説明

面照明装置

【課題】装置が大型化することなく、且つ、高輝度、高均斉度で色ムラが少なく表示品質を高いものとする。
【解決手段】バックライトユニット1では、青色LED5B、緑色LED5G、赤色LED5Rから光が出射される。この際、赤色LED5Rは、逆ピラミッド型の発光素子であり、発光効率が良いものとなっている。このため、配線基板6及びコリメータレンズ9の格納部15の壁面で反射され迷光が発生する虞がある。このような迷光は、コリメータレンズ9の格納部15を形成する各壁面に形成した光吸収部16により吸収されて赤色の迷光が強くなることが防止され、また、コリメータレンズ9により、相対的に赤色LED5Rからの出射光が多かった光源部近傍の発光面部材4において、青色LED5B及び緑色LED5Gからの出射光を増加させるため、色ムラが確実に抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とする液晶表示装置のバックライトユニット等のように発光面から均一な輝度分布の照明光を出射する面照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置用のバックライトユニットの光源として、冷陰極放電灯からLEDに代替される動きが進んでいる。これは、LEDには有害物質である水銀が含まれず、環境調和型の光源として適していることや、最近の大幅な発光効率の向上により消費電力が大幅に低減できることによるところが大きい。LEDを光源として備えるバックライトユニットは、これまで携帯電話やモバイル端末のように概ね小型機器に対する用途が中心であったが、最近では20インチ型以上の液晶モニタや液晶テレビ等、大型の液晶表示装置にも採用の動きが進んでいる。
【0003】
大型液晶表示装置の場合、そのバックライトユニットには高輝度であることが求められる。そのため、小型のバックライトユニットで一般的に採用されている導光板から面発光させる構造ではなく、特開2005−316337号公報に示されるような、面発光部の直下にLED光源を配列した構造が一般的となっている。
【0004】
しかし、LEDは点光源であるため、配列したLEDと面発光部との距離が近接しすぎると、輝度ムラ、色ムラとして認識され、液晶表示の品質を悪化させてしまう。この現象は、高輝度を実現するために、1個あたりの電力が1Wクラス以上の高出力LEDを光源とした場合にいっそう顕著に現れる。反面、輝度ムラ、色ムラを低減させるためにLEDと面発光部との距離を遠ざけることは、装置全体の厚みを増加させることにつながり、近年の薄型化の傾向に反して好ましくない。また、液晶パネル上の色再現性を向上させるため(例えば、NTSC規格比100%以上)、光源を青色、緑色、赤色の単色発光LEDで構成した場合には、混色性を確保する必要があることから、さらに厚みを増加させる必要がある。
【0005】
そこで、例えば、特開2006−106212号公報では、装置内の側部に多数個のLEDを配線基板に列設実装したLED光源を配設して発光させ、中空導光領域に導光した光を反射させ、表側の面発光部から出射させるバックライトユニットの技術が提案されている。
【特許文献1】特開2005−316337号公報
【特許文献2】特開2006−106212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献2に開示されるバックライトユニットの技術では、装置厚み方向のLED放射光を集光させた上で、中空導光領域へ出射させるように、LED光源部にリフレクタを形成している。その際、集光性が不十分であると、面発光部の光源近傍領域では輝度が高く、光源遠方領域では輝度が低くなる、輝度ムラが発生する。このため、集光性を高めるには、リフレクタを大型化する必要があるが、これは、装置における有効発光領域以外(所謂、額縁部)の寸法が大きくなり、装置全体が大型化することとなって好ましくない。
【0007】
一方、光源として、青色、緑色、赤色の単色発光LEDを配線基板に列設実装して用いる場合、赤色LEDは、青色LED及び緑色LEDと比較して、発光出力の温度依存性が大きいため(温度が高いほど、光束が低下する)、できるだけ発熱を抑える、つまり発光効率を向上させる必要がある。発光効率を改善した赤色LEDとしては、発光素子の形状を通常の形状とは変えて、発光素子からの光取り出し効率を向上させた例があり、このような赤色LEDでは、発光効率は向上するが、一部の光は実装基板の方向へ向けて出射される。これは面照明装置においては、光源部近傍で赤みがかった色ムラとして認識され、液晶用バックライトとして用いた場合には、表示品質の低下につながる。
【0008】
本発明は、装置が大型化することなく、且つ、高輝度、高均斉度で色ムラが少なく表示品質の高い面照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、中空のユニットケースと、前記ユニットケースの底面側に配設した光反射面部材と、前記ユニットケースの前記光反射面部材と対向する表側に配設した発光面部材と、少なくとも第1の配光分布を有する第1のLEDと前記第1の配光分布とは異なる第2の配光分布を有する第2のLEDを含む多数個のLEDを配線基板に列設実装し、前記光反射面部材と前記発光面部材との間に形成した空間である中空導光領域に光を出射するように該中空導光領域に隣接して配設したLED光源と、前記LED光源の出射部近傍に配設して前記第1のLEDの光軸を含む前記ユニットケースの厚さ方向の断面形状と前記第2のLEDの光軸を含む前記ユニットケースの厚さ方向の断面形状とを異なった形状に形成した、前記LED光源からの光を前記発光面部材の発光面に対し平行にする集光部品とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明による面照明装置によれば、装置が大型化することなく、且つ、高輝度、高均斉度で色ムラが少なく表示品質が高いという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図17は本発明の実施の一形態を示し、図1はバックライトユニットの分解斜視図、図2はバックライトユニットの断面図、図3は赤色LEDの発光素子の構造説明図、図4は赤色LEDの発光素子の発光の説明図、図5はLED光源から出射した光の説明図、図6は光吸収部を設けたことによる発光面色度分布の差異を比較する説明図、図7はコリメータレンズの出射側から視た一部破断斜視図、図8はコリメータレンズの集光特性を示す断面図、図9はバックライトユニットの輝度分布特性を示す説明図、図10はコリメータレンズの説明図、図11は図10とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図、図12は図10、図11とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図、図13は図10〜図12とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図、図14は図10〜図13とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図、図15は図10〜図14とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図、図16はコリメータレンズの配光分布の説明図、図17はコリメータレンズを改良したことによる発光面色度分布の差異を比較する説明図である。
【0012】
図1、図2において、符号1は面照明装置の一例としての液晶表示装置用のバックライトユニットを示し、このバックライトユニット1は、矩形で中空のユニットケース2と、該ユニットケース2の底面側に配設された光反射面部材3と、ユニットケース2の光反射面部材3と対向する表側に配設された発光面部材4と、多数個のLED5を配線基板6に列設実装し、ユニットケース2の対向する一対の端部側から光反射面部材3と発光面部材4との間に形成した空間である中空導光領域7に光を出射するように中空導光領域7に隣接して配設した一対のLED光源8と、それぞれのLED光源8の出射部近傍に配設してLED光源8からの光を発光面部材4の発光面に対し平行にする集光部品としての一対のコリメータレンズ9と、ユニットケース2を発光面部材4側から覆うフロントフレーム10とを有して主要に構成されている。
【0013】
ユニットケース2は、アルミニウム合金等の高熱伝導性の金属で形成されている。
【0014】
光反射面部材3は、金属或いは樹脂の基材に、高反射性且つ拡散反射性を有する材料、例えば白色PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムや白色インクを積層させ、発光面部材4での輝度分布が均一になるように、発光面部材4との距離を変化させた形状に形成されている。このため、LED光源8からの距離が遠くなるほど(ユニットケース2の中央ほど)、発光面部材4との距離が短くなるように形成されている。尚、光拡散反射性を有する材料としては、前記の他に、鏡面反射性をもつ高反射アルミニウム等に光透過性拡散材をコーティングしたものでも良い。
【0015】
発光面部材4は、光透過拡散板4aに対して、更に拡散シート4b、4c、レンズシート4d等の光学シートを重ねて構成したものであり、中空導光領域7を通り、光反射部材2にあたって反射してきた光を均一に拡散、出射させることで、発光面での輝度ムラをなくし、均斉度を高くするようになっている。
【0016】
LED光源8は、ユニットケース2の側面に収容できる幅に形成された細長の配線基板6上に多数個のLED5を一列若しくは複数列に列設実装したものである。配線基板6は、光熱伝導性のアルミ系、同系合金などの金属や、窒化アルミニウム等のセラミックにより形成されており、高熱伝導性のユニットケース2の側壁にねじ止め、接着その他の手段で固定されている。尚、この配線基板6とユニットケース2の側壁との間には高熱伝導性の両面テープ、シート或いはグリースを介在させるのが好ましい。
【0017】
LED5は、所望の白色色度に合成させるための数量比で配置した青色、緑色、赤色などに発色する複数のLEDであり、赤色LEDが第1のLEDとして、青色LED及び緑色LEDが第2のLEDとして設けられている。
【0018】
青色LED5B及び緑色LED5Gは、発光素子として、InGaN(窒化インジウムガリウム)系半導体を用いる。
【0019】
一方、赤色LED5Rは、発光素子として、AlInGaP(アルミニウムインジウムガリウムリン)系半導体を用いる。図3に示すように、本実施形態による赤色LED5Rの発光素子5RAは、下層(配線基板6)側から順に、n型GaP(ガリウムリン)基板5RAa、n型AlInGaPクラッド層5RAb、発光層5RAc、p型AlInGaPクラッド層5RAd、p型GaP層5RAeが形成される。図示は省略するが、p型GaP層5RAe上には、オーミック接触するためのコンタクトを介してAlボンディングパッド(アノード)が形成される。更に、n型GaP基板5RAaの下には、Au合金電極(カソード)が形成される。n型GaP基板5RAaは、エピタキシャル層の形成後に逆ピラミッド型にカットされる。
【0020】
図4に発光素子を逆ピラミッド型にした本実施の形態で採用する赤色LED5Rの発光層5RAcから発生する光線と、通常の直方体の発光素子5RBにおける発光層5RBcから発生する光線の例を示す。
【0021】
図4(a)に示すように、逆ピラミッド型の発光素子5RAの場合では、図4(b)に示す直方体の発光素子5RBと比較して、発光素子5RAから臨界角を超えて外部に出射する光量を増加させることができる。
【0022】
すなわち、本実施の形態で採用する赤色LED5Rは、通常の赤色LEDよりも発熱を抑えた発光効率の良いものが採用されている。ただし、光線R2のように配線基板6側へ向かう出射光も一定量発生する。このような光線R2は、図5に示すように、迷光となってLED光源8の配線基板6、コリメータレンズ9の格納部15の壁面で反射され、コリメータレンズ9に入射する。このような光(図5中、RYL1、RYL2で例示する光)は、コリメータレンズ9で集光されずに中空導光領域7に進行するため、LED光源8近傍の発光面部材4から出射され、光源部近傍の赤みがかった色ムラとして認識される虞がある。
【0023】
このため、本実施の形態では、コリメータレンズ9の格納部15を形成する各壁面、すなわち、配線基板6、ユニットケース2、フロントフレーム10のLED光源8側表面6a、2a、10aに光吸収部16が形成されている。
【0024】
この光吸収部16は、配線基板6、ユニットケース2、フロントフレーム10のLED光源8側表面6a、2a、10aに、直接、赤色LED5Rの発光波長域における光反射率を、青色LED5B及び緑色LED5Gの発光波長域における光反射率よりも低くする色をシルク印刷、若しくは、レジスト印刷することで形成したものである。具体的には、本実施の形態では、前述の如く赤色の迷光が強くなる虞があるため、これを防止するべく、青緑系色をシルク印刷、若しくは、レジスト印刷することで光吸収部16が形成されている。
【0025】
尚、本実施の形態では、赤色の迷光を防止するため、光吸収部16を、青緑系色をシルク印刷、若しくは、レジスト印刷することで形成しているが、仕様により、青色LED5Bの迷光が強く、この青色の迷光を防止するためには、黄色系色をシルク印刷、若しくは、レジスト印刷することで光吸収部16を形成すれば良い。同様に、緑色LED5Gの迷光が強く、この緑色の迷光を防止するためには、紫色系色をシルク印刷、若しくは、レジスト印刷することで光吸収部16を形成すれば良い。
【0026】
また、本実施の形態では、配線基板6、ユニットケース2、フロントフレーム10のLED光源8側表面6a、2a、10aに、シルク印刷、若しくは、レジスト印刷することで光吸収部16を形成しているが、何れかの壁面のみで十分な迷光防止効果を得られるのであれば、これら全ての表面に光吸収部16を形成せずとも良い。
【0027】
更に、本実施の形態では、シルク印刷、若しくは、レジスト印刷することで光吸収部16を形成しているが、色そのものが目論見とする別部材を設けて光吸収部としても良く、或いは、配線基板6、ユニットケース2、フロントフレーム10等の素材自体の色そのものが目論見とする部材を採用するようにしても良い。
【0028】
図6に従来のレジスト色(白色)と本発明のレジスト色(青緑色)の場合における色度分布(Cx)を示す。すなわち、図6(a)に示すように、本実施の形態のバックライトユニット1における、発光面の相対する2側面それぞれに設けられた一対のLED光源8による光源ラインに直角な方向(LED配列方向に直角、或いは、LED5の光軸方向)を測定ラインとし、図6(b)は、その測定ライン上における一対のLED光源8による光源ライン間の色度分布(Cx)を示すものである。Cx値は、主に赤波長領域の光量に依存するため、赤みによる色ムラを比較することができる。本実施形態のレジスト色(青緑色:実線)では、従来のレジスト色(白色:破線)よりも、発光面端部(光源部近傍)のCx値の上昇が低減されている。これは、光源部近傍の色ムラが低減されたことを示すものである。
【0029】
このように、本実施形態によれば、赤色LEDとして、発光効率の高い逆ピラミッド型発光素子を搭載したものを使用しても、その弊害として発生する迷光をカットし、面発光部全体から輝度ムラ、色ムラなく出射できるようになっている。
【0030】
一方、LED光源8の出射側、すなわち、中空導光領域7に面する側には、LED5の列を覆う形状の凹溝11が形成された細長のコリメータレンズ9が配設されている。このコリメータレンズ9は、LED光源8のLED5からの光を中空導光領域7の厚さ方向に集光させてこの中空導光領域7に入光させるための部材であり、例えば、アクリルやポリカーボネートのような透明樹脂、或いは、ガラスで形成されている。
【0031】
図7、図8に示すように、コリメータレンズ9の列に面する凹溝11は、基本的に、LED5の光軸に近い角度の放射光をレンズ内に導光する凸形状の入射面InAと、LED5の光軸から離れた角度(広角側)をレンズ内に導光する平面形状の入射面InB1、InB2の3面から形成されている。
【0032】
コリメータレンズ9の入射面InB1、InB2に隣接する側面には、それぞれレンズ内の光を全反射する全反射面TIR1、TIR2が形成されている。
【0033】
コリメータレンズ9の出射部は、入射面InAからの入射光に対応する凸形状の出射面ExAと、入射面InB1、InB2から入射した後、全反射面TIR1、TIR2で全反射した光に対応する凹曲面形状の出射面ExB1、ExB2とが形成されている。
【0034】
そして、本実施形態のバックライトユニット1では、図8に示すように、コリメータレンズ9により、LED光源8のLED5からの光を中空導光領域7の厚み方向に集光して、この中空導光領域7に入射させることができる。
【0035】
すなわち、コリメータレンズ9において、LED5から入射面InAに入射した光RYAは、断面凸形状の入射面InA及び出射面ExAにて屈折し、中空導光領域7の厚み方向に集光される。また、入射面InB1、InB2に入射した光RYB1、RYB2は、全反射面TIR1、TIR2での全反射と出射面ExB1、ExB2での屈折により、中空導光領域7の厚み方向に集光される。
【0036】
こうして、コリメータレンズ9から中空導光領域7に出射された光RYA、RYB1、RYB2は、形状を最適化した光反射面部材3の反射面で発光面部材4の方向へ反射され、この発光面部材4の発光面から高輝度で、且つ、輝度ムラのない状態で出射される。
【0037】
本実施形態のバックライトユニット1によれば、前記コリメータレンズ9の存在によって光源であるLED5から広角度に放射される光を、光利用効率80%以上という高効率且つ狭角度で集光させることができ、中空導光領域7における反射損失を最低限に抑えることができ、従来の中空方式のバックライトユニットよりも輝度を向上させることができる。また、従来の中空方式のバックライトユニットでは、光源からできるだけ遠方に光を到達させるために中空導光領域の反射面を鏡面反射性、或いは、それに近い反射特性にして、発光面に局所的な輝線などが発生していたが、本実施の形態のバックライトユニット1の場合、光源の集光性が高いので、反射面を拡散反射性としても、図9に示すように、輝度均斉度を高くでき、且つ、局所的な輝線の発生も防止できる。ここで、図9は、前述の図6(a)と同様の測定ライン上における一対のLED光源8による光源ライン間の輝度分布を示すものである。
【0038】
尚、LED光源8のLED5からの光を中空導光領域7の厚み方向に集光して、この中空導光領域7に入射させる光学部品として、本実施形態のような全反射と屈折による集光を併用したコリメータレンズ以外にも、凸型シリンドリカルレンズ等を用いても良い。
【0039】
次に、図10は本実施形態によるコリメータレンズ9を詳細に説明するための図で、図10(a)は、コリメータレンズ9をLED光源8側(入射側)から視た斜視図、図10(b)は、コリメータレンズ9のLEDの光軸を含む発光面と平行な長手方向の断面図、図10(c)は、図10(b)のB0−B0断面、R1−R1断面、G1−G1断面、B1−B1断面を示す図である。
【0040】
本発明の実施の形態では、赤色LED5Rに発光効率の良い逆ピラミッド型の発光素子5RAを用いていることから、前述の図5に示す如く、LED光源8近傍の発光面部材4から出射され、光源部近傍の赤みがかった色ムラとして認識される虞がある。これは、前記光吸収部16で防止することが期待できるが、更に、確実に色ムラを改善するため、コリメータレンズ9の形状を以下のように変更している。
【0041】
すなわち、赤色LED5Rに相対する部分のコリメータレンズ9の形状を基準形状とした場合に、青色LED5Bに相対する部分と緑色LED5Gに相対する部分では、それぞれのLEDの光軸を含むユニットケース2の厚さ方向の断面形状の光軸近傍から離れた広角領域において、コリメータレンズ9の出射光のユニットケース2の厚み方向の配光分布が、基準形状の場合よりも増加するように、コリメータレンズ9の形状が変化して形成されている。
【0042】
具体的には、図10に示すように、青色LED5B及び緑色LED5Gの位置に相対する部分のコリメータレンズ9の入射面InAB1、InAG1を、赤色LED5Rの位置に相対する部分のコリメータレンズ9の入射面InAR1よりもそれぞれのLED5B、5Gから遠ざけて形成されている。すなわち、図10(b)、図10(c)において、LB1=LG1>LR1。
【0043】
これにより、青色LED5B、及び、緑色LED5Gのコリメータレンズ9からの出射配光は、前記広角領域において、当初の基準設計よりも光量が増加することになる。図16(a)は、従来のコリメータレンズ9からの出射光の配光分布の一例を示す。
【0044】
この例から±15°より広角領域の青色・緑色の配光分布を増加させるのが、各色の配光を近似させる上で好適であることが分かる。従って、この結果を基に、青色LED5B及び緑色LED5Gの位置に相対する部分の断面形状を変更した場合と基準設計の場合の配光分布の比較例を図16(b)に示す。このように配光分布を変更したコリメータレンズ9を一例として採用するものである。
【0045】
このコリメータレンズ9の断面形状の変化を適用する一例として、具体的には、以下のように行うことが望ましい。
【0046】
光軸方向における光度を1とした場合に、光軸に対して90°方向の光度が0.1以上である赤色LED5Rに相対する部分のコリメータレンズ9の断面形状を基準とした場合に、光軸に対して90°方向の光度が0.1未満である青色LED5B、若しくは、緑色LED5Gに相対するコリメータレンズ9の部分において、コリメータレンズ9の出射光のユニットケース2の厚み方向の配光分布の±15°より広角領域の配光分布を増加させる。
【0047】
而して、相対的に赤色LED5Rからの出射光が多かった光源部近傍の発光面部材4において、青色LED5B及び緑色LED5Gからの出射光を増加させることができ、発光効率の良い逆ピラミッド型の発光素子5RAを備えた赤色LED5Rを採用したことによる光源部近傍の発光面部材4の色ムラを、前記光吸収部16と共に、確実に抑制することが可能となっている。
【0048】
図17は、前述の図6(a)と同様の測定ライン上における、従来のコリメータレンズと本実施の形態によるコリメータレンズの場合における色度分布(Cx)の比較を示す。Cx値は主に赤波長領域の光量に依存するため、赤みによる色ムラを比較することができる。本実施の形態によるコリメータレンズを使用した場合では、従来のコリメータレンズよりも、発光面端部(光源部近傍)のCxの上昇が低減されている。これは、光源部近傍の色ムラが低減されたことを示すものである。
【0049】
尚、本実施の形態では、青色LED5B及び緑色LED5Gの位置に相対する部分のコリメータレンズ9の入射面InAB1、InAG1を、赤色LED5Rの位置に相対する部分のコリメータレンズ9の入射面InAR1よりもそれぞれのLED5B、5Gから遠ざけて段状に形成しているが、図11のコリメータレンズ9Aに示すように、連続した曲面で形成するようにしても良い。すなわち、青色LED5B及び緑色LED5Gの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Aの入射面InAB2、InAG2は、赤色LED5Rの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Aの入射面InAR2よりもそれぞれのLED5B、5Gから遠ざけて形成されており(図11(b)、図11(c)において、LB2=LG2>LR2)、これら各入射面InAB2、InAG2、InAR2は、連続した曲面で形成されている。これにより、青色LED5B、及び、緑色LED5Gのコリメータレンズ9Aからの出射配光は、前記広角領域において、当初の基準設計よりも光量が増加することになる。
【0050】
また、図12のコリメータレンズ9Bに示すように、青色LED5B、緑色LED5G、赤色LED5Rの配光特性の違いを考慮して、青色LED5Bの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Bの入射面InAB3を、赤色LED5Rの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Bの入射面InAR3よりも青色LED5Bから遠ざけて形成し、緑色LED5Gの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Bの入射面InAG3を、青色LED5Bの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Bの入射面InAB3よりも緑色LED5Gから遠ざけて形成するようにしても良い。すなわち、図12(b)、図12(c)において、LG3>LB3>LR3。これにより、青色LED5B、及び、緑色LED5Gのコリメータレンズ9Bからの出射配光は、前記広角領域において、より精度良く当初の基準設計よりも光量が増加することになる。この場合においても、段状にすることなく、前記図11で説明したように連続した曲面で形成するようにしても良い。
【0051】
更に、本実施の形態では、青色LED5B及び緑色LED5Gの位置に相対する部分のコリメータレンズ9の入射面InAB1、InAG1側の形状を変更するようにしているが、図13のコリメータレンズ9Cに示すように、出射面ExAB1、ExAG1側の形状を変更するようにしても良い。すなわち、青色LED5B及び緑色LED5Gの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Cの出射面ExAB1、ExAG1は、赤色LED5Rの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Cの出射面ExAR1よりもそれぞれのLED5B、5Gに近接するように形成されている(図13(b)、図13(c)において、LB4=LG4<LR4)。これにより、青色LED5B、及び、緑色LED5Gのコリメータレンズ9Cからの出射配光は、前記広角領域において、当初の基準設計よりも光量が増加することになる。
【0052】
また、前記青色LED5B、緑色LED5G、赤色LED5Gの位置に相対する部分のコリメータレンズ9の出射面ExAB1、ExAG1、ExAR1は、段状に形成するのではなく、連続した曲面で形成するようにしても良い。すなわち、図14のコリメータレンズ9Dに示すように、青色LED5B及び緑色LED5Gの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Dの出射面ExAB2、ExAG2は、赤色LED5Rの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Dの出射面ExAR2よりもそれぞれのLED5B、5Gに近接するように形成されており(図14(b)、図14(c)において、LB5=LG5<LR5)、これら各出射面ExAB2、ExAG2、ExAR2は、連続した曲面で形成されている。これにより、青色LED5B、及び、緑色LED5Gのコリメータレンズ9Dからの出射配光は、前記広角領域において、当初の基準設計よりも光量が増加することになる。
【0053】
また、図15のコリメータレンズ9Eに示すように、青色LED5B、緑色LED5G、赤色LED5Rの配光特性の違いを考慮して、青色LED5Bの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Eの出射面ExAB3を、赤色LED5Rの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Eの出射面ExAR3よりも青色LED5Bに近接するように形成し、緑色LED5Gの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Eの出射面ExAG3を、青色LED5Bの位置に相対する部分のコリメータレンズ9Eの出射面ExAB3よりも緑色LED5Gに近接するように形成するようにしても良い。すなわち、図15(b)、図15(c)において、LG6<LB6<LR6。これにより、青色LED5B、及び、緑色LED5Gのコリメータレンズ9Eからの出射配光は、前記広角領域において、より精度良く当初の基準設計よりも光量が増加することになる。この場合においても、段状にすることなく、前記図14で説明したように連続した曲面で形成するようにしても良い。
【0054】
また、前記図10〜図15に示す各例を組合せ、例えば、コリメータレンズ9の入射面側と出射面側の両方を段状に、或いは、連続した曲面で変化させるようにしても良い。
【0055】
このように構成される本願の実施の形態によるバックライトユニット1では、図5に示すように、LED光源8から(青色LED5B、緑色LED5G、赤色LED5Rから)光が出射される。この際、赤色LED5Rは、逆ピラミッド型の発光素子5RAであり、通常の赤色LEDよりも発熱を抑えた発光効率が良いものとなっている。
【0056】
このため、図5中、RYL1やRYL2で示すような、LED光源8の配線基板6、コリメータレンズ9の格納部15の壁面で反射され、コリメータレンズ9に入射する迷光が発生する虞がある。
【0057】
このような迷光は、コリメータレンズ9の格納部15を形成する各壁面、すなわち、配線基板6、ユニットケース2、フロントフレーム10のLED光源8側表面6a、2a、10aに形成した光吸収部16により吸収されるので、赤色の迷光が強くなることが防止される。
【0058】
また、たとえ前記光吸収部16により吸収されない赤色の迷光があったとしても、コリメータレンズ9により、相対的に赤色LED5Rからの出射光が多かった光源部近傍の発光面部材4において、青色LED5B及び緑色LED5Gからの出射光を増加させるため、色ムラを確実に抑制する。
【0059】
このように、本発明の実施の形態によれば、逆ピラミッド型の発光素子を備えた赤色LEDを用いているため発光効率が良く、また、コリメータレンズを用いて集光して中空導光領域7に入射させるため中空導光領域7における反射損失を最低限に抑えることができ、従来の中空方式のバックライトユニットよりも輝度を向上させることができる。更に、コリメータレンズ9の格納部15を形成する各壁面に光吸収部16を形成し、また、コリメータレンズ9の断面形状を青色LED及び緑色LEDのコリメータレンズ9からの出射配光を、広角領域において当初の基準設計よりも光量が増加するように形成したので、赤色の迷光が強くなることが確実に防止される。
【0060】
尚、本実施の形態では、コリメータレンズ9の断面形状に変化を設け、且つ、光吸収部16を形成することで、赤色による色ムラを確実に無くすようにしているが、バックライトユニット1の仕様によっては、コリメータレンズ9の断面形状に変化を設けることのみで対応するようにしても良い。
【0061】
また、本実施の形態では、赤色LEDに逆ピラミッド型の発光素子を用いる例で説明したが、他の色に発光する発光素子(青色・緑色他)を逆ピラミッド型とした場合にも、本実施形態の赤色LEDと該当色のLEDに対応する部分を置き換えることで適用できることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】バックライトユニットの分解斜視図
【図2】バックライトユニットの断面図
【図3】赤色LEDの発光素子の構造説明図
【図4】赤色LEDの発光素子の発光の説明図
【図5】LED光源から出射した光の説明図
【図6】光吸収部を設けたことによる発光面色度分布の差異を比較する説明図
【図7】コリメータレンズの出射側から視た一部破断斜視図
【図8】コリメータレンズの集光特性を示す断面図
【図9】バックライトユニットの輝度分布特性を示す説明図
【図10】コリメータレンズの説明図
【図11】図10とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図
【図12】図10、図11とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図
【図13】図10〜図12とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図
【図14】図10〜図13とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図
【図15】図10〜図14とは異なる例としてのコリメータレンズの説明図
【図16】コリメータレンズの配光分布の説明図
【図17】コリメータレンズを改良したことによる発光面色度分布の差異を比較する説明図
【符号の説明】
【0063】
1 バックライトユニット(面照明装置)
2 ユニットケース
3 光反射面部材
4 発光面部材
5 LED
5B 青色LED(第2のLED)
5G 緑色LED(第2のLED)
5R 赤色LED(第1のLED)
5RA 発光素子
6 配線基板
7 中空導光領域
8 LED光源
9 コリメータレンズ(集光部品)
15 格納部
16 光吸収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のユニットケースと、
前記ユニットケースの底面側に配設した光反射面部材と、
前記ユニットケースの前記光反射面部材と対向する表側に配設した発光面部材と、
少なくとも第1の配光分布を有する第1のLEDと前記第1の配光分布とは異なる第2の配光分布を有する第2のLEDを含む多数個のLEDを配線基板に列設実装し、前記光反射面部材と前記発光面部材との間に形成した空間である中空導光領域に光を出射するように該中空導光領域に隣接して配設したLED光源と、
前記LED光源の出射部近傍に配設して前記第1のLEDの光軸を含む前記ユニットケースの厚さ方向の断面形状と前記第2のLEDの光軸を含む前記ユニットケースの厚さ方向の断面形状とを異なった形状に形成した、前記LED光源からの光を前記発光面部材の発光面に対し平行にする集光部品と、
を備えたことを特徴とする面照明装置。
【請求項2】
前記集光部品以外の方向に向かう前記LEDの発光素子からの光を吸収する光吸収部を前記配線基板と前記集光部品の格納部の少なくとも一方に設けたことを特徴とする請求項1記載の面照明装置。
【請求項3】
前記第1のLEDは、発光素子が逆ピラミッド型のLEDであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の面照明装置。
【請求項4】
前記第2のLEDは、少なくとも前記第1のLEDの発光色以外のLEDであって、
前記集光部品の前記第2のLEDの光軸を含む前記ユニットケースの厚さ方向の断面形状における予め設定する広角領域の配光分布が、前記第1のLEDの光軸を含む前記ユニットケースの厚さ方向の断面形状における予め設定する広角領域の配光分布よりも増加するように前記集光部品の断面形状を形成することを特徴とする請求項3記載の面照明装置。
【請求項5】
前記LEDから光の入射面までの距離に差異を設けることと前記LEDから入射した光が出射する出射面までの距離に差異を設けることの少なくとも一方により前記集光部品の断面形状を異なった形状とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の面照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−205968(P2009−205968A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48134(P2008−48134)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】