説明

面状光源装置

【課題】LED光源から出射された光の輝度ムラと色ムラを抑えた光学系構成としながら、導光板へ白色光を入射させる際の光損失を低減することが可能なLEDバックライトを提供する。
【解決手段】主導光板とLED素子を備えた混色用導光板の間に配置した光拡散シートを、混色用導光板のLED素子が実装された面と対向する面及びその近傍のみに光拡散シートを配置し、更に光拡散シートを透明粘着剤により接続する。これにより、輝度ムラを抑えながら効率よく主導光板へ光を導くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板と光源を用いたエッジライト方式の液晶表示装置に関し、特に光源として発光ダイオード(LED)を用いた面状光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビやパソコン等の表示デバイスとして広く使用されている液晶表示装置では、面状の照明装置を用いて液晶パネルの裏面から光を照射する。従来の冷陰極管を使用したエッジライト方式の面状照明装置の断面図を図1に示す。このような面状照明装置は、矩形状の透過性材料から成る主導光板と、主導光板の側面に対向配置された線状光源である冷陰極管を備えている。主導光板の側面から内部へ入射させた冷陰極管からの白色光は、反射を繰り返しながら主導光板の光出射面から面状に取り出される。ここで、主導光板に用いられる部材は、たとえば高い透明性を有するアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が用いられる。また、光源としては、白色光を持つ冷陰極管や熱陰極管が多く使用されている。このようなエッジライト方式の面状光源装置には、高い輝度が求められるため、光の利用効率を高めることが重要である。
【0003】
一方、近年、LED素子の発光効率の向上に伴って、その応用範囲が広がっている。そこで、面状光源装置の光源にLED光源を用いることにより、色再現範囲の向上,水銀レス化が可能となることから、液晶表示装置の高機能化を実現する手段としてLEDバックライトの開発が活発化している。LED素子は点光源であるため、線上光源が必要とされるエッジライト方式の面状光源装置に適用するため、複数個のLED素子を導光板の側面に沿って直列に配置した構成から成る(例えば参考文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−259374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LED光源を用いた面状光源装置には、高輝度化,低コスト化,低消費電力化が求められている。低コスト化,低消費電力化を実現するためには、使用するLED素子の数を削減することが有効であるが、高い輝度を維持するためには、LED素子からの光の利用効率を向上させることが重要となる。そのため、LED素子から出射した光を効率よく取り出すための光学構造の最適化が課題となっている。また、LED光源を用いることの利点である色再現範囲を向上させるためには、LED素子に赤色LED,緑色LED,青色
LED(以下RGB−LED)を用い、これらを混色して白色化させる方式を適用することが最も効果的である。そのため、主導光板の入射面において、LED光源からの白色光の輝度ムラと色ムラを抑えることが課題となる。
【0006】
そこで本発明は、上記課題に鑑みて、RGB−LED光源からの白色光の輝度ムラと色ムラを抑えた光学系構成としながら、導光板へ白色光を入射させる際の光損失を低減することによって、高輝度な面状光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、液晶パネルの主面直下に配置する導光板(以下、主導光板)と、RGB−LEDからの光を混色させて白色化するための導光板(以下、混色用導光板)を主導光板の側面に対抗配置した構成から成り、LED素子は混色用導光板に設けた凹部状の空間内に配置する。更に、主導光板と混色用導光板の間に、混色用導光板の出射面から取り出した白色光の輝度ムラを低減するための光拡散シートを、LED素子が実装された面と対向する位置及びその近傍に配置し、透明粘着剤層を用いて主導光板あるいは混色用導光板と接続することにより、光損失を低減することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明により構成された面状光源装置によれば、RGB−LED素子から出射した白色光を、輝度ムラを抑えながら効率良く主導光板へ導くことが可能となる。従って、高輝度な面状照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係わる面状光源装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図3に請求項1に記載の面状光源装置の模式図を、図4に図3で示した模式図を、厚さ方向の中心を表示方向から見たときの断面図を示す。該面状光源装置は、主導光板1,混色用導光板12,光拡散シート13,透明粘着剤16,LEDユニット9と配線基板11から成る。混色用導光板12には、LEDユニット9を収容するため、凹部形状の空間
(以下、封止空間14)が長辺方向に沿って複数個設けられている。LEDユニット9は該封止空間内に配置され、透明樹脂材料を用いて封止されている。ここで、LEDユニット9は、発光波長の異なる2種類以上のLED素子を一つのサブマウント基板上に実装された構成から成る。本実施例1では、赤色,青色,緑色のLED素子を1ユニット上に実装し、光の三原色の原理により白色光を得ている。更に、混色用導光板12に形成されたリフレクター15部において、LED素子からの出射光を繰り返し反射させ、混色用導光板の外周部に接着剤などの一般的な接着手段を用いて反射シートを接続することで、混色用導光板内での混色の効果を高めている。ここで、主導光板と混色用導光板の材質は、透明性に優れたアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂を用いて形成するのが望ましく、本実施例1では可視光領域での光透過性に優れたアクリル樹脂を用いた。
【0011】
図5に、4個のLEDユニット9を直列に配置させた場合の、図4のA−A′で示した混色用導光板の光出射面における輝度分布を示す。図5中に示したLEDユニット直上領域20は、LEDユニット9が実装された面と対向する面及びその近傍の領域であり、輝度が各LEDユニット9間の領域に比べて高いことを示している。
【0012】
そこで、図5に示したような、混色用導光板からの輝度ムラの大きな出射光を、輝度を均一化させて主導光板へ入射させるため、図4に示したように、光拡散シートを混色用導光板の出射面の各LEDユニット9が実装された面と対向する面及びその近傍のみに配置し、各LEDユニット間直上の面には配置しない構成とする。これにより、混色用導光板の出射面において、LEDユニット9が実装された直上の高輝度な領域は、該領域に配置された光拡散シートによって四方に拡散され、光拡散シートを配置していない領域の輝度と同等のレベルまで均一化することができる。よって、主導光板へ入射する光の輝度ムラを低下させることが可能となる。
【0013】
ここで、光拡散シート13は、基材シートと、該基材シートの一平面に形成された光拡散層と、光拡散層を形成していない面にバックコート層が形成された構成から成る。基材シートには、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,アクリル,ポリカーボネート,ポリスチレン,ポリオレフィン等の無色透明の合成樹脂が用いられる。本実施例1では、ポリエチレンテレフタレートを基材シートとし、その一平面に光拡散機能を備えた光拡散層を形成させた光拡散シートを用い、透明粘着剤層として、厚さ50μmのアルカリ系粘着剤を用いた透明粘着剤層を用いた。
【0014】
混色用導光板に接着する前の透明粘着剤層は、両面をプラスチック製のフィルムにより保護されている。透明粘着剤層を混色用導光板の出射面と同寸法に切断した後、まず保護フィルムの片面のみを剥離する。透明粘着剤層の保護フィルムを剥離した面を混色用導光板の出射面に貼り合わせた後に、ローラー等を用いて透明粘着剤層の保護フィルムが接着されている面から加圧することで、混色用導光板と透明粘着剤層間に残存した空気を除去する。続いて、透明粘着剤層のもう片方の面の保護フィルムを剥離し、混色導光板の入射面と同寸法に切断された光拡散シートの光拡散面が形成されていない方の面を、透明粘着剤層と貼り合わせる。ローラー等を用いて光拡散シート上を加圧して、残存した空気を除去し、透明粘着剤層に光拡散シートを接着する。以上のように形成された混色用導光板において、光拡散シートを貼り合わせた面と主導光板側面の入射面に重ね合わせる。このとき、混色用導光板と主導光板は、液晶表示装置における外枠の筐体により保持されるため、主導光板と光拡散シートの間には、それぞれの部材の表面粗さや反りによって、0.1
mm以下の厚さの空気層が形成される。
【0015】
このように形成された面状光源装置の光利用効率の向上効果を確認するため、全光束測定を行った。この結果、透明粘着剤層を使用しない場合における主導光板に入射した全光束量を100%としたとき、光拡散シートと混色用導光板を透明粘着剤層で接着することにより、全光束量は10%〜15%増加する測定結果が得られ、本発明の有効性を確認した。
【0016】
通常、光拡散シートを主導光板と混色用導光板の間に直接に配置した場合、各部材の表面粗さや反りにより、それぞれの境界面にわずかな空気層が形成される。そのため、LED素子から出射された光が混色用導光板の出射面に到達した際、混色導光板を形成しているアクリル樹脂と空気層との屈折率差により、臨界角以上の角度で到達した光は全反射され、混色用導光板の外へ取り出される光は減少してしまう。そこで、光拡散シートと混色用導光板を透明粘着剤層により接続することによって、屈折率差が小さくなり、混色用導光板の光出射面における全反射成分が抑えられ、より多くの光を混色用導光板から取り出すことが可能となる。
【0017】
なお、本発明に用いる透明粘着剤は、任意の適切な粘着剤または接着剤により形成されるいわゆる両面粘着テープであるが、アクリル系やシリコーン系等の粘着剤を用いることが望ましい。特に、主導光板,混色用導光板と透明粘着剤層の屈折率差が小さいほど光の利用効率は上がるため、主導光板、あるいは混色用導光板をアクリル樹脂で形成し、透明粘着剤層にアクリル系粘着剤を用いた場合に、最も高い光利用効率が得られる。また、面状光源装置の組立性を考慮すると、10μmから200μmの厚さの透明粘着剤層を用いることが好ましい。
【実施例2】
【0018】
実施例1において、光拡散シートの光拡散層と主導光板を透明粘着剤で接続することによっても、光利用効率を向上させることが可能であるが、光拡散シートの使用目的である光散乱効果が低減するため、面内での輝度ムラが大きくなる問題がある。
【0019】
そこで、請求項2に記載のように、図6で示す実施例2は、実施例1で用いた基材シートの一平面に光拡散層を形成した光拡散シートの代わりに、基材シートの中に光拡散機能を有する微粒子を混在させた光拡散シートを用いた場合の断面図である。その他の構成及び輝度ムラ低減の効果については、実施例1と同様である。
【0020】
このような光拡散シートをLEDユニット9が実装された面と対向する面及びその近傍のみに配置し、各LEDユニット間直上の面には配置しない構成とすることにより、混色導光板の出射面と主導光板の入射面を、それぞれ透明粘着剤層により接続させても、該光拡散シートは、基材シートの内部に光拡散機能を備えているため、光拡散シートの光散乱効果を維持しながら、光利用効率を高めることが可能になる。
【実施例3】
【0021】
請求項3に記載のように、図7に示す実施例3は、実施例1及び実施例2で用いた光拡散シートの代わりに、透明粘着剤層中に光拡散機能を有する微粒子を混在させた透明粘着剤を用いて、主導光板と混色用導光板を該透明粘着剤層により接続した場合の断面図である。その他の構成及び輝度ムラ低減の効果については実施例1と同様である。
【0022】
このような機能を有した透明粘着剤層をLEDユニット9が実装された面と対向する面及びその近傍のみに配置し、各LEDユニット間直上の面には配置しない構成とすることにより、混色導光板の出射面と主導光板の入射面を該透明粘着剤層により接着することができるため、光拡散シートの光散乱効果を維持しながら、光利用効率を高めることが可能になる。
【実施例4】
【0023】
請求項4に記載の液晶表示装置について説明する。基材シートの一平面に光拡散層を形成した光拡散シートは0.1mmから0.3mm程度の厚さを有している。そのため、実施例1で説明した構造における主導光板と混色用導光板の接続面では、光拡散シートを配置していない領域に空気層が存在し、光利用効率が低下する。
【0024】
そこで、図8に示したように、主導光板の入射面に、LEDユニット9が実装された面と対向する面及びその近傍のみに光拡散シートを収容するための凹部21を設け、該凹部に実施例1で説明した、一平面に光拡散機能を備えた光拡散層を形成させた光拡散シートを収容する。これにより、混色用導光板の出射面において、光拡散シートを配置していない領域と主導光板とを透明粘着剤層を用いて接続することができるようになるため、均一な輝度分布が得られると共に、光利用効率の高い面状光源装置を実現することができる。なお、凹部21は混色用導光板の光出射面に設けても良い。
【実施例5】
【0025】
請求項5に記載の液晶表示装置について説明する。基材シートの中に光拡散機能を有する微粒子を混在させた光拡散シートは0.1mmから0.3mm程度の厚さを有している。そのため、実施例2で説明した構造における主導光板と混色用導光板の接続面では、光拡散シートを配置していない領域に空気層が存在し、光利用効率が低下する。
【0026】
そこで、図9に示したように、主導光板の入射面に、LEDユニット9が実装された面と対向する面及びその近傍のみに光拡散シートを収容するための凹部21を設け、該凹部に実施例2で説明した、基材シートの中に光拡散機能を有する微粒子を混在させた光拡散シートを、該凹部21内へ収容することにより、混色用導光板の出射面において、該光拡散シートを配置していない領域と主導光板の接続面を、透明粘着剤層を用いて接続することができる。そのため、主導光板の光入射面において、均一な輝度分布が得られると共に、光利用効率の高い面状光源装置を実現することができる。なお、凹部21は混色用導光板の光出射面に設けても良い。
【0027】
以上、本発明を用いることにより、輝度分布が均一で光利用効率の高いLEDバックライトを実現できる。なお、上述したすべての実施形態を通じて、LED光源は主導光板の一側面にのみに配置されたものであったが、主導光板の両側面に同一構造の光源を設けたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来の冷陰極管を用いたエッジライト方式バックライトの断面図。
【図2】従来のLED光源を用いたエッジライト方式バックライトの断面図。
【図3】本実施例1のLEDバックライトの模式図。
【図4】図3模式図の厚さ方向の中心を表示方向から見たときの断面図。
【図5】図4のA−A′で示した混色導光板の光出射面の輝度分布図。
【図6】本実施例2のLEDバックライトの断面図。
【図7】本実施例3のLEDバックライトの断面図。
【図8】本実施例4のLEDバックライトの断面図。
【図9】本実施例5のLEDバックライトの断面図。
【符号の説明】
【0029】
1…主導光板、2…側面反射シート、3…裏面反射シート、4…光拡散シート、5…第1集光板、6…第2集光板、7…冷陰極蛍光管、8,15…リフレクター、9…LEDユニット、10…レンズ、11…配線基板、12…混色用導光板、13…光拡散シート、
14…封止空間、16…透明粘着剤、17…光拡散面、18…基材シート、19…光拡散機能付透明粘着剤、20…LEDユニット直上領域、21…凹部、22…空気層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一平面に光拡散層を備えた光拡散シートを、主導光板と主発光波長の異なる2種類以上の発光ダイオード(以下、LED)からの光を混色するための混色用導光板の間に配置したエッジライト方式の面状光源装置において、LED素子が実装された面と対向する面及びその近傍のみに光拡散シートを配置し、混色用導光板の光出射面と光拡散シートの光拡散層が形成された面と対向する面を透明粘着剤層により接続したことを特徴とする面状光源装置。
【請求項2】
透明な基材シートの内部に光拡散機能を備えた微粒子が分散した光拡散シートを、主導光板と混色用導光板の接続面間に配置したエッジライト方式の面状光源装置において、該光拡散シートをLED素子が実装された面と対向する面及びその近傍のみに配置し、該光拡散シートと主導光板及び混色用導光板との各接続面を、透明粘着剤層により接続したことを特徴とする面状光源装置。
【請求項3】
透明粘着剤の内部に光拡散機能を備えた微粒子が分散した透明粘着剤を、主導光板と混色用導光板の接続面間に配置したエッジライト方式の面状光源装置において、該透明粘着剤をLED素子が実装された面と対向する面及びその近傍のみに配置し、該透明粘着剤と主導光板及び混色用導光板を接続したことを特徴とする面状光源装置。
【請求項4】
基材シートの一平面に光拡散層を備えた光拡散シートを、主導光板と混色用導光板の接続面間に配置したエッジライト方式の面状光源装置において、該光拡散シートを混色用導光板のLED素子が実装された面と対向する面及びその近傍のみに配置し、主導光板の光入射面あるいは混色用導光板の光出射面に光拡散シートを収容するための凹部を形成し、光拡散シートの光拡散層が形成された面と対向する面と混色用導光板の接続面、及び混色用導光板の光拡散シートが配置されていない光出射面と主導光板との接続面を、透明粘着剤層により接続したことを特徴とする面状光源装置。
【請求項5】
透明な基材シートの内部に光拡散機能を備えた微粒子が分散した光拡散シートを、主導光板と混色用導光板の接続面間に配置したエッジライト方式の面状光源装置において、該光拡散シートを混色用導光板のLED素子が実装された面と対向する面及びその近傍のみに配置し、主導光板の光入射面あるいは混色用導光板の光出射面に光拡散シートを収容するための凹部を形成し、該光拡散シートと主導光板及び混色用導光板との各接続面、及び混色用導光板の光拡散シートが配置されていない光出射面と主導光板の接続面を、透明粘着剤層により接続したことを特徴とする面状光源装置。
【請求項6】
透明粘着剤層が、10μmから200μmの厚みであるアクリル系粘着剤から成ることを特徴する請求項1から請求項5に記載の面状光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−53068(P2008−53068A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228541(P2006−228541)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】