説明

非日常行動検知システム

【課題】実環境での行動動線を適切な行動にクラスタリングすることで、実環境での行動動線から日常的な行動を自動的に定義する。
【解決手段】人物の時系列動線情報から生成された複数の行動データを行動毎にクラスタリングする第1クラスタリング部1201と、第1クラスタリング部1201がクラスタリングした複数の行動データを行動毎にモデル化した行動モデルを生成する第1行動モデル生成部1202と、第1行動モデルを用いて複数の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る第1認識処理部1203と、第1認識処理部1203が求めた尤度が閾値以上である行動データのみを複数の行動データから選別する第1行動データ選別部1204と、第1行動データ選別部1204が選別した行動データを、第1認識処理部1203の認識結果の示す行動にクラスタリングする第2クラスタリング部1205とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動認識の対象となる人物の非日常行動を検知する非日常行動検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者の異常を検知するシステムや高齢者の行動を見守るシステムなどでは、人物の行動を検知して、人物の行動を認識する技術(以下、「行動認識技術」という。)が用いられている。また、一般に対しても、生活行動からその人の状態を推測し、適切なサービスを提供する試みが行われている。また、このような行動認識技術としては、以下に示す行動認識技術が知られている。
【0003】
あらかじめ生成された行動モデルと行動認識の対象となるデータ(以下、「認識対象データ」という。)とを比較して、認識対象データとの尤度が最も高い行動モデルに対応する行動を認識結果として出力する技術が挙げられる。具体的には、隠れマルコフモデル(HMM;Hidden Markov Model)などの統計モデル生成手法によって人物の行動データから複数の行動モデルをあらかじめ生成しておき、複数の行動モデルの中で認識対象データとの尤度が最も高い行動モデルに対応する行動が認識結果として出力される。
【0004】
行動認識技術を利用して行動の非日常性を検知するために、あらかじめ人手により定義された日常行動テンプレートと実際に起きた行動との違いを検出することで、異常の発生を判断する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−256957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した背景技術においては、異常の発生を検知する前の段階で、日常行動があらかじめ人手により定義されている。このため、複雑で多様な人物の行動の全てを行動特徴の組み合せによって定義することは非常に困難であり、限られた人物の行動しか認識することができない。
【0006】
高齢者の行動を見守るシステムでは、転倒・卒倒等の異常行動の検知に加えて、介護福祉施設等がより上質なケアを提供するために、プライバシーを保護した上で高齢者の生活パターンを検知し、生活習慣や健康状態の変化、廊下の兆候等を推定することが強く求められている。
【0007】
連続した実生活データから行動の非日常性を検知するには、行動を学習する際に、実生活データの分割方法や分割された行動において類似する行動をまとめる方法を工夫する必要がある。
【0008】
上記問題点に鑑み、本発明は、実環境での行動動線を適切な行動にクラスタリングすることで、実環境での行動動線から日常的な行動を自動的に定義できる非日常行動検知システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、人物の非日常行動を検知する非日常行動検知システムであって、人物の時系列動線情報から生成された複数の行動データを行動毎にクラスタリングし、クラスタリングした複数の行動データを行動毎にモデル化した第1行動モデルを生成する第1学習処理部と、複数の行動データをクラスタリングして第2行動モデルを生成する第2学習処理部とを備え、第2学習処理部は、第1行動モデルを用いて複数の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る第1認識処理部と、第1認識処理部が求めた尤度が閾値以上である行動データのみを複数の行動データから選別する第1行動データ選別部と、第1行動データ選別部が選別した行動データを、第1認識処理部の認識結果の示す行動にクラスタリングする第2クラスタリング部と、第2クラスタリング部がクラスタリングした行動データから第2行動モデルを生成する第2行動モデル生成部とを備える非日常行動検知システムであることを要旨とする。第1の特徴に係る非日常行動検知システムによれば、類似する行動をまとめ、適切な行動にクラスタリングすることで実環境での行動動線から日常的な行動を自動的に定義できる。
【0010】
第2の特徴は、第1の特徴に係る非日常行動検知システムにおいて、複数の行動データをクラスタリングして第3〜第n行動モデルを生成する第3〜第n学習処理部を更に備え(n;4以上の整数)、第3学習処理部は、第2行動モデルを用いて複数の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る第2認識処理部と、第2認識処理部が求めた尤度が閾値以上である行動データのみを複数の行動データから選別する第2行動データ選別部と、第2行動データ選別部が選別した行動データを、第2認識処理部の認識結果の示す行動にクラスタリングする第3クラスタリング部と、第3クラスタリング部がクラスタリングした行動データから第3行動モデルを生成する第3行動モデル生成部とを備えることを要旨とする。
【0011】
第3の特徴は、第2の特徴に係る非日常行動検知システムにおいて、第2〜第n行動モデルのいずれかを用いて認識対象の行動データを認識し、非日常行動を検知する行動認識部を更に備えることを要旨とする。
【0012】
第4の特徴は、第3の特徴に係る非日常行動検知システムにおいて、第2〜第n学習処理部によるクラスタリングによって、直前のクラスタリング結果とは異なる行動にクラスタリングされた行動データの数が閾値以下となった際に生成された行動モデルを、認識対象の行動データを認識するための最終的な行動モデルとするクラスタリング結果判定部を更に備えることを要旨とする。
【0013】
第5の特徴は、第3又は第4の特徴に係る非日常行動検知システムにおいて、第2〜第n学習処理部によるクラスタリングによって、異なる行動にクラスタリングされた行動データの数が閾値以下となった際に生成された行動モデルを、認識対象の行動データを認識するための最終的な行動モデルとして選択する行動モデル選択部を更に備えることを要旨とする。第4の特徴に係る非日常行動検知システムによれば、行動の内部状態を考慮することで、行動の中の非日常性の検知が可能となる。
【0014】
第6の特徴は、第5の特徴に係る非日常行動検知システムにおいて、行動認識部は、第2〜第n行動モデルのいずれかを用いて認識対象の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る第3認識処理部と、認識対象の行動データと第3認識処理部の認識結果の示す行動に対応するヒストグラムとを比較し、単位時間当たりの移動量の頻度の差分値を算出する差分値算出部と、第3認識処理部が得た尤度と差分値に基づいて、非日常行動の検知に用いる評価値を算出する評価値算出部とを備えることを要旨とする。第6の特徴に係る非日常行動検知システムによれば、ヒストグラムの差分値と尤度とに基づいて、非日常行動の検知に用いる評価値を求めることが可能となる。
【0015】
第7の特徴は、第6の特徴に係る非日常行動検知システムにおいて、行動認識部は、評価値を積算して累積評価値が閾値を超えた場合に非日常行動の発生と判定する判定部を更に備えることを要旨とする。第7の特徴に係る非日常行動検知システムによれば、一連の行動における非日常行動を検知可能となる。
【0016】
第8の特徴は、第1〜第7の特徴に係る非日常行動検知システムにおいて、時系列動線情報から人物の移動開始及び移動停止を判定する停止状態判定部と、時系列動線情報から人物のエリア遷移の有無を判定するエリア遷移判定部と、移動開始から移動停止までで時系列動線情報を分割し、分割した時系列動線情報のうちエリア遷移を含む時系列動線情報を行動データ及び認識対象の行動データとして出力する行動データ出力部とを更に備え、エリア遷移の履歴を示すエリア遷移履歴をクラスタリングの基準として用いることを要旨とする。第8の特徴に係る非日常行動検知システムによれば、連続した実生活データ(時系列動線情報)から、最適なデータ分割を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、実環境での行動動線を適切な行動にクラスタリングすることで、実環境での行動動線から日常的な行動を自動的に定義できる非日常行動検知システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0019】
(全体構成例)
本発明の実施形態に係る非日常行動検知システムは、図1に示すように、例えば、高齢者等の人物の遠隔見守り(遠隔監視)システムとして構成される。非日常行動検知システムは、被監視者の住居に設置される検出装置110と、監視センタに設置される非日常行動検知装置1と、監視者の住居に設置される出力装置120とを備える。検出装置110、非日常行動検知装置1、及び出力装置120は、インターネット等の通信ネットワーク100を介して相互に通信可能なように構成されている。なお、通信ネットワーク100は、有線ネットワークに限らず無線ネットワークであってもかまわない。
【0020】
検出装置110は、人物の生活動線を検出するように構成されており、人物の行動動線を検知するセンサ部101と、センサ部101が検知したデータを処理して、単位時間当たりの移動量及び座標データを出力するセンサデータ処理部102と、通信ネットワーク100と通信を行う通信処理部103とを備える。センサ部101としては、例えば床圧力センサ、焦電センサ、無線タグ(RF−ID)、又は撮像装置等、あるいはこれらの組み合せが使用できる。すなわち、人物の生活動線が検出可能であればセンサ部101として使用可能である。以下においては、センサ部101として複数の床圧力センサを使用する一例を説明する。
【0021】
非日常行動検知装置1は、検出装置110から通信ネットワーク100を介して受信した時系列動線情報に基づいて人物の非日常行動を検知するように構成されており、各種の情報処理を行う処理装置10と、各種の情報を記憶する記憶装置20と、通信ネットワーク100と通信を行う通信処理部30とを備える。処理装置10は、記憶装置20にあらかじめ記憶された制御プログラムを実行することで、時系列動線情報から複数の行動データを生成する行動データ生成部11と、複数の行動データを用いて人物の行動を学習する行動学習部12と、行動学習部12の学習結果に基づいて行動データを認識し、非日常行動を検知する行動認識部13のそれぞれの機能を実行する。
【0022】
出力装置120は、監視者に対して、被監視者における非日常行動の発生を通知する通知部121と、通知部121を制御する制御部122と、通信ネットワーク100と通信を行う通信処理部123とを備える。通知部121としては、映像出力装置、音声出力装置、又は家庭用ロボット等、あるいはこれらの組み合せが使用できる。
【0023】
次に、図2に示すフローチャートを参照して、本発明の実施形態に係る非日常行動検知装置1の動作概要を説明する。
【0024】
ステップS101において、行動データ生成部11は、人物の時系列動線情報を、検出装置110から通信ネットワーク100を介して受信し、受信した時系列動線情報から複数の行動データ(学習用の行動データ)を生成する。
【0025】
ステップS102において、行動学習部12は、ステップS101で生成された複数の行動データを学習し、行動モデルを生成する。
【0026】
ステップS103において、行動データ生成部11は、人物の時系列動線情報を、検出装置110から通信ネットワーク100を介して受信し、受信した時系列動線情報から複数の行動データ(認識対象の行動データ)を生成する。
【0027】
ステップS104において、行動認識部13は、ステップS102で得られた行動モデルを用いて、ステップS103で得られた行動データを認識し、非日常行動を検知する。
【0028】
以下、行動データ生成部11、行動学習部12、及び行動認識部13の詳細について説明する。
【0029】
(行動データ生成部)
行動データ生成部11の機能構成例を図3に示す。行動データ生成部11は、時系列動線情報から人物の移動開始及び移動停止を判定する停止状態判定部111と、時系列動線情報から人物のエリア遷移の有無を判定するエリア遷移判定部112と、移動開始から移動停止までで時系列動線情報を分割し、分割した時系列動線情報のうちエリア遷移を含む時系列動線情報を行動データとして出力する行動データ出力部113とを備える。「エリア遷移」とは、図4に示すように、被監視者の住居の間取りに応じた部屋をエリアとして部屋の遷移を意味しているが、1つの部屋内に複数のエリアを定義し、定義されたエリア間での遷移であってもよい。行動データ出力部113は、行動データに対して、エリア遷移の履歴を示すエリア遷移履歴の情報を付加する。エリア遷移履歴の情報は、行動学習部12のクラスタリング処理等に使用される。
【0030】
なお、図4において円形及び正方形でプロットされている点(時系列動線情報)は、単位時間(例えば5[s])毎に人物が存在した位置を示し、それぞれ単位時間当たりの移動量の情報と、x方向及びx方向に直交するy方向の平均座標の情報とを有している。
【0031】
図4に示すように、停止状態判定部111は、単位時間当たりの移動量が1[m]以下である状態を停止状態と判定する。具体的には、停止状態判定部111は、単位時間当たりの移動量データを、あらかじめ設定された停止状態閾値と比較することで停止状態を判定する。
【0032】
エリア遷移判定部112は、平均座標データを入力として、エリア遷移の有無を判定する。具体的には、エリア遷移判定部112は、平均座標データをあらかじめ設定されたエリア閾値と比較することでエリア遷移を判定する。図4に示す例においては、エリア遷移履歴は、部屋Aから部屋Bへ移動(遷移)しているために“AB”で表される。なお、以下の実施形態の説明においては、被監視者の住居に“A”〜“G”の少なくとも7つの部屋が存在するものとしている。
【0033】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、行動データ生成部11の動作例、すなわち図2に示すステップS101及びS103の詳細について説明する。ただし、説明の便宜上、1つの行動データを生成する場合について説明する。
【0034】
ステップS201において、停止状態判定部111は、単位時間当たりの移動量データを停止状態閾値と比較して、停止状態閾値以上である場合に人物の移動開始と判定する。また、エリア遷移判定部112は、平均座標データをエリア閾値と比較することでエリア遷移を検知する。
【0035】
ステップS202において、停止状態判定部111は、単位時間当たりの移動量データを停止状態閾値と比較して、停止状態閾値未満である場合に人物の移動停止と判定する。
【0036】
ステップS203において、エリア遷移判定部112は、エリア遷移が含まれているか否かを判定する。エリア遷移が含まれていると判定された場合、ステップS204に進む。エリア遷移が含まれていないと判定された場合、行動データが生成されずに処理が終了する。
【0037】
ステップS204において、行動データ出力部113は、ステップS201で検知された移動開始から、ステップS202で検知された移動停止までの時系列動線情報を行動データとして生成(データ分割)する。また、行動データ出力部113は、行動データにエリア遷移履歴の情報を付加する。生成された行動データは、例えば図1に示す記憶装置20に記憶される。
【0038】
このように、本発明の実施形態に係る行動データ生成部11によれば、連続した実生活データ(時系列動線情報)から、データ処理単位である行動データを自動的に生成できる。
【0039】
(行動学習部)
行動学習部12の機能構成例を図6に示す。行動学習部12は、図6に示すように、第1〜第3学習処理部1251〜1253、及びヒストグラム生成部1211を備える。第1〜第3学習処理部1251〜1253は、行動データ記憶部21に記憶された複数の行動データを学習してそれぞれ行動モデル(学習モデル)を生成する。第1学習処理部1251は、第1クラスタリング部1201及び第1行動モデル生成部1202を備える。第2学習処理部1252は、第1認識処理部1203、第1行動データ選別部1204、第2クラスタリング部1205、及び第2行動モデル生成部1206を備える。第3学習処理部1253は、第2認識処理部1207、第2行動データ選別部1208、第3クラスタリング部1209、及び第3行動モデル生成部1210を備える。
【0040】
図6に示す行動データ記憶部21、第1行動モデル記憶部22、第2行動モデル記憶部23、第3行動モデル記憶部24、及びヒストグラム記憶部25は、図1に示す記憶装置20内に設けられている。行動データ記憶部21には、行動データ生成部11が生成した複数の行動データが記憶されている。
【0041】
第1クラスタリング部1201は、行動データ記憶部21に記憶された複数の行動データを読み出し、図7(a)に示すように、読み出した複数の行動データ“ABC−1”,“ABC−2”,“ABC−3”,“EFC−1”,“EFC−2”,“GBAE−1”,“GBAE−2”,及び“BA−1”を、行動(エリア遷移履歴)毎にクラスタリングする。
【0042】
図7(a)に示す例においては、行動(エリア遷移履歴)が“ABC”である行動データ“ABC−1”,“ABC−2”,及び“ABC−3”が1つにクラスタリングされている。行動(エリア遷移履歴)が“EFC”である行動データ“EFC−1”及び“EFC−2”が1つにクラスタリングされている。行動(エリア遷移履歴)が“GBAE”である行動データ“GBAE−1”及び“GBAE−2”が1つにクラスタリングされている。行動(エリア遷移履歴)が“BA”である行動データ“BA−1”が1つにクラスタリングされている。
【0043】
第1行動モデル生成部1202は、図7(a)に示すように、第1クラスタリング部1201がクラスタリングした複数の行動データを行動(エリア遷移履歴)毎にモデル化した行動モデルを生成する。第1行動モデルは第1行動モデル記憶部22に記憶される。
【0044】
以下に行動モデル生成方法の具体例について説明する。第1行動モデル生成部1202は、単位時間当たりの移動量、x方向及びy方向の平均座標を含む行動データに基づいて行動モデルを生成する。具体的には、第1行動モデル生成部1202は、隠れマルコフモデル(HMM;Hidden Markov Model)などの統計モデル生成手法によって、“行動ABC”や“行動EFC”といった行動(エリア遷移履歴)毎に行動モデルを生成する。
【0045】
続いて、第1行動モデル生成部1202は、Baum−Welchアルゴリズムに従って、“行動ABC”や“行動EFC”といった行動(エリア遷移履歴)毎に隠れマルコフモデルのパラメータを推定する。なお、隠れマルコフモデルのパラメータとは、一の状態から他の状態に遷移する確率(遷移確率)や一の状態から一の出力記号が出力される確率などである。また、第1行動モデル生成部1202は、“行動ABC”や“行動EFC”といった行動(エリア遷移履歴)毎に推定された隠れマルコフモデルのパラメータを行動モデルとして第1行動モデル記憶部22に記憶する。すなわち、第1行動モデル記憶部22は、人物の行動(エリア遷移履歴)毎に複数の第1行動モデルを記憶する。
【0046】
また、第1認識処理部1203は、行動データ記憶部21に記憶された複数の行動データと第1行動モデル記憶部22に記憶された第1行動モデルとを読み出し、第1行動モデルを用いて複数の行動データを認識し、図7(b)に示すように、認識結果及び尤度を得る。具体的には、第1認識処理部1203は、第1行動モデル記憶部22に記憶された複数の第1行動モデルに対する行動データの尤度を算出する。また、第1認識処理部1203は、行動データの尤度が最大となる行動モデルを特定し、特定された行動モデルを認識結果として出力する。
【0047】
以下において、統計モデル生成手法として隠れマルコフモデルを用いた場合を例に挙げて、行動モデルの生成方法について説明する。例えば、上述した隠れマルコフモデルでは、第1認識処理部1203は、単位時間当たりの移動量、x方向及びy方向の平均座標を含む行動データに基づいて、その行動データに対応する出力記号列を取得する。続いて、第1認識処理部1203は、取得された出力記号列が各隠れマルコフモデルに従って出力される確率(尤度)を算出する。
【0048】
具体的には、第1認識処理部1203は、以下の式に従って、各隠れマルコフモデル(行動モデル)に対する行動データの尤度(Pλ)を算出する。
【数1】

【0049】
ここで、O1,O2,・・・Otは、行動モデル(隠れマルコフモデル)の出力記号であり、ok(1), ok(2)・・・ok(t)は、行動データの出力記号であり、Nは、状態の数である。また、πjは、初期状態が状態(j)である確率であり、ai,jは、状態(i)から状態(j)に遷移する遷移確率であり、bj,k(t)は、時刻tにおいて状態(j)から出力記号(ok(t))が出力される確率である。
【0050】
続いて、第1行動データ選別部1204は、尤度があらかじめ設定された閾値(ここでは−25.0)以上である行動データのみを複数の行動データから選別する。この結果、図8に示すように、行動データ“ABC−3”及び“GBAE−2”は第1行動データ選別部1204にてクラスタリング対象から除外される。
【0051】
第2クラスタリング部1205は、第1行動データ選別部1204が選別した行動データを、第1認識処理部1203の認識結果の示す行動(エリア遷移履歴)にクラスタリングする。したがって、図8及び図9に示すように、行動データ“ABC−1”,“ABC−2”,“EFC−2”,及び“BA−1”が1つにクラスタリングされている。行動データ“EFC−1”及び“GBAE−1”が1つにクラスタリングされている。
【0052】
第2行動モデル生成部1206は、第2クラスタリング部1205がクラスタリングした行動データから第2行動モデルを生成する。よって、図9(a)に示すように、行動データ“ABC−1”,“ABC−2”,“EFC−2”,及び“BA−1”から行動(エリア遷移履歴)“ABC”の行動モデルが生成される。行動データ“EFC−1”及び“GBAE−1”から行動(エリア遷移履歴)“EFC”の行動モデルが生成される。生成された第2行動モデルは、第2行動モデル記憶部23に記憶される。
【0053】
更に、第2認識処理部1207は、行動データ記憶部21に記憶された複数の行動データと第2行動モデル記憶部23に記憶された第2行動モデルとを読み出し、第2行動モデルを用いて複数の行動データを認識し、図9(b)に示すように、認識結果及び尤度を得る。
【0054】
第2行動データ選別部1208は、第2認識処理部1207が求めた尤度があらかじめ設定された閾値(ここでは−25.0)以上である行動データのみを複数の行動データから選別する。この結果、図10(a)に示すように、行動データ“GBAE−2”は第2行動データ選別部1208にてクラスタリング対象から除外される。
【0055】
3回目のクラスタリング処理の意義は、2回目のクラスタリング対象から除外された行動データをクラスタリングすることであり、行動モデルのロバスト性を高めることを目的としている。
【0056】
更に、第3クラスタリング部1209は、第2行動データ選別部1208が選別した行動データを、第2認識処理部1207の認識結果の示す行動(エリア遷移履歴)にクラスタリングする。したがって、図10(a)に示すように、行動データ“ABC−1”,“ABC−2”,“EFC−2”,“BA−1”,及び“ABC−3”が1つにクラスタリングされている。よって、2回目のクラスタリングで除外された行動データ“ABC−3”が救済されている。また、行動データ“EFC−1”及び“GBAE−1”が1つにクラスタリングされている。
【0057】
第3行動モデル生成部1210は、第3クラスタリング部1209がクラスタリングした行動データから第3行動モデルを生成する。よって、図10(b)に示すように、行動データ“ABC−1”,“ABC−2”,“EFC−2”,“BA−1”,及び“ABC−3”から行動(エリア遷移履歴)“ABC”の行動モデルが生成される。行動データ“EFC−1”及び“GBAE−1”から行動(エリア遷移履歴)“EFC”の行動モデルが生成される。生成された第3行動モデルは、第3行動モデル記憶部24に記憶される。
【0058】
更に、ヒストグラム生成部1211は、図11(a)〜(c)に示すように、第3クラスタリング部1209がクラスタリングした行動データ毎に単位時間当たりの移動量の頻度の分布を示すヒストグラムを生成する。具体的には、図11(a)に示す行動(エリア遷移履歴)“ABC”にクラスタリングされている行動データ“ABC−1”,“ABC−2”,“EFC−2”,“BA−1”,及び“ABC−3”のそれぞれについて、単位時間当たりの移動量の頻度の分布を示すヒストグラムを生成する。更に、行動データ“ABC−1”,“ABC−2”,“EFC−2”,“BA−1”,及び“ABC−3”の各ヒストグラムを平均して、図11(b)に示すようなヒストグラムを生成する。図11(b)に示すヒストグラムでは、単位時間当たりの移動量の小さい頻度が多いので、全体として遅い行動であると判断できる。
【0059】
また、図11(a)に示す行動(エリア遷移履歴)“EFC”にクラスタリングされている行動データ“EFC−1”及び“GBAE−1”のそれぞれについて、単位時間当たりの移動量の頻度の分布を示すヒストグラムを生成する。更に、行動データ“EFC−1”及び“GBAE−1”の各ヒストグラムを平均して、図11(c)に示すようなヒストグラムを生成する。図11(c)に示すヒストグラムでは、単位時間当たりの移動量の大きい頻度が多いので、全体として速い行動であると判断できる。
【0060】
次に、図12に示すフローチャートを参照して、行動学習部12の動作例、すなわち図2のステップS102の詳細について説明する。
【0061】
ステップS301において、第1クラスタリング部1201は、行動データ記憶部21に記憶された複数の行動データを読み出し、読み出した複数の行動データを行動(エリア遷移履歴)毎にクラスタリングする。
【0062】
ステップS302において、第1行動モデル生成部1202は、ステップS301でクラスタリングされた複数の行動データを、行動(エリア遷移履歴)毎にモデル化した第1行動モデルを生成する。第1行動モデルは第1行動モデル記憶部22に記憶される。
【0063】
ステップS303において、第1認識処理部1203は、行動データ記憶部21に記憶された複数の行動データ及び第1行動モデル記憶部22に記憶された第1行動モデルを読み出し、第1行動モデルを用いて複数の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る。
【0064】
ステップS304において、第1行動データ選別部1204は、尤度が閾値以上である行動データのみを複数の行動データから選別する。
【0065】
ステップS305において、第2クラスタリング部1205は、選別された行動データを認識結果の示す行動(エリア遷移履歴)にクラスタリングする。
【0066】
ステップS306において、第2行動モデル生成部1206は、第2クラスタリング部1205がクラスタリングした行動データから第2行動モデルを生成する。第2行動モデルは第2行動モデル記憶部23に記憶される。
【0067】
ステップS307において、第2認識処理部1207は、行動データ記憶部21に記憶された複数の行動データ及び第2行動モデル記憶部23に記憶された第2行動モデルを読み出し、第2行動モデルを用いて複数の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る。
【0068】
ステップS308において、第2行動データ選別部1208は、ステップS307で求めた尤度が閾値以上である行動データのみを複数の行動データから選別する。
【0069】
ステップS309において、第3クラスタリング部1209は、ステップS308で選別された行動データを、ステップS307における認識結果の示す行動(エリア遷移履歴)にクラスタリングする。
【0070】
ステップS310において、第3行動モデル生成部1210は、ステップS309でクラスタリングされた行動データから第3行動モデルを生成する。
【0071】
ステップS311において、ステップS309でクラスタリングされた行動データに対し、単位時間当たりの移動量の頻度の分布を示すヒストグラムを行動(エリア遷移履歴)毎に生成する。
【0072】
このように、本発明の実施形態に係る行動学習部12によれば、複雑で多様な人物の行動に対して適切な行動モデルを自動的に生成できる。したがって、プライバシーを保護した上で日常的な生活パターンを定義することが可能となる。
【0073】
(行動認識部)
行動認識部13の機能構成例を図13に示す。行動認識部13は、認識対象の行動データ、第3行動モデル、及びヒストグラムを入力として、被監視者における非日常行動の発生を監視者に通知するための非日常行動検知通知を出力する。出力された非日常行動検知通知は、図1に示す通信処理部30及び通信ネットワーク100を介して、出力装置120へ送信される。この結果、監視者は、被監視者による非日常行動の発生を知ることができる。
【0074】
行動認識部13は、第3認識処理部1301、差分値算出部1302、評価値算出部1303、及び判定部1304を備える。なお、評価値記憶部27は、図1に示す記憶装置20内に設けられている。
【0075】
第3認識処理部1301は、第3行動モデル記憶部24に記憶された第3行動モデルを用いて、認識対象の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る。第3認識処理部1301には、図14(a)に示すような行動データ1〜5が順次入力される。例えば、行動データ1〜5は、人物のある生活シーンにおける一連の行動から測定されているものとする。
【0076】
差分値算出部1302は、第3認識処理部1301の認識結果の示す行動(エリア遷移履歴)に対応するヒストグラムをヒストグラム記憶部25から読み出す。また、差分値算出部1302は、認識対象データを総データ(サンプル数)数で正規化し、読み出したヒストグラムと移動量毎に比較する。この比較は、ヒストグラムの頻度差を各移動量で積算する方式を採用する。図14(b)に示すように、あらかじめ設定していた移動量の基準値に対し、基準値よりも小さい移動量、即ち移動速度が遅い場合は、ヒストグラムデータよりも頻度が少ない場合に正として積算する。これに対して、あらかじめ設定していた移動量の基準値に対し、基準値よりも大きい移動量、即ち移動速度が速い場合は、ヒストグラムデータよりも頻度が多い場合に正として積算する。このようにして得られた積算値を差分値とする。よって、差分値は、ヒストグラムデータよりも移動量が大きいデータが多い場合に正として出力される。
【0077】
評価値算出部1303は、図15(a)に示すように、第3認識処理部1301が求めた尤度と、差分値算出部1302が算出した差分値を乗算して、非日常行動の検知に用いる評価値を算出する。評価値は評価値記憶部27に記憶される。
【0078】
判定部1304は、図15(b)に示すように、評価値を積算し、累積評価値があらかじめ設定した閾値を超えた場合に非日常行動の発生と判定する。
【0079】
次に、図16に示すフローチャートを参照して、行動認識部13の動作例、すなわち図2のステップS104の詳細について説明する。
【0080】
ステップS401において、第3認識処理部1301は、第3行動モデル記憶部から第3行動モデルを読み出し、第3行動モデルを用いて認識対象データを認識し、認識結果及び尤度を得る。
【0081】
ステップS402において、差分値算出部1302は、ステップS401で得られた認識結果の示す行動(エリア遷移履歴)に対応するヒストグラムをヒストグラム記憶部25から読み出す。更に、差分値算出部1302は、認識対象データを総データ数で正規化し、ヒストグラムと移動量毎に比較する。このようにして移動量の頻度の差分値が算出される。
【0082】
ステップS403において、評価値算出部1303は、ステップS401で得られた尤度とステップS402で算出された差分値を乗算することで評価値を得る。
【0083】
ステップS404において、判定部1304は、ステップS403で得られた評価値を積算する。
【0084】
ステップS405において、判定部1304は、ステップS404で積算された累積評価値が閾値を超えるか否かを判定する。累積評価値が閾値を超えると判定された場合、ステップS406に移行する。
【0085】
ステップS406において、判定部1304は、非日常行動であると判定して非日常行動検知通知を出力する。
【0086】
このように、本発明の実施形態に係る行動認識部13によれば、行動データと行動モデルとの尤度と、行動データの内部状態との類似性(ヒストグラム差分値)とを併せて評価することで、行動の中の非日常性を検知することを可能としている。したがって、例えば非日常行動として物忘れ行動を検知するシステムに応用できる。物忘れが発生する1つの原因は、注意(意識)が他に向けられていることである。注意が他に向けられ、ある行動を失敗し、失敗した行動に意識が向かうことで、他の行動を更に失敗するというように、物忘れは連鎖的に発生すると考えられる。そこで、行動単位の非日常性を検知することで、その後に物忘れが発生しやすいかどうかを推定するシステムに応用できる。
【0087】
(実験例)
次に、図17を用いて、本発明の実施形態に係る非日常行動検知システムの実験例を説明する。図17(a)及び(b)に示す各実験データにおいては、それぞれ一連の行動からなる複数の行動データを含んでいる。図17(c)に示すように、10回の実験中、誤認識されたのは実験2,5,及び8の3回のみであり、7回は正しく認識されていることが分かる。
【0088】
(第1変形例)
上述した実施形態においては、行動学習部12が、第1〜第3行動モデルの3つの行動モデルを生成し、第3行動モデルを最終的な行動モデルとして用いる一例を説明した。しかしながら、本発明の実施形態の第1変形例として、図18に示すように、第2行動モデルを最終的な行動モデルとして用いるように構成されていてもよい。
【0089】
(第2変形例)
本発明の実施形態の第2変形例に係る行動学習部1200は、図19に示すように、第2行動モデル記憶部23に記憶された行動モデルが、認識処理部1203に再度入力可能なように構成されている点で、図6と異なっている。すなわち、第2学習処理部1252を複数回使用して複数の行動モデルを生成する構成となっている。
【0090】
更に、行動学習部1200は、第2クラスタリング部1205によるクラスタリングによって、直前のクラスタリング結果とは異なる行動にクラスタリングされた行動データの数が閾値以下となった際に生成された行動モデルを最終的な行動モデルとして選択する行動モデル選択部1260を更に備える。ここで「直前のクラスタリング結果とは異なる行動にクラスタリングされた行動データ」には、クラスタリング結果が「なし」となった行動データも含まれる。図8に示す例においては、行動データ“ABC−3”、“EFC−2”、“GBAE−1”、“GBAE−2”、及び“BA−1”に相当し、「異なる行動にクラスタリングされた行動データの数」は、5である。なお、閾値の値は任意に設定可能である。
【0091】
次に、図20に示すフローチャートを参照して、本発明の実施形態の第2変形例に係る行動学習部1200の動作例について説明する。
【0092】
ステップS301において、第1クラスタリング部1201は、行動データ記憶部21に記憶された複数の行動データを読み出し、読み出した複数の行動データを行動(エリア遷移履歴)毎にクラスタリングする。
【0093】
ステップS302において、第1行動モデル生成部1202は、ステップS301でクラスタリングされた複数の行動データを、行動(エリア遷移履歴)毎にモデル化した第1行動モデルを生成する。第1行動モデルは第1行動モデル記憶部22に記憶される。
【0094】
ステップS303において、第1認識処理部1203は、行動データ記憶部21に記憶された複数の行動データ及び第1行動モデル記憶部22に記憶された第1行動モデルを読み出し、第1行動モデルを用いて複数の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る。
【0095】
ステップS304において、行動データ選別部1204は、尤度が閾値以上である行動データのみを複数の行動データから選別する。
【0096】
ステップS305において、第2クラスタリング部1205は、選別された行動データを認識結果の示す行動(エリア遷移履歴)にクラスタリングする。
【0097】
ステップS306において、第2行動モデル生成部1206は、第2クラスタリング部1205がクラスタリングした行動データから第2行動モデルを生成する。第2行動モデルは第2行動モデル記憶部23に記憶される。
【0098】
ステップS320において、行動モデル選択部1260は、ステップS305で直前のクラスタリング結果とは異なる行動(エリア遷移履歴)にクラスタリングされた行動データの数が閾値以下であるかを判定する。直前のクラスタリング結果とは異なる行動(エリア遷移履歴)にクラスタリングされた行動データの数が閾値以下であると判定された場合、ステップS321へ移行する。直前のクラスタリング結果とは異なる行動(エリア遷移履歴)にクラスタリングされた行動データの数が閾値を超えると判定された場合、ステップS303へ処理が戻る。処理が戻った場合のステップS303においては、ステップS306で生成された第2行動モデルを用いた認識処理が実行される。
【0099】
ステップS320において、行動モデル選択部1260は、ステップS306で生成された第2行動モデルを最終的な行動モデルとして選択する。
【0100】
ステップS311において、ステップS305でクラスタリングされた行動データに対し、単位時間当たりの移動量の頻度の分布を示すヒストグラムを行動(エリア遷移履歴)毎に生成する。
【0101】
このように、本発明の実施形態の第2変形例に係る行動学習部1200によれば、終了条件を満たすまでは自動的にクラスタリングを繰り返すことで、良好な行動モデルを得ることができる。
【0102】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0103】
また、既に述べた実施形態の説明においては、行動認識部13が、人物のある生活シーンにおける一連の行動における非日常性を検知する場合について説明した。しかしながら、更に長い期間における非日常性を検知してもよい。1日単位の非日常性の検知は行動のリズム変化検知、健康状態の変化検知に有効であり、1年単位の非日常性の検知は、老化・疾病の予測に有効であると考えられる。
【0104】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施形態に係る非日常行動検知システムの全体構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る非日常行動検知装置の動作概要を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る行動データ生成部の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る行動データ生成部の機能を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る行動データ生成部の動作例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る行動学習部の構成例を示すブロック図である。
【図7】図7(a)は本発明の実施形態に係る第1行動モデル生成部の機能を説明するための図であり、図7(b)は本発明の実施形態に係る第1認識処理部の機能を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態に係る第1行動データ選別部及び第2クラスタリング部の機能を説明するための図である。
【図9】図9(a)は本発明の実施形態に係る第2行動モデル生成部の機能を説明するための図であり、図9(b)は本発明の実施形態に係る第2認識処理部の機能を説明するための図である。
【図10】図10(a)は本発明の実施形態に係る第2行動データ選別部及び第3クラスタリング部の機能を説明するための図であり、図10(b)は本発明の実施形態に係る第3行動モデル生成部の機能を説明するための図である。
【図11】図11(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るヒストグラム生成部の機能を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態に係る行動学習部の動作例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態に係る行動認識部の構成例を示すブロック図である。
【図14】図14(a)は本発明の実施形態に係る第3認識処理部の機能を説明するための図であり、図14(b)は本発明の実施形態に係る差分値算出部の機能を説明するための図である。
【図15】図15(a)は本発明の実施形態に係る評価値算出部の機能を説明するための図であり、図15(b)は本発明の実施形態に係る判定部の機能を説明するための図である。
【図16】本発明の実施形態に係る行動認識部の動作例をフローチャートである。
【図17】図17(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る非日常行動検知システムの実験例を示す図である。
【図18】本発明の実施形態の第1変形例に係る行動学習部の構成例を示すブロック図である。
【図19】本発明の実施形態の第2変形例に係る行動学習部の構成例を示すブロック図である。
【図20】本発明の実施形態の第2変形例に係る行動学習部の動作例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0106】
1…非日常行動検知装置
10…処理装置
11…行動データ生成部
12…行動学習部
13…行動認識部
20…記憶装置
21…行動データ記憶部
22…第1行動モデル記憶部
23…第2行動モデル記憶部
24…第3行動モデル記憶部
25…ヒストグラム記憶部
27…評価値記憶部
30…通信処理部
100…通信ネットワーク
101…センサ部
102…センサデータ処理部
103…通信処理部
110…検出装置
111…停止状態判定部
112…エリア遷移判定部
113…行動データ出力部
120…出力装置
121…通知部
122…制御部
123…通信処理部
1201…第1クラスタリング部
1202…第1行動モデル生成部
1203…第1認識処理部
1204…第1行動データ選別部
1205…第2クラスタリング部
1206…第2行動モデル生成部
1207…第2認識処理部
1208…第2行動データ選別部
1209…第3クラスタリング部
1210…第3行動モデル生成部
1211…ヒストグラム生成部
1251…第1学習処理部
1252…第2学習処理部
1253…第3学習処理部
1260…行動モデル選択部
1301…第3認識処理部
1302…差分値算出部
1303…評価値算出部
1304…判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の非日常行動を検知する非日常行動検知システムであって、
前記人物の時系列動線情報から生成された複数の行動データを行動毎にクラスタリングし、クラスタリングした複数の行動データを前記行動毎にモデル化した第1行動モデルを生成する第1学習処理部と、
前記複数の行動データをクラスタリングして第2行動モデルを生成する第2学習処理部
とを備え、前記第2学習処理部は、
前記第1行動モデルを用いて前記複数の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る第1認識処理部と、
前記第1認識処理部が求めた前記尤度が閾値以上である行動データのみを前記複数の行動データから選別する第1行動データ選別部と、
前記第1行動データ選別部が選別した行動データを、前記第1認識処理部の前記認識結果の示す行動にクラスタリングする第2クラスタリング部と、
前記第2クラスタリング部がクラスタリングした行動データから前記第2行動モデルを生成する第2行動モデル生成部
とを備えることを特徴とする非日常行動検知システム。
【請求項2】
前記複数の行動データをクラスタリングして第3〜第n行動モデルを生成する第3〜第n学習処理部を更に備え(n;4以上の整数)、
前記第3学習処理部は、
前記第2行動モデルを用いて前記複数の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る第2認識処理部と、
前記第2認識処理部が求めた前記尤度が閾値以上である行動データのみを前記複数の行動データから選別する第2行動データ選別部と、
前記第2行動データ選別部が選別した行動データを、前記第2認識処理部の前記認識結果の示す行動にクラスタリングする第3クラスタリング部と、
前記第3クラスタリング部がクラスタリングした行動データから前記第3行動モデルを生成する第3行動モデル生成部
とを備えることを特徴とする請求項1に記載の非日常行動検知システム。
【請求項3】
前記第2〜第n行動モデルのいずれかを用いて認識対象の行動データを認識し、前記非日常行動を検知する行動認識部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の非日常行動検知システム。
【請求項4】
前記第2〜第n学習処理部によるクラスタリングによって、直前のクラスタリング結果とは異なる行動にクラスタリングされた行動データの数が閾値以下となった際に生成された行動モデルを、前記認識対象の行動データを認識するための最終的な行動モデルとして選択する行動モデル選択部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の非日常行動検知システム。
【請求項5】
前記第2〜第n学習処理部のいずれかがクラスタリングした行動データに対し、単位時間当たりの移動量の頻度の分布を示すヒストグラムを、前記行動毎に生成するヒストグラム生成部を更に備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の非日常行動検知システム。
【請求項6】
前記行動認識部は、
前記第2〜第n行動モデルのいずれかを用いて前記認識対象の行動データを認識し、認識結果及び尤度を得る第3認識処理部と、
前記認識対象の行動データと前記第3認識処理部の前記認識結果の示す行動に対応する前記ヒストグラムとを比較し、前記単位時間当たりの移動量の頻度の差分値を算出する差分値算出部と、
前記第3認識処理部が得た前記尤度と前記差分値に基づいて、前記非日常行動の検知に用いる評価値を算出する評価値算出部
とを備えることを特徴とする請求項5に記載の非日常行動検知システム。
【請求項7】
前記行動認識部は、前記評価値を積算して累積評価値が閾値を超えた場合に前記非日常行動の発生と判定する判定部を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の非日常行動検知システム。
【請求項8】
前記時系列動線情報から前記人物の移動開始及び移動停止を判定する停止状態判定部と、
前記時系列動線情報から前記人物のエリア遷移の有無を判定するエリア遷移判定部と、
前記移動開始から前記移動停止までで前記時系列動線情報を分割し、分割した時系列動線情報のうち前記エリア遷移を含む時系列動線情報を前記行動データ及び前記認識対象の行動データとして出力する行動データ出力部
とを更に備え、前記エリア遷移の履歴を示すエリア遷移履歴を前記クラスタリングの基準として用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の非日常行動検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−249922(P2007−249922A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76471(P2006−76471)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】