説明

非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法

【課題】触媒成分に高価な有機アルミニウムオキシ化合物または有機ホウ素化合物を用いなくても、高活性・高共重合性にて非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合させ、性状の優れた非極性−極性オレフィン共重合体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】極性オレフィン共重合体製造方法は、(A)遷移金属化合物および(B)金属ハロゲン化物、とを含むオレフィン重合用触媒の存在下、非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは特定の触媒成分存在下に非極性オレフィンと極性オレフィンとを共重合させる非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にオレフィン重合体は、機械的特性などに優れているため、各種成形体用など種々の分野に用いられている。しかし近年オレフィン重合体に対する物性の要求が多様化し様々な性状のオレフィン重合体が望まれている。このような要求を満たすオレフィン重合体としては、例えば非極性オレフィンと極性オレフィンとを共重合させ、非極性オレフィンのみの重合体にない性質を付与した非極性−極性オレフィン共重合体が知られている。
【0003】
非極性オレフィンと極性オレフィンとを共重合させた非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法としては、従来からラジカル重合法がよく知られており、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−アクリル酸エルテル共重合体などがこの方法で製造されている。ラジカル重合法で非極性−極性オレフィン共重合体を製造する際には、高温高圧の反応条件を必要とする場合が多く、より温和な条件で非極性−極性オレフィン共重合体を得る方法が望まれている。特開2004−51934号公報(特許文献1)には、ルテニウム錯体を用いることにより室温に近い温度で1−ヘキセンとメチルアクリレートを重合する方法が開示されているものの、これらの方法によるポリマーは非極性モノマーの含量が低く、ポリオレフィン本来の性質を示す重合体が得られていない。
【0004】
一方、温和な条件で非極性−極性オレフィン共重合体を得る方法として、ラジカル重合の他、遷移金属錯体触媒を用いた配位重合により非極性オレフィンと極性オレフィンとを共重合させる方法が報告されている。例えば、Brookhartらはパラジウムのジイミン錯体を用いて温和な条件でエチレンなどの非極性オレフィンとアクリル酸メチルとの共重合体を得る方法を報告している(非特許文献1および2)。またGrubbsらはニッケル錯体を用い、極性基を持つノルボルネン類とエチレンの共重合を報告している(非特許文献3および4)。一般にこれら後周期金属を用いたオレフィン重合では、ポリマー鎖に分岐が生じ、直鎖ポリオレフィンに特有の機械的特性、例えば高強度・高結晶性などを持つものは合成できない。また、Pughらは系中で発生させたパラジウム触媒を用い、エチレンとアクリル酸メチルとを共重合させ、直鎖状のエチレン−アクリル酸メチル共重合体を得ることに成功しているが、その重合活性は極端に低い(非特許文献5)。前周期金属を用いた例として、特開2003−231710号公報(特許文献2)には層状化合物とジルコニウム化合物によるプロピレンとケイ素保護基を持つアリルアミンとの共重合法が、また特開2002−201225号公報(特許文献3)ではジルコニウム化合物によるプロピレンとアルミニウム化合物で保護した5−ヘキセン−1−オールの共重合法が開示されているが、両者とも極性モノマーに保護基を必要とし、かつ前者の場合、得られたポリマーの極性基含有率が0.68重量%程度と非常に低く、十分とはいえない。また、本出願人は、特開2006−265541号公報(特許文献4)のなかで、特定の構造を有するサリチルアルドイミン配位子を持つ遷移金属化合物を用いた非極性オレフィンと極性オレフィンの重合方法を提案しているが、重合活性が十分とは言えず、更に、触媒成分に高価な有機アルミニウムオキシ化合物または有機ホウ素化合物を用いているため経済的に不利であり、これら遷移金属化合物による効率的な極性オレフィン共重合体の製造法が求められていた。
【0005】
このような状況において、極性オレフィンの共重合性に優れ、しかも優れた性状を有す
る非極性−極性オレフィン共重合体を、高効率で製造しうるような製造方法の出現が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−051934号公報
【特許文献2】特開2003−231710号公報
【特許文献3】特開2002−201225号公報
【特許文献4】特開2006−265541号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.1998,120巻,888頁
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.1996,118巻,267頁
【非特許文献3】Organometallics 2004,23巻,5121頁
【非特許文献4】Science 2000,287巻,460頁
【非特許文献5】Chem. Commun.2002,744頁.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、触媒成分に高価な有機アルミニウムオキシ化合物または有機ホウ素化合物を用いなくても、優れた性状を有する非極性−極性オレフィン共重合体を高効率で得られるような非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法とは、
(A)遷移金属化合物および、
(B)金属ハロゲン化物、
とを含むオレフィン重合用触媒の存在下、非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合されることを特徴としている。
【0010】
本発明では、オレフィン重合用触媒は、前記(A)、(B)に加え、(C)有機アルミニウム化合物を含むことが好ましく、さらに(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物を含むことが好ましい。
【0011】
本発明では、前記(B)金属ハロゲン化物が、マグネシウムのハロゲン化物、マンガンのハロゲン化物、鉄のハロゲン化物、コバルトのハロゲン化物およびニッケルのハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種の金属ハロゲン化物であることが好ましい。
【0012】
また、前記(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物が、同一分子内にビニル基を含む化合物であることも好ましい態様の1つである。
【0013】
さらに、本発明では、前記(A)遷移金属化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
【0014】
【化1】

【0015】
(式(I)中、Mは周期表第4〜11族の遷移金属原子を示し、
mは、1〜4の整数を示し、
1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素数1〜4の炭化水素基、炭素
数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン原子から選ばれ、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
本発明においては、前記のオレフィン重合用触媒存在下、下記一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、一般式(V)または一般式(VI)で表される化合物から選ばれる1種以上の極性オレフィン化合物を非極性オレフィンと共重合させることで極性オレフィン共重合体を製造することが可能となる。
【0016】
10OR11 ・・・(II)
(一般式(II)中、R10は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R11は、水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基である。)
12COOR13 ・・・(III)
(一般式(II)中、R12は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R13は、水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基である。)
14OCOR15 ・・・(IV)
(一般式(IV)中、R14は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R15は、炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基である。)
16COH ・・・(V)
(一般式(V)中、R16は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基である。)
1718 ・・・(VI)
(一般式(VI)中、R17は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R18はハロゲン原子である。)
【発明の効果】
【0017】
本発明は、触媒成分に高価な有機アルミニウムオキシ化合物または有機ホウ素化合物を用いなくても、高活性・高共重合性にて非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合させ
、性状の優れた極性オレフィン共重合体を製造する方法を提供する
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】オレフィン重合用触媒の調製工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法について具体的に説明する。
【0020】
本発明に係る非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法は、
(A)遷移金属化合物および、
(B)金属ハロゲン化物、
とを含むオレフィン重合用触媒の存在下、非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合されることを特徴としている。
【0021】
本発明において非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法に用いるオレフィン重合用触媒は、前記(A)、(B)に加え、(C)有機アルミニウム化合物を含むことが好ましく、さらに(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物を含むことが好ましい。
【0022】
以下、(A)〜(D)の各成分の詳細、オレフィン重合用触媒の調製、および非極性−極性オレフィン共重合体の重合について詳説する。
【0023】
<(A)遷移金属化合物>
(A)遷移金属化合物としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒の他に、公知の有機金属化合物錯体を用いることができる。
【0024】
それらの中でも、下記一般式(I)で表されるポストメタロセン触媒は、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒に比べ、後述する(B)金属ハロゲン化物との相性に優れ、より高活性にて非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合させることが可能となることから好ましく用いられる。
【0025】
【化2】

【0026】
(ここでN……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
一般式(I)中、Mは周期表第4〜11族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどであり、好ましくは4〜7、10族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケルであり、より好ましくはチタン、ニッケルである。
【0027】
一般式(I)中、mは、1〜4の整数を示し、好ましくは2である。
【0028】
一般式(I)中、nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
【0029】
一般式(I)中、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0030】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0031】
炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
【0032】
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0033】
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
【0034】
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
【0035】
これらのうち、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シ
クロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜30、好ましくは3〜20の環状炭化水素;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0036】
ヘテロ環式化合物残基としては、基の中にヘテロ原子を1〜5個含む環状の基であり、ヘテロ原子としてはO、N、S、P、Bが挙げられる。環としては例えば4〜7員環の単環および多環、好ましくは5〜6員環の単環および多環が挙げられる。具体的には、例えばピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物の残基、フラン、ピランなどの含酸素化合物の残基、チオフェンなどの含イオウ化合物の残基など、およびこれらの残基に、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0037】
酸素含有基としては、基中に酸素原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。また、窒素原子、イオウ原子、リン原子、ハロゲン原子またはケイ素原子を含み、かつこれらの原子と酸素原子とが直接結合している基も酸素含有基には含まれない。酸素含有基として具体的には、例えばアルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、アルコキシ基、アリーロキシ基、アセトキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基などが好ましい。なお酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0038】
窒素含有基としては、基中に窒素原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。窒素含有基として具体的には、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられ、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、シアノ基が好ましい。なお、窒素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0039】
ホウ素含有基としては、基中に1〜5個のホウ素原子を含む基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。ホウ素含有基として具体的には、例えばアルキル基置換ホウ素、アリール基置換ホウ素、ハロゲン化ホウ素、アルキル基置換ハロゲン化ホウ素等の基が挙げられる。アルキル基置換ホウ素としては、(Et)2B−、(iPr)2B−、(iBu)2B−、(nC511)2B−、C814B−(9−ボラビシクロノニル基);アリール
基置換ホウ素としては、(C652B−、;ハロゲン化ホウ素としては、BCl2−;アルキル基置換ハロゲン化ホウ素としては、(Et)BCl−、(iBu)BCl−などが挙げられる。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
【0040】
イオウ含有基としては、基中にイオウ原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。イオウ含有基として具体的には、例えばメルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基、スルフォネート基、スルフィネート基などが挙げら
れ、スルフォネート基、スルフィネート基、アルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。なおイオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0041】
リン含有基としては、基中にリン原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。リン含有基として具体的には、例えばホスフィノ基、ホスホリル基、ホスホチオイル基、ホスホノ基などが挙げられる。
【0042】
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル、トリ−i−プロピルシリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
【0043】
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
【0044】
1の好ましい態様は芳香性(aromaticity)を示す基であり、更に好まし
くは下記一般式(VII)で表わされるアリール基または置換基を有していても良いピロールである。
【0045】
【化3】

【0046】
一般式(VII)において、R1A〜R1Eは互いに同一でも異なっていても、また互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基である。
【0047】
炭化水素基としては、前記R1〜R5に示したものと同様のものが挙げられる。これらのうち好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基またはこれらの水素原子が他のアリール基で置換されたベンジル、クミル、ジフェニルエチル、トリチル;シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜50、好ましくは3〜30の環状炭化水素;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基が挙げられる。
【0048】
窒素含有基としては、ニトロ、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミド、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、アセトイミド、ベンズイミド、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノ、ピペリジノなどが挙げられる。
【0049】
イオウ含有基としては、メチルチオ、エチルチオ、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナルチルチオ、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニル、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニル、スルホンアミド、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどが挙げられる。
【0050】
ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、ホウ素含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、上記R1〜R5に例示したものと同様のものが挙げられる。
【0051】
次に、上記で説明したR1〜R5およびR1A〜R1Eの例について、より具体的に説明する。
【0052】
酸素含有基のうち、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが、アリーロキシ基としては、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどが、アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などが、エステル基としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどが好ましく例示される。
【0053】
窒素含有基のうち、アミド基としては、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどが、アミノ基としては、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノなどが、イミド基としては、アセトイミド、ベンズイミドなどが、イミノ基としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが好ましく例示される。
【0054】
イオウ含有基のうち、アルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ等が、アリールチオ基としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナルチルチオ等が、チオエステル基としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが、スルホンエステル基としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどが、スルホンアミド基としては、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどが好ましく挙げられる。
【0055】
1〜R5は、これらの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
【0056】
また、mが2以上の場合には、R1〜R5で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士
、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0057】
6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素数1〜4の炭化水素基、炭素
数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族
炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン原子から選ばれる置換基である。
【0058】
1級または2級炭素のみからなる炭素数4以下の炭化水素基とは、R6の炭素の中でフ
ェノキシ環に直結する炭素が1級または2級炭素である炭素数4以下の炭化水素基のことである。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチルなどの炭素原子数が1〜4、好ましくは1〜3の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
【0059】
炭素数5以上の脂肪族炭化水素基とは、R6の炭素の中でフェノキシ環に直結する炭素
が環構造に含まれていない炭化水素基のことであり、例えば炭素数5〜30のものが挙げられる。具体的には、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルなどの炭素原子数が5〜30、好ましくは5〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
【0060】
アリール基置換アルキル基としては、例えばベンジル、クミル、1−ジフェニルエチル、トリフェニルメチルなどが挙げられる。
【0061】
単環性または二環性の脂環族炭化水素基としては、例えば炭素数3〜30のものが挙げられる。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3または3〜20の単環性の脂環骨格を有する炭化水素基;ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、スピロ[2.2]ペンチル、スピロ[2.3]ヘキシルなどの炭素原子数が5〜30、好ましくは5〜20の二環性の脂環骨格を有する炭化水素基;などが挙げられる。
【0062】
芳香族炭化水素基としては、例えば炭素数6〜30のものが挙げられる。具体的には、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。
【0063】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0064】
上記1級または2級炭素のみからなる炭素数4以下の炭化水素基、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ビストリフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0065】
上記したR6の置換基としては、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラニルなどの
炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状(2級)のアルキル基;シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基が好ましい。
【0066】
さらにR6として特に好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチルなどの芳香族基、およ
びこれらの水素原子が置換された3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニルなどである。
【0067】
一般式(I)中、Xは水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示す。
【0068】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0069】
炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。またこれらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜30の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲン置換した基も含まれる。これらのうち、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。
【0070】
酸素含有基として具体的には、オキシ基;ペルオキシ基;ヒドロキシ基;ヒドロペルオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基;アセチルアセトナト基(acac);オキソ基などが挙げられる。
【0071】
イオウ含有基として具体的には、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基;硫酸基;スルフィド基;ポリスルフィド基;チオラート基などが挙げられる。
【0072】
窒素含有基として具体的には、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(tmeda)、N,N,N’,N’−テトラフェニルプロピレンジアミン(tppda)などのアルキルまたはアリールアミン基が挙げられる。
【0073】
ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよ
いアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原
子等を示す)が挙げられる。リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
【0074】
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、Sb
Cl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられる。ヘテロ環式化合物残基として具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0075】
ケイ素含有基として具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0076】
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。スズ含有基としては具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。nが2以上の場合は、Xで示される複数の原子または基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0077】
Xと遷移金属原子Mとの結合様式は特に制限されず、Xと遷移金属原子Mとの結合様式としては例えば共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合等がある。
【0078】
以下に、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。なお、下記例示中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Phはフェニル基を、admはアダマンチル基を、Buはブチル基を、Prはプロピル基を示す。
【0079】
【化4】

【0080】
【化5】

【0081】
【化6】

【0082】
【化7】

【0083】
【化8】

【0084】
【化9】

【0085】
【化10】

【0086】
【化11】

【0087】
【化12】

【0088】
なお上記例示において、遷移金属原子MをTiで示しているが、当該金属原子を他の遷移金属に置き換えた化合物も例示でき、例えばTiをZrまたはHfに置き換えた化合物も例示できる。
【0089】
このような遷移金属化合物(A)の製造方法は、特に限定されることなく、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0090】
まず、遷移金属化合物(A)を構成する配位子は、サリチルアルデヒド化合物を、R1
−NH2表される第1級アミン類化合物(R1は前記と同義である。)、例えばアニリン類化合物またはアルキルアミン類化合物と反応させることにより得られる。具体的には、両方の出発化合物を溶媒に溶解する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもメタノール、エタノール等のアルコール溶媒、またはトルエン溶媒等の炭化水素溶媒が好ましい。次いで、得られた溶液を室温から還流条件で、約1〜48時間攪拌すると、対応する配位子が良好な収率で得られる。配位子化合物を合成する際、触媒として、蟻酸、酢酸、トルエンスルホン酸などの酸触媒を用いてもよい。また、脱水剤として、モレキュラーシーブス、硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを用いたり、ディーンシュタークにより脱水を行なうと、反応進行に効果的である。
【0091】
次に、こうして得られた配位子を遷移金属含有化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、合成した配位子を溶媒に溶解し、必要に応じて塩基を反応させてフェノキシド塩を調製した後、遷移金属ハロゲン化合物、遷移金属アルキル化合物などの金属化合物と低温下で混合し、−78℃から室温、もしくは還流条件下で、約1〜48時間攪拌する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを用いることができるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフランなどの極性溶媒、トルエンなどの炭化水素溶媒が好ましく使用される。また、フェノキシド塩を調製する際に使用する塩基としては、n−ブチルリチウム等のリチウム塩、水素化ナトリウム等のナトリウム塩等の金属塩や、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基が好ましいが、この限りではない。
【0092】
また、化合物の性質によっては、フェノキシド塩調整を経由せず、配位子と遷移金属化合物を直接反応させることで、一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)を合成することもできる。さらに、例えばR2〜R5の何れかがHである場合には、合成の任意の段階において、H以外の置換基を導入することができる。
【0093】
また、一般式(I)で表される遷移金属化合物を単離せず、配位子と遷移金属化合物との反応溶液をそのまま重合に用いることもできる。
【0094】
以上のような遷移金属化合物(A)は、1種単独または2種以上組み合わせて用いられる。
【0095】
<(B)金属ハロゲン化物>
(B)金属ハロゲン化物は、分子中または結晶中に金属−ハロゲン結合を含む化合物であり、例えば(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物、(B−2)ハロゲン化ランタノイド化合物などが挙げられる。
【0096】
なお(B)金属ハロゲン化物には、従来オレフィン重合用触媒の助触媒成分として知られている有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン、アルモキサンともいう。)および特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物、カルボラン化合物などの有機ホウ素化合物は含まれない。
【0097】
また本発明では、これら(B)金属ハロゲン化物は1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0098】
以下に本発明における(B)金属ハロゲン化物として好適に用いられる(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物、(B−2)ハロゲン化ランタノイド化合物について詳説する。
【0099】
(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物
(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物とは、CdI2型またはCdCl2型の層状結晶構造を有する化合物である。
【0100】
一般に、強い極性の陽イオンと分極されやすい陰イオンからなる塩の多くは、陽イオンの層が陰イオン層で挟まれ、そのサンドイッチの間には余分な陽イオンの無い層状構造を形成している。本発明で用いられる(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物は、層状構造を有する化合物に分類される。これらの化合物は、種々の文献に記載された公知の結晶構造であって、例えば「化学大辞典1」(共立出版(株)、初版1962年2月28日発行)、「現代無機化学講座 無機化学各論(前編)」(内海誓一郎著、(株)技報堂、初版昭和40年7月20日発行)などに記載されている。
【0101】
CdI2型結晶構造を有するイオン結合性金属ハロゲン化物として具体的には、例えば
CdBr2、FeBr2、CoBr2、NiBr2、CdI2、MgI2、CaI2、ZnI2、PbI2、MnI2、FeI2、CoI2、などが挙げられる。
【0102】
CdCl2型結晶構造を有するイオン結合性金属ハロゲン化物として具体的には、例え
ばCdCl2、MnCl2、FeCl2、CoCl2、NiI2、NiCl2、MgCl2、Z
nBr2、CrCl3などが挙げられる。これらのうち好ましくは、CdBr2、FeBr2、CoBr2、NiBr2、CdI2、MgI2、CaI2、ZnI2、PbI2、MnI2、FeI2、CoI2、CdCl2、MnCl2、FeCl2、CoCl2、NiI2、NiCl2、MgCl2、ZnBr2であり、より好ましくは、MnCl2、FeCl2、CoCl2、N
iCl2、MgCl2である。
【0103】
上記のような(B−1)イオン結合性化物は、最終的に触媒中に含まれていればよく、必ずしも(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物自体を用いなければならないわけではない。従って触媒の調製時に、(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物を形成しうる化合物を用いて(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物を形成させて最終的に触媒中に存在させるようにしてもよい。つまり、CdI2型またはCdCl2型の結晶構造のいずれにも属さない化合物を用いて、触媒の調製の途中で、該化合物とハロゲン含有化合物または水酸基含有化合物と接触反応させ、最終的に得られる触媒中において(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物としてもよい。
【0104】
例えば、MgCl2またはMgI2を形成させて最終的に触媒成分中に存在させる場合には、これらを形成しうる化合物として、還元能を有するマグネシウム化合物および還元能を有しないマグネシウム化合物を出発物質として用いることができる。
【0105】
還元能を有するマグネシウム化合物としては、例えば下記一般式(b−1)で表される有機マグネシウム化合物が挙げられる。
【0106】
nMgR2-n (b−1)
一般式(b−1)中、nは0≦n<2であり、Rは水素または炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜21のアリール基または炭素原子数5〜20のシクロアルキル基であり、nが0である場合2個のRは同一でも異なっていてもよい。Xはハロゲンである。
【0107】
このような還元能を有する有機マグネシウム化合物として具体的には、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、オクチルブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどのジアルキルマグネシウム化合物;エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウムなどのアルキルマグネシウムハライド;ブチルエトキシマグネシウム、エチルブトキシマグネシウム、オクチルブトキシマグネシウムなどのアルキルマグネシウムアルコキシド;その他ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。
【0108】
還元能を有しないマグネシウム化合物の具体的な例としては、メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;ジフェノキシマグネシウム、メチルフェノキシマグネシウムなどのアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩などが挙げられる。
【0109】
その他マグネシウム金属、水素化マグネシウムなどを用いることもできる。これら還元能を有さないマグネシウム化合物は、上述した還元能を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物、または触媒の調製時に誘導した化合物であってもよい。還元能を有さないマグネシウム化合物を、還元能を有するマグネシウム化合物から誘導するには、例えば、還元能を有するマグネシウム化合物を、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、エステル、アルコール、ハロゲン含有化合物、またはOH基や活性な炭素−酸素結合を有する化合物と接触させればよい。
【0110】
なお上記の還元能を有するマグネシウム化合物および還元能を有さないマグネシウム化合物は、例えばアルミニウム、亜鉛、ホウ素、ベリリウム、ナトリウム、カリウムなどの他の有機金属化合物との錯化合物、複化合物を形成していてもよく、または混合物であってもよい。さらに、マグネシウム化合物は単独であってもよく、上記の化合物を2種以上組み合わせてもよく、また液状状態で用いても固体状態で用いてもよい。還元能を有するマグネシウム化合物または還元能を有さないマグネシウム化合物が固体である場合、後述する(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物などを用いて液状状態にすることができる。
【0111】
また、マグネシウム化合物以外の(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物についても、これらを形成しうる化合物(以下、「出発化合物」という。)として、上記と同様に、還元能を有する化合物および還元能を有しない化合物を出発化合物として用いることができる。これら出発化合物として具体的には、例えばジメチルカドミウム、ジエチルカドミウム、ジプロピルカドミウム、ジブチルカドミウム、ジアミルカドミウム、ジヘキシルカドミウム、ジデシルカドミウム、オクチルブチルカドミウム、エチルブチルカドミウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジブチル亜鉛、ジアミル亜鉛、ジヘキシル亜鉛、ジデシル亜鉛、オクチルブチル亜鉛、エチルブチル亜鉛、テトラメチル鉛、テトラエチル鉛、テトラプロピル鉛、テトラブチル鉛、テトラアミル鉛、テトラヘキシル鉛、テトラデシル鉛、トリオクチルブチル鉛、ジエチルジブチル鉛などのアルキル金属化合物;メチル塩化カドミウム、エチル塩化カドミウム、プロピル塩化カドミウム、ブチル塩化カドミウム、アミル塩化カドミウム、ヘキシル塩化カドミウム、デシル塩化カドミウム、
メチル塩化亜鉛、エチル塩化亜鉛、プロピル塩化亜鉛、ブチル塩化亜鉛、アミル塩化亜鉛、ヘキシル塩化亜鉛、デシル塩化亜鉛、トリメチル塩化鉛、ジメチルジクロロ鉛、メチルトリクロロ鉛、トリエチル塩化鉛、ジエチルジクロロ鉛、エチルトリクロロ鉛、トリプロピル塩化鉛、トリブチル塩化鉛、トリアミル塩化鉛、トリヘキシル塩化鉛、トリデシル塩化鉛、ジオクチルブチル塩化鉛、ジエチルブチル塩化鉛などのアルキル金属ハライド化合物;ジフェニルカドミウム、ジフェニル亜鉛、テトラフェニル鉛、トリフェニルメチル鉛、ジフェニルジエチル鉛、α−ナフチルカルシウムなどのフェニル金属化合物;フェニル塩化カドミウム、フェニル塩化亜鉛、トリフェニル塩化鉛、ジフェニルメチル塩化亜鉛、ジフェニルジクロロ鉛などのフェニルハライド化合物;フッ化カドミウム、フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、フッ化コバルト(II)、フッ化コバルト(III)、フッ化ニッケル、フッ化カルシウム、フッ化亜鉛、フッ化鉛、フッ化マンガン(II)、フッ化マンガン(III)などのフッ化金属化合物;メトキシ鉄(II)、メトキシ鉄(III)、エトキシ鉄(II)、エトキシ鉄(III)、n−プロポキシ鉄(II)、n−プロポキシ鉄(III)、イソプロポキシ鉄(II)、イソプロポキシ鉄(III)、n−ブトキシ鉄(II)、n−ブトキシ鉄(III)、tert−ブトキシ鉄(II)、tert−ブトキシ鉄(III)、2−エチルヘキソキシ鉄(II)、2−エチルヘキソキシ鉄(III)、N,N−ジメチルアミノメトキシ鉄(II)、N,N−ジメチルアミノメトキシ鉄(III)、メトキシコバルト、エトキシコバルト、n−プロポキシコバルト、イソプロポキシコバルト、n−ブトキシコバルト、t−ブトキシコバルト、2−エチルヘキソキシコバルト、N,N−ジメチルアミノメトキシコバルト、メトキシニッケル、エトキシニッケル、n−プロポキシニッケル、イソプロポキシニッケル、n−ブトキシニッケル、tert−ブトキシニッケル、2−エチルヘキソキシニッケル、N,N−ジメチルアミノメトキシニッケル、メトキシカルシウム、エトキシカルシウム、n−プロポキシカルシウム、イソプロポキシカルシウム、n−ブトキシカルシウム、tert−ブトキシカルシウム、2−エチルヘキソキシカルシウム、N,N−ジメチルアミノメトキシカルシウム、メトキシ亜鉛、エトキシ亜鉛、n−プロポキシ亜鉛、イソプロポキシ亜鉛、n−ブトキシ亜鉛、tert−ブトキシ亜鉛、2−エチルヘキソキシ亜鉛、N,N−ジメチルアミノメトキシ亜鉛、メトキシマンガン、エトキシマンガン、n−プロポキシマンガン、イソプロポキシマンガン、n−ブトキシマンガン、tert−ブトキシマンガン、2−エチルヘキソキシマンガン、N,N−ジメチルアミノメトキシマンガンなどのアルコキシ金属化合物;メトキシ鉄(II)クロライド、ジメトキシ鉄(III)クロライド、メトキシ鉄(III)ジクロライド、エトキシ鉄(II)クロライド、ジエトキシ鉄(III)クロライド、エトキシ鉄(III)ジクロライド、n−プロポキシ鉄(II)クロライド、ジ−n−プロポキシ鉄(III)クロライド、イソプロポキシ鉄(II)クロライド、ジイソプロポキシ鉄(III)クロライド、n−ブトキシ鉄(II)クロライド、ジ−n−ブトキシ鉄(III)クロライド、tert−ブトキシ鉄(II)クロライド、ジ−tert−ブトキシ鉄(III)クロライド、2−エチルヘキソキシ鉄(II)クロライド、ジ−2−エチルヘキソキシ鉄(III)クロライド、N,N−ジメチルアミノメトキシ鉄(II)クロライド、ビス(N,N−ジメチルアミノメトキシ)鉄(III)クロライド、N,N−ジメチルアミノメトキシ鉄(III)ジクロライド、メトキシ塩化コバルト、エトキシ塩化コバルト、n−プロポキシ塩化コバルト、イソプロポキシ塩化コバルト、n−ブトキシ塩化コバルト、tert−ブトキシ塩化コバルト、2−エチルヘキソキシ塩化コバルト、N,N−ジメチルアミノメトキシコバルトクロライド、メトキシ塩化ニッケル、エトキシ塩化ニッケル、n−プロポキシ塩化ニッケル、イソプロポキシ塩化ニッケル、n−ブトキシ塩化ニッケル、tert−ブトキシ塩化ニッケル、2−エチルヘキソキシ塩化ニッケル、N,N−ジメチルアミノメトキシニッケルクロライド、メトキシ塩化カルシウム、エトキシ塩化カルシウム、n−プロポキシ塩化カルシウム、イソプロポキシ塩化カルシウム、n−ブトキシ塩化カルシウム、tert−ブトキシ塩化カルシウム、2−エチルヘキソキシ塩化カルシウム、N,N−ジメチルアミノメトキシカルシウムクロライド、メトキシ塩化亜鉛、エトキシ塩化亜鉛、n−プロポキシ塩化亜鉛、イソプロポキシ塩化亜鉛、
n−ブトキシ塩化亜鉛、tert−ブトキシ塩化亜鉛、2−エチルヘキソキシ塩化亜鉛、N,N−ジメチルアミノメトキシ亜鉛クロライド、メトキシ塩化マンガン、エトキシ塩化マンガン、n−プロポキシ塩化マンガン、イソプロポキシ塩化マンガン、n−ブトキシ塩化マンガン、tert−ブトキシ塩化マンガン、2−エチルヘキソキシ塩化マンガン、N,N−ジメチルアミノメトキシマンガンクロライドなどのアルコキシ金属ハライド化合物;フェノキシ鉄(II)、フェノキシ鉄(III)、メチルフェノキシ鉄(II)、メチル−ビス(フェノキシ)鉄(III)、ジメチル(フェノキシ)鉄(III)、ビス(フェノキシ)コバルト、メチルフェノキシコバルト、ビス(フェノキシ)ニッケル、メチルフェノキシニッケル、ビス(フェノキシ)カルシウム、メチルフェノキシカルシウム、ビス(フェノキシ)亜鉛、メチルフェノキシ亜鉛、ビス(フェノキシ)マンガン、メチルフェノキシマンガンなどのアリーロキシ金属化合物;フェノキシ鉄(II)クロライド、ビス(フェノキシ)鉄(III)クロライド、フェノキシ鉄(III)ジクロライド、メチルフェノキシ鉄(III)クロライド、フェノキシコバルトクロライド、フェノキシニッケルクロライド、フェノキシカルシウムクロライド、フェノキシ亜鉛クロライド、フェノキシマンガンクロライドなどのアリーロキシ金属ハライド化合物;ギ酸カドミウム、酢酸カドミウム、プロピオン酸カドミウム、アクリル酸カドミウム、2−エチルヘキサン酸カドミウム、デカン酸カドミウム、ラウリン酸カドミウム、ステアリン酸カドミウム、シクロヘキシル酪酸カドミウム、シュウ酸カドミウム、安息香酸カドミウム、フタル酸カドミウム、ギ酸鉄(III)、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、プロピオン酸鉄(II)、プロピオン酸鉄(III)、アクリル酸鉄(II)、アクリル酸鉄(III)、2−エチルヘキサン酸鉄(II)、2−エチルヘキサン酸鉄(III)、デカン酸鉄(II)、デカン酸鉄(III)、ラウリン酸鉄(II)、ラウリン酸鉄(III)、ステアリン酸鉄(II)、ステアリン酸鉄(III)、シクロヘキシル酪酸鉄(II)、シクロヘキシル酪酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、安息香酸鉄(II)、安息香酸鉄(III)、フタル酸鉄(II)、ギ酸コバルト、酢酸コバルト、プロピオン酸コバルト、アクリル酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト、デカン酸コバルト、ラウリン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、シクロヘキシル酪酸コバルト、シュウ酸コバルト、安息香酸コバルト、フタル酸コバルト、アジピン酸コバルト、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、アクリル酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、デカン酸ニッケル、ラウリン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、シクロヘキシル酪酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、安息香酸ニッケル、フタル酸ニッケル、アジピン酸ニッケル、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、アクリル酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム、デカン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、シクロヘキシル酪酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フタル酸カルシウム、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、デカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、シクロヘキシル酪酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、安息香酸亜鉛、フタル酸亜鉛、ギ酸鉛、酢酸鉛、プロピオン酸鉛、アクリル酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、デカン酸鉛、ラウリン酸鉛、ステアリン酸鉛、シクロヘキシル酪酸鉛、シュウ酸鉛、安息香酸鉛、フタル酸鉛、ギ酸マンガン、酢酸マンガン、プロピオン酸マンガン、アクリル酸マンガン、2−エチルヘキサン酸マンガン、デカン酸マンガン、ラウリン酸マンガン、ステアリン酸マンガン、シクロヘキシル酪酸マンガン、シュウ酸マンガン、安息香酸マンガン、フタル酸マンガンなどの金属カルボン酸塩;水素化カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、水素化鉛、トリフェニル鉛ハイドライド、トリス(1−ピロリル)鉛ハイドライド、トリシクロヘキシル鉛ハイドライド、トリス(1−ナフチル)鉛ハイドライドなどの金属ハイドライド化合物;その他、カドミウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、ニッケル(II)アセチルアセトナート、カルシウムアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、鉛(II)アセチルアセトナート、マンガン(II)アセチルアセトナート、フェロセン、コバルトセン、ニケロセン、マンガノセン、
デカメチルフェロセン、デカメチルコバルトセン、デカメチルニケロセン、デカメチルマンガノセンなども用いることができる。
【0112】
これらのうち、還元能を有さない出発化合物は、マグネシウム化合物の場合と同様に、還元能を有する出発化合物から誘導した化合物、または触媒の調製時に誘導した化合物であってもよい。還元能を有さない出発化合物を、還元能を有する出発化合物から誘導するには、例えば、還元能を有する出発化合物を、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、エステル、アルコール、ハロゲン含有化合物、またはOH基や活性な炭素−酸素結合を有する化合物と接触させればよい。また、上記の還元能を有する出発化合物および還元能を有さない出発化合物は、例えばアルミニウム、亜鉛、ホウ素、ベリリウム、ナトリウム、カリウムなどの他の有機金属化合物との錯化合物、複化合物を形成していてもよく、または混合物であってもよい。さらに、出発化合物は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよく、また液状状態で用いても固体状態で用いてもよい。マグネシウム化合物の場合と同様に、出発化合物が固体である場合、後述する(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物などを用いて液状状態にすることがでる。
【0113】
(B−2)ハロゲン化ランタノイド化合物
ハロゲン化ランタノイド化合物として具体的には、塩化ランタン、塩化セリウム、塩化プラセオジム、塩化ネオジム、塩化プロメチウム、塩化サマリウム、塩化ユウロピウム、塩化ガドリニウム、塩化テルビウム、塩化ジスプロシウム、塩化ホルミウム、塩化エルビウム、塩化ツリウム、塩化イッテルビウム、塩化ルテチウムなどの塩化ランタノイド化合物;臭化ランタン、臭化セリウム、臭化プラセオジム、臭化ネオジム、臭化プロメチウム、臭化サマリウム、臭化ユウロピウム、臭化ガドリニウム、臭化テルビウム、臭化ジスプロシウム、臭化ホルミウム、臭化エルビウム、臭化ツリウム、臭化イッテルビウム、臭化ルテチウムなどの臭化ランタノイド化合物;ヨウ化ランタン、ヨウ化セリウム、ヨウ化プラセオジム、ヨウ化ネオジム、ヨウ化プロメチウム、ヨウ化サマリウム、ヨウ化ユウロピウム、ヨウ化ガドリニウム、ヨウ化テルビウム、ヨウ化ジスプロシウム、ヨウ化ホルミウム、ヨウ化エルビウム、ヨウ化ツリウム、ヨウ化イッテルビウム、ヨウ化ルテチウムなどのヨウ化ランタノイド化合物;フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ化プラセオジム、フッ化ネオジム、フッ化プロメチウム、フッ化サマリウム、フッ化ユウロピウム、フッ化ガドリニウム、フッ化テルビウム、フッ化ジスプロシウム、フッ化ホルミウム、フッ化エルビウム、フッ化ツリウム、フッ化イッテルビウム、フッ化ルテチウムなどのフッ化ランタノイド化合物などが挙げられる。
【0114】
上記のような(b−2)ハロゲン化ランタノイド化合物は、最終的に触媒成分中に含まれていればよく、従って触媒成分の調製時に、(b−2)ハロゲン化ランタノイド化合物を形成しうる化合物を用いて最終的に触媒成分中に(b−2)ハロゲン化ランタノイド化合物を形成させて存在させてもよく、必ずしも(b−2)ハロゲン化ランタノイド化合物自体を用いなければならないわけではない。つまり上記(b−2)ハロゲン化ランタノイド化合物に属さない化合物を用いて、触媒成分の調製の途中で、該化合物と(b−2)ハロゲン化ランタノイド化合物に属さないハロゲン含有化合物とを接触反応させ、最終的に得られる触媒成分中において、(b−2)ハロゲン化ランタノイド化合物とすることができる。
【0115】
これらの(B)金属ハロゲン化物のうち、好ましく用いられるのは(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物である。
【0116】
本発明では、(B)金属ハロゲン化物として、(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物を固体状態で用いる場合、(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物は、微結晶サイズ
が小さいことが好ましい。微結晶サイズを小さくする方法としては、例えば、液状状態から析出させる方法や、ボールミル、振動ミルにより機械的に粉砕する方法などが挙げられる。
【0117】
(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物を液状状態から析出させる方法として、例えば(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物と、後述する(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物とを接触させて錯体を形成させ液状状態とし、次いで該錯体と後述する(C)有機アルミニウム化合物とを接触させてハロゲン化マグネシウムを析出させる方法がある。
より具体的には、ハロゲン化マグネシウムとアルコール類、カルボン酸類またはアミン類とを接触させてハロゲン化マグネシウムを液状状態とした後、有機アルミニウム化合物を接触させることが行われる。
【0118】
<(C)有機アルミニウム化合物>
(B)金属ハロゲン化物の結晶を得るために、液状状態の金属ハロゲン化物を析出させるために用いる(C)有機アルミニウム化合物としては、例えば下記一般式(c−1)や(c−2)で表される。
【0119】
anAlX3-n (c−1)
一般式(c−1)中、Raは炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原
子または水素原子であり、nは1〜3である。
【0120】
炭素原子数1〜12の炭化水素基は、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0121】
一般式(c−1)で表される有機アルミニウム化合物として、具体的には以下のような化合物が挙げられる。トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0122】
anAlY3-n (c−2)
一般式(c−2)において、Raは上記一般式(c−1)と同様であり、Yは−ORb基、−OSiRc3基、−OAlRd2基、−NRe2基、−SiRf3基または−N(Rg)Al
h2基である。ここで、nは1〜2であり、Rb、Rc、RdおよびRhはメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Re
水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、RfおよびRgはメチル基、エチル基などである。
【0123】
一般式(c−2)で表される有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下の(i)〜(v)で表される化合物が用いられる。
(i)RanAl(ORb3-nで表される化合物
例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウム−2−エチルヘキソキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド。
(ii)RanAl(OSiRc33-nで表される化合物
例えばEt2Al(OSiMe3)、(iso−Bu)2Al(OSiMe3)、(iso−Bu)2Al(OSiEt3)など。
(iii)RanAl(OAlRd23-nで表される化合物
例えばEt2AlOAlEt2、(iso−Bu)2AlOAl(iso−Bu)2など。(iv)RanAl(NRe23-nで表される化合物
例えばMe2AlNEt2、Et2AlNHMe、Me2AlNHEt、Et2AlN(M
3Si)2、(iso−Bu)2AlN(Me3Si)2など。
(v)RanAl(SiRf33-nで表される化合物
例えば(iso−Bu)2AlSiMe3など。
(vi)RanAl〔N(Rg)−AlRh23-nで表される化合物
例えばEt2AlN(Me)−AlEt2、(iso−Bu)2AlN(Et)Al(i
so−Bu)2など。
【0124】
また、(C)有機アルミニウム化合物として、第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物である下記一般式(c−3)で表される化合物を用いることができる。
【0125】
1AlRj4 (c−3)
一般式(c−3)において、M1はLi、Na、Kであり、Rjは炭素原子数1〜15の炭化水素基である。具体的には、LiAl(C254、LiAl(C7154などが挙
げられる。
【0126】
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。また、炭化水素、ハロゲン化炭化水素に希釈してもよい。これら(C)有機アルミニウム化合物のうち、好ましくは、トリアルキルアルミニウム類、アルケニルアルミニウム類、ジアルキルアルミニウムハライド類、アルキルアルミニウムセスキハライド類、アルキルアルミニウムジハライド類、アルキルアルミニウムハイドライド類、アルキルアルミニウムアルコキシド類、(iso−Bu)2Al(OSiMe3)、(iso−Bu)2Al(OSiEt3)、Et2AlOAlEt2、(iso−Bu)2AlOAl(iso−Bu)2、LiAl(C254であり、より好ましくは、トリアルキルアルミニウム類、アルケニルアルミニ
ウム類、ジアルキルアルミニウムハライド類、アルキルアルミニウムセスキハライド類、アルキルアルミニウムジハライド類、アルキルアルミニウムハイドライド類、アルキルアルミニウムアルコキシド類が挙げられる。
【0127】
これらのうち、特に好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが用いられる。これらの化合物を用いると、短時間で酸素含有化合物または窒素含有化合物(D)と反応を起こし、イオン結合性金属ハロゲン化物(B)を効率的に液状状態から析出させることが可能となる。さらに、(D)と(C)の反応物は、析出した(B)上に担持され、遷移金属化合物(A)の活性化および助触媒の役割を果たすことが可能となる。
【0128】
なお(C)有機アルミニウム化合物には、従来オレフィン重合用触媒の助触媒成分とし
て知られている有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン、アルモキサンともいう。)は含まれない。
【0129】
<(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物>
(B)金属ハロゲン化物の微結晶を得るために、(B)金属ハロゲン化物を液状状態とするために用いる(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物としては、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、ケトン類、有機酸ハライド、有機酸または無機酸のエステル類、エーテル類、エポキシド類、酸無水物類、酸素含有イオウ化合物類、酸素含有リン化合物類、および下記一般式(d−1)で表されるポリエーテル類、下記一般式(d−2)で表されるジエーテル類などの酸素含有化合物、
【0130】
【化13】

【0131】
(一般式(d−1)中、nは2≦n≦10の整数であり、R1〜R26は炭素、水素、酸素
、ハロゲン、窒素、イオウ、リン、ホウ素およびケイ素から選ばれる少なくとも1種の原子を有する置換基であり、任意のR1〜R26、好ましくはR1〜R2nは共同してベンゼン環以外の環を形成していてもよく、主鎖中に炭素以外の原子が含まれていてもよい。)
【0132】
【化14】

【0133】
(一般式(d−2)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシルなどを示す。XおよびYは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜6のアルキル基またはハロゲン原子を示す。mは0≦m≦4の整数であり、nは0≦n≦4の整数である。)
アンモニア類、アミン類、アミノ基含有化合物類、酸アミド類、酸イミド類、ニトリル類、ピリジン類、ニトロ化合物類などの窒素含有化合物が挙げられる。
【0134】
また、(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物として、上記酸素含有化合物、窒素含有化合物以外のアルコキシ基含有化合物類、カルボニル基含有化合物類またはアミノ基含有化合物類を用いることもできる。
【0135】
(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物としてより具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素原子数1〜18のアルコール類;トリクロロメタノールやトリクロロエタノール、トリクロロヘキサノールなどの炭素原子数1〜18のハロゲン含有アルコール類;フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフ
ェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトールなどの低級アルキル基を有してもよい炭素原子数6〜20のフェノール類;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素原子数2〜15のアルデヒド類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、フェニル酢酸、安息香酸、トルイル酸、フタル酸、テレフタル酸などの炭素原子数1〜20のカルボン酸類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノンなどの炭素原子数3〜15のケトン類;アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリドなどの炭素原子数2〜15の酸ハライド類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、トリクロル酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エチレンなどの有機酸エステル類;メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエーテルなどの炭素原子数2〜20のエーテル類;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロロヒドリンなどのエポキシド類、無水酢酸、無水フタル酸、無水安息香酸などの酸無水物類;ジフェニルスルホン、フェニルメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、ジメチルスルファイト、グリコールスルファイト、1,3−ブチレングリコールスルファイト、1,2−プロピレングリコールスルファイト、ジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、ジプロピルスルフェート、エチレンスルフェート、1,3−プロパンジオールサイクリックスルフェート、エチルクロロスルホネート、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メチルメタンスルホネート、メチルp−トルエンスルホネート、メチルベンゼンスルホネート、スルフリルアセテート、アセチルメタンスルホネート、スルファミド、N,N−ジメチルスルファミド、N,N,N’,N’−テトラエチルスルファミド、ジメチルスルファモイルクロリド、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルベンゼンスルホンアミド、メチルアニリンスルホンアミド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミドなどの酸素含有イオウ化合物類;トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリ2−エチルヘキシルホスファイト、ペンタメトキシホスホラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ2−エチルヘキシルホスフェート、ジエチルクロロホスファイト、ジメチルクロロホスフェート、ジメチルジエトキシホスフィン、ジメチルメチルホスホネート、ジエチルメチルホスホネート、メチルジクロロホスファイト、エチルホスホロジクロリド、メチルジクロロホスフェート、エチルジエチルホスフィネート、ジメチルアセチルホスフィンなどの酸素含有リン化合物類;2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−s−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(エトキシメチル)フルオレン、9−メトキシ−9−エトキシメチルフルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−2,7−ジメチルフルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−2,6−ジイソプロピルフルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−3,6−ジイソブチルフルオレン、9,9−ビス(メトキ
シメチル)−2−イソブチル−7−イソプロピルフルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−2,7−ジクロロフルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−2−クロロ−7−イソプロピルフルオレンなどのジエーテル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類、酢酸N,N−ジメチルアミド、安息香酸N,N−ジエチルアミド、トルイル酸N,N−ジメチルアミドなどの酸アミド類、フタルイミド、スクシンイミドなどの酸イミド類;アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルなどのニトリル類;ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、ジメチルピリジンなどのピリジン類、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ニトロトルエンなどのニトロ化合物などが挙げられる。
【0136】
また、上記酸素含有化合物、窒素含有化合物以外のアルコキシ基含有化合物類、カルボニル基含有化合物類またはアミノ基含有化合物類としては、例えば下記一般式(d−3)または(d−4)で表される骨格を有する化合物が挙げられる。
【0137】
1m1n1213-(m1+n1) (d−3)
2m2n2224-(m2+n2) (d−4)
一般式(d−3)または(d−4)中、M1はAlまたはBを示し、M2はGe、Si、TiまたはSnを示す。R21およびR22は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。Aは−OR23、−COR24、−OCOR25または−NR2627を示し、R23〜R27は炭素原子数1〜12の置換または無置換の炭化水素基を示す。炭化水素基R23〜R27が置換されている場合の置換基は、N、O、Sなどの異原子を含み、例えばC−O−C、COOR、−C−N−C−などの置換基を有する。また、R26とR27はそれぞれ互いに連結されて環状構造を形成していてもよい。
【0138】
21〜R27が示す炭素原子数1〜12の炭化水素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルキレン基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビニル、フェニル、トリル、ベンジルなどが挙げられる。
【0139】
Xはハロゲンを示す。m1は1以上3以下の整数、m2は1以上4以下の整数、n1は0以上2以下の整数、n2は0以上3以下の整数である。
【0140】
このようなアルコキシ基含有化合物、カルボニル基含有化合物、アミノ基含有化合物としては、具体的には以下のような化合物が用いられる。
【0141】
トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ2−エチルヘキソキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、メチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリスアセチルアセトナトアルミニウム、アルミニウムトリアクリレート、アルミニウムトリアセテート、アルミニウムトリメタクリレートなどの酸素含有アルミニウム化合物;トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム、トリス(ジエチルアミノ)アルミニウム、トリス(ジプロピルアミノ)アルミニウム、トリス(ジブチルアミノ)アルミニウム、ビス(ジメチルアミノ)アルミニウムクロリド、ビス(ジメチルアミノ)アルミニウムブロミド、ビス(ジエチルアミノ)アルミニウムクロリド、ビス(ジプロピルアミノ)アルミニウムクロリド、ビス(ジメチルアミノ)メチルアルミニウム、ビス(ジメチルアミノ)エチルアルミニウム、ビス(ジメチルアミノ)プロピルアルミニウム、ビス(ジメチルアミノ)イソブチルアルミニウム、ビス(ジメチルアミノ)フェニルアルミニウム、ジメチルアミノアルミニウムジクロリド、ジエチルアミノアルミニウムジクロリ
ド、ジメチルアミノジメチルアルミニウム、ジメチルアミノジエチルアルミニウム、ジメチルアミノジプロピルアルミニウム、ジメチルアミノジイソブチルアルミニウム、ジメチルアミノジオクチルアルミニウム、ジメチルアミノジフェニルアルミニウムなどの窒素含有アルミニウム化合物;トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ2−エチルヘキシルボレート、トリフェニルボレート、ジイソプロポキシメチルボラン、ブチルジイソプロポキシボラン、ジイソプロポキシフェニルボラン、ジエチルメトキシボランなどの酸素含有ホウ素化合物;トリス(ジメチルアミノ)ボラン、トリス(ジエチルアミノ)ボラン、トリス(ジプロピルアミノ)ボラン、ビス(ジメチルアミノ)クロロボラン、ビス(ジメチルアミノ)ブロモボラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルボラン、ビス(ジメチルアミノ)エチルボラン、ビス(ジメチルアミノ)プロピルボラン、ビス(ジメチルアミノ)ブチルボラン、ビス(ジメチルアミノ)フェニルボラン、ジメチルアミノジクロロボラン、ジメチルアミノジブロモボラン、ジメチルアミノジメチルボラン、ジメチルアミノジエチルボラン、ジメチルアミノジプロピルボラン、ジメチルアミノジイソブチルボラン、ジメチルアミノジフェニルボランなどの窒素含有ホウ素化合物;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ2−エチルヘキソキシチタン、テトラフェノキシチタン、テトラベンジロキシチタン、トリイソプロポキシクロロチタン、トリイソプロポキシヨードチタン、ジエトキシジクロロチタン、ジイソプロポキシジクロロチタン、チタンテトラメタクリレートなどの酸素含有チタン化合物;テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン、トリス(ジメチルアミノ)クロロチタン、トリス(ジメチルアミノ)ブロモチタン、トリス(ジエチルアミノ)クロロチタン、ビス(ジメチルアミノ)ジクロロチタン、ビス(ジエチルアミノ)ジクロロチタン、ジメチルアミノトリクロロチタン、ジエチルアミノトリクロロチタンなどの窒素含有チタン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ2−エチルヘキソキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリアリロキシ(allyloxy)シラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、2−メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,3−ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビス(2−メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、トリシクロペンチルメトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロペンチルエチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチルエトキシシラン、シクロペンチル
ジメチルメトキシシラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロペンチルジメチルエトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリブトキシクロロシラン、トリ2−エチルヘキソキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、トリメトキシブロモシラン、トリエトキシブロモシラン、トリプロポキシブロモシラン、トリブトキシブロモシラン、トリ2−エチルヘキソキシブロモシラン、トリフェノキシブロモシラン、ジベンジロキシジクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、シリコンアセテート、シリコンベンゾエート、シリコン2−エチルヘキサノエート、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、フェニルメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、アセチルトリフェニルシラン、ベンゾイルトリフェニルシラン、アセチルトリメチルシランなどの酸素含有シラン化合物;テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、テトラキス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)クロロシラン、トリス(ジエチルアミノ)クロロシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジクロロシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルクロロシラン、ビス(ジメチルアミノ)フェニルクロロシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ジメチルアミノトリクロロシラン、ジエチルアミノトリクロロシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノメチルジクロロシラン、トリメチルシリルピロールなどの窒素含有シラン化合物;テトラメトキシゲルマン、テトラエトキシゲルマン、テトラプロポキシゲルマン、テトラブトキシゲルマン、テトラ2−エチルヘキソキシゲルマン、テトラフェノキシゲルマン、メチルトリエトキシゲルマン、エチルトリエトキシゲルマン、ジエチルジエトキシゲルマン、トリエチルメトキシゲルマン、ブチルジアセトキシゲルマン、トリブチルアセトキシゲルマン、トリエチルメタクリロキシゲルマントリフェニルアセチルゲルマンなどの酸素含有ゲルマニウム化合物;テトラキス(ジメチルアミノ)ゲルマン、テトラキス(ジエチルアミノ)ゲルマン、トリス(ジメチルアミノ)クロロゲルマン、トリス(ジメチルアミノ)メチルゲルマン、トリス(ジメチルアミノ)エチルゲルマン、ビス(ジメチルアミノ)ジクロロゲルマン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルゲルマン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルゲルマン、ジメチルアミノトリクロロゲルマン、ジエチルアミノトリクロロゲルマン、ジメチルアミノトリメチルゲルマン、ジメチルアミノトリエチルゲルマン、ジメチルアミノトリフェニルゲルマンなどの窒素含有ゲルマニウム化合物;ビスアセチルアセトナトジクロロ錫、ジブチルジメトキシ錫、ジブチルジブトキシ錫、トリブチルメトキシ錫、トリブチルエトキシ錫、錫アセテート、錫メタクリレート、ブチルトリス2−エチルヘキサノエート錫、ジメチルジアセトキシ錫、ジブチルジアセトキシ錫、トリプロピルアセトキシ錫、トリブチルアセトキシ錫などの酸素含有錫化合物;テトラキス(ジメチルアミノ)錫、テトラキス(ジエチルアミノ)錫、トリス(ジメチルアミノ)クロロ錫、トリス(ジメチルアミノ)ブロモ錫、トリス(ジメチルアミノ)メチル錫、ビス(ジメチルアミノ)ジクロロ錫、ビス(ジメチルアミノ)ジメチル錫、ビス(ジメチルアミノ)ジエチル錫、ジメチルアミノトリクロロ錫、ジメチルアミノトリメチル錫、ジメチルアミノトリエチル錫、ジエチルアミノトリメチル錫、ジメチルアミノトリブチル錫、トリフェニルピペリジノ錫などの窒素含有錫化合物などが挙げられる。
【0142】
上記のような(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物は、最終的に触媒成分中に含まれていればよく、必ずしも(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物自体を用いなければならないわけではない。従って触媒の調製時に、(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物を形成しうる化合物を用いて(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物を形成させて最終的に触媒成分中に存在させるようにしてもよい。つまり、上記(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物に属さない化合物を用いて、触媒の調製の途中で、該化合物
と上記(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物以外の酸素含有化合物または窒素含有化合物と接触反応させ、最終的に得られる触媒成分中において、(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物としてもよい。
【0143】
これらの酸素含有化合物、窒素含有化合物のうち好ましくは、炭素原子数1〜18のアルコール類、炭素原子数1〜18のハロゲン含有アルコール類、低級アルキル基を有してもよい炭素原子数6〜20のフェノール類、炭素原子数2〜15のアルデヒド類、炭素原子数1〜20のカルボン酸類、炭素原子数3〜15のケトン類、炭素原子数2〜15の酸ハライド類、有機酸エステル類、炭素原子数2〜20のエーテル類、エポキシド類、酸無水物類、ジエーテル類、酸素含有アルミニウム化合物、酸素含有ホウ素化合物、酸素含有チタン化合物、酸素含有シラン化合物、アミン類、酸アミド類、酸イミド類、窒素含有アルミニウム化合物、窒素含有ホウ素化合物、窒素含有チタン化合物、窒素含有シラン化合物、およびこれらを形成しうる化合物が挙げられ、より好ましくは、炭素原子数1〜18のアルコール類、炭素原子数1〜18のハロゲン含有アルコール類、炭素原子数2〜15のアルデヒド類、炭素原子数1〜20のカルボン酸類、炭素原子数3〜15のケトン類、炭素原子数2〜15の酸ハライド類、有機酸エステル類、炭素原子数2〜20のエーテル類、ジエーテル類、酸素含有アルミニウム化合物、酸素含有チタン化合物、酸素含有シラン化合物、アミン類、窒素含有アルミニウム化合物、窒素含有チタン化合物、窒素含有シラン化合物、およびこれらを形成しうる化合物が挙げられ、さらに好ましくは、炭素原子数1〜18のアルコール類、炭素原子数1〜18のハロゲン含有アルコール類、炭素原子数1〜20のカルボン酸類、有機酸エステル類、ジエーテル類、酸素含有アルミニウム化合物、酸素含有チタン化合物、酸素含有シラン化合物、アミン類が挙げられる。
【0144】
一方、(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物として、極性オレフィンを用いることも可能である。極性オレフィンとは、後述するように極性基を有する鎖状の不飽和炭化水素であるが、この極性オレフィンを(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物として用いることで、効率的に極性モノマー共重合体を得る事も可能となる。この場合の極性オレフィンとしては、上記(B)金属ハロゲン化物を可溶化できる化合物が好ましく用いられる。具体的には、例えばアリルアルコール、3−ブテノール、4−ペンテノール、5−ヘキセノール、6−へブテノール、7−オクテノール、8−ノネノール、9−デセノール、10−ウンデセノール、11−ドデセノール、12−トリデセノール等の不飽和アルコール化合物、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類; 例えばビニルフェノール、アリルフェノール等の置換フェノール類;例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルメチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルメタリルエーテル、メトキシスチレン、エトキシスチレン等の不飽和エーテル類;例えばブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシ−7−オクテン、3−ビニル7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等の不飽和エポキシド類;例えばアクロレイン、ウンデセナール等の不飽和アルデヒド類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、アリルメチルケトン、アリルエチルケトン、アリルプロピルケトン、アリルブチルケトン、アリルベンジルケトン等の不飽和ケトン類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;例えばアリルメチルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルイソプロピルスルフィド、アリルn−プロピルスルフィド、4−ペンテニルフェニルスルフィド等の不飽和チオエーテル類;例えばアクリル酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、12−トリデセン酸、13−テトラデセン酸、14−ペンタデセン酸、15−ヘキサデセン酸、16−ヘプタデセン酸、17−オクタデセン酸、18−ノナデセン酸、19−エイコセン酸、20−ヘニコセン酸、21−ドコセン酸、22−トリコセ
ン酸、メタクリル酸、2−メチルペンテン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2,6−ヘプタジエン酸、2−(4−イソプロピルベンジリデン)−4−ペンテン酸、アリルマロン酸、2−(10−ウンデセニル)マロン酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2−カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸類が挙げられる。
<その他成分>
本発明において非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法に用いるオレフィン重合用触媒は、必要に応じて後述するような無機または有機化合物を支持体として用いることもできる。
【0145】
無機化合物としては、無機酸化物、無機水酸化物、無機塩化物およびその他の無機塩、例えば硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩などが挙げられる。
【0146】
このうち、好ましい例としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、クロミア、マグネシア、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、シリカヒドロゲル、シリカキセロゲル、シリカエアロゲル、およびそれらの混合物であるタルク、シリカ/クロミア、シリカ/クロミア/チタニア、シリカ/アルミナ、シリカ/チタニア、シリカ/マグネシア、シリカ/マグネシア/チタニア、リン酸アルミニウムゲルなどの無機酸化物が挙げられる。なお、これらの無機酸化物はNa2CO3、K2CO3、CaCO3、M
gCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2OおよびLi2Oなどの炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酸化物成分を
含有していても差し支えない。
【0147】
また、本発明で用いられる無機化合物としては、カルボシロキサン、フォスファジン、シロキサン、およびポリマー/シリカ複合体などの無機化合物の重合体も挙げられる。上述した無機化合物支持体のなかでも、特に好ましいものはシリカ、チタニア、アルミナ、タルク、シリカ/クロミア、シリカ/クロミア/チタニア、シリカ/アルミナ、シリカ/チタニアなどの単一または混合の無機酸化物である。また、これらの無機酸化物は、周期表第2族の金属を含む塩化物との複合物として用いることもできる。具体的には、シリカ/塩化マグネシウム複合体(グレース・デビソン社製、商品名Sylopol 5510およびSylopol 5550)などが挙げられる。
【0148】
有機化合物としては、例えば官能化ポリエチレンや官能化ポリプロピレン、官能化されたエチレン/α−オレフィン共重合体、ポリスチレン、官能化ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。
【0149】
<オレフィン重合用触媒の調製>
本発明において非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法に用いるオレフィン重合用触媒の調製方法について説明する。図1に、オレフィン重合用触媒の調製工程を示す。
【0150】
オレフィン重合用触媒の調製の際、各成分の使用法、添加順序は任意に選ぶことができる。具体的には以下のような方法が例示される。
(1)(A)遷移金属化合物(以下単に「(A)成分」という。)と、(B)金属ハロゲン化物(以下単に「(B)成分」という。)とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(2)(A)成分と(B)成分とを予め接触させた接触物を、重合器に添加することにより調製する方法。
(3)(A)成分と(B)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。この場合、(B)成分は、同一でも異なって
いてもよい。
(4)(A)成分、(B)成分および(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下単に「(D)成分」という。)とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(5)(A)成分と(B)成分を予め接触させた接触物と、(D)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(6)(A)成分と(D)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(7)(B)成分と(D)成分を予め接触させた接触物と、(A)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(8)(A)成分と(B)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分と(D)成分を予め接触させた接触物とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。この場合、(B)成分は、同一でも異なっていてもよい。
(9)(A)成分と(D)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分と(D)成分を予め接触させた接触物とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。この場合、(D)成分は、同一でも異なっていてもよい。
(10)(A)成分、(B)成分および(D)成分を予め接触させた接触物を、重合器に添加することにより調製する方法。
(11)(A)成分、(B)成分および(D)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。この場合、(B)成分は、同一でも異なっていてもよい。
(12)(A)成分、(B)成分および(D)成分を予め接触させた接触物と、(D)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。この場合、(D)成分は、同一でも異なっていてもよい。
(13)(A)成分、(B)成分および(D)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分と(D)成分を予め接触させた接触物とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。この場合、(B)成分および(D)成分は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
(14)(A)成分、(B)成分、(D)成分、および(C)有機アルミニウム化合物(以下単に「(C)成分」という。)とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(15)(A)成分と(B)成分を予め接触させた接触物と、(C)成分および(D)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(16)(B)成分と(D)成分を予め接触させた接触物と、(A)成分および(C)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(17)(C)成分と(D)成分を予め接触させた接触物と、(A)成分および(B)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(18)(A)成分と(D)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分および(C)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(19)(A)成分と(C)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分および(D)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(20)(B)成分と(C)成分を予め接触させた接触物と、(A)成分および(D)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(21)(A)成分と(B)成分を予め接触させた接触物と、(C)成分と(D)成分を予め接触させた接触物とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(22)(A)成分と(D)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分と(C)成分を予め接触させた接触物とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(23)(A)成分と(C)成分を予め接触させた接触物と、(B)成分と(D)成分を予め接触させた接触物とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(24)(A)成分、(B)成分および(D)成分を予め接触させた接触物と、(C)成
分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(25)(A)成分、(B)成分および(C)成分を予め接触させた接触物と、(D)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(26)(B)成分、(C)成分および(D)成分を予め接触させた接触物と、(A)成分とを任意の順序で重合器に添加することにより調製する方法。
(27)(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を予め接触させた接触物を、重合器に添加することにより調製する方法。
【0151】
これらのうち、好ましくは(C)成分と(D)成分の接触が、少なくとも(A)成分と(D)成分が接触する以前に接触している調製方法が挙げられる。また、(B)成分が、少なくとも一回は液状化される調製方法も好ましい。
【0152】
本発明では、(B)成分が(B−1)イオン結合性金属ハロゲン化物であり、(D)成分がアルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、ケトン類、有機酸ハライド、有機酸または無機酸のエステル類、エーテル類、エポキシド類、酸無水物類、酸素含有イオウ化合物類または酸素含有リン化合物類であって、(B)成分と(C)成分と(D)成分とを接触させて得られた接触物と、(A)成分とを接触させることが好ましい態様の一つである。
【0153】
本発明では、上記のような方法で調製されたオレフィン重合用触媒は非極性オレフィンまたは/かつ極性オレフィンが予備重合されていてもよい。
【0154】
<非極性−極性オレフィン共重合体の重合>
本発明では、非極性オレフィンと極性オレフィンの共重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0155】
上述したオレフィン重合用触媒の調製により得られたオレフィン重合用触媒を用いて、非極性オレフィンと極性オレフィンの共重合を行うに際して、(A)成分は、反応容積1リットル当り、(A)成分中の遷移金属原子として、通常10-11〜10ミリモル、好ま
しくは10-9〜1ミリモルとなるような量で用いられる。(B)成分1g当たり、(A)成分は通常10-4〜100ミリモル、好ましくは10-3〜50ミリモルとなるような量で用いられる。
【0156】
上述したオレフィン重合用触媒を用いた非極性オレフィンと極性オレフィンの共重合における重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜5MPaの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0157】
得られる非極性−極性オレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。
【0158】
本発明に係る非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法では、上記のような触媒成分の存在下に非極性オレフィンと極性オレフィンとを共重合させる。
【0159】
非極性オレフィンとは、炭素原子と水素原子のみからなる不飽和炭化水素のことであり、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20のα−オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン;ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン;7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなどの炭素原子数4〜30、好ましくは4〜20で二個以上の二重結合を有する環状または鎖状のジエンまたはポリエン;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;芳香族ビニル化合物;ビニルシクロヘキサン;3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0160】
これらの非極性オレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。非極性オレフィンとしては、α−オレフィンが好ましく、特にエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、テトラシクロドデセンが好ましい。
【0161】
また本発明における極性オレフィンとは、極性基を有する鎖状あるいは環状の不飽和炭化水素である。
【0162】
極性基を有する鎖状の不飽和炭化水素として具体的には、例えばアクリル酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、12−トリデセン酸、13−テトラデセン酸、14−ペンタデセン酸、15−ヘキサデセン酸、16−ヘプタデセン酸、17−オクタデセン酸、18−ノナデセン酸、19−エイコセン酸、20−ヘニコセン酸、21−ドコセン酸、22−トリコセン酸、メタクリル酸、2−メチルペンテン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2,6−ヘプタジエン酸、2−(4−イソプロピルベンジリデン)−4−ペンテン酸、アリルマロン酸、2−(10−ウンデセニル)マロン酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2−カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、およびこれら不飽和カルボン酸類のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、(5−ノルボルネン−2−イル)エステルなどの不飽和カルボン酸エステル類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノエステルであってもジエステルであってもよい)、およびこれら不飽和カルボン酸類のアミド、N,N−ジメチルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノアミドであってもジアミドであってもよい);例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、アリルコハク酸無水物、イソブテニルコハク酸無水物、(2,7−オクタジエン−1−イル)コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテ
ン−2,3−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物類;例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;例えば塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化アリル、フッ化アリル、臭化アリルなどのハロゲン化オレフィン類;アリルトリメチルシラン、ジアリルジメチルシラン、3−ブテニルトリメチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン、アリルトリフェニルシラン等のシリル化オレフィン類;例えばアクリロニトリル、2−シアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン、2,3−ジシアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン等の不飽和ニトリル類;例えばアリルアルコール、3−ブテノール、4−ペンテノール、5−ヘキセノール、6−へプテノール、7−オクテノール、8−ノネノール、9−デセノール、10−ウンデセノール、11−ドデセノール、12−トリデセノール等の不飽和アルコール化合物、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類; 例えばビニルフェノール、アリルフェノール等の置換フェノール類;例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルメチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルメタリルエーテル、メトキシスチレン、エトキシスチレン等の不飽和エーテル類;例えばブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシ−7−オクテン、3−ビニル7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等の不飽和エポキシド類;例えばアクロレイン、ウンデセナール等の不飽和アルデヒド類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、アリルメチルケトン、アリルエチルケトン、アリルプロピルケトン、アリルブチルケトン、アリルベンジルケトン等の不飽和ケトン類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;例えばアリルメチルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルイソプロピルスルフィド、アリルn−プロピルスルフィド、4−ペンテニルフェニルスルフィド等の不飽和チオエーテル類;例えばアリルフェニルスルホキシド等の不飽和スルホキシド類; 例えばアリルフェニルスルホン等の不飽和スルホン類;例えばアリルジフェニルホスフィン等の不飽和ホスフィン類;例えばアリルジフェニルホスフィンオキシドのような不飽和ホスフィンオキシド類などが挙げられる。さらに、以上に挙げた極性基を併せて有する不飽和炭化水素、例えばビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、4−(3−ブテニロキシ)安息香酸メチル、メトキシスチレン、エトキシスチレン、2−アリルメトキシベンゼン、3−アリルメトキシベンゼン、4−アリルメトキシベンゼン、トリフルオロ酢酸アリル、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、(2H−ペルフルオロプロピル)−2−プロペニルエーテル、リナロールオキシド、3−アリロキシ−1,2−プロパンジオール、2−(アリロキシ)エタノール、N−アリルモルホリン、アリルグリシン、N−ビニルピロリドン、アリルトリクロロシラン、アクリルトリメチルシラン、アリルジメチル(ジイソプロピルアミノ)シラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、アリロキシトリメチルシラン、アリロキシトリフェニルシランなどが挙げられる。
【0163】
極性基を有する環状の不飽和炭化水素としては、下記一般式(XXI)
【0164】
【化15】

【0165】
(一般式(XXI)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
で表される環状オレフィン、下記一般式(XXII)
【0166】
【化16】

【0167】
(一般式(XXII)中、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
で表される環状オレフィン、および下記一般式(XXIII)
【0168】
【化17】

【0169】
(一般式(XXIII)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)
で表される環状オレフィンのうち、水素原子の一つまたは複数が極性基;例えば、カルボキシル基、ニトリル基、水酸基、エーテル基、エポキシド、ホルミル基、ケトン基、チオエーテル基、スルホ基、ホスフィン、置換シリル基などで置換された環状極性オレフィンである。
【0170】
カルボキシル基をもつ極性環状オレフィンの場合はこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、およびこれら不飽和カルボン酸類のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、(5−ノルボルネン−2−イル)エステルなどの不飽和カルボン酸エステル類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノエステルであってもジエステルであってもよい)、およびこれら不飽和カルボン酸類のアミド、N,N−ジメチルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノアミドであってもジアミドであってもよい);例えばビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物類が挙げられる。水酸基をもつ極性環状オレフィンの場合はこれら環状不飽和アルコールの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類も挙げることができる。アルデヒド基をもつ極性環状オレフィンの場合はこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類、ケトン基をもつ極性環状オレフィンの場合はこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類を挙げることができる。
【0171】
より具体的には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体;トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセンなどのトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン誘導体;トリシクロ[
4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、7−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体;テト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4
.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、8−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8−イソブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8
−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘ
キシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ステアリルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラ
シクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4
.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4
.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、11,12−ジメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2,7,9−トリメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2,7−ジメチル−9−エチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−2,7−ジメチルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,11,12−トリメチ
ルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチル−11,1
2−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソブ
チル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、2,7,8,9−テトラメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8−エチリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、8−エチリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデンテトラシクロシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−エチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−イソプロ
ピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデ
ン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソ
プロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプ
ロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、8−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
、8,9−ジクロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、など
のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体;、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、1,3−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、14,15−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、などのペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン誘導体;ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、メチル置換ペンタシ
クロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、などのペンタシクロ
[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン誘導体;ペンタシクロ[6
.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,10−ペンタデカジエンなどのペンタシクロペンタデカジエン化合物;ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘ
キサデセン、10−メチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3
−ヘキサデセン、10−エチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13
−3−ヘキサデセン、10,11−ジメチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、などのペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン誘導体;ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、1,3−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,
14]−4−ヘキサデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、15,16−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6
.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、などのペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン誘導体;ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,1
.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−エチルヘキサシクロ[6.6
.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−イソブチルヘキサ
シクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、1,6,
10−トリメチル−12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、などのヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13
2,7.09,14]−4−ヘプタデセン誘導体;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7
.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセンなどのヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体;ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−
エイコセン、ジメチル置換ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセンなどのヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン誘導体;ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、14−メチル−ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセ
ン、トリメチル置換ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセンなどのヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体;オクタシ
クロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、14−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8
12,17]−5−ドコセン、14−エチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセンなどのオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン誘導体;ノナシクロ[
10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン、トリメチル置換ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.0
3,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン、などのノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン誘導体;
ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−6−ヘキサコセンなどのノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−6−ヘキサコセン誘導体;5−フェニル−ビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェニル[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(β−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、8−メチル−8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、8−ベンジル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8−トリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
(エチルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(イソプロピルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8,9−ジフェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−(ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
、8−(β−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
、8−(α−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
、8−(アントラセニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、(シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物)にシクロペンタジエンをさらに付加した化合物、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、11−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、14,15−ベンゾ−ヘプタシクロ[8.
7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、シクロブテン、
シクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、シクロエイコセンなどの非極性環状オレフィンの水素原子のうち一つまたは複数が極性基;例えば、カルボキシル基、ニトリル基、水酸基、エーテル基、エポキシド、ホルミル基、ケトン基、チオエーテル基、スルホ基、ホスフィン、置換シリル基などで置換された環状極性オレフィンを挙げることができる。
【0172】
以上のうち本発明に用いられる極性オレフィンとしては、下記一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、一般式(V)または一般式(VI)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物であることが特に好ましい。
【0173】
10OR11 (II)で表される不飽和アルコール、または不飽和エーテル化合物;
(式(II)中、R10は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R11は、水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基である。)
例えば、5−ヘキセノール、6−へプテノール、7−オクテノール、8−ノネノール、9−デセノール、10−ウンデセノール、11−ドデセノール、12−トリデセノール、メトキシスチレン、エトキシスチレン、2−アリルメトキシベンゼン、3−アリルメトキシベンゼン、4−アリルメトキシベンゼン等。
【0174】
12COOR13 (III)で表される不飽和エステル化合物;
(式(II)中、R12は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R13は、水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基である。)
例えば、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、12−トリデセン酸、13−テトラデセン酸、14−ペンタデセン酸、15−ヘキサデセン酸、16−ヘプタデセン酸、17−オクタデセン酸、18−ノナデセン酸、19−エイコセン酸、20−ヘニコセン酸、2−メチルペンテン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2,6−ヘプタジエン酸、2−(4−イソプロピルベンジリデン)−4−ペンテン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2−カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル等。
【0175】
14OCOR15 (IV)で表される不飽和エステル化合物;
(式(IV)中、R14は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R15は、炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基である。)
例えば、6−へプテノール、7−オクテノール、8−ノネノール、9−デセノール、10−ウンデセノール、11−ドデセノール、12−トリデセノールのカプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等。
【0176】
16COH (V)で表される不飽和アルデヒド化合物;
(式(V)中、R16は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基である。)
例えば、ウンデセナール等。
【0177】
1718 (VI)で表される不飽和ハロゲン化合物;
(式(VI)中、R17は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R18はハロゲン原子である。)
例えば、10−ブロモウンデセン等。
【0178】
なお、R11、R13およびR15が示す炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基としては、一般式(I)中のR1〜R5の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0179】
10、R12、R14、R16、R17が示す炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基としては、アルケニル基、アルケニル基置換アリール基、アルカジエニル基、アルケニル基置換シクロアルキル基などが挙げられる。
【0180】
18が示すハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0181】
これらの極性オレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0182】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0183】
下記の実施例において共重合体の分子量分布は、共重合体の重量平均分子量分布(Mw)の、数平均分子量(Mn)に対する比により、「ウォーターズ(Waters)」モデル「Alliance GPC 2000」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)により得られる分子量分布曲線から計算した。
【0184】
なお操作条件は、下記の通りである。
【0185】
移動相:o−ジクロロベンゼン
移動相流速:1ml/min
カラム:2本の「TSK−GEL」(登録商標)モデル「GMH6−HT」カラムと、2本の「TSK−GEL」(登録商標)モデル「GMH6−HTL」
カラム温度:140℃
試料濃度:30mg/20ml(0.15%(w/v))
[調製例1:塩化マグネシウム溶液(調製液1)の調製]
デカン442ml中に(B)成分として無水塩化マグネシウム95.2g(1.0モル)を懸濁させた後、(D)成分として2−エチルヘキシルアルコール390.6g(3.0モル)を加え、130℃で2時間反応をすることで均一溶液を得た。さらにこの溶液を脱水トルエンにて希釈し、マグネシウム濃度0.4Mの調製液1を得た。
【0186】
[調製例2:塩化マグネシウム溶液(調製液2)の調製]
デカン135ml中に(B)成分として無水塩化マグネシウム7.6g(80モル)を懸濁させた後、(D)成分として10−ウンデセン−1−オール(10−ウンデセノール)56.1g(280モル)を加え、130℃で2時間反応をすることで均一溶液を得た。さらにこの溶液を脱水トルエンにて希釈し、マグネシウム濃度0.4Mの調製液2を得た。
【0187】
[実施例1]
充分に窒素置換した内容積500mlのパドル翼攪拌機付きガラス製オートクレーブに精製トルエン250mlを入れ、50℃に加温し、エチレン100L/hrで液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、調製液1を4.0mL(マグネシウム含量1.6mmol)、次いで、(C)成分として、1.0Mトリイソブチルアルミニウム(TIBA)トルエン溶液5.0mL(TIBA=5.0mmol)を加え、固体成分の析出を確認した。3分後、極性オレフィンとして、アリルアニソール5.0mL(31.5mmol)を加えた後、(A)成分として下記の化合物(A1)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を加えて重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、5分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合を止めた。反応生成物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾取した。得られたポリマーを10時間、真空乾燥させて、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/アリルアニソール共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0188】
【化18】

【0189】
[実施例2]
(C)成分として、1.0Mトリイソブチルアルミニウム(TIBA)トルエン溶液の添加量を11.0mL(TIBA=11.0mmol)とし、極性オレフィンとして、10−ウンデセノール1.0mL(5.0mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデセノール共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0190】
[実施例3]
極性オレフィンとして、10−ウンデシレン酸メチル1.1mL(5.0mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸メチル共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0191】
[実施例4]
極性オレフィンとして、10−ウンデシレン酸0.74g(5.0mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0192】
[実施例5]
極性オレフィンとして、酢酸ヘキセニル0.79mL(5.0mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/酢酸ヘキセニル共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0193】
[実施例6]
極性オレフィンとして、メタクリル酸(10−ウンデセニル)1.3mL(5.0mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/メタクリル酸(10−ウンデセニル)共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0194】
[実施例7]
極性オレフィンとして、ブロモ(10−ウンデセン)1.1mL(5.0mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/ブロモ(10−ウンデセン)共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0195】
[実施例8]
極性オレフィンとして、トリメチルシロキシ(10−ウンデセン)1.6mL(5.0mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/トリメチルシロキシ(10−ウンデセン)共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0196】
[実施例9]
調製液1の添加量を10.0mL(マグネシウム含量4.0mmol)、(C)成分として、1.0Mトリイソブチルアルミニウム(TIBA)トルエン溶液の添加量を15.0mL(TIBA=15.0mmol)とし、極性オレフィンとして、アリルアニソールの添加量を30mL(189mmol)とした以外は、実施例1と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/アリルアニソール共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0197】
[実施例10]
(C)成分として、1.0Mトリイソブチルアルミニウム(TIBA)トルエン溶液の添加量を13.5mL(TIBA=13.5mmol)とし、極性オレフィンとして、10−ウンデシレン酸メチルの添加量を1.7mL(7.5mmol)とした以外は、実施例2と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸メチル共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0198】
[実施例11]
重合温度を25℃とした以外は実施例3と同様にして重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸メチル共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0199】
[実施例12]
重合温度を75℃とした以外は実施例3と同様にして重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸メチル共重合体の分析結果を表1にまとめた。
【0200】
[比較例1]
充分に窒素置換した内容積500mlのパドル翼攪拌機付きガラス製オートクレーブに精製トルエン250mlを入れ、50℃に加温し、エチレン100L/hrで液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサン(MAO)の1.24Mトルエン溶液1.0mL(Al=1.25mmol)加え、極性オレフィンとして、アリルアニソール5.0mL(31.5mmol)を加えた後、化合物(A1)の0.005M脱水トルエン溶液1.0mL(0.005mmol)を加えて重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、5分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合
を止めた。反応生成物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾取した。得られたポリマーを10時間、真空乾燥させて、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/アリルアニソール共重合体の分析結果を表2にまとめた。
【0201】
[比較例2]
化合物(A1)の量を0.02mmol、メチルアルミノキサン(MAO)の1.24Mトルエン溶液の添加量を4.0mL(Al=5.0mmol)とし、非極性オレフィンとして、10−ウンデシレン酸メチル0.22mL(1.0mmol)を使用した以外は、比較例1と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸メチル共重合体の分析結果を表2にまとめた。
【0202】
[比較例3]
極性オレフィンとして、10−ウンデシレン酸メチルの添加量を1.1mL(5.0mmol)とした以外は、比較例2と同様の方法にて重合を行ったが、ポリマーは得られなかった。
【0203】
[比較例4]
極性オレフィンとして、酢酸ヘキセニル0.16mL(1.0mmol)を用いた以外は、比較例2と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/酢酸ヘキセニル共重合体の分析結果を表2にまとめた。
【0204】
[比較例5]
極性オレフィンとして、酢酸ヘキセニルの添加量を0.79mL(5.0mmol)とした以外は、比較例4と同様の方法にて重合を行ったが、ポリマーは得られなかった。
【0205】
[比較例6]
化合物(A1)の量を0.02mmol、メチルアルミノキサン(MAO)の1.24Mトルエン溶液の添加量を4.0mL(Al=5.0mmol)とし、極性オレフィンとして、ブロモ(10−ウンデセン)1.1mL(5.0mmol)を使用した以外は、比較例1と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/ブロモ(10−ウンデセン)共重合体の分析結果を表2にまとめた。

[実施例13]
充分に窒素置換した内容積500mlのパドル翼攪拌機付きガラス製オートクレーブに精製トルエン250mlを入れ、50℃に加温し、エチレン100L/hrで液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、調製液1を4.0mL(マグネシウム含量1.6mmol)、次いで、触媒成分(C)として、1.0Mトリイソブチルアルミニウム(TIBA)トルエン溶液5.0mL(TIBA=5.0mmol)を加え、固体成分の析出を確認した。3分後、極性オレフィンとして、アリルアニソール5.0mL(31.5mmol)を加えた後、(A)成分として下記の化合物(A2)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を加えて重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、5分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合を止めた。反応生成物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾取した。得られたポリマーを10時間、真空乾燥させて、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/アリルアニソール共重合体の分析結果を表3にまとめた。
【0206】
【化19】

【0207】
[実施例14]
(C)成分として、1.0Mトリイソブチルアルミニウム(TIBA)トルエン溶液の添加量を11.0mL(TIBA=11.0mmol)とし、極性オレフィンとして、10−ウンデシレン酸メチル1.1mL(5.0mmol)を用いた以外は、実施例13と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸メチル共重合体の分析結果を表3にまとめた。
【0208】
[実施例15]
(A)成分として下記の化合物(A3)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を用いた以外は、実施例13と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/アリルアニソール共重合体の分析結果を表3にまとめた。
【0209】
【化20】

【0210】
[実施例16]
(A)成分として化合物(A3)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を用いた以外は、実施例14と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸メチル共重合体の分析結果を表3にまとめた。
【0211】
[実施例17]
(A)成分として下記の化合物(A4)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を用いた以外は、実施例13と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/アリルアニソール共重合体の分析結果を表3にまとめた。
【0212】
【化21】

【0213】
[実施例18]
(A)成分として化合物(A4)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を用いた以外は、実施例14と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸メチル共重合体の分析結果を表3にまとめた。
【0214】
[実施例19]
(A)成分として下記の化合物(A5)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を用いた以外は、実施例13と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/アリルアニソール共重合体の分析結果を表3にまとめた。
【0215】
【化22】

【0216】
[実施例20]
(A)成分として化合物(A5)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を用いた以外は、実施例14と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデシレン酸メチル共重合体の分析結果を表3にまとめた。
【0217】
[実施例21]
充分に窒素置換した内容積500mlのパドル翼攪拌機付きガラス製オートクレーブに精製トルエン250mlを入れ、50℃に加温し、エチレン100L/hrで液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、調製液2を4.0mL(マグネシウム含量1.6mmol)、次いで、(C)成分として、1.0Mトリイソブチルアルミニウム(TIBA)トルエン溶液6.0mL(TIBA=6.0mmol)を加え、固体成分の析出を確認した。3分後、(A)成分として化合物(A1)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を加えて重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、5分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合を止めた。反応生成
物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾取した。得られたポリマーを10時間、真空乾燥させて、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデセノール共重合体の分析結果を表4にまとめた。
【0218】
[実施例22]
非極性オレフィンを、エチレン100L/h、プロピレン50L/hの混合ガスを流通する以外は、実施例21の方法にて重合を行い、透明なポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデセノール共重合体の分析結果を表4にまとめた。
【0219】
[実施例23]
非極性オレフィンとして、エチレン100L/h流通、かつ、テトラシクロドデセン(20mL)を添加する以外は、実施例21の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデセノール共重合体の分析結果を表4にまとめた。
【0220】
[実施例24]
充分に窒素置換した内容積500mlのパドル翼攪拌機付きガラス製オートクレーブに精製トルエン250mlを入れ、50℃に加温し、エチレン100L/hrで液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、調製液2を4.0mL(マグネシウム含量1.6mmol)、次いで、(B)成分として、1.0Mトリイソブチルアルミニウム(TIBA)トルエン溶液6.0mL(TIBA=6.0mmol)を加え、固体成分の析出を確認した。3分後、極性オレフィンとして、アリルアニソール5.0mL(31.5mmol)を加えた後、(A)成分として化合物(A1)の0.0025M脱水トルエン溶液0.8mL(0.002mmol)を加えて重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、5分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合を止めた。反応生成物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾取した。得られたポリマーを10時間、真空乾燥させて、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデセノール/アリルアニソール3元共重合体の分析結果を表4にまとめた。
【0221】
[実施例25]
極性オレフィンとして、10−ウンデシレン酸メチル1.1mL(5.0mmol)を用いた以外は、実施例24と同様の方法にて重合を行い、白色のポリマー固体を得た。重合活性、および得られたエチレン/10−ウンデセノール/10−ウンデシレン酸メチル3元共重合体の分析結果を表4にまとめた。
【0222】
【表1】

【0223】
【表2】

【0224】
【表3】

【0225】
【表4】

【0226】
実施例1〜実施例8に示すように、本発明のオレフィン重合用触媒は、種々の極性オレフィンと非極性オレフィンとの共重合を可能とする。
【0227】
比較例1〜6における既存の助触媒であるMAOを用いた触媒系と比較しても、本発明の触媒系が、高活性、高共重合性を示すことが明らかである。
【0228】
また、実施例9および実施例10では、非極性オレフィン含量が、5モル%〜10モル%の高含量共重合体の製造も可能である。
【0229】
さらに、実施例13〜実施例20では、種々の触媒成分A(遷移金属錯体)での本触媒系での展開が可能な事が示されている。
【0230】
一方、実施例21〜実施例25では、触媒の構成成分として用いる(D)成分を、ビニル基を有す極性化合物とすることで、得られるポリマー中に効率的に(D)成分由来の極性基が導入されることが示されている。
【産業上の利用可能性】
【0231】
本発明に係る非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法によれば、既存の助触媒である、有機アルミニウムオキシ化合物を用いるよりも、極めて高い活性で非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合させることができる。また、高価な有機アルミニウムオキシ化合物または有機ホウ素化合物を用いていないので経済的に有利となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)遷移金属化合物および、
(B)金属ハロゲン化物、
とを含むオレフィン重合用触媒の存在下、非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合させることを特徴とする非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法。
【請求項2】
前記オレフィン重合用触媒がさらに(C)有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記オレフィン重合用触媒がさらに(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法。
【請求項4】
前記(B)金属ハロゲン化物が、マグネシウムのハロゲン化物、マンガンのハロゲン化物、鉄のハロゲン化物、コバルトのハロゲン化物およびニッケルのハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種の金属ハロゲン化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法。
【請求項5】
前記(D)酸素含有化合物または窒素含有化合物が、同一分子内にビニル基を含む化合物であることを特徴とする請求項3または4に記載の非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記(A)遷移金属化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法。
【化1】

(式(I)中、Mは周期表第4〜11族の遷移金属原子を示し、
mは、1〜4の整数を示し、
1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素数1〜4の炭化水素基、炭素
数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール基置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン原子の7種から選ばれ、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【請求項7】
前記極性オレフィンが、下記一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、一般式(V)または一般式(VI)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法。
10OR11 (II)
(一般式(II)中、R10は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R11は、水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基である。)
12COOR13 (III)
(一般式(II)中、R12は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R13は、水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基である。)
14OCOR15 (IV)
(一般式(IV)中、R14は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R15は、炭素原子数1〜20の直鎖状炭化水素基である。)
16COH (V)
(一般式(V)中、R16は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基である。)
1718 (VI)
(一般式(VI)中、R17は炭素原子数6〜20の直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、R18はハロゲン原子である。)

【図1】
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【公開番号】特開2011−231291(P2011−231291A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105447(P2010−105447)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】