説明

非抵抗発光負荷のための非点滅輝度調整装置

【課題】輝度調整の間の点滅問題を解消するために単純な回路設計を使って、非抵抗発光負荷のための非点滅輝度調整装置を提供する。
【解決手段】非抵抗発光負荷のための非点滅輝度調整装置は、輝度調整器と、導電性の電流持続器とを備える。前記輝度調整器は、TRIACと、調整可能なトリガユニットとを有する。前記調整可能なトリガユニットを調整し、前記TRIACのトリガ角を設定することにより、前記輝度調整器の総出力電流は調整される。前記TRIACのトリガ角が90度よりも大きいと、前記導電性電流持続器は、前記TRIACの前記カソード及びアノードを流れる電流が該TRIACの導電性を維持する閾値電流以上に保持する。したがって、前記非抵抗発光負荷は、必要とする動力を受け続け、点滅を生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輝度調整装置に関し、特に、非抵抗発光負荷のための非点滅輝度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5を参照するに、家庭用輝度調整器が抵抗性照明器具の駆動回路と接続されている。輝度調整器(50)は、ACシリコン制御整流器(SCR)(51)(TRIAC)及びトリガ回路(52)を備える。
【0003】
TRIAC(51)はAC電源(AC/IN)に直列に接続され、アノード(T1)、カソード(T2)及びゲート(G)を有する。トリガ回路(52)はRC位相シフト回路であり、抵抗器(521)及びコンデンサ(522)を含む。抵抗器(521)とコンデンサ(522)との間のノードは、TRIAC(51)のゲートGと接続されている。前記RC位相シフト回路の抵抗器(521)は可変抵抗器である。前記可変抵抗器の抵抗値を調整することにより、TRIAC(51)のトリガ角を決めることができる。
【0004】
前記した輝度調整器(50)が抵抗体白熱ランプ(70)に接続されると、電流は抵抗体白熱ランプ(70)を通って前記TRIACのアノード(T1)及びカソード(T2)間に流れ続けるので、TRIAC(51)は、前記電源の電圧が零にならない限り通電状態を維持する。これは、抵抗体白熱ランプ(70)の電流及び電力を制御し、該白熱ランプの輝度を制御する。その結果、家庭用の抵抗体白熱ランプ(70)は、この輝度調整器(50)と共に使用される場合には、点滅しない。
【0005】
しかしながら、既存のガス放電ランプや発光ダイオード(LED)は、点灯閾値電圧を有する非抵抗負荷である。それらは、付加のランプ駆動回路(60)を使用する必要がある。図6を参照するに、ガス放電ランプのためのランプ駆動回路(60)は、整流器(61)、フィルタコンデンサ(62)及びインバータ(63)から成る。整流器(61)の入力端子は、TRIAC(51)を経て輝度調整器(50)のAC電源(AC/IN)に接続されている。TRIAC(51)から出力されたAC電力は、DC正弦波に整流され、次にフィルタコンデンサ(62)によりDC電力に平滑化される。インバータ(63)は、ガス放電ランプ(64)を駆動するために前記DC電力を高周波AD電力に変換する。前記LEDの駆動回路には、インバータは不要である。前記フィルタコンデンサから出力された前記DC電力を動力として直接使うことができる。
【0006】
前記した輝度調整器が直接に前記AC電源(AC/IN)に接続され、また前記輝度調整器が90度未満のトリガ角で前記非抵抗発光負荷にAC電力を出力すれば、前記フィルタコンデンサは、ピーク電圧のあたりでピーク電圧値に充電され、次段の電力変換器に十分なDC電力を提供する。
【0007】
他方、前記非抵抗発光負荷のために前記輝度調整器のAC電力出力が90度よりも大きいトリガ角で減少させられると、前記フィルタコンデンサは、前記入力AC電力の最大電圧値よりも高い電圧値を示す。したがって、この場合、入力電力は、前記フィルタコンデンサに供給され得ない。電流は、前記TRIACのアノード及びカソード間の流れを停止するので、前記TRIACはスイッチオフされる。前記フィルタコンデンサのDC電力が不十分になるので、前記ランプは、点滅を始める。
【0008】
ガス放電ランプあるいは照明LEDがポピュラーになり、それらの明るさを調整することが望まれているので、そのような明かりについての点滅問題を解決する改善技術が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記したところに鑑み、本発明の目的は、輝度調整中の点滅問題を解消するために単純な回路設計を使って、非抵抗発光負荷のための非点滅輝度調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成すべく、非点滅輝度調整装置は、輝度調整器と、導電性電流持続器(conductive current sustainer)とを含む。前記輝度調整器は、TRIAC及び調整可能なトリガユニットを含む。前記調整可能なトリガユニットは、前記TRIACのトリガ角を決定するために、該TRIACにつながる。前記トリガ角は、前記輝度調整器の総電流出力に比例する。前記導電性電流持続器は、非抵抗発光負荷のための、前記輝度調整器の出力端子につながる。前記TRIACの前記カソード及びアノードの電流は、閾値電流以上に保持され、従って、前記TRIACの導電性が維持される。
【0011】
前記輝度調整器の出力端子は、さらに、前記TRIACのトリガ角が90度より大きいときであっても前記TRIACの導電性を保証する導電性電流持続器につながる。したがって、高出力非抵抗発光負荷が、本発明による前記非点滅輝度調整装置を経てAC電源に接続されていると、前記トリガ角が90度よりも大きいときでさえ、前記整流フィルタ回路のフィルタコンデンサは、前記入力AC電源から充電電流を受け取ることができる。これは前記輝度調整器の点滅問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】容量発光負荷に接続された本発明の第1の実施例の回路図であり、
【図2】誘導発光負荷に接続された本発明の前記第1の実施例の回路図であり、
【図3】誘導発光負荷に接続された本発明の第2の実施例の回路図であり、
【図4】容量負荷発光負荷に接続された本発明の前記第2の実施例の回路図であり、
【図5】抵抗体負荷に接続された従来の輝度調整装置の回路図であり、
【図6】非抵抗体負荷に接続された従来の輝度調整装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に関して、本発明による非点滅輝度調整装置の第1の実施例が非抵抗発光負荷(30)に接続されている。前記非点滅輝度調整装置は、輝度調整器(10)と、導電性電流持続器(20)とを含む。
【0014】
輝度調整器(10)は、TRIAC(11)と、調整可能なトリガユニット(12)を備える。調整可能なトリガユニット(12)は、TRIAC(11)のトリガ角を制御するために、TRIAC(11)に接続されている。前記トリガ角は、輝度調整器(10)の総出力電流値に比例する。この実施例では、調整可能なトリガユニット(12)は、コンデンサ(122)と直列に接続された少なくとも1つの可変抵抗器(121)を含むRC位相シフト回路である。TRIAC(11)は、アノード(T1)、カソード(T2)及びゲート(G)を有する。ゲート(G)は可変抵抗器(121)及びコンデンサ(122)間のノードに接続されている。TRIAC(11)の前記トリガ角は、可変抵抗器(121)の抵抗値を調整することにより、決まる。
【0015】
導電性の電流持続器(20)は、輝度調整器(10)の出力端子に接続されており、非抵抗発光負荷(30)に接続されるように適用される。導電性電流持続器(20)は、またTRIAC(11)の導電性を維持するために使われている。この実施例では、導電性電流持続器(20)は抵抗器である。導電性電流持続器(20)は、また可変抵抗器又は正の温度係数の抵抗器であるかもしれない。前記AC電源(AC/IN)が輝度調整器(10)に出力し、輝度調整器(10)の前記トリガ角が90度より大きいとき、導電性電流持続器(20)及び輝度調整器(10)は前記AC電源(AC/IN)に直列に接続されているので、TRIAC(11)の前記アノード(T1)及びカソード(T2)を流れる電流は該TRIACの閾値電流値以上に保持される。前記正の温度係数の抵抗器が使われていると、輝度調整器(10)の使用時間後の温度上昇に伴って、抵抗値は増大する。したがって、前記正の温度係数の抵抗器での電圧降下は増大し、該正の温度係数の抵抗器に供給される電力は減少し、従って、その消費電力が低下する。
【0016】
この実施例では、非抵抗発光負荷(30)は、駆動回路(31)と、蛍光灯(35)から成る。
【0017】
駆動回路(31)は、整流器(32)、フィルタコンデンサ(33)及びインバータ(34)を含む。整流器(32)は、導電性電流持続器(20)に接続されており、前記トリガ角で前記AC電源(AC/IN)を受け取り、AC電力をDC正弦波に整流する。フィルタコンデンサ(33)は、それをDC電力Vcに変換する。インバータ(34)は、次に、前記DC電力Vcを出力のための高周波AC電力に変換する。この実施例では、整流器(32)は、全波整流器又は倍電圧整流器である。蛍光灯(35)は、前記高周波AC電力を得るために、インバータ(34)の出力端子につながる。
【0018】
輝度調整器(10)が90度未満のトリガ角でAC電力を非抵抗発光負荷(30)に出力する場合、前記AC電力が最大のピーク電圧にあるとき、駆動回路(31)のフィルタコンデンサ(33)は、ピーク電圧値に充電され、次段の装置に十分なDC電力を供給するであろう。
【0019】
90度よりも大きいトリガ角で非抵抗発光負荷(30)への輝度調整器(10)のAC出力電力が使用されると、導電性電流持続器(20)は、TRIAC(11)のアノード(T1)及びカソード(T2)を流れる電流がTRIAC(11)の導電性を維持できる閾値電流以上になることを保証するために、該TRIAC(11)に電流をもたらす。結果として、90度よりも大きいトリガ角でのAC電力は、なおも前記次段の装置に電力を提供し続ける。駆動回路(31)のフィルタコンデンサ電圧(Vc)が90度よりも大きいトリガ角でのAC電力の最高ピーク電圧値よりもわずかでも低くなると、フィルタコンデンサ(33)は直ちに充電される。そのため、フィルタコンデンサ(33)は、インバータ(34)にDC電力を出力し続ける。したがって、本発明は、人が明るさを調整している最中に蛍光灯(35)が点滅しないことを確実ならしめる。
【0020】
前記した非抵抗発光負荷(30)は、容量負荷または誘導負荷であるかもしれない。輝度調整器(10)の電力変換効率を上げるために、さらに、導電性電流持続器(20)の抵抗器(Rv)に、コンデンサ(C1)又はコイル(L1)を並列に接続することができる。すなわち、容量発光負荷(30)が本発明の前記輝度調整装置に接続されている場合、導電性電流持続器(20)の前記抵抗器(Rv)はコイル(L1)に並列に接続される。他方、図2に示されるように、誘導発光負荷(30)が本発明の前記輝度調整装置に接続されている場合、導電性電流持続器(20)の前記抵抗器(Rv)はコンデンサ(C1)に並列に接続される。
【0021】
図3を参照するに、本発明は、LEDランプの非抵抗発光負荷(30a)に適用されている。LEDランプ(36)には、インバータが不要である。したがって、前記発光負荷(30a)は、駆動回路(31)と、LEDランプ(36)とから成る。
【0022】
駆動回路(31)は、整流器(32)及びフィルタコンデンサ(33)を有する。整流器(32)は、導電性電流持続器(20)につながる。この実施例では、整流器(32)は全波整流器である。LEDランプ(36)は、いくつかのLED素子から成り、駆動回路(31)の出力端子に接続されている。
【0023】
前記LEDランプが誘導発光負荷(30a)であると、導電性電流持続器(20)は、抵抗器(Rv)と、該抵抗器に並列に接続されたコンデンサ(C1)とを有する。他方、前記LEDランプが容量発光負荷(30a)であると、導電性電流持続器(20)は、抵抗器(Rv)と、該抵抗器に並列に接続されたコイル(L1)とを有する。したがって、前記した輝度調整器が抵抗負荷に接続されているとき、電力変換効率は、より良好になる。
【0024】
本発明は、前記したところに従って、種々の点で変更できることが明らかであろう。そのような変更は、本願の精神及び発明の範囲から逸脱するものではなく、また当業者にとって明らかであろうすべてのそのような変更は、以下の特許請求の範囲に含まれることを意図している。
【符号の説明】
【0025】
10 輝度調整器
11 TRIAC
12 調整可能なトリガユニット
121 可変抵抗器
122 コンデンサ
20 導電性電流持続器
30 非抵抗発光負荷
C1 コンデンサ
L1 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非抵抗発光負荷のための非点滅輝度調整装置であって、
アノード、カソード及びゲートを有するTRIACと、該TRIACのトリガ角を決定すべく前記TRIACに接続される調整可能なトリガユニットとを備える輝度調整器であって前記トリガ角が該輝度調整器の総出力電流値に比例する輝度調整器と、
前記輝度調整器の出力端子に接続され、非抵抗発光負荷に接続されるように適用される導電性の電流持続器であって前記TRIACの前記アノード及びカソードを通る電流を保持する導電性電流持続器とを含み、
前記電流は閾値電流よりも大きく、これにより前記TRIACの導電性が維持される、非抵抗発光負荷のための非点滅輝度調整装置。
【請求項2】
前記導電性電流持続器は抵抗器である、請求項1に記載の非点滅輝度調整装置。
【請求項3】
前記導電性電流持続器は可変抵抗器である、請求項1に記載の非点滅輝度調整装置。
【請求項4】
前記導電性電流持続器は正の温度係数を有する、請求項1に記載の非点滅輝度調整装置。
【請求項5】
前記導電性電流持続器は、コイルと並列に接続されている、請求項2,3又は4のいずれか一項に記載の非点滅輝度調整装置。
【請求項6】
前記導電性電流持続器は、コンデンサと並列に接続されている、請求項2,3又は4のいずれか一項に記載の非点滅輝度調整装置。
【請求項7】
調整可能なトリガユニットは、RC位相シフト回路であり、互いに直列に接続された可変抵抗器及びコンデンサを備え、前記可変抵抗器及び前記コンデンサ間のノードは前記TRIACの前記ゲートと接続され、前記TRIACの前記トリガ角は前記可変抵抗器の抵抗値の変更により決まる、請求項2,3又は4のいずれか一項に記載の非点滅輝度調整装置。
【請求項8】
前記調整可能なトリガユニットは、RC位相シフト回路であり、互いに直列に接続された可変抵抗器及びコンデンサを備え、前記可変抵抗器及び前記コンデンサ間のノードは前記TRIACの前記ゲートと接続され、前記TRIACの前記トリガ角は前記可変抵抗器の抵抗値の変更により決まる、請求項5に記載の非点滅輝度調整装置。
【請求項9】
前記調整可能なトリガユニットは、RC位相シフト回路であり、互いに直列に接続された可変抵抗器及びコンデンサを備え、前記可変抵抗器及び前記コンデンサ間のノードは前記TRIACの前記ゲートと接続され、前記TRIACの前記トリガ角は前記可変抵抗器の抵抗値の変更により決まる、請求項6に記載の非点滅輝度調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−245014(P2010−245014A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120704(P2009−120704)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(509140733)
【Fターム(参考)】