面状発光装置およびシートスイッチモジュール
【課題】光の効率的な利用が可能であり、かつ取り扱い性に優れ、漏光を抑えることができ、しかもコスト低減が可能な面状発光装置を提供する。
【解決手段】シート基材2と、シート基材2の表面2aの一部領域に形成されたコア層3と、コア層3に光を導入する光源4とを備えた面状発光装置1。コア層3は、シート基材2の表面2aに延在して光を導く導光路であり、コア層3に光取出部5が形成されている。
【解決手段】シート基材2と、シート基材2の表面2aの一部領域に形成されたコア層3と、コア層3に光を導入する光源4とを備えた面状発光装置1。コア層3は、シート基材2の表面2aに延在して光を導く導光路であり、コア層3に光取出部5が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等に好適に用いられる面状発光装置およびシートスイッチモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、情報携帯端末、パーソナルコンピュータなどの機器では、操作キーを照明するための面状発光装置が操作キーとスイッチ素子との間に設けられている。面状発光装置はシート状の導光体が用いられるため、特に、薄型化、軽量化が要求されるモバイル機器では広く用いられている。
図11は、面状発光装置の一例を用いたキースイッチモジュールを示すもので、このキースイッチモジュールは、ハウジング101、102間に、基板103と、スイッチ104aを有したスイッチ層104と、EL(エレクトロルミネッセンス)材料からなる薄膜照明手段105と、複数の操作キー106を有したキーシート108とが積層して設けられている(特許文献1参照)。
この構成においては、薄膜照明手段105から発せられる光により、キーシート108を照明している。
【0003】
図12は、照光機能を有するキースイッチモジュールの他の例を示すもので、このキースイッチモジュールは、回路基板111と、入光部112と、可動接点113を有する可動接点付きシート114と、照光ムラ防止用の光拡散調整部115とを備えている。
光拡散調整部115は、入光部112から可動接点113への距離に応じて入光部112からの光の拡散率を上昇させることで照光ムラを防止するように構成されている(特許文献2参照)。
【0004】
図13は、照光用導光体の例を示すもので、この照光用導光体121は、互いに平行に延在する照光部122a〜122dと、これらの端部間を連結した導光路部123とを備え、導光路部123には分光部125a〜125dが形成されている。
LED126からの光を、入光部124から導光路部123に入射させると、光は分光部125a〜125dで反射してそれぞれ照光部122a〜122dに導かれる(特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−148213号公報
【特許文献2】特開2007−305313号公報
【特許文献3】実公平6−35203号公報
【特許文献4】実用新案登録第2527183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された構成のように、薄膜照明手段105としてEL材料を用いた場合、回路系が複雑になるだけでなく、駆動のためのドライバ等も搭載しなければならず、モジュール組立てが煩雑になる。また、EL材料を機能させるために必要な部品を追加して組み込むため、モジュール全体の小型化が困難になり、コストも高くなるという問題がある。
特許文献2に記載のモジュールでは、照度ムラをなくすには限界があった。また、シート114の不必要な箇所まで光が行き渡ることとなって発光効率が低くなることがあった。また、シート114と接する粘着材に光が吸収されるという問題もあった。
特許文献3、4記載の照光用導光体121は、穴の開いた形状となるため強度が低くなるという問題があった。また、柔軟な素材で形成すると照光用導光体121が絡まりやすく、取り扱い性の点で問題があった。また、照光用導光体121と他の部材との接触面や、照光用導光体121を固定するための粘着材から光が漏れるおそれもあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、光の効率的な利用が可能であり、かつ取り扱い性に優れ、漏光を抑えることができ、しかもコスト低減が可能な面状発光装置およびシートスイッチモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の面状発光装置は、シート基材と、前記シート基材の表面の一部領域に形成されたコア層と、前記コア層に光を導入する光源とを備え、前記コア層は、前記シート基材の表面に延在して前記光を導く導光路であり、前記コア層の少なくとも一部に、前記コア層内の光を散乱させて外部に出射させる光取出部が形成されている面状発光装置である。
前記コア層は、前記コア層よりも屈折率が低い材料からなる接着層を介して前記シート基材に接着されていることが好ましい。
前記シート基材は、前記コア層よりも屈折率が低い材料からなることが好ましい。
本発明の面状発光装置は、前記シート基材に、前記コア層から前記シート基材内に漏れた光を吸収する光吸収体が形成され、前記光吸収体が、前記コア層に接しないように形成されている構成としてよい。
前記シート基材は、前記コア層が形成される表面が、金属膜または誘電体多層膜により前記コア層内の光を反射する反射面とされている構成も可能である。
本発明のシートスイッチモジュールは、前記面状発光装置と、シートスイッチとを備えたシートスイッチモジュールである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コア層がシート基材の一部領域にのみ設けられているので、光が不必要な領域に拡がることがなく、光の効率的な利用が可能となる。
また、目的とする箇所のみに光を導く光学設計が可能であることから、光取出部における輝度や照度の設定が容易であり、照度ムラを改善することができる。
コア層はシート基材に設けられるため、これらをシート状物として取り扱うことが可能となるから、取り扱い性は良好であり、しかも十分な機械的強度を確保できる。
また、面状発光装置をモジュール化するに際して、粘着材等による他の部材への接着が必要となる場合には、粘着材の設置箇所をシート基材(例えばシート基材の裏面)とし、粘着材がコア層に接しないようにすれば、コア層から粘着材を介して外部に光が漏れるおそれはない。
また、コア層を導光路として用いるため、構造が複雑で高価な照明手段(EL装置など)が不要であることから、小型化および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の面状発光装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側断面図、(c)は(b)の要部を拡大した図である。
【図2】第1実施形態の面状発光装置の変形例の要部を示す側断面図である。
【図3】本発明の面状発光装置の第2実施形態を示す平面図である。
【図4】面状発光装置のシート基材内の光の挙動を示す説明図である。
【図5】試験装置を示す模式図である。
【図6】漏れ光が他のコア層に導入されるのを防ぐための構造の一例を模式的に示す斜視図である。
【図7】前図の構造のシート基材内の光の挙動を示す説明図である。
【図8】漏れ光が他のコア層に導入されるのを防ぐための構造の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図9】前図の構造のシート基材内の光の挙動を示す説明図である。
【図10】シートスイッチモジュールの一例を示す断面図である。
【図11】従来の面状発光装置の第1の例を示す分解斜視図である。
【図12】従来の面状発光装置の第2の例を示す図であり、(a)は要部断面図、(b)は平面図である。
【図13】従来の面状発光装置の第3の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である面状発光装置1の概略構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側断面図、(c)は(b)の要部を拡大した図である。
この面状発光装置1は、シート基材2と、シート基材2の表面2aに形成されたコア層3と、コア層3に光を導入する光源4とを備えている。
【0011】
図1(a)および図1(b)に示すように、シート基材2は、樹脂などからなるシート状体であって、可撓性を有することが好ましい。
シート基材2の材料は特に限定されないが、例えば透明な光透過性樹脂を使用できる。光透過性樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のエラストマー、ウレタンアクリレート等がある。
シート基材2は、コア層3よりも低屈折率とすることができる。この屈折率は低いほど好ましく、例えば1.4以下(例えば1〜1.4)とすることができる。
【0012】
図示例のシート基材2は平面視矩形状であるが、平面形状はこれに限らず、任意としてよい。この面状発光装置1をモジュール化する際には、モジュール形状に応じた形状のシート基材2を使用できる。
モジュール化に際し、面状発光装置1を他の部材に粘着材で固定するには、粘着材の設置箇所をシート基材2(例えばシート基材2の裏面)とし、粘着材がコア層3に接しないようにすれば、コア層3から粘着材を介して外部に光が漏れるおそれはない。
【0013】
シート基材2は、コア層3が形成される表面2aに金属膜または誘電体多層膜を形成することにより、この表面2aを、コア層3内の光を反射する反射面としてもよい。
金属膜は、例えばAl(アルミニウム)、Ag(銀)、Au(金)などの蒸着等により形成することができる。誘電体多層膜は、例えば、SiO2、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5などの誘電体からなる層を複数層、積層して形成することができる。
この構成によれば、表面2aが反射面となるため、後述する接着層13との界面での反射を考慮する必要が小さくなることから、接着層13の材料選択の幅が広くなる。
【0014】
コア層3は、透明な光透過性樹脂からなり、シート基材2の表面2aの一部領域に延在する導光路となる。
光透過性樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のエラストマー、ウレタンアクリレート等を用いることができる。
【0015】
コア層3の厚さは、例えば0.1〜1mmとすることができる。コア層3の厚さ変動幅は10μm以下とするのが好ましい。これによって、コア層3表面の凹凸形成を防ぐことができる。コア層3の表面粗さRa(JIS B0601に規定する算術平均粗さRa)は0.1μm以下が好ましい。
【0016】
コア層3は、主導光部6と、主導光部6に対し交差する方向に延出する枝導光部7、7とを有する。
主導光部6は、直線状に形成するのが好ましい。この例では、主導光部6は図1(a)の左右方向に延在する直線状とされている。
第1の枝導光部7(7A)は、主導光部6の長さ方向中間位置にある分岐部6aから延出する導光路であって、円弧状に湾曲しつつ延出する湾曲部8と、その先端から直線状に延出する延出部9とを有する。
延出部9は、主導光部6に対し垂直な方向(図1(a)の下方)に延在している。
【0017】
第2の枝導光部7(7B)は、主導光部6の先端から延出する導光路であって、円弧状に湾曲しつつ延出する湾曲部11と、その先端から直線状に延出する延出部12とを有する。
延出部12は、主導光部6に対し垂直な方向(図1(a)の下方)に延在している。
第2の枝導光部7(7B)は、第1の枝導光部7(7A)よりも主導光部6の延出方向側(図1(a)の右方)に位置する。第1および第2の枝導光部7(7A、7B)は、主導光部6の延出方向に間隔をおいて形成されている。
【0018】
図1(a)に示すように、コア層3の上面3bには、入射光を散乱させてコア層3の上面3b側に取り出す(出射させる)光取出部5を形成することができる。光取出部5によって、目的とする部分(例えばキースイッチモジュールの操作キー部)を明るく表示することができる。
光取出部5をコア層3の上面3bに形成すれば、散乱光がシート基材2に入るのを防ぐことができるため損失低減の点で好ましい。
【0019】
図示例では、光取出部5は、第1の枝導光部7(7A)の延出部9に長さ方向に間隔をおいて複数形成されている。光取出部5は、第2の枝導光部7(7B)の延出部12にも長さ方向に間隔をおいて複数形成されている。
光取出部5は、例えば印刷により形成された複数の微小ドット状のインク層とすることができる。光取出部5はスクリーン印刷法、グラビア印刷法、パッド印刷法などの印刷法により形成することができる。
なお、光取出部5は、コア層3に形成された切り欠き、粗面部などの凹凸部であってもよい。粗面部の形成にはナノインプリントやサンドブラストを採用できる。
【0020】
図1(c)に示すように、コア層3は、接着層13を介してシート基材2の表面2aに接着することができる。
接着層13としては、コア層3より光の屈折率が低いものが用いられる。接着層13の屈折率が低いほどコア層3内の光の閉じ込め効果が高くなる。
接着層13の構成材料としては、シート基材2と同じ材料を用いることもできるし、コア層3と同じ材料を用いることもできる。
接着層13の構成材料としては、光の吸収が少ないものが好ましく、透明な光透過性樹脂が好ましい。接着層13としては、従来公知のワニス樹脂を使用してもよい。接着層13の材料としては、フッ素樹脂、シリコン樹脂などがある。
【0021】
図2に示すように、コア層3の下面3aは介在物なしでシート基材2の表面2aに接していてもよい。この構造のコア層3を作製するには、コア層3を印刷によりシート基材2の表面2aに形成する方法をとることができる。
この構造のコア層3は、コア層3の形成およびシート基材2への固定を同時に行うことができるため、製造工程が簡略であるという利点がある。
【0022】
光源4としては、発光ダイオード(以下、LEDという)(発光素子)を使用できる。
図1(b)に示すように、光源4は、発光面4aをコア層3の主導光部6の一端部6cの端面に対面させて設置される。
なお、光源4として使用される発光素子は、LEDに限らず、冷陰極管などでもよい。
【0023】
図1(a)および図1(b)に示すように、光源4からの光は、コア層3の主導光部6の一端部6cの端面からコア層3内に導入され、上面3b、下面3a等に反射しつつ主導光部6内を伝搬する。
主導光部6内を伝搬する光の一部は第1の枝導光部7(7A)に導入され、主導光部6内をさらに伝搬した光は第2の枝導光部7(7B)に導入される。
枝導光部7(7A、7B)に導入された光は、延出方向(図1(a)の下方)に進み、その一部は、光取出部5で散乱して上面3b側に取り出される。これによって、目的とする部分(例えば操作キー部)を明るく表示することができる。
【0024】
面状発光装置1は、コア層3がシート基材2の一部領域にのみ設けられているので、光が不必要な領域に拡がることがなく、光の効率的な利用が可能となる。
また、目的とする箇所のみに光を導く光学設計が可能であることから、光取出部5における輝度や照度の設定が容易であり、照度ムラを改善することができる。
コア層3はシート基材2に設けられるため、これらをシート状物として取り扱うことが可能となる。このため、取り扱い性が良好であり、しかも十分な機械的強度を確保できる。
面状発光装置1をモジュール化するに際しては、粘着材等による他の部材への接着が必要となることがあるが、粘着材の設置箇所をシート基材2(例えばシート基材2の裏面)とし、粘着材がコア層3に接しないようにすれば、コア層3から粘着材を介して外部に光が漏れるおそれはない。
また、コア層3を導光路として用いるため、構造が複雑で高価な照明手段(EL装置など)が不要であることから、小型化および低コスト化を図ることができる。
【0025】
図3は、本発明の第2実施形態である面状発光装置31の概略構成を示す平面図である。
以下、第1の実施形態の面状発光装置1との共通部分については同一符号を付してその説明を省略することがある。
この面状発光装置31は、シート基材2と、シート基材2の表面2aに形成された2つのコア層3、3と、光源4、4とを備えている。
【0026】
第1のコア層3(3A)は、シート基材2の一方の縁部2bから他方の縁部2cに向けて延出する主導光部16と、主導光部16に対し交差する方向に延出する3つの枝導光部17、17、17とを有する。
第1の枝導光部17(17A)は、主導光部16の第1の分岐部16aから分岐して延出する導光路である。
第2の枝導光部17(17B)は、主導光部16の第2の分岐部16bから分岐して延出する導光路である。第2の分岐部16bは、第1の分岐部16aより主導光部16の延出方向側の位置(図3の右方位置)にあるため、第2の枝導光部17(17B)は、第1の枝導光部17(17A)よりも主導光部16の延出方向側に位置する。
第3の枝導光部17(17C)は、主導光部16の先端から延出する導光路である。第3の枝導光部17(17C)は、第2の枝導光部17(17B)よりも主導光部16の延出方向側に位置する。
第1〜第3の枝導光部17(17A〜17C)は、図3の下方に向けて延出しており、それぞれに光取出部5が形成されている。第1〜第3の枝導光部17(17A〜17C)は、主導光部16の延出方向に間隔をおいて形成されている。
【0027】
第2のコア層3(3B)は、シート基材2の他方の縁部2cから一方の縁部2bに向けて延出する主導光部26と、主導光部26に対し交差する方向に延出する3つの枝導光部27、27、27とを有する。
第1の枝導光部27(27A)は、主導光部26の第1の分岐部26aから分岐して延出する導光路である。
第2の枝導光部27(27B)は、主導光部26の第2の分岐部26bから分岐して延出する導光路である。第2の分岐部26bは、第1の分岐部26aより主導光部26の延出方向側の位置(図3の左方位置)にあるため、第2の枝導光部27(27B)は、第1の枝導光部27(27A)よりも主導光部26の延出方向側に位置する。
第3の枝導光部27(27C)は、主導光部26の先端から延出する導光路である。第3の枝導光部27(27C)は、第2の枝導光部27(27B)よりも主導光部26の延出方向側に位置する。
第1〜第3の枝導光部27(27A〜27C)は、図3の上方に向けて延出しており、それぞれに光取出部5が形成されている。第1〜第3の枝導光部27(27A〜27C)は、主導光部26の延出方向に間隔をおいて形成されている。
【0028】
第1枝導光部27(27A)は、第3の枝導光部17(17C)と第2の枝導光部17(17B)の間に設けられ、第2枝導光部27(27B)は、第2の枝導光部17(17B)と第1の枝導光部17(17A)の間に設けられ、第3枝導光部27(27C)は、第1の枝導光部17(17A)の一方の縁部2b側に設けられており、これによって2つのコア層3、3の合計6本の枝導光部17、27は、互いに並列して配置されている。図示例では、合計6本の枝導光部17、27は、隣り合う2本の枝導光部17、27の間隔が互いに等しくなるように配置されている。
【0029】
第1のコア層3(3A)に光を導入する第1の光源4(4A)は一方の縁部2b側に設けられ、第2のコア層3(3B)に光を導入する第2の光源4(4B)は他方の縁部2c側に設けられている。
【0030】
第1の光源4(4A)からの光は、第1のコア層3(3A)の主導光部16の一端部16cから導入され、一部は第1の枝導光部17(17A)に導入され、主導光部16内をさらに伝搬した光の一部は第2の枝導光部17(17B)に導入され、残りの光は第3の枝導光部17(17C)に導入される。枝導光部17(17A〜17B)に導入された光の一部は、光取出部5で散乱して外部に取り出される。
第2の光源4(4B)からの光は、第2のコア層3(3B)の主導光部26の一端部26cから導入され、一部は第1の枝導光部27(27A)に導入され、主導光部26内をさらに伝搬した光の一部は第2の枝導光部27(27B)に導入され、残りの光は第3の枝導光部27(27C)に導入される。枝導光部27(27A〜27B)に導入された光の一部は、光取出部5で散乱して外部に取り出される。
【0031】
この面状発光装置31では、2つのコア層3を有するので、各コア層3に異なる色の光を導入することで、2色表示が可能となる。このため、美感に優れた表示が可能である。
【0032】
面状発光装置31のように、2以上のコア層3を有する場合には、1つのコア層3に導入されるべき光が他のコア層3に導入されてしまうことが起こり得る。
例えば、図4(a)に示すように、シート基材2が比較的厚いと、シート基材2を伝搬する光に高次モード光が多くなるため、第1のコア層3(3A)に導入されるべき光Lがシート基材2を通して第2のコア層3(3B)に導入されやすくなる。
これに対し、図4(b)に示すように、シート基材2が比較的薄いと、低次モード光が多くなるため、第2のコア層3(3B)への光Lの導入が起こりにくくなる。
このため、シート基材2は比較的薄く、例えば厚さ50μm以下が好ましい。シート基材2を薄くし過ぎると機械的強度が低下するため、シート基材2の厚さは25μm以上が好ましい。このため、シート基材2の好適な厚さは25〜50μmである。
【0033】
図5に示すように、シート基材2の表面2aに、2つのコア層3(コア層3A、3B)を、互いに平行かつ間隔をおいて形成した試験装置(コア層3、3間の距離10mm)を用いて次の試験を行った。コア層3は長さL1:70mm、幅W1:2mm、厚さT1:0.2mmとした。
シート基材2の厚さを50μmとして、光源4からコア層3Aに光を導入し、コア層3A内の光に対するコア層3B内の光の比率を調べたところ、9.3%であった。これに対し、シート基材2の厚さを25μmとすると、コア層3B内の光の比率は3.3%であった。
この結果より、シート基材2が薄い方が、他のコア層3への光の導入を防止できることがわかった。
【0034】
図6および図7は、1つのコア層3からの漏れ光が他のコア層3に導入されるのを防ぐための構造の一例を示すもので、図6はこの構造を模式的に示す斜視図であり、図7はこの構造の断面を示す模式図である。
この構造では、シート基材2の表面2aの第1のコア層3(3A)と第2のコア層3(3B)の間に、光吸収層14(光吸収体)が設けられている。
光吸収層14は、コア層3、3に沿って直線状に形成されている。光吸収層14は、コア層3に接しないように形成されている。
光吸収層14は、光を吸収する機能があれば特に限定されないが、着色インク層が好ましい。光吸収機能を考えると、暗色が好ましく、特に黒色が好適である。
図7に示すように、第1のコア層3(3A)から漏れてシート基材2内を伝搬する光Lは、光吸収層14によって吸収されるため、第2のコア層3(3B)への伝搬が阻止される。なお、光吸収層14は、シート基材2の裏面2dに形成した場合でも同様の効果(光の伝搬阻止)を期待できる。
【0035】
図8および図9は、1つのコア層3からの漏れ光が他のコア層3に導入されるのを防ぐための構造の他の例を示すもので、この構造では、光吸収層15(光吸収体)は、シート基材2の裏面2dの全面に形成されている。光吸収層は、コア層に当接しないように設けられる。
この構造においても、第1のコア層3(3A)から漏れてシート基材2内を伝搬する光は、光吸収層15によって吸収されるため、第2のコア層3(3B)への伝搬が阻止される。
【0036】
図10は、シートスイッチモジュールの一例を示すもので、このシートスイッチモジュール30は、面状発光装置1と、面状発光装置1の下面側に設けられたシートスイッチ20とを備えている。
シートスイッチ20は、基板21の上面21a(一方の面)に、複数の中央接点部22と、各中央接点部22を囲む環状接点部23と、接点部22、23を覆うドーム形状のメタルプレート24(可動接点部)とが設けられている。
基板21としては、PCB(Printed Circuit Board)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのプリント配線基板を使用できる。
メタルプレート24は、操作者による押圧によって中央部が下方に変形して中央接点部22に当接し、中央接点部22と環状接点部23とを導通させることができる。メタルプレート24は、押圧を外すと弾性により原状に回復し、中央接点部22と環状接点部23とは非導通状態となる。
中央接点部22と、これを囲む環状接点部23と、メタルプレート24とは、感圧型のスイッチ素子25を構成している。
面状発光装置1は、アクリル樹脂などの粘着材からなる粘着層18を介してシートスイッチ20に接着される。
【符号の説明】
【0037】
1、31・・・面状発光装置、2・・・シート基材、2a・・・表面、3、3A、3B・・・コア層、4・・・光源、5・・・光取出部、14、15・・・光吸収層(光吸収体)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等に好適に用いられる面状発光装置およびシートスイッチモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、情報携帯端末、パーソナルコンピュータなどの機器では、操作キーを照明するための面状発光装置が操作キーとスイッチ素子との間に設けられている。面状発光装置はシート状の導光体が用いられるため、特に、薄型化、軽量化が要求されるモバイル機器では広く用いられている。
図11は、面状発光装置の一例を用いたキースイッチモジュールを示すもので、このキースイッチモジュールは、ハウジング101、102間に、基板103と、スイッチ104aを有したスイッチ層104と、EL(エレクトロルミネッセンス)材料からなる薄膜照明手段105と、複数の操作キー106を有したキーシート108とが積層して設けられている(特許文献1参照)。
この構成においては、薄膜照明手段105から発せられる光により、キーシート108を照明している。
【0003】
図12は、照光機能を有するキースイッチモジュールの他の例を示すもので、このキースイッチモジュールは、回路基板111と、入光部112と、可動接点113を有する可動接点付きシート114と、照光ムラ防止用の光拡散調整部115とを備えている。
光拡散調整部115は、入光部112から可動接点113への距離に応じて入光部112からの光の拡散率を上昇させることで照光ムラを防止するように構成されている(特許文献2参照)。
【0004】
図13は、照光用導光体の例を示すもので、この照光用導光体121は、互いに平行に延在する照光部122a〜122dと、これらの端部間を連結した導光路部123とを備え、導光路部123には分光部125a〜125dが形成されている。
LED126からの光を、入光部124から導光路部123に入射させると、光は分光部125a〜125dで反射してそれぞれ照光部122a〜122dに導かれる(特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−148213号公報
【特許文献2】特開2007−305313号公報
【特許文献3】実公平6−35203号公報
【特許文献4】実用新案登録第2527183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された構成のように、薄膜照明手段105としてEL材料を用いた場合、回路系が複雑になるだけでなく、駆動のためのドライバ等も搭載しなければならず、モジュール組立てが煩雑になる。また、EL材料を機能させるために必要な部品を追加して組み込むため、モジュール全体の小型化が困難になり、コストも高くなるという問題がある。
特許文献2に記載のモジュールでは、照度ムラをなくすには限界があった。また、シート114の不必要な箇所まで光が行き渡ることとなって発光効率が低くなることがあった。また、シート114と接する粘着材に光が吸収されるという問題もあった。
特許文献3、4記載の照光用導光体121は、穴の開いた形状となるため強度が低くなるという問題があった。また、柔軟な素材で形成すると照光用導光体121が絡まりやすく、取り扱い性の点で問題があった。また、照光用導光体121と他の部材との接触面や、照光用導光体121を固定するための粘着材から光が漏れるおそれもあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、光の効率的な利用が可能であり、かつ取り扱い性に優れ、漏光を抑えることができ、しかもコスト低減が可能な面状発光装置およびシートスイッチモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の面状発光装置は、シート基材と、前記シート基材の表面の一部領域に形成されたコア層と、前記コア層に光を導入する光源とを備え、前記コア層は、前記シート基材の表面に延在して前記光を導く導光路であり、前記コア層の少なくとも一部に、前記コア層内の光を散乱させて外部に出射させる光取出部が形成されている面状発光装置である。
前記コア層は、前記コア層よりも屈折率が低い材料からなる接着層を介して前記シート基材に接着されていることが好ましい。
前記シート基材は、前記コア層よりも屈折率が低い材料からなることが好ましい。
本発明の面状発光装置は、前記シート基材に、前記コア層から前記シート基材内に漏れた光を吸収する光吸収体が形成され、前記光吸収体が、前記コア層に接しないように形成されている構成としてよい。
前記シート基材は、前記コア層が形成される表面が、金属膜または誘電体多層膜により前記コア層内の光を反射する反射面とされている構成も可能である。
本発明のシートスイッチモジュールは、前記面状発光装置と、シートスイッチとを備えたシートスイッチモジュールである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コア層がシート基材の一部領域にのみ設けられているので、光が不必要な領域に拡がることがなく、光の効率的な利用が可能となる。
また、目的とする箇所のみに光を導く光学設計が可能であることから、光取出部における輝度や照度の設定が容易であり、照度ムラを改善することができる。
コア層はシート基材に設けられるため、これらをシート状物として取り扱うことが可能となるから、取り扱い性は良好であり、しかも十分な機械的強度を確保できる。
また、面状発光装置をモジュール化するに際して、粘着材等による他の部材への接着が必要となる場合には、粘着材の設置箇所をシート基材(例えばシート基材の裏面)とし、粘着材がコア層に接しないようにすれば、コア層から粘着材を介して外部に光が漏れるおそれはない。
また、コア層を導光路として用いるため、構造が複雑で高価な照明手段(EL装置など)が不要であることから、小型化および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の面状発光装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側断面図、(c)は(b)の要部を拡大した図である。
【図2】第1実施形態の面状発光装置の変形例の要部を示す側断面図である。
【図3】本発明の面状発光装置の第2実施形態を示す平面図である。
【図4】面状発光装置のシート基材内の光の挙動を示す説明図である。
【図5】試験装置を示す模式図である。
【図6】漏れ光が他のコア層に導入されるのを防ぐための構造の一例を模式的に示す斜視図である。
【図7】前図の構造のシート基材内の光の挙動を示す説明図である。
【図8】漏れ光が他のコア層に導入されるのを防ぐための構造の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図9】前図の構造のシート基材内の光の挙動を示す説明図である。
【図10】シートスイッチモジュールの一例を示す断面図である。
【図11】従来の面状発光装置の第1の例を示す分解斜視図である。
【図12】従来の面状発光装置の第2の例を示す図であり、(a)は要部断面図、(b)は平面図である。
【図13】従来の面状発光装置の第3の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である面状発光装置1の概略構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側断面図、(c)は(b)の要部を拡大した図である。
この面状発光装置1は、シート基材2と、シート基材2の表面2aに形成されたコア層3と、コア層3に光を導入する光源4とを備えている。
【0011】
図1(a)および図1(b)に示すように、シート基材2は、樹脂などからなるシート状体であって、可撓性を有することが好ましい。
シート基材2の材料は特に限定されないが、例えば透明な光透過性樹脂を使用できる。光透過性樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のエラストマー、ウレタンアクリレート等がある。
シート基材2は、コア層3よりも低屈折率とすることができる。この屈折率は低いほど好ましく、例えば1.4以下(例えば1〜1.4)とすることができる。
【0012】
図示例のシート基材2は平面視矩形状であるが、平面形状はこれに限らず、任意としてよい。この面状発光装置1をモジュール化する際には、モジュール形状に応じた形状のシート基材2を使用できる。
モジュール化に際し、面状発光装置1を他の部材に粘着材で固定するには、粘着材の設置箇所をシート基材2(例えばシート基材2の裏面)とし、粘着材がコア層3に接しないようにすれば、コア層3から粘着材を介して外部に光が漏れるおそれはない。
【0013】
シート基材2は、コア層3が形成される表面2aに金属膜または誘電体多層膜を形成することにより、この表面2aを、コア層3内の光を反射する反射面としてもよい。
金属膜は、例えばAl(アルミニウム)、Ag(銀)、Au(金)などの蒸着等により形成することができる。誘電体多層膜は、例えば、SiO2、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5などの誘電体からなる層を複数層、積層して形成することができる。
この構成によれば、表面2aが反射面となるため、後述する接着層13との界面での反射を考慮する必要が小さくなることから、接着層13の材料選択の幅が広くなる。
【0014】
コア層3は、透明な光透過性樹脂からなり、シート基材2の表面2aの一部領域に延在する導光路となる。
光透過性樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のエラストマー、ウレタンアクリレート等を用いることができる。
【0015】
コア層3の厚さは、例えば0.1〜1mmとすることができる。コア層3の厚さ変動幅は10μm以下とするのが好ましい。これによって、コア層3表面の凹凸形成を防ぐことができる。コア層3の表面粗さRa(JIS B0601に規定する算術平均粗さRa)は0.1μm以下が好ましい。
【0016】
コア層3は、主導光部6と、主導光部6に対し交差する方向に延出する枝導光部7、7とを有する。
主導光部6は、直線状に形成するのが好ましい。この例では、主導光部6は図1(a)の左右方向に延在する直線状とされている。
第1の枝導光部7(7A)は、主導光部6の長さ方向中間位置にある分岐部6aから延出する導光路であって、円弧状に湾曲しつつ延出する湾曲部8と、その先端から直線状に延出する延出部9とを有する。
延出部9は、主導光部6に対し垂直な方向(図1(a)の下方)に延在している。
【0017】
第2の枝導光部7(7B)は、主導光部6の先端から延出する導光路であって、円弧状に湾曲しつつ延出する湾曲部11と、その先端から直線状に延出する延出部12とを有する。
延出部12は、主導光部6に対し垂直な方向(図1(a)の下方)に延在している。
第2の枝導光部7(7B)は、第1の枝導光部7(7A)よりも主導光部6の延出方向側(図1(a)の右方)に位置する。第1および第2の枝導光部7(7A、7B)は、主導光部6の延出方向に間隔をおいて形成されている。
【0018】
図1(a)に示すように、コア層3の上面3bには、入射光を散乱させてコア層3の上面3b側に取り出す(出射させる)光取出部5を形成することができる。光取出部5によって、目的とする部分(例えばキースイッチモジュールの操作キー部)を明るく表示することができる。
光取出部5をコア層3の上面3bに形成すれば、散乱光がシート基材2に入るのを防ぐことができるため損失低減の点で好ましい。
【0019】
図示例では、光取出部5は、第1の枝導光部7(7A)の延出部9に長さ方向に間隔をおいて複数形成されている。光取出部5は、第2の枝導光部7(7B)の延出部12にも長さ方向に間隔をおいて複数形成されている。
光取出部5は、例えば印刷により形成された複数の微小ドット状のインク層とすることができる。光取出部5はスクリーン印刷法、グラビア印刷法、パッド印刷法などの印刷法により形成することができる。
なお、光取出部5は、コア層3に形成された切り欠き、粗面部などの凹凸部であってもよい。粗面部の形成にはナノインプリントやサンドブラストを採用できる。
【0020】
図1(c)に示すように、コア層3は、接着層13を介してシート基材2の表面2aに接着することができる。
接着層13としては、コア層3より光の屈折率が低いものが用いられる。接着層13の屈折率が低いほどコア層3内の光の閉じ込め効果が高くなる。
接着層13の構成材料としては、シート基材2と同じ材料を用いることもできるし、コア層3と同じ材料を用いることもできる。
接着層13の構成材料としては、光の吸収が少ないものが好ましく、透明な光透過性樹脂が好ましい。接着層13としては、従来公知のワニス樹脂を使用してもよい。接着層13の材料としては、フッ素樹脂、シリコン樹脂などがある。
【0021】
図2に示すように、コア層3の下面3aは介在物なしでシート基材2の表面2aに接していてもよい。この構造のコア層3を作製するには、コア層3を印刷によりシート基材2の表面2aに形成する方法をとることができる。
この構造のコア層3は、コア層3の形成およびシート基材2への固定を同時に行うことができるため、製造工程が簡略であるという利点がある。
【0022】
光源4としては、発光ダイオード(以下、LEDという)(発光素子)を使用できる。
図1(b)に示すように、光源4は、発光面4aをコア層3の主導光部6の一端部6cの端面に対面させて設置される。
なお、光源4として使用される発光素子は、LEDに限らず、冷陰極管などでもよい。
【0023】
図1(a)および図1(b)に示すように、光源4からの光は、コア層3の主導光部6の一端部6cの端面からコア層3内に導入され、上面3b、下面3a等に反射しつつ主導光部6内を伝搬する。
主導光部6内を伝搬する光の一部は第1の枝導光部7(7A)に導入され、主導光部6内をさらに伝搬した光は第2の枝導光部7(7B)に導入される。
枝導光部7(7A、7B)に導入された光は、延出方向(図1(a)の下方)に進み、その一部は、光取出部5で散乱して上面3b側に取り出される。これによって、目的とする部分(例えば操作キー部)を明るく表示することができる。
【0024】
面状発光装置1は、コア層3がシート基材2の一部領域にのみ設けられているので、光が不必要な領域に拡がることがなく、光の効率的な利用が可能となる。
また、目的とする箇所のみに光を導く光学設計が可能であることから、光取出部5における輝度や照度の設定が容易であり、照度ムラを改善することができる。
コア層3はシート基材2に設けられるため、これらをシート状物として取り扱うことが可能となる。このため、取り扱い性が良好であり、しかも十分な機械的強度を確保できる。
面状発光装置1をモジュール化するに際しては、粘着材等による他の部材への接着が必要となることがあるが、粘着材の設置箇所をシート基材2(例えばシート基材2の裏面)とし、粘着材がコア層3に接しないようにすれば、コア層3から粘着材を介して外部に光が漏れるおそれはない。
また、コア層3を導光路として用いるため、構造が複雑で高価な照明手段(EL装置など)が不要であることから、小型化および低コスト化を図ることができる。
【0025】
図3は、本発明の第2実施形態である面状発光装置31の概略構成を示す平面図である。
以下、第1の実施形態の面状発光装置1との共通部分については同一符号を付してその説明を省略することがある。
この面状発光装置31は、シート基材2と、シート基材2の表面2aに形成された2つのコア層3、3と、光源4、4とを備えている。
【0026】
第1のコア層3(3A)は、シート基材2の一方の縁部2bから他方の縁部2cに向けて延出する主導光部16と、主導光部16に対し交差する方向に延出する3つの枝導光部17、17、17とを有する。
第1の枝導光部17(17A)は、主導光部16の第1の分岐部16aから分岐して延出する導光路である。
第2の枝導光部17(17B)は、主導光部16の第2の分岐部16bから分岐して延出する導光路である。第2の分岐部16bは、第1の分岐部16aより主導光部16の延出方向側の位置(図3の右方位置)にあるため、第2の枝導光部17(17B)は、第1の枝導光部17(17A)よりも主導光部16の延出方向側に位置する。
第3の枝導光部17(17C)は、主導光部16の先端から延出する導光路である。第3の枝導光部17(17C)は、第2の枝導光部17(17B)よりも主導光部16の延出方向側に位置する。
第1〜第3の枝導光部17(17A〜17C)は、図3の下方に向けて延出しており、それぞれに光取出部5が形成されている。第1〜第3の枝導光部17(17A〜17C)は、主導光部16の延出方向に間隔をおいて形成されている。
【0027】
第2のコア層3(3B)は、シート基材2の他方の縁部2cから一方の縁部2bに向けて延出する主導光部26と、主導光部26に対し交差する方向に延出する3つの枝導光部27、27、27とを有する。
第1の枝導光部27(27A)は、主導光部26の第1の分岐部26aから分岐して延出する導光路である。
第2の枝導光部27(27B)は、主導光部26の第2の分岐部26bから分岐して延出する導光路である。第2の分岐部26bは、第1の分岐部26aより主導光部26の延出方向側の位置(図3の左方位置)にあるため、第2の枝導光部27(27B)は、第1の枝導光部27(27A)よりも主導光部26の延出方向側に位置する。
第3の枝導光部27(27C)は、主導光部26の先端から延出する導光路である。第3の枝導光部27(27C)は、第2の枝導光部27(27B)よりも主導光部26の延出方向側に位置する。
第1〜第3の枝導光部27(27A〜27C)は、図3の上方に向けて延出しており、それぞれに光取出部5が形成されている。第1〜第3の枝導光部27(27A〜27C)は、主導光部26の延出方向に間隔をおいて形成されている。
【0028】
第1枝導光部27(27A)は、第3の枝導光部17(17C)と第2の枝導光部17(17B)の間に設けられ、第2枝導光部27(27B)は、第2の枝導光部17(17B)と第1の枝導光部17(17A)の間に設けられ、第3枝導光部27(27C)は、第1の枝導光部17(17A)の一方の縁部2b側に設けられており、これによって2つのコア層3、3の合計6本の枝導光部17、27は、互いに並列して配置されている。図示例では、合計6本の枝導光部17、27は、隣り合う2本の枝導光部17、27の間隔が互いに等しくなるように配置されている。
【0029】
第1のコア層3(3A)に光を導入する第1の光源4(4A)は一方の縁部2b側に設けられ、第2のコア層3(3B)に光を導入する第2の光源4(4B)は他方の縁部2c側に設けられている。
【0030】
第1の光源4(4A)からの光は、第1のコア層3(3A)の主導光部16の一端部16cから導入され、一部は第1の枝導光部17(17A)に導入され、主導光部16内をさらに伝搬した光の一部は第2の枝導光部17(17B)に導入され、残りの光は第3の枝導光部17(17C)に導入される。枝導光部17(17A〜17B)に導入された光の一部は、光取出部5で散乱して外部に取り出される。
第2の光源4(4B)からの光は、第2のコア層3(3B)の主導光部26の一端部26cから導入され、一部は第1の枝導光部27(27A)に導入され、主導光部26内をさらに伝搬した光の一部は第2の枝導光部27(27B)に導入され、残りの光は第3の枝導光部27(27C)に導入される。枝導光部27(27A〜27B)に導入された光の一部は、光取出部5で散乱して外部に取り出される。
【0031】
この面状発光装置31では、2つのコア層3を有するので、各コア層3に異なる色の光を導入することで、2色表示が可能となる。このため、美感に優れた表示が可能である。
【0032】
面状発光装置31のように、2以上のコア層3を有する場合には、1つのコア層3に導入されるべき光が他のコア層3に導入されてしまうことが起こり得る。
例えば、図4(a)に示すように、シート基材2が比較的厚いと、シート基材2を伝搬する光に高次モード光が多くなるため、第1のコア層3(3A)に導入されるべき光Lがシート基材2を通して第2のコア層3(3B)に導入されやすくなる。
これに対し、図4(b)に示すように、シート基材2が比較的薄いと、低次モード光が多くなるため、第2のコア層3(3B)への光Lの導入が起こりにくくなる。
このため、シート基材2は比較的薄く、例えば厚さ50μm以下が好ましい。シート基材2を薄くし過ぎると機械的強度が低下するため、シート基材2の厚さは25μm以上が好ましい。このため、シート基材2の好適な厚さは25〜50μmである。
【0033】
図5に示すように、シート基材2の表面2aに、2つのコア層3(コア層3A、3B)を、互いに平行かつ間隔をおいて形成した試験装置(コア層3、3間の距離10mm)を用いて次の試験を行った。コア層3は長さL1:70mm、幅W1:2mm、厚さT1:0.2mmとした。
シート基材2の厚さを50μmとして、光源4からコア層3Aに光を導入し、コア層3A内の光に対するコア層3B内の光の比率を調べたところ、9.3%であった。これに対し、シート基材2の厚さを25μmとすると、コア層3B内の光の比率は3.3%であった。
この結果より、シート基材2が薄い方が、他のコア層3への光の導入を防止できることがわかった。
【0034】
図6および図7は、1つのコア層3からの漏れ光が他のコア層3に導入されるのを防ぐための構造の一例を示すもので、図6はこの構造を模式的に示す斜視図であり、図7はこの構造の断面を示す模式図である。
この構造では、シート基材2の表面2aの第1のコア層3(3A)と第2のコア層3(3B)の間に、光吸収層14(光吸収体)が設けられている。
光吸収層14は、コア層3、3に沿って直線状に形成されている。光吸収層14は、コア層3に接しないように形成されている。
光吸収層14は、光を吸収する機能があれば特に限定されないが、着色インク層が好ましい。光吸収機能を考えると、暗色が好ましく、特に黒色が好適である。
図7に示すように、第1のコア層3(3A)から漏れてシート基材2内を伝搬する光Lは、光吸収層14によって吸収されるため、第2のコア層3(3B)への伝搬が阻止される。なお、光吸収層14は、シート基材2の裏面2dに形成した場合でも同様の効果(光の伝搬阻止)を期待できる。
【0035】
図8および図9は、1つのコア層3からの漏れ光が他のコア層3に導入されるのを防ぐための構造の他の例を示すもので、この構造では、光吸収層15(光吸収体)は、シート基材2の裏面2dの全面に形成されている。光吸収層は、コア層に当接しないように設けられる。
この構造においても、第1のコア層3(3A)から漏れてシート基材2内を伝搬する光は、光吸収層15によって吸収されるため、第2のコア層3(3B)への伝搬が阻止される。
【0036】
図10は、シートスイッチモジュールの一例を示すもので、このシートスイッチモジュール30は、面状発光装置1と、面状発光装置1の下面側に設けられたシートスイッチ20とを備えている。
シートスイッチ20は、基板21の上面21a(一方の面)に、複数の中央接点部22と、各中央接点部22を囲む環状接点部23と、接点部22、23を覆うドーム形状のメタルプレート24(可動接点部)とが設けられている。
基板21としては、PCB(Printed Circuit Board)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのプリント配線基板を使用できる。
メタルプレート24は、操作者による押圧によって中央部が下方に変形して中央接点部22に当接し、中央接点部22と環状接点部23とを導通させることができる。メタルプレート24は、押圧を外すと弾性により原状に回復し、中央接点部22と環状接点部23とは非導通状態となる。
中央接点部22と、これを囲む環状接点部23と、メタルプレート24とは、感圧型のスイッチ素子25を構成している。
面状発光装置1は、アクリル樹脂などの粘着材からなる粘着層18を介してシートスイッチ20に接着される。
【符号の説明】
【0037】
1、31・・・面状発光装置、2・・・シート基材、2a・・・表面、3、3A、3B・・・コア層、4・・・光源、5・・・光取出部、14、15・・・光吸収層(光吸収体)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート基材と、前記シート基材の表面の一部領域に形成されたコア層と、前記コア層に光を導入する光源とを備え、
前記コア層は、前記シート基材の表面に延在して前記光を導く導光路であり、
前記コア層の少なくとも一部に、前記コア層内の光を散乱させて外部に出射させる光取出部が形成されていることを特徴とする面状発光装置。
【請求項2】
前記コア層は、前記コア層よりも屈折率が低い材料からなる接着層を介して前記シート基材に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。
【請求項3】
前記シート基材は、前記コア層よりも屈折率が低い材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の面状発光装置。
【請求項4】
前記シート基材に、前記コア層から前記シート基材内に漏れた光を吸収する光吸収体が形成され、
前記光吸収体は、前記コア層に接しないように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の面状発光装置。
【請求項5】
前記シート基材は、前記コア層が形成される表面が、金属膜または誘電体多層膜により前記コア層内の光を反射する反射面とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の面状発光装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の面状発光装置と、シートスイッチとを備えたことを特徴とするシートスイッチモジュール。
【請求項1】
シート基材と、前記シート基材の表面の一部領域に形成されたコア層と、前記コア層に光を導入する光源とを備え、
前記コア層は、前記シート基材の表面に延在して前記光を導く導光路であり、
前記コア層の少なくとも一部に、前記コア層内の光を散乱させて外部に出射させる光取出部が形成されていることを特徴とする面状発光装置。
【請求項2】
前記コア層は、前記コア層よりも屈折率が低い材料からなる接着層を介して前記シート基材に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。
【請求項3】
前記シート基材は、前記コア層よりも屈折率が低い材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の面状発光装置。
【請求項4】
前記シート基材に、前記コア層から前記シート基材内に漏れた光を吸収する光吸収体が形成され、
前記光吸収体は、前記コア層に接しないように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の面状発光装置。
【請求項5】
前記シート基材は、前記コア層が形成される表面が、金属膜または誘電体多層膜により前記コア層内の光を反射する反射面とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の面状発光装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の面状発光装置と、シートスイッチとを備えたことを特徴とするシートスイッチモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−99318(P2012−99318A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245481(P2010−245481)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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