説明

非水電解液二次電池

【課題】 過熱状態となっても、短絡の発生を抑制できる非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】 非水電解液二次電池1は、扁平捲回電極体10と電池ケース80とを備え、扁平捲回電極体は、長径方向DA中央の電極体中央部10Cと、長径方向端部の半円柱状部10Eとからなり、半円柱状部は、軸線方向DXの第1方向DX1側の第1半円柱端部10EA、及び、第2方向DX2側の第2半円柱端部10EBを有してなり、電極体中央部の第1中央端部10CA及び第2中央端部10CBには、絶縁材を充填することなく、第1半円柱端部に、正極板湾曲部20E同士間に充填し、正極板湾曲部と第1方向側端部30EAとを離間した状態に保持する第1絶縁体51を、第2端部に、負極板湾曲部30E同士間に充填し、負極板湾曲部と第2方向側端部20EBとを離間した状態に保持する第2絶縁体52を有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の正極板と帯状の負極板とを帯状のセパレータを介して捲回してなり、横断面が扁平な長円形状とされてなる扁平捲回電極体を備える非水電解液二次電池(以下、単に電池ともいう)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド自動車やノート型パソコン、ビデオカムコーダなどのポータブル電子機器の駆動用電源に、充放電可能な電池が利用されている。
このような電池における電極体の1形態として、帯状の正極板と帯状の負極板とを帯状のセパレータを介して捲回してなり、横断面が扁平な長円形状とされてなる扁平捲回電極体が挙げられる。この扁平捲回電極体は、長円形状の横断面の長径方向について、中央部分に位置する電極体中央部と、長径方向の端部にそれぞれ位置し半円柱状をなす半円柱状部とを有する。
【0003】
ところで、非水電解液二次電池では、充放電に伴って、電極体をなす正極板及び負極板が膨張・収縮するため、電極体を収容した電池ケースの寸法が変化する。このような寸法変化に伴う電池性能の変化を抑制すべく、電池ケースの外側から扁平捲回電極体の電極体中央部を圧縮して用いることがある。
例えば、特許文献1には、平面部及び側面部からなる電池容器(電池ケース)に電極群(扁平捲回電極体)を収納してなるリチウム二次電池(電池)が開示されている。このリチウム二次電池では、電池容器(電池ケース)の平面部で電極群(扁平捲回電極体)の中央部の平坦部分(電極体中央部)を押圧できるように、平面部の厚みが、側面部の厚みよりも大きくしてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−182573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された電池が外部から押圧された状態において、扁平捲回電極体が過熱状態(例えば、電池内の温度が100℃以上となる状態)となり、扁平捲回電極体のセパレータが、捲回軸に沿う軸線方向に熱収縮しようとした場合を考える。この場合、電極体中央部に位置するセパレータは、正極板及び負極板に圧接しているために収縮し難い。しかるに、半円柱状部には外部からの押圧力はかからないので、この半円柱状部におけるセパレータ(セパレータ湾曲部)には、正極板及び負極板が十分には圧接して拘束していないため、大きく熱収縮してしまうことがある。このため、セパレータが大きく収縮した半円柱状部では、正極板と負極板との間にセパレータが介在しない部分が生じ、一方の電極板(例えば正極板)の端部が、他方の電極板(例えば負極板)に接触し短絡する虞がある。
【0006】
本発明は、かかる問題点を鑑みてなされたものであって、過熱状態となっても、短絡の発生を抑制できる非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、帯状の正極板と帯状の負極板とを帯状のセパレータを介して捲回軸の周りに捲回してなり、横断面が扁平な長円形状とされてなる扁平捲回電極体と、上記扁平捲回電極体を収容してなる電池ケースと、を備える非水電解液二次電池であって、上記扁平捲回電極体は、上記長円形状の横断面の長径方向について、中央部分に位置する電極体中央部と、上記長径方向の端部にそれぞれ位置し半円柱状をなす半円柱状部と、からなり、上記電池ケースは、互いに平行に配置され、上記電極体中央部に当接してこれを挟む、一対の当接壁部を有し、上記半円柱状部はいずれも、上記正極板のうち、半円筒状に湾曲した正極板湾曲部、及び、上記負極板のうち、半円筒状に湾曲した負極板湾曲部が、上記セパレータのうち、半円筒状に湾曲したセパレータ湾曲部を介して積層されてなり、上記捲回軸に沿う軸線方向のうち第1方向側に位置し、上記セパレータ湾曲部が上記負極板湾曲部よりも上記第1方向側にまで配置され、上記正極板湾曲部が上記セパレータ湾曲部よりも上記第1方向側にまで配置されてなる第1半円柱端部を有すると共に、上記軸線方向のうち上記第1方向とは逆の第2方向側に位置し、上記セパレータ湾曲部が上記正極板湾曲部よりも上記第2方向側にまで配置され、上記負極板湾曲部が上記セパレータ湾曲部よりも上記第2方向側にまで配置されてなる第2半円柱端部を有し、上記電極体中央部は、上記軸線方向の上記第1方向側に位置し、2つの上記第1半円柱端部の間に位置する第1中央端部を有すると共に、上記軸線方向の上記第2方向側に位置し、2つの上記第2半円柱端部の間に位置する第2中央端部を有し、上記第1中央端部及び上記第2中央端部には、充填された絶縁材を有さず、上記第1半円柱端部は、いずれも、互いに離間して積層された上記正極板湾曲部同士の間に充填され、上記正極板湾曲部と上記負極板湾曲部のうち、上記第1方向の端に位置する第1方向側端部とを離間した状態に保持する第1絶縁体を有し、上記第2半円柱端部は、いずれも、互いに離間して積層された上記負極板湾曲部同士の間に充填され、上記負極板湾曲部と上記正極板湾曲部のうち、上記第2方向の端に位置する第2方向側端部とを離間した状態に保持する第2絶縁体を有してなる非水電解液二次電池である。
【0008】
上述の電池では、第1半円柱端部はいずれも、互いに離間して積層された正極板湾曲部同士の間に充填され、正極板湾曲部と負極板湾曲部の第1方向側端部とを離間した状態に保持する第1絶縁体を有してなる。また、第2半円柱端部はいずれも、互いに離間して積層された負極板湾曲部同士の間に充填され、負極板湾曲部と正極板湾曲部の第2方向側端部とを離間した状態に保持する第2絶縁体を有してなる。このため、扁平捲回電極体が過熱状態となった場合において、たとえ半円柱状部でセパレータ(セパレータ湾曲部)が軸線方向に熱収縮して、正極板湾曲部と負極板湾曲部との間に隙間が生じた場合でも、第1半円柱端部及び第2半円柱端部において、正極板湾曲部と負極板湾曲部との間が保持されて、正極板と負極板とが接触して短絡するのを抑制できる。
過熱状態となった場合に、第1絶縁体或いは第2絶縁体がセパレータ湾曲部までも保持して、このセパレータ湾曲部の熱収縮を妨げ、上述の隙間が生じるのを防いで、正極板と負極板との接触を抑制することができる場合もある。
【0009】
加えて、第1中央端部及び第2中央端部に、絶縁材を充填していないため、これら第1中央端部及び第2中央端部を通じて、電極体内に発生したガスを電極体の外部に容易に放出することができる。
【0010】
なお、第1絶縁体や第2絶縁体をなす絶縁材としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の接着剤や、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、シリカ、べーマイト等の絶縁性で500℃以上の耐熱性を有するセラミックス粒子(粉末)を、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリル系樹脂等で結着した、絶縁性の組成物が挙げられる。
【0011】
さらに、上述の非水電解液二次電池であって、前記第1絶縁体及び前記第2絶縁体は、アルミナ粉末をポリフッ化ビニリデンで結着した組成物からなる非水電解液二次電池とすると良い。
【0012】
アルミナ粉末をPVDFで結着した組成物は、高い耐熱性を有することが知られている(例えば、特開2004−63343号公報を参照)。
上述した電池では、第1絶縁体及び第2絶縁体がこのようなアルミナ粉末をPVDFで結着した組成物からなるので、同様に耐熱性が良好であり、電池が過熱状態(例えば、電池内の温度が100℃以上となる状態)となった場合でも、第1半円柱端部における正極板湾曲部と負極板湾曲部の第1方向側端部とを離間した状態を、また、第2半円柱端部における負極板湾曲部と正極板湾曲部の第2方向側端部とを離間した状態を確実に保つことができる。従って、過熱状態となった場合でも、第1半円柱端部或いは第2半円柱端部で正極板と負極板とが接触して短絡することを確実に抑制できる。
【0013】
さらに、上述のいずれかの非水電解液二次電池であって、帯状の前記正極板は、帯状の正極集電箔、及び、上記正極集電箔上に、この正極集電箔の長手方向に延びる帯状に形成された正極活物質層を有し、上記正極板の幅方向一方側に位置し、上記正極集電箔上に上記正極活物質層が積層された帯状の正電極部と、上記正極板の幅方向他方側に位置し、上記正極集電箔が露出した帯状の正極箔露出部と、を有してなり、帯状の前記負極板は、帯状の負極集電箔、及び、上記負極集電箔上に、この負極集電箔の長手方向に延びる帯状に形成された負極活物質層を有し、上記負極板の幅方向一方側に位置し、上記負極集電箔上に上記負極活物質層が積層された帯状の負電極部と、上記負極板の幅方向他方側に位置し、上記負極集電箔が露出した帯状の負極箔露出部と、を有してなり、前記扁平捲回電極体のうち、前記第1中央端部で上記正極箔露出部同士を重ねて正極集電部材と接合してなり、前記第2中央端部で上記負極箔露出部同士を重ねて負極集電部材と接合してなる非水電解液二次電池とすると良い。
【0014】
この電池では、第1中央端部で絶縁材に妨げられることなく、正極箔露出部同士を重ねて正極集電部材と接合している。また、第2中央端部で絶縁材に妨げられることなく、負極箔露出部同士を重ねて負極集電部材と接合している。このため、適切に第1中央端部から正極側の集電を、第2中央端部から負極側の集電を行うことができる。
【0015】
なお、正極集電箔及び負極集電箔はいずれも、導電性を有する薄板状のものであれば良く、正極集電箔としては、例えば、アルミニウム等の金属箔が、負極集電箔としては、例えば、銅等の金属箔が、それぞれ挙げられる。
【0016】
或いは、前述のいずれかの非水電解液二次電池を搭載し、この非水電解液二次電池に蓄えた電気エネルギを動力源の全部又は一部に使用する車両とすると良い。
上述の車両は、短絡を抑制した非水電解液二次電池を搭載しているので、安定性の高い車両とすることができる。
【0017】
なお、車両としては、電池による電気エネルギを動力源の全部又は一部に使用する車両であれば良く、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、フォークリフト、電気車いす、電動アシスト自転車、電動スクータが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1,変形形態にかかる電池の斜視図である。
【図2】実施形態1,変形形態にかかる電池の断面図(図1のA−A断面)である。
【図3】実施形態1,変形形態の正極板の斜視図である。
【図4】実施形態1,変形形態の負極板の斜視図である。
【図5】実施形態1,変形形態にかかる電池の断面図(図2のB−B断面)である。
【図6】実施形態1,変形形態にかかる電池の断面図(図2のC−C断面)である。
【図7】実施形態1,変形形態にかかる電池の部分拡大端面図(図6のF部)である。
【図8】実施形態1,変形形態にかかる電池の部分拡大端面図(図6のG部)である。
【図9】実施形態1,変形形態にかかる電池の、過熱状態における説明図である。
【図10】実施形態1,変形形態にかかる電池の製造方法(第1絶縁体及び第2絶縁体の形成方法)についての説明図である。
【図11】実施形態2にかかる車両についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
次に、本実施形態1にかかる電池1について、図面を参照しつつ説明する。図1に電池1の斜視図を、図2に電池1の断面図(図1のA−A断面)を、図5に電池1の断面図(図2のB−B断面)を、図6に電池1の断面図(図2のC−C断面)をそれぞれ示す。
この電池1は、帯状の正極板20と帯状の負極板30とを帯状のセパレータ40を介して捲回軸AXの周りに捲回してなり、横断面CSが扁平な長円形状とされてなる捲回型の電極体10と、この電極体10を収容する電池ケース80とを備えるリチウムイオン二次電池である(図1,2参照)。
また、この電池1は、電極体10の、後述する2つの第1半円柱端部10EA,10EA、及び、2つの第2半円柱端部10EB,10EBに、500℃以上の耐熱性を有するセラミックス粒子であるアルミナ粉末をPVDFで結着した組成の絶縁材からなる絶縁体(第1絶縁体51,第2絶縁体52)を充填している。
なお、この電池1は、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)の混合有機溶媒(体積比がEC:DMC:EMC=3:3:4)に、1mol/lの溶質(LiPF6)を添加してなる電解液(図示しない)を電池ケース80内に収容している。
【0020】
この電池1の電池ケース80は、共にアルミニウム製の電池ケース本体81及び封口蓋88を有する。なお、この電池ケース80と電極体10との間には、樹脂からなり、電池ケース本体81に沿う箱状に折り曲げた絶縁フィルム(図示しない)が介在させてある。
このうち電池ケース本体81は有底矩形筒形である。即ち、細長矩形平板状のケース底部82、及び、このケース底部82の四方の縁から、垂直に立ち上がる4つのケース壁部83(83A〜83D)からなる(図1参照)。このケース壁部83は、ケース底部82の2つの長辺の縁からそれぞれ垂直に立ち上がる第1ケース壁部83A及び第2ケース壁部83Bと、ケース壁部82の2つの短辺の縁からそれぞれ垂直に立ち上がる第3ケース壁部83C及び第4ケース壁部83Dとからなる。
このうち、第1ケース壁部83A及び第2ケース壁部83Bは、互いに平行に配置され、電極体10の中央部10C(後述)に当接し、この中央部10Cを挟む(図2参照)。
【0021】
また、封口蓋88は矩形板状であり、電池ケース本体81の開口を閉塞して、この電池ケース本体81に溶接されている。この封口蓋88には、電極体10と接続している正極集電部材91及び負極集電部材92のうち、それぞれ先端側に位置する正極端子部91A及び負極端子部92Aが貫通しており、図1中、上方に向く蓋表面88aから突出している。これら正極端子部91A及び負極端子部92Aと封口蓋88との間には、それぞれ絶縁性の樹脂からなる絶縁部材95が介在し、互いを絶縁している。さらに、この封口蓋88には矩形板状の安全弁97も封着されている。
【0022】
また、電極体10のうち、薄板帯状の正極板20は、図3に示すように、帯状でアルミニウムからなるアルミニウム箔28と、このアルミニウム箔28の両主面上に、その長手方向DLに延びる帯状に形成された正極活物質層21,21とを有している。この正極板20は、幅方向DWの一方側に位置し、アルミニウム箔28上に正極活物質層21が積層された帯状の正電極部20Sと、幅方向DW他方側に位置し、アルミニウム箔28が露出した帯状のアルミ箔露出部20Tとを含む(図3参照)。
一方、薄板帯状の負極板30は、図4に示すように、帯状で銅製の銅箔38と、この銅箔38の両主面上に、その長手方向DLに延びる帯状に形成された負極活物質層31,31とを有している。この負極板30は、幅方向DWの一方側に位置し、銅箔38上に負極活物質層31が積層された帯状の負電極部30Sと、幅方向DW他方側に位置し、銅箔38が露出した帯状の銅箔露出部30Tとを含む(図4参照)。
【0023】
なお、電極体10では、正極活物質層21よりも対向する負極活物質層31が小さいと、或いは、同じ大きさであると、電池1を使用した場合に、正極活物質層21の外周縁部分から放出されたリチウムイオンが負極活物質層31の外周縁付近に集中して届き、金属リチウムが析出してしまう。そこで、これを防止するため、負極活物質層31の面積を正極活物質層21の面積よりも大きくし、かつ、正極板20の正極活物質層21は、いずれの箇所も負極活物質層31と対向するように配置している。従って、逆に、負極板30の負極活物質層31は、正極活物質層21と対向する負極対向部31Fのほか、その周縁に位置し正極活物質層21とは対向しない負極非対向部31Nを含むことになる(図4参照)。
【0024】
また、帯状で多孔質のセパレータ40は、ポリエチレンを2層のポリプロピレンの間に挟んでなる三層型である。このセパレータ40は、負極板30の負極活物質層31よりも幅広とされ、電極体10において、正極板20の正電極部20S及びアルミ箔露出部20Tの一部と、負極板30の負電極部30Sとの間に介在し、正極板20と負極板30との間での短絡の発生を防止している。
【0025】
上述の電極体10は、長円形状の横断面CSの長径方向DA(図2中、上下方向)について、中央に位置する中央部10Cと、電極体10の横断面CSにおける長径方向DAの両端にそれぞれ位置し、半円柱状をなす2つの半円柱状部10E,10Eとからなる。
【0026】
このうち、中央部10Cは、正極板20,負極板30及びセパレータ40のうち、この中央部10Cをなす、正極板中央部20C、負極板中央部30C及びセパレータ中央部40Cからなる。これら正極板中央部20C、負極板中央部30C及びセパレータ中央部40Cは、図2に示すように、短径方向DB(図2中、左右方向)に互いに当接して積層されている。
この中央部10Cは、図2のB−B断面である図5に示すように、軸線方向DX(図5中、左右方向)のうち第1方向DX1側(図5中、左側)に位置する第1中央端部10CA、及び、軸線方向DXのうち、第1方向DX1とは反対の第2方向DX2側(図5中、右側)に位置する第2中央端部10CBを有している。
【0027】
このうち、第1中央端部10CAでは、複数のアルミ箔露出部20T,20T同士が、後述する第1絶縁体51のほか、正極活物質層21、負極板30、セパレータ40を介することなく積層されている(図5参照)。そして、これら複数のアルミ箔露出部20T,20Tは、第1方向DX1の先端部分で、短径方向DB(図5中、上下方向)に重ねられて、正極集電部材91と接合している。
また、第2中央端部10CBでは、複数の銅箔露出部30T,30T同士が、後述する第2絶縁体52のほか、負極活物質層31、正極板20、セパレータ40を介することなく積層されている(図5参照)。これら複数の銅箔露出部30T,30Tは、第2方向DX2の先端部分で、短径方向DB(図5中、上下方向)に重ねられて、負極集電部材92と接合している。
なお、図5に示すように、第1中央端部10CA及び第2中央端部10CBは、充填された絶縁材(例えば、後述する第1半円柱端部10EAが有する第1絶縁体51)を有していない。
【0028】
一方、半円柱状部10Eは、正極板20のうち半円筒状に湾曲した正極板湾曲部20E、及び、負極板30のうち半円筒状に湾曲した負極板湾曲部30Eが、セパレータ40のうち半円筒状に湾曲したセパレータ湾曲部40Eを介して積層されてなる(図2参照)。
【0029】
また、この半円柱状部10Eは、図2のC−C断面である図6に示すように、軸線方向DXのうち第1方向DX1側の第1半円柱端部10EA、及び、軸線方向DXのうち第2方向DX2側の第2半円柱端部10EBを有している。
このうち第1半円柱端部10EAは、図6中のF部の部分拡大断面図である図7に示すように、正極板湾曲部20Eのうち第1方向DX1側の端部(第1正極湾曲端部20EA)、負極板湾曲部30Eのうち第1方向DX1側の端部(第1負極湾曲端部30EA)、及び、セパレータ湾曲部40Eのうち第1方向DX1側の端部(第1セパレータ湾曲端部40EA)からなる。この第1半円柱端部10EAは、セパレータ湾曲部40Eが負極板湾曲部30E(第1負極湾曲端部30EA)よりも第1方向DX1側にまで配置され、正極板湾曲部20E(第1正極湾曲端部20EA)がセパレータ湾曲部40E(第1セパレータ湾曲端部40EA)よりも第1方向DX1側にまで配置されている(図7参照)。
この第1半円柱端部10EAの第1正極湾曲端部20EAは、正極活物質層21の第1方向側の第1正極層端部21EAと、前述したアルミ箔露出部20Tとからなる。また、第1負極湾曲端部30EAは、負極活物質層31の第1方向DX1側の第1負極層端部31EAと、銅箔38の第1方向DX1側の銅箔端部38EAとからなる。
【0030】
なお、この第1半円柱端部10EAでは、互いに積層された正極板湾曲部20E同士の間に、前述した絶縁材からなる第1絶縁体51が充填されている(図6,7参照)。この第1絶縁体51は、正極板湾曲部20Eと負極板湾曲部30Eの第1負極湾曲端部30EAとを離間した状態に保持する。具体的には、この第1絶縁体51は、第1正極湾曲端部20EAをなすアルミ箔露出部20T,20T同士の間に充填され、第1正極層端部21EA、第1負極湾曲端部30EAをなす第1負極層端部31EA,第1銅箔端部38EA、及び、第1セパレータ湾曲端部40EAにも接して、これらを保持している(図7参照)。なお、この第1絶縁体51は、後に詳述するが、セパレータ湾曲部40Eが熱収縮した場合でも、正極板湾曲部20Eと負極板湾曲部30Eの第1負極湾曲端部30EAとを離間した状態に保持する。
【0031】
一方、第2半円柱端部10EBは、図6中のG部の部分拡大断面図である図8に示すように、正極板湾曲部20Eのうち第2方向DX2側の端部(第2正極湾曲端部20EB)、負極板湾曲部30Eのうち第2方向DX2側の端部(第2負極湾曲端部30EB)、及び、セパレータ湾曲部40Eのうち第2方向DX2側の端部(第2セパレータ湾曲端部40EB)からなる。第2半円柱端部10EBは、セパレータ湾曲部40Eが正極板湾曲部20E(第2正極湾曲端部20EB)よりも第2方向DX2側にまで配置され、負極板湾曲部30E(第2負極湾曲端部30EB)がセパレータ湾曲部40E(第2セパレータ湾曲端部40EB)よりも第2方向DX2側にまで配置されている(図8参照)。
この第2半円柱端部10EBの第2正極湾曲端部20EBは、正極活物質層21の第2方向側の第2正極層端部21EBと、アルミニウム箔28の第2方向DX2側のアルミ箔端部28EBとからなる。また、第2負極湾曲端部30EBは、負極活物質層31の第2方向DX2側の第2負極層端部31EAと、前述した銅箔露出部30Tとからなる。
【0032】
なお、この第2半円柱端部10EBでは、互いに積層された負極板湾曲部30E同士の間に、第1半円柱端部10EAと同様の絶縁材からなる第2絶縁体52を充填している(図6,8参照)。この第2絶縁体52は、負極板湾曲部30Eと正極板湾曲部20Eの第2正極湾曲端部20EBとを離間した状態に保持する。具体的には、この第2絶縁体52は、第2負極湾曲端部30EBをなす2つの銅箔露出部30T,30T同士の間に充填され、第2負極層端部31EB、第2正極湾曲端部20EBをなす第2正極層端部21EB,第2アルミ箔端部28EB、及び、第2セパレータ湾曲端部40EBにも接して、これらを保持している(図8参照)。なお、この第2絶縁体52もまた、第1絶縁体51と同様、セパレータ湾曲部40Eが熱収縮した場合でも、負極板湾曲部30Eと正極板湾曲部20Eの第2正極湾曲端部20EBとを離間した状態に保持する。
【0033】
ところで、本発明者らは、本実施形態1にかかる電池1が過熱状態となった際に、この電池1の電極体10において、正極板20と負極板30とが短絡するか否かを調査した。
具体的には、上述の電池1に加熱試験を施した。この加熱試験では、まず、電池ケース80の第1ケース壁部83A及び第2ケース壁部83Bを、金属製の2枚のエンドプレートで圧縮した電池1(充電状態をSOC80%に調整済)を恒温槽内に配置して、恒温槽の槽内温度を5℃/分の速度で160℃まで昇温させた。そして、槽内温度が160℃に達したところで、槽内温度を60分間保持させた。なお、試験中の電池1の電池温度及び端子間電圧を別途測定した。
また、比較例として、電極体の第1半円柱端部及び第2半円柱端部に第1絶縁体及び第2絶縁体を有しない点以外は、電池1と同様の比較電池C1を用意して、電池1と同様にして加熱試験を実施した。
【0034】
上述の加熱試験の結果、比較電池C1では、加熱試験後の端子間電圧が著しく低下した(試験後の端子間電圧はほぼ0V)。このことから、加熱試験によって、比較電池C1で短絡が発生したことが判る。また、試験中に電池温度が、恒温槽の槽内温度の最高値(160℃)よりも高い、225℃まで上昇した。これは、試験中に短絡が発生して、これに伴う発熱によって電池温度が恒温槽の槽内温度よりも高くなったためと考えられ、短絡発生が裏付けられる。
一方、電池1では、加熱試験中に端子間電圧の著しい低下は確認できなかった。また、試験中の電池温度は、恒温槽の温度と同様に変化し、最高温度も160℃であった。これらから、電池1では、加熱試験によって短絡が発生しなかったことが判る。
【0035】
このような結果となった理由として以下が考えられる。即ち、電池1及び比較電池C1の半円柱状部には外部からの押圧力がかからない。このため、この半円柱状部におけるセパレータ湾曲部には、正極板及び負極板が十分には圧接して拘束していないため、加熱試験での高温で熱収縮しようとする。
このため、絶縁体(第1絶縁体51,第2絶縁体52)のない比較電池C1では、セパレータ湾曲部が収縮した半円柱状部において、正極板(正極板湾曲部)と負極板(負極板湾曲部)との間にセパレータが介在しない部分が生じ、この部分で正極板湾曲部と負極板湾曲部とが接触して短絡したと考えられる。
一方、電池1では、たとえセパレータ湾曲部40Eが収縮したとしても、半円柱状部10Eの第1半円柱端部10EA及び第2半円柱端部10EBにそれぞれ充填された第1絶縁体51及び第2絶縁体52が、正極板湾曲部20Eと負極板湾曲部30Eとを離間した状態に保持している。また、第1絶縁体51及び第2絶縁体52により、セパレータ湾曲部40Eも保持されて、このセパレータ湾曲部40Eの収縮をも抑制して、隙間の発生を防止した場合もあると考えられる。
【0036】
例えば、加熱試験で過熱状態に相当する高温とした電池1の第1半円柱端部10EAにおいて、セパレータ湾曲部40Eが軸線方向DXに熱収縮したために、正極板湾曲部20Eにおける正極活物質層21と、負極板湾曲部30Eにおける負極活物質層31との間で、これらの厚み方向DTにセパレータ湾曲部40Eが介在しない空間Sが生じた場合について考える(図9参照)。この場合でも、絶縁体51が、アルミ箔露出部20T同士のほか、第1正極層端部21EA、第1負極層端部31EA及び第1銅箔端部38EAからなる第1負極湾曲端部30EAに接してこれらを保持している。このため、正極板湾曲部20Eと、負極板湾曲部30Eの第1負極湾曲端部30EA(負極活物質層31)とが互いに接触するように移動するのを防いでいる。従って、電池1が短絡するのを防止することができる。
また、第1絶縁体51がセパレータ湾曲部40Eの端部(第1セパレータ湾曲端部40EA)に接着して保持し、このセパレータ湾曲部40Eが熱収縮するのを抑制することも期待できる。
なお、電池1の第2半円柱端部10EBにおいても、充填した第2絶縁体52により、上述した第1半円柱端子10EAと同様の作用効果が得られる。
かくして、第1半円柱端部10EAに第1絶縁体51を、第2半円柱端部10EBに第2絶縁体52をそれぞれ充填してなる電池1では、加熱試験によって短絡が発生しなかったと考えられる。
【0037】
このように、本実施形態1にかかる電池1では、第1半円柱端部10EA,10EAはいずれも、互いに離間して積層された正極板湾曲部20E,20E同士の間に充填され、正極板湾曲部20Eと負極板湾曲部30Eの第1負極湾曲端部30EAとを離間した状態に保持する第1絶縁体51を有してなる。また、第2半円柱端部10EB,10EBはいずれも、互いに離間して積層された負極板湾曲部30E,30E同士の間に充填され、負極板湾曲部30Eと正極板湾曲部20Eの第2正極湾曲端部20EBとを離間した状態に保持する第2絶縁体52を有してなる。このため、電池1の電極体10が過熱状態となった場合において、たとえ半円柱状部10Eでセパレータ湾曲部40Eが軸線方向DAに熱収縮して空間Sが生じた場合でも(図9参照)、第1半円柱端部10EA及び第2半円柱端部10EBにおいて、正極板湾曲部20Eと負極板湾曲部30Eとの間が保持されて、正極板20(正極板湾曲部20E)と負極板30(負極板湾曲部30E)とが接触して短絡するのを抑制できる。
【0038】
加えて、第1半円柱端部10EA及び第2半円柱端部10EBとは異なり、第1中央端部10CA及び第2中央端部10CBに、絶縁材を充填していないため、これら第1中央端部10CA及び第2中央端部10CBを通じて、電極体10内に発生したガスを電極体10の外部に容易に放出することができる。
【0039】
また、本実施形態1にかかる電池1では、第1絶縁体51及び第2絶縁体52がアルミナ粉末をPVDFで結着した組成物からなるので、耐熱性が良好である。このため、電池1が過熱状態となった場合でも、第1半円柱端部10EA及び第2半円柱端部10EBにおいて、正極板湾曲部20Eと負極板湾曲部30Eとを離間した状態を確実に保つことができる。従って、過熱状態となった場合でも、第1半円柱端部10EA或いは第2半円柱端部10EBで正極板20と負極板30とが接触して短絡することを確実に抑制できる。
【0040】
また、本実施形態1の電池1では、第1中央端部10CAで絶縁材に妨げられることなく、アルミ箔露出部20T同士を重ねて正極集電部材91と接合している。また、第2中央端部10CBで絶縁材に妨げられることなく、銅箔露出部30T同士を重ねて負極集電部材92と接合している。このため、適切に第1中央端部10CAから正極側の集電を、第2中央端部10CBから負極側の集電を行うことができる。
【0041】
次に、本実施形態1にかかる電池1の製造方法について説明する。
まず、正極板20を作製する。具体的には、正極活物質粒子、結着剤及び導電剤を溶媒中で混練してできたペースト(図示しない)を、帯状のアルミニウム箔28の両主面に塗布し、その後、ペーストを乾燥させた。なお、ペーストは、アルミニウム箔28の長手方向に延びる一方の側縁側を帯状に空けて、アルミニウム箔28の両主面に塗布される。
さらに、図示しないロールプレスで、アルミニウム箔28の両主面上で乾燥させたペーストを圧縮し、正極活物質層21,21を有する正極板20を作製した(図3参照)。
【0042】
一方、負極板30を作製する。具体的には、負極活物質粒子及び結着剤を溶媒中で混練してできたペースト(図示しない)を、帯状の銅箔38の両主面に塗布し、その後、ペーストを乾燥させた。なお、ペーストは、銅箔38の長手方向に延びる一方の側縁側を帯状に空けて、銅箔38の両主面に塗布される。
さらに、図示しないロールプレスで、銅箔38の両主面上で乾燥させたペーストを圧縮し、負極活物質層31,31を有する負極板30を作製した(図4参照)。
【0043】
上述のように作製した正極板20及び負極板30を、前述した2つの帯状のセパレータ40,40と共に捲回し、電極体10とする。具体的には、捲回軸AXを中心に径方向の外側に向かって、セパレータ40、負極板30、セパレータ40、正極板20の順に重ねた状態で捲回する。
このようにして、正極板20、負極板30及びセパレータ40を、巻芯材の周りに捲回した後、巻芯材を捲回体の中心から抜き外した。そして、この捲回体を押し潰し、図2に示す、横断面CSが扁平な形状に捲回してなる電極体10を製造する(図1,2参照)。
【0044】
次いで、上述の電極体10の第1半円柱端部10EA及び第2半円柱端部10EB内に第1絶縁体51及び第2絶縁体52をそれぞれ充填する。
まず、電極体10の中央部10Cを、金属製の2枚のエンドプレートEP,EPを用いて挟持する。これにより、電極体10を、電池1において、電池ケース80の第1ケース壁部83A及び第2ケース壁部83Bに挟まれて拘束されるのと同様に、中央部10Cを拘束する。
【0045】
次に、2枚のエンドプレートEP,EPで挟んだ状態の電極体10の半円柱状部10Eを、スラリーSL1に片側ずつ浸漬する(図10参照)。
このスラリーSL1は、アルミナ粉末及びPVDFをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に投入して、超音波分散機(Mテクニック社製クレアミックス)を用いて、20分間混練してできたものである。なお、このスラリーSL1の固形分率を50%、アルミナ粉末及びPVDFの重量比をアルミナ粉末:PVDF=95:5としてある。
このスラリーSL1に両方の半円柱状部10E,10Eを浸漬した後、熱風乾燥機を用いて、第1半円柱端部10EA及び第2半円柱端部10EBからそれぞれ溶媒(NMP)を除去した。
かくして、電極体10のいずれの第1半円柱端部10EAにおいても、正極板湾曲部20E,20E同士間に第1絶縁体51が、また、いずれの第2半円柱端部10EBにおいても、負極板湾曲部30E,30E同士間に第2絶縁体52が、それぞれ充填される。
【0046】
電極体10からエンドプレートEPを取り外した後、電極体10の第1中央端部10CAにおいて、正極板20のアルミ箔露出部20Tに正極集電部材91を、第2中央端部10CBにおいて、負極板30の銅箔露出部30Tに負極集電部材92をそれぞれ溶接した。そして、正極集電部材91,負極集電部材92を接続した電極体10を電池ケース本体81に挿入し、電解液を注入後、封口蓋88で電池ケース本体81を溶接で封口する。かくして、電池1ができあがる(図1,2参照)。
【0047】
(変形形態)
次に、本発明の変形形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本変形形態にかかる電池101は、第1絶縁体151及び第2絶縁体152が、アルミナ粉末をPVDFで結着した組成物ではなく、アクリル系接着剤を乾燥してなる絶縁材からなる点で、上述した実施形態1とは異なる。
【0048】
また、この電池101が過熱状態となった際の短絡の有無について、前述した加熱試験を行って調査したところ、この電池101では、加熱試験中に端子間電圧の著しい低下は確認できなかった。また、この電池101の試験中の電池温度は、恒温槽の温度と同様に変化し、最高温度も160℃であったことから、本変形形態にかかる電池101でも、加熱試験によって短絡が発生しなかったことが判る。
【0049】
次に、本変形形態にかかる電池101の製造方法について説明する。
まず、前述した実施形態1と同様にして、電極体10を製造する(図1,2参照)。次いで、上述の電極体10の第1半円柱端部10EA及び第2半円柱端部10EBに絶縁材GX2をそれぞれ充填する。
但し、この電池101を製造する際、アクリル系樹脂をNMPに投入して混練したスラリーSL2(固形分率が10%)の浸漬、及び、溶媒の除去を複数回繰り返す点で、実施形態1と異なる。
【0050】
(実施形態2)
本実施形態2にかかる車両200は、前述した電池1を複数含むバッテリパック210を搭載したものである。具体的には、図11に示すように、車両200は、エンジン240、フロントモータ220及びリアモータ230を併用して駆動するハイブリッド自動車である。この車両200は、車体290、エンジン240、これに取り付けられたフロントモータ220、リアモータ230、ケーブル250、インバータ260、及び、矩形箱形状のバッテリパック210を有している。なお、バッテリパック210内の複数の電池1,1(又は、電池101,101)は、隣りあう電池1,1(又は電池101,101)同士の間に、第1ケース壁部83A,第2ケース壁部83Bに平行な通風路を有する板状の通風部材(図示しない)をそれぞれ介在させながら積層されている。また、これら電池1,1(又は電池101,101)を積層する方向の両端側には、これら電池1,1(又は電池101,101)を挟持する2つのエンドプレート(図示しない)を配置している。このため、各電池1,1(又は電池101,101)は、第1ケース壁部83A及び第2ケース壁部83Bを通じて、中央部10Cが圧縮されている。
【0051】
本実施形態2にかかる車両200は、短絡を抑制した電池1(又は電池101)を搭載しているので、安定性の高い車両200とすることができる。
【0052】
以上において、本発明を実施形態1、実施形態2及び変形形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態1では、第1絶縁体51及び第2絶縁体52をなす絶縁材として、アルミナ粉末をPVDFで結着した組成物を示したが、アルミナに代えて、例えば、マグネシア、ジルコニア、シリカ、ベーマイト等の絶縁性のセラミックス粒子(粉末)を用いても良い。
また、変形形態では、アクリル系接着剤からなる第1絶縁体151及び第2絶縁体152を有する電池を示したが、例えば、エポキシ系接着剤からなる第1絶縁体及び第2絶縁体を有する電池としても良い。
【符号の説明】
【0053】
1,101 電池(非水電解液二次電池)
10 電極体(扁平捲回電極体)
10C 中央部(電極体中央部)
10CA 第1中央端部
10CB 第2中央端部
10E 半円柱状部
10EA 第1半円柱端部
10EB 第2半円柱端部
20 正極板
20E 正極板湾曲部
20EB 第2正極湾曲端部((正極板湾曲部の)第2方向側端部)
20S 正電極部
20T アルミ箔露出部(正極箔露出部)
21 正極活物質層
28 アルミニウム箔(正極集電箔)
30 負極板
30E 負極板湾曲部
30EA 第1負極湾曲端部((負極板湾曲部の)第1方向側端部)
30S 負電極部
30T 銅箔露出部(負極箔露出部)
31 負極活物質層
38 銅箔(負極集電箔)
40 セパレータ
40E セパレータ湾曲部
51 第1絶縁体
52 第2絶縁体
80 電池ケース
83A 第1ケース壁部(当接壁部)
83B 第2ケース壁部(当接壁部)
200 車両
AX 捲回軸
CS 横断面
DA 長径方向
DL 長手方向
DT 厚み方向
DW 幅方向
DX 軸線方向
DX1 第1方向
DX2 第2方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の正極板と帯状の負極板とを帯状のセパレータを介して捲回軸の周りに捲回してなり、横断面が扁平な長円形状とされてなる扁平捲回電極体と、
上記扁平捲回電極体を収容してなる電池ケースと、を備える
非水電解液二次電池であって、
上記扁平捲回電極体は、
上記長円形状の横断面の長径方向について、中央部分に位置する電極体中央部と、
上記長径方向の端部にそれぞれ位置し半円柱状をなす半円柱状部と、からなり、
上記電池ケースは、
互いに平行に配置され、上記電極体中央部に当接してこれを挟む、一対の当接壁部を有し、
上記半円柱状部はいずれも、
上記正極板のうち、半円筒状に湾曲した正極板湾曲部、及び、
上記負極板のうち、半円筒状に湾曲した負極板湾曲部が、
上記セパレータのうち、半円筒状に湾曲したセパレータ湾曲部を介して積層されてなり、
上記捲回軸に沿う軸線方向のうち第1方向側に位置し、上記セパレータ湾曲部が上記負極板湾曲部よりも上記第1方向側にまで配置され、上記正極板湾曲部が上記セパレータ湾曲部よりも上記第1方向側にまで配置されてなる第1半円柱端部を有すると共に、
上記軸線方向のうち上記第1方向とは逆の第2方向側に位置し、上記セパレータ湾曲部が上記正極板湾曲部よりも上記第2方向側にまで配置され、上記負極板湾曲部が上記セパレータ湾曲部よりも上記第2方向側にまで配置されてなる第2半円柱端部を有し、
上記電極体中央部は、
上記軸線方向の上記第1方向側に位置し、2つの上記第1半円柱端部の間に位置する第1中央端部を有すると共に、
上記軸線方向の上記第2方向側に位置し、2つの上記第2半円柱端部の間に位置する第2中央端部を有し、
上記第1中央端部及び上記第2中央端部には、充填された絶縁材を有さず、
上記第1半円柱端部は、いずれも、
互いに離間して積層された上記正極板湾曲部同士の間に充填され、
上記正極板湾曲部と上記負極板湾曲部のうち、上記第1方向の端に位置する第1方向側端部とを離間した状態に保持する第1絶縁体を有し、
上記第2半円柱端部は、いずれも、
互いに離間して積層された上記負極板湾曲部同士の間に充填され、
上記負極板湾曲部と上記正極板湾曲部のうち、上記第2方向の端に位置する第2方向側端部とを離間した状態に保持する第2絶縁体を有してなる
非水電解液二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の非水電解液二次電池であって、
前記第1絶縁体及び前記第2絶縁体は、
アルミナ粉末をポリフッ化ビニリデンで結着した組成物からなる
非水電解液二次電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の非水電解液二次電池であって、
帯状の前記正極板は、
帯状の正極集電箔、及び、上記正極集電箔上に、この正極集電箔の長手方向に延びる帯状に形成された正極活物質層を有し、
上記正極板の幅方向一方側に位置し、上記正極集電箔上に上記正極活物質層が積層された帯状の正電極部と、上記正極板の幅方向他方側に位置し、上記正極集電箔が露出した帯状の正極箔露出部と、を有してなり、
帯状の前記負極板は、
帯状の負極集電箔、及び、上記負極集電箔上に、この負極集電箔の長手方向に延びる帯状に形成された負極活物質層を有し、
上記負極板の幅方向一方側に位置し、上記負極集電箔上に上記負極活物質層が積層された帯状の負電極部と、上記負極板の幅方向他方側に位置し、上記負極集電箔が露出した帯状の負極箔露出部と、を有してなり、
前記扁平捲回電極体のうち、前記第1中央端部で上記正極箔露出部同士を重ねて正極集電部材と接合してなり、前記第2中央端部で上記負極箔露出部同士を重ねて負極集電部材と接合してなる
非水電解液二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−204179(P2012−204179A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68519(P2011−68519)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】