説明

非環式カーボネートおよびポリアミン由来のフィルム形成性組成物

【課題】フィルム形成性組成物の提供。
【解決手段】本発明は、フィルム形成性組成物を提供する。この組成物は:a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;およびb)非環式カーボネートの反応産物を含む。フィルム形成性組成物およびこのような組成物で被覆された物品を調製する方法もまた、提供される。本発明のフィルム形成性組成物で用いられる反応産物の調製における使用に適切なポリアミンは、一級アミン基および二級アミン基を含む。当業者に公知のこれらの特徴を有する任意のポリアミンが用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、フィルム形成性組成物に関する。より詳細には、本発明は、非環式カーボネートおよびポリアミンの反応産物を含む、硬化可能な電着可能なフィルム形成性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
被覆付与方法としての電着は、印加された電位の影響下で伝導性基板上へのフィルム形成性組成物の堆積を含む。電着は、被覆産業でますます重要になっている。なぜなら、非電着被覆手段との比較により、電着は、増大した塗料利用、改善された腐食保護および低い環境汚染を提供するからである。
【0003】
電着可能なプライマー被覆組成物、特に、自動車産業で用いられる被覆組成物は、代表的には、ポリイソシアネートで架橋された腐食耐性のエポキシをベースにした組成物である。いくつかの適用では、プライマー−サーフェイサーが、1つ以上のトップコートの付与の前に硬化された電着被覆に直接スプレー適用される。このプライマー−サーフェイサーは、被覆系に、光分解からの電着された被覆の保護を含む種々の性質を提供し得る。あるいは、1つ以上のトップコートは、この硬化された電着被覆に直接付与され得、そしてこのような例では、トップコートは、トップコートが電着されたプライマー被覆の光分解を防ぐに十分な保護を提供するように処方される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電着可能な被覆の光感受性を低下させるための種々のアプローチは、とりわけ、ブロックされた脂肪族ポリイソシアネート架橋剤の使用を含む。しかし、過剰のコストが、このような架橋剤の使用を所望されないようにしている。従って、被覆産業では、電着可能な被覆の光分解を遅延する、従来の脂肪族ポリイソシアネートのコスト的に有効な代替物に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
1つの実施形態では、本発明はフィルム形成性組成物であって:
a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;および
b)非環式カーボネートの、反応産物を含む。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、フィルム形成性組成物を提供し:
a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;
b)非環式カーボネート;および
c)ポリエポキシドポリマー、の反応産物を含む。
【0007】
さらなる実施形態では、本発明は、フィルム形成性組成物を調製する方法に関し:
1)以下の成分;
a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;および
b)非環式カーボネート、を組み合わせて反応混合物を形成する工程;ならびに
2)該成分を反応させて第1の反応産物を形成する工程、を包含する。
本願発明は、以下の項目を含む。
(項目1)
フィルム形成性組成物であって:
a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;および
b)非環式カーボネート
の反応産物、を含む、組成物。
(項目2)
前記ポリアミンが、少なくとも2つの一級アミノ基を含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記ポリアミンが、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、および/またはビス−ヘキサメチレントリアミンを含む、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記非環式カーボネートが、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジプロピル、炭酸メチルプロピル、および/または炭酸ジブチルを含む。項目1に記載の組成物。
(項目5)
前記フィルム形成性組成物が、電着可能な組成物を含む、項目1に記載の組成物。
(項目6)
フィルム形成性ポリマーをさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目7)
前記ポリマーが、エポキシ官能アクリルポリマー、および/またはポリフェノールまたは多価アルコールのポリグリシジルエーテルを含む、項目6に記載の組成物。
(項目8)
前記ポリマーが、エポキシ官能アクリルポリマーを含み、ここで、該エポキシ官能アクリルポリマーが、エチレン性不飽和エポキシ官能モノマー由来のアクリルポリマー、および/またはアクリルポリマーとポリエポキシドとのグラフトコポリマーを含む、項目7に記載の組成物。
(項目9)
前記ポリマーが、アクリルポリマーとポリエポキシドとのグラフトコポリマーを含むエポキシ官能アクリルポリマーを含み、ここで、該グラフトコポリマーを調製するために用いられる該ポリエポキシドが、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムを多価アルコールまたはフェノールのポリグリシジルエーテルと反応させることによって調製される、項目8に記載の組成物。
(項目10)
前記組成物が、電着可能な組成物を含む、項目6に記載の組成物。
(項目11)
前記フィルム形成性ポリマーが、アニオン基、あるいは四級ホスホニウム基、四級アンモニウム基、三級スルホニウム基および/またはカチオン性アミン塩基を含むカチオン基を含み、ここで、該アミン塩基が、アンモニア、メチルアミン、メチルエタノールアミン、ジブチルアミン、アミノプロピルジエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、および/またはジエチレントリアミンを含む化合物に由来する、項目10に記載の組成物。
(項目12)
フィルム形成性組成物であって:
1)
a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;および
b)非環式カーボネート
の反応産物を含む第1の反応体;ならびに
2)ポリエポキシドポリマーを含む第2の反応体
の反応産物を含む、組成物。
(項目13)
前記ポリエポキシドポリマーが、アクリルポリマーとポリエポキシドとのグラフトコポリマーを含むエポキシ官能アクリルポリマーを含み、ここで、該グラフトコポリマーを調製するために用いられる該ポリエポキシドが、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムを、多価アルコールまたはフェノールのポリグリシジルエーテルと反応することによって調製される、項目12に記載の組成物。
(項目14)
前記フィルム形成性組成物が、電着可能な組成物を含む、項目12に記載の組成物。
(項目15)
フィルム形成性ポリマーをさらに含む、項目12に記載の組成物。
(項目16)
前記フィルム形成性組成物が、電着可能な組成物を含む、項目15に記載の組成物。
(項目17)
フィルム形成性組成物を調製する方法であって:
1)以下の成分;
a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;および
b)非環式カーボネート
を組み合わせて反応混合物を形成する工程;ならびに
2)該成分を反応させて第1の反応産物を形成する工程、
を包含する、方法。
(項目18)
前記反応混合物が、本質的に触媒を含まない、項目17に記載の方法。
(項目19)
工程3) 前記工程2)で形成された反応産物を、環式カーボネートと組み合わせて、第2の反応産物を形成する工程をさらに包含する、項目17に記載の方法。
(項目20)
項目1に記載の硬化可能なフィルム形成性組成物で少なくとも部分的に被覆された金属基板を含む、被覆された物品。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
実施例における他、またはそうでないことが示されない場合、本明細書および特許請求の範囲で用いられる成分の量を表現するすべての数字、反応条件などは、すべての事例で、用語「約」によって修飾されるとして理解されるべきである。従って、反対であることが示されなければ、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に提示される数字のパラメーターは、本発明によって得られることが求められる所望の性質に依存して変動し得る近似である。最低でも、そして特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各々の数字のパラメーターは、少なくとも、報告された重要な桁の数を考慮し、そして慣用の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。複数は単数を包含し、そして逆もまた真であり、例えば、「a」または「an」は、「1つの」一級アミン基または「1つ以上の」一級アミン基を含み得る。
【0009】
本発明の広範な範囲を提示する数の範囲およびパラメーターが近似であるにもかかわらず、詳細な例で提示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、任意の数値は、それらの個々の試験測定で見出される標準的な偏差から必然的に生じるある程度の誤差を固有に含む。
【0010】
また、本明細書に記載される任意の数の範囲は、その中に組み入れられるすべての下位範囲を含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、間のすべての下位範囲を含むことが意図され、そして記載される最小の値1および記載される最大の値10を含み、すなわち、1に等しいかまたは1より大きい最小値、および10に等しいかまたは10より小さい最大値を有している。
【0011】
本発明の組成物は硬化可能な組成物であり得る。本明細書で用いられるとき、硬化可能な組成物と組み合わせて用いられるとき、用語「硬化可能」および「実質的に硬化された」は、この組成物の任意の架橋可能な成分が、硬化プロセス(例えば、加熱)の後に少なくとも部分的に架橋されていることを意味する。本発明の特定の実施形態では、この架橋可能な成分の架橋密度(架橋の程度)は、完全な架橋の5%〜100%の範囲である。当業者は、架橋の存在および程度、すなわち架橋密度が、窒素下で実施されるPolymer Laboratories MK III DMTAアナライザーを用いる動的機械的熱分析(DMTA)のような種々の方法によって決定され得ることを理解する。この方法は、被覆またはポリマーの自由フィルムのガラス転移温度および架橋密度を決定する。硬化された材料のこれらの物理的性質は、架橋されたネットワークの構造に関連する。
【0012】
また、本明細書で用いられるとき、用語「ポリマー」は、プレポリマー、オリゴマーならびにホモポリマーおよびコポリマーの両者をいうことが意味される。接頭辞「ポリ」は、2つ以上をいう。そうでないことが述べられなければ、本明細書および特許請求の範囲で用いられるとき、分子量は、「Mn」として示されるポリマー材料の数平均分子量であり、そして当該技術分野で認められた様式でポリスチレン標準を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって得られる。
【0013】
上記で述べたように、1つの実施形態では、本発明は、フィルム形成性組成物、代表的には、
a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;および
b)非環式カーボネートの、反応産物を含む硬化可能なフィルム形成性組成物である。
【0014】
本発明のフィルム形成性組成物で用いられる反応産物の調製における使用に適切なポリアミンは、一級アミン基および二級アミン基を含む。当業者に公知のこれらの特徴を有する任意のポリアミンが用いられ得る。1つの実施形態では、これらポリアミンは、少なくとも2つの一級アミン基を含む。適切なポリアミンは、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、および/またはビス−ヘキサメチレントリアミンを含む。本発明の1つの実施形態では、本発明のフィルム形成性組成物を含む上記反応産物を調製するために用いられるポリアミンは、少なくとも1つの一級または二級アミノ基および水酸基のような活性水素を含む別の官能基を含む多官能アミンを含むことは意図されない。
【0015】
本発明の硬化可能なフィルム形成性組成物中に存在する反応産物を調製するために用いられるカーボネートは、非環式カーボネートを含む。適切な非環式カーボネートの非制限的な例は、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジプロピル、炭酸メチルプロピル、および/または炭酸ジブチルを含む。本発明の実施形態では、この非環式カーボネートは、炭酸ジメチルを含む。
【0016】
本発明の特定の非制限的な実施形態では、上に記載された反応産物は:
1)以下の成分;
a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;および
b)非環式カーボネート、を組み合わせて反応混合物を形成する工程;および
2)これら成分を反応させて第1の反応産物を形成する工程によって調製され得る。
【0017】
このような調製方法では、上記成分は、少なくとも1時間の期間に亘って反応される。さらに、この反応は、室温(すなわち、大気圧で22℃〜28℃)〜100℃の温度範囲内で実施され得る。1つの実施形態では、この反応は、周囲温度で実施される。本発明の反応混合物は、特に、上記非環式カーボネートが炭酸ジメチルを含むとき、本質的に触媒を含まない。
【0018】
上記反応が進行された後、例えば、この反応が、未反応ベースについて滴定によって決定されるとき、少なくとも50%終了、しばしば少なくとも75%終了に到達したとき、この調製方法は、3)上記工程2)で形成された反応産物を、一級アミンと反応性である官能基を有する化合物と組み合わせて、第2の反応産物を形成する工程をさらに包含し得る。一級アミンと反応性である官能基を有する化合物は、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、および/または炭酸ブチレンのような環式カーボネートを含み得る。一級アミンと反応性であるその他の官能基は、モノ−およびポリイソシアネート、酸、無水物、ケトン、およびアルデヒドを含む。一級アミンと反応性であるこれらの化合物およびその他の化合物がまた用いられ得る。
【0019】
本発明の別個の非制限的な実施形態では、フィルム形成性組成物は以下の反応産物を含む:
1)以下の反応産物を含む第1の反応体;
a)一級アミノ基および二級アミノ基を含むポリアミン;
b)非環式カーボネート;および
2)ポリエポキシドポリマーを含む第2の反応体。上記第1の反応体は、第2の反応体とは別個に、そしてその添加の前に調製され得、本発明の反応産物を形成する。
【0020】
これらの実施形態では、上記ポリアミンおよび非環式カーボネートは、上に記載されたもののいずれかであり得る。上記ポリエポキシドポリマーは、当業者に公知の任意のフィルム形成性ポリエポキシドポリマーを含み得る。それは、代表的には、鎖伸長され得る、エポキシ官能アクリルポリマー、ポリフェノールまたは多価アルコールのポリグリシジルエーテル、およびそれらの混合物から選択される。
【0021】
上記反応産物の調製における使用のために適切なポリエトキシドポリマーは、アルカリの存在下で、エピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリンのようなエピハロヒドリンまたはジハロヒドリンとのようなポリフェノールまたは多価アルコールのエステル化によって調製されたポリエポキシドを含み得る。鎖伸長されたポリエポキシドは、代表的には、当該技術分野で公知の技法を用いて、ポリエポキシドとポリフェノールまたは多価アルコールをともに反応することによって調製され得る。
【0022】
反応体の当量比;すなわち、エポキシ:ポリヒドロキシル基含有材料は、代表的には1.00:0.75〜1.00〜2.00である。
【0023】
定義によるポリエポキシドは、少なくとも2つの1,2−エポキシ基を有する。一般に、ポリエポキシドのエポキシド当量重量は、100〜約2000、代表的には約180〜500の範囲である。これらエポキシ化合物は、飽和または不飽和、環状または非環状、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であり得る。それらは、ハロゲン、ヒドロキシル、およびエーテル基のような置換基を含み得る。
【0024】
ポリエポキシドの例は、1以上であり、そして通常2である1,2−エポキシ等価度を有するもの;すなわち、分子あたり平均して2つのエポキシ基を有するポリエポキシドである。
【0025】
エポキシ官能アクリルポリマーは、その他のアクリルモノマーと共重合された、アクリル酸および/またはメタクリル酸のエポキシ官能エステルのようなエチレン性不飽和エポキシ官能モノマー由来のアクリルポリマーを含み得る。エポキシ官能アクリルポリマーは、それに代わって、アクリルポリマーとポリエポキシドとのグラフトコポリマーを含み得る。
【0026】
エポキシ−アクリルグラフトコポリマーは、第一に、上に記載のようにポリエポキシドポリマーを調製すること、そして次に、ポリエポキシドおよびポリアクリルフラクションの両方を含むいくつかの分子を生成する条件下、ポリエポキシドの存在下でエチレン性不飽和モノマーを重合することによってアクリルポリマーを調製することによって調製され得る。必要に応じて、これらエチレン性不飽和モノマーは、グリシジルアクリレート、グリシジルメタリレート、アリルグリシジルエーテルおよび/またはメタアリルグリシジルエーテルのようなエチレン性不飽和エポキシ官能モノマーを含み得る。本発明の1つの実施形態では、このエチレン性不飽和モノマーは、エチレン性不飽和モノマーの総重量を基に、エチレン性不飽和エポキシ官能モノマーの5〜25%を含み得る。
【0027】
グラフトコポリマーを生成する1つの方法は、ポリエポキシドポリマー上にグラフティング部位を生成し得る高度にエネルギーを生成するフリーラジカルを産生するアクリル重合のための開始剤を利用することである。適切な開始剤は、例えば、水素、過酸化物、ベンゾイル過酸化物およびt−ブチル過安息香酸を含む。
【0028】
さらなる方法は、ポリエポキシドポリマー中に重合可能な基を取り込むことである。例えば、このポリエポキシドポリマーからのエポキシ基のいくつかは、アクリル酸またはメタクリル酸と反応され得る。あるいは、ポリエポキシドポリマーからの水酸基のいくつかは、m−TMI(Cytec Industiesから入手可能)または2−イソシアナトエチルメタクリレートと反応され得る。エチレン性不飽和基はまた、ホスホニウム触媒、例えば、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムの存在下でポリエポキシドポリマーを調製することによりポリエポキシドポリマー中に取り込まれ得る。予備形成されたポリエポキシドポリマーはまた、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムと反応され得る。ホスホニウム触媒のレベルは、代表的には、ポリエポキシドポリマーの重量を基に、0.07〜0.7%、または0.2%のような、0.05〜1%の範囲である。
【0029】
エポキシ−アクリルグラフトコポリマーはまた、ポリエポキシドポリマー上の官能基と反応し得る官能基を含む1つ以上のエチレン性不飽和モノマーを用いることによって生成され得る。例えば、アクリル酸またはメタクリル酸は、ポリエポキシドポリマー中のエポキシ基と反応し得、そしてm−TMIまたは2−イソシアナトエチルメタクリレートは、ポリエポキシドポリマー中の水酸基と反応し得る。ポリエポキシドポリマー上の官能基と反応し得る官能基を含むエチレン性不飽和モノマーのレベルは、エチレン性不飽和モノマーの総重量を基に、1〜2%のような0.1〜5%の範囲であり得る。
【0030】
上記エポキシ−アクリルグラフトコポリマーを調製するために用いられ得るその他の有用なアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルは、アルキル基中に、4〜18のような1〜30の炭素原子を含む脂肪族アルキルエステルを含む。非制限的な例は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む。適切なその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーは、スチレンおよびビニルトルエンのようなビニル芳香族化合物;アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルのようなニトリル;塩化ビニルおよびフッ化ビニリデンのようなビニルおよびビニリデンハロゲン化物、ならびに酢酸ビニルのようなビニルエステルを含む。一般に、当該技術分野で認められた量のモノマーを利用する当業者に公知であるこのようなアクリルポリマーを生成する任意の方法が、上記エポキシ官能アクリルポリマーを調製するために用いられ得る。
【0031】
本発明の特定の非制限的な実施形態では、上に記載されたフィルム形成性組成物のいずれもが、架橋性フィルム形成性ポリマーを含む、フィルム形成性ポリマーをさらに含み得る。アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、および/またはポリエポキシドのような、当業者に公知の任意のフィルム形成性ポリマーが用いられ得る。モノエポキシドもまた適している。このポリマーは、特定の実施形態;例えば、フィルム形成性組成物が電着可能であるとき、イオン性基(以下で論議されるようにカチオン性またはアニオン性)を含み得る。上記ポリマーは、特定の実施形態では、官能基を含み得る。このような官能基は、例えば、エポキシ基、ビニル基、ブロックされたイソシアネート基、エステル基、チオール、水酸基、酸、カルバメート、アミン、および/またはフェノール性水酸基のような活性水素含有基を含み得る。最もしばしば、この官能基は、イソシアネート基と反応するもの、例えば、水酸基および/またはアミノ基を含む。さらに、イオン性基および官能基の両方がフィルム形成性ポリマー上に存在し得る。
【0032】
本発明の組成物中で用いられるポリマーは、水分散性のフィルム形成性ポリマーであり得る。この水分散性ポリマーは元来イオン性であり得る;すなわち、このポリマーは、負電荷を与えるアニオン性官能基、または正電荷を与えるカチオン性官能基を含み得る。本発明の実施形態では、このポリマーは、カチオン性アミン塩の基、四級アンモニウム基、三級スルホニウム基および/または四級ホスホニウム基のようなカチオン性基を含む。
【0033】
アニオン性被覆組成物における使用に適切なフィルム形成性樹脂の非制限的な例は、乾性油または半乾性脂肪酸エステルのジカルボン酸または無水物との反応産物または付加物;および脂肪酸エステル、不飽和酸または無水物、およびさらにポリオールと反応される任意のさらなる不飽和改変物質の反応産物のような、塩基可溶化カルボン酸基含有ポリマーを含む。また適切なのは、不飽和カルボン酸のヒドロキシ−アルキルエステル、不飽和カルボン酸および少なくとも1つのその他のエチレン性不飽和モノマーの少なくとも部分的に中和されたインターポリマーである。なお別の適切な樹脂は、アルキド−アミノプラストビヒクル、すなわち、アルキド樹脂およびアミン−アルデヒド樹脂を含むビヒクルを含む。別の適切なアニオン性樹脂組成物は、樹脂ポリオールの混合エステルを含む。その他の酸官能ポリマーがまた用いられ得、当業者に周知であるように、例えば、リン酸塩化ポリエポキシドまたはリン酸塩化アクリルポリマーがある。さらに、上記ポリマーとしての使用に適切なのは、例えば、米国特許第6,165,338号に記載されるような1つ以上のペンダントカルバメート官能基を含むような樹脂である。
【0034】
上記フィルム形成性ポリマーがポリエポキシドを含むとき、このようなポリエポキシドは、上記反応産物を調製するために用いられた上に記載のようないずれかであり得る。
【0035】
上記フィルム形成性ポリマーとしての使用のために適切なアクリルポリマーは、必要に応じて1つ以上のその他の重合可能なエチレン性不飽和モノマーとともに、アクリル酸またはメタクリル酸の1つ以上のアルキルエステルのコポリマーを含み得る。アクリル酸またはメタクリル酸の適切なアルキルエステルは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、および2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含む。適切なその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーは、アクリロニトリルおよびメタクロニトリルのようなニトリル、塩化ビニルおよびフッ化ビニリデンのようなビニルおよびビニリデンハロゲン化物、および酢酸ビニルのようなビニルエステルを含む。アクリル酸、メタクリル酸または無水物、イタコン酸、マレイン酸または無水物、またはフマル酸のような酸および無水物官能エチレン性不飽和モノマーが用いられ得る。アクリルアミド、メタクリルアミドおよびN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドを含むアミド官能モノマーもまた適切である。スチレンおよびビニルトルエンのようなビニル芳香族化合物が、ポリマーの光分解耐性および得られる電着された被覆が損なわれない限り用いられ得る。
【0036】
エポキシ、ヒドロキシルおよび/またはアミノ基のような官能基が、上記のアクリルポリマー中に取り込まれ得る。
【0037】
また適切なのは、当該技術分野で認められた、上記で述べた任意の反応性官能基、および/または任意の先に記載されたイオン性基を有するポリエステル、ポリエーテルおよび/またはポリウレタンポリマーである。本発明の特定の実施形態では、上記ポリマーは、カソード上に堆積し得る、カチオン性の活性水素含有電着可能な樹脂を含む。上記で述べたものに加え、このようなカチオン性フィルム形成性樹脂の非制限的な例は、米国特許番号第3,663,389号;同第3,984,299号;同第3,947,338号;同第3,947,339号に記載されるようなポリエポキシドと一級または二級アミンの酸可溶化反応産物のようなアミン塩の基を含む樹脂を含む。また、米国特許番号第4,134,866号およびDE−OS番号第2,707,405号に記載されるような組成物が、上記ポリマーとして本発明の組成物で用いられ得る。
【0038】
アミン塩の基を含む樹脂の他に、四級アンモユウム塩の基を含む樹脂もまた、上記で述べたように採用され得る。これら樹脂の例は、有機ポリエポキシドを三級アミン塩と反応することから形成されるものを含む。このような樹脂は、米国特許番号第3,962,165号;同第3,975,346号;および同第4,001,101号に記載されている。その他のカチオン性樹脂の例は、米国特許番号第3,793,278号および同第3,984,922号にそれぞれ記載されるような三級スルホニウム塩の基を含む樹脂、および四級ホスホニウム塩の基を含む樹脂である。さらに、米国特許番号第4,134,932号に記載されるようなMannich塩基から調製されるカチオン性組成物が用いられ得る。
【0039】
本発明の1つの実施形態では、上記ポリマーは、一級および/または二級および/または三級アミン基を含む一価以上の正に荷電した樹脂を含み得る。このような樹脂は、米国特許番号第3,663,389号;同第3,947,339号;および同第4,116,900号に記載されている。米国特許番号第3,947,339号では、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラアミンのようなポリアミンのポリケチミン誘導体がポリエポキシドと反応される。この反応の産物が酸で中和され、そして水中に分散されるとき、遊離の一級アミン基が生成される。また、ポリエポキシドが、過剰のジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラアミンのようなポリアミンと反応され、そして過剰のポリアミンがこの反応混合物から除去されるとき、等価な産物が形成される。このような産物は、米国特許番号第6,663,389号および同第4,116,900号に記載されている。
【0040】
特定の実施形態では、上記フィルム形成性ポリマー上に存在するカチオン性アミン塩の基は、アンモニア、メチルアミン、メチルエタノールアミン、ジブチルアミン、アミノプロピルジエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−ヒドロキシエチルエタノールアミン、および/またはジエチレントリアミンを含む化合物に由来し得る。このような実施形態では、これらの化合物の1つ以上が、上に記載のポリマーの1つ以上、例えば、ポリエポキシドポリマーと反応され、ここで、エポキシ基が、ポリアミンとの反応を経由して開環され、カチオン性が与えられ得る末端アミノ基、および二級水酸基を提供する。
【0041】
カチオン性塩の基は、上記樹脂を、電着可能な組成物で従来用いられているような無機酸または有機酸で可溶化することによって形成され得る。可溶化する酸の適切な例は、制限されないで、スルファミン酸、酢酸、乳酸、メタンスルホン酸のようなアルカンスルホン酸、およびギ酸を含む。
【0042】
フィルム形成性ポリマーが存在する本発明の実施形態では、上記反応産物は、組成物中に、この組成物に存在する樹脂固形分の総重量を基に10〜90重量%の範囲の量で存在し得る。同様に、フィルム形成性ポリマーは、組成物に存在する樹脂固形分の総重量を基に10〜90重量%の範囲の量で存在し得る。
【0043】
本発明の組成物は、電着浴として用いられるとき、この電着浴の総重量を基に5〜25重量%の範囲内の総樹脂固形分を有し得る。
【0044】
水の他に、電着浴の水性媒体は、コアレッシング溶媒(coalescing solvent)を含み得る。有用なコアレッシング溶媒は、炭化水素、アルコール、エステル、エーテルおよびケトンを含む。最も一般的なコアレッシング溶媒は、アルコール、ポリオールおよびケトンを含む。詳細なコアレッシング溶媒は、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、イソフォロン、2−メトキシペンタノン、エチレンおよびプロピレングリコール、およびエチレングリコールのモノエチル、モノブチルおよびモノヘキシルエーテルを含む。溶媒の混合物が用いられ得る。
【0045】
本発明の組成物は、種々の添加物をさらに含み得、当該技術分野で一般的に用いられるような、コアレッシング溶媒、色素、チキソトロープ剤、可塑剤、エキステンダー、安定化剤、および抗酸化剤を含む。
【0046】
色素組成物、および界面活性剤、湿潤剤または触媒のようなその他の随意の添加物が、電着浴中に含められ得る。色素組成物は、従来タイプであり得、例えば、酸化鉄、チャイナクレー、カーボンブラック、炭塵、二酸化チタン、タルク、硫酸バリウムのような無機色素、およびフタロシアニンなどのような有機色素を含む。
【0047】
本発明の組成物は、ブラシがけ、浸漬、流れコーティング、噴霧など、そして先に述べたように電着を含む従来手段によって種々の基体に付与され得る。
【0048】
本発明の組成物が電着可能であるとき、この組成物は、制限されないで、種々の金属基体を含む任意の種々の電気伝導性基体の少なくとも一部分上に電気泳動によって堆積され得る。適切な金属基体は、鉄金属および非鉄金属および合金を含み得、これらのすべては当該技術分野で周知である。
【0049】
本発明の組成物は、裸の金属または予備処理された金属基体に付与され得る。「裸の金属」は、従来のリン酸処理溶液、重金属リンスなどのような前処理組成物で処理されていないバージン金属基体を意味する。さらに、本発明の目的には、「裸の金属」基体は、そうでなければ基体の非エッジ面上で処理および/または被覆されるこの基体の切断エッジを含み得る。
【0050】
任意の処理または任意の被覆組成物の付与の前に、上記の基体は、製造の目的物に形成され得る。1つ以上の金属基体の組み合わせが、一緒にアセンブルされ、このような製造の目的物を形成する。
【0051】
また、本明細書で用いられるとき、「基体」の少なくとも一部分「上」に形成された電着可能な組成物または被覆は、この基体表面の少なくとも一部分上に直接形成された組成物、およびこの基体の少なくとも一部分に先に付与された任意の被覆または前処理材料上に形成された組成物または被覆をいうことが理解されるべきである。すなわち、上記被覆組成物がその上に付与される「基体」は、例えば、1つ以上の前処理および/またはプライマー被覆が先に付与された上に記載のような基体を含む任意の電気伝導性の基体を含み得る。
【0052】
代表的な電着プロセスは、電気伝導性基体を水性の電着可能な組成物の電着浴中に浸漬することを含み、この基体は、カソードおよびアノードを備える電気回路中のカソードとして供する。十分な電流が電極間に付与され、上記電気伝導性基体の表面の少なくとも一部分上に電着可能な被覆組成物の実質的に連続する接着フィルムを堆積する。
【実施例】
【0053】
実施例A−1は、本発明によるポリアミンと非環式カーボネートの反応産物の調製を記載する。実施例A−2およびBは、エポキシ−アクリルグラフトコポリマーを用いる本発明の水性反応産物の調製を示す。実施例A−3は比較例であり、グラフトコポリマーおよびポリアミンと環状カーボネートとの反応産物を用いる水性反応産物の調製を示す。
【0054】
(実施例A−1)
ポリアミンと非環式カーボネートの反応産物を以下に記載のように調製した:
【0055】
【表1】

チャージ1を丸底フラスコに装填した。チャージ2を、温度を40℃未満に維持して3時間に亘り滴下して添加した。この混合物を、滴定されたmeqアミン値が3.643meq/g未満になるまで室温に保持した。(約5日;90%以上の一級アミンの変換)。この混合物を、ガスクロマトグラフィーによって測定されたときメタノールレベルが0.2%より少なくなるまで35℃で減圧ストリップした。残存アミン(meq)を測定し、そしてこの値を、二級アミンの理論量を引くことによって残存する一級アミンを算出するために用いた。チャージ3を、この混合物を45℃を超えないように発熱させながら、算出された残存一級アミン(この実施例では144グラム)に対して当量モル量添加した。この混合物を、35℃未満で16時間保持した。
【0056】
(実施例A−2)
【0057】
【表2】

Resolution Perforamance Produstsから入手可能なビスフェノールAのポリグリシジルエーテル。
Arkema Inc.から入手可能なt−ブチルペルオキシアセテート。
Dow Chemical Co.から入手可能なプロピレングリコールメチルエステル。
【0058】
成分AおよびBは、窒素入口、攪拌機、凝縮器および熱電対を備えたフラスコに装填した。温度を還流が始まるまで増加し、そして温度を反応の残りの全体で還流を維持するように調節した。
【0059】
還流の1時間後、Cを添加し、そして次に成分Dを150分に亘り均一速度で添加した。反応をさらに30分間継続し、そして次にEを10分の期間に亘って添加した。90分後成分Fを添加し、次いで60分後、Gを添加した。さらに90分後、1209.5gの反応混合物を、迅速に撹拌しながら、50℃で、成分H中に注いだ。MIBKおよび水を減圧下の蒸留によって除去した。最終分散物は、32.65%の固形分含量および140,000のMz(DMF中GPCによって測定)を有していた。
【0060】
(実施例A−3(比較))
【0061】
【表3】

成分AおよびBは、窒素入口、攪拌機、凝縮器および熱電対を備えたフラスコに装填した。温度を還流が始まるまで増加し、そして温度を反応の残りの全体で還流を維持するように調節した。還流の1時間後、Cを添加し、そして次に成分Dを150分に亘り均一速度で添加した。反応をさらに30分間継続し、そして次にEを10分の期間に亘って添加した。90分後成分Fを添加し、次いで60分後、Gを添加した。さらに90分後、1136.7gの反応混合物を、迅速に撹拌しながら、50℃で、成分H中に注いだ。
【0062】
MIBKおよび水を減圧下の蒸留によって除去した。最終分散物は、24.61%の固形分含量および139000のMz(DMF中GPCによって測定)を有していた。
【0063】
(実施例B)
【0064】
【表4】

2,2’−アゾビス(2−メチルブタンエニトリル)(E.I.Du Pont de Nemours and Companyから市販されている)。
【0065】
成分AおよびBは、窒素入口、攪拌機、凝縮器および熱電対を備えたフラスコに装填した。温度を還流が始まるまで増加し、そして温度を反応の残りの全体で還流を維持するように調節した。
【0066】
還流の1時間後、Cを添加し、そして次に成分Dを150分に亘り均一速度で添加した。反応をさらに30分間継続し、そして次にEを10分の期間に亘って添加した。
【0067】
90分後成分Fを添加し、次いで60分後、Gを添加した。
【0068】
さらに90分後、1210.5gの反応混合物を、迅速に撹拌しながら、50℃で、成分H中に注いだ。
【0069】
MIBKおよび水を減圧下の蒸留によって除去した。最終分散物は、31.80%の固形分含量および82,000のMz(DMF中GPCによって測定)を有していた。
【0070】
実施例C−2、D−2、およびE−2は、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムを多価アルコールまたはフェノールのポリグリシジルエーテルと反応することにより調製された末端エチレン性不飽和基を含むポリエポキシドの調製を示す。
【0071】
実施例A−2、A−3、およびBの組成物のサンプルを、シールされたガラス容器中に置き、そして120゜F(48.9℃)で貯蔵した。周期的に、この分散物の塩基含量を滴定によって決定した。滴定結果を以下の表Aに提示する。
表A
【0072】
【表5】

上記の表1中のデータは、環状カーボネートを用いて調製された比較例A−3の反応産物が、高められた温度条件で経時的に分解を受けて塩基を生成するが、その一方、本発明の反応産物は安定なままであることを示す。
【0073】
(実施例C−1)
アミン−ウレタン反応産物は以下のように調製された:
【0074】
【表6】

ビスヘキサメチレントリアミンを、窒素下で3Lフラスコに装填し、そして80℃まで加熱した。これに、炭酸ジメチルを、温度を85℃未満に保ちながら滴下して添加した。添加後、この反応混合物を、約3.3のミリ当量(meq)アミン値のために80℃で維持した。メタノールおよび過剰の炭酸ジメチルを、次いで、減圧ストリッピングによって除去した。得られる固形材料を、イソブチルケトン(MIBK)から再結晶化し、融点84〜85℃の結晶を得た。NMR分析は、この産物が、ヘキサメチレントリアミンのジメチルカルバメートであることを示した。
【0075】
(実施例C−2)
【0076】
【表7】

Macol 98BとしてBASF Surfactantから入手可能なビスフェノールA。
ジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとの反応産物(MIBK中73%固形分)。
【0077】
チャージ1および2を、窒素下で500mlフラスコに添加し、そして125℃まで加熱し、そして1時間保持した。この反応混合物を、次いで、135℃まで15分に亘り加熱し、そしてさらに135℃で1時間保持した。チャージ3を、次いで添加した。110℃の反応温度でチャージ4を添加し、そしてこの反応混合物を120℃で1時間保持した。次いで、チャージ5を添加し、そしてこの混合物を120℃でさらに1時間30分の間保持した。EON 828(チャージ6)を次いで添加し、そして混合物を120℃でさらに30分維持した。この反応混合物を次いでDowanol PMで薄くした。
【0078】
(実施例D−1)
アミン−ウレタン反応産物を以下のように調製した:
【0079】
【表8】

ジエチレントリアミンを窒素下で3Lフラスコに装填し、そして35℃まで加熱した。これに、温度を40℃未満に維持して炭酸ジメチルを滴下して添加した。添加の後、この反応混合物を約3.7のミリ当量アミン値のために35℃で維持した。メタノールおよび過剰の炭酸ジメチルを次いで減圧ストリッピングによって除去した。得られる固形材料をメチルイソブチルケトンから再結晶化し、融点81〜82℃の結晶を得た。NMR分析は、この産物が、ジエチレントリアミンのジメチルカルバメートであることを示した。
【0080】
(実施例D−2)
【0081】
【表9】

チャージ1および2を、窒素下で500mlフラスコに添加し、そして125℃まで加熱し、そして1時間保持した。この反応混合物を、次いで、135℃まで15分に亘り加熱し、そしてさらに135℃で1時間保持した。チャージ3を、次いで添加した。110℃の反応温度でチャージ4を添加し、そしてこの反応混合物を122℃で1時間保持した。次いで、チャージ5を添加し、そしてこの混合物を122℃でさらに1時間30分の間保持した。チャージ6を次いで添加し、そしてこの混合物を125℃でさらに30分維持した。この反応混合物を次いでDowanol PMで薄くした。
【0082】
(実施例E−1)
アミン−ウレタン反応産物を以下のように調製した:
【0083】
【表10】

ビスヘキサメチレントリアミンを窒素下で12Lフラスコに装填し、そして55℃まで加熱した。これに、温度を60℃未満に維持して炭酸ジメチルを滴下して添加した。この反応混合物を、次いで、3.4のミリ当量アミン値のために55℃で保持した。次いで、炭酸プロピレンを、温度を60℃未満に維持して、滴下により添加した。この反応混合物を、次いで2.2のミリ当量アミン値のために数時間55℃で維持した。メタノールを次いで70℃の減圧ストリッピングによって除去した。反応産物の最終固形分は97.7%であり、2.66のミリ当量アミン値を有した。
【0084】
(実施例E−2)
【0085】
【表11】

チャージ1および2を、窒素下で500mlフラスコに添加し、そして125℃まで加熱し、そして1時間保持した。この反応混合物を、次いで、135℃まで15分に亘り加熱し、そしてさらに135℃で1時間保持した。チャージ3を、次いで添加した。110℃の反応温度でチャージ4を添加し、そしてこの反応混合物を122℃で1時間保持した。次いで、チャージ5を添加し、そしてこの反応混合物を122℃でさらに1時間30分の間保持した。チャージ6を次いで添加し、そしてこの反応を125℃でさらに30分維持した。この反応混合物を次いでDowanol PMで薄くした。
【0086】
実施例Fは、本発明に従う硬化可能なフィルム形成性組成物の調製を示す。
【0087】
(実施例F)
【0088】
【表12】

Resolution Performance Productsから入手可能なビスフェノールAのポリグリシジルエーテル。
【0089】
チャージ1およびチャージ2を適切なリアクターに逐次的に添加し、そしてこの混合物を50℃を超えないように発熱させた。混合物を、次いで、45〜50℃で8時間保持した。チャージ3を添加し、そしてこの混合物を125℃まで加熱した。溶媒を蒸発除去し、そして混合物を、エポキシ当量重量が少なくとも10,000であるまで125℃で保持した。チャージ4をゆっくりと添加した。得られるポリマーは、2.376のアミン当量重量、および85重量%の理論固形分含量を有していた。
【0090】
(実施例G−1)
比較例G−2における使用のための架橋剤を以下のように調製した:
【0091】
【表13】

Dow Chemical Co.から入手可能。
【0092】
成分1、2、3、および4を適切なリアクターに装填し、そして窒素下で40℃まで加熱した。チャージ5を添加し、そしてこの混合物の温度を130℃以下に維持した。チャージ6をリンスとして、チャージ5の容器を通じて添加し、そしてこの混合物を、イソシアネートがIRによって検出されなくなるまで120〜130℃で維持した。
【0093】
(実施例G−2(比較))
【0094】
【表14】

Macol 98A Mod1としてBASF Surfactantsから入手可能な、Macol 98Bの低イオンバージョン。
【0095】
チャージ1を適切なリアクターに添加し、そして100℃まで加熱した。チャージ2を添加し、そしてこの混合物を140〜150℃の間に発熱させた。温度を、140℃で40分間保持した。チャージ3を添加し、そしてこの混合物を、エポキシ当量重量が1080であるまで140℃で保持することを継続した。チャージ4を添加し、そしてこの混合物を110〜120℃に発熱させた。チャージ4の添加後、この混合物を140℃で45分間保持した。チャージ5を添加し、そしてこの混合物を1時間の間110℃で保持した。得られるポリマーは、MIBK中50%固形分まで希釈した。
【0096】
(実施例1〜7)
実施例1〜7は、本発明による硬化可能なフィルム形成性組成物の調製を示す。樹脂の溶液を最初に調製し、次いで、フィルムを、HIA金属基体(ACT Laboratories,Inc.,273 Industrial Dr.,Hillsdale,Mi.,49242から入手可能)上に、ワイヤが巻かれたドロダウンバーRDS75(RD Specialties,560 Salt Rd.,Webster,NY 14580から入手可能)を用いてキャストした。これらフィルムは、10分間周囲フラッシュし、そして種々の温度で焼いた(300゜F/148.9℃、320゜F/160℃、340゜F/171.1℃、360゜F/182.2℃)。硬化は、表IIIに示されるように、100の二重のアセトン摩擦に対するフィルムの抵抗性によって決定された。成分は、以下の表IおよびIIに示されるように重量部で一緒にブレンドされた。
表I
【0097】
【表15】

表II
【0098】
【表16】

Joncryl 500は、Johnson Polymer,8310 16th
Street,Sturtevant,WI,53177から入手可能なアクリルポリマーである。
表III
【0099】
【表17】

本発明の特定の実施形態が例示の目的のために上に記載されており、本発明の詳細の多くの改変が添付の請求項で規定されるような本発明から逸脱することなくなされ得ることは当業者に明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2011−68896(P2011−68896A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242856(P2010−242856)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【分割の表示】特願2008−505562(P2008−505562)の分割
【原出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】