説明

非接触充電式電子機器

【課題】充電効率を上げ、充電による蓄電源の変形を吸収でき、薄型化が図れる非接触充電式電子機器を提供すること。
【解決手段】非接触充電式電子機器1は、筒状の外枠2と、この外枠2の一方の開口を塞ぐ裏蓋4と、この裏蓋4の内側に配置され、1次コイルの電磁誘導によって発電する2次コイル14と、この2次コイル14で発電される電力を蓄える蓄電池11とを備える。2次コイル14と蓄電池11との間には、弾性部材12が介在して配置され、2次コイル14は、弾性部材12によって、裏蓋4側に付勢される。従って、弾性部材12によって、2次コイル14を1次コイルに接近させた状態を維持でき、2次コイル14と1次コイルとの間隔が常時小さくなり、1次コイルによる2次コイル14の充電効率を上げることができる。また、蓄電池11の寸法の変化を弾性部材12が吸収することができ、機器の薄型化が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電式電子機器に関し、詳しくは、外部電源から非接触で充電を行う非接触充電式電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の多機能化に伴って、消費されるエネルギーが増加する傾向にある。特に携帯型の電子機器では、エネルギーを供給する頻度が増してきている。そのため、電源系に繰り返し充放電可能な充電式の電源を採用することが一般的となっている。充電方式としては、電磁誘導の原理によって、充電側の1次コイルから非充電側の2次コイルに電源を非接触で送電することによって充電を行う非接触型充電方式が知られ、特に気密性を要求される電子機器などに広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の非接触型充電装置では、充電側の機器に1次コイルを搭載した送電用基板が内蔵され、被充電側の電子機器には、2次コイルを搭載した基板が内蔵されている。そして、電子機器を充電側の機器に設置した状態で、1次コイルと2次コイルとが互いに対向して配置され、1次コイルの電磁誘導によって2次コイルが発電し、被充電側の蓄電源に発電された電力が蓄えられる。
このような電磁誘導による充電を行う場合、1次コイルから2次コイルへのエネルギー送受の大きさPは、P∝2πfL(f:充電周波数、L:発電コイルのインダクタンス)で表わされる。このエネルギー送受の大きさPをできるだけ大きくするためには、電磁ノイズを抑えるために充電周波数fの上限が限定される場合を考慮すると、インダクタンスLを増加させる必要がある。特に、スペースが限定される薄型・小型の電子機器の場合には、インダクタンスLを増加させるために、一対のコイルを平型コイルとして、互いの軸芯が一致するように配置するとともに、1次コイルを2次コイルに対してできるだけ接近させることが望ましい。
【0004】
【特許文献1】特開平9−190938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の非接触型充電装置のように、2次コイルを搭載した基板を有する電子機器では、通常、接着剤やネジなどを用いて、基板を筐体に固定する。このような場合、基板および筐体等の寸法のばらつきが原因となって、2次コイルと筐体との間に隙間が生じるので、インダクタンスLが小さくなってしまう。すると、エネルギー送受の大きさPが小さくなり、充電効率が低下するという問題が生じる。
また、被充電側の蓄電源として、リチウム系イオン蓄電池などの非水型の蓄電池を用いる場合には、溶媒が有機系物質であり、水分と反応すると劣化するので、通常、溶媒等が薄い袋状のパッケージに密封され、水分の浸入を防止することで劣化を防止している。このような構成の蓄電池では、充電時に微量のガスが発生するので、充放電を繰り返すことによって、密封されたパッケージの中心部が膨らむことが避けられない。そのため、蓄電池の厚さ寸法が充電に伴って厚くなっても、その変形を吸収できる空間を確保する必要があるが、このような空間を確保すると、電子機器が大きくなり、電子機器の薄型化に影響してしまう。
【0006】
本発明の目的は、充電効率を上げることができ、充放電を繰り返すことによる蓄電源の変形を吸収することができ、さらに、薄型化を容易に図ることができる非接触充電式電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の非接触充電式電子機器は、筒状の外枠と、この外枠の一方の開口を塞ぐ裏蓋と、この裏蓋の内側に配置され、前記外枠の中心軸方向における厚さ寸法が当該中心軸と直交する方向の幅寸法よりも小さく、外部電源が備える1次コイルの電磁誘導によって発電する2次コイルと、前記外枠の中心軸方向における厚さ寸法が当該中心軸と直交する方向の幅寸法よりも小さい弾性部材と、前記外枠の中心軸方向における厚さ寸法が当該中心軸と直交する方向の幅寸法よりも小さく、前記2次コイルで発電される電力を蓄え、前記外枠の中心軸方向に厚さ寸法が増加する蓄電源とを備え、前記2次コイルと、前記弾性部材と、前記蓄電源とは、前記外枠の中心軸方向に、裏蓋の内側から順に積層されており、前記弾性部材は、前記蓄電源の厚さ寸法が増加した場合に、当該厚さ寸法の増加に応じて弾性変形可能に取り付けられるとともに、前記2次コイルを前記裏蓋側に付勢し、前記2次コイルは、前記弾性部材によって前記裏蓋に当接され、前記裏蓋において少なくとも前記2次コイルと対向する領域部は、非導電性材料で形成されていることを特徴とする。
ここで、弾性部材は、弾力性を有するクッション材であればよく、例えば、合成樹脂製またはゴム製のシート部材でもよく、金属製のバネでもよい。ただし、蓄電源と2次コイルとの絶縁性を考慮すると、絶縁性を有する合成樹脂製またはゴム製のシート部材で形成された方が好ましい。
また、2次コイルが少なくとも弾性部材によって裏蓋側に付勢されていればよく、例えば、弾性部材と2次コイルとの間に、磁性体からなる磁性部材や、絶縁性を有する絶縁部材などを配置して、これらの部材を介して2次コイルが付勢されるようにしてもよい。
【0008】
本発明によれば、裏蓋の内側に2次コイルが配置され、2次コイルに弾性部材が外枠の中心軸方向に積層され、弾性部材に蓄電源が外枠の中心軸方向に積層されているので、この弾性部材によって2次コイルが裏蓋側に付勢されるので、充電の際に、2次コイルを外部電源の1次コイルに接近させた状態を維持できる。このように、コイル同士の間隔が小さくなるように2次コイルの位置を維持できるので、1次コイルによる2次コイルの充電効率を上げることができる。これによって、充電時間を短くできて、急速充電が可能となり、充電を始めてから短時間で機器を使用することができ、また、消費される電力を削減できて省エネルギー化の観点からも有効である。なお、コイル同士の間隔をできるだけ小さくするため、2次コイルは弾性部材によって常時、裏蓋に当接した状態となっていることが好ましい。
また、蓄電源が充電に伴って膨張して、蓄電源が外枠の中心軸方向に延びた場合に、蓄電源の寸法の増加分を弾性部材が吸収することができる。このように蓄電源が膨張しても、蓄電源の寸法の増加分を逃がすための空間を特別に設ける必要がなくなるので、電子機器の薄型化に対応できる。
【0009】
本発明の非接触充電式電子機器では、前記2次コイルの前記蓄電源側には、磁性体で形成される磁性部材が配置され、前記弾性部材は、前記磁性部材と前記蓄電源との間に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、2次コイルの蓄電源側に磁性部材が配置されているので、1次コイルに電圧を加えた際に生じる磁束が、2次コイルの蓄電源側において磁性部材により捕捉されるので、磁束の漏れを防止することができ、2次コイルと鎖交する磁束の密度を高くすることができ、充電効率を向上させることができる。
【0010】
本発明の非接触充電式電子機器では、前記裏蓋の内側には、前記2次コイルと、前記蓄電源の過充電を防止するための充電保護回路とが実装された充電用回路基板が配置され、前記弾性部材は、前記充電用回路基板と前記蓄電源との間に配置され、前記充電用回路基板を前記裏蓋側に付勢していることが好ましい。
【0011】
ここで、充電保護回路として、例えば、電磁誘導により発電した電力を蓄電源に伝送する時に、過充電を防止し、または、充電に伴う過度な発熱を防止することによって蓄電源を保護する回路を採用することができる。
本発明によれば、充電用回路基板に充電保護回路が実装されているので、過充電を防止したり、充電に伴う過度な発熱を防止したりすることができる。また、充電保護回路と2次コイルとを個別に取り付ける場合と比べて、同じ充電用回路基板上に2次コイルが実装されていることで、部品点数が少なくなり、取り付け作業を容易に実施できる。
【0012】
本発明の非接触充電式電子機器では、前記充電用回路基板には、前記2次コイルの収納用の孔が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、2次コイルが充電用回路基板の孔に配置されているので、2次コイルを含めた基板の厚さ方向の寸法を小さくすることができ、電子機器の薄型化に容易に対応することができる。なお、少なくとも2次コイルの一部が孔の内部に配置されていればよく、2次コイルの一部が開口部から蓄電源側に突出して配置されていてもよい。
【0013】
本発明の非接触充電式電子機器では、前記外枠の中心軸と直交する方向における前記2次コイルの位置ずれを規制する規制部を備えていることが好ましい。
ここで、規制部としては、2次コイルの位置ずれを直接的に規制するものでもよく、あるいは、2次コイルを固定する磁性部材または充電用回路基板などを介して2次コイルの位置ずれを間接的に規制するものでもよい。また、規制部としては、例えば、裏蓋に形成された突出部でもよく、この突出部を2次コイルに係合させることによって、2次コイルの位置ずれを規制してもよい。また、外枠の内部に延設された延設部でもよく、この延設部を2次コイルに当接させることによって、2次コイルの位置ずれを規制してもよい。あるいは、外枠の内側に機枠が配置されている場合であれば、規制部としては、機枠に形成された突出部または延設部でもよい。
1次コイルおよび2次コイルの各中心軸同士のずれが大きいと、充電効率が低下してしまうという問題点があるが、本発明によれば、規制部が、外枠の中心軸と直交する方向における2次コイルの位置ずれを規制するので、2次コイルの中心軸と、1次コイルの中心軸とのずれを生じにくくすることができ、充電効率を向上させることができる。
【0014】
本発明の非接触充電式電子機器では、前記規制部は、前記裏蓋に形成され、前記2次コイルの空芯部と係合する突起部であることが好ましい。
本発明によれば、規制部としての裏蓋の突起部が2次コイルの空芯部と係合することで、外枠の中心軸と直交する方向における2次コイルの位置ずれが規制される。例えば、2次コイルを磁性部材のような別部材に固定させて、この別部材の位置ずれを規制部によって規制する場合と比べて、2次コイルの位置ずれを直接、突起部によって規制するので、2次コイルの位置ずれを確実に規制できる。従って、2次コイルの位置をより精度よく確定でき、2次コイルの中心軸と1次コイルの中心軸とのずれを一層抑えることができる。
ここで、突起部は、磁性材料で形成されていることが好適である。磁性部材は、高透磁率の材料(磁性体)からなり、例えば、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、フェライト等から形成されている。このような磁性部材によって突起部が形成されると、2次コイルの空芯部内に磁性部材が配置されて、1次コイルに電圧が印加されると発生する磁束が捕捉され、漏洩磁束を減少させることができる。
【0015】
本発明の非接触充電式電子機器では、前記2次コイルは、基体の表面に導体の箔部が形成されたコイル形成基板から前記箔部をエッチングによって成形された渦巻き線状の平面コイルであり、前記弾性部材は、前記コイル形成基板と前記蓄電源との間に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、2次コイルがコイル形成基板の基体表面に形成された導体の箔部をエッチングによって成形された渦巻き線状の平面コイルであるので、2次コイルをより薄く成形することができ、2次コイルの配置に必要な空間を小さくすることができ、電子機器の薄型化をさらに図ることができる。
【0016】
本発明の非接触充電式電子機器では、前記外枠の中心軸と直交する方向における前記コイル形成基板の位置ずれを規制する規制部を備え、この規制部は、前記外枠または前記裏蓋に形成されるとともに、前記コイル形成基板に形成された穴に係合される突状部または前記コイル形成基板の側部と当接する延設部であることが好ましい。
本発明によれば、規制部によって、コイル形成基板に一体形成された2次コイルの位置ずれが規制されるので、2次コイルを磁性部材や充電用回路基板のような別部材に取り付けた場合と比べて、2次コイルの中心軸と1次コイルの中心軸とのずれを一層小さくすることができる。
【0017】
本発明の非接触充電式電子機器では、前記裏蓋は、外枠の内部に向かって窪んで湾曲され、前記蓄電源は、外枠の中心軸方向に直交する方向に、弾性変形可能に形成され、前記2次コイルおよび前記蓄電源は、前記裏蓋の形状に沿って変形可能に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、裏蓋が外枠の内部に向かって窪んで湾曲されているので、電子機器を腕や脚などの身体に装着する場合に、身体の形状になじむことができ、身体への装着性を向上させることができる。また、裏蓋が外枠の内部に向かって窪んで湾曲されることで、外枠内部における中心軸方向の寸法が小さくなる場合、蓄電源が外枠の中心軸方向に直交する方向に弾性変形し、蓄電源の中心軸方向の寸法が小さくなるので、外枠内部に2次コイル、弾性部材、蓄電源を配置することができる。また、裏蓋の湾曲した形状に沿って、2次コイルおよび蓄電源を変形させれば、2次コイル、弾性部材、蓄電源を外枠内部に効率よく配置させることができる。
【発明の効果】
【0018】
前述のように本発明の非接触充電式電子機器によれば、充電効率を上げることができ、充電を繰り返すことによる蓄電源の変形を吸収することができ、さらに、薄型化を容易に図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、後述する第2実施形態以降において、以下に説明する第1実施形態での構成部材と同じ構成部材および同様な機能を有する構成部材には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
【0020】
[第1実施形態]
図1および図2は、本実施形態の非接触充電式電子機器(以下、電子機器と示す。)1を示す正面図および縦断面図である。
電子機器1は、例えば、測定した脈拍を表示可能な脈拍計や腕時計などのように、腕や脚などの身体に装着して使用する携帯型電子機器として構成されている。具体的には、図1および図2に示すように、筒状の外枠2と、この外枠2の一方の開口を塞ぐカバーガラス3と、他方の開口を塞ぐ裏蓋4とを備えて構成され、表示情報を表示する表示装置5や、電源部8などを内蔵している。
外枠2は、装着用のベルト30が接続される長辺側の一対の長辺外枠部21と、短辺側の一対の短辺外枠部22とを有し、中心軸A方向の断面形状が全体矩形に形成されている。この外枠2に対してカバーガラス3を固着させ、かつ、外枠2と裏蓋4との間にシール部材20を介在させることによって、電子機器1の内部の気密性と防水性とが維持されている。裏蓋4は、例えば合成樹脂やセラミックス等の非導電性材料で形成されている。
【0021】
電子機器1の内部には、図2に示すように、表示装置5と、この表示装置5の駆動制御手段であり回路素子6Aが実装された回路基板6と、回路基板6と裏蓋4との間に配置され回路基板6を支持している機枠7と、この機枠7内に配置され表示装置5および回路基板6に電力を供給する電源部8とが、カバーガラス3と裏蓋4との間に並設されている。表示装置5としては、液晶表示パネル、有機ELパネルなど、薄型軽量の表示パネルであることが好ましい。このように構成された電子機器1では、回路基板6が表示装置5を駆動制御して、表示装置5に表示情報が表示されるので、カバーガラス3越しに表示情報を視認することができる。
【0022】
以下、電源部8について、図2に基づいて詳しく説明する。
電源部8は、機枠7に支持されており、蓄電源としての充放電可能な蓄電池11と、弾性部材12と、磁性部材13と、2次コイル14とを有して構成されている。蓄電池11、弾性部材12、磁性部材13および2次コイル14は、外枠2の中心軸A方向における各厚さ寸法が、当該中心軸Aと直交する方向の各幅寸法よりも、それぞれ小さく形成されている。また、蓄電池11、弾性部材12、磁性部材13および2次コイル14は、外枠2の中心軸A方向に、回路基板6から裏蓋4側に向かって、順に積層されている。
【0023】
機枠7は、その外周部分が外枠2の内周面と当接した状態で、外枠2の内側に配置されている。機枠の内部には、蓄電池11が配置されている。機枠7は、厚さ方向(図中の上下方向)において、上面が回路基板6と当接し、下面が裏蓋4と当接する。このように、機枠7は、それ自体が厚さ方向に直交する方向(図中の左右方向)に位置ずれしないように設置されるとともに、厚さ方向、すなわち外枠の中心軸A(図中の上下方向)においては、上側の表示装置5および回路基板6が厚さ方向に位置ずれしないように設置された部材である。
機枠7には、第1の孔71と第2の孔72とが形成され、第1の孔71が機枠7の上面に開口し、第2の孔72が機枠7の下面に開口し、2つの孔71,72は互いに連通している。第1の孔71には、蓄電池11が配置されている。
第2の孔72は、機枠7の裏蓋4寄りの部分に、機枠7の中心軸に向かって延設された延設部72Aによって形成されており、第2の孔72側の開口面積は、第1の孔71側の開口面積よりも小さくなっている。この第2の孔72には、磁性部材13が配置され、第2の孔72の内面が磁性部材13の外面と当接している。なお、磁性部材13の全体が、第2の孔72内に配置されている訳ではなく、磁性部材13の上側部分は、第1の孔71内に突出している。
【0024】
蓄電池11は、水を含まない溶媒を備える非水型の蓄電池であり、例えば、リチウム系イオン蓄電池が用いられている。この蓄電池11には、電解液の主溶媒として有機溶媒を備えることによって、重量当りのエネルギー密度が大きく、必要な充電容量に対する電池の体積を小さくすることができ、また、繰り返し充放電しても充電容量の劣化が小さく、充電電流が大きいといった特徴がある。
蓄電池11は、複数の板状のセルが袋状の電池容器の中に密封される構造をなし、全体として扁平状に形成されている。各セルの構成は、一般的な構成であり、例えば、セパレータを挟んで、箔状の正負電極をループ状に交互に重畳して構成されていてもよく、短冊状の正負電極を交互に重畳して構成されていてもよい。このような蓄電池11では、充電時にガスが発生するので、充放電を繰り返すと、電池容器内に発生したガスが充満し、電池容器が膨張するので、蓄電池11の中央部が凸状となる。蓄電池11は、一度膨張すると、発生したガスによって再び収縮することができない構造となっている。
このような構成の蓄電池11は、第1の孔71に配置されているが、機枠7に対して固定されてはおらず、蓄電池11を充電した際に、蓄電池11が第1の孔71内で膨張できるようになっている。蓄電池11が膨張した際、外枠2の中心軸A方向に蓄電池11の厚み方向の寸法が増加するが、この増加分だけ弾性部材12が弾性変形するように構成されている。このように蓄電池11の寸法の増加分が第1の孔71内で吸収されるようになっている。
【0025】
2次コイル14は、ウレメット線材等の導線が外枠2の中心軸A方向に螺旋状に巻かれた導線部142を有する扁平型コイルであり、中心軸A方向に貫通する空芯部141を有している。2次コイル14は、磁性部材13に貼り付けられた状態で、裏蓋4の内側に配置されている。2次コイル14の正極側および負極側の各端子は、蓄電池11の正極側および負極側の各端子とそれぞれ接続されている。導線部142の外周には、導線間の短絡および断線を防止するために絶縁処理が施されている。この絶縁処理によって、導線部142が裏蓋4の内面と直に接触しても短絡等の電気的トラブルを回避できるようになっている。
弾性部材12は、例えば、ゴムや合成樹脂のような絶縁性を有する材料によって、シート状に形成されている。このような弾性部材12は、蓄電池11と磁性部材13とによって厚さ方向に圧縮された状態で配置され、磁性部材13が蓄電池11から離れる方向に、すなわち裏蓋4に向かって磁性部材13を付勢している。
【0026】
磁性部材13は、高透磁率の材料(磁性体)からなり、例えば、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、フェライト等から形成されている。磁性部材13の裏蓋4側には、2次コイル14が接着剤などで貼り合わされている。このように、磁性部材13は、2次コイル14の蓄電池11側に配置されることで、1次コイル93に電圧が印加されると発生する磁束を捕捉し、漏洩磁束を減少させることができる。
このような構成の磁性部材13は、第2の孔72に配置されているので、機枠7の延設部72Aによって、厚さ方向(外枠2の中心軸A方向)に直交する方向における位置ずれが規制されている。本実施形態では、この延設部72Aが本発明の規制部を構成し、延設部72Aによって磁性部材13に固定された2次コイル14の位置ずれが規制される。なお、磁性部材13は、第2の孔72に挿入されているが、蓄電池11と同様に、機枠7に対して固定されてはおらず、磁性部材13が弾性部材12から裏蓋4側への付勢力を受けた際、磁性部材13が第2の孔72内を移動できるようになっている。このようにして、磁性部材13に固定された2次コイル14は、弾性部材12によって、常時、裏蓋4側に付勢され、裏蓋4に当接されている。
【0027】
次に、外部電源としての充電器9について図面に基づいて説明する。
図3は、電子機器1と充電器9とを組み合わせた状態を示す縦断面図である。充電器9は、図3に示すように、電子機器1を嵌め込むことができる電子機器挿入部91Aを有した受け台91を備えて構成され、電子機器挿入部91Aの底面には、1次コイル93と磁性部材92とが配置される凹部91Bが形成されている。1次コイル93は、2次コイル14と略同じ構成であり、磁性部材92の表面に接着剤などで貼り付けられている。1次コイル93は、電子機器1が電子機器挿入部91Aに嵌め込まれた状態で、磁性部材92の表面、すなわち磁性部材92の裏蓋4側に配置され、1次コイル93が電子機器1の2次コイル14と近接するようになっている。磁性部材92を配置することによって、2次コイル14が固定される磁性部材13と同様に、磁束の漏れが抑制され、充電効率を向上させることができる。
【0028】
電子機器挿入部91Aは、電子機器1が挿入された状態で、電子機器1が幅方向にずれることなく、受け台91に対して定位置となるように形成されている。また、磁性部材92が配置される凹部91Bは、受け台91に対して精度良く位置決めされている。このようにして、電子機器1の2次コイル14に対して、磁性部材92に固定される1次コイル93の幅方向の位置関係のずれが抑えられており、充電効率を向上させることができる。
なお、1次コイル93は、電子機器1が嵌め込まれた状態で、裏蓋4と当接して表面の皮膜などが損傷しないように、裏蓋4との間には微小な隙間が形成されている。あるいは、1次コイル93を磁性部材92とともに樹脂などで覆い、樹脂の表面が裏蓋4と当接するようにしてもよく、1次コイル93の保護と、1次コイル93と2次コイル14との間隔をできるだけ接近させる点において有効な手段である。
【0029】
以上のような構成において、2次コイル14は、弾性部材12によって裏蓋4に向かって付勢され、裏蓋4と当接しているため、1次コイル93との距離を裏蓋4の厚み分とすることができ、1次コイル93と2次コイル14との間隔が小さくなっている。
また、2次コイル14と裏蓋4との間に空間、または別部材が介在する場合は、2次コイル14の取り付け位置のバラツキ、または介在する別部材の厚さ寸法のバラツキによって、コイル同士の間隔にバラツキが生じてしまう。これに対して、本実施形態では、2次コイル14が裏蓋4に対して弾性部材12によって常に付勢されているので、コイル同士の間隔のバラツキを小さくすることができ、充電効率を向上させることができる。
【0030】
電子機器1を充電する際には、図3に示すように、電子機器1を充電器9にセットして、充電器9の1次コイル93に所定時間電圧を印加させればよい。このようにすれば、1次コイル93の周辺に磁束が発生し、発生した磁束が2次コイル14と鎖交することで、電磁誘導による電流が2次コイル14に流れる。発生する2次コイル14の電流は、蓄電池11に蓄えられる。このようにして、充電器9によって外部から機械的接点を介さないで蓄電池11を充電することができる。
【0031】
本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)2次コイル14と蓄電池11との間に弾性部材12を介在して配置させ、弾性部材12によって2次コイル14が裏蓋4側に付勢されるので、2次コイル14が裏蓋4と当接して、2次コイル14と1次コイル93との間隔を小さくすることができ、充電効率を上げることができる。
【0032】
(2)弾性部材12によって2次コイル14が裏蓋4側に常に付勢されて、2次コイル14の位置が固定されるので、2次コイル14と1次コイル93との間隔寸法のばらつきを抑えることができ、充電効率を上げることができる。
【0033】
(3)蓄電池11と弾性部材12とが電子機器1の厚さ方向に並設されているので、蓄電池11が充電に伴って膨張しても、蓄電池11の寸法の増加分を弾性部材12が吸収できる。従って、蓄電池11の寸法の増加分を逃がすための空間を特別に設ける必要がなく、 機器の薄型化に対応できる。
【0034】
(4)蓄電池11とは反対側の1次コイル93の端部、および、2次コイル14の蓄電池11側の端部にそれぞれ磁性部材92,13が当接して配置されているので、1次コイル93に電圧を加えた際に生じる磁束が、1次コイル93の蓄電池11とは反対側の端部と、2次コイル14の蓄電池11側の端部において磁性部材92,13により捕捉されるので、2次コイル14と鎖交する磁束の密度が高まり、充電効率を向上できる。
【0035】
(5)第2の孔72に磁性部材13が配置され、延設部72Aによって、磁性部材13の位置ずれが規制されているので、磁性部材13に固定された2次コイル14の位置を確定することができ、2次コイル14の中心軸と1次コイル93の中心軸とのずれを抑えることができ、充電効率が向上される。
【0036】
(6)弾性部材12を蓄電池11と磁性部材13との間に配置すればよいので、外枠2および裏蓋4などの部材については、設計変更が不要で従来のものを使用でき、外枠2や裏蓋4の構造が複雑化しなくて済む。
【0037】
(7)弾性部材12を蓄電池11と磁性部材13との間に配置するので、落下および異物との衝突等による衝撃が加わった際に、質量の比較的大きい蓄電池11への衝撃を弾性部材12が吸収して、蓄電池11および蓄電池11の周囲に配置された部材の破損を防止することができる。
【0038】
(8)弾性部材12を蓄電池11と磁性部材13との間に配置することで、充電に伴う2次コイル14の発熱に対し、蓄電池11や回路素子6A等の温度上昇を防止することができ、機器の精度を安定させることができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る非接触充電式電子機器(以下、電子機器と示す)1Aについて図4に基づいて説明する。
図4は、電子機器1Aを示す縦断面図である。電子機器1Aは、前記実施形態の電子機器1に対して外枠2Aおよび機枠7Aの形状が相違するもので、その他の構成は略同様である。すなわち、機枠7Aには、前記実施形態での延設部72Aがなく、代わりに、外枠2Aには、裏蓋4側の端部から裏蓋4に沿って外枠2Aの中心軸Aに向かって延設される延設部23が形成されている。この延設部23によって、外枠2Aの中心軸Aに直交する方向における磁性部材13の位置ずれが規制されている。なお、この延設部23によって本発明の規制部が構成される。
【0040】
第2実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(4),(7),(8)の効果と略同様の効果に加えて、次の効果を奏することができる。
(9)第1実施形態では、機枠7によって、2次コイル14が固定される磁性部材13の位置ずれが規制されていたが、外枠2に対する機枠7の位置ずれが2次コイル14の位置ずれに影響する。これに対して、本実施形態によれば、2次コイル14が固定された磁性部材13の位置ずれを外枠2Aの延設部23によって直接、規制しているので、1次コイル93に対する2次コイル14の位置ずれをより小さくすることができる。
【0041】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る非接触充電式電子機器(以下、電子機器と示す)1Bについて図5に基づいて説明する。
図5は、電子機器1Bを示す縦断面図である。電子機器1Bは、前記実施形態の電子機器1に対して機枠7Bの構成が相違し、2次コイル14および磁性部材13Aが実装された充電用回路基板15を備えているもので、その他の構成は略同様である。すなわち、機枠7Bには、前記第1実施形態の延設部72Aがなく、代わりに、第1の孔71の開口面積よりも大きい開口面積を有した第3の孔73が形成されている。この第3の孔73には、充電保護回路素子16が実装された充電用回路基板15が配置されている。また、第3の孔73には、下方に突出した突起部74が形成され、この突起部74に対して充電用回路基板15に形成された案内穴151が挿通されている。このようにして、充電用回路基板15に実装された2次コイル14の中心軸に直交する方向の位置ずれが規制されている。なお、この突起部74によって本発明の規制部が構成される。
弾性部材12は、蓄電池11と充電用回路基板15との間に配置され、充電用回路基板15を裏蓋4に向かって付勢している。これによって、充電用回路基板15に実装された2次コイル14が裏蓋4に常に付勢された状態が維持される。
充電保護回路素子16は、本発明の充電保護回路を構成し、2次コイル14で取り出された電力を蓄電池11に伝送する時に、過充電を防止し、さらに、充電に伴う蓄電池11の過度な発熱を防止することによって蓄電池11を保護する回路を構成している。
【0042】
第3実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(4),(6),(7),(8)の効果と略同様の効果に加えて、次の効果を奏することができる。
(10)前記第1実施形態の磁性部材13は、本実施形態の充電用回路基板15のような別部材に貼り付けられておらず、2次コイル14を固定し、かつ、磁性部材13自体の形状を安定させるために所定の厚さ寸法を必要とする。そのため、磁束ロスを抑制するために必要な厚さ寸法よりも大きく厚さ寸法が設定される場合がある。これに対して、本実施形態の磁性部材13Aは、充電用回路基板15の裏蓋4側に貼り付けられているので、磁性部材13Aの厚さ寸法は、磁束ロスを抑制するために最低限必要な厚さ寸法とすることができ、磁性部材13Aの薄型化を図ることができる。
【0043】
(11)充電用回路基板15に充電保護回路素子16とともに2次コイル14と磁性部材13Aが実装されているので、これらの充電用回路基板15と2次コイル14と磁性部材13Aとを個別に配置する場合と比べて、部品点数が少なくて済むので、取り付け作業を容易に実現することができる。
(12)充電に伴う蓄電池11の発熱に対して、弾性部材12の断熱効果により、充電用回路基板15に実装された充電保護回路素子16などの回路素子の温度上昇を防止することができる。充電保護回路素子16などの性能を安定させることができる。
【0044】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る非接触充電式電子機器(以下、電子機器と示す)1Cについて図6に基づいて説明する。
図6は、電子機器1Cを示す縦断面図である。電子機器1Cは、前記第3実施形態の電子機器1Bに対して充電用回路基板15Aの構成が相違するもので、その他の構成は略同様である。すなわち、充電用回路基板15Aは、コイル収納用の孔としてのコイル収納部152が形成され、このコイル収納部152に2次コイル14および磁性部材13Bとが収納されている。
【0045】
第4実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(4),(6),(7),(8)の効果、および、前記第3実施形態の効果と略同様の効果に加えて、次の効果を奏することができる。
(13)2次コイル14および磁性部材13Bを充電用回路基板15Aの内部に収納することによって、前記第3実施形態のように2次コイル14および磁性部材13Aを充電用回路基板15の表面に実装する場合と比較すると、2次コイル14および磁性部材13Bを含めた充電用回路基板15Aの厚さ方向の寸法を小さくすることができ、電子機器1Cの薄型化をさらに実施することができる。
なお、本実施形態では、磁性部材13Bの一部がコイル収納部152から蓄電池11側に突出して配置されている場合であってもよい。
【0046】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る非接触充電式電子機器(以下、電子機器と示す)1Dについて図7に基づいて説明する。
図7は、電子機器1Dを示す縦断面図である。電子機器1Dは、前記第1実施形態の電子機器1に対して裏蓋4Aの構成が相違するもので、その他の構成は略同様である。すなわち、裏蓋4Aは、2次コイル14の空芯部141に係合される突起部41を有している。なお、この突起部41によって本発明の規制部が構成される。
【0047】
第5実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(4),(7),(8)の効果と略同様の効果に加えて、次の効果を奏することができる。
(14)前記第1実施形態では、機枠7の延設部72Aによって、磁性部材13の位置ずれを規制していたが、本実施形態では、裏蓋4Aの突起部41によって2次コイル14の中心軸に直交する方向の位置ずれを規制するので、機枠7Dで磁性部材13を規制する必要がなくなる。さらに、磁性部材13ではなく、2次コイル14の位置ずれを直接、突起部41によって規制するので、磁性部材13を介して2次コイル14の位置ずれを規制する場合と比べて、2次コイル14の位置ずれを確実に規制することができ、より精度よく2次コイル14の位置を確定することができる。
【0048】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る非接触充電式電子機器(以下、電子機器と示す)1Eについて図8に基づいて説明する。
図8(A)は、電子機器1Eを示す縦断面図であり、図8(B)は、その一部を拡大して示した縦断面図である。電子機器1Eは、前記実施形態の電子機器1に対して2次コイル17Aおよび裏蓋4Bの構成が相違するもので、その他の構成は略同様である。すなわち、2次コイル17Aは、銅箔などの薄膜状導電性材料が基板上に貼られたコイル形成基板17の箔部をエッチングすることによって成形されている。この2次コイル17Aは、外枠2の中心軸A方向に渦巻き線状に巻かれた平面コイルであり、中心軸A方向に貫通する空芯部171Aを有している。磁性部材13は、コイル形成基板17に対して蓄電池11側に配置され、弾性部材12は、磁性部材13と蓄電池11との間に配置され、磁性部材13を介して2次コイル17Aを裏蓋4B側に付勢している。
裏蓋4Bの内面には、蓄電池11側に突出する突起部42が形成され、コイル形成基板17には、この突起部42が係合される案内穴171が形成されている。このようにして、外枠2の中心軸Aと直交する方向におけるコイル形成基板17の位置ずれが突起部42によって規制される。なお、この突起部42によって本発明の規制部が構成される。
【0049】
第6実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(4),(7),(8)の効果、および、第3実施形態の(10)の効果と略同様の効果に加えて、次の効果を奏することができる。
(15)2次コイル17Aがコイル形成基板17上に導体の箔部をエッチングすることによって成形された渦巻き線状の平面コイルであるので、前記第1実施形態の導線が外枠2の中心軸A方向に螺旋状に巻かれた2次コイル14と比較すると、2次コイル17Aをより薄く成形することができる。従って、2次コイル17Aの配置に必要な空間を小さくすることができるので、電子機器1Eの薄型化をさらに図ることができる。
(16)コイル形成基板17に2次コイル17Aを成形する工程と同じ工程で、2次コイル17Aが成形される部分とは異なる部分に案内穴171を形成することができるので、案内穴171をコイル形成基板17に容易に形成することができる。
(17)この案内穴171に突起部42を係合させることで、コイル形成基板17の位置ずれを規制するので、外枠2の中心軸Aに直交する方向において、コイル形成基板17に一体形成された2次コイル17Aの位置決め精度を一層向上させることができる。
【0050】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る非接触充電式電子機器(以下、電子機器と示す)1Fについて図9および図10に基づいて説明する。
図9は、電子機器1Fを示す縦断面図であり、図10は、電子機器1Fの使用状態を示す斜視図である。電子機器1Fは、前記第1実施形態の電子機器1に対して裏蓋4C、蓄電池11A、磁性部材13C、2次コイル14Aの形状が相違するもので、その他の構成は略同様である。
裏蓋4Cは、外枠2Bの内部に向かって窪んで湾曲されている。すなわち、裏蓋4Cは、外枠2Bを構成する一対の長辺外枠部21Bを結ぶ方向において、中央部がカバーガラス3側に窪んだ凹溝状に形成されている。蓄電池11Aは、薄い袋状の電池容器に収納されており、容易に湾曲可能で、かつ、外枠2Bの中心軸A方向に直交する方向に、弾性変形可能に形成されている。2次コイル14Aは扁平型コイルであり、容易に湾曲可能に形成されている。また、磁性部材13Cは、裏蓋4Cの凹溝部の形状に沿って湾曲して形成されている。以上のように、2次コイル14A、磁性部材13Cおよび蓄電池11Aは、裏蓋4Cの凹溝部の形状に沿って変形可能に形成され、外枠2Bの内部に配置されている。
このような構成の電子機器1Fは、図10に示すように、例えば、使用者の腕に装着して使用される。
【0051】
第7実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(4),(7),(8)の効果と略同様の効果に加えて、次の効果を奏することができる。
(18)電子機器1Fを腕や足などの身体に装着する際に、裏蓋4Cの外表面が身体の形状に合って、身体への装着性が向上される。
【0052】
(19)裏蓋4Cが外枠2Bの内部に向かって窪んで凹溝状に湾曲されていることで、外枠2B内部における中心軸A方向の寸法が小さくなっても、蓄電池11Aが外枠2Bの中心軸A方向に直交する方向に弾性変形して中心軸A方向の寸法が小さくなるので、外枠2B内部に2次コイル14A、磁性部材13C、弾性部材12、蓄電池11Aを配置できる。
【0053】
(20)裏蓋4Cの凹溝状の形状に沿って、2次コイル14Aおよび蓄電池11Aが変形され、磁性部材13Cが湾曲して形成されているので、2次コイル14A、磁性部材13C、弾性部材12、蓄電池11Aを外枠2B内部に効率よく配置できる。
【0054】
[本発明の変形例]
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明の非接触充電式電子機器1Gは、図11に示すような構成を採用してもよい。図11は、本発明の変形例に係る電子機器1Gを示す縦断面図である。
電子機器1Gは、金属製の裏蓋本体部43と、非導電性材料である透明なガラス製の裏蓋カバーガラス44とから成る裏蓋4Dを有している。裏蓋カバーガラス44は、裏蓋本体部43の中央部に形成された貫通孔431に嵌め込まれ、2次コイル14の導線部142に当接されている。この裏蓋カバーガラス44を介して外枠2の内部が視認可能となっている。
このような構成の電子機器1Gによれば、2次コイル14の導線部142が裏蓋カバーガラス44と当接するので、導線部142の外周は金属と対向しない構成とすることができる。
なお、裏蓋カバーガラス44は、非導電性材料で形成されていればよく、ガラス以外の、例えば、合成樹脂やセラミックス等で形成されてもよい。また、裏蓋において、少なくとも、2次コイルと対向する領域部が非導電性材料で形成されていればよいので、2次コイルの空芯部と対向する領域部の材質については、非導電性材料以外の材質であってもよい。
【0055】
前記各実施形態では、蓄電源として蓄電池の例を説明したが、本発明の蓄電源としては、蓄電池に限らず、コンデンサのような素子であってもよい。
前記各実施形態では、外枠と裏蓋とが個別に形成された例を説明したが、これに限らず、外枠と裏蓋とが一体で形成されていてもよい。
前記各実施形態では、2次コイルの蓄電源側に磁性部材が配置されている例を説明したが、磁性部材が配置されていなくてもよい。そして、弾性部材は、蓄電源と2次コイルとの間に介在して配置されていてもよい。また、2次コイルと弾性部材との間に、絶縁性を有する絶縁部材を配置して、この絶縁部材を介して2次コイルが弾性部材によって付勢されていてもよい。また、2次コイルを絶縁部材に固定して、外枠の中心軸Aに直交する方向における絶縁部材の位置ずれを規制する規制部を設けてもよい。
前記各実施形態における2次コイルの空芯部141,171Aの軸は、2次コイルの中心軸上に形成されていてもよく、または、2次コイルの中心軸から偏芯して形成されていてもよい。
前記第3実施形態では、充電用回路基板に2次コイルを実装した例を説明したが、この充電用回路基板を2次コイルとともに全体を樹脂で覆ってもよい。また、前記第6実施形態では、コイル形成基板に2次コイルを成形する例を説明したが、同様に、コイル形成基板の全体を樹脂で覆ってもよい。
【0056】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係る非接触充電式電子機器を示す正面図。
【図2】前記実施形態の非接触充電式電子機器を示す縦断面図。
【図3】前記実施形態に係る外部電源と前記非接触充電式電子機器とを組み合わせた状態を示す縦断面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る非接触充電式電子機器を示す縦断面図。
【図5】本発明の第3実施形態に係る非接触充電式電子機器を示す縦断面図。
【図6】本発明の第4実施形態に係る非接触充電式電子機器を示す縦断面図。
【図7】本発明の第5実施形態に係る非接触充電式電子機器を示す縦断面図。
【図8】本発明の第6実施形態に係る非接触充電式電子機器を示す縦断面図。
【図9】本発明の第7実施形態に係る非接触充電式電子機器を示す縦断面図。
【図10】前記実施形態の非接触充電式電子機器の使用状態を示す斜視図。
【図11】本発明の変形例に係る非接触充電式電子機器を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0058】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G…非接触充電式電子機器、2,2A,2B…外枠、4,4A,4B,4C,4D…裏蓋、9…充電器(外部電源)、11,11A…蓄電池(蓄電源)、12…弾性部材、13,13A,13B,13C…磁性部材、14,14A…2次コイル、15,15A…充電用回路基板、16…充電保護回路素子(充電保護回路)、17…コイル形成基板、17A…2次コイル、23…延設部(規制部)、41…突起部(規制部)、42…突起部(規制部)、72A…延設部(規制部)、74,74A…突起部(規制部)、93…1次コイル、141…空芯部、152…コイル収納部(コイル収納用の孔)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の外枠と、
この外枠の一方の開口を塞ぐ裏蓋と、
この裏蓋の内側に配置され、前記外枠の中心軸方向における厚さ寸法が当該中心軸と直交する方向の幅寸法よりも小さく、外部電源が備える1次コイルの電磁誘導によって発電する2次コイルと、
前記外枠の中心軸方向における厚さ寸法が当該中心軸と直交する方向の幅寸法よりも小さい弾性部材と、
前記外枠の中心軸方向における厚さ寸法が当該中心軸と直交する方向の幅寸法よりも小さく、前記2次コイルで発電される電力を蓄え、前記外枠の中心軸方向に厚さ寸法が増加する蓄電源とを備え、
前記2次コイルと、前記弾性部材と、前記蓄電源とは、前記外枠の中心軸方向に、裏蓋の内側から順に積層されており、
前記弾性部材は、前記蓄電源の厚さ寸法が増加した場合に、当該厚さ寸法の増加に応じて弾性変形可能に取り付けられるとともに、前記2次コイルを前記裏蓋側に付勢し、
前記2次コイルは、前記弾性部材によって前記裏蓋に当接され、
前記裏蓋において少なくとも前記2次コイルと対向する領域部は、非導電性材料で形成されていることを特徴とする非接触充電式電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触充電式電子機器において、
前記2次コイルの前記蓄電源側には、磁性体で形成される磁性部材が配置され、
前記弾性部材は、前記磁性部材と前記蓄電源との間に配置されている
ことを特徴とする非接触充電式電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の非接触充電式電子機器において、
前記裏蓋の内側には、前記2次コイルと、前記蓄電源の過充電を防止するための充電保護回路とが実装された充電用回路基板が配置され、
前記弾性部材は、前記充電用回路基板と前記蓄電源との間に配置され、前記充電用回路基板を前記裏蓋側に付勢していることを特徴とする非接触充電式電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触充電式電子機器において、
前記充電用回路基板には、前記2次コイルの収納用の孔が形成されている
ことを特徴とする非接触充電式電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の非接触充電式電子機器において、
前記外枠の中心軸と直交する方向における前記2次コイルの位置ずれを規制する規制部を備えていることを特徴とする非接触充電式電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の非接触充電式電子機器において、
前記規制部は、前記裏蓋に形成され、前記2次コイルの空芯部と係合する突起部であることを特徴とする非接触充電式電子機器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の非接触充電式電子機器において、
前記2次コイルは、基体の表面に導体の箔部が形成されたコイル形成基板から前記箔部をエッチングによって成形された渦巻き線状の平面コイルであり、
前記弾性部材は、前記コイル形成基板と前記蓄電源との間に配置されている
ことを特徴とする非接触充電式電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の非接触充電式電子機器において、
前記外枠の中心軸と直交する方向における前記コイル形成基板の位置ずれを規制する規制部を備え、
この規制部は、前記外枠または前記裏蓋に形成されるとともに、前記コイル形成基板に形成された穴に係合される突状部または前記コイル形成基板の側部と当接する延設部であることを特徴とする非接触充電式電子機器。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の非接触充電式電子機器において、
前記裏蓋は、外枠の内部に向かって窪んで湾曲され、
前記蓄電源は、外枠の中心軸方向に直交する方向に、弾性変形可能に形成され、
前記2次コイルおよび前記蓄電源は、前記裏蓋の形状に沿って変形可能に形成されていることを特徴とする非接触充電式電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−206287(P2008−206287A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38921(P2007−38921)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】