説明

非常停止用押ボタンスイッチ

【課題】押ボタンの押動,捻回操作に連動して確実に開閉する簡易な構造のシャッタ開閉機構を提供する。
【解決手段】フレーム1に組み付けた押ボタン2,ベゼル3の周面に施錠穴2b,3aを向かい合わせに形成した上で、その施錠穴の内側にシャッタ部材7を配し、シャッタ部材7の開閉機構として、シャッタ部材の周上に設けた開閉ガイド9を押ボタン2の周壁に形成した案内溝2cに嵌入して軸方向へ移動可能に案内支持した上で、この開閉ガイドにはフレームに向けて突き出すようばね付勢されたロックピン11を設け、かつ該ロックピンに対向してフレーム1には押ボタン2の待機位置でシャッタ部材を閉塞位置に係合保持するストッパ部1bと、押ボタンのプッシュロック操作時にシャッタ部材を開放位置に移動させる開放ガイドカム部1cと、押ボタンのターンリセット操作によりシャッタ部材を開放位置から閉塞位置に移動させる復帰ガイドカム部1dを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御盤,分電盤などに装備して使用するプッシュロック/ターンリセット式の非常停止用押ボタンスイッチに関し、詳しくスイッチのロック位置で押ボタンに錠前を掛けて不測なリセット操作を防止するようにしたシャッタ付き施錠機構に係わる。
【背景技術】
【0002】
周知のように、頭記の非常停止用押ボタンスイッチは緊急非常時に押ボタンを押動操作(トリガ・アクション)して負荷(機械設備)の給電回路を強制断路するとともに、押しボタンを一旦押動操作してスイッチを切換動作させた後は、押ボタンから手を離しても接点機構を開極位置に自己保持させるセフティロック機能を備えたプッシュロック式のコマンドスイッチであり、制御盤,分電盤などの盤パネルに装着して使用する。
【0003】
また、この非常停止用押ボタンスイッチをロック位置から待機(ノーマル)位置に復帰させるリセット方式としては、押ボタンを引き戻すプルリセット方式と押ボタンを捻回操作して戻すターンリセット方式(例えば、特許文献1参照)があり、安全性確保の面からは誤動作防止機能の高いプッシュロック/ターンリセット式の非常停止用押ボタンスイッチが広く採用されている。
【0004】
ところで、非常停止用押ボタンスイッチを押動操作して負荷を停止させた状態でも、機械設備の点検中に保守員,あるいは第三者が誤って非常停止用押ボタンスイッチをリセット操作すると、負荷(機械設備)が活線状態になって作業中の保守員が感電するなどの事故が発生する恐れがあって危険である。
【0005】
そこで、従来では操作部に押ボタンを覆う施錠可能な保護カバー(誤操作防止カバー)を取り付けたり、シリンダ錠を押ボタンに設け、キーを挿入して解錠しないとスイッチのリセット操作ができないようにした鍵付きスイッチを用いたりしている。しかしながら、誤操作防止カバーはスイッチ本体と別部品であるため、盤側にカバーの設置スペースを確保する必要がある。また、鍵付きスイッチは解錠キーが一本(一種類)であるため、現場で作業する複数の保守員がそれぞれキーを保有して二重、三重の安全を図りたい場合には対応できないという問題がある。
【0006】
一方、前記問題の対応策として、非常停止用押ボタンスイッチの操作部に押ボタンの外周を囲むベゼルを追加装備した上で、このベゼルの周壁,および押ボタンの周壁に錠前のフックを通す施錠穴を開口しておき、押ボタンを押動操作したスイッチのロック位置で前記押ボタンを周方向に回転させて押ボタンの施錠穴がベゼルの施錠穴と内外で重なり合うように移動し、この重なり合った施錠穴に錠前(例えば、南京錠)を掛けて押ボタンをロック位置に施錠できるようにした非常停止用押ボタンスイッチが知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−178643号公報
【特許文献2】特開2006−049176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の特許文献2に開示されている非常停止用押ボタンスイッチでは、押ボタンの待機位置,および押動操作の途中では押ボタンおよびベゼルに開口した施錠穴が合致しないようにあらかじめ周方向にずらしておき、押ボタンが終端位置まで押し込まれてスイッチ部の接点が切換動作したロック位置で押しボタンを周方向に回転させて双方の施錠穴が内外に重なり合って合致するようにしている。これにより、押ボタンスイッチのロック位置で錠前による施錠を可能にし、他の操作状態では錠前を掛けて誤鎖錠するのを防止できる。
【0008】
ところで、前記の非常停止用押ボタンスイッチは、押ボタンの待機位置ではベゼルの周面に開口した施錠穴と押ボタンの周面に開口した施錠穴が互い重なりあわないように押ボタンの捻回操作角度(通常は45度)の範囲で互いに周方向にずらして形成しておく構造上の制約があり、したがって、個々の施錠穴は周方向の穴幅が制限されてあまり広げることができない。このために、南京錠などのフックを前記施錠穴に挿通して錠前を掛ける場合に、その作業がやり難い不便さがあるほか、鎖錠穴に錠前を掛けた状態でも錠前の動きが著しく制限されることにから、施錠,解錠の際に錠前の向きを自由に変えてキーを差込み易い向きに回動させることが困難となるなど使い勝手性にも問題がある。
【0009】
そのほか、特許文献1に開示されているプッシュロック/リターンリセット方式の非常停止用押ボタンスイッチの押ボタンロック機構は、そのプッシュロック行程で押ボタンを軸方向に押し込み、そのまま周方向に回転させずにロック位置に係止し、ターンリセット操作時に押ボタンを捻回操作して係止を釈放するようなロック構造を基本としていることから、この非常停止用押ボタンスイッチに前記した特許文献2の施錠方式をそのまま適用することはできない。
【0010】
この発明は上記の点に鑑みなされたものであり、ロック位置で押ボタンに錠前が掛けられるようにスイッチの操作部に設けた施錠穴を周方向に広げて錠前の掛け止め,施錠,解錠作業を楽に行うことができ、併せてこの施錠穴に併設したシャッタ部材を押ボタンのプッシュロック,ターンリセット操作に連動して的確に開放,閉塞位置に移動できるようにして施錠管理機能を高めたシャッタ付きの非常停止用押ボタンスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、この発明によれば、スイッチ操作部の前部に、復帰ばねを介して待機位置にばね付勢されたキャップ状の押ボタン,および該押ボタンの周域を包囲するベゼルを備え、かつ前記押ボタンにトリガーばねを介して連結した接点駆動用の押棒を操作部のフレームに内挿した上で、該フレームと前記押棒との間に、前方から押し込んだ押ボタンをロック位置に係止し、押ボタンの捻回操作により係止を解除するロック機構を備えたプッシュロック/ターンリセット式の非常停止用押ボタンスイッチであって、前記ベゼル,および押ボタンの周壁に錠前のフックを嵌挿して掛け止めする施錠穴を内外に向かい合わせて開口するとともに、その内周側に押ボタンのプッシュロック,ターンリセット操作に連動して前記施錠穴を開閉するシャッタ部材を配備したものにおいて、
前記シャッタ部材の開閉機構として、シャッタ部材の周上に開閉ガイドを設け、該開閉ガイドを押ボタンの周壁に形成した案内溝に嵌入してシャッタ部材を軸方向へ移動可能に案内支持した上で、この開閉ガイドには前記フレームに向けて突き出すようばね付勢されたロックピンを設けるとともに、該ロックピンに対向して前記フレームには押ボタンの待機位置でシャッタ部材を閉塞位置に係合保持し、押ボタンのプッシュロック操作によりロック位置で係合を解除するストッパ部と、該ストッパ部との係合を解除した状態から前記ロックピンの付勢ばね力を受けてシャッタ部材を開放位置に移動させる開放ガイドカム部と、押ボタンのターンリセット操作により前記ロックピンを介してシャッタ部材を開放位置から閉塞位置に移動させる復帰ガイドカム部とを形成する(請求項1)。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、押ボタンの周壁,およびベゼルの周壁に開口する施錠穴が向かい合って内外に並ぶよう配置して形成したので、押ボタンのリセット操作における捻回角度に規制されることなく、各施錠穴を周方向へ充分に広げて開口することが可能となる。これにより、施錠穴に錠前のフックを楽に挿通して掛け止めすることができるほか、錠前を施錠穴に掛けた状態でもキーが挿入し易いように錠前の向き,姿勢を自由に変えて施錠,解錠作業を楽に行うことができて使い勝手,利便性が向上する。
【0013】
また、押ボタンのプッシュロック,ターンリセット操作に連動して前記施錠穴を開閉するシャッタ部材を設けたことで、シャッタ無しの構造と比べて施錠の管理機能を高めることがでるほか、そのシャッタ開閉機構を、シャッタ部材に設けた開閉ガイドのロックピンと、このロックピンに対向して操作部のフレームに形成したストッパ部,開放ガイドカム部,および復帰ガイドカム部とで構成したことにより、前記ロックピンを中核部品とした簡易,かつコンパクトな機構でシャッタ部材を押ボタンのプッシュロック,ターンリセット操作に連動して的確に開放位置,閉塞位置に移動させることできる。
【0014】
しかも、前記したシャッタ部材,およびシャッタ開閉機構は、先記特許文献1のように、スイッチのプッシュロック行程では押動操作した押ボタンを周方向に回転させずにそのままロック位置に係止するプッシュロック/ターンリセット方式の非常停止用押ボタンスイッチに対し、そのロック機構を含むスイッチの基本構造,操作機能を変えることなしに適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図示実施例に基づいて説明する。なお、図1は非常停止用押ボタンスイッチの分解斜視図、図2〜図5はそれぞれ押ボタンの待機,プッシュロック操作の途中,ロック、ターンリセット操作途中の状態に対応するスイッチの斜視図、図6〜図8はそれぞれ押ボタンの待機,プッシュロック操作の途中,ロックの各状態に対応する押ボタンのロック機構,およびシャッタ開閉機構の動作説明図、図9はスイッチの穴に錠前を掛けて施錠した状態を表す斜視図であり、図1〜図8ではスイッチの前部に配した押ボタンの端面を上に向けて描かれている。
【0016】
図1において、1はスイッチ操作部のフレーム、2はフレーム1の前部に配した押ボタン、3は押ボタン2の周域を包囲してフレーム1にねじ込み結合した円筒状のベゼル、4はフレーム1と押ボタン2との間に介挿した復帰ばね(捩じりコイルばね)、5は押ボタン2の内筒部2a(図6参照)にトリガーばね6を挟んで連結した押棒であり、フレーム1の後部に延在する小径筒部の内部に接点機構(不図示)が組み込まれ、前記押棒5をアクチュエータとしてその先端が接点機構に連繋されている。なお、前記の各部品は一部の金属部品を除いて樹脂モールド品で構成されている。
【0017】
ここで、前記押棒5の外周面には軸方向に沿って形成したリブ状のガイド5a,および上下に係合爪5b,5cを形成した上で、ガイド5aを押ボタン2の内筒2aに形成した軸方向のガイド溝に嵌合して軸方向にのみ相対移動できるように連結している。さらに押棒5の下部周面上に開口した角穴には後記のように内側からばねで押圧して外周面から突き出すように付勢したロックチップ8を設け、このロックチップ8をフレーム1の内壁周面に沿って形成した凸条ストッパ1aに対峙させている。なお、この凸条ストッパ1aは、押ボタン2の捻回角度に合わせて周方向の延在長さを設定しており、スイッチのターンリセット時に押ボタン2を周方向に捻回操作すると、前記のロックチップ8が凸条ストッパ1aの切れ目を擦り抜けて押棒5との係合を解除するようにしている。
【0018】
上記したスイッチの構造は先記の特許文献1に開示されている非常停止用押ボタンスイッチと基本的に同様であり、そのプッシュロック/ターンリセット操作は特許文献1に詳しく述べられている。
【0019】
また、図示実施例の非常停止用押ボタンスイッチには、押ボタン2に南京錠などの錠前を掛けてロック位置に施錠するために(図9で参照)、押ボタン2およびベゼル3の周面には錠前を掛け止めする施錠穴2b,3aを開口し、さらにフレーム1の周面には前記施錠穴2b,3aと連通し合う凹溝1eが形成されている。なお、ベゼル3に開口した施錠穴3aは周方向に間隔を置いて開口した左右1対の長方形の穴で形成しているのに対して、この施錠穴3aの内側に向かい合わせて形成した押ボタン2の施錠穴2b,およびフレーム1の凹溝1eは、ベゼル3に形成した左右一対の施錠穴3aに跨がるような長さに設定されている。また、押ボタン2,ベゼル3には複数組の施錠穴を周上に並べて設けることができ、図示実施例ではスイッチ操作部の左右両側面に割り付けて2組の施錠穴を備えている。
【0020】
一方、押ボタン2の内周側には押ボタンのプッシュロック/ターンリセット操作に連動して前記施錠穴2b,3aを開閉する円筒状のシャッタ部材7が前記フレーム1と押ボタン2との間に介挿配備されている。また、このシャッタ部材7には周上に開閉ガイド9を設け、そのばね受座9aに圧縮コイルばね10を介して内周側に突き出すように押圧付勢したロックピン11を次記のようにフレーム1の外周面側に対峙させており、スイッチの組立状態ではシャッタ部材7の外周に突き出た前記ばね受座9aを押ボタン2の周面に形成したシャッタガイド溝2cに嵌入して軸方向へ移動可能に案内支持している。
【0021】
すなわち、前記のロックピン11に対向してフレーム1の外周面にはストッパ部1b,開放ガイドカム部1c,および復帰ガイドカム部1dを形成してシャッタ開閉機構を構成し、押ボタン2のプッシュロック,ターンリセット操作に連動してシャッタ部材7を開放,閉塞位置に移動制御するようにしている。ここで、ストッパ部1bは図6(b)の断面図で表すようにフレーム1の周面から膨出した凸状段部であり、このストッパ部1bに連ねてその背後側には膨出寸法を漸次縮小するように図面上で下向きに傾斜したテーパー状の開放ガイドカム部1cが形成されており、さらに開放ガイドカム部1cの側方には周方向に沿って上向きに傾斜したテーパー状の復帰ガイドカム部1dが形成されている。
【0022】
次に、前記構成になる非常停止用押ボタンスイッチの各操作状態を図2〜図5、および図6〜図8で説明する。なお、図6〜図8において(a)図,(b)図はそれぞれ図1の矢視X−X,Y−Yに沿った内部機構の断面図を表している。
【0023】
まず、図2,図6(a),(b)は非常停止用押ボタンスイッチの待機(ノーマル)状態を表し、押ボタン2は復帰ばね4のばね力を受けてフレーム1の前方に突き出している。この待機状態では、押ボタン2に係合爪5bを介して連結された押棒5が前方に移動して接点機構(b接点)を閉極位置に保持している。また、押ボタン2に開口した施錠穴2bは図示のようにベゼル3の施錠穴3aと合致しないよう前方にずれて位置し、さらにシャッタ部材7は次記のように施錠穴3aを閉塞する位置に係止保持されている。
【0024】
すなわち、図6(b)で示すように、待機状態ではシャッタ部材7に設けたロックピン11がばね付勢を受けてフレーム1に形成したストッパ部1bの凸状段部に当接係合し、この位置でシャッタ部材7を閉塞位置に保持している。なお、この待機状態では、押棒5の後端に形成した係合爪5cがフレーム1の内周壁面に形成したストッパ1fに係合してこの位置に係止保持されている。
【0025】
次に、前記の待機状態から押ボタン2を押動操作すると、ロック位置に到達する直前では図3および図7(a),(b)で示すように押ボタン2の鎖錠穴2bとベゼル3の施錠穴3a、およびフレーム1の凹溝1eが内外で合致するようになるが、シャッタ部材7は依然として待機状態と同じ閉塞位置に係合保持されており、この状態ではベゼル3の施錠穴3aに錠前を掛けることができない。
【0026】
そして、図3の位置から押ボタン2がさらに押し込まれると、トリガーばね6(トリガーばね6のばね定数は復帰ばね4よりも小)を圧縮して押棒5を軸方向に押圧する。一方、この押圧力を受けた押棒5は、図8(a)で示すようにロックチップ8がフレーム1の凸条ストッパ1aの段部を乗り越えてロック位置に係止されるとともに、押棒5の先端がフレーム1の後端部に内蔵した接点機構の接点(b接点)を開極させる。
【0027】
また、押ボタン2をこのロック位置に押し込むと、ガイド溝2c(図1参照)に嵌合して案内支持されている開閉ガイド9のばね受座9aを軸方向に押圧する。これにより、いままでフレーム1のストッパ部1bに係止保持されていたロックピン11(図7(b)参照)が、フレーム1のストッパ部1bを乗り越えてシャッタ部材7の係止を解除する。同時に凸状のストッパ部1bを乗り越えてその背後の開放ガイドカム部1cに移動したロックピン11には、開放ガイドカム部1cの傾斜カム面に沿って圧縮コイルばね10のばね力が加わる。これにより、シャッタ部材7はロックピン11とともに、図8(a),(b)に示すように閉塞位置から後退移動して鎖錠穴2b,3aを完全に開放する。
【0028】
この状態になると、図9で示すように押ボタン2およびベゼル3の周面に左右に振り分けて開口した鎖錠穴2bおよび3aに南京錠12,シザースロック13(複数の南京錠に対応した施錠補助具)のフック12a,13aを挿通して掛け止めした上で、シザースロック13に開口した複数の各施錠穴に南京錠を掛けて多重に施錠することができる。この場合に、施錠穴2b,3aは先記のように周方向の穴幅が広くなっているので、錠前のフック掛け作業が楽に行える。また、この鎖錠穴2b,3aに前記のフック12a,13aを掛け止めした状態でも、錠前を広範囲に動かして施錠,解錠作業がやり易い姿勢に変えることが可能である。
【0029】
このように、非常停止用押ボタンスイッチをプッシュロック操作して機械設備を強制停止した状態で、機械設備を点検する保守員が図9のように押ボタン2,ベゼル3に錠前を掛けて施錠しておけば、当事者以外の第三者によるスイッチのリセット操作を確実に防ぐことができる。
【0030】
次に、非常停止用押ボタンスイッチのターンリセット操作時における動作を説明する。すなわち、図9の施錠状態から錠前(南京錠12,シザースロック13)を解錠してベゼル3の施錠穴3aから取り外した後に、押ボタン2を図5の矢印方向(時計方向)に向けて約45°手動で捻回操作すると、押ボタン2と一緒に押棒5が周方向に回転し、押棒5の周面に突き出しているロックチップ8がフレーム1に形成した凸条ストッパ1aの切れ目を擦り抜けて押棒5の係合が解除される。これにより、押ボタン2,および押棒5は復帰ばね(捻りコイルばね)4のばね力を受けてロック位置(図4参照)から前方に向け移動して接点機構をリセットするととともに、押ボタン2は図2の待機位置に復帰する。また、スイッチのタ-ンリセット操作に合わせて押ボタン2を矢印方向に捻回すると、シャッタ部材7が押ボタン2と一緒に時計方向に回転する。これにより、開閉ガイド9に設けたロックピン11がフレーム1に形成した開放ガイドカム部1cの終端から復帰ガイドカム部1dに移行し、その傾斜カム面に沿って前方に押出しガイドされるとともに、シャッタ部材7も図8に示した開放位置から図2の閉塞位置に移動して待機状態に復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例による非常停止用押ボタンスイッチの分解斜視図
【図2】図1のスイッチで押ボタンの待機状態を表す外観斜視図
【図3】図1のスイッチで押ボタンのプッシュロック操作途中の状態を表す外観斜視図
【図4】図1のスイッチで押ボタンのロック状態を表す外観斜視図
【図5】図1のスイッチで押ボタンのタ-ンリセット操作途中の状態を表す外観斜視図
【図6】図2に対応する押ボタンのロック機構,およびシャッタ開閉機構の動作説明図で、(a),(b)はそれぞれ図1の矢視X−X,Y−Y断面図
【図7】図3に対応する押ボタンのロック機構,およびシャッタ開閉機構の動作説明図で、(a),(b)はそれぞれ図1の矢視X−X,Y−Y断面図
【図8】図4に対応する押ボタンのロック機構,およびシャッタ開閉機構の動作説明図で、(a),(b)はそれぞれ図1の矢視X−X,Y−Y断面図
【図9】図4のロック状態で施錠穴に錠前を掛け止めした状態の外観斜視図
【符号の説明】
【0032】
1 フレーム
1b ストッパ部
1c 開放ガイドカム部
1d 復帰ガイドカム部
2 押ボタン
2b 施錠穴
3 ベゼル
3a 施錠穴
4 復帰ばね
5 押棒
6 トリガーばね
7 シャッタ部材
8 ロックチップ
11 ロックピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ操作部の前部に、復帰ばねを介して待機位置にばね付勢されたキャップ状の押ボタン,および該押ボタンの周域を包囲するベゼルを備え、かつ前記押ボタンにトリガーばねを介して連結した接点駆動用の押棒を操作部のフレームに内挿した上で、該フレームと前記押棒との間に、前方から押し込んだ押ボタンをロック位置に係止し、押ボタンの捻回操作により係止を解除するロック機構を備えたプッシュロック/ターンリセット式の非常停止用押ボタンスイッチであって、前記ベゼル,および押ボタンの周壁に錠前のフックを嵌挿して掛け止めする施錠穴を内外に向かい合わせて開口するとともに、その内周側に押ボタンのプッシュロック,ターンリセット操作に連動して前記施錠穴を開閉するシャッタ部材を配備したものにおいて、
前記シャッタ部材の開閉機構として、シャッタ部材の周上に開閉ガイドを設け、該開閉ガイドを押ボタンの周壁に形成した案内溝に嵌入してシャッタ部材を軸方向へ移動可能に案内支持した上で、この開閉ガイドには前記フレームに向けて突き出すようばね付勢されたロックピンを設けるとともに、該ロックピンに対向して前記フレームには押ボタンの待機位置でシャッタ部材を閉塞位置に係合保持し、押ボタンのプッシュロック操作によりロック位置で係合を解除するストッパ部と、該ストッパ部との係合を解除した状態から前記ロックピンの付勢ばね力を受けてシャッタ部材を開放位置に移動させる開放ガイドカム部と、押ボタンのターンリセット操作により前記ロックピンを介してシャッタ部材を開放位置から閉塞位置に移動させる復帰ガイドカム部とを形成したことを特徴とする非常停止用押ボタンスイッチ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−266554(P2009−266554A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113780(P2008−113780)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(390021186)株式会社秩父富士 (54)
【出願人】(508296738)富士電機機器制御株式会社 (299)
【Fターム(参考)】