(例えば、首尾一貫した開口形態)を有する材料を意味し、スクリムは、ランダムなパターン(例えば、可変開口形態)を有する材料を意味している。
【0023】
他の用途では、強化材料は、ビード状粒子、凝集体、中空材料(例えば、中空粒子)等又は任意の組み合わせであるのが良いことが理解できる。このような実施形態では、強化材料は、例えば、ガラス(例えば、E‐ガラス又はS‐ガラス)、ガラス繊維、ナイロン、ポリエステル、炭素、アラミド、プラスチック、ポリマー(例えば、熱可塑性樹脂、例えばポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン(例えば、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル又はこれらの任意の組み合わせ)又は他の材料の粒子等で構成されるのが良い。
【0024】
好ましい一実施形態では、強化材料は、ガラスフィラメント(例えば、繊維)、例えばガラスフィラメントのウィーブ又はロービング(例えば、メッシュ、スクリム等として)で形成されるのが良い。例示のガラスフィラメント(例えば、繊維)から成る強化材料としては、ノースカロライナ州グリーンボロ所在のビージーエフ・インダストリーズ・インコーポレイテッド(BGF Industries, Inc.)から購入できる製品番号1521及び7533で市販されている材料が挙げられる。別の好ましい実施形態では、強化材料は、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリブチレン(例えば、ポリブチレンテレフタレート)又はこれら両方、例えば、ポリマーフィラメント(例えば、メッシュ、スクリム等として)の射出成形又は押出し成形物で形成される。例示のポリアミド強化材料としては、デラウエア州ミドルタウン所在のデルスター・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(DelStar Technologies, Inc.)から購入できる製品番号14410及び15400として市販されている材料が挙げられる。当業者であれば認識されるように、好ましい材料を本明細書において記載しているが、特定の用途について所用の又は所望の特性又は機能に応じて、強化材料について種々の別の材料を選択することができる。
【0025】
一般に、アイソレータの所望の特性としては、剛性が比較的高いこと、強度が比較的高いこと、融点が比較的高いこと、ガラス転移温度が比較的高いこと及び接着耐久性があることが挙げられる。このように、この材料は、一般に、自動車製造業者によって採用される材料系の邪魔になることはない。アイソレータの融点は、少なくとも約100℃、代表的には少なくとも約175℃、より代表的には少なくとも約200℃であるのが良い。しかしながら、アイソレータの融点は、用途に応じてこれよりも高くても良く、例えば少なくとも約1000℃(例えば、約1500℃)である。さらに、アイソレータのガラス転移温度は、少なくとも約50℃、代表的には少なくとも約100℃、より代表的には少なくとも約200℃であるのが良い。しかしながら、アイソレータのガラス転移温度は、用途に応じてこれよりも高くても良く、例えば少なくとも約400℃(例えば、約570℃)である。例えば、理解されるべきこととして、アイソレータ(例えば、非導電性アイソレータ)の融点又はガラス転移温度は、約150℃以上、代表的には200℃以上又はより代表的には300℃以上であるのが良い。
【0026】
図1〜図6に示されている第1の例示の形態では、アイソレータは、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長い繊維(例えば、フィラメント)の網状構造を有する。アイソレータ中の繊維は、全体として第1及び第2の部材のうちの任意の一方のどの接触縁部(例えば、接触部分16,18)と非平行に差し向けられるのが良い長手方向軸線を有する。
【0027】
アイソレータ10には、マトリックス材料22の少なくとも一部分を受け入れる複数個の開口部24が形成され又は違ったやり方で設けられている。これら開口部は、任意の利用可能な二次成形技術(例えば、押出し、織成等)を用いて形成されるのが良い。開口部24のサイズは、各用途に応じて様々であって良い。開口部の直径は、5mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.25mm以下であることが想定される。また、平均直径は、0.25mm〜1.5mm、0.5mm〜1.5mm等であるのが良いことが想定される。
【0028】
開口部は、形状が幾何学的形状又は非幾何学的形状(即ち、不規則)であって良い。理解されるべきこととして、開口部の寸法形状は、アイソレータ全体にわたって様々であって良く(図2参照)、従って、アイソレータは、可変開口部形態を有するようになっている。しかしながら、好ましい一形態では、開口部の寸法形状は、アイソレータ全体を通じて一貫しており(例えば、同じ形状であり且つ/或いは等間隔を置いて配置される)、従って、アイソレータは、全体として一貫した開口部形態を有するようになる。理解されるべきこととして、開口部の形状及び/又は寸法及び形態は、所与の用途の必要性で決まる。アイソレータが開口部を有する場合、特に、このコンポーネントがメッシュ材料、スクリム材料等である場合、代表的には、1平方インチ(6.45cm2)当たり代表的には少なくとも150個、より代表的には少なくとも300個の開口部が設けられると共に/或いは1平方インチ当たり約3000個以下、代表的には約800個以下、より代表的には約500個以下の開口部が設けられる。
【0029】
開口部の有効な形状としては、円形、三角形、正方形、長方形、六角形、八角形、平行四辺形等が挙げられる。開口部は、少なくとも約40°、好ましくは少なくとも約60°(例えば、約90°)の角度をなすのが良い。更に、開口部は、140°未満、より好ましくは約120°以下の角度をなすのが良い。例えば、開口部は、約40°から約140°の角度、好ましくは約60°から約120°の角度をなすのが良い。糸は、全体として平行四辺形の形をした開口部を形成する(例えば、対角がそれぞれ約60°及び約120°である)。しかしながら、図1に示されているような好ましい一形態では、糸は、全体として正方形又は長方形の形をした開口部を形成する(例えば、対角が約90°である)。理解されるように、「約」という用語は、開口部の角度について記載される場合、角度が±5°の範囲でばらつきがあっても良いことを意味している。
【0030】
種々の二次成形技術を用いてアイソレータを形成することができる。アイソレータは、1本又は複数本の糸(例えば、ヤーン)、線材等で作られた織布又は不織布のものであって良い。アイソレータは、スクリーン(例えば、メッシュ)、ファブリック(例えば、スクリム)等から成っていても良く又はこれらのアイソレータと同様に形成されても良い。織り形態に関し、アイソレータは、結果的に開口部24が形成されるメッシュ材料、例えば金属製又はポリマー性のメッシュで形成されるのが良い。不織形態に関し、アイソレータは、結果的に開口部24が形成される押出しメッシュ材料、例えばポリマーメッシュであるのが良い。
【0031】
アイソレータの厚さは、多くの要因、例えば、用いられる材料の種類、用いられる二次成形法の形式、開口部の数又は用途に応じて様々であって良い。厚さは、満たされるべき第1の部材と第2の部材との間の開放空間の容積又はマトリックス材料の量でも決まる場合がある。さらに、厚さは、アイソレータの柔軟性に基づく場合がある。適当な厚さの例としては、約0.05mm〜約5mm又は約0.1mm〜約0.8mm等が挙げられる。
【0032】
アイソレータを形成する糸又は線材の直径も又、各用途に応じて様々であって良い。想定されることとして、糸又は線材の直径は、10mm未満、5mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満又は0.1mm以下である。また、糸又は線材の平均直径は、0.1mm〜2mm、0.2mm〜1mm、0.25mm〜0.8mm等であるのが良いことが想定される。理解されるべきこととして、糸の寸法形状は、アイソレータ全体を通じて一貫しているのが良い。しかしながら、好ましい一形態では、糸の寸法形状は、アイソレータ全体を通じて様々であって良い。また、糸の断面形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、七角形、六角形、平行四辺形等であって良い。
【0033】
糸の本数は、各用途に応じて様々であって良い。想定されることとして、糸の本数(例えば、糸の番手)としては、1インチ当たり約5本、10本、15本、20本、25本、30本、35本以上のストランドが挙げられる。ストランドの適当な本数の例としては、1インチ当たり約5本〜約75本のストランド又は約12本〜約35本のストランド等が挙げられる。例えば、糸の番手は、18×18たて糸×よこ糸(1インチ当たり)であるのが良く、その結果、アイソレータは、18本のたて糸ストランド/インチ×18本のよこ糸ストランド/インチのものである(例えば、よこ糸方向1インチごとに18本のたて糸及びたて糸方向に1インチごとに22本のよこ糸)。別の実施形態では、糸の番手は、30×18の4て糸×よこ糸(1インチ当たり)であるのが良く、その結果、アイソレータは、30本のたて糸ストランド/インチ×18本のよこ糸ストランド/インチのものである(例えば、よこ糸方向1インチごとに30本のたて糸及びたて糸方向1インチごとに22本のよこ糸)。他の糸の番手の形態が種々の用途について想定される。また、たて糸ストランド/インチとよこ糸ストランド/インチの比は、約2:1〜約1:2、代表的には約1.7:1〜約1:1.7のよこ糸方向1インチごとのたて糸ストランドとたて糸方向1インチごとのよこ糸ストランドであるのが良い。
【0034】
本明細書において説明している互いに異なる実施形態等に関し、アイソレータの全て又は一部分は例えばシーラ等で被覆されるのが良いことが想定される。
【0035】
マトリックス材料‐シーラント材料
【0036】
インサートは、第1の部材と第2の部材との間にスペーサ層を維持すると共にインサート及び第1の部材と第2の部材の連結領域を封止するようになったシーラント材料から成るマトリックス材料を更に含む。マトリックス材料は、第1の部材と第2の部材の接合中に変位する(例えば、弾性的に、塑性的に又はこれら両方として)よう構成されているのが良い。マトリックス材料は、使用中又は第1及び/又は第2の部材への被着の際にアイソレータに設けられる。好ましくは、マトリックス材料は、取付けを向上させると共に製造費を減少させるようアイソレータに取り付けられ又は違ったやり方で接合される。
【0037】
一形態では、マトリックス材料は、アイソレータを実質的に又は完全に包み込む。マトリックス材料は、本明細書において説明するありふれた技術を用いてアイソレータに塗布又は被着されるのが良い。しかしながら、好ましい一形態では、アイソレータは、マトリックス材料により浸漬被覆され又は違ったやり方で浸漬され、その結果、アイソレータをマトリックス材料中に埋め込むことができるようにするのが良い。
【0038】
マトリックス材料は、本明細書において説明する材料コンポーネントのうちの任意の一方で形成可能である。この材料としては、シーラント材料、騒音・振動・ハーシュネスを減少させる材料、構造用材料等が挙げられる。しかしながら、好ましい形態では、この材料は、第1の部材と第2の部材の相互直接的接触を阻止するよう第1の部材と第2の部材との間に実質的に連続したスペーサ層を形成する(そして、一般的に維持する)よう構成される。また、理解されるべきこととして、水分(例えば、任意種類の腐食性流体、水等を含む)がマトリックス材料と第1又は第2の部材との間に入り込むのを阻止するようシールを形成するのが良い。
【0039】
マトリックス材料は、非活性化可能材料、活性化可能材料又はこれら両方の組み合わせから成っていて良い。例えば、マトリックス材料は、コンポーネントを封止するために用いられ又は封止することができ、エネルギーの印加時に物理的又は化学的変化を殆ど起こさないか又は全く起こさない非活性化可能材料、例えば、代表的にはガスケット等から成るのが良い。変形例として、マトリックス材料は、本明細書において説明するように、エネルギーの印加時に物理的及び/又は化学的変化を起こす活性化可能材料から成っていても良い。更に、マトリックス材料の一部だけが活性化可能であって良いことが更に想定される。
【0040】
好ましい一形態では、マトリックス材料は、全体として連続したスペーサ層を維持すると共に封止を行う活性化可能材料から成り又はこれを含む。より好ましくは、マトリックス材料は、エネルギー(例えば、熱等)の印加時に膨張するよう構成された熱活性化可能材料から成る。別の好ましい形態では、マトリックス材料は、非膨張性材料及び/又は非活性化可能材料から成り、マトリックス材料は、第1及び第2の部材の接触領域の周りを形成し、これら相互間の開放空間を満たす。以下において、マトリックス材料に関する追加の適当な材料及び二次成形技術について説明する。
【0041】
膨張性材料を自動的であっても良く半自動的であっても良く或いは手動であっても良い成形又は造形技術の利用によりキャリアに被着させることができる。このような技術としては、吹き込み成形、回転成形、射出成形、圧縮成形又は注型等が挙げられる。非常に好ましい一形態では、膨張性材料は、押出し(例えば、同時押出し)法によりキャリアに被着される。
【0042】
マトリックス材料の厚さは、多くの要因、例えばマトリックス材料が活性化可能であるか膨張可能であるか及びマトリックス材料がどの程度活性化可能であり又は膨張可能であるかに応じて様々であって良い。厚さは、満たされるべき第1の材料と第2の材料との間の開放空間又はアイソレータの周りの開放空間の容積によっても決まる場合がある。さらに、厚さは、マトリックス材料の柔軟性に基づく場合がある。適当な厚さの例としては、約0.05mm〜約10mm又は約0.1mm〜5mm等が挙げられる。
【0043】
膨張性材料は、数種類の互いに異なる材料で形成可能である。一般的に言って、部材は、例えば米国特許第4,922,596号明細書、同第4,978,562号明細書、同第5,124,186号明細書、同第5,884,960号明細書及び同第7,199,165号明細書に開示されている膨張性材料を形成してこれを被着させる技術及び方法を利用するのが良く、これら米国特許を参照により引用し、全ての目的に関しこれらの記載内容を本明細書の一部とする。代表的には、補強用に用いられる場合、膨張性材料は、発泡性を備えた高い圧縮強度及び高い剛性の熱活性化補強材料(例えば、フォーム)を形成する。例えば、この材料の圧縮強度モジュラスは、好ましくは、約100MPa以上、より好ましくは約800MPa以上、更により好ましくは約1500MPa以上である。
【0044】
この材料は、一般に、触ってみて乾いていても良く又は粘着性であっても良く、このような材料を任意形態の所望パターン、任意の配置状態又は任意の厚さで、しかしながら、好ましくは実質的に一様な厚さの状態でアイソレータ等上に配置可能である。例示の発泡性材料は、ミシガン州ロメオ所在のエル・アンド・エル・プロダクツ・インコーポレイテッド(L&L Products, Inc.)を介して入手できるL‐5510及びL‐5520である。
【0045】
他の適当な粘着性又は不粘着性材料の例としては、ミシガン州ロメオ所在のエル・アンド・エル・プロダクツ・インコーポレイテッドを介して入手できるL‐2663、L‐2610、L‐2609、L‐2701又は他の類似の材料が挙げられる。
【0046】
他の熱活性化材料が膨張性材料用に可能であるが、好ましい熱活性化材料は、発泡性ポリマー又はプラスチック、好ましくは発泡性を示すポリマー又はプラスチックである。特に好ましい材料は、エポキシを主成分とする構造用フォームである。例えば、構造用フォームは、アルファ‐オレフィンを備えるのが良いエチレンコポリマー又はターポリマーを含むエポキシ系材料であるのが良い(これには限定されない)。コポリマー又はターポリマーとして、ポリマーは、類似の分子を結合することができる2種類又は3種類の異なるモノマー、即ち、高い化学反応性を備えた小分子で構成される。
【0047】
当該技術分野において多数のエポキシ系構造用強化又は封止フォームが知られており、このようなフォームは又、構造用フォームを作るために使用できる。代表的な構造用フォームとしては、適当な成分(代表的には発泡剤及び硬化剤)と化合した場合、熱が加えられ又は特定の周囲条件が発生したときに信頼性があり且つ予測可能な仕方で膨張(発泡)すると共に硬化するポリマー基材、例えばエポキシ樹脂又はエチレン系ポリマーが挙げられる。熱活性化材料又は熱硬化材料に関する化学的見地から、構造用フォームは、通常、硬化前に流動性熱可塑性材料として当初処理される。このような材料は、代表的には、硬化時に架橋し、それにより材料は、それ以上流動することができなくなる。
【0048】
好ましい構造用フォーム処方の一例は、ミシガン州ロメオ所在のエル・アンド・エル・プロダクツ社から製品番号L‐5206、L‐5207、L‐5208、L‐5209、L‐8100、L‐8101、L‐8103及びL‐8503で市販されているエポキシ系材料である。先行技術の材料と比べた場合の好ましい構造用フォーム材料の一利点は、このような好ましい材料を数種類の仕方で処理できるということにある。好ましい材料を射出成形、押出し圧縮成形、キャリア上への複合成形により又は小型アプリケータを用いて処理できる。これにより、大抵の先行技術の材料の性能を凌ぐ部品設計例の形成及び創作が可能である。好ましい一実施形態では、構造用フォーム(未硬化状態にある)は一般に、触ってみて乾いており又は比較的粘着性がなく、従って、このような構造用フォームを当該技術分野において周知である締結手段によってキャリア部材に容易に取り付けることができる。
【0049】
膨張性材料を作るための好ましい材料を開示したが、膨張性材料を他の材料で形成することができる。ただし、選択した材料が周囲条件(例えば、水分、圧力、時間等)によって熱活性化され又は違ったやり方で活性化され、そして選択された用途に特有の条件下で予測可能に且つ信頼性のある仕方で硬化することを条件とする。このような材料の1つは、米国特許第6,131,897号明細書に開示されたエポキシ系樹脂であり、この米国特許を参照により引用し、その教示内容を本明細書の一部とする。また、米国特許第5,766,719号明細書、同第5,755,486号明細書、同第5,575,526号明細書及び同第5,932,680号明細書を参照されたい。なお、これら米国特許も又参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。一般に、膨張性材料の所望の特性は、剛性が比較的高いこと、強度が比較的高いこと、ガラス転移温度が比較的高い(代表的には70℃を超える)こと及び接着耐久性があることが挙げられる。このように、このような材料は、一般に、自動車製造業者によって採用される材料系の邪魔になることはない。例示の材料としては、製品番号L‐5207、L‐5208、L‐8100、L‐8101、L‐8103及びL‐8105で販売されている材料が挙げられ、これは材料は、ミシガン州ロメオ所在のエル・アンド・エル・プロダクツ社から商業的に入手できる。
【0050】
代表的には、補強のために用いられる場合、膨張性材料は、その元の未膨張(未発泡)体積の110%〜500%、より代表的には130%〜300%、更により代表的には150%〜250%の体積まで膨張(発泡)するよう構成されている。また、本発明のシステムが封止又はバッフリング(反らせ又は遮り)のために用いられる場合、膨張性材料は、音を吸収し又は減衰させ、遮断し、キャビティ等を通る材料の通過を阻止するよう設計されるのが良いことが想定される。したがって、膨張性材料は、その元の未膨張(未発泡)体積の少なくとも200%、少なくとも400%、少なくとも800%、少なくとも1600%又はそれどころか少なくとも3000%の体積まで膨張(発泡)するよう構成されているのが良い。このような膨張性材料の例は、米国特許第7,199,165号明細書に記載されており、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0051】
膨張性材料を熱活性化させることができるが、膨張性材料は、これとは異なり他の刺激によって追加的に又は代替的に活性化させて硬化、膨張(発泡)、結合及びこれらの組み合わせ等を生じさせることができる。このような材料を別の刺激、例えば圧力、水分、化学薬品、紫外線、電子ビーム、誘導、電磁放射線又は他の周囲条件によって活性化させることができる(これには限定されない)。特定の例として、このような材料は、一方のコンポーネントを他方のコンポーネントに追加したときに膨張(発泡)、硬化、接着又はこれらの組み合わせを行う2成分接着材料であるのが良い。材料の例としては、エポキシ/アミン材料やエポキシ/酸材料が挙げられる。
【0052】
膨張性材料、例えば熱の作用で膨張する材料が熱活性化される用途では、構造用フォームを構成する材料の選択及び処方と関連した重要な検討事項は、材料の反応又は膨張(発泡)及び場合によっては硬化が起こる温度である。例えば、大抵の用途では、材料は、生産ライン環境において室温で又は周囲温度で反応性であることは望ましくない。より代表的には、構造用フォームが自動車用コンポーネントと一緒に、例えば塗料硬化ステップの実施中に高い温度で又は高い印加エネルギーレベルで処理されているとき、例えば組み立て工場で遭遇する高い処理温度で反応性になる。自動車組立て作業で遭遇する温度は、約150℃から200℃まで(約300°Fから400°Fまで)の範囲にある場合があるが、自動車整備工場用途は、一般に、約90℃(約200°F)又はこれよりも僅かに高い温度状態にある。同様に、他の輸送機器(例えば、自転車、モーターサイクル、オールテレーンビークル等)の製造中、塗料硬化プロセス(例えば粉末塗装用途)等の際にも高い温度が用いられる場合がある。一形態では、材料は、約120℃以上、又は約150℃以上、或いはそれどころか約160℃以上の温度で反応性になる。必要ならば、発泡剤用活性剤を配合物中に混ぜ込んで上述の範囲から外れた種々の温度で膨張(発泡)を生じさせても良い。
【0053】
特定の例として、材料は、粉末塗装硬化作業で硬化させても良いことが想定される。このような作業にあたり、材料を約10分間〜60分間の暴露時間で約120℃〜230℃の温度範囲にさらす。また、材料を時効硬化作業で硬化させても良いことが想定される。この作業では、材料を約45分間〜8時間の暴露時間で約150℃〜230℃の温度範囲にさらす。
【0054】
一般に、適当な発泡性フォームは、約0パーセントから1000パーセントを超える範囲の発泡率を有する。発泡性材料の発泡レベルを、1500パーセント以上という高い割合まで増大させることができる。典型的には、強度及び剛性は、低い発泡率又は膨張率の製品から得られる。
【0055】
膨張性又は発泡性材料について考えられる他の幾つかの材料としては、ポリオレフィン材料、少なくとも1つのモノマータイプを備えたコポリマー及びターポリマー、アルファ‐オレフィン、フェノール/ホルムアルデヒド材料、フェノキシ材料及びポリウレタンが挙げられるが、これらには限定されない。また、米国特許第5,266,133号明細書、同第5,766,719号明細書、同第5,755,486号明細書、同第5,575,526号明細書、同第5,932,680号明細書及び国際公開第00/27920号パンフレット(PCT/US99/24795)を参照されたい。なお、これら特許文献を全て参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。一般に、結果として得られる材料の所望の特性としては、ガラス転移温度が比較的低いこと、接着耐久性が良好であることが挙げられる。このように、材料は、一般に、自動車又は他の車両(例えば、モーターサイクル、自転車、オールテレーンビークル等)製造業者により採用される物質系を邪魔することがない。さらに、このような材料は、典型的には車両の製造の際に見受けられる処理条件、例えばe‐コートプライミング、クリーニングプロセス、脱脂プロセス及び他の被覆プロセス並びに最終の車両組み立ての際に遭遇する塗装作業に耐える。
【0056】
別の実施形態では、膨張性材料は、封入され又は部分的に封入された形態で提供され、この形態は、膨張性発泡性材料を接着シェル内に封入し又は部分的に封入したペレットから成るのが良い。このような一システムの一例が米国特許第6,422,575号明細書に開示されており、この米国特許を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0057】
加うるに、上述したように、例えばシート(平坦な又は異形の表面を有する)を押し出しし、次に選択した構造体、キャリア部材等に従って所定の形態に従ってダイカットし、そしてこれを選択した構造体、キャリア部材等に被着させることによって作られた予備成形パターンもまた使用できる。
【0058】
当業者であれば理解されるように、このシステムは、例えば米国特許第6,482,486号明細書及び同第6,467,834号明細書に開示されている従来型遮音バッフル又は車両構造用補強システムと組み合わせて又はそのコンポーネントとして使用でき、これら米国特許を参照により引用し、これらの開示内容を本明細書の一部とする。
【0059】
膨張性材料の構成材料を種々の運搬システムにより運搬してこれを組み立て部材に接触させるのが良いことが想定され、このような運搬システムとしては、機械式スナップ嵌め組立体、当該技術分野において一般的に知られている押出し技術並びに共通所有者の米国特許第5,358,397号明細書の教示による小型アプリケータ技術が挙げられるが、これらには限定されず、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。この非限定的な実施形態では、材料又は媒体は、減衰特性を備えた活性ポリマー又は他の熱活性化ポリマー(例えば、発泡性ホットメルト接着剤を主成分とするポリマー又は発泡性構造用フォーム、その例としては、オレフィンポリマー、ビニルポリマー、熱可塑性ゴム含有ポリマー、エポキシ、ウレタン等が挙げられる)で少なくとも部分的に被覆され、膨張性又は発泡性材料は、選択した表面又は基材上にスナップ嵌めされ、押し出しにより選択した基材又は部材に沿って配置するためにビード又はペレット内に収容され、バッフル技術、当該技術分野において周知である教示によるダイカスト用途、バッフル及びブラダーシステムの使用を含む場合のある圧送可能な応用システム及び吹きつけ可能な応用装置の使用によって基材に沿って配置されるのが良い。
【0060】
別の好ましい形態では、上述したように、マトリックス材料は、非活性化可能及び/又は非膨張性であっても良い。この形態では、力を加えると、そしてオプションとして活性化を行うと、マトリックス材料は、インサート並びに第1の部材と第2の部材の接触領域を包囲するよう塑性変形し、それによりこれらの封止を行う。したがって、一形態では、マトリックス材料は、ガスケットから成るのが良い。例えば、マトリックス材料は、接合コンポーネントを封止するために用いられる任意適当なガスケットから成るのが良い。
【0061】
一態様では、インサートは、ウェルドスルー(weld through)製品であるよう構成されるのが良い。ウェルドスルー製品として組み込まれた場合、マトリックス材料は、ウェルドスルー製品の周りに追加のシーラントを提供するよう構成されるのが良い。このようなウェルドスルー材料の例は、米国特許出願公開第2004/0076831号明細書及び同第2005/0260399号明細書に開示されており、これら米国特許出願公開を参照により引用し、これらの開示内容を本明細書の一部とする。
【0062】
インサート
【0063】
インサートの寸法形状は、用途によって様々であって良い。インサートは、一般に、形状が正方形又は長方形であるのが良いことが想定される。しかしながら、他の形状が想定され、このような形状としては、円形、楕円形、七角形、六角形等が挙げられ、更に規則的又は不規則な形状が挙げられる。
【0064】
インサートの厚さは又、多くの要因、例えばマトリックス材料が活性化可能であるか膨張可能であるか及びマトリックス材料がどの程度活性化可能であり又は膨張可能であるかに応じて様々であって良い。厚さは、満たされるべき第1の材料と第2の材料との間の開放空間の容積及び/又はシーラント材料中のアイソレータの厚さによっても決まる場合がある。さらに、厚さは、マトリックス材料の柔軟性に基づく場合がある。適当な厚さの例としては、10mm未満、5mm未満、2mm未満、0.3mm以下が挙げられる。したがって、インサートは、0.1mm〜10mm又は2mm〜5mm等の連続した厚さを有することが想定される。
【0065】
インサート10は、全体として平面状の表面又は全体として非平面状の表面(例えば、漸変表面、例えば弧状表面、尖った表面、リブ付き表面、窪んだ表面、縁どり加工表面等又はこれらの任意の組み合わせ)に被着されるのが良い。インサート10を非平面状表面に被着させると、非平面状表面の1つ又は2つ以上の部分(例えば、連結領域)は、インサート10との接触状態から離脱してインサートと非平面状表面のこれら部分相互間に隙間を作ることができるようになることが想定される。更に、インサート10を非平面状表面に被着させると(例えば、インサートを非平面状表面回りに曲げると)、インサート10の1つ又は2つ以上の部分は、互いに「束」になる場合(例えば、インサートのそれ自体への折り返し等)が想定される。インサートの「バンチング(bunching:束になること)」も又、第2の部材を第1の部材(インサート10が取り付けられている)に接合したときにインサート10と第2の部材との間に隙間を形成することができる。また、理解されるべきこととして、マトリックス材料の活性化により、マトリックス材料は、湿潤状態になって第1の部材と第2の部材との間に形成された隙間を満たし又は「バンチング」を減少させ又はなくし或いはこれらの両方を行うことができる。
【0066】
インサート10は、平面状表面と非平面状表面の両方に、形成される隙間が制限された状態で又は全くない状態で若しくはバンチングが生じる状態で被着させることができる。しかしながら、理解されるように、インサートを非平面状表面又は結果として隙間及び/又はバンチングを生じさせる表面に被着させても良い。したがって、本発明のインサート10は、インサートの形状が全体として非平面状表面に一致させるようインサートの変形を助ける少なくとも1つの孔25(例えば、開口部、スリット等)を更に有するのが良い。孔25は、インサートの形成(例えば、織成、成形、押出し等)中に形成されるのが良く又は別個のステップで、例えば予備成形インサートへのダイカット等によって設けられるのが良い。孔25を備えたインサート10を全体として非平面状又は漸変表面に被着させて第1及び第2の部材のうちの一方又は両方の表面に沿う種々の輪郭形状の変化に順応させるのが良い。孔25は、設けられた場合、インサートを非平面状表面に沿って延長させるのを助けることができ、その結果、第1の部材と第2の部材との間の隙間又は他の不整合部(例えば、インサートのバンチング等)を減少させ又はなくすことができる。
【0067】
インサート10に孔25を設けることにより、インサート10は、一層成形可能な状態になり(例えば、柔軟性、曲げ可能等)或いは非平面状表面の連結領域と一層相補する(例えば、寸法及び/又は形状の面で)状態になる場合があり、インサートの相当な部分が非平面状表面に沿って連結領域と直接的な接触関係をなす一方で、この連結領域との間に形成される隙間等を減少させ又はなくすことが考えられる。さらに、インサート10を曲げる際、インサートの「バンチング」が輪郭形状の変化に順応すると共にインサートと非平面状表面との間の隙間を減少させ又はなくすよう1つ又は2つ以上の領域で生じる場合のあることが理解されよう。図10A〜図11Bに示されているように、孔25は、インサートの一部分に沿って、例えば、縁部26に沿って(図10A及び図10B)、中央部分27内で(図11A及び図11B)又はこれら両方のところに位置決めされるのが良い。孔25は、インサートの幾つかの部分に沿って長手方向に延びても良く又はインサート全体に沿って延びても良い。また、孔25が、インサート10の一部分を貫通して横方向に延びても良いことが理解されよう。しかしながら、好ましい実施形態では、孔25は、貫通穴を形成するようインサート10を横方向に完全に貫通して延びる。
【0068】
孔25を備えたインサート10を非平面状表面に被着させると(例えば、インサートが非平面状表面周りに曲がると)、孔25の縁28(例えば、周縁)は、インサート10が非平面状表面の輪郭形状に合致すると(例えば、曲がり又は一致すると)、少なくとも部分的に、実質的に又はそれどころか完全に結合され、その結果、孔25を実質的に減少させ又はなくすことができるようになる(図10B及び図11B)。例えば、孔25の縁28を互いに全体として接触させ又は近接させることができ、その結果、孔25を実質的に減少させ又はなくすことができる(即ち、実質的な量は、マトリックス材料の活性化時に、開口部の残りの部分が完全に塞がれた状態になるのに十分な量である)。「実質的な」減少量は、インサート(例えば、マトリックス材料)の活性化時、孔25の残りの部分を完全に塞ぐことができる(例えば、満たすことができる)のに十分な量である。理解されるように、インサートの活性化時、マトリックス材料は湿潤すると共に/或いは膨張して孔25又はインサートと第1及び第2の部材との間の残りの隙間を塞ぎ、インサートが第1及び第2の部材を互いに直接的な接触状態にする変位に抵抗するようになると共に/或いは第1の部材と第2の部材との間(例えば、異種材料相互間)の連結領域を周囲環境から封止する。
【0069】
非限定的な一例では、インサートと非平面状表面との間の隙間及び/又は「バンチング」は、全体として剛性のインサート(例えば、ガラス繊維等で形成されているアイソレータ)を有する用途で生じる場合がある。従って、理解されるように、孔25は、もし設けられている場合、インサートに増大した可撓性を与えることができ(例えば、インサートは、柔軟性が高くなり)、非平面状表面に順応すると共にこれに適合し、それにより全体として同一の非平面状表面に被着される孔25なしのインサートと比較して隙間を、「バンチング」又はこれら両方を減少させると共に/或いはなくす。
【0070】
インサートを第1の材料、例えば剥離紙に被着させて剥離紙をマトリックス材料及び/又はアイソレータに接触させることにより剥離紙をインサート上に形成するのが良い。しかる後、第1の材料をインサートから取り外すのが良く、それにより後には、アイソレータを備えたマトリックス材料が残される。インサートを第2の材料、例えば取扱い層を形成するフィルムを備えた合成材料に被着させるのが良い。取扱い層は、実質的に不粘着性又は不粘着性の表面を提供するためにインサート(例えば、マトリックス材料)の外面を少なくとも部分的に覆う。このような剥離フィルム及び取扱いフィルム材料の例が共通所有者の同時係属中の米国特許出願公開第2008/0254214号明細書に開示されており、この米国特許出願公開を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0071】
理解されるべきこととして、マトリックス材料は、アイソレータと接触状態にある間、その未硬化状態において第1の粘着性を有し、この第1の粘着性は、第1の部材か第2の部材かのいずれかの表面への被着後に変位に抵抗するほど十分高いのが良い。インサートは、第1の粘着性よりも低いのが良い第2の粘着性を備えた外面を更に有するのが良い。例えば、インサートは、第1の粘着性を備えたマトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルム及び第2の粘着性を備えた外面と接触状態にある実質的に不粘着性の取扱いフィルムを有するのが良い。
【0072】
別の態様では、インサートは、疎水性材料で作られても良く又は疎水性になるよう積層されても良い。
【0073】
さらに別の態様では、インサートは、種々の二次成形法を用いて成形可能である。好ましい1つの二次成形法では、マトリックス材料とアイソレータは、同時押出しによって形成されるのが良い。しかしながら、他の技術を利用することができる。
【0074】
使用方法
【0075】
図3〜図7B及び図10A〜図11Bを参照すると、本発明のインサートの使用の2つの例がそれぞれ示されている。本発明は、2つ又は3つ以上の部材を接合してこれら相互間の距離を維持してこれら部材相互間の直接的な接触を阻止する締結(例えば、リベット止め等)システムに特に適している。インサートを、本明細書において説明したように、第1の部材12及び第2の部材14の取付けに先立って、第1の部材12と第2の部材14との間に配置する。次に、第1及び第2の部材を結合し、締結装置等の使用によって力“F”を加える。
【0076】
理解されるべきこととして、第1の部材と第2の部材を結合する際、第2の部材を第1の部材に沿って設けられているインサートに被着させる。第2の部材がインサートに接触すると、アイソレータに形成されている1つ又は2つ以上の開口部を変位させるのが良く、その結果、開口部のサイズを大きくすることができる。好ましい実施形態では、インサートは、一貫した開口部形態(例えば、本明細書において説明したようにサイズがほぼ同じ開口部)を備えたアイソレータを有し、その結果、可変開口部形態(例えば、サイズが互いに異なる開口部)を備えたアイソレータを有するインサートと比較して、開口部サイズの甚だしい変位(例えば、結果として第1の部材と第2の部材を互いに直接的に接触させる場合のある開口部の拡張)に抵抗することができる。
【0077】
2つの例において示されているように、開口部(例えば、隙間等)は、アイソレータと第1及び第2の部材12,14との間に形成されるのが良い。これら開口部は、マトリックス材料の活性化前、マトリックス材料の活性化後又は活性化前後においてインサートにより部分的に又は完全に満たされるのが良い。例えば、第1の部材と第2の部材の取付け中、第2の部材をインサートを備えた第1の部材に接触させること、第1の部材と第2の部材の取付け(例えば、締結)中におけるトルクの発生又はこれら両方により、アイソレータを覆って配置されたマトリックス材料は、活性化に先立って変位して開放空間等を部分的に又は完全に満たすことができる。開放空間の活性化前充填に代えて又はこれに加えて、マトリックス材料の活性化中、開放空間を膨張中のマトリックス材料で追加的に満たすのが良い。
【0078】
図5を参照して説明すると、力を増大させると、マトリックス材料(例えば、封止材料)が変位して開口部中に入り、孔25中に入ると共に/或いはアイソレータの端部の外側に至る。この変位は、第1の部材及び第2の部材がアイソレータに接触するまで続く。この接触時点で、アイソレータは、第1の部材と第2の部材との間に実質的に連続した隙間を作ると共に維持して第1の部材と第2の部材が実質的に直接的に接触しないようにするスペーサとして働く。上述したように、アイソレータは、実質的な変形なしで加えられた力に対する反力を提供するよう強度が適当であるのが良い。例えば、一実施形態では、インサートは、これを撓曲させるのに十分な力を受けると、その元の状態に弾性的に戻ることができるのが良い。しかしながら、別の実施形態では、インサートは、これを撓曲させるのに十分な力を受けると、永久的に変形しても良い。理解されるべきこととして、アイソレータ20は、第1の部材か第2の部材かのいずれかの表面(例えば、1つ又は2つ以上の非平面状表面)に向かって変形する(例えば、曲がる)よう構成されているのが良く、その結果、インサートの輪郭(例えば、形状)は、第1及び第2の部材の表面に実質的に合致する(例えば、一致する)ようになる。
【0079】
図6に示されているように、第1の部材及び第2の部材が取り付けられた状態で、マトリックス材料を活性化させるのが良く、それにより、好ましい一形態では、マトリックス材料は、膨張してアイソレータによって形成されている開口部又は孔25の縁相互間に形成されている開放空間を満たす。また、理解されるべきこととして、アイソレータの外部に位置するマトリックス材料も又膨張してアイソレータ全体周りにシールを形成する。この時点で、第1の部材と第2の部材の接触領域及びインサートは、周囲環境から完全に封止される。
【0080】
開口部は、第1及び第2の部材への締結具(例えば、リベット)の取付け中にインサートを貫通して形成されることが想定される。インサート中への締結具の侵入時、マトリックス材料は、締結具はこれを貫通して延びる周囲領域を満たしてシールを形成する。しかしながら、図7Aに示されている特定の非限定的な一例では、接合部中へのリベットの締結中、開放空間70は、締結具72、例えばリベット(例えば、ヘンロブ(Henrob)社製の自己穿通性リベット)と第1の部材、第2の部材及びインサートのうちの1つ又は2つ以上との間に生じる場合がある。図7Aに示されているように、リベットは、第1の部材(例えば、鋼)及び連結領域(インサートを含む)を貫通して第2の部材(例えば、アルミニウム)まで延びてリベットの端部が第2の部材を穿通するが、これを完全には貫通しないようにする。理解されるように、活性化時、マトリックス材料(例えば、膨張性材料)は、膨張して、リベットはこれを貫通して延びることによって形成された開口部及び/又は開放空間を満たし、それにより水分が図7Bに示されているようにこれらの中に入るのを実質的に制限し又は阻止する。例えば、全体として中空の締結具がインサート(例えば、連結領域)を貫通すると、マトリックス材料の一部分が締結具の中空キャビティ内で変位する場合があり、その結果、活性化時、マトリックス材料が膨張して締結具の内部及び外部(例えば、周囲)の開放空間を封止して水分がこの中に入るのを制限し又は阻止すると考えられる。
【0081】
特定の一例
【0082】
図8A〜図9Bを参照すると、本発明の構造用取付けインサートの非限定的な一例及びその使用法が示されている。この例では、実施形態のうちの任意の一方(例えば、アイソレータ等)を使用できることが理解されるべきである。この形態では、ショックアブソーバ組立体に接近すると共に自動車の内側エプロンコンポーネント及び1つ又は2つ以上のフレーム部材(例えば、内側フロントエプロン、支持部材、補強部材)に取付け可能な衝撃タワーハウジング30が設けられている。衝撃タワーは、第1のハウジング部分32から延びる外壁を有する。外壁は、第1のハウジング部分に対して全体として横方向に延び、それにより外壁と第1の内側部分との間にはキャビティが形成されている。第1のハウジング部分32は、第1のハウジング部分を貫通して外壁により形成されている内部キャビティまで延びる開口部66を有している。開口部66は、キャビティ内に配置されたショックアブソーバ(図示せず)の端部に接近可能に構成されている。外壁は、それぞれ全体として反対側に位置する第1の壁部分34と第2の壁部分36及びこれら相互間の側壁部分38を有している。ハウジングは、連結領域に沿って第1の自動車フレーム部材に取付け可能な第1の壁部分の第1の取付け部分40を更に有している。第1の取付け部分40は、本体部分42を有し、この本体部分からアーム44が延びており、本体部分及びアームは、1つ又は2つ以上のインサート48を受け入れる取付け面46を有している。
【0083】
ハウジングは、連結領域に沿って第2の自動車フレーム部材に取付け可能な第1の壁部分の第2の取付け部分50を更に有している。第2の取付け部分は、第1の取付け面52及び第2の取付け面54を有し、相互連結非平面状取付け面56が1つ又は2つ以上のインサート58を受け入れるために全体として取付け面52,54相互間に延びている。
【0084】
ハウジングは、第3の連結領域に沿って第3の自動車フレーム部材(例えば、内部エプロン部材)に取付け可能な第3の取付け部分60を更に有している。第3の取付け部分は、全体として第1の壁部分に沿って第1及び第2の取付け部分に対向した互いに反対側の側部でハウジングの第2の壁部分に沿って延びている。第3の取付け部分は、1つ又は2つ以上のインサート64を受け入れる取付け面62を有している。
【0085】
衝撃タワーハウジングは、本明細書において説明した構造用取付けインサート48,58,64を更に有している。図示のように、インサート48,58,64は、第1の自動車支持部材、第2の自動車支持部材及び内部エプロン部材のそれぞれの対応の連結領域に関して種々の形状のものである。インサート58には所定の場所に孔25が更に設けられており、第2の取付け連結領域への取付け時に、孔は、第2の取付け連結領域の第1の取付け面と第2の取付け面との間の非平面状表面に沿って位置決めされている。
【0086】
第1、第2及び第3の取付け連結領域は、それぞれの部材相互間のインサートとオーバーラップを形成するようそれぞれの部材に対して位置決めされている。オーバーラップは、リベット締結具を受け入れ、このリベット締結具は、オーバーラップの形成された開口部を貫通して接合部を更に固定している。
【0087】
実施例
【0088】
本発明のインサートと接触状態にある表面は、満足のゆく剪断強さを得ることができる。例えば、重ね剪断試験は、ほぼ同じ寸法(例えば、各々、幅約25mm×長さ120mm×厚さ0.8mm)の2つのEG‐60試験用基材を使用する。シーラント材料のストリップを第1の試験用基材の幅全体にわたりその端部の近くに被着させる。第2の試験用基材の端部を第1の試験用基材上のシーラント材料に接合して試験クーポンが同一軸線に沿って延びると共に第1及び第2の試験用基材の接合端部は、シーラント材料がこれら相互間に位置した状態で互いにオーバーラップしてオーバーラップ部分(例えば、約45mm×10mmの結合領域)を形成するようにする。オーバーラップ部分は、試験用基材ではなく、シーラント材料に破損部を生じさせるのに十分である。しかる後、試験用基材を硬化させる。
【0089】
各試験用基材を実験室用試験フレーム、例えばインストロン試験機を用いて約20mm/分の速度で引張り状態にし(例えば、全体として同一軸線に沿って互いに逆方向に引っ張って)ついには、荷重が自然に減少するようにする。
【0090】
インサート(アイソレータを備えたマトリックス材料を含む)によって接合されているEG‐60基材を含む試験用サンプルを調製する。インサートを被着させると共にインサートの表面を基材に接触させて接合部を形成した後、試験用サンプルを硬化させ、剪断強さを測定する。試験サンプルは、約0.25mmのボンドラインのところで約14.7MPaから約16.3MPaまで(例えば、ガラススクリムアイソレータ材料を用いて約15.6MPa)の剪断強さ及び約13.4MPaから約15.0MPaまで(例えば、ガラス繊維メッシュアイソレータ材料を用いて約14.1MPa)の剪断強さを達成した。さらに、試験サンプルは、約0.65mmのボンドラインのところで約11.6MPaから約13.8MPaまで(例えば、サンドペーパーメッシュアイソレータ、例えばノートンデュライト(Norton Durite )Q421、タイプp220を用いて約12.6MPa)の剪断強さ及び約10.6MPaから約13.8MPaまで(例えば、ポリマーメッシュアイソレータ材料、例えばデクスメット(Dexmet)を用いて約11.9MPa)の剪断強さを達成した。さらに又、試験サンプルは、約0.75mmのボンドラインのところで約10.6MPaから約13.8MPaまで(例えば、金属メッシュアイソレータ材料を用いて約13.4MPa)の剪断強さを達成した。本明細書において説明したように、ボンドラインは、第1の部材及び第2の部材の内面相互間の距離を意味し、活性化された(例えば、硬化された)シーラント材料がこれら相互間に位置している。
理解されるべきこととして、本発明の補強システムは、約0.1mm〜2mm又は約0.25mm〜約0.75mmのボンドラインを有するのが良い。
【0091】
また、理解されるべきこととして、本発明の補強システムは、少なくとも8.0MPa、好ましくは少なくとも約12.0MPa、より好ましくは少なくとも約14.0MPaの剪断強さをもたらすよう利用されるのが良い。
【0092】
他の用途
【0093】
本発明の補強システムは、構造的補強の種々の態様において、特に、モーターサイクル、自転車、自動車、船舶、汽車等に関する輸送業界において利用できる。特に有意な一用途では、本発明の補強システムは、互いに異なる金属コンポーネントが通常、水分に晒される用途に利用できる。これら形態では、本発明のインサート(例えば、非金属製インサート)は、このようなコンポーネントの堅固な取付けを可能にする一方で、異種材料の直接的接触を阻止する連続スペーサ層を提供し、それにより異種材料を腐食から保護する。本発明がいうような追加のコンポーネントとしては、ヒンジ組立体、ドアラッチ組立体、フロント及びリヤバンパシステム、引き上げゲート、底部補強材等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0094】
本発明の補強システムは、車体修理工場、汎用組み立て工場等で利用できることが解る。補強システムは、本来の製造中、2つ又は3つ以上のコンポーネントのための改良された取付け状態を提供するだけでなく、例えば事故の際に健全性(例えば、強度等)が損なわれたコンポーネントの向上した取付けを提供する。
【0095】
上述した本発明は、多数の利点をもたらすことができる。一例として、人、機械又はこれらの組み合わせは、2つ又は3つ以上の互いに異なる表面又は部材を互いに締結する(例えば、リベット止めし、溶接し、ボルト止めし、ねじ止めし又は違ったやり方で取り付ける)ことができ、これら表面又は部材の直接的接触、締結具の腐食及び/又は弛みを制限し又は阻止することができる(例えば、トルクフォールオフ)。2つの異なる材料の直接的接触の制限又は阻止は、好ましい一実施形態では、表面又は部材を互いに引き又は押しつけ若しくは締め付けることによって達成できる(例えば、部材又は表面とアイソレータとの接触(例えば、金属と非金属の接触)が達成されるまで締結具によって)。表面又は部材は、時間の経過及び/又は温度変化により生じる場合があるクリープの望ましくないほど多くの量を示さないアイソレータに加わる圧縮力を生じさせるよう引き続き互いに引かれ又は押されるのが良い。このように、インサート、特にアイソレータは、異種材料相互間のスペーサ層を維持し、他方、マトリックス材料は、異種材料と接触可能にアイソレータの開口部を貫通して延び、それによりこれら相互間に形成される開放空間を封止する。この場合、本発明は、異種材料のうちの一方又は両方の腐食に起因して行われる補強システムの交換及び/又は補修を制限し又はなくすことができる。
【0096】
別段の指定がなければ、本明細書において説明した種々の構造体の寸法及び幾何学的形状は、本発明を限定するものではなく、他の寸法又は幾何学的形状が採用可能である。複数個の構造用コンポーネントを単一の一体型構造体によって提供することができる。変形例として、単一の一体型構造体を別々の複数個のコンポーネントに分割しても良い。加うるに、本発明の特徴を図示の実施形態のうちの1つだけと関連して説明したが、このような特徴を任意所与の用途に関し、他の実施形態の1つ又は2つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。また、上述のことから理解されるように、本明細書において説明した新規な構造の製作及びその作動は又、本発明の方法を構成する。
【0097】
本発明の好ましい実施形態を開示した。しかしながら、当業者であれば認識されるように、本発明の教示の範囲内で或る特定の改造が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲及び内容を定めるものとして読まれるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つ又は3つ以上の互いに接合されたコンポーネントを腐食、締結具又は構造的結合の弛み(例えば、トルクフォールオフ)又はこれら課題の任意の組み合わせから保護する方法及び装置に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2009年5月18日に出願された米国特許出願第12/467,478号の出願日に関する権益主張出願であり、この出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
長年にわたり、自動車業界においては燃料節約がますます強調されている。自動車の燃料消費量を減少させる幾つかの対策が存在し、一つの対策は、軽量の材料、例えばアルミニウムやマグネシウムを使用することである。これら材料は、自動車の重量を減少させることができるが、これら材料は、強度が低いために、現行の衝突安全規格をかろうじて満たすことができるに過ぎない。従って、スチール(内側部品)及びアルミニウム(外側部品)で作られた2種金属構造が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら材料には欠点がある。一例として、混合材料部品では、接合領域は、腐食環境に対する耐腐食性が貧弱であり又はないことが知られている。特に、温度変化への暴露中における材料の膨張/収縮特性は、これら材料の封止能力を制限する場合があると共に/或いは材料を劣化させる場合がある。別の例として、このような材料は、材料の相互取付け性能を制限する場合があり又は部材の相互取付けを促進する性能が制限されている。さらに、典型的な材料は、膨張性(又は発泡性)が殆どなく又はゼロであり、それにより、接合構造体相互間の開放空間を完全に満たすのに材料の追加の被着の必要があり、これは、時間がこのようなと共にコスト高となる場合がある。別の例として、材料は、締結具を用いると、変位する場合があり、それにより締結具の周りか接合構造体を穿孔しているときの締結具内かのいずれかに追加の開放空間が形成される。これら追加の開放空間は、部分的に開放状態のままであり、周囲環境(例えば、水分)の影響を受けやすい。
本発明は、シール、構造用接着材料、これら両方等として働き、材料が少なくとも上述の欠点又は他の欠点のうちの1つを解決するのを助けるインサートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、2種類の異なる材料を封止すると共に隔離する構造用取付けインサートを提供することによって先行技術の継ぎ手組立体を改良しようとするものである。第1の態様において、本発明は、接着、封止及び絶縁のためのインサートであって、融点又はガラス転移温度が約115℃以上の全体として非導電性のアイソレータと、アイソレータと接触状態にあり、未硬化状態で粘着性を呈するマトリックス材料とを有し、マトリックス材料は、インサートの取付け後に熱を受けることにより硬化され、粘着性は、表面への被着後の変位に抵抗するほど十分に高く、アイソレータは、2つの互いに異なる種類の材料相互間の接合部への取付け時に、2つの異種材料を結合して2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗することを特徴とするインサートを提供する。
【0006】
この態様は、次の特徴のうちの1つ又は任意の組み合わせによって更に特徴付け可能であり、即ち、アイソレータは、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長い繊維の網状構造を含むこと、アイソレータ中の繊維は、異種材料のうちの任意の一方のどの接触縁部とも全体として平行ではない状態に差し向けられた長手方向軸線を有すること、外面は、マトリックス材料を覆って位置する不粘着性取扱いフィルムの一部であること、マトリックス材料は、高い温度への暴露時に膨張可能であること、インサートは、異種材料のうちのいずれか一方の非平面状表面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備えた1つ又は2つ以上の孔を有し、インサートの形状は、非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより非平面状表面とインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、1つ又は2つ以上の孔が非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対するインサート又は両方のバンチング(bunching)を行うこと、マトリックス材料の活性化時に、マトリックス材料は、1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張すること、インサートは、インサートを撓曲させるのに十分な力を受けると、その元の状態に弾性的に戻ることができること、インサートは、インサートを撓曲させるのに十分な力を受けると、永久的に変形すること、インサートは、第1の粘着性を備えたマトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルムと、実質的には不粘着性である第2の粘着性を備えた外面と接触状態にある取扱いフィルムとを有することである。
【0007】
別の態様では、本発明は、接着、封止及び絶縁のためのインサートであって、全体として非導電性のアイソレータを有し、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長いストランドの網状構造によってアイソレータを貫通して複数個の開口部が形成され、細長いストランドは、ポリアミド、ポリエステル、ガラス繊維又はこれらの任意の組み合わせで形成され、インサートは、アイソレータを覆って埋め込まれていて、未硬化状態で第1の粘着性を呈するマトリックス材料を更に有し、マトリックス材料は、インサートの取付け後に熱への暴露によって硬化され、第1の粘着性は、これが表面への被着後の変位に抵抗するほど十分高く、インサートは、第1の粘着性よりも低い第2の粘着性を備えた外面を更に有し、アイソレータは、約0.1mm〜約0.8mmの範囲の厚さを有し、アイソレータは、互いに異なる種類の材料で作られた2つの対向した部材相互間の接合部への取付け時に、2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、マトリックス材料は、熱が加えられると、膨張して細長いストランドにより形成された複数個の開口部を満たすと共にアイソレータを封止してアイソレータと異種材料相互間の連結領域を結合することを特徴とするインサートを提供する。
【0008】
この態様は、次の特徴のうちの1つ又は任意の組み合わせによって更に特徴付け可能であり、即ち、インサートは、2つの対向した部材のうちのいずれか一方の非平面状表面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備えた1つ又は2つ以上の孔を有し、インサートの形状は、非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより非平面状表面とインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、1つ又は2つ以上の孔が非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対するインサート又は両方のバンチングを行うこと、マトリックス材料の活性化時に、マトリックス材料は、1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張すること、細長いストランドは、ネットワークを形成するようよこ糸ストランドに対して全体として横断方向に延びるたて糸ストランドを含み、1インチ(2.54cm)当たりのたて糸ストランド本数と1インチ当たりのよこ糸ストランド本数の比は、約2:1から約1:2までの範囲にあること、複数個の開口部は、アイソレータを貫通して設けられた同一形状であり且つ等間隔を置いて設けられた開口部であること、インサートは、第1の粘着性を備えたマトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルムと、実質的には不粘着性である第2の粘着性を備えた外面と接触状態にある取扱いフィルムとを有することである。
【0009】
別の態様では、本発明は、自動車の衝撃タワーハウジングとフレーム部材との間の取付け組立体であって、衝撃タワーハウジング組立体は、外壁を有し、外壁は、第1のハウジング部分から全体として横方向に延びて第1のハウジング部分との間にキャビティを形成し、第1のハウジング部分を貫通して延びていて、キャビティ内に配置されたショックアブソーバの一部分に接近するための開口部が設けられ、組立体は、連結領域のところで第1の自動車フレーム部材に取り付けられる第1の取付け部分を更に有し、第1の取付け部分は、第1の取付け部分を第1の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、組立体は、連結領域のところで第2の自動車フレーム部材に取り付けられる第2の取付け部分を更に有し、第2の取付け部分は、第2の取付け部分を第2の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、組立体は、構造用取付けインサートを更に有し、構造用取付けインサートは、連結領域の形状に一致するよう形作られた非導電性の構造用メッシュ材料を有し、非導電性構造用メッシュ材料を貫通して、複数個の同一形状であり且つ等間隔を置いて設けられた開口部が形成され、構造用取付けインサートは、非導電性構造用メッシュ材料の少なくとも一部分を覆うと共に非導電性構造用メッシュ材料を貫通して形成された複数個の開口部内に納められた熱活性化可能材料を更に有し、熱活性化可能材料は、柔軟性材料で形成され、構造用取付けインサートは、第1及び第2の構造用取付けインサートを含み、第1の構造用取付けインサートは、第1の構造用取付けインサートを貫通した1つ又は2つ以上の孔を更に有し、1つ又は2つ以上の孔は、第1の取付け部分の取付け面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備え、第1の構造用取付けインサートの形状は、第1の取付け面の非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより非平面状表面と第1の構造用取付けインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、1つ又は2つ以上の孔が非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対するインサート又は両方のバンチングを行い、組立体は、フレーム部材及びインサートを貫通して衝撃タワーハウジングまで延びる複数個の締結具を更に有し、第1及び第2の取付け部分の材料は、第1及び第2の自動車フレーム部材の材料とは種類が異なっており、非導電性構造用メッシュ材料は、第1及び第2の取付け部分を第1及び第2の自動車フレーム部材に取り付けた際、2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して構造用メッシュ材料を貫通して形成された複数個の開口部を満たし、構造用メッシュ材料並びに第1の取付け部分と第1の自動車フレーム部材の連結領域及び第2の取付け部分と第2の自動車フレーム部材の連結領域を周囲環境から封止すると共にこれらを結合し、熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して複数個の締結具が構造用取付けインサートを貫通して延びる周囲領域を満たし、それにより水分が周囲領域に入るのを実質的に制限し又は阻止することを特徴とする取付け組立体を提供する。
【0010】
この態様は、次の特徴のうちの1つ又は任意の組み合わせによって更に特徴付け可能であり、即ち、マトリックス材料の活性化時に、マトリックス材料は、1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張すること、アイソレータは、細長いストランドの網状構造を有し、ストランドは、側方変位をしないよう互いに対して拘束され、ストランドは異種材料のうちの任意の一方のどの接触縁部とも全体として平行ではない状態に差し向けられた長手方向軸線を有し、細長いストランドは、ポリアミド、ポリエステル、ガラス繊維又はこれらの任意の組み合わせから成ることである。
【0011】
別の態様では、本発明は、自動車の衝撃タワーハウジングとフレーム部材との間の取付け組立体であって、衝撃タワーハウジング組立体は、外壁を有し、外壁は、第1のハウジング部分から全体として横方向に延びて第1のハウジング部分との間にキャビティを形成し、第1のハウジング部分を貫通して延びていて、キャビティ内に配置されたショックアブソーバの一部分に接近するための開口部が設けられ、組立体は、連結領域のところで第1の自動車フレーム部材に取り付けられる第1の取付け部分を更に有し、第1の取付け部分は、第1の取付け部分を第1の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、組立体は、連結領域のところで第2の自動車フレーム部材に取り付けられる第2の取付け部分を更に有し、第2の取付け部分は、第2の取付け部分を第2の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、組立体は、熱活性化可能材料を有する構造用取付けインサートを更に有し、構造用取付けインサートは、第1及び第2の構造用取付けインサートを含み、第1の構造用取付けインサートは、第1の構造用取付けインサートを貫通した1つ又は2つ以上の孔を更に有し、1つ又は2つ以上の孔は、第1の取付け部分の取付け面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備え、第1の構造用取付けインサートの形状は、第1の取付け面の非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより非平面状表面と第1の構造用取付けインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、組立体は、フレーム部材及びインサートを貫通して衝撃タワーハウジングまで延びる複数個の締結具を有し、第1及び第2の取付け部分の材料は、第1及び第2の自動車フレーム部材の材料とは種類が異なっており、非導電性構造用メッシュ材料は、第1及び第2の取付け部分を第1及び第2の自動車フレーム部材に取り付けた際、2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して第1の取付け部分と第1の自動車フレーム部材の連結領域及び第2の取付け部分と第2の自動車フレーム部材の連結領域を周囲環境から封止すると共にこれらを結合し、熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して複数個の締結具が構造用取付けインサートを貫通して延びる周囲領域を満たし、それにより水分が周囲領域に入るのを実質的に制限し又は阻止することを特徴とする取付け組立体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の教示による構造用取付けインサートの一形態の平面図である。
【図2】本発明の教示による構造用取付けインサートの別の形態の平面図である。
【図3】図1に示されている構造用インサートの断面図であり、本発明の教示に従って接合前に第1及び第2の部材が追加された状態を示す図である。
【図4】図3に示された構造用取付けインサートの拡大図である。
【図5】図4に示された構造用取付けインサートを2つのコンポーネントの接合後の状態で示す図である。
【図6】図5に示された構造用取付けインサートを本発明の教示による1つの利用可能な材料の活性化後の状態で(膨張を示している)示す図である。
【図7A】図5に示されている断面図に類似しているが、これとは異なり、2つの部材を接合するために用いられた取付け特徴部の断面図である。
【図7B】図7Aに示されている断面図を本発明の教示による1つの利用可能な材料の活性化後の状態で示す図である。
【図8A】本発明の教示による構造用取付けインサートの幾つかの用途の例のうちの1つを示す図である。
【図8B】本発明の教示による構造用取付けインサートの幾つかの用途の例のうちの1つを示す図である。
【図9A】本発明の教示による構造用取付けインサートの幾つかの用途の例のうちの1つを示す図である。
【図9B】本発明の教示による構造用取付けインサートの幾つかの用途の例のうちの1つを示す図である。
【図10A】本発明の教示による構造用取付けインサートの別の形態の平面図である。
【図10B】図10Aに示された構造用取付けインサートを取付け面への被着後の状態で示す平面図である。
【図11A】本発明の教示による構造用取付けインサートの更に別の形態の平面図である。
【図11B】図11Aに示された構造用取付けインサートを取付け面への被着後の状態で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、構造部材を確実に取り付ける一方で腐食を招く恐れのある環境条件へのこのような構造部材の暴露を阻止し又は実質的に制限する方法及び装置に関する。図面を参照すると、これは、第1の部材12と第2の部材14の接合に先立って、第1の部材12と第2の部材14との間に配置されたインサート10の使用によって達成される。インサートは、第1の部材と第2の部材との間の距離を維持する積極的位置決め特徴部及び第1の部材と第2の部材との間の開放空間を満たすと共にインサート及びインサートとの第1及び第2の部材の接合部分又はこれら両方を包囲するよう構成されるのが良いシーラ又は封止材を含む。シーラは、インサートと構造用部材の接触部分16,18の両方を周囲環境から封止するよう活性化可能であり、柔軟性であり又はこれら両方であるのが良い。
【0014】
本発明の追加の利点として、本発明により接合部材の熱サイクル等の間におけるトルクフォールオフ又は締結具(例えば、ボルト等)の弛みが実質的に制限され又は阻止されることにある。例えば、温かくなったり冷えたりするサイクルの繰り返しの間、代表的な封止装置又は器具は、温度変化に起因して膨張したり収縮したりする。これら先行技術の装置で用いられているスペーサ材料だけが封止材料それ自体で構成されているので、水分がこの熱サイクル中にシールによって形成されている隙間に入り込むことが通例である。また、先行技術の密封装置は又、クリープを生じ、それにより高い温度で大きくなる場合のある隙間が生じることが通例である。
【0015】
本発明は、隙間等を形成する高強度材料を提供し、第1の部材と第2の部材との間にスペーサ層を維持するために第1の部材と第2の部材との間にアイソレータを設けることによって上述の問題及び他の問題を解決する。この場合、インサートのシーラは、第1の部材と第2の部材との間に形成された隙間を封止すると共にインサート及び/又は締結具を包囲し、それにより第1の部材と第2の部材の連結領域の腐食を実質的に制限し又は阻止する。これは、高強度アイソレータと第1の部材と第2の部材との間にスペーサ層を形成してこれを全体として維持する封止材料の組み合わせに起因して、第1の部材と第2の部材の直接的な接触(例えば、浸透接触)が実質的に制限され又は阻止されるからである。さらに、封止材料が第1の部材と第2の部材との間の隙間を封止するので、水分は、第1の部材と第2の部材の接触箇所に接触するのが実質的に制限され又は阻止され、これは、電解質が腐食を開始させるのを一段と阻止する。というのは、上のような電解質は、水分に源を発するからである。
【0016】
例えば、第1の部材と第2の部材が異種材料(例えば、互いに異なる金属、例えばスチールとアルミニウム)で作られている場合、高強度アイソレータとシーラの組み合わせは、スペーサ層を形成し、その結果、第1の部材と第2の部材を互いに直接的な接触状態にする変位に抵抗することができるようになる。第1の部材と第2の部材の直接的な接触に抵抗することは、電解質の存在下における異種材料相互間のガルヴァニックカップルを阻止し、それにより、異種材料のうちの一方又は両方の腐食を実質的に又は完全に減少させることができる。
【0017】
一般に、インサート10は、構造用部材を互いに接続するために用いられる力が加えられたときに第1の部材と第2の部材を互いに直接的に接触させる変形に耐えるよう構成された高強度材料から成るアイソレータ20を有する。インサートは、アイソレータに取り付けられ又は取り付けられるようになる収納体22等を更に有する。収納体22は、インサート及び構造用部材の接触箇所又は領域を包み込むよう少なくとも部分的に柔軟性である。
【0018】
第1の構造用部材と第2の構造用部材の接合時、収納体は、インサート及び構造用部材の接触箇所の封止を生じさせるよう活性化可能であり又は違ったやり方で変形可能であり、それにより第1の部材と第2の部材の接触及び/又は構造用コンポーネントを腐食させる場合のある腐食駆動コンポーネント、例えば水への暴露を制限し又は阻止する。
【0019】
上述の内容は、本発明の多くの例及び利点のうちの1つに過ぎず、以下の説明は、図面によって更に裏付けされる本発明の他の例及び利点を示唆的に且つ/或いは明示的に提供することが解る。
【0020】
アイソレータ‐スペーサ材料
【0021】
インサートは、第1の部材12と第2の部材14との間のスペーサとして働くよう構成された軟質又は硬質材料から成るアイソレータ20を有している。アイソレータは、強度の面で、第1の部材と第2の部材をこれらの取付け中に直接的に接触させる変位に実質的に抵抗するよう構成されている。したがって、アイソレータは、高強度材料で形成されることが想定される。
【0022】
アイソレータを形成するために使用可能な適当な材料としては、例えば金属、プラスチック、ガラス、セラミック、ゴム等のような材料が挙げられる。アイソレータは、疎水性材料で作られるのが良く又は疎水性になるよう積層されるのが良い。一形態では、アイソレータは、可撓性(例えば、弾性)があると共に塑性変形に抵抗するために高強度であることに起因して金属(シム原材料等)で作られる。適当な金属材料の例としては、ステンレス鋼、合金鋼、被覆又は非被覆鋼、亜鉛めっき鋼、低又は高炭素鋼、コバルト、他の金属材料等が挙げられる。好ましい一実施形態では、アイソレータは、金属を除く材料(例えば、非金属材料)から成る。当然のことながら、他の特定の材料、例えば織物等で通常用いられている材料が利用可能である。或る特定の用途に関し、強化材料がマット、布、ロービング、編み物、メッシュ、スクリム等として利用できる一本又は2本以上の非導電性糸又は線材(例えば、細長いフィラメント、繊維材料又は織物材料)であることが好ましい場合がある。このような実施形態では、強化材料は、例えば、綿、ガラス(例えば、E‐ガラス又はS‐ガラス)、ガラス繊維、マイラ(Mylar)、ナイロン、ポリエステル、炭素、アラミド、プラスチック、ポリマー(例えば、熱可塑性樹脂、例えばポリアミド(例えば、ナイロン)、PET(例えば、マイラ)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン(例えば、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル若しくはこれらの任意の組み合わせ)又は他の材料の織り繊維又は不織状態の繊維、フィラメント等で構成されるのが良い。本明細書で用いられる「糸」又は「線材」は、材料の単一のフィラメント、フィラメントの編組束又はフィラメントの非編組束を意味している。本明細書において説明するように、メッシュは、規則的なパターン(例えば、首尾一貫した開口形態)を有する材料を意味し、スクリムは、ランダムなパターン(例えば、可変開口形態)を有する材料を意味している。
【0023】
他の用途では、強化材料は、ビード状粒子、凝集体、中空材料(例えば、中空粒子)等又は任意の組み合わせであるのが良いことが理解できる。このような実施形態では、強化材料は、例えば、ガラス(例えば、E‐ガラス又はS‐ガラス)、ガラス繊維、ナイロン、ポリエステル、炭素、アラミド、プラスチック、ポリマー(例えば、熱可塑性樹脂、例えばポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン(例えば、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル又はこれらの任意の組み合わせ)又は他の材料の粒子等で構成されるのが良い。
【0024】
好ましい一実施形態では、強化材料は、ガラスフィラメント(例えば、繊維)、例えばガラスフィラメントのウィーブ又はロービング(例えば、メッシュ、スクリム等として)で形成されるのが良い。例示のガラスフィラメント(例えば、繊維)から成る強化材料としては、ノースカロライナ州グリーンボロ所在のビージーエフ・インダストリーズ・インコーポレイテッド(BGF Industries, Inc.)から購入できる製品番号1521及び7533で市販されている材料が挙げられる。別の好ましい実施形態では、強化材料は、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリブチレン(例えば、ポリブチレンテレフタレート)又はこれら両方、例えば、ポリマーフィラメント(例えば、メッシュ、スクリム等として)の射出成形又は押出し成形物で形成される。例示のポリアミド強化材料としては、デラウエア州ミドルタウン所在のデルスター・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(DelStar Technologies, Inc.)から購入できる製品番号14410及び15400として市販されている材料が挙げられる。当業者であれば認識されるように、好ましい材料を本明細書において記載しているが、特定の用途について所用の又は所望の特性又は機能に応じて、強化材料について種々の別の材料を選択することができる。
【0025】
一般に、アイソレータの所望の特性としては、剛性が比較的高いこと、強度が比較的高いこと、融点が比較的高いこと、ガラス転移温度が比較的高いこと及び接着耐久性があることが挙げられる。このように、この材料は、一般に、自動車製造業者によって採用される材料系の邪魔になることはない。アイソレータの融点は、少なくとも約100℃、代表的には少なくとも約175℃、より代表的には少なくとも約200℃であるのが良い。しかしながら、アイソレータの融点は、用途に応じてこれよりも高くても良く、例えば少なくとも約1000℃(例えば、約1500℃)である。さらに、アイソレータのガラス転移温度は、少なくとも約50℃、代表的には少なくとも約100℃、より代表的には少なくとも約200℃であるのが良い。しかしながら、アイソレータのガラス転移温度は、用途に応じてこれよりも高くても良く、例えば少なくとも約400℃(例えば、約570℃)である。例えば、理解されるべきこととして、アイソレータ(例えば、非導電性アイソレータ)の融点又はガラス転移温度は、約150℃以上、代表的には200℃以上又はより代表的には300℃以上であるのが良い。
【0026】
図1〜図6に示されている第1の例示の形態では、アイソレータは、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長い繊維(例えば、フィラメント)の網状構造を有する。アイソレータ中の繊維は、全体として第1及び第2の部材のうちの任意の一方のどの接触縁部(例えば、接触部分16,18)と非平行に差し向けられるのが良い長手方向軸線を有する。
【0027】
アイソレータ10には、マトリックス材料22の少なくとも一部分を受け入れる複数個の開口部24が形成され又は違ったやり方で設けられている。これら開口部は、任意の利用可能な二次成形技術(例えば、押出し、織成等)を用いて形成されるのが良い。開口部24のサイズは、各用途に応じて様々であって良い。開口部の直径は、5mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.25mm以下であることが想定される。また、平均直径は、0.25mm〜1.5mm、0.5mm〜1.5mm等であるのが良いことが想定される。
【0028】
開口部は、形状が幾何学的形状又は非幾何学的形状(即ち、不規則)であって良い。理解されるべきこととして、開口部の寸法形状は、アイソレータ全体にわたって様々であって良く(図2参照)、従って、アイソレータは、可変開口部形態を有するようになっている。しかしながら、好ましい一形態では、開口部の寸法形状は、アイソレータ全体を通じて一貫しており(例えば、同じ形状であり且つ/或いは等間隔を置いて配置される)、従って、アイソレータは、全体として一貫した開口部形態を有するようになる。理解されるべきこととして、開口部の形状及び/又は寸法及び形態は、所与の用途の必要性で決まる。アイソレータが開口部を有する場合、特に、このコンポーネントがメッシュ材料、スクリム材料等である場合、代表的には、1平方インチ(6.45cm2)当たり代表的には少なくとも150個、より代表的には少なくとも300個の開口部が設けられると共に/或いは1平方インチ当たり約3000個以下、代表的には約800個以下、より代表的には約500個以下の開口部が設けられる。
【0029】
開口部の有効な形状としては、円形、三角形、正方形、長方形、六角形、八角形、平行四辺形等が挙げられる。開口部は、少なくとも約40°、好ましくは少なくとも約60°(例えば、約90°)の角度をなすのが良い。更に、開口部は、140°未満、より好ましくは約120°以下の角度をなすのが良い。例えば、開口部は、約40°から約140°の角度、好ましくは約60°から約120°の角度をなすのが良い。糸は、全体として平行四辺形の形をした開口部を形成する(例えば、対角がそれぞれ約60°及び約120°である)。しかしながら、図1に示されているような好ましい一形態では、糸は、全体として正方形又は長方形の形をした開口部を形成する(例えば、対角が約90°である)。理解されるように、「約」という用語は、開口部の角度について記載される場合、角度が±5°の範囲でばらつきがあっても良いことを意味している。
【0030】
種々の二次成形技術を用いてアイソレータを形成することができる。アイソレータは、1本又は複数本の糸(例えば、ヤーン)、線材等で作られた織布又は不織布のものであって良い。アイソレータは、スクリーン(例えば、メッシュ)、ファブリック(例えば、スクリム)等から成っていても良く又はこれらのアイソレータと同様に形成されても良い。織り形態に関し、アイソレータは、結果的に開口部24が形成されるメッシュ材料、例えば金属製又はポリマー性のメッシュで形成されるのが良い。不織形態に関し、アイソレータは、結果的に開口部24が形成される押出しメッシュ材料、例えばポリマーメッシュであるのが良い。
【0031】
アイソレータの厚さは、多くの要因、例えば、用いられる材料の種類、用いられる二次成形法の形式、開口部の数又は用途に応じて様々であって良い。厚さは、満たされるべき第1の部材と第2の部材との間の開放空間の容積又はマトリックス材料の量でも決まる場合がある。さらに、厚さは、アイソレータの柔軟性に基づく場合がある。適当な厚さの例としては、約0.05mm〜約5mm又は約0.1mm〜約0.8mm等が挙げられる。
【0032】
アイソレータを形成する糸又は線材の直径も又、各用途に応じて様々であって良い。想定されることとして、糸又は線材の直径は、10mm未満、5mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満又は0.1mm以下である。また、糸又は線材の平均直径は、0.1mm〜2mm、0.2mm〜1mm、0.25mm〜0.8mm等であるのが良いことが想定される。理解されるべきこととして、糸の寸法形状は、アイソレータ全体を通じて一貫しているのが良い。しかしながら、好ましい一形態では、糸の寸法形状は、アイソレータ全体を通じて様々であって良い。また、糸の断面形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、七角形、六角形、平行四辺形等であって良い。
【0033】
糸の本数は、各用途に応じて様々であって良い。想定されることとして、糸の本数(例えば、糸の番手)としては、1インチ当たり約5本、10本、15本、20本、25本、30本、35本以上のストランドが挙げられる。ストランドの適当な本数の例としては、1インチ当たり約5本〜約75本のストランド又は約12本〜約35本のストランド等が挙げられる。例えば、糸の番手は、18×18たて糸×よこ糸(1インチ当たり)であるのが良く、その結果、アイソレータは、18本のたて糸ストランド/インチ×18本のよこ糸ストランド/インチのものである(例えば、よこ糸方向1インチごとに18本のたて糸及びたて糸方向に1インチごとに22本のよこ糸)。別の実施形態では、糸の番手は、30×18の4て糸×よこ糸(1インチ当たり)であるのが良く、その結果、アイソレータは、30本のたて糸ストランド/インチ×18本のよこ糸ストランド/インチのものである(例えば、よこ糸方向1インチごとに30本のたて糸及びたて糸方向1インチごとに22本のよこ糸)。他の糸の番手の形態が種々の用途について想定される。また、たて糸ストランド/インチとよこ糸ストランド/インチの比は、約2:1〜約1:2、代表的には約1.7:1〜約1:1.7のよこ糸方向1インチごとのたて糸ストランドとたて糸方向1インチごとのよこ糸ストランドであるのが良い。
【0034】
本明細書において説明している互いに異なる実施形態等に関し、アイソレータの全て又は一部分は例えばシーラ等で被覆されるのが良いことが想定される。
【0035】
マトリックス材料‐シーラント材料
【0036】
インサートは、第1の部材と第2の部材との間にスペーサ層を維持すると共にインサート及び第1の部材と第2の部材の連結領域を封止するようになったシーラント材料から成るマトリックス材料を更に含む。マトリックス材料は、第1の部材と第2の部材の接合中に変位する(例えば、弾性的に、塑性的に又はこれら両方として)よう構成されているのが良い。マトリックス材料は、使用中又は第1及び/又は第2の部材への被着の際にアイソレータに設けられる。好ましくは、マトリックス材料は、取付けを向上させると共に製造費を減少させるようアイソレータに取り付けられ又は違ったやり方で接合される。
【0037】
一形態では、マトリックス材料は、アイソレータを実質的に又は完全に包み込む。マトリックス材料は、本明細書において説明するありふれた技術を用いてアイソレータに塗布又は被着されるのが良い。しかしながら、好ましい一形態では、アイソレータは、マトリックス材料により浸漬被覆され又は違ったやり方で浸漬され、その結果、アイソレータをマトリックス材料中に埋め込むことができるようにするのが良い。
【0038】
マトリックス材料は、本明細書において説明する材料コンポーネントのうちの任意の一方で形成可能である。この材料としては、シーラント材料、騒音・振動・ハーシュネスを減少させる材料、構造用材料等が挙げられる。しかしながら、好ましい形態では、この材料は、第1の部材と第2の部材の相互直接的接触を阻止するよう第1の部材と第2の部材との間に実質的に連続したスペーサ層を形成する(そして、一般的に維持する)よう構成される。また、理解されるべきこととして、水分(例えば、任意種類の腐食性流体、水等を含む)がマトリックス材料と第1又は第2の部材との間に入り込むのを阻止するようシールを形成するのが良い。
【0039】
マトリックス材料は、非活性化可能材料、活性化可能材料又はこれら両方の組み合わせから成っていて良い。例えば、マトリックス材料は、コンポーネントを封止するために用いられ又は封止することができ、エネルギーの印加時に物理的又は化学的変化を殆ど起こさないか又は全く起こさない非活性化可能材料、例えば、代表的にはガスケット等から成るのが良い。変形例として、マトリックス材料は、本明細書において説明するように、エネルギーの印加時に物理的及び/又は化学的変化を起こす活性化可能材料から成っていても良い。更に、マトリックス材料の一部だけが活性化可能であって良いことが更に想定される。
【0040】
好ましい一形態では、マトリックス材料は、全体として連続したスペーサ層を維持すると共に封止を行う活性化可能材料から成り又はこれを含む。より好ましくは、マトリックス材料は、エネルギー(例えば、熱等)の印加時に膨張するよう構成された熱活性化可能材料から成る。別の好ましい形態では、マトリックス材料は、非膨張性材料及び/又は非活性化可能材料から成り、マトリックス材料は、第1及び第2の部材の接触領域の周りを形成し、これら相互間の開放空間を満たす。以下において、マトリックス材料に関する追加の適当な材料及び二次成形技術について説明する。
【0041】
膨張性材料を自動的であっても良く半自動的であっても良く或いは手動であっても良い成形又は造形技術の利用によりキャリアに被着させることができる。このような技術としては、吹き込み成形、回転成形、射出成形、圧縮成形又は注型等が挙げられる。非常に好ましい一形態では、膨張性材料は、押出し(例えば、同時押出し)法によりキャリアに被着される。
【0042】
マトリックス材料の厚さは、多くの要因、例えばマトリックス材料が活性化可能であるか膨張可能であるか及びマトリックス材料がどの程度活性化可能であり又は膨張可能であるかに応じて様々であって良い。厚さは、満たされるべき第1の材料と第2の材料との間の開放空間又はアイソレータの周りの開放空間の容積によっても決まる場合がある。さらに、厚さは、マトリックス材料の柔軟性に基づく場合がある。適当な厚さの例としては、約0.05mm〜約10mm又は約0.1mm〜5mm等が挙げられる。
【0043】
膨張性材料は、数種類の互いに異なる材料で形成可能である。一般的に言って、部材は、例えば米国特許第4,922,596号明細書、同第4,978,562号明細書、同第5,124,186号明細書、同第5,884,960号明細書及び同第7,199,165号明細書に開示されている膨張性材料を形成してこれを被着させる技術及び方法を利用するのが良く、これら米国特許を参照により引用し、全ての目的に関しこれらの記載内容を本明細書の一部とする。代表的には、補強用に用いられる場合、膨張性材料は、発泡性を備えた高い圧縮強度及び高い剛性の熱活性化補強材料(例えば、フォーム)を形成する。例えば、この材料の圧縮強度モジュラスは、好ましくは、約100MPa以上、より好ましくは約800MPa以上、更により好ましくは約1500MPa以上である。
【0044】
この材料は、一般に、触ってみて乾いていても良く又は粘着性であっても良く、このような材料を任意形態の所望パターン、任意の配置状態又は任意の厚さで、しかしながら、好ましくは実質的に一様な厚さの状態でアイソレータ等上に配置可能である。例示の発泡性材料は、ミシガン州ロメオ所在のエル・アンド・エル・プロダクツ・インコーポレイテッド(L&L Products, Inc.)を介して入手できるL‐5510及びL‐5520である。
【0045】
他の適当な粘着性又は不粘着性材料の例としては、ミシガン州ロメオ所在のエル・アンド・エル・プロダクツ・インコーポレイテッドを介して入手できるL‐2663、L‐2610、L‐2609、L‐2701又は他の類似の材料が挙げられる。
【0046】
他の熱活性化材料が膨張性材料用に可能であるが、好ましい熱活性化材料は、発泡性ポリマー又はプラスチック、好ましくは発泡性を示すポリマー又はプラスチックである。特に好ましい材料は、エポキシを主成分とする構造用フォームである。例えば、構造用フォームは、アルファ‐オレフィンを備えるのが良いエチレンコポリマー又はターポリマーを含むエポキシ系材料であるのが良い(これには限定されない)。コポリマー又はターポリマーとして、ポリマーは、類似の分子を結合することができる2種類又は3種類の異なるモノマー、即ち、高い化学反応性を備えた小分子で構成される。
【0047】
当該技術分野において多数のエポキシ系構造用強化又は封止フォームが知られており、このようなフォームは又、構造用フォームを作るために使用できる。代表的な構造用フォームとしては、適当な成分(代表的には発泡剤及び硬化剤)と化合した場合、熱が加えられ又は特定の周囲条件が発生したときに信頼性があり且つ予測可能な仕方で膨張(発泡)すると共に硬化するポリマー基材、例えばエポキシ樹脂又はエチレン系ポリマーが挙げられる。熱活性化材料又は熱硬化材料に関する化学的見地から、構造用フォームは、通常、硬化前に流動性熱可塑性材料として当初処理される。このような材料は、代表的には、硬化時に架橋し、それにより材料は、それ以上流動することができなくなる。
【0048】
好ましい構造用フォーム処方の一例は、ミシガン州ロメオ所在のエル・アンド・エル・プロダクツ社から製品番号L‐5206、L‐5207、L‐5208、L‐5209、L‐8100、L‐8101、L‐8103及びL‐8503で市販されているエポキシ系材料である。先行技術の材料と比べた場合の好ましい構造用フォーム材料の一利点は、このような好ましい材料を数種類の仕方で処理できるということにある。好ましい材料を射出成形、押出し圧縮成形、キャリア上への複合成形により又は小型アプリケータを用いて処理できる。これにより、大抵の先行技術の材料の性能を凌ぐ部品設計例の形成及び創作が可能である。好ましい一実施形態では、構造用フォーム(未硬化状態にある)は一般に、触ってみて乾いており又は比較的粘着性がなく、従って、このような構造用フォームを当該技術分野において周知である締結手段によってキャリア部材に容易に取り付けることができる。
【0049】
膨張性材料を作るための好ましい材料を開示したが、膨張性材料を他の材料で形成することができる。ただし、選択した材料が周囲条件(例えば、水分、圧力、時間等)によって熱活性化され又は違ったやり方で活性化され、そして選択された用途に特有の条件下で予測可能に且つ信頼性のある仕方で硬化することを条件とする。このような材料の1つは、米国特許第6,131,897号明細書に開示されたエポキシ系樹脂であり、この米国特許を参照により引用し、その教示内容を本明細書の一部とする。また、米国特許第5,766,719号明細書、同第5,755,486号明細書、同第5,575,526号明細書及び同第5,932,680号明細書を参照されたい。なお、これら米国特許も又参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。一般に、膨張性材料の所望の特性は、剛性が比較的高いこと、強度が比較的高いこと、ガラス転移温度が比較的高い(代表的には70℃を超える)こと及び接着耐久性があることが挙げられる。このように、このような材料は、一般に、自動車製造業者によって採用される材料系の邪魔になることはない。例示の材料としては、製品番号L‐5207、L‐5208、L‐8100、L‐8101、L‐8103及びL‐8105で販売されている材料が挙げられ、これは材料は、ミシガン州ロメオ所在のエル・アンド・エル・プロダクツ社から商業的に入手できる。
【0050】
代表的には、補強のために用いられる場合、膨張性材料は、その元の未膨張(未発泡)体積の110%〜500%、より代表的には130%〜300%、更により代表的には150%〜250%の体積まで膨張(発泡)するよう構成されている。また、本発明のシステムが封止又はバッフリング(反らせ又は遮り)のために用いられる場合、膨張性材料は、音を吸収し又は減衰させ、遮断し、キャビティ等を通る材料の通過を阻止するよう設計されるのが良いことが想定される。したがって、膨張性材料は、その元の未膨張(未発泡)体積の少なくとも200%、少なくとも400%、少なくとも800%、少なくとも1600%又はそれどころか少なくとも3000%の体積まで膨張(発泡)するよう構成されているのが良い。このような膨張性材料の例は、米国特許第7,199,165号明細書に記載されており、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0051】
膨張性材料を熱活性化させることができるが、膨張性材料は、これとは異なり他の刺激によって追加的に又は代替的に活性化させて硬化、膨張(発泡)、結合及びこれらの組み合わせ等を生じさせることができる。このような材料を別の刺激、例えば圧力、水分、化学薬品、紫外線、電子ビーム、誘導、電磁放射線又は他の周囲条件によって活性化させることができる(これには限定されない)。特定の例として、このような材料は、一方のコンポーネントを他方のコンポーネントに追加したときに膨張(発泡)、硬化、接着又はこれらの組み合わせを行う2成分接着材料であるのが良い。材料の例としては、エポキシ/アミン材料やエポキシ/酸材料が挙げられる。
【0052】
膨張性材料、例えば熱の作用で膨張する材料が熱活性化される用途では、構造用フォームを構成する材料の選択及び処方と関連した重要な検討事項は、材料の反応又は膨張(発泡)及び場合によっては硬化が起こる温度である。例えば、大抵の用途では、材料は、生産ライン環境において室温で又は周囲温度で反応性であることは望ましくない。より代表的には、構造用フォームが自動車用コンポーネントと一緒に、例えば塗料硬化ステップの実施中に高い温度で又は高い印加エネルギーレベルで処理されているとき、例えば組み立て工場で遭遇する高い処理温度で反応性になる。自動車組立て作業で遭遇する温度は、約150℃から200℃まで(約300°Fから400°Fまで)の範囲にある場合があるが、自動車整備工場用途は、一般に、約90℃(約200°F)又はこれよりも僅かに高い温度状態にある。同様に、他の輸送機器(例えば、自転車、モーターサイクル、オールテレーンビークル等)の製造中、塗料硬化プロセス(例えば粉末塗装用途)等の際にも高い温度が用いられる場合がある。一形態では、材料は、約120℃以上、又は約150℃以上、或いはそれどころか約160℃以上の温度で反応性になる。必要ならば、発泡剤用活性剤を配合物中に混ぜ込んで上述の範囲から外れた種々の温度で膨張(発泡)を生じさせても良い。
【0053】
特定の例として、材料は、粉末塗装硬化作業で硬化させても良いことが想定される。このような作業にあたり、材料を約10分間〜60分間の暴露時間で約120℃〜230℃の温度範囲にさらす。また、材料を時効硬化作業で硬化させても良いことが想定される。この作業では、材料を約45分間〜8時間の暴露時間で約150℃〜230℃の温度範囲にさらす。
【0054】
一般に、適当な発泡性フォームは、約0パーセントから1000パーセントを超える範囲の発泡率を有する。発泡性材料の発泡レベルを、1500パーセント以上という高い割合まで増大させることができる。典型的には、強度及び剛性は、低い発泡率又は膨張率の製品から得られる。
【0055】
膨張性又は発泡性材料について考えられる他の幾つかの材料としては、ポリオレフィン材料、少なくとも1つのモノマータイプを備えたコポリマー及びターポリマー、アルファ‐オレフィン、フェノール/ホルムアルデヒド材料、フェノキシ材料及びポリウレタンが挙げられるが、これらには限定されない。また、米国特許第5,266,133号明細書、同第5,766,719号明細書、同第5,755,486号明細書、同第5,575,526号明細書、同第5,932,680号明細書及び国際公開第00/27920号パンフレット(PCT/US99/24795)を参照されたい。なお、これら特許文献を全て参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。一般に、結果として得られる材料の所望の特性としては、ガラス転移温度が比較的低いこと、接着耐久性が良好であることが挙げられる。このように、材料は、一般に、自動車又は他の車両(例えば、モーターサイクル、自転車、オールテレーンビークル等)製造業者により採用される物質系を邪魔することがない。さらに、このような材料は、典型的には車両の製造の際に見受けられる処理条件、例えばe‐コートプライミング、クリーニングプロセス、脱脂プロセス及び他の被覆プロセス並びに最終の車両組み立ての際に遭遇する塗装作業に耐える。
【0056】
別の実施形態では、膨張性材料は、封入され又は部分的に封入された形態で提供され、この形態は、膨張性発泡性材料を接着シェル内に封入し又は部分的に封入したペレットから成るのが良い。このような一システムの一例が米国特許第6,422,575号明細書に開示されており、この米国特許を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0057】
加うるに、上述したように、例えばシート(平坦な又は異形の表面を有する)を押し出しし、次に選択した構造体、キャリア部材等に従って所定の形態に従ってダイカットし、そしてこれを選択した構造体、キャリア部材等に被着させることによって作られた予備成形パターンもまた使用できる。
【0058】
当業者であれば理解されるように、このシステムは、例えば米国特許第6,482,486号明細書及び同第6,467,834号明細書に開示されている従来型遮音バッフル又は車両構造用補強システムと組み合わせて又はそのコンポーネントとして使用でき、これら米国特許を参照により引用し、これらの開示内容を本明細書の一部とする。
【0059】
膨張性材料の構成材料を種々の運搬システムにより運搬してこれを組み立て部材に接触させるのが良いことが想定され、このような運搬システムとしては、機械式スナップ嵌め組立体、当該技術分野において一般的に知られている押出し技術並びに共通所有者の米国特許第5,358,397号明細書の教示による小型アプリケータ技術が挙げられるが、これらには限定されず、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。この非限定的な実施形態では、材料又は媒体は、減衰特性を備えた活性ポリマー又は他の熱活性化ポリマー(例えば、発泡性ホットメルト接着剤を主成分とするポリマー又は発泡性構造用フォーム、その例としては、オレフィンポリマー、ビニルポリマー、熱可塑性ゴム含有ポリマー、エポキシ、ウレタン等が挙げられる)で少なくとも部分的に被覆され、膨張性又は発泡性材料は、選択した表面又は基材上にスナップ嵌めされ、押し出しにより選択した基材又は部材に沿って配置するためにビード又はペレット内に収容され、バッフル技術、当該技術分野において周知である教示によるダイカスト用途、バッフル及びブラダーシステムの使用を含む場合のある圧送可能な応用システム及び吹きつけ可能な応用装置の使用によって基材に沿って配置されるのが良い。
【0060】
別の好ましい形態では、上述したように、マトリックス材料は、非活性化可能及び/又は非膨張性であっても良い。この形態では、力を加えると、そしてオプションとして活性化を行うと、マトリックス材料は、インサート並びに第1の部材と第2の部材の接触領域を包囲するよう塑性変形し、それによりこれらの封止を行う。したがって、一形態では、マトリックス材料は、ガスケットから成るのが良い。例えば、マトリックス材料は、接合コンポーネントを封止するために用いられる任意適当なガスケットから成るのが良い。
【0061】
一態様では、インサートは、ウェルドスルー(weld through)製品であるよう構成されるのが良い。ウェルドスルー製品として組み込まれた場合、マトリックス材料は、ウェルドスルー製品の周りに追加のシーラントを提供するよう構成されるのが良い。このようなウェルドスルー材料の例は、米国特許出願公開第2004/0076831号明細書及び同第2005/0260399号明細書に開示されており、これら米国特許出願公開を参照により引用し、これらの開示内容を本明細書の一部とする。
【0062】
インサート
【0063】
インサートの寸法形状は、用途によって様々であって良い。インサートは、一般に、形状が正方形又は長方形であるのが良いことが想定される。しかしながら、他の形状が想定され、このような形状としては、円形、楕円形、七角形、六角形等が挙げられ、更に規則的又は不規則な形状が挙げられる。
【0064】
インサートの厚さは又、多くの要因、例えばマトリックス材料が活性化可能であるか膨張可能であるか及びマトリックス材料がどの程度活性化可能であり又は膨張可能であるかに応じて様々であって良い。厚さは、満たされるべき第1の材料と第2の材料との間の開放空間の容積及び/又はシーラント材料中のアイソレータの厚さによっても決まる場合がある。さらに、厚さは、マトリックス材料の柔軟性に基づく場合がある。適当な厚さの例としては、10mm未満、5mm未満、2mm未満、0.3mm以下が挙げられる。したがって、インサートは、0.1mm〜10mm又は2mm〜5mm等の連続した厚さを有することが想定される。
【0065】
インサート10は、全体として平面状の表面又は全体として非平面状の表面(例えば、漸変表面、例えば弧状表面、尖った表面、リブ付き表面、窪んだ表面、縁どり加工表面等又はこれらの任意の組み合わせ)に被着されるのが良い。インサート10を非平面状表面に被着させると、非平面状表面の1つ又は2つ以上の部分(例えば、連結領域)は、インサート10との接触状態から離脱してインサートと非平面状表面のこれら部分相互間に隙間を作ることができるようになることが想定される。更に、インサート10を非平面状表面に被着させると(例えば、インサートを非平面状表面回りに曲げると)、インサート10の1つ又は2つ以上の部分は、互いに「束」になる場合(例えば、インサートのそれ自体への折り返し等)が想定される。インサートの「バンチング(bunching:束になること)」も又、第2の部材を第1の部材(インサート10が取り付けられている)に接合したときにインサート10と第2の部材との間に隙間を形成することができる。また、理解されるべきこととして、マトリックス材料の活性化により、マトリックス材料は、湿潤状態になって第1の部材と第2の部材との間に形成された隙間を満たし又は「バンチング」を減少させ又はなくし或いはこれらの両方を行うことができる。
【0066】
インサート10は、平面状表面と非平面状表面の両方に、形成される隙間が制限された状態で又は全くない状態で若しくはバンチングが生じる状態で被着させることができる。しかしながら、理解されるように、インサートを非平面状表面又は結果として隙間及び/又はバンチングを生じさせる表面に被着させても良い。したがって、本発明のインサート10は、インサートの形状が全体として非平面状表面に一致させるようインサートの変形を助ける少なくとも1つの孔25(例えば、開口部、スリット等)を更に有するのが良い。孔25は、インサートの形成(例えば、織成、成形、押出し等)中に形成されるのが良く又は別個のステップで、例えば予備成形インサートへのダイカット等によって設けられるのが良い。孔25を備えたインサート10を全体として非平面状又は漸変表面に被着させて第1及び第2の部材のうちの一方又は両方の表面に沿う種々の輪郭形状の変化に順応させるのが良い。孔25は、設けられた場合、インサートを非平面状表面に沿って延長させるのを助けることができ、その結果、第1の部材と第2の部材との間の隙間又は他の不整合部(例えば、インサートのバンチング等)を減少させ又はなくすことができる。
【0067】
インサート10に孔25を設けることにより、インサート10は、一層成形可能な状態になり(例えば、柔軟性、曲げ可能等)或いは非平面状表面の連結領域と一層相補する(例えば、寸法及び/又は形状の面で)状態になる場合があり、インサートの相当な部分が非平面状表面に沿って連結領域と直接的な接触関係をなす一方で、この連結領域との間に形成される隙間等を減少させ又はなくすことが考えられる。さらに、インサート10を曲げる際、インサートの「バンチング」が輪郭形状の変化に順応すると共にインサートと非平面状表面との間の隙間を減少させ又はなくすよう1つ又は2つ以上の領域で生じる場合のあることが理解されよう。図10A〜図11Bに示されているように、孔25は、インサートの一部分に沿って、例えば、縁部26に沿って(図10A及び図10B)、中央部分27内で(図11A及び図11B)又はこれら両方のところに位置決めされるのが良い。孔25は、インサートの幾つかの部分に沿って長手方向に延びても良く又はインサート全体に沿って延びても良い。また、孔25が、インサート10の一部分を貫通して横方向に延びても良いことが理解されよう。しかしながら、好ましい実施形態では、孔25は、貫通穴を形成するようインサート10を横方向に完全に貫通して延びる。
【0068】
孔25を備えたインサート10を非平面状表面に被着させると(例えば、インサートが非平面状表面周りに曲がると)、孔25の縁28(例えば、周縁)は、インサート10が非平面状表面の輪郭形状に合致すると(例えば、曲がり又は一致すると)、少なくとも部分的に、実質的に又はそれどころか完全に結合され、その結果、孔25を実質的に減少させ又はなくすことができるようになる(図10B及び図11B)。例えば、孔25の縁28を互いに全体として接触させ又は近接させることができ、その結果、孔25を実質的に減少させ又はなくすことができる(即ち、実質的な量は、マトリックス材料の活性化時に、開口部の残りの部分が完全に塞がれた状態になるのに十分な量である)。「実質的な」減少量は、インサート(例えば、マトリックス材料)の活性化時、孔25の残りの部分を完全に塞ぐことができる(例えば、満たすことができる)のに十分な量である。理解されるように、インサートの活性化時、マトリックス材料は湿潤すると共に/或いは膨張して孔25又はインサートと第1及び第2の部材との間の残りの隙間を塞ぎ、インサートが第1及び第2の部材を互いに直接的な接触状態にする変位に抵抗するようになると共に/或いは第1の部材と第2の部材との間(例えば、異種材料相互間)の連結領域を周囲環境から封止する。
【0069】
非限定的な一例では、インサートと非平面状表面との間の隙間及び/又は「バンチング」は、全体として剛性のインサート(例えば、ガラス繊維等で形成されているアイソレータ)を有する用途で生じる場合がある。従って、理解されるように、孔25は、もし設けられている場合、インサートに増大した可撓性を与えることができ(例えば、インサートは、柔軟性が高くなり)、非平面状表面に順応すると共にこれに適合し、それにより全体として同一の非平面状表面に被着される孔25なしのインサートと比較して隙間を、「バンチング」又はこれら両方を減少させると共に/或いはなくす。
【0070】
インサートを第1の材料、例えば剥離紙に被着させて剥離紙をマトリックス材料及び/又はアイソレータに接触させることにより剥離紙をインサート上に形成するのが良い。しかる後、第1の材料をインサートから取り外すのが良く、それにより後には、アイソレータを備えたマトリックス材料が残される。インサートを第2の材料、例えば取扱い層を形成するフィルムを備えた合成材料に被着させるのが良い。取扱い層は、実質的に不粘着性又は不粘着性の表面を提供するためにインサート(例えば、マトリックス材料)の外面を少なくとも部分的に覆う。このような剥離フィルム及び取扱いフィルム材料の例が共通所有者の同時係属中の米国特許出願公開第2008/0254214号明細書に開示されており、この米国特許出願公開を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0071】
理解されるべきこととして、マトリックス材料は、アイソレータと接触状態にある間、その未硬化状態において第1の粘着性を有し、この第1の粘着性は、第1の部材か第2の部材かのいずれかの表面への被着後に変位に抵抗するほど十分高いのが良い。インサートは、第1の粘着性よりも低いのが良い第2の粘着性を備えた外面を更に有するのが良い。例えば、インサートは、第1の粘着性を備えたマトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルム及び第2の粘着性を備えた外面と接触状態にある実質的に不粘着性の取扱いフィルムを有するのが良い。
【0072】
別の態様では、インサートは、疎水性材料で作られても良く又は疎水性になるよう積層されても良い。
【0073】
さらに別の態様では、インサートは、種々の二次成形法を用いて成形可能である。好ましい1つの二次成形法では、マトリックス材料とアイソレータは、同時押出しによって形成されるのが良い。しかしながら、他の技術を利用することができる。
【0074】
使用方法
【0075】
図3〜図7B及び図10A〜図11Bを参照すると、本発明のインサートの使用の2つの例がそれぞれ示されている。本発明は、2つ又は3つ以上の部材を接合してこれら相互間の距離を維持してこれら部材相互間の直接的な接触を阻止する締結(例えば、リベット止め等)システムに特に適している。インサートを、本明細書において説明したように、第1の部材12及び第2の部材14の取付けに先立って、第1の部材12と第2の部材14との間に配置する。次に、第1及び第2の部材を結合し、締結装置等の使用によって力“F”を加える。
【0076】
理解されるべきこととして、第1の部材と第2の部材を結合する際、第2の部材を第1の部材に沿って設けられているインサートに被着させる。第2の部材がインサートに接触すると、アイソレータに形成されている1つ又は2つ以上の開口部を変位させるのが良く、その結果、開口部のサイズを大きくすることができる。好ましい実施形態では、インサートは、一貫した開口部形態(例えば、本明細書において説明したようにサイズがほぼ同じ開口部)を備えたアイソレータを有し、その結果、可変開口部形態(例えば、サイズが互いに異なる開口部)を備えたアイソレータを有するインサートと比較して、開口部サイズの甚だしい変位(例えば、結果として第1の部材と第2の部材を互いに直接的に接触させる場合のある開口部の拡張)に抵抗することができる。
【0077】
2つの例において示されているように、開口部(例えば、隙間等)は、アイソレータと第1及び第2の部材12,14との間に形成されるのが良い。これら開口部は、マトリックス材料の活性化前、マトリックス材料の活性化後又は活性化前後においてインサートにより部分的に又は完全に満たされるのが良い。例えば、第1の部材と第2の部材の取付け中、第2の部材をインサートを備えた第1の部材に接触させること、第1の部材と第2の部材の取付け(例えば、締結)中におけるトルクの発生又はこれら両方により、アイソレータを覆って配置されたマトリックス材料は、活性化に先立って変位して開放空間等を部分的に又は完全に満たすことができる。開放空間の活性化前充填に代えて又はこれに加えて、マトリックス材料の活性化中、開放空間を膨張中のマトリックス材料で追加的に満たすのが良い。
【0078】
図5を参照して説明すると、力を増大させると、マトリックス材料(例えば、封止材料)が変位して開口部中に入り、孔25中に入ると共に/或いはアイソレータの端部の外側に至る。この変位は、第1の部材及び第2の部材がアイソレータに接触するまで続く。この接触時点で、アイソレータは、第1の部材と第2の部材との間に実質的に連続した隙間を作ると共に維持して第1の部材と第2の部材が実質的に直接的に接触しないようにするスペーサとして働く。上述したように、アイソレータは、実質的な変形なしで加えられた力に対する反力を提供するよう強度が適当であるのが良い。例えば、一実施形態では、インサートは、これを撓曲させるのに十分な力を受けると、その元の状態に弾性的に戻ることができるのが良い。しかしながら、別の実施形態では、インサートは、これを撓曲させるのに十分な力を受けると、永久的に変形しても良い。理解されるべきこととして、アイソレータ20は、第1の部材か第2の部材かのいずれかの表面(例えば、1つ又は2つ以上の非平面状表面)に向かって変形する(例えば、曲がる)よう構成されているのが良く、その結果、インサートの輪郭(例えば、形状)は、第1及び第2の部材の表面に実質的に合致する(例えば、一致する)ようになる。
【0079】
図6に示されているように、第1の部材及び第2の部材が取り付けられた状態で、マトリックス材料を活性化させるのが良く、それにより、好ましい一形態では、マトリックス材料は、膨張してアイソレータによって形成されている開口部又は孔25の縁相互間に形成されている開放空間を満たす。また、理解されるべきこととして、アイソレータの外部に位置するマトリックス材料も又膨張してアイソレータ全体周りにシールを形成する。この時点で、第1の部材と第2の部材の接触領域及びインサートは、周囲環境から完全に封止される。
【0080】
開口部は、第1及び第2の部材への締結具(例えば、リベット)の取付け中にインサートを貫通して形成されることが想定される。インサート中への締結具の侵入時、マトリックス材料は、締結具はこれを貫通して延びる周囲領域を満たしてシールを形成する。しかしながら、図7Aに示されている特定の非限定的な一例では、接合部中へのリベットの締結中、開放空間70は、締結具72、例えばリベット(例えば、ヘンロブ(Henrob)社製の自己穿通性リベット)と第1の部材、第2の部材及びインサートのうちの1つ又は2つ以上との間に生じる場合がある。図7Aに示されているように、リベットは、第1の部材(例えば、鋼)及び連結領域(インサートを含む)を貫通して第2の部材(例えば、アルミニウム)まで延びてリベットの端部が第2の部材を穿通するが、これを完全には貫通しないようにする。理解されるように、活性化時、マトリックス材料(例えば、膨張性材料)は、膨張して、リベットはこれを貫通して延びることによって形成された開口部及び/又は開放空間を満たし、それにより水分が図7Bに示されているようにこれらの中に入るのを実質的に制限し又は阻止する。例えば、全体として中空の締結具がインサート(例えば、連結領域)を貫通すると、マトリックス材料の一部分が締結具の中空キャビティ内で変位する場合があり、その結果、活性化時、マトリックス材料が膨張して締結具の内部及び外部(例えば、周囲)の開放空間を封止して水分がこの中に入るのを制限し又は阻止すると考えられる。
【0081】
特定の一例
【0082】
図8A〜図9Bを参照すると、本発明の構造用取付けインサートの非限定的な一例及びその使用法が示されている。この例では、実施形態のうちの任意の一方(例えば、アイソレータ等)を使用できることが理解されるべきである。この形態では、ショックアブソーバ組立体に接近すると共に自動車の内側エプロンコンポーネント及び1つ又は2つ以上のフレーム部材(例えば、内側フロントエプロン、支持部材、補強部材)に取付け可能な衝撃タワーハウジング30が設けられている。衝撃タワーは、第1のハウジング部分32から延びる外壁を有する。外壁は、第1のハウジング部分に対して全体として横方向に延び、それにより外壁と第1の内側部分との間にはキャビティが形成されている。第1のハウジング部分32は、第1のハウジング部分を貫通して外壁により形成されている内部キャビティまで延びる開口部66を有している。開口部66は、キャビティ内に配置されたショックアブソーバ(図示せず)の端部に接近可能に構成されている。外壁は、それぞれ全体として反対側に位置する第1の壁部分34と第2の壁部分36及びこれら相互間の側壁部分38を有している。ハウジングは、連結領域に沿って第1の自動車フレーム部材に取付け可能な第1の壁部分の第1の取付け部分40を更に有している。第1の取付け部分40は、本体部分42を有し、この本体部分からアーム44が延びており、本体部分及びアームは、1つ又は2つ以上のインサート48を受け入れる取付け面46を有している。
【0083】
ハウジングは、連結領域に沿って第2の自動車フレーム部材に取付け可能な第1の壁部分の第2の取付け部分50を更に有している。第2の取付け部分は、第1の取付け面52及び第2の取付け面54を有し、相互連結非平面状取付け面56が1つ又は2つ以上のインサート58を受け入れるために全体として取付け面52,54相互間に延びている。
【0084】
ハウジングは、第3の連結領域に沿って第3の自動車フレーム部材(例えば、内部エプロン部材)に取付け可能な第3の取付け部分60を更に有している。第3の取付け部分は、全体として第1の壁部分に沿って第1及び第2の取付け部分に対向した互いに反対側の側部でハウジングの第2の壁部分に沿って延びている。第3の取付け部分は、1つ又は2つ以上のインサート64を受け入れる取付け面62を有している。
【0085】
衝撃タワーハウジングは、本明細書において説明した構造用取付けインサート48,58,64を更に有している。図示のように、インサート48,58,64は、第1の自動車支持部材、第2の自動車支持部材及び内部エプロン部材のそれぞれの対応の連結領域に関して種々の形状のものである。インサート58には所定の場所に孔25が更に設けられており、第2の取付け連結領域への取付け時に、孔は、第2の取付け連結領域の第1の取付け面と第2の取付け面との間の非平面状表面に沿って位置決めされている。
【0086】
第1、第2及び第3の取付け連結領域は、それぞれの部材相互間のインサートとオーバーラップを形成するようそれぞれの部材に対して位置決めされている。オーバーラップは、リベット締結具を受け入れ、このリベット締結具は、オーバーラップの形成された開口部を貫通して接合部を更に固定している。
【0087】
実施例
【0088】
本発明のインサートと接触状態にある表面は、満足のゆく剪断強さを得ることができる。例えば、重ね剪断試験は、ほぼ同じ寸法(例えば、各々、幅約25mm×長さ120mm×厚さ0.8mm)の2つのEG‐60試験用基材を使用する。シーラント材料のストリップを第1の試験用基材の幅全体にわたりその端部の近くに被着させる。第2の試験用基材の端部を第1の試験用基材上のシーラント材料に接合して試験クーポンが同一軸線に沿って延びると共に第1及び第2の試験用基材の接合端部は、シーラント材料がこれら相互間に位置した状態で互いにオーバーラップしてオーバーラップ部分(例えば、約45mm×10mmの結合領域)を形成するようにする。オーバーラップ部分は、試験用基材ではなく、シーラント材料に破損部を生じさせるのに十分である。しかる後、試験用基材を硬化させる。
【0089】
各試験用基材を実験室用試験フレーム、例えばインストロン試験機を用いて約20mm/分の速度で引張り状態にし(例えば、全体として同一軸線に沿って互いに逆方向に引っ張って)ついには、荷重が自然に減少するようにする。
【0090】
インサート(アイソレータを備えたマトリックス材料を含む)によって接合されているEG‐60基材を含む試験用サンプルを調製する。インサートを被着させると共にインサートの表面を基材に接触させて接合部を形成した後、試験用サンプルを硬化させ、剪断強さを測定する。試験サンプルは、約0.25mmのボンドラインのところで約14.7MPaから約16.3MPaまで(例えば、ガラススクリムアイソレータ材料を用いて約15.6MPa)の剪断強さ及び約13.4MPaから約15.0MPaまで(例えば、ガラス繊維メッシュアイソレータ材料を用いて約14.1MPa)の剪断強さを達成した。さらに、試験サンプルは、約0.65mmのボンドラインのところで約11.6MPaから約13.8MPaまで(例えば、サンドペーパーメッシュアイソレータ、例えばノートンデュライト(Norton Durite )Q421、タイプp220を用いて約12.6MPa)の剪断強さ及び約10.6MPaから約13.8MPaまで(例えば、ポリマーメッシュアイソレータ材料、例えばデクスメット(Dexmet)を用いて約11.9MPa)の剪断強さを達成した。さらに又、試験サンプルは、約0.75mmのボンドラインのところで約10.6MPaから約13.8MPaまで(例えば、金属メッシュアイソレータ材料を用いて約13.4MPa)の剪断強さを達成した。本明細書において説明したように、ボンドラインは、第1の部材及び第2の部材の内面相互間の距離を意味し、活性化された(例えば、硬化された)シーラント材料がこれら相互間に位置している。
理解されるべきこととして、本発明の補強システムは、約0.1mm〜2mm又は約0.25mm〜約0.75mmのボンドラインを有するのが良い。
【0091】
また、理解されるべきこととして、本発明の補強システムは、少なくとも8.0MPa、好ましくは少なくとも約12.0MPa、より好ましくは少なくとも約14.0MPaの剪断強さをもたらすよう利用されるのが良い。
【0092】
他の用途
【0093】
本発明の補強システムは、構造的補強の種々の態様において、特に、モーターサイクル、自転車、自動車、船舶、汽車等に関する輸送業界において利用できる。特に有意な一用途では、本発明の補強システムは、互いに異なる金属コンポーネントが通常、水分に晒される用途に利用できる。これら形態では、本発明のインサート(例えば、非金属製インサート)は、このようなコンポーネントの堅固な取付けを可能にする一方で、異種材料の直接的接触を阻止する連続スペーサ層を提供し、それにより異種材料を腐食から保護する。本発明がいうような追加のコンポーネントとしては、ヒンジ組立体、ドアラッチ組立体、フロント及びリヤバンパシステム、引き上げゲート、底部補強材等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0094】
本発明の補強システムは、車体修理工場、汎用組み立て工場等で利用できることが解る。補強システムは、本来の製造中、2つ又は3つ以上のコンポーネントのための改良された取付け状態を提供するだけでなく、例えば事故の際に健全性(例えば、強度等)が損なわれたコンポーネントの向上した取付けを提供する。
【0095】
上述した本発明は、多数の利点をもたらすことができる。一例として、人、機械又はこれらの組み合わせは、2つ又は3つ以上の互いに異なる表面又は部材を互いに締結する(例えば、リベット止めし、溶接し、ボルト止めし、ねじ止めし又は違ったやり方で取り付ける)ことができ、これら表面又は部材の直接的接触、締結具の腐食及び/又は弛みを制限し又は阻止することができる(例えば、トルクフォールオフ)。2つの異なる材料の直接的接触の制限又は阻止は、好ましい一実施形態では、表面又は部材を互いに引き又は押しつけ若しくは締め付けることによって達成できる(例えば、部材又は表面とアイソレータとの接触(例えば、金属と非金属の接触)が達成されるまで締結具によって)。表面又は部材は、時間の経過及び/又は温度変化により生じる場合があるクリープの望ましくないほど多くの量を示さないアイソレータに加わる圧縮力を生じさせるよう引き続き互いに引かれ又は押されるのが良い。このように、インサート、特にアイソレータは、異種材料相互間のスペーサ層を維持し、他方、マトリックス材料は、異種材料と接触可能にアイソレータの開口部を貫通して延び、それによりこれら相互間に形成される開放空間を封止する。この場合、本発明は、異種材料のうちの一方又は両方の腐食に起因して行われる補強システムの交換及び/又は補修を制限し又はなくすことができる。
【0096】
別段の指定がなければ、本明細書において説明した種々の構造体の寸法及び幾何学的形状は、本発明を限定するものではなく、他の寸法又は幾何学的形状が採用可能である。複数個の構造用コンポーネントを単一の一体型構造体によって提供することができる。変形例として、単一の一体型構造体を別々の複数個のコンポーネントに分割しても良い。加うるに、本発明の特徴を図示の実施形態のうちの1つだけと関連して説明したが、このような特徴を任意所与の用途に関し、他の実施形態の1つ又は2つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。また、上述のことから理解されるように、本明細書において説明した新規な構造の製作及びその作動は又、本発明の方法を構成する。
【0097】
本発明の好ましい実施形態を開示した。しかしながら、当業者であれば認識されるように、本発明の教示の範囲内で或る特定の改造が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲及び内容を定めるものとして読まれるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着、封止及び絶縁のためのインサートであって、
融点又はガラス転移温度が約115℃以上の全体として非導電性のアイソレータと、
前記アイソレータと接触状態にあり、未硬化状態で粘着性を呈するマトリックス材料とを有し、前記マトリックス材料は、前記インサートの取付け後に熱を受けることにより硬化され、前記粘着性は、表面への被着後の変位に抵抗するほど十分に高く、
前記アイソレータは、2つの互いに異なる種類の材料相互間の接合部への取付け時に、前記2つの異種材料を結合して前記2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗する、インサート。
【請求項2】
前記アイソレータは、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長い繊維の網状構造を含む、請求項1記載のインサート。
【請求項3】
前記アイソレータ中の繊維は、前記異種材料のうちの任意の一方のどの接触縁部とも全体として平行ではない状態に差し向けられた長手方向軸線を有する、請求項1又は2記載のインサート。
【請求項4】
前記外面は、前記マトリックス材料を覆って位置する不粘着性取扱いフィルムの一部である、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項5】
前記マトリックス材料は、高い温度への暴露時に膨張可能である、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項6】
前記インサートは、前記異種材料のうちのいずれか一方の非平面状表面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備えた1つ又は2つ以上の孔を有し、前記インサートの形状は、前記非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより前記非平面状表面と前記インサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、前記1つ又は2つ以上の孔が前記非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対する前記インサート又は両方のバンチングを行う、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項7】
前記マトリックス材料の活性化時に、前記マトリックス材料は、前記1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張する、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項8】
前記インサートは、前記インサートを撓曲させるのに十分な力を受けると、その元の状態に弾性的に戻ることができる、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項9】
前記インサートは、前記インサートを撓曲させるのに十分な力を受けると、永久的に変形する、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項10】
前記インサートは、第1の粘着性を備えた前記マトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルムと、実質的には不粘着性である第2の粘着性を備えた前記外面と接触状態にある取扱いフィルムとを有する、請求項1〜9のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項11】
接着、封止及び絶縁のためのインサートであって、
全体として非導電性のアイソレータを有し、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長いストランドの網状構造によって前記アイソレータを貫通して複数個の開口部が形成され、前記細長いストランドは、ポリアミド、ポリエステル、ガラス繊維又はこれらの任意の組み合わせで形成され、
前記アイソレータを覆って埋め込まれていて、未硬化状態で第1の粘着性を呈するマトリックス材料を有し、前記マトリックス材料は、前記インサートの取付け後に熱への暴露によって硬化され、前記第1の粘着性は、これが表面への被着後の変位に抵抗するほど十分高く、
前記第1の粘着性よりも低い第2の粘着性を備えた外面を有し、
前記アイソレータは、約0.1mm〜約0.8mmの範囲の厚さを有し、
前記アイソレータは、互いに異なる種類の材料で作られた2つの対向した部材相互間の接合部への取付け時に、前記2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、
前記マトリックス材料は、熱が加えられると、膨張して前記細長いストランドにより形成された前記複数個の開口部を満たすと共に前記アイソレータを封止して前記アイソレータと前記異種材料相互間の連結領域を結合する、インサート。
【請求項12】
前記インサートは、前記2つの対向した部材のうちのいずれか一方の非平面状表面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備えた1つ又は2つ以上の孔を有し、前記インサートの形状は、前記非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより前記非平面状表面と前記インサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、前記1つ又は2つ以上の孔が前記非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対する前記インサート又は両方のバンチングを行う、請求項11記載のインサート。
【請求項13】
前記マトリックス材料の活性化時に、前記マトリックス材料は、前記1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張する、請求項11又は12記載のインサート。
【請求項14】
前記細長いストランドは、前記ネットワークを形成するようよこ糸ストランドに対して全体として横断方向に延びるたて糸ストランドを含み、1インチ(2.54cm)当たりのたて糸ストランド本数と1インチ当たりのよこ糸ストランド本数の比は、約2:1から約1:2までの範囲にある、請求項11〜13のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項15】
前記複数個の開口部は、前記アイソレータを貫通して設けられた同一形状であり且つ等間隔を置いて設けられた開口部である、請求項11〜14のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項16】
前記インサートは、第1の粘着性を備えた前記マトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルムと、実質的には不粘着性である第2の粘着性を備えた前記外面と接触状態にある取扱いフィルムとを有する、請求項11〜15のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項17】
自動車の衝撃タワーハウジングとフレーム部材との間の取付け組立体であって、前記衝撃タワーハウジング組立体は、
外壁を有し、前記外壁は、第1のハウジング部分から全体として横方向に延びて前記第1のハウジング部分との間にキャビティを形成し、前記第1のハウジング部分を貫通して延びていて、前記キャビティ内に配置されたショックアブソーバの一部分に接近するための開口部が設けられ、
連結領域のところで第1の自動車フレーム部材に取り付けられる第1の取付け部分を有し、前記第1の取付け部分は、前記第1の取付け部分を前記第1の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、
連結領域のところで第2の自動車フレーム部材に取り付けられる第2の取付け部分を有し、前記第2の取付け部分は、前記第2の取付け部分を前記第2の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、
構造用取付けインサートを有し、前記構造用取付けインサートは、
前記連結領域の形状に一致するよう形作られた非導電性の構造用メッシュ材料を有し、前記非導電性構造用メッシュ材料を貫通して、複数個の同一形状であり且つ等間隔を置いて設けられた開口部が形成され、
前記非導電性構造用メッシュ材料の少なくとも一部分を覆うと共に前記非導電性構造用メッシュ材料を貫通して形成された前記複数個の開口部内に納められた熱活性化可能材料を有し、前記熱活性化可能材料は、柔軟性材料で形成され、
前記構造用取付けインサートは、第1及び第2の構造用取付けインサートを含み、前記第1の構造用取付けインサートは、前記第1の構造用取付けインサートを貫通した1つ又は2つ以上の孔を更に有し、前記1つ又は2つ以上の孔は、前記第1の取付け部分の前記取付け面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備え、前記第1の構造用取付けインサートの形状は、前記第1の取付け面の前記非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより前記非平面状表面と前記第1の構造用取付けインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、前記1つ又は2つ以上の孔が前記非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対する前記インサート又は両方のバンチングを行い、
前記フレーム部材及び前記インサートを貫通して前記衝撃タワーハウジングまで延びる複数個の締結具を有し、
前記第1及び前記第2の取付け部分の材料は、前記第1及び前記第2の自動車フレーム部材の材料とは種類が異なっており、前記非導電性構造用メッシュ材料は、前記第1及び前記第2の取付け部分を前記第1及び前記第2の自動車フレーム部材に取り付けた際、前記2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、
前記熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して前記構造用メッシュ材料を貫通して形成された前記複数個の開口部を満たし、前記構造用メッシュ材料並びに前記第1の取付け部分と前記第1の自動車フレーム部材の前記連結領域及び前記第2の取付け部分と前記第2の自動車フレーム部材の連結領域を周囲環境から封止すると共にこれらを結合し、
前記熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して前記複数個の締結具が前記構造用取付けインサートを貫通して延びる周囲領域を満たし、それにより水分が前記周囲領域に入るのを実質的に制限し又は阻止する、取付け組立体。
【請求項18】
前記マトリックス材料の活性化時に、前記マトリックス材料は、前記1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張する、請求項17記載のインサート。
【請求項19】
前記アイソレータは、細長いストランドの網状構造を有し、前記ストランドは、側方変位をしないよう互いに対して拘束され、前記ストランドは前記異種材料のうちの任意の一方のどの接触縁部とも全体として平行ではない状態に差し向けられた長手方向軸線を有し、前記細長いストランドは、ポリアミド、ポリエステル、ガラス繊維又はこれらの任意の組み合わせから成る、請求項17又は18記載の取付け組立体。
【請求項20】
自動車の衝撃タワーハウジングとフレーム部材との間の取付け組立体であって、前記衝撃タワーハウジング組立体は、
外壁を有し、前記外壁は、第1のハウジング部分から全体として横方向に延びて前記第1のハウジング部分との間にキャビティを形成し、前記第1のハウジング部分を貫通して延びていて、前記キャビティ内に配置されたショックアブソーバの一部分に接近するための開口部が設けられ、
連結領域のところで第1の自動車フレーム部材に取り付けられる第1の取付け部分を有し、前記第1の取付け部分は、前記第1の取付け部分を前記第1の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、
連結領域のところで第2の自動車フレーム部材に取り付けられる第2の取付け部分を有し、前記第2の取付け部分は、前記第2の取付け部分を前記第2の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、
熱活性化可能材料を有する構造用取付けインサートを有し、前記構造用取付けインサートは、第1及び第2の構造用取付けインサートを含み、前記第1の構造用取付けインサートは、前記第1の構造用取付けインサートを貫通した1つ又は2つ以上の孔を更に有し、前記1つ又は2つ以上の孔は、前記第1の取付け部分の前記取付け面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備え、前記第1の構造用取付けインサートの形状は、前記第1の取付け面の前記非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより前記非平面状表面と前記第1の構造用取付けインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、
前記フレーム部材及び前記インサートを貫通して前記衝撃タワーハウジングまで延びる複数個の締結具を有し、
前記第1及び前記第2の取付け部分の材料は、前記第1及び前記第2の自動車フレーム部材の材料とは種類が異なっており、前記非導電性構造用メッシュ材料は、前記第1及び前記第2の取付け部分を前記第1及び前記第2の自動車フレーム部材に取り付けた際、前記2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、
前記熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して前記第1の取付け部分と前記第1の自動車フレーム部材の前記連結領域及び前記第2の取付け部分と前記第2の自動車フレーム部材の前記連結領域を周囲環境から封止すると共にこれらを結合し、
前記熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して前記複数個の締結具が前記構造用取付けインサートを貫通して延びる周囲領域を満たし、それにより水分が前記周囲領域に入るのを実質的に制限し又は阻止する、取付け組立体。
【請求項1】
接着、封止及び絶縁のためのインサートであって、
融点又はガラス転移温度が約115℃以上の全体として非導電性のアイソレータと、
前記アイソレータと接触状態にあり、未硬化状態で粘着性を呈するマトリックス材料とを有し、前記マトリックス材料は、前記インサートの取付け後に熱を受けることにより硬化され、前記粘着性は、表面への被着後の変位に抵抗するほど十分に高く、
前記アイソレータは、2つの互いに異なる種類の材料相互間の接合部への取付け時に、前記2つの異種材料を結合して前記2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗する、インサート。
【請求項2】
前記アイソレータは、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長い繊維の網状構造を含む、請求項1記載のインサート。
【請求項3】
前記アイソレータ中の繊維は、前記異種材料のうちの任意の一方のどの接触縁部とも全体として平行ではない状態に差し向けられた長手方向軸線を有する、請求項1又は2記載のインサート。
【請求項4】
前記外面は、前記マトリックス材料を覆って位置する不粘着性取扱いフィルムの一部である、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項5】
前記マトリックス材料は、高い温度への暴露時に膨張可能である、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項6】
前記インサートは、前記異種材料のうちのいずれか一方の非平面状表面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備えた1つ又は2つ以上の孔を有し、前記インサートの形状は、前記非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより前記非平面状表面と前記インサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、前記1つ又は2つ以上の孔が前記非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対する前記インサート又は両方のバンチングを行う、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項7】
前記マトリックス材料の活性化時に、前記マトリックス材料は、前記1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張する、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項8】
前記インサートは、前記インサートを撓曲させるのに十分な力を受けると、その元の状態に弾性的に戻ることができる、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項9】
前記インサートは、前記インサートを撓曲させるのに十分な力を受けると、永久的に変形する、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項10】
前記インサートは、第1の粘着性を備えた前記マトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルムと、実質的には不粘着性である第2の粘着性を備えた前記外面と接触状態にある取扱いフィルムとを有する、請求項1〜9のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項11】
接着、封止及び絶縁のためのインサートであって、
全体として非導電性のアイソレータを有し、側方変位をしないよう互いに対して拘束された細長いストランドの網状構造によって前記アイソレータを貫通して複数個の開口部が形成され、前記細長いストランドは、ポリアミド、ポリエステル、ガラス繊維又はこれらの任意の組み合わせで形成され、
前記アイソレータを覆って埋め込まれていて、未硬化状態で第1の粘着性を呈するマトリックス材料を有し、前記マトリックス材料は、前記インサートの取付け後に熱への暴露によって硬化され、前記第1の粘着性は、これが表面への被着後の変位に抵抗するほど十分高く、
前記第1の粘着性よりも低い第2の粘着性を備えた外面を有し、
前記アイソレータは、約0.1mm〜約0.8mmの範囲の厚さを有し、
前記アイソレータは、互いに異なる種類の材料で作られた2つの対向した部材相互間の接合部への取付け時に、前記2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、
前記マトリックス材料は、熱が加えられると、膨張して前記細長いストランドにより形成された前記複数個の開口部を満たすと共に前記アイソレータを封止して前記アイソレータと前記異種材料相互間の連結領域を結合する、インサート。
【請求項12】
前記インサートは、前記2つの対向した部材のうちのいずれか一方の非平面状表面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備えた1つ又は2つ以上の孔を有し、前記インサートの形状は、前記非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより前記非平面状表面と前記インサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、前記1つ又は2つ以上の孔が前記非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対する前記インサート又は両方のバンチングを行う、請求項11記載のインサート。
【請求項13】
前記マトリックス材料の活性化時に、前記マトリックス材料は、前記1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張する、請求項11又は12記載のインサート。
【請求項14】
前記細長いストランドは、前記ネットワークを形成するようよこ糸ストランドに対して全体として横断方向に延びるたて糸ストランドを含み、1インチ(2.54cm)当たりのたて糸ストランド本数と1インチ当たりのよこ糸ストランド本数の比は、約2:1から約1:2までの範囲にある、請求項11〜13のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項15】
前記複数個の開口部は、前記アイソレータを貫通して設けられた同一形状であり且つ等間隔を置いて設けられた開口部である、請求項11〜14のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項16】
前記インサートは、第1の粘着性を備えた前記マトリックス材料と接触状態にある取り外し可能な剥離フィルムと、実質的には不粘着性である第2の粘着性を備えた前記外面と接触状態にある取扱いフィルムとを有する、請求項11〜15のうちいずれか一に記載のインサート。
【請求項17】
自動車の衝撃タワーハウジングとフレーム部材との間の取付け組立体であって、前記衝撃タワーハウジング組立体は、
外壁を有し、前記外壁は、第1のハウジング部分から全体として横方向に延びて前記第1のハウジング部分との間にキャビティを形成し、前記第1のハウジング部分を貫通して延びていて、前記キャビティ内に配置されたショックアブソーバの一部分に接近するための開口部が設けられ、
連結領域のところで第1の自動車フレーム部材に取り付けられる第1の取付け部分を有し、前記第1の取付け部分は、前記第1の取付け部分を前記第1の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、
連結領域のところで第2の自動車フレーム部材に取り付けられる第2の取付け部分を有し、前記第2の取付け部分は、前記第2の取付け部分を前記第2の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、
構造用取付けインサートを有し、前記構造用取付けインサートは、
前記連結領域の形状に一致するよう形作られた非導電性の構造用メッシュ材料を有し、前記非導電性構造用メッシュ材料を貫通して、複数個の同一形状であり且つ等間隔を置いて設けられた開口部が形成され、
前記非導電性構造用メッシュ材料の少なくとも一部分を覆うと共に前記非導電性構造用メッシュ材料を貫通して形成された前記複数個の開口部内に納められた熱活性化可能材料を有し、前記熱活性化可能材料は、柔軟性材料で形成され、
前記構造用取付けインサートは、第1及び第2の構造用取付けインサートを含み、前記第1の構造用取付けインサートは、前記第1の構造用取付けインサートを貫通した1つ又は2つ以上の孔を更に有し、前記1つ又は2つ以上の孔は、前記第1の取付け部分の前記取付け面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備え、前記第1の構造用取付けインサートの形状は、前記第1の取付け面の前記非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより前記非平面状表面と前記第1の構造用取付けインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、前記1つ又は2つ以上の孔が前記非平面状表面に被着されることなく、類似のインサートに対する前記インサート又は両方のバンチングを行い、
前記フレーム部材及び前記インサートを貫通して前記衝撃タワーハウジングまで延びる複数個の締結具を有し、
前記第1及び前記第2の取付け部分の材料は、前記第1及び前記第2の自動車フレーム部材の材料とは種類が異なっており、前記非導電性構造用メッシュ材料は、前記第1及び前記第2の取付け部分を前記第1及び前記第2の自動車フレーム部材に取り付けた際、前記2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、
前記熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して前記構造用メッシュ材料を貫通して形成された前記複数個の開口部を満たし、前記構造用メッシュ材料並びに前記第1の取付け部分と前記第1の自動車フレーム部材の前記連結領域及び前記第2の取付け部分と前記第2の自動車フレーム部材の連結領域を周囲環境から封止すると共にこれらを結合し、
前記熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して前記複数個の締結具が前記構造用取付けインサートを貫通して延びる周囲領域を満たし、それにより水分が前記周囲領域に入るのを実質的に制限し又は阻止する、取付け組立体。
【請求項18】
前記マトリックス材料の活性化時に、前記マトリックス材料は、前記1つ又は2つ以上の孔内に残っている開放空間を満たすよう流れ又は膨張する、請求項17記載のインサート。
【請求項19】
前記アイソレータは、細長いストランドの網状構造を有し、前記ストランドは、側方変位をしないよう互いに対して拘束され、前記ストランドは前記異種材料のうちの任意の一方のどの接触縁部とも全体として平行ではない状態に差し向けられた長手方向軸線を有し、前記細長いストランドは、ポリアミド、ポリエステル、ガラス繊維又はこれらの任意の組み合わせから成る、請求項17又は18記載の取付け組立体。
【請求項20】
自動車の衝撃タワーハウジングとフレーム部材との間の取付け組立体であって、前記衝撃タワーハウジング組立体は、
外壁を有し、前記外壁は、第1のハウジング部分から全体として横方向に延びて前記第1のハウジング部分との間にキャビティを形成し、前記第1のハウジング部分を貫通して延びていて、前記キャビティ内に配置されたショックアブソーバの一部分に接近するための開口部が設けられ、
連結領域のところで第1の自動車フレーム部材に取り付けられる第1の取付け部分を有し、前記第1の取付け部分は、前記第1の取付け部分を前記第1の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、
連結領域のところで第2の自動車フレーム部材に取り付けられる第2の取付け部分を有し、前記第2の取付け部分は、前記第2の取付け部分を前記第2の自動車フレーム部材に取り付けるための取付け面を有し、
熱活性化可能材料を有する構造用取付けインサートを有し、前記構造用取付けインサートは、第1及び第2の構造用取付けインサートを含み、前記第1の構造用取付けインサートは、前記第1の構造用取付けインサートを貫通した1つ又は2つ以上の孔を更に有し、前記1つ又は2つ以上の孔は、前記第1の取付け部分の前記取付け面への被着時に少なくとも部分的に結合される縁部を備え、前記第1の構造用取付けインサートの形状は、前記第1の取付け面の前記非平面状表面に全体として一致するようになり、それにより前記非平面状表面と前記第1の構造用取付けインサートとの間に形成される隙間を減少させ又はなくし、
前記フレーム部材及び前記インサートを貫通して前記衝撃タワーハウジングまで延びる複数個の締結具を有し、
前記第1及び前記第2の取付け部分の材料は、前記第1及び前記第2の自動車フレーム部材の材料とは種類が異なっており、前記非導電性構造用メッシュ材料は、前記第1及び前記第2の取付け部分を前記第1及び前記第2の自動車フレーム部材に取り付けた際、前記2つの異種材料を互いに直接的に接触させる変位に抵抗し、
前記熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して前記第1の取付け部分と前記第1の自動車フレーム部材の前記連結領域及び前記第2の取付け部分と前記第2の自動車フレーム部材の前記連結領域を周囲環境から封止すると共にこれらを結合し、
前記熱活性化可能材料は、熱が加えられると、膨張して前記複数個の締結具が前記構造用取付けインサートを貫通して延びる周囲領域を満たし、それにより水分が前記周囲領域に入るのを実質的に制限し又は阻止する、取付け組立体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【公表番号】特表2012−527591(P2012−527591A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511938(P2012−511938)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/035122
【国際公開番号】WO2010/135249
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(508036075)ゼフィロス インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/035122
【国際公開番号】WO2010/135249
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(508036075)ゼフィロス インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
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