説明

非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源

【課題】 未熟練の作業者であっても使いこなすことができ、作業能率を向上させることができる非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源を提供すること。
【解決手段】
溶接を行うための電流である主電流Iwの値毎に、溶接に用いるパラメータの値を定めた条件テーブル22を設けておき、設定された主電流Iwの値により溶接条件を定めるパラメータの値を一義的に定まるようにする。なお、パルス溶接を行う場合は、パルス電流Ipの電流値Ipが定格電流の最大値を超えないように、かつ、ベース電流Ibの電流値Ibが定格電流の最小値未満にならないように電流値Ipと電流値Ibを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された電流値の電流を溶接部に供給するようにした非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の直流の非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源の接続図である。
【0003】
同図おいて、一点鎖線で囲んで示す主回路部1は、入力整流器部2、スイッチング部3、高周波トランス部4、二次整流器部5、電流検出器6、直流リアクタ7、およびカップリングコイル8とから構成されている。主回路部1のプラス側端子は溶接母材10に、マイナス側の端子は溶接トーチ9に接続されている。
【0004】
一点鎖線で囲んで示す制御部11はスイッチング制御部12と、全体制御部13とから構成されている。全体制御部13には、設定値入力部15、トーチスイッチ(起動スイッチ)16、シールドガスを制御する電磁弁14および電流検出器6が接続されている。なお、設定値入力部15には、図示を省略する自己保持有りまたは自己保持無しを選択する選択スイッチが設けられている。
【0005】
次に、従来の非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源の動作について説明する。
【0006】
トーチスイッチ16が閉じられると、一次側入力電源(商用交流電源)から供給される交流は入力整流器部2により直流に変換された後、スイチング部3により高周波交流に変換され、高周波トランス4により溶接に適した電圧に変換される。高周波トランス4から出力された高周波交流は二次整流器部5により再度直流に変換された後、直流リアクタ7、溶接母材10、溶接トーチ9、カップリングコイル8の順に流れ、溶接母材10と溶接トーチ9との間に図示を省略するアークが発生する。
【0007】
全体制御部13は、設定値入力部15に入力された電流値と、電流検出器6で検出された電流値とを比較し、その差を増幅してスイッチング制御部12に入力する。スイッチング制御部12はこの信号に基づいて溶接部を流れる電流が入力された電流値に略等しくなるようにスイチング部3を駆動する。
【0008】
図6は、ガスシールドアーク溶接電源の代表的な出力電流波形を示す図である。
【0009】
ガスシールドアーク溶接電源が直流のパルス電流を出力するものである場合(以下、「パルス電源」という。)、同図(a)に示すように、設定値入力部15に入力されたIp、IbおよびTp、Tbの値により、電流値Ipのピーク電流(継続時間Tp)と電流値Ibのベース電流(継続時間Tb)が交互に出力される。
【0010】
そして、パルス溶接の場合は、下記の式1、2で定まる電流値Iの電流(平均電流)を単に電流という。
【0011】
I=(Ip・Tp+Ib・Tb)/T0・・・(式1)
T0=Tp+Tb ・・・(式2)
ガスシールドアーク溶接電源が直流電流を出力するものである場合、同図(b)に示すように、設定値入力部15に入力された電流値Iの電流が出力される。以下、電流値が周期的に変化しない電流を出力するガスシールドアーク溶接電源を「直流電源」といい、パルス電源と区別する。なお、パルス電源と直流電源の外部接続図は同じであり、パルス電源は、直流電源の機能を備えている。
【0012】
図7は、直流電源の場合の溶接時におけるタイミングチャートであり、(a)は自己保持無しの場合、(b)は自己保持有りの場合である。
【0013】
なお、後述するように、「自己保持有り」と「自己保持無し」とではトーチスイッチ16の開閉信号の利用形態が異なり、自己保持有りは、溶接の途中で電流値を変化させる等の複数の制御が必要な場合に採用される。
【0014】
自己保持無しの場合、同図(a)に示すように、溶接を行うための電流である主電流Iwの値、溶接に先だってシールドガスを流すプリフロー時間Tg1の値と、溶接部の酸化を防止するため溶接終了後にシールドガスを流すポストフロー時間Tg2の値を、設定値入力部15に入力する。
次に、自己保持無しの場合の制御装置11の動作を説明する。
【0015】
制御装置11はトーチスイッチ16の開閉を監視し、トーチスイッチ16が閉(オン)になると直ちに電磁弁14を開き、プリフロー時間Tg1経過後トーチスイッチ16が開(オフ)になるまで、主電流Iwを溶接部に出力する。そして、トーチスイッチ16が開になると直ちに主電流Iwの供給を停止し、ポストフロー時間Tg2経過後電磁弁14を閉じる。
【0016】
自己保持有りの場合、同図(b)に示すように、プリフロー時間Tg1、ポストフロー時間Tg2、主電流値Iw、スタート電流Isの電流値Is、クレータ電流Icの電流値Ic、アップスロープ時間Tuおよびダウンスロープ時間Tdの各値を、設定値入力部15に入力する。
【0017】
次に、自己保持有りの場合の制御装置11の動作を説明する。
【0018】
制御装置11はトーチスイッチ16の開閉を監視し、トーチスイッチ16が閉になると直ちに電磁弁14を開き、プリフロー時間Tg1経過後トーチスイッチ16が開になるまで、電流値Isのスタート電流を出力する。そして、トーチスイッチ16が開になると、アップスロープ時間Tuの間に電流を主電流Iwまで増加させ、次にトーチスイッチ16が開になるまで、主電流Iwを出力する。次にトーチスイッチ16が閉になると、ダウンスロープ時間Tdの間に電流を電流値Icまで低減させる。そして、次にトーチスイッチ16が開になると、クレータ電流の供給を停止し、ポストフロー時間Tg2経過後電磁弁14を閉じる。
【0019】
また、パルス電源の場合は、主電流値Iw、スタート電流値Isおよびクレータ電流値Icに対して、それぞれ電流値Ip、Ibおよび継続時間Tp、Tbの値を入力する必要があるが、動作は直流電源の場合と同じである。
【0020】
ところで、通常、溶接対象に応じて適切な主電流値Iwが定まるが、未熟練の作業者にとっては、溶接条件を定めるパラメータである電流値Is、電流値Icやプリフロー時間Tg1、ポストフロー時間Tg2、アップスロープ時間Tuおよびダウンスロープ時間Tdの適切な設定値が分からず、溶接品質が低下した。特に、パルス電源の場合、1種類の電流値(例えば主電流値Iw)を決めるために4個の値を設定しなければならないため、熟練した作業者にとっても、設定に時間を要していた。
【0021】
そこで、1つの電流設定器(この場合、主電流値Iwを設定する電流設定器である。)で、ピーク電流の電流値Ip、ベース電流の電流値Ib、スタート電流の電流値Is、クレータ電流の電流値Icを設定できるようにした非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源がある(特許文献1)。
【0022】
そして、特許文献1では、電流補償器を設けることにより、ベース電流の電流値Ibが定格電流の最小値Iminよりも小さくならないように、また、ピーク電流の電流値Ipが定格電流の最大値Imaxよりも大きくならないようにしている。
【特許文献1】特公平5−56236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
特許文献1において、ベース電流の電流値Ibが最小値Imin未満になる主電流値Iwを選択した場合、ベース電流の電流値Ibが最小値Imin以下になることはないが、ベース電流の電流値Ibが本来の値よりも大きくなるため、溶接部に供給される電流値は電流設定器で設定した値よりも大きくなってしまう。そこで、このような場合には、試し溶接を行い、溶接部に供給される電流値が所望の電流値になるように、電流設定器の設定値を小さくしていた。
【0024】
また、ピーク電流の電流値Ipが最大値Imaxを超える主電流値Iwを選択した場合、ピーク電流の電流値Ipが最大値Imaxを超えることはないが、ピーク電流の電流値Ipが本来の値よりも小さくなるため、溶接部に供給される電流値は電流設定器で設定した値よりも小さくなってしまう。そこで、このような場合には、試し溶接を行い、溶接部に供給される電流値が所望の電流値になるように、電流設定器の設定値を大きくしていた。 すなわち、ベース電流の電流値Ibが最小値Imin未満になる主電流値Iwを選択した場合、あるいはピーク電流の電流値Ipが最大値Imaxを超える主電流値Iwを選択した場合には、電流の設定が面倒であった。
【0025】
本発明の目的は、ベース電流の電流値Ibが最小値Imin未満になる主電流値Iwを選択した場合、あるいはピーク電流の電流値Ipが最大値Imaxを超える主電流値Iwを選択した場合であっても電流の設定が容易で、未熟練の作業者であっても使いこなすことができ、作業能率を向上させることができる非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記した課題を解決するため、本発明は、入力された電流値の電流を溶接部に供給するようにした非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源において、溶接を行うための電流である主電流Iwの電流値Iw毎に、溶接に用いるパラメータの値を定めたテーブルを設け、設定された前記電流値Iwにより前記パラメータの値を定めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
主電流値を定めると、溶接条件を定める他のパラメータの値が定まるので、作業能率を向上させることができる。また、未熟練の作業者であっても適切な溶接条件により、品質に優れる溶接を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明に係る非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源の接続図であり、図5と同じものまたは同一機能のものは同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0029】
スイッチ20は、パルス電流によるパルス溶接を行うか直流溶接を行うかを選択するスイッチであり、全体制御部13に接続されている。全体制御部13はスイッチング制御部12を介して、パルス溶接が選択された場合はパルス電流を、その他(パルス無し)が選択された場合は直流電流を、それぞれ溶接部に出力する。
【0030】
記憶装置21には溶接に用いるパラメータの値を記載した条件テーブル22と、今回の溶接条件を記憶する記憶エリア23とが設けられている。
【0031】
スイッチ24は、記憶エリア23の内容を書き換える場合に使用するためのスイッチであり、全体制御部13に接続されている。
【0032】
次に、条件テーブル22について説明する。
【0033】
図2は、本発明に係る条件テーブルの内容を示す図である。
【0034】
同図に示すように、条件テーブル22には、主電流Iw毎に、溶接条件を定めるパラメータである電流比k、時間比d、パルス周波数fp、電流比s、電流比c、アップスロープ時間Tu、ダウンスロープ時間Td、プリフロー時間Tg1およびポストフロー時間Tg2がそれぞれ設定されている。
【0035】
ここで、電流比kはベース電流値Ibのピーク電流値Ipに対する比(Ib/Ip)、時間比dは継続時間Tpのパルス周期T0に対する比、電流比sはスタート電流Isの主電流Iwに対する比、電流比cはクレータ電流Icの主電流Iwに対する比である。
【0036】
次に、本発明の動作を説明する。
【0037】
図3は本発明に係る溶接条件設定手順を説明するフローチャートであり、図4は本発明におけるピーク電流値Ipおよびベース電流値Ibの決定手順を説明するフローチャートである。
【0038】
始めに、図3により、全体の手順を説明する。
【0039】
主電流値Iwが入力され、図示を省略する条件設定ボタンをオンされると、制御装置11はパルス溶接であるかどうかを確認し、パルス溶接が選択されている場合は手順S20の処理を行い、その他の場合は手順S100の処理を行う(手順S10)。
【0040】
手順S20では自己保持有りかどうかを確認し、自己保持有りの場合は手順S30の処理を行い、その他(すなわち、自己保持無し)の場合は手順S50の処理を行う。
【0041】
手順S30では、主電流値Iwと主電流値Iwで定まる条件テーブル22の係数sとからスタート電流の電流値Is求めた後、電流値Isを構成するピーク電流値Ipとベース電流値Ib(以下、「ピーク電流値Ips」および「ベース電流値Ibs」という。)を後述する手順により求め、記憶エリア23に記憶してから手順S40の処理を行う。
【0042】
手順S40では、主電流値Iwと主電流値Iwで定まる条件テーブル22の係数cとからクレータ電流の電流値Ic求めた後、電流値Icを構成するピーク電流値Ipとベース電流値Ib(以下、「ピーク電流値Ipc」および「ベース電流値Ibc」という。)を後述する手順により求め、記憶エリア23に記憶してから手順S50の処理を行う。
【0043】
手順S50では、主電流値Iwを構成するピーク電流値Ipとベース電流値Ib(以下、「ピーク電流値Ipw」および「ベース電流値Ibw」という。)を後述する手順により求め、記憶エリア23に記憶してから手順S60の処理を行う。
【0044】
手順S60では、主電流値Iwで定まる条件テーブル22の時間比dとパルス周波数fpの値を用いて、下記の式4、5により継続時間Tpと継続時間Tbの値を演算し、その結果を記憶エリア23に記憶してから、手順S70の処理を行う。
【0045】
T0=1/fp ・・・(式3)
Tp=d・T0=d/fp ・・・(式4)
Tb=(T0−Tp)=(1−d)/fp・・・(式5)
なお、パルス電流Ip、Ips、Ipcの継続時間は総てTpであり、ベース電流Ib、Ibs、Ibcの継続時間は総てTbである。
【0046】
手順S70では、主電流値Iwで定まる条件テーブル22のアップスロープ時間Tuとダウンスロープ時間Tdを記憶エリア23に記憶してから手順S80の処理を行う。
【0047】
手順S80では、主電流値Iwで定まる条件テーブル22のプリフロー時間Tg1およびポストフロー時間Tg2を記憶エリア23に記憶して処理を終了する。
【0048】
また、手順S100では、自己保持有りかどうかを確認し、自己保持有りの場合は手順S110の処理を行い、その他(すなわち、自己保持無し)の場合は手順S80の処理を行う。
【0049】
手順S110では、主電流値Iwと主電流値Iwで定まる条件テーブル22の係数sとからスタート電流の電流値Isの値を演算し、その結果を記憶エリア23に記憶してから、手順S120の処理を行う。
【0050】
手順S120では、主電流値Iwと主電流値Iwで定まる条件テーブル22の係数cとからクレータ電流の電流値Icの値を演算し、その結果を記憶エリア23に記憶してから、手順S80の処理を行う。
【0051】
次に、図4により、上記手順S30〜50においてピーク電流値Ip、Ips、Ipcおよびベース電流値Ib、Ibs、Ibcを求める手順を、上記の手順S30の場合について説明する。
【0052】
電流値Iのピーク電流値Ipは、電流値I、電流比kおよび時間比dを用いて式6で、ベース電流値Ibは式7で、それぞれ表される。
【0053】
Ip=I/(d+k・(1−d)) ・・・(式6)
Ib=k・I/(d+k(1−d)) ・・・(式7)
電流値Iとして電流値Isが定まると、制御装置11は、式6、7を用いてピーク電流値Ip(ここではIps)とベース電流値Ib(ここではIbs)を求めた後(手順S200)、ピーク電流値Ipが定格電流の最大値値Imax以下であるかどうかを確認し、Ip≦Imaxの場合は手順S220の処理を行い、その他の場合は手順S250の処理を行う(手順S210)。
【0054】
手順S220ではベース電流Ibが定格電流の最小値Imin以上であるかどうかを確認し、Ib≧Iminの場合は手順S270の処理を行い、その他の場合は手順S230の処理を行う。
【0055】
手順S230では、Ib=Iminとして、下記の式8によりピーク電流値Ipの値を求める(手順S240)。そして、求めたピーク電流値Ipをピーク電流値Ipsとして、また、Ib(この場合はImin)の値をベース電流値Ibsとして、記憶エリア23に記憶する(手順S270)。
【0056】
また、手順S250では、Ip=Imaxとして、下記の式9によりベース電流値Ibを求めた後(手順S260)、手順S270の処理を行う。
【0057】
Ip=(Iw−(1−d)・Imin)/d・・・(式8)
Ib=(Iw−d・Imax)/(1−d)・・・(式9)
なお、クレータ電流を構成するピーク電流値Ipcとベース電流値Ibcは、上記の手順S40においてI=Icとすることにより求めることができる。また、主電流Iwを構成するピーク電流値Ipとベース電流値Ibは、上記の手順S50においてI=Iwとすることにより求めることができる。
【0058】
なお、アップスロープ時間Tuにおいてはベース電流値Ibsがベース電流値Ibに、ピーク電流値Ipsがピーク電流値Ipに移行するように、電流を制御する。
【0059】
また、ダウンスロープ時間Tdにおいては、ベース電流値Ibがベース電流値Ibcに、ピーク電流値Ipがピーク電流値Ipcに移行するように、電流を制御する。
【0060】
以上により、溶接を行うための溶接条件パラメータが総て定められるので、従来と同様に、トーチスイッチを閉じて溶接作業を開始する。
【0061】
以上説明したように、この実施形態では、主電流Iwを決めると、プリフロー時間Tg1およびポストフロー時間Tg2がそれぞれ設定されるので、未熟練の作業者であっても使いこなすことができ、作業能率を向上させることができる。
【0062】
また、主電流Iwを決めると、アップスロープ時間Tuおよびダウンスロープ時間Tdがそれぞれ設定されるので、未熟練の作業者であっても使いこなすことができ、作業能率を向上させることができる。
【0063】
なお、この実施形態では、パルス溶接の場合、スタート電流Isおよびクレータ電流Icもパルス電流にしたが、パルス溶接の場合であっても、スタート電流Isおよびクレータ電流Icを直流電流にしてもよい。
【0064】
ところで、上記では、直流電流あるいは、パルス電流におけるピーク電流およびベース電流はそれぞれ一定値としたが、それぞれの値を変化させることにより、操作性および溶接部の品質を向上させることができる。
【0065】
なお、例えば溶接加工部の形状が特殊である等の理由により、記憶エリア23に記憶されたパラメータの値を変更しようとする場合は、溶接開始に先立ち、スイッチ24により記憶エリア23に記憶されている記憶内容を変更することができる。
【0066】
また、以上の説明では、溶接開始前に主電流を決定するようにしたが、溶接中においても変更することができる。
【0067】
また、この実施形態では、主電流値Iwに応じて電流比kおよび時間比dを変えるようにしたが、固定値にしてもよい。
【0068】
さらに、この実施形態では、主電流値Iwにより常に溶接条件パラメータを決定するようにしたが、本発明を適用するかどうかを選択する選択スイッチを設け、本発明の適用を選択できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源の接続図である。
【図2】本発明に係る条件テーブルの内容を示す図である。
【図3】本発明に係る溶接条件設定手順を説明するフローチャートである。
【図4】本発明におけるピーク電流値Ipおよびベース電流値Ibの決定手順を説明するフローチャートである。
【図5】従来の直流の非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源の接続図である。
【図6】ガスシールドアーク溶接電源の代表的な出力電流波形を示す図である。
【図7】直流電源の場合の溶接時におけるタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0070】
22 条件テーブル
Iw 主電流
Ip パルス電流Ipの電流値
Ib ベース電流Ibの電流値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された電流値の電流を溶接部に供給するようにした非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源において、
溶接を行うための電流である主電流Iwの電流値Iw毎に、溶接に用いるパラメータの値を定めたテーブルを設け、
設定された前記電流値Iwにより前記パラメータの値を定める
ことを特徴とする非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源。
【請求項2】
溶接部に供給する電流が、電流値がIpで継続時間がTpのパルス電流Ipと電流値がIbで継続時間がTbのベース電流Ibとを交互に繰り返す電流である場合は、平均電流Iw(ただし、Iw=(Ip・Tp+Ib・Tb)/(Tp+Tb))の値を前記電流値とすると共に、ベース電流Ibのパルス電流Ipに対する比kと、継続時間Tpのパルス周期T0(ただし、T0=Tp+Tb)に対する比dと、を前記テーブルに定めておき、
前記入力された電流値に対応する前記電流値Ipが定格電流の最大値Imaxを超える場合は、前記電流値Ipを前記最大値Imax、また前記電流値Ibを前記電流値Ipを前記最大値Imaxとして前記入力された電流値を出力することができる電流値とし、
前記入力された電流値に対応する前記電流値Ibが定格電流の最小値Imin未満の場合は、前記電流値Ibを前記最小値Imin、また前記電流値Ipを前記電流値Ibを
前記最小値Iminとして前記入力された電流値を出力することができる電流値とすることを特徴とする請求項1に記載の非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源。
【請求項3】
記憶装置と、この記憶装置に記憶されたデータを変更する変更手段と、を設け、
前記電流値Iwにより定められた前記パラメータの値を前記記憶装置に記憶させると共に、前記変更手段により、前記記憶装置に記憶された前記パラメータの値を変更できるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の非消耗電極式のガスシールドアーク溶接電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−26663(P2006−26663A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206104(P2004−206104)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000233332)日立ビアメカニクス株式会社 (237)
【Fターム(参考)】