非接触電子装置
【課題】小型で、かつ、長距離通信を可能とする非接触電子装置(ICタグ)を提供する。
【解決手段】ダイポールアンテナ部3aを、2つのスパイラルインダクタ部と、2つのスパイラルインダクタ部にそれぞれ接続される2つの導体部5a,5bとから構成し、スロット部(整合部、整合回路)3bを、ダイポールアンテナ部3aと共有する2つの導体部5a,5bと、2つの導体部5a,5bにその両端が接続される整合導体部とから構成し、2つの導体部5a,5bを半導体集積回路装置2の2つのアンテナ端子4a,4bにそれぞれ接続する。
【解決手段】ダイポールアンテナ部3aを、2つのスパイラルインダクタ部と、2つのスパイラルインダクタ部にそれぞれ接続される2つの導体部5a,5bとから構成し、スロット部(整合部、整合回路)3bを、ダイポールアンテナ部3aと共有する2つの導体部5a,5bと、2つの導体部5a,5bにその両端が接続される整合導体部とから構成し、2つの導体部5a,5bを半導体集積回路装置2の2つのアンテナ端子4a,4bにそれぞれ接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記録する半導体集積回路装置と電波の送受信を行うアンテナとから構成される非接触電子装置(以下、IC(Integrated Circuit)タグと記す)に関し、特に、アンテナの構造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICタグは、リーダ・ライタ装置との間で情報交換を行っている。この情報交換は、例えばICタグが保持しているデータをリーダ・ライタ装置へ送信する、あるいはリーダ・ライタ装置から送信されたデータをICタグが受信して保持することによって実現しており、ICタグを様々な物品に貼り付けるまたは組み込むことにより、人または物品の管理、および認識等を行うことが可能である。
【0003】
ICタグとリーダ・ライタ装置との間の通信は電磁界(電波)を介して行われる。具体的には、ICタグに搭載されたアンテナがリーダ・ライタ装置から送信されたキャリア信号を受信し、そのキャリア信号をICタグに搭載された半導体集積回路装置へ供給するとともに、半導体集積回路装置においてそのキャリア信号に重畳されたデータをリーダ・ライタ装置へ送信することにより、上記通信は行われている。
【0004】
例えば特開2007−81632号公報(特許文献1)には、ICチップと、ICチップに接続されるアンテナ導体とを実装基板に実装してなる無線ICタグにおいて、アンテナ導体形状をメアンダ(Meander、蛇腹)形状とすることにより、実装基板の外形を小型化する技術が開示されている。
【0005】
また、特開2007−228437号公報(特許文献2)には、RFID(Radio Frequency Identification)用ICチップに接続されたダイポール状の導体パターンからなるアンテナと、アンテナの導体パターンに対して所定の形態で接続された一つあるいは複数の整合用のパターンであり、アンテナの特性を整合させるための整合部と、整合部における整合の操作内容を標記した標記部とを備えるRFIDタグが開示されている。
【0006】
また、特開2009−20835号公報(特許文献3)には、給電回路基板とそれに搭載する無線ICチップとによって電磁結合モジュールを構成し、この電磁結合モジュールを螺旋状導体に給電用導体を介して結合することにより、無線ICデバイスのサイズを小型化し、かつ、放射特性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−81632号公報
【特許文献2】特開2007−228437号公報
【特許文献3】特開2009−20835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ICタグには、半導体集積回路装置、アンテナ、およびアンテナと半導体集積回路装置との間で良好なインピーダンス整合をとるための整合用回路が搭載されている。整合用回路は、アンテナの一部として搭載されており、例えばループ素子などの共振回路である。整合用回路にループ素子などの共振回路を用いることにより、通信特性の広帯域化が可能となる。また、キャリア信号の周波数には、電波伝搬特性や障害物等の回り込み特性などから、主にUHF帯(860〜960MHz)が使用されている。
【0009】
ICタグは、様々な物品に貼り付けられて利用されるが、貼り付ける対象物や利用状況により、ICタグの寸法に制限が生じる場合がある。用途によっては5〜7cm以下の長さのICタグが要求されている。
【0010】
ICタグの寸法は、概ねICタグに搭載されるアンテナの長さによって決まる。そして、ICタグに搭載されるアンテナの長さは、通信に使用するキャリア信号の波長に依存する。現在、ICタグに搭載されるアンテナとして、主としてダイポールアンテナまたはループアンテナが用いられており、ダイポールアンテナまたはループアンテナは、通常、通信に使用するキャリア信号の波長の1/4〜1/2程度の長さを有している。このようなダイポールアンテナまたはループアンテナを搭載するICタグにおいて、リーダ・ライタ装置または電波伝搬環境に依存するが、数m程度の通信距離を得ることができる。
【0011】
しかしながら、キャリア信号の周波数にUHF帯(860〜960MHz)を用いても、キャリア信号の波長は30〜40cm程度である。よって、キャリア信号の波長の1/4(以下、1/4波長と記す場合もある)のダイポールアンテナまたはループアンテナを用いたとしても、ICタグの長さは7.5cm以上となり、要求される寸法のICタグを実現することができない場合がある。
【0012】
ダイポールアンテナまたはループアンテナの長さを1/4波長以下とした場合は、アンテナ利得が低下する。さらに、所望するダイポールアンテナまたはループアンテナのインピーダンスが得られず、半導体集積回路装置とダイポールアンテナまたはループアンテナとのインピーダンス整合も低下する。このため、十分な通信距離を得ることができない。そのため、小型で、かつ、長距離通信を可能とするICタグの実現が難しくなっている。
【0013】
そこで、例えば前述した特許文献1、2および3に記載されているように、アンテナの放射部をメアンダ形状または螺旋形状とすることにより、アンテナの長さを長くして、放射効率を低下させずに、ICタグの小型化を実現する技術が提案されている。しかし、本発明者らが検討したところ、メアンダ形状ダイポールアンテナを搭載するICタグについては、以下に説明する種々の技術的課題が存在する。
【0014】
メアンダ形状ダイポールアンテナは、アンテナ利得の低下が無いという利点を有している。しかし、半導体集積回路装置は一般に容量性のリアクタンスであり、メアンダ形状ダイポールアンテナも容量性のリアクタンスであることから、半導体集積回路装置とメアンダ形状ダイポールアンテナとのインピーダンス整合は低下する。メアンダ形状ダイポールアンテナに整合部を付加することにより、インピーダンス整合を改善させることはできるが、メアンダ形状ダイポールアンテナの放射部のインピーダンスに比べて、付加された整合部のインピーダンスが小さいため、放射部へ流れる電流が抑制されてしまい、メアンダ形状ダイポールアンテナのアンテナ利得が低下してしまう。
【0015】
本発明の目的は、小型で、かつ、長距離通信を可能とする非接触電子装置(ICタグ)を提供することにある。
【0016】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
この実施の形態は、半導体集積回路装置とアンテナとを備える非接触電子装置であって、半導体集積回路装置は、アンテナと接続する2つのアンテナ端子を有し、アンテナは、ダイポールアンテナ部と整合部とを有し、ダイポールアンテナ部は、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナと、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナのそれぞれの一端にそれぞれ接続された2つの導体部とから構成され、整合部は、ダイポールアンテナ部と共有する2つの導体部と、2つの導体部にその両端が接続された整合導体部とから構成され、2つの導体部は2つのアンテナ端子にそれぞれ接続されている。
【0019】
また、この実施の形態は、半導体集積回路装置とアンテナとを備える非接触電子装置であって、半導体集積回路装置は、アンテナと接続する2つのアンテナ端子を有し、アンテナは、ダイポールアンテナ部と整合部とを有し、ダイポールアンテナ部は、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナから構成され、整合部は整合導体部から構成され、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナのそれぞれの一端は2つのアンテナ端子にそれぞれ接続され、整合導体部の両端は2つのアンテナ端子にそれぞれ接続されている。
【発明の効果】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0021】
小型で、かつ、長距離通信を可能とする非接触電子装置(ICタグ)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1によるICタグの一例を示す要部平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるICタグに搭載された半導体集積回路装置の一例を示す要部平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1によるICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1によるICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1によるICタグに搭載されたアンテナのインピーダンスとキャリア周波数との関係の一例を示すグラフ図である。
【図6】本発明の実施の形態1によるICタグのアンテナ利得特性の一例を示すグラフ図である。
【図7】本発明の実施の形態2によるICタグの一例を示す要部平面図である。
【図8】本発明の実施の形態2によるICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図である。
【図9】本発明の実施の形態3によるICタグの一例を示す要部平面図である。
【図10】本発明の実施の形態3によるICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図である。
【図11】本発明の実施の形態3によるICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【図12】本発明の実施の形態4によるICタグの一例を示す要部平面図である。
【図13】本発明の実施の形態4によるICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0024】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0025】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態1によるICタグの構造を図1〜図4を用いて説明する。図1はICタグの一例を示す要部平面図、図2はICタグに搭載された半導体集積回路装置の一例を示す要部平面図、図3はICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図、図4はICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【0027】
図1に示すように、ICタグ1は、半導体集積回路装置2とアンテナ3とから構成されており、アンテナ3はダイポールアンテナ部(放射部、放射体)3aとスロット部(整合部、整合回路)3bとから構成されている。アンテナ3は、キャリア信号の波長の1/4以下の長さを有している。スロット部3bは、半導体集積回路装置2とダイポールアンテナ部3aとのインピーダンス整合を取るために設けられている。ICタグ1の長さは、例えば5.6cm、その幅は、例えば3.4mmである。ICタグ1が送受信するキャリア信号の周波数は、例えばUHF帯(860〜960MHz)である。
【0028】
半導体集積回路装置2は、アンテナ端子4a,4bを介してアンテナ3と接続されている。また、アンテナ3を構成するダイポールアンテナ部3aとスロット部3bとは、導体部5a,5b(図中、ハッチングを付している部分)を共有しており、導体部5aはアンテナ端子4aに接続され、導体部5bはアンテナ端子4bに接続されている。ダイポールアンテナ部3aとスロット部3bとが導体部5a,5bを共有することにより、小型のアンテナ3を設計することができる。
【0029】
図2に示すように、半導体集積回路装置2のアンテナ端子4a,4bにキャリア信号が入力されると、キャリア信号は電源回路6(PWR)および信号処理回路7(SP)へ伝達される。電源回路6は、キャリア信号から信号処理回路7を動作させる電圧および電流を生成し、これらを信号処理回路7へ供給する。信号処理回路7は、その内部に設けられた送受信回路8(TR)を介して、アンテナ端子4a,4bから供給されたキャリア信号をデータに復調し、または、上記送受信回路8を介して、アンテナ端子4a,4bに供給された信号を変調することによって、その内部に保持しているデータを送信する。
【0030】
ダイポールアンテナ部3aは、図3に示すように、2つの導体部5a,5b(図中、ハッチングを付している部分)および2つのスパイラル(螺旋)形状のスパイラルインダクタ部9a,9bから構成されている。一方のスパイラルインダクタ部9aは、導体部5aを介してアンテナ端子4aに接続され、他方のスパイラルインダクタ部9bは、導体部5bを介してアンテナ端子4bに接続されている。この際、スパイラルインダクタ部9aとスパイラルインダクタ部9bとは、これらの中間に位置する対称軸M1に対して対称となるように設計することが望ましい。
【0031】
ダイポールアンテナ部3aの導体部分の全長は、使用するキャリア信号の波長の1/2程度となるように設定される。しかし、ダイポールアンテナ部3aの導体部分の全長は、そのレジスタンス成分が、キャリア信号の周波数において半導体集積回路装置2のインピーダンスのレジスタンス成分と等しい値となるように調整を加えてもよい。ダイポールアンテナ部3aの導体部分の全長の調整は、スパイラルインダクタ部9a,9bのループ数または寸法の変更により行うことが望ましい。
【0032】
スロット部3bは、図4に示すように、T字形状を有している。スロット部3bは、ダイポールアンテナ部3aと共有する導体部5a,5b(図中、ハッチングを付している部分)、および導体部5aと導体部5bとを接続する整合導体部10から構成されている。
【0033】
スロット部3bの寸法は、半導体集積回路装置2とスロット部3bとのインピーダンス整合が最良となるように調整される。スロット部3bの調整は、図4に示すスロット寸法D1の値のみが変更するように、導体部5a,5bの変更により行うことが望ましい。この際、導体部5aと導体部5bとは、これらの中間に位置する対称軸M1に対して対称となるように設計することが望ましい。
【0034】
本実施の形態1では、ダイポールアンテナ部3aをスパイラル形状ダイポールアンテナ(スパイラルインダクタ部9a,9b)で構成することによって、放射効率の低下、すなわちアンテナ利得の低下を抑えている。例えばキャリア信号の波長が30〜40cmの場合、従来のストレイト形状のダイポールアンテナまたはループアンテナでは、アンテナの長さは7.5cm以上となる。これに対して、本実施の形態1によるスパイラル形状のダイポールアンテナでは、アンテナの長さを7.5cmよりも短くすることができるので、ICタグ1の小型化を実現することができる。さらに、ダイポールアンテナ部3aにスロット部3bが付加されているので、半導体集積回路装置とスパイラル形状ダイポールアンテナ(スパイラルインダクタ部9a,9b)とのインピーダンス整合を良好にとることができる。
【0035】
例えば前述した特許文献1および2には、アンテナの放射部をメアンダ形状ダイポールアンテナで構成し、さらに、アンテナの放射部に整合部を付加することによって、半導体集積回路装置とアンテナとのインピーダンス整合を改善した無線ICタグが記載されている。しかし、前述したように、このアンテナでは、アンテナの放射部のインピーダンスに比べて、付加された整合部のインピーダンスが小さいため、整合部を付加することによって放射部へ流れる電流が抑制されてしまい、メアンダ形状ダイポールアンテナのアンテナ利得が低下してしまう。
【0036】
しかしながら、本実施の形態1によるアンテナ3では、このような整合部を付加してもアンテナ利得の低下を抑えることができる。以下に、スパイラル形状ダイポールアンテナと、メアンダ形状ダイポールアンテナとの整合部を付加することによる効果の違いについて詳細に説明する。
【0037】
半導体集積回路装置のインピーダンスZcを
Zc=Rc−jXc (式1)
と表すと、一般的にXcは正の値となる。
【0038】
また、アンテナのインピーダンスZaを
Za=Ra+jXa (式2)
と表すと、レジスタンスRa=Rc、かつリアクタンスXc=Xaの場合において、最もインピーダンス整合が取れた状態となり、半導体集積回路装置とアンテナとの間の電力送受が最も効率よく行われる。
【0039】
また、アンテナは、放射部と整合部とから構成されており、放射部のインピーダンスZpを
Zp=Rp+jXp (式3)
整合部のインピーダンスZmを
Zm=Rm+jXm (式4)
と表すと、放射部と整合部とが並列に接続されていれば、アンテナのインピーダンスZaは、
Za=(Zp×Zm)/(Zp+Zm) (式5)
=((Rp2Rm+RpRm2+RpXm2+RmXp2)+j(Rp2Xm+
Rm2Xp+Xp2Xm+XpXm2)/((Rp+Rm)2+(Xp+Xm)2)
(式6)
と表される。
【0040】
放射部にメアンダ形状ダイポールアンテナを適用した場合、アンテナ利得は半波長ダイポールとほぼ同等の値が得られるが、狭小な領域においては、線状の導体部が複数回折り曲がっているため、放射部のレジスタンスRpが導体損により増加する。さらに隣接する線状の導体部間の容量結合により放射部のリアクタンスXpが負の値となる。整合部は、アンテナのリアクタンスXaが正の値となるように、整合部のレジスタンスRmが小さく、かつ整合部のリアクタンスXmが大きくなるよう選択する必要があり、これにはループ状またはスリット状の整合部が好適である。しかし、整合部を付加することにより、放射部のレジスタンスRpに比べて整合部のレジスタンスRmが小さいため、放射部を流れる電流が抑制されて、十分なアンテナ利得が得られない。
【0041】
他方、放射部にスパイラル形状ダイポールアンテナを適用した場合、アンテナ利得は半波長ダイポールよりも低下するが、メアンダ形状ダイポールアンテナと比較して、線状の導体部の折り曲げ回数が少ないので、放射部のレジスタンスRpの導体損による増加が抑制できる。さらに、メアンダ形状ダイポールアンテナと比較して、線状の導体部の折り曲げ回数が少ないことにより、隣接する線状の導体部の間の容量結合も低減されて、放射部のリアクタンスXpを正の値とすることができる。これにより、整合部を付加しても、十分なアンテナ利得が得られる。
【0042】
図5は、シミュレーションにより得られた本実施の形態1によるアンテナ3のインピーダンスとキャリア信号の周波数との関係の一例を示すグラフ図である。図5(a)にレジスタンスを示し、図5(b)にリアクタンスを示す。図5(a)および(b)に示すように、点P1において、ダイポールアンテナ部3aに起因する自己共振点が存在しており、点P2において、半導体集積回路装置2と共役整合している。
【0043】
図6は、シミュレーションにより得られた本実施の形態1によるICタグ1のアンテナ利得特性の一例を示すグラフ図である。図6に示すように、スパイラルインダクタ部9a,9bにスロット部3bを接続しても、十分なアンテナ利得が得られている。
【0044】
このように、本実施の形態1によれば、ダイポールアンテナ部3aをスパイラル形状ダイポールアンテナ(スパイラルインダクタ部9a,9b)で構成することによって、アンテナ利得の低下を抑えることができる。さらに、ダイポールアンテナ部3aにスロット部3bを付加することによって、アンテナ利得を低下させることなく、半導体集積回路装置とスパイラル形状ダイポールアンテナ(スパイラルインダクタ部9a,9b)との良好なインピーダンス整合を得ることができる。これにより、例えば高いアンテナ利得を得るために、1/4波長よりも長いアンテナを備えても、インピーダンス整合が良好な1/4波長以下の長さの小型ICタグを実現することができる。
【0045】
(実施の形態2)
本実施の形態2によるICタグの構造を図7および図8を用いて説明する。図7はICタグの一例を示す要部平面図、図8はICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図である。
【0046】
本実施の形態2によるICタグ21は、前述した実施の形態1によるICタグ1の変形例である。本実施の形態2によるICタグ21が前述した実施の形態1によるICタグ1と相違する点は、アンテナ3を構成するダイポールアンテナ部3aの形状である。
【0047】
すなわち、前述した実施の形態1によるICタグ1では、ダイポールアンテナ部3aを90度に曲がった角部を複数箇所設けたスパイラル形状(螺旋形状)ダイポールアンテナで構成したが、本実施の形態2によるICタグ21では、ダイポールアンテナ部3aに90度に曲がった角部の無いスパイラル形状(螺旋形状)ダイポールアンテナで構成している。
【0048】
このように、本実施の形態2によれば、90度に曲がった角部の無いスパイラル形状ダイポールアンテナを用いても、前述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0049】
(実施の形態3)
本実施の形態3によるICタグの構造を図9〜図11を用いて説明する。図9はICタグの一例を示す要部平面図、図10はICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図、図11はICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【0050】
本実施の形態3によるICタグ31は、前述した実施の形態1によるICタグ1の変形例である。本実施の形態3によるICタグ31が前述した実施の形態1によるICタグ1と相違する点は、ダイポールアンテナ3aとスロット部3bとが共有する導体部5a,5bの有無である。
【0051】
すなわち、前述した実施の形態1では、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とは一旦導体部5aまたは導体部5bに接続され、そして導体部5aはアンテナ端子4aに接続され、導体部5bはアンテナ端子4bに接続されている。これに対して、本実施の形態3では、導体部5a,5bを設けずに、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とは、それぞれアンテナ端子4aまたはアンテナ端子4bに直接接続されている。
【0052】
なお、本実施の形態3では、ダイポールアンテナ部3aを90度に曲がった角部を複数箇所設けたスパイラル形状(螺旋形状)ダイポールアンテナで構成したが、前述した実施の形態2によるICタグ21のように、ダイポールアンテナ部3aを90度に曲がった角部の無いスパイラル形状(螺旋形状)ダイポールアンテナで構成してもよい。
【0053】
このように、本実施の形態3によれば、導体部5a,5bを設けずに、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とを、それぞれアンテナ端子4aまたはアンテナ端子4bに直接接続しても、前述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(実施の形態4)
本実施の形態4によるICタグの構造を図12および図13を用いて説明する。図12はICタグの一例を示す要部平面図、図13はICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【0055】
本実施の形態4によるICタグ41は、前述した実施の形態1によるICタグ1の変形例である。本実施の形態4によるICタグ41が前述した実施の形態1によるICタグ1と相違する点は、ダイポールアンテナ3aとスロット部3bとが共有する導体部5a,5bの有無、およびスロット部3bの形状である。
【0056】
すなわち、前述した実施の形態1では、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とは一旦導体部5aまたは導体部5bに接続され、そして導体部5aはアンテナ端子4aに接続され、導体部5bはアンテナ端子4bに接続されている。また、スロット部3bはT字形状を有している。これに対して、本実施の形態4では、導体部5a,5bを設けずに、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とは、それぞれアンテナ端子4aまたはアンテナ端子4bに直接接続されている。また、スロット部3bは一部を切断した輪形状の導体部3b1と、その切断した2箇所に繋がる直線形状の導体部3b2とからなり、直線形状の2つの導体部3b2がアンテナ端子4aおよびアンテナ端子4bにそれぞれ直接接続されている。スロット部3bの調整は、図13に示すスロット寸法D2の値のみが変更するように行われる。
【0057】
このように、本実施の形態4によれば、導体部5a,5bを設けずに、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とを、それぞれアンテナ端子4aまたはアンテナ端子4bに直接接続し、スロット部3bを輪形状としても、前述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、非接触電子装置、所謂無線ICタグに適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 ICタグ
2 半導体集積回路装置
3 アンテナ
3a ダイポールアンテナ部(放射部、放射体)
3b スロット部(整合部、整合回路)
3b1,3b2 導体部
4a,4b アンテナ端子
5a,5b 導体部
6 電源回路
7 信号処理回路
8 送受信回路
9a,9b スパイラルインダクタ部
10 整合導体部
21,31,41 ICタグ
D1,D2 スロット寸法
M1 対称軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記録する半導体集積回路装置と電波の送受信を行うアンテナとから構成される非接触電子装置(以下、IC(Integrated Circuit)タグと記す)に関し、特に、アンテナの構造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICタグは、リーダ・ライタ装置との間で情報交換を行っている。この情報交換は、例えばICタグが保持しているデータをリーダ・ライタ装置へ送信する、あるいはリーダ・ライタ装置から送信されたデータをICタグが受信して保持することによって実現しており、ICタグを様々な物品に貼り付けるまたは組み込むことにより、人または物品の管理、および認識等を行うことが可能である。
【0003】
ICタグとリーダ・ライタ装置との間の通信は電磁界(電波)を介して行われる。具体的には、ICタグに搭載されたアンテナがリーダ・ライタ装置から送信されたキャリア信号を受信し、そのキャリア信号をICタグに搭載された半導体集積回路装置へ供給するとともに、半導体集積回路装置においてそのキャリア信号に重畳されたデータをリーダ・ライタ装置へ送信することにより、上記通信は行われている。
【0004】
例えば特開2007−81632号公報(特許文献1)には、ICチップと、ICチップに接続されるアンテナ導体とを実装基板に実装してなる無線ICタグにおいて、アンテナ導体形状をメアンダ(Meander、蛇腹)形状とすることにより、実装基板の外形を小型化する技術が開示されている。
【0005】
また、特開2007−228437号公報(特許文献2)には、RFID(Radio Frequency Identification)用ICチップに接続されたダイポール状の導体パターンからなるアンテナと、アンテナの導体パターンに対して所定の形態で接続された一つあるいは複数の整合用のパターンであり、アンテナの特性を整合させるための整合部と、整合部における整合の操作内容を標記した標記部とを備えるRFIDタグが開示されている。
【0006】
また、特開2009−20835号公報(特許文献3)には、給電回路基板とそれに搭載する無線ICチップとによって電磁結合モジュールを構成し、この電磁結合モジュールを螺旋状導体に給電用導体を介して結合することにより、無線ICデバイスのサイズを小型化し、かつ、放射特性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−81632号公報
【特許文献2】特開2007−228437号公報
【特許文献3】特開2009−20835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ICタグには、半導体集積回路装置、アンテナ、およびアンテナと半導体集積回路装置との間で良好なインピーダンス整合をとるための整合用回路が搭載されている。整合用回路は、アンテナの一部として搭載されており、例えばループ素子などの共振回路である。整合用回路にループ素子などの共振回路を用いることにより、通信特性の広帯域化が可能となる。また、キャリア信号の周波数には、電波伝搬特性や障害物等の回り込み特性などから、主にUHF帯(860〜960MHz)が使用されている。
【0009】
ICタグは、様々な物品に貼り付けられて利用されるが、貼り付ける対象物や利用状況により、ICタグの寸法に制限が生じる場合がある。用途によっては5〜7cm以下の長さのICタグが要求されている。
【0010】
ICタグの寸法は、概ねICタグに搭載されるアンテナの長さによって決まる。そして、ICタグに搭載されるアンテナの長さは、通信に使用するキャリア信号の波長に依存する。現在、ICタグに搭載されるアンテナとして、主としてダイポールアンテナまたはループアンテナが用いられており、ダイポールアンテナまたはループアンテナは、通常、通信に使用するキャリア信号の波長の1/4〜1/2程度の長さを有している。このようなダイポールアンテナまたはループアンテナを搭載するICタグにおいて、リーダ・ライタ装置または電波伝搬環境に依存するが、数m程度の通信距離を得ることができる。
【0011】
しかしながら、キャリア信号の周波数にUHF帯(860〜960MHz)を用いても、キャリア信号の波長は30〜40cm程度である。よって、キャリア信号の波長の1/4(以下、1/4波長と記す場合もある)のダイポールアンテナまたはループアンテナを用いたとしても、ICタグの長さは7.5cm以上となり、要求される寸法のICタグを実現することができない場合がある。
【0012】
ダイポールアンテナまたはループアンテナの長さを1/4波長以下とした場合は、アンテナ利得が低下する。さらに、所望するダイポールアンテナまたはループアンテナのインピーダンスが得られず、半導体集積回路装置とダイポールアンテナまたはループアンテナとのインピーダンス整合も低下する。このため、十分な通信距離を得ることができない。そのため、小型で、かつ、長距離通信を可能とするICタグの実現が難しくなっている。
【0013】
そこで、例えば前述した特許文献1、2および3に記載されているように、アンテナの放射部をメアンダ形状または螺旋形状とすることにより、アンテナの長さを長くして、放射効率を低下させずに、ICタグの小型化を実現する技術が提案されている。しかし、本発明者らが検討したところ、メアンダ形状ダイポールアンテナを搭載するICタグについては、以下に説明する種々の技術的課題が存在する。
【0014】
メアンダ形状ダイポールアンテナは、アンテナ利得の低下が無いという利点を有している。しかし、半導体集積回路装置は一般に容量性のリアクタンスであり、メアンダ形状ダイポールアンテナも容量性のリアクタンスであることから、半導体集積回路装置とメアンダ形状ダイポールアンテナとのインピーダンス整合は低下する。メアンダ形状ダイポールアンテナに整合部を付加することにより、インピーダンス整合を改善させることはできるが、メアンダ形状ダイポールアンテナの放射部のインピーダンスに比べて、付加された整合部のインピーダンスが小さいため、放射部へ流れる電流が抑制されてしまい、メアンダ形状ダイポールアンテナのアンテナ利得が低下してしまう。
【0015】
本発明の目的は、小型で、かつ、長距離通信を可能とする非接触電子装置(ICタグ)を提供することにある。
【0016】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
この実施の形態は、半導体集積回路装置とアンテナとを備える非接触電子装置であって、半導体集積回路装置は、アンテナと接続する2つのアンテナ端子を有し、アンテナは、ダイポールアンテナ部と整合部とを有し、ダイポールアンテナ部は、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナと、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナのそれぞれの一端にそれぞれ接続された2つの導体部とから構成され、整合部は、ダイポールアンテナ部と共有する2つの導体部と、2つの導体部にその両端が接続された整合導体部とから構成され、2つの導体部は2つのアンテナ端子にそれぞれ接続されている。
【0019】
また、この実施の形態は、半導体集積回路装置とアンテナとを備える非接触電子装置であって、半導体集積回路装置は、アンテナと接続する2つのアンテナ端子を有し、アンテナは、ダイポールアンテナ部と整合部とを有し、ダイポールアンテナ部は、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナから構成され、整合部は整合導体部から構成され、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナのそれぞれの一端は2つのアンテナ端子にそれぞれ接続され、整合導体部の両端は2つのアンテナ端子にそれぞれ接続されている。
【発明の効果】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0021】
小型で、かつ、長距離通信を可能とする非接触電子装置(ICタグ)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1によるICタグの一例を示す要部平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるICタグに搭載された半導体集積回路装置の一例を示す要部平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1によるICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1によるICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1によるICタグに搭載されたアンテナのインピーダンスとキャリア周波数との関係の一例を示すグラフ図である。
【図6】本発明の実施の形態1によるICタグのアンテナ利得特性の一例を示すグラフ図である。
【図7】本発明の実施の形態2によるICタグの一例を示す要部平面図である。
【図8】本発明の実施の形態2によるICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図である。
【図9】本発明の実施の形態3によるICタグの一例を示す要部平面図である。
【図10】本発明の実施の形態3によるICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図である。
【図11】本発明の実施の形態3によるICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【図12】本発明の実施の形態4によるICタグの一例を示す要部平面図である。
【図13】本発明の実施の形態4によるICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0024】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0025】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態1によるICタグの構造を図1〜図4を用いて説明する。図1はICタグの一例を示す要部平面図、図2はICタグに搭載された半導体集積回路装置の一例を示す要部平面図、図3はICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図、図4はICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【0027】
図1に示すように、ICタグ1は、半導体集積回路装置2とアンテナ3とから構成されており、アンテナ3はダイポールアンテナ部(放射部、放射体)3aとスロット部(整合部、整合回路)3bとから構成されている。アンテナ3は、キャリア信号の波長の1/4以下の長さを有している。スロット部3bは、半導体集積回路装置2とダイポールアンテナ部3aとのインピーダンス整合を取るために設けられている。ICタグ1の長さは、例えば5.6cm、その幅は、例えば3.4mmである。ICタグ1が送受信するキャリア信号の周波数は、例えばUHF帯(860〜960MHz)である。
【0028】
半導体集積回路装置2は、アンテナ端子4a,4bを介してアンテナ3と接続されている。また、アンテナ3を構成するダイポールアンテナ部3aとスロット部3bとは、導体部5a,5b(図中、ハッチングを付している部分)を共有しており、導体部5aはアンテナ端子4aに接続され、導体部5bはアンテナ端子4bに接続されている。ダイポールアンテナ部3aとスロット部3bとが導体部5a,5bを共有することにより、小型のアンテナ3を設計することができる。
【0029】
図2に示すように、半導体集積回路装置2のアンテナ端子4a,4bにキャリア信号が入力されると、キャリア信号は電源回路6(PWR)および信号処理回路7(SP)へ伝達される。電源回路6は、キャリア信号から信号処理回路7を動作させる電圧および電流を生成し、これらを信号処理回路7へ供給する。信号処理回路7は、その内部に設けられた送受信回路8(TR)を介して、アンテナ端子4a,4bから供給されたキャリア信号をデータに復調し、または、上記送受信回路8を介して、アンテナ端子4a,4bに供給された信号を変調することによって、その内部に保持しているデータを送信する。
【0030】
ダイポールアンテナ部3aは、図3に示すように、2つの導体部5a,5b(図中、ハッチングを付している部分)および2つのスパイラル(螺旋)形状のスパイラルインダクタ部9a,9bから構成されている。一方のスパイラルインダクタ部9aは、導体部5aを介してアンテナ端子4aに接続され、他方のスパイラルインダクタ部9bは、導体部5bを介してアンテナ端子4bに接続されている。この際、スパイラルインダクタ部9aとスパイラルインダクタ部9bとは、これらの中間に位置する対称軸M1に対して対称となるように設計することが望ましい。
【0031】
ダイポールアンテナ部3aの導体部分の全長は、使用するキャリア信号の波長の1/2程度となるように設定される。しかし、ダイポールアンテナ部3aの導体部分の全長は、そのレジスタンス成分が、キャリア信号の周波数において半導体集積回路装置2のインピーダンスのレジスタンス成分と等しい値となるように調整を加えてもよい。ダイポールアンテナ部3aの導体部分の全長の調整は、スパイラルインダクタ部9a,9bのループ数または寸法の変更により行うことが望ましい。
【0032】
スロット部3bは、図4に示すように、T字形状を有している。スロット部3bは、ダイポールアンテナ部3aと共有する導体部5a,5b(図中、ハッチングを付している部分)、および導体部5aと導体部5bとを接続する整合導体部10から構成されている。
【0033】
スロット部3bの寸法は、半導体集積回路装置2とスロット部3bとのインピーダンス整合が最良となるように調整される。スロット部3bの調整は、図4に示すスロット寸法D1の値のみが変更するように、導体部5a,5bの変更により行うことが望ましい。この際、導体部5aと導体部5bとは、これらの中間に位置する対称軸M1に対して対称となるように設計することが望ましい。
【0034】
本実施の形態1では、ダイポールアンテナ部3aをスパイラル形状ダイポールアンテナ(スパイラルインダクタ部9a,9b)で構成することによって、放射効率の低下、すなわちアンテナ利得の低下を抑えている。例えばキャリア信号の波長が30〜40cmの場合、従来のストレイト形状のダイポールアンテナまたはループアンテナでは、アンテナの長さは7.5cm以上となる。これに対して、本実施の形態1によるスパイラル形状のダイポールアンテナでは、アンテナの長さを7.5cmよりも短くすることができるので、ICタグ1の小型化を実現することができる。さらに、ダイポールアンテナ部3aにスロット部3bが付加されているので、半導体集積回路装置とスパイラル形状ダイポールアンテナ(スパイラルインダクタ部9a,9b)とのインピーダンス整合を良好にとることができる。
【0035】
例えば前述した特許文献1および2には、アンテナの放射部をメアンダ形状ダイポールアンテナで構成し、さらに、アンテナの放射部に整合部を付加することによって、半導体集積回路装置とアンテナとのインピーダンス整合を改善した無線ICタグが記載されている。しかし、前述したように、このアンテナでは、アンテナの放射部のインピーダンスに比べて、付加された整合部のインピーダンスが小さいため、整合部を付加することによって放射部へ流れる電流が抑制されてしまい、メアンダ形状ダイポールアンテナのアンテナ利得が低下してしまう。
【0036】
しかしながら、本実施の形態1によるアンテナ3では、このような整合部を付加してもアンテナ利得の低下を抑えることができる。以下に、スパイラル形状ダイポールアンテナと、メアンダ形状ダイポールアンテナとの整合部を付加することによる効果の違いについて詳細に説明する。
【0037】
半導体集積回路装置のインピーダンスZcを
Zc=Rc−jXc (式1)
と表すと、一般的にXcは正の値となる。
【0038】
また、アンテナのインピーダンスZaを
Za=Ra+jXa (式2)
と表すと、レジスタンスRa=Rc、かつリアクタンスXc=Xaの場合において、最もインピーダンス整合が取れた状態となり、半導体集積回路装置とアンテナとの間の電力送受が最も効率よく行われる。
【0039】
また、アンテナは、放射部と整合部とから構成されており、放射部のインピーダンスZpを
Zp=Rp+jXp (式3)
整合部のインピーダンスZmを
Zm=Rm+jXm (式4)
と表すと、放射部と整合部とが並列に接続されていれば、アンテナのインピーダンスZaは、
Za=(Zp×Zm)/(Zp+Zm) (式5)
=((Rp2Rm+RpRm2+RpXm2+RmXp2)+j(Rp2Xm+
Rm2Xp+Xp2Xm+XpXm2)/((Rp+Rm)2+(Xp+Xm)2)
(式6)
と表される。
【0040】
放射部にメアンダ形状ダイポールアンテナを適用した場合、アンテナ利得は半波長ダイポールとほぼ同等の値が得られるが、狭小な領域においては、線状の導体部が複数回折り曲がっているため、放射部のレジスタンスRpが導体損により増加する。さらに隣接する線状の導体部間の容量結合により放射部のリアクタンスXpが負の値となる。整合部は、アンテナのリアクタンスXaが正の値となるように、整合部のレジスタンスRmが小さく、かつ整合部のリアクタンスXmが大きくなるよう選択する必要があり、これにはループ状またはスリット状の整合部が好適である。しかし、整合部を付加することにより、放射部のレジスタンスRpに比べて整合部のレジスタンスRmが小さいため、放射部を流れる電流が抑制されて、十分なアンテナ利得が得られない。
【0041】
他方、放射部にスパイラル形状ダイポールアンテナを適用した場合、アンテナ利得は半波長ダイポールよりも低下するが、メアンダ形状ダイポールアンテナと比較して、線状の導体部の折り曲げ回数が少ないので、放射部のレジスタンスRpの導体損による増加が抑制できる。さらに、メアンダ形状ダイポールアンテナと比較して、線状の導体部の折り曲げ回数が少ないことにより、隣接する線状の導体部の間の容量結合も低減されて、放射部のリアクタンスXpを正の値とすることができる。これにより、整合部を付加しても、十分なアンテナ利得が得られる。
【0042】
図5は、シミュレーションにより得られた本実施の形態1によるアンテナ3のインピーダンスとキャリア信号の周波数との関係の一例を示すグラフ図である。図5(a)にレジスタンスを示し、図5(b)にリアクタンスを示す。図5(a)および(b)に示すように、点P1において、ダイポールアンテナ部3aに起因する自己共振点が存在しており、点P2において、半導体集積回路装置2と共役整合している。
【0043】
図6は、シミュレーションにより得られた本実施の形態1によるICタグ1のアンテナ利得特性の一例を示すグラフ図である。図6に示すように、スパイラルインダクタ部9a,9bにスロット部3bを接続しても、十分なアンテナ利得が得られている。
【0044】
このように、本実施の形態1によれば、ダイポールアンテナ部3aをスパイラル形状ダイポールアンテナ(スパイラルインダクタ部9a,9b)で構成することによって、アンテナ利得の低下を抑えることができる。さらに、ダイポールアンテナ部3aにスロット部3bを付加することによって、アンテナ利得を低下させることなく、半導体集積回路装置とスパイラル形状ダイポールアンテナ(スパイラルインダクタ部9a,9b)との良好なインピーダンス整合を得ることができる。これにより、例えば高いアンテナ利得を得るために、1/4波長よりも長いアンテナを備えても、インピーダンス整合が良好な1/4波長以下の長さの小型ICタグを実現することができる。
【0045】
(実施の形態2)
本実施の形態2によるICタグの構造を図7および図8を用いて説明する。図7はICタグの一例を示す要部平面図、図8はICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図である。
【0046】
本実施の形態2によるICタグ21は、前述した実施の形態1によるICタグ1の変形例である。本実施の形態2によるICタグ21が前述した実施の形態1によるICタグ1と相違する点は、アンテナ3を構成するダイポールアンテナ部3aの形状である。
【0047】
すなわち、前述した実施の形態1によるICタグ1では、ダイポールアンテナ部3aを90度に曲がった角部を複数箇所設けたスパイラル形状(螺旋形状)ダイポールアンテナで構成したが、本実施の形態2によるICタグ21では、ダイポールアンテナ部3aに90度に曲がった角部の無いスパイラル形状(螺旋形状)ダイポールアンテナで構成している。
【0048】
このように、本実施の形態2によれば、90度に曲がった角部の無いスパイラル形状ダイポールアンテナを用いても、前述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0049】
(実施の形態3)
本実施の形態3によるICタグの構造を図9〜図11を用いて説明する。図9はICタグの一例を示す要部平面図、図10はICタグに搭載されたアンテナを構成するダイポールアンテナ部の一例を示す要部平面図、図11はICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【0050】
本実施の形態3によるICタグ31は、前述した実施の形態1によるICタグ1の変形例である。本実施の形態3によるICタグ31が前述した実施の形態1によるICタグ1と相違する点は、ダイポールアンテナ3aとスロット部3bとが共有する導体部5a,5bの有無である。
【0051】
すなわち、前述した実施の形態1では、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とは一旦導体部5aまたは導体部5bに接続され、そして導体部5aはアンテナ端子4aに接続され、導体部5bはアンテナ端子4bに接続されている。これに対して、本実施の形態3では、導体部5a,5bを設けずに、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とは、それぞれアンテナ端子4aまたはアンテナ端子4bに直接接続されている。
【0052】
なお、本実施の形態3では、ダイポールアンテナ部3aを90度に曲がった角部を複数箇所設けたスパイラル形状(螺旋形状)ダイポールアンテナで構成したが、前述した実施の形態2によるICタグ21のように、ダイポールアンテナ部3aを90度に曲がった角部の無いスパイラル形状(螺旋形状)ダイポールアンテナで構成してもよい。
【0053】
このように、本実施の形態3によれば、導体部5a,5bを設けずに、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とを、それぞれアンテナ端子4aまたはアンテナ端子4bに直接接続しても、前述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(実施の形態4)
本実施の形態4によるICタグの構造を図12および図13を用いて説明する。図12はICタグの一例を示す要部平面図、図13はICタグに搭載されたアンテナを構成するスロット部の一例を示す要部平面図である。
【0055】
本実施の形態4によるICタグ41は、前述した実施の形態1によるICタグ1の変形例である。本実施の形態4によるICタグ41が前述した実施の形態1によるICタグ1と相違する点は、ダイポールアンテナ3aとスロット部3bとが共有する導体部5a,5bの有無、およびスロット部3bの形状である。
【0056】
すなわち、前述した実施の形態1では、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とは一旦導体部5aまたは導体部5bに接続され、そして導体部5aはアンテナ端子4aに接続され、導体部5bはアンテナ端子4bに接続されている。また、スロット部3bはT字形状を有している。これに対して、本実施の形態4では、導体部5a,5bを設けずに、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とは、それぞれアンテナ端子4aまたはアンテナ端子4bに直接接続されている。また、スロット部3bは一部を切断した輪形状の導体部3b1と、その切断した2箇所に繋がる直線形状の導体部3b2とからなり、直線形状の2つの導体部3b2がアンテナ端子4aおよびアンテナ端子4bにそれぞれ直接接続されている。スロット部3bの調整は、図13に示すスロット寸法D2の値のみが変更するように行われる。
【0057】
このように、本実施の形態4によれば、導体部5a,5bを設けずに、ダイポールアンテナ部3aの端子とスロット部3bの端子とを、それぞれアンテナ端子4aまたはアンテナ端子4bに直接接続し、スロット部3bを輪形状としても、前述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、非接触電子装置、所謂無線ICタグに適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 ICタグ
2 半導体集積回路装置
3 アンテナ
3a ダイポールアンテナ部(放射部、放射体)
3b スロット部(整合部、整合回路)
3b1,3b2 導体部
4a,4b アンテナ端子
5a,5b 導体部
6 電源回路
7 信号処理回路
8 送受信回路
9a,9b スパイラルインダクタ部
10 整合導体部
21,31,41 ICタグ
D1,D2 スロット寸法
M1 対称軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路装置とアンテナとを備える非接触電子装置であって、
前記半導体集積回路装置は、前記アンテナと接続する2つのアンテナ端子を有し、
前記アンテナは、ダイポールアンテナ部と整合部とを有し、
前記ダイポールアンテナ部は、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナと、前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナのそれぞれの一端にそれぞれ接続された2つの導体部とから構成され、
前記整合部は、前記ダイポールアンテナ部と共有する前記2つの導体部と、前記2つの導体部にその両端が接続された整合導体部とから構成され、
前記2つの導体部は前記2つのアンテナ端子にそれぞれ接続されていることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項2】
半導体集積回路装置とアンテナとを備える非接触電子装置であって、
前記半導体集積回路装置は、前記アンテナと接続する2つのアンテナ端子を有し、
前記アンテナは、ダイポールアンテナ部と整合部とを有し、
前記ダイポールアンテナ部は、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナから構成され、
前記整合部は、整合導体部から構成され、
前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナのそれぞれの一端は前記2つのアンテナ端子にそれぞれ接続され、前記整合導体部の両端は前記2つのアンテナ端子にそれぞれ接続されていることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記アンテナの長さは、前記アンテナが送受信する電磁波の波長の1/4よりも短いことを特徴とする非接触電子装置。
【請求項4】
請求項3記載の非接触電子装置において、前記電磁波の周波数は860〜960MHzであることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナは、90度に曲がった角部を複数箇所有するスパイラル形状であることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナは、90度に曲がった角部の無いスパイラル形状であることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項7】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記整合部はT字形状であることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項8】
請求項2記載の非接触電子装置において、前記整合部を構成する前記整合導体部は、一部を切断した輪形状を有することを特徴とする非接触電子装置。
【請求項9】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナは、これらの中間に位置する対称軸に対して対称となるように配置されていることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項10】
請求項1記載の非接触電子装置において、前記2つの導体部は、これらの中間に位置する対称軸に対して対称となるように配置されていることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項1】
半導体集積回路装置とアンテナとを備える非接触電子装置であって、
前記半導体集積回路装置は、前記アンテナと接続する2つのアンテナ端子を有し、
前記アンテナは、ダイポールアンテナ部と整合部とを有し、
前記ダイポールアンテナ部は、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナと、前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナのそれぞれの一端にそれぞれ接続された2つの導体部とから構成され、
前記整合部は、前記ダイポールアンテナ部と共有する前記2つの導体部と、前記2つの導体部にその両端が接続された整合導体部とから構成され、
前記2つの導体部は前記2つのアンテナ端子にそれぞれ接続されていることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項2】
半導体集積回路装置とアンテナとを備える非接触電子装置であって、
前記半導体集積回路装置は、前記アンテナと接続する2つのアンテナ端子を有し、
前記アンテナは、ダイポールアンテナ部と整合部とを有し、
前記ダイポールアンテナ部は、2つのスパイラル形状ダイポールアンテナから構成され、
前記整合部は、整合導体部から構成され、
前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナのそれぞれの一端は前記2つのアンテナ端子にそれぞれ接続され、前記整合導体部の両端は前記2つのアンテナ端子にそれぞれ接続されていることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記アンテナの長さは、前記アンテナが送受信する電磁波の波長の1/4よりも短いことを特徴とする非接触電子装置。
【請求項4】
請求項3記載の非接触電子装置において、前記電磁波の周波数は860〜960MHzであることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナは、90度に曲がった角部を複数箇所有するスパイラル形状であることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナは、90度に曲がった角部の無いスパイラル形状であることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項7】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記整合部はT字形状であることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項8】
請求項2記載の非接触電子装置において、前記整合部を構成する前記整合導体部は、一部を切断した輪形状を有することを特徴とする非接触電子装置。
【請求項9】
請求項1または2記載の非接触電子装置において、前記2つのスパイラル形状ダイポールアンテナは、これらの中間に位置する対称軸に対して対称となるように配置されていることを特徴とする非接触電子装置。
【請求項10】
請求項1記載の非接触電子装置において、前記2つの導体部は、これらの中間に位置する対称軸に対して対称となるように配置されていることを特徴とする非接触電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−95844(P2011−95844A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246793(P2009−246793)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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