説明

非常停止用押ボタンスイッチ

【課題】軸方向に押ボタンが押込み位置にロックされた状態の押ボタンスイッチにおいて、意図しない操作等によって誤って押ボタンのロックが解除されても、直ちに押ボタンおよび接点ユニットが復帰動作することがないようにした非常停止用押ボタンスイッチを提供する。
【解決手段】押ボタンスイッチの操作部に押ボタンと、これに軸方向に遊動可能に結合された前記スイッチユニットを開閉操作する押棒と、この押棒を常時軸方向に押圧するように設けられた駆動ばねとを設け、押ボタンをロックする前記ロック機構に、前記押棒を待機位置で係止する第1の係止手段と、前記押ボタンの押込み操作に連動して押し込まれた前記押棒を押込み位置で係止する第2の係止手段と、前記押ボタンの復帰操作に連動して前記押棒を待機位置に戻す復帰手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運転中の機器を非常時に停止させるために用いられる非常停止用押ボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の押ボタンスイッチは、一般に押込み操作可能な押ボタンを有する操作部と、この操作部に連結された接点ユニットとからなり、非常時には押ボタンの押込み操作により接点ユニットの接点の開閉状態が切り換えられ、同時に押ボタンが押込み状態にロックされるように構成されている。そして、ロックされた押ボタンのロックを解除する方式としては、押ボタンを捻回するターンリセット方式と、押ボタンを引張り上げるプルリセット方式とがある。
【0003】
この種の押ボタンスイッチは、従来から特許文献1等により知られている。この特許文献1に示された従来の非常停止用押ボタンスイッチの構成を図7に示す。
【0004】
図7において、24は頭部に押ボタン25が結合され下端に条溝24a、傾斜面24b、凸部24cを有する押棒、27はケース36にねじ38により取り付けられたガイドケース32内に移動自在に収納され、ばね26により押棒24側に水平に押圧されたピン、29は、ベース39により案内され接点ユニット28を操作する下部押棒、30,31はそれぞれ復帰ばね、34は、ケース36をパネル33の取付孔33aに取り付けるナット、35はパネル33の表面からの水や油の侵入を防ぐパッキンである。
【0005】
この図7に示す従来の非常停止用押ボタンスイッチの動作は次のとおりである。
【0006】
すなわち、押ボタン25を押込み操作すると、押棒24が押下げられ、この押棒24の下端に設けた条溝24aに接しているピン27が傾斜面24bに案内されてばね26に抗して外方向に移動する。押棒24が更に押下げられピン27が押棒24の突部24cを乗り越えると、ピン27はばね26によって内方向に移動して突部24cの上面に突出し、押ボタン25の押込み状態を保持する。このとき、押棒24は下部押棒29を押し下げて下部押棒29により接点ユニット28を動作させ、接点の開閉状態を切り換える。
【0007】
次に、押ボタン25の押込み状態を解除して復帰させるには、押ボタン25を捻回操作する。このとき押棒24がともに回転し、図8に示すように押棒24の突部24cに形成された、ピン27の通過可能な条溝24aに連通した溝24dがピン27と対向する位置にきたところで、押ボタン25および押棒24のロックが解除される。これにより、押棒24および下部押棒29が復帰ばね30および31により押し上げられ、ピン27が条溝24a内に戻り、図7に示す元の状態に復帰する。復帰ばね31は、一端を押棒24に、他端をガイドケース32に係止された押しばね兼用の捩りばねで構成されているので、押棒24を元の捻回前の位置に戻し、ピン27と突部24cの溝24dとの回転方向の位置関係を図8に示す待機位置に復帰させる。
【0008】
このように構成された押ボタンスイッチは、押ボタンの押込み操作により、接点ユニット28の開閉状態を切り換えるとともに、押ボタンを押込み位置にロックし、保持することができ、押ボタンの捻回操作により待機位置に復帰することができる。
【特許文献1】特開平01−105421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように従来の非常停止用押ボタンスイッチにおいては、押ボタンが押込み操作位置にロックされた状態では、復帰ばね30および31が圧縮され、押ボタン25および接点ユニット28に復帰させる方向の荷重が働いている。このため押ボタンスイッチが押込み位置にロック(保持)された状態(非常停止状態)において、誤って押ボタンに手が触れたり、衣服が引っ掛かったりして、押ボタンが不用意に動いてロックが解除されると、直ちに押ボタンおよび押棒が復帰するのにともなって、接点ユニットの接点が復帰動作し機器が元の状態に戻り、危険状態が再発される危険がある。
【0010】
この発明は、このような危険を回避するため、押ボタンが押込み位置にロックされるようにした押ボタンスイッチにおいて、意図しない操作等によって誤って押ボタンのロックが解除されても、直ちに押ボタンおよび接点ユニットが復帰動作することがないようにした非常停止用押ボタンスイッチを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するため、この発明は、軸方向に押込み操作可能な押ボタンを有する操作部と、この操作部に結合されたスイッチユニットとからなり、前記押ボタンの押込み操作により前記スイッチユニットの接点が切り換えられるとともに、前記操作部に前記押ボタンを押込み状態にロックするロック機構が設けられた非常停止用押ボタンスイッチにおいて、前記操作部が、前記押ボタンと、この押ボタンに軸方向に遊動可能に結合された、前記スイッチユニットを開閉操作する押棒と、この押棒を常時軸方向に押圧するように設けられた駆動ばねとを備え、前記ロック機構が、前記押棒を待機位置で係止する第1の係止手段と、前記押ボタンの押込み操作に連動して押し込まれた前記押棒を押込み位置で係止する第2の係止手段と、前記押ボタンの復帰操作に連動して前記押棒を待機位置に戻す復帰手段とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
この発明においては、前記第1の係止手段および第2の係止手段は、それぞれ前記押ボタンを支持するフレームカバーに半径方向に可動的に弾性支持されたロックピンと、前記押棒の周壁に前記ロックピンの先端の係合可能に軸方向に間隔をおいて設けられた第1の凹溝および第2の凹溝とにより構成し、押棒を待機位置に戻す復帰手段は、前記ロックピンと、前記押棒の外周に設けた第1の凹溝と第2の凹溝とに跨って形成され、前記ロックピンと摺接可能に軸方向に延びた傾斜壁とにより構成することができる。
【0013】
また、この発明においては、前記第1の係止手段および第2の係止手段は、それぞれ前記押ボタンを支持するフレームカバーに水平方向に可動的に弾性支持されたロックピンと、前記押棒の周壁に前記ロックピンの先端の係合可能に軸方向に間隔をおいて設けられた第1の凹溝および第2の凹溝とにより構成し、押棒を待機位置に戻す復帰手段は、上端面が軸方向に傾斜し、前記本体フレーム内に設けられたカム体と、先端が前記カム体の上端面に摺接可能に前記押ボタン内に設けられた押上片とにより構成するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、非常停止用押ボタンスイッチにおける操作部の押ボタンに、スイッチユニットを開閉操作可能に設けられた押棒が常時駆動ばねにより押圧されて押ボタンに連結されているため、押ボタンスイッチが押込み位置にロックされた状態においても接点ユニットを操作する押棒が前記駆動ばねにより押込み方向、すなわちスイッチユニットを駆動する方向に押圧されるようになり、そして押棒を復帰ばねによらないで、押ボタンの復帰操作に連動する復帰手段により復帰位置に復帰されるようになることにより、仮に、押ボタンが意図しない外力を受けて、誤って復帰方向に移動しても、押棒が直ちに復帰されることがなくなるためスイッチユニットの接点が復帰されず、非常停止された機器が元の状態に戻る危険を防止することができる。したがって、この発明の非常停止用押ボタンスイッチは、不用意な操作に対する誤動作を防止することができ、信頼性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の実施の形態を図に示す実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1Aないし図3は、この発明の第1の実施例による非常停止用押ボタンスイッチの構成を示すものであり、図1Aはこの発明の実施例による非常停止用押ボタンスイッチの外観を示す斜視図、図1Bは図1AにおけるB−B線に沿う縦断面図、図1Cは、図1AにおけるC−C線に沿う縦断面図、図2Aはこの発明に使用するスイッチユニットのa接点ユニットの構成図、図2Bは同b接点ユニットの構成図、図3はこの発明の実施例による非常停止用押ボタンスイッチを分解して示す斜視図である。
【0017】
図1Aないし図3において、非常停止用押ボタンスイッチ1は、本体フレーム1−1に操作部2、スイッチユニット3およびLED表示ユニット4を一体に組み込んで構成されている。この押ボタンスイッチ1は、図示しない制御盤のパネルの取付穴にフレーム1−1を挿通し、取付ナット1−3、弾性ワッシャ1−4等により締め付けけることによりパネルに取り付けられる。
【0018】
フレーム1−1内には凹凸嵌合によりフレームカバー1−2が固定されている。操作部2は、フレーム1−1の上端に軸方向および回転方向に上下動および回動可能に嵌合された押ボタン2−2、この押ボタン2−2の内側に一体に結合されたボタン受2−3、フレーム1−1と押ボタン2−2の間に介装されたパッキン2−4およびボタン受2−3の脚片2−3aの窓穴2−3b(図3参照)に突起2−7aを上下(軸)方向に遊動可能に係合された押棒2−7を備えている。遊動の範囲は、ボタン受2−3の脚片の窓穴2−3bの大きさの範囲である。ボタン受2−3はフレームカバー1−2に上下動可能に、かつ約45°の範囲で回転可能に嵌合されている。
【0019】
操作部2のボタン受2−3とフレームカバー1−2との間に捩りコイルばねで構成された押ボタン復帰ばね2−6が装着され、押棒2−7とフレームカバー1−2との間に圧縮コイルばねで構成された駆動ばね2−8が圧縮して装着されている。これにより押棒2−7は常に下方へ押圧され、突起2−7aの下端面がボタン受2−3の脚片2−3aの窓穴2−3bの下側縁に押し付けられる。押棒2−7は筒状に構成され、その内部空所にLEDランプを備えた表示ユニット4が固定的に配置され、ボタン受2−3の中心部には表示ユニット4の表示光により押しボタン2−1を照光するために透光穴2−3cが設けられている。
【0020】
本体フレーム1−1の下部にスイッチユニット3が装着されている。このユニット3の上端に押棒2−7と対向して可動フレーム3−1a,3−1bが突出されている。スイッチユニット2内には、図2Aおよび図2Bに示すように構成されたa接点およびb接点ユニット3aおよび3bが組み込まれている。
【0021】
図2Aは、a(常開)接点構成の接点ユニット3aを示す。復帰ばね3−6aにより可動的に支持された可動フレーム3−1aが両端に可動接触部を備えた可動接触子3−2aを支持する。可動接触子3−2aに対向した配置された固定接点3−3aを引出し端子と一体に構成された固定接触子片3−5aにより支持している。可動フレーム3−1aを押し下げることにより、常時は開いている可動接点3−2aと固定接触子3−3bとが閉じるようになる。
【0022】
図2Bに示すb(常閉)接点構成の接点ユニット3bの場合は、可動フレーム3−1bにより支持された可動接触子3−2bと固定接触片3−5bにより支持された固定接点3−3bとが常時は閉じており、可動フレーム3−1bを押し下げることによりこれらの接点が開かれるようになる。
【0023】
このように構成された押ボタンスイッチ1には非常停止用にロック機構が設けられる。ロック機構は、図1Cに示すように、フレーム1−1に固定されたフレームカバー1−2に水平方向(半径方向)に対向して設けられた1対のロックピン収容穴1−3にばね1−4を介して出没可能に収容されたロックピン1−5と、押棒2−7の外周にロックピン1−5が係合可能に設けられた第1の凹溝2−7bおよび第2の凹溝2−7cを備える。押棒2−7の外周面に設けたロック機構は、図4に拡大して示すように、第1の凹溝2−7bと第2の凹溝2−7cとの間には凸壁2−7dが設けられるが、これは、回転方向の一端側で切り欠かれており、両方の凹溝はこの切欠き2−7eによって連通されている。かつ、この凹溝2−7bと2−7cを連通する切欠き2−7eの側壁は上下(軸)方向に右下がりに傾斜された傾斜壁2−7fとなっている。
【0024】
次に、このように構成された非常停止用押ボタンスイッチの動作を図4および図5Aないし図5Dを参照しながら説明する。
【0025】
非常停止用押ボタンスイッチ1は、待機状態では、押ボタン2−2が図5Aに示すように復帰ばね2−6により押し上げられた待機位置に置かれている。このときは、押棒2−7の第1の凹溝2−7aがロックピン1−5と対向する位置にあり、ロックピン1−5は先端が、図4における1−5Aの位置で凹溝2−7aと係合し、凸壁2−7cの下面に当接し、押棒2−7をこの位置(待機位置)に係止する。このとき、押棒2−7の下端はスイッチユニット3の可動フレーム3−1の上端から離間しており、スイッチユニット3は操作されない状態にある。
【0026】
機器の運転に異常が生じこれを非常停止する場合は、非常停止回路に設けられた押ボタンスイッチ1の押ボタン2−2を軸方向に押込み操作する。押棒2−7は駆動ばね2−8により押圧されて、突起2−7aが脚片2−3aに押し付けられているので、押ボタン2−2およびボタン受2−3とともに下降する。これに伴って、ロックピン1−5はロック機構の凸壁2−7dの傾斜した下面で外側へ押されて収容穴1−3内に押し込まれながら、押棒2−7に対して図4に矢印Aで示すように移動する。ロックピン1−5がロック機構の凸壁2−7cを乗り越えたところで、係止が解かれて、押棒2−7が駆動ばね2−18によって、急激に押し下げられるため、図5Bに示すようにロックピン1−5が第2の凹溝2−7b内へ移動し、これと係合し、押棒2−7および押ボタン2−2がこの押込み位置で係止される。
【0027】
このように押棒2−7が押込み位置まで押し込まれると、その下端で、スイッチユニット3の可動フレーム3−1aおよび3−1bを押し下げるので、スイッチユニット3の内部のa接点ユニット3aは開から閉に、b線点ユニット3bは閉から開に接点の開閉状態が切り換わり、機器に非常停止指令を発するようになる。
【0028】
押込み位置にロックされ押ボタンスイッチ1を復帰状態に戻す際は,押しボタン2−2を時計方向に約45°捻回操作をする。これにより、押棒2−7が押ボタン2−2とともに回転するので、凹溝2−7bに係合されたロックピン1−5は、凹溝2−7b内を相対的に図4に矢印Bで示すように右側へ移動し、切欠き2−7dの傾斜壁2−7fに当接する位置1−5Cへくる。さらに捻回が継続されることにより、ロックピン1−5が傾斜壁2−7fの壁面で押されて図4に矢印Cで示すように下降し、凸壁2−7dの切欠き2−7e内へ移動する。この状態が図4における1−5Dの位置であり、押ボタンスイッチ1は図5Cに示す状態となる。この状態では、押棒2−7のロックピン1−5によるロックは解除されているが、駆動ばね2−8があるため、押棒2−7は復帰ばね2−6による復元力より復帰方向へ戻されることなく、この位置に留まっている。
【0029】
さらに、押ボタン2−2を捻回することによりロックピン1−5は傾斜壁2−7fによって押されて切欠き2−7eを通って第1の凹溝2−7a内の図4における1−5Eの位置へ初めて移動する。図4には、ロックピン1−5が押棒2−7に対して移動するように示しているが、ロックピン1−5は収容穴1−3に収容され軸方向には固定されているため、実際には、押棒2−7が駆動ばね2−8を圧縮しながら上方へ移動し、復帰位置へ戻されることになる。そして、押ボタン2−2の捻回操作を止めて押ボタン2−2から手を放すと、復帰ばね2−6の回転方向の復元力により押ボタン2−2とともに押棒2−7が元の回転位置に復帰するとともに、かつ上下方(軸)向の位置も元の位置に押し上げられて復帰位置へ戻る。これにより、ロックピン1−5は、図4の元の位置1−5Aへ戻って、押ボタンスイッチ1は図5Aに示すような待機状態に戻る。
【0030】
この発明の非常停止用押ボタンスイッチによれば、押込み位置にロックされた状態で、不用意に押ボタン2−2が解除方向に僅かに操作されても、押棒2−7が駆動ばね2−8によりスイッチユニット3を操作する方向に付勢されているので、スイッチユニット3が元の状態に復帰されることがなく、不用意に非常停止が解除される危険を防止することができる。
【0031】
意図して解除する場合は、更に押ボタン2−2の捻回を継続することにより、押棒2−7に設けた傾斜壁などの復帰手段により駆動ばね2−8を圧縮しながら押棒2−7を元の位置に押し上げて待機位置に容易に戻すことができる。
【実施例2】
【0032】
この発明における復帰手段の第2の実施例を図6に示す。図6(a)は、押ボタンスイッチ1の図1AにおけるD−D線に沿う縦断面図であり、(b)はこの実施例におけるカム体1−8を回転方向に展開して示す側面図である。
【0033】
カム体1−8は、前記第1の実施例において押棒2−7の外周壁に設けた傾斜壁2−7fの代わりに、本体フレーム1−1の内周壁の一部を内方へ張り出して形成されている。このカム体1−8は半径方向の互いに対向する位置に1個ずつ設けられる。その上端に、図6(a)に示すように回転位置に対して上下(軸)方向に右上がりに傾斜した傾斜面1−8aが形成されている。また、このカム体1−8の傾斜面1−8aに摺接可能に押ボタン2−2に結合されたボタン受2−3の内側に下方へ延びた押上片2−3aが設けられている。
【0034】
この実施例2の押ボタンスイッチのその他の構成は、前記の第1の実施例と同じであるので、その説明を省略する。
【0035】
押ボタンスイッチ1の押ボタン2−2を押込み操作すると、押ボタン2−2および押棒2−7が押込み位置でロック機構によりロックされる(第1の実施例参照)。そのとき、ボタン受2−3に設けられた押上片2−3aは、図6(a)の実線で示す位置まで下降している。
【0036】
押込み位置にロックされた押ボタンスイッチ1のロックを解除して待機位置に復帰させるには、前記第1の実施例と同様に、押ボタン2−2を時計方向に捻回操作する。これにより、ロック機構のロックが解除されるとともに、押上片2−3aが押ボタン2−2ととともに回転することにより、カム体1−8の上端の傾斜面1−8aを摺接しながら点線で示すように上方へ押し上げられるようになるため、押ボタン2−2と一緒に押棒2−7が駆動ばね2−8を圧縮しながら上昇し待機位置に復帰するようになる。
【0037】
この第2の実施例は、復帰手段の構成が異なるのみで、その他の機能は第1の実施例と同じであり、不用意な復帰操作によるスイッチユニットの復帰動作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】この発明の実施例による非常停止用押ボタンスイッチの外観を示す斜視図である。
【図1B】図1AにおけるB−B線に沿う縦断面図である。
【図1C】図1AにおけるC−C線に沿う縦断面図である。
【図2A】この発明に使用するスイッチユニットのa接点構成の接点ユニットの構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2B】この発明に使用するスイッチユニットのb接点構成の接点ユニットの構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】この発明の実施例による非常停止用押ボタンスイッチを分解して示す斜視図である。
【図4】この発明の実施例による非常停止用押ボタンスイッチのロック機構の動作説明図である。
【図5A】この発明の非常停止用押ボタンスイッチの待機状態の動作説明図である。
【図5B】この発明の非常停止用押ボタンスイッチの押込み位置でのロック状態の動作説明図である。
【図5C】この発明の非常停止用押ボタンスイッチの復帰過程の中間状態の動作説明図である。
【図5D】この発明の非常停止用押ボタンスイッチの復帰過程での待機位置復帰直前の状態の動作説明図である。
【図6】この発明の異なる実施例の非常停止用押ボタンスイッチを示すもので、(a)は図1AにおけるD−D線に沿う縦断面図、(b)はこの発明に使用するカム体を回転方向に展開して示す側面図である。
【図7】従来の非常停止用押ボタンスイッチの構成を示す縦断面図である。
【図8】従来の非常停止用押ボタンスイッチのロック機構の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1:非常停止用押ボタンスイッチ
1−1:本体フレーム
1−2:フレームカバー
1−5:ロックピン
2:操作部
2−2:押ボタン
2−3:ボタン受
2−6:復帰ばね
2−7:押棒
2−7a:係合突起
2−7b:第1の凹溝
2−7c:第2の凹溝
2−7d:凸壁
2−7e:凸壁の切欠き
2−7f:傾斜壁
3:スイッチユニット
3−1a,3−1b:可動フレーム
4:表示ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に押込み操作可能な押ボタンを有する操作部と、この操作部に結合されたスイッチユニットとからなり、前記押ボタンの押込み操作により前記スイッチユニットの接点が切り換えられるとともに、前記操作部に前記押ボタンを押込み状態にロックするロック機構が設けられた非常停止用押ボタンスイッチにおいて、前記操作部が、前記押ボタンと、この押ボタンに軸方向に遊動可能に結合された、前記スイッチユニットを開閉操作する押棒と、この押棒を常時軸方向に押圧するように設けられた駆動ばねとを備え、前記ロック機構が、前記押棒を待機位置で係止する第1の係止手段と、前記押ボタンの押込み操作に連動して押し込まれた前記押棒を押込み位置で係止する第2の係止手段と、前記押ボタンの復帰操作に連動して前記押棒を待機位置に戻す復帰手段とを備えることを特徴とする非常停止用押ボタンスイッチ。
【請求項2】
請求項1記載の非常停止用押ボタンスイッチにおいて、前記第1の係止手段および第2の係止手段は、それぞれ前記押ボタンを支持するフレームカバーに半径方向に可動的に弾性支持されたロックピンと、前記押棒の周壁に前記ロックピンの先端の係合可能に軸方向に間隔をおいて設けられた第1の凹溝および第2の凹溝とにより構成し、押棒を待機位置に戻す復帰手段は、前記ロックピンと、前記押棒の外周に設けた第1の凹溝と第2の凹溝とに跨って形成され、前記ロックピンと摺接可能に軸方向に延びた傾斜壁とにより構成したことを特徴とする非常停止用押ボタンスイッチ。
【請求項3】
請求項1記載の非常停止用押ボタンスイッチにおいて、前記第1の係止手段および第2の係止手段は、それぞれ前記押ボタンを支持するフレームカバーに水平方向に可動的に弾性支持されたロックピンと、前記押棒の周壁に前記ロックピンの先端の係合可能に軸方向に間隔をおいて設けられた第1の凹溝および第2の凹溝とにより構成し、押棒を待機位置に戻す復帰手段は、上端面が軸方向に傾斜し、前記本体フレーム内に設けられたカム体と、先端が前記カム体の上端面に摺接可能に前記押ボタン内に設けられた押上片とにより構成したことを特徴とする非常停止用押ボタンスイッチ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−33797(P2010−33797A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193155(P2008−193155)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(390021186)株式会社秩父富士 (54)
【出願人】(508296738)富士電機機器制御株式会社 (299)
【Fターム(参考)】