説明

鞍乗型車両のキャニスタ配置構造

【課題】ヘッドパイプから下方へ延出するダウンフレーム周辺の空間にキャニスタが配置される場合であっても、車両側方からの外的要因からキャニスタを簡単な構造で保護できるようにする。
【解決手段】ヘッドパイプ3から下方へ延出するダウンフレーム6L,6Rに、エンジン12の前方に配置されてエンジン12を前方から保護するエンジンガード部材22を取付け、エンジンガード部材22に、エンジン12の車幅方向の幅寸法よりも大きい幅寸法を設定し、キャニスタ55を、前面視で、エンジンガード部材22の車幅方向における両端部の間であって、側面視で、エンジンガード部材22に重なる位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両のキャニスタ配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の技術として、ヘッドパイプから下方へ延出するダウンフレームの前部にキャニスタが取付けられる構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56−53937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造では、ダウンフレーム前方の空間にキャニスタが配置されることになるが、キャニスタの両側方には、キャニスタを覆うような部材はない。このため、この構造では、特に、車両側方からの外的要因からキャニスタを保護することが求められる。
【0005】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、ヘッドパイプから下方へ延出するダウンフレーム周辺の空間にキャニスタが配置される場合であっても、車両側方からの外的要因からキャニスタを簡単な構造で保護できるようにする鞍乗型車両のキャニスタ配置構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明は以下の手段を提供する。
請求項1に記載の発明は、ヘッドパイプ(3)と、該ヘッドパイプ(3)から後方へ延出するメインフレーム(4)と、前記ヘッドパイプ(3)から下方へ延出するダウンフレーム(6L,6R)と、を備える車体フレーム(2)と、クランク軸を収容するクランクケース(25)と、該クランクケース(25)の前部に設けられるシリンダ部(26)と、該シリンダ部(26)に設けられるシリンダヘッド(27)と、を備え、前記車体フレーム(2)の前記メインフレーム(4)の下方に配置されるエンジン(12)と、前記エンジン(12)の上方に配置される燃料タンク(10)と、前記燃料タンク(10)の内部で生じた蒸発燃料を、チャージ管(65)を通して吸着するキャニスタ(55)を有し、該キャニスタ(55)で吸着した燃料を、該キャニスタ(55)からパージ管(64)を通して前記エンジン(12)の吸気系に供給する蒸発燃料処理装置と、を備える鞍乗型車両のキャニスタ配置構造において、前記ダウンフレーム(6L,6R)には、前記エンジン(12)の前方に配置されて該エンジン(12)を前方から保護するエンジンガード部材(22)が取付けられ、該エンジンガード部材(22)は、前記エンジン(12)の車幅方向の幅寸法よりも大きい幅寸法を有し、前記キャニスタ(55)は、前面視で、前記エンジンガード部材(22)の車幅方向における両端部の間に配置されるとともに、側面視で、前記エンジンガード部材(22)に重なる位置に配置される、ことを特徴とする鞍乗型車両のキャニスタ配置構造を提供する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構造において、前記ダウンフレーム(6L,6R)に、ホーン(H)が前方に向くように取付けられ、前記キャニスタ(55)は前面視で、前記ホーン(H)と重ならない位置に配置される、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構造において、前記キャニスタ(55)はさらに、上面視で、前記エンジンガード部材(22)に重なる位置に配置される、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構において、前記キャニスタ(55)はさらに、下面視で、前記エンジンガード部材(22)に重なる位置に配置される、ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構造において、前記エンジンガード部材(22)は、枠体で構成され、前記キャニスタ(55)は、前記エンジンガード部材(22)の一部に沿うように、該エンジンガード部材(22)に取付けられる、ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構造において、前記キャニスタ(55)は、前記ダウンフレーム(6L,6R)に沿うように、該ダウンフレーム(6L,6R)に取付けられる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、キャニスタが、前面視で、エンジンガード部材の車幅方向における両端部の間であって、側面視で、エンジンガード部材に重なる位置に配置されるので、ダウンフレーム周辺に形成される空間にキャニスタが配置される場合であっても、エンジンガード部材により、キャニスタを車両側方の外的要因から保護できる。したがって、エンジンの保護を目的とするエンジンガード部材を利用してキャニスタを保護できるため、部材を増加させることなく簡単な構造で、キャニスタを車両側方の外的要因から保護できる。
請求項2に記載の発明によれば、キャニスタによってホーンの発音が遮断されないようにして、ダウンフレームの前方の空間の部品レイアウトを良好にすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、エンジンガード部材により、キャニスタを車両上方の外的要因からも保護できる。
請求項4に記載の発明によれば、エンジンガード部材により、キャニスタを車両下方の外的要因からも保護できる。
請求項5に記載の発明によれば、剛性の高い車体フレームの一部にキャニスタを取付けることで、キャニスタを安定した状態で保持できる。
請求項6に記載の発明によれば、剛性の高い車体フレームの一部にキャニスタを取付けることで、キャニスタを安定した状態で保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る構造を備える自動二輪車の左側面図である。
【図2】同実施形態に係る自動二輪車の要部左側面図である。
【図3】同実施形態に係る自動二輪車の要部右側面図である。
【図4】同実施形態に係る自動二輪車の要部前面図である。
【図5】同実施形態に係る自動二輪車の要部上面図である。
【図6】同実施形態に係る自動二輪車の要部下面図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係る構造を備える自動二輪車の要部右側面図である。
【図8】上記別の実施形態に係る自動二輪車の要部前面図である。
【図9】上記別の実施形態に係る自動二輪車の要部上面図である。
【図10】上記別の実施形態に係る自動二輪車の要部下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下の説明に用いる図面において、矢印FRは車両前方を、矢印UPは車両上方を、矢印LHは車両左方をそれぞれ示している。
【0015】
図1に示す自動二輪車1の車体フレーム2は、前端を構成するヘッドパイプ3と、ヘッドパイプ3から後斜め下方へ延出するメインフレーム4と、メインフレーム4の後部から後方へ延出する左右一対のシートフレーム5L,5Rと、メインフレーム4の前部から下方へ延出した後、後方へ延出する左右一対のダウンフレーム6L,6Rと、メインフレーム4の後部から後斜め下方へ延出した後、下方へ延出することでダウンフレーム6L,6Rの後部にそれぞれ連結する左右一対のセンタフレーム7L,7Rと、前方から後斜め上方に延出し、センタフレーム7L,7R及びシートフレーム5L,5Rを連結する左右一対のサブフレーム8L,8Rと、を備えている。
シートフレーム5L,5R、センタフレーム7L,7R、及びサブフレーム8L,8Rで囲まれる領域は、側面視で三角形状を呈している。なお、上記の部材のうち図中に表れない部材(例えば、シートフレーム5R等)は、説明の便宜上、図中に括弧書きで符合を示している。以下の説明でも、図中に表れない部材は同様に取り扱っている。
【0016】
ヘッドパイプ3には、下部に前輪WFを支持するフロントフォーク9が回転自在に取り付けられ、メインフレーム4には、燃料タンク10が取り付けられている。センタフレーム7L,7Rの下部には、左右一対のピボットプレート11L,11Rが取り付けられ、このピボットプレート11L,11Rには、エンジン12及び変速機13からなるパワーユニット14が支持されるとともに、スイングアーム15が上下スイング自在に支持されている。また、シートフレーム5L,5Rには、シート16及び後部左側方に設けた後部側方ガード部材17が支持されている。
【0017】
フロントフォーク9は、左右一対のフォーク単体18L,18Rをトップブリッジ19及びこのトップブリッジ19の下方に配置したボトムブリッジ20で連結したものであり、トップブリッジ19には、バーハンドル21が取り付けられている。トップブリッジ19及びボトムブリッジ20の前方には、フロントカウル24が支持されている。また、ダウンフレーム6L,6Rの前部には、エンジン12を前方から保護する矩形の枠体であるエンジンガード部材22が配置固定されている。エンジンガード部材22は、エンジン12の車幅方向の幅寸法よりも大きい幅寸法を有する。
【0018】
エンジン12は、クランク軸を収容するクランクケース25と、クランクケース25の前部に設けられるシリンダ部26と、シリンダ部26に設けられるシリンダヘッド27と、を備え、メインフレーム4の下方に位置している。シリンダ部26の内部には、ピストンが摺動可能に収容されている。シリンダ部26は、そのシリンダ軸線C1の延長線が少なくとも前輪WFと交差する、すなわち前輪WFを指向して略水平となるようにクランクケース25に取り付けられている。
【0019】
燃料タンク10の下方には、収納ボックス33が配置され、収納ボックス33は、メインフレーム4と、エンジン12のシリンダ部26と、の間に位置している。燃料タンク10の後方に位置するシート16は、シートフレーム5L,5Rに沿って前後方向に延在し、シート16の後部両端部の下方には、左右一対のリヤカバー28L,28Rが配置されている。また、シートフレーム5L,5Rの後部には、リヤカバー28L,28Rの間から後斜め下方に延びるリヤフェンダ29が取り付けられている。
【0020】
シート16の後部には同乗者が着座可能であり、シート16の下方には、同乗者が足を載せるための左右一対の後部ステップ30L,30Rが配置されている。後部ステップ30L,30Rは、サブフレーム8L,8Rから後斜め下方に延ばした左右一対のステップフレーム31L,31Rの下端部に取り付けられている。また、ステップフレーム31L,31Rの下端部は、ピボットプレート11L,11Rから後方に延びる左右一対のサポートフレーム32L,32Rの後端部に接続され補強されている。
【0021】
スイングアーム15は、左右一対のアーム部材34L,34Rで構成され、後端部に後輪WRを回転可能に支持している。また、アーム部材34L,34Rの後端部には、左右一対のリヤクッションユニット36L,36Rのそれぞれの下端が取付けられ、これらリヤクッションユニット36L,36Rの上端は、シートフレーム5L,5Rにそれぞれ取付けられている。
【0022】
図2及び図3に拡大して示すように、エンジン12のシリンダヘッド27には、吸気装置40及び排気装置41が接続されており、吸気系である吸気装置40は、シリンダヘッド27の上面に吸気管42を介して接続した燃料供給装置であるキャブレタ43と、このキャブレタ43にコネクティングチューブ44を介して接続したエアクリーナ45と、から構成されている。吸気管42は側面視で、シリンダヘッド27の上面に接続されて後方へ向けて延びている。なお、キャブレタ43は、燃料噴射装置用のスロットルボディであっても良いことは言うまでもない。
【0023】
また、排気装置41は、シリンダヘッド27の下面に接続された排気管46と、この排気管46の後端に取付けたマフラ47と、から構成されている。
【0024】
上記エアクリーナ45は、樹脂材料から形成された筐体であるエアクリーナケース48内にエレメント(不図示)を収容してなるものであって、シートフレーム5L,5R、センタフレーム7L,7R及びサブフレーム8L,8Rで囲まれる側面視で三角形状の領域に配置されている。エアクリーナ45は、メインフレーム4の後部、シートフレーム5L,5Rの前部等に、図示しないブラケットを介して取付けられている。また、図1に示すように、このエアクリーナ45は、左右両側を左右一対のセンタカバー38L,38Rで覆われている。
【0025】
図4を参照し、エンジンガード部材22は矩形の枠体であり、ダウンフレーム6L,6Rの前方で車幅方向に延出する上方延在部22A、ダウンフレーム6L,6Rの前方であって、上方延在部22Aの下方で車幅方向に延出する下方延在部22B、上方延在部22Aと下方延在部22Bの左側端部を上下に結合する左方延在部22C、及び、上方延在部22Aと下方延在部22Bの右側端部を上下に結合する右方延在部22Dで構成されている。ここで、本実施形態では、キャニスタ55が、エンジンガード部材22の左方延在部22Cに取付けられている。キャニスタ55は、燃料タンク10に連通し、燃料タンク10から導き出された蒸発燃料を吸着剤で吸着し、当該吸着剤に吸着した燃料を、吸気系を構成するキャブレタ43に供給する。
【0026】
キャニスタ55は、左方延在部22Cに長手方向を沿わせて、換言すれば、その軸線C2を左方延在部22Cに沿わせて配置されている。キャニスタ55は、円筒状を呈しており、吸着材を収容した筒状部56と、筒状部56の上端部を覆う上端ガード部57と、筒状部56の下端部を覆う下端ガード部58と、を備えている。
【0027】
図5及び図6を参照し、エンジンガード部材22の左方延在部22Cの車幅方向内側面には、キャニスタ55を支持するための支持ステー61が固着され、支持ステー61はV字あるいはU字状に形成されている。支持ステー61は、そのV字あるいはU字状の両端部を車幅方向の内側に向けて延出させ、これら両端部でキャニスタ55を支持する。
【0028】
キャニスタ55の筒状部56には、弾性部材(ラバー部材)からなる筒状のケース62が嵌め入れられ、このケース62には、キャニスタ55の径方向の外側に突出する係合片63,63が径方向に対向して一対形成されている。キャニスタ55は、係合片63,63に支持ステー61の両端部が挿入されることで、クロスプレート60を介してダウンフレーム6L,6Rに支持されている。
【0029】
キャニスタ55は、エンジンガード部材22の左方延在部22Cに支持された状態で、図4に示すように、前面視で、エンジンガード部材22の車幅方向における両端部、すなわち、左方延在部22Cと右方延在部22Dとの間に配置されるとともに、図2及び図3に示すように、側面視で、エンジンガード部材22の左方延在部22C及び右方延在部22Dに重なる位置に配置されている。また、側面視で、キャニスタ55はその車幅方向内側がシリンダヘッド27の一部とダウンフレーム6Lとも重なる位置に配置される。
【0030】
また、図5及び図6に示すように、キャニスタ55はさらに、上面視で、エンジンガード部材22の上方延在部22Aに重なる位置に配置されるとともに、下面視で、エンジンガード部材22の下方延在部22Bに重なる位置に配置されている。
【0031】
また、図4に示すように、ダウンフレーム6L,6Rの上部間は、クロスプレート60により連結されており、このクロスプレート60には、前方に向けて警告音を発するホーンHが取付けられている。ここで、ホーンHはクロスプレート60の下方に位置しており、キャニスタ55は前面視で、ホーンHと重ならない位置に配置されている。
【0032】
以下では、キャニスタ55の配管について説明する。図2〜図4を併せて参照し、キャニスタ55は、その上端ガード部57にパージ管64及びチャージ管65が接続され、パージ管64によりキャブレタ43に接続され、チャージ管65により燃料タンク10に接続されている。
【0033】
パージ管64は、キャニスタ55から上方に引き出され、メインフレーム4の左側方から、このメインフレーム4に沿って後方に延ばされ、その後、下方に湾曲されてキャブレタ43に接続されている。パージ管64は、経路途中に配された逆止弁66を通してキャブレタ43に接続されている。
【0034】
逆止弁66は、パージ管64の管内の圧力に応じて、キャブレタ43側へ向かう蒸発燃料の流れを許容すべく開放する一方弁である。逆止弁66は、キャニスタ55よりも上方に配置されており、メインフレーム4と燃料タンク10との間に形成される車幅方向の空間に配置され、パージ管64の一部もメインフレーム4と燃料タンク10との間の空間に通されている。燃料タンク10は、図4を参照し、縦断面で下方に開放するU字状を呈しており、U字状の開放部分にメインフレーム4を収納するように設置され、これにより、メインフレーム4と燃料タンク10との間には空間が形成されている。
【0035】
一方、チャージ管65は、キャニスタ55から上方に引き出され、メインフレーム4の左側方において斜め後上方に延ばされ、燃料タンク10の内部に挿入されている。チャージ管65は、燃料タンク10の内部において上方に配された気液分離部67に接続され、気液分離部67は、例えばシール部材を備えて液体の燃料がチャージ管65に供給されないように構成されている。
【0036】
また、図2に示すように、キャニスタ55の下端ガード部58には、大気に連通する新気導入管68と、燃料や水滴を外部に排出するドレイン管69と、が接続されている。新気導入管68は、キャニスタ55から上方に引き出され、その上端は、メインフレーム4と燃料タンク10との間の空間に配置されて開放している。これにより、キャニスタ55内に塵埃等が導入されるのを防ぐことができる。また、ドレイン管69は、キャニスタ55から下方に引き出され、エンジンガード部材22の下方延在部22Dの後方を通り、その下端を下方に向けて開放している。
【0037】
以上に説明したように、この自動二輪車1は、ダウンフレーム6L,6Rに、エンジン12の前方に配置されてエンジン12を前方から保護するエンジンガード部材22が取付けられ、エンジンガード部材22が、エンジン12の車幅方向の幅寸法よりも大きい幅寸法を有し、キャニスタ55は、前面視で、エンジンガード部材22の車幅方向における両端部、すなわち、左方延在部22Cと右方延在部22Dとの間に配置されるとともに、側面視で、エンジンガード部材22の左方延在部22C及び右方延在部22Dに重なる位置に配置される構造を有している。
【0038】
この構造では、前面視で、エンジンガード部材22の車幅方向における両端部の間であって、側面視で、エンジンガード部材22に重なる位置にキャニスタ55が配置されるので、ダウンフレーム6L,6R周辺に形成される空間にキャニスタ55が配置される場合であっても、エンジンガード部材22により、キャニスタ55を車両側方の外的要因から保護できる。したがって、エンジン12の保護を目的とするエンジンガード部材22を利用してキャニスタ55を保護できるため、部材を増加させることなく簡単な構造で、キャニスタ55を車両側方の外的要因から保護できる。
【0039】
また、この自動二輪車1は、ダウンフレーム6L,6Rに、ホーンHが前方に向くように取付けられ、キャニスタ55が前面視で、ホーンHと重ならない位置に配置される構造を有する。この構造では、キャニスタ55によってホーンHの発音が遮断されないようにして、ダウンフレーム6L,6Rの前方の空間の部品レイアウトを良好にすることができる。できる。
【0040】
また、この自動二輪車1は、キャニスタ55がさらに、上面視で、エンジンガード部材22の上方延在部22Aに重なる位置に配置される構造を有する。この構造では、エンジンガード部材22により、キャニスタ55を車両上方の外的要因からも保護できる。また、キャニスタ55はさらに、下面視で、エンジンガード部材22の下方延在部22Dに重なる位置に配置されるが、この構造では、エンジンガード部材22により、キャニスタ55を車両下方の外的要因からも保護できる。
【0041】
また、この自動二輪車1は、エンジンガード部材22が枠体で構成され、キャニスタ55が記エンジンガード部材22左方延在部22Cに沿うように、エンジンガード部材22に取付けられるが、この構造では、剛性の高い車体フレームの一部にキャニスタ55を取付けることで、キャニスタ55を安定した状態で保持できる。
【0042】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。この実施形態では、キャニスタ55がダウンフレーム6Rに支持される。以下の説明では、上記既に説明した実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し、説明は省略する。
【0043】
図7乃至図10に示すように、この実施形態では、ダウンフレーム6Rの車幅方向外側側面にキャニスタ55を支持するための支持ステー61が固着されている。支持ステー61は、そのV字あるいはU字状の両端部を車幅方向の内側に向けて延出させ、これら両端部でキャニスタ55を支持する。
【0044】
キャニスタ55は、ダウンフレーム6Rに支持された状態で、図8に示すように、前面視で、エンジンガード部材22の車幅方向における両端部、すなわち、左方延在部22Cと右方延在部22Dとの間に配置されるとともに、側面視で、エンジンガード部材22の左方延在部22C及び右方延在部22Dに重なる位置に配置される。また、図7に示すように側面視で、キャニスタ55はその車幅方向内側がシリンダヘッド27の一部とダウンフレーム6Rとも重なる位置に配置される。
【0045】
また、図9及び図10に示すように、キャニスタ55はさらに、上面視で、エンジンガード部材22の上方延在部22Aに重なる位置に配置されるとともに、下面視で、エンジンガード部材22の下方延在部22Bに重なる位置に配置される。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、エンジンガード部材22の左方延在部22C、又は、ダウンフレーム6Rに、キャニスタ55を取付けた例を説明したが、キャニスタ55を右方延在部22Dに取付ける態様、またダウンフレーム6Lに取付ける態様としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
2 車体フレーム
3 ヘッドパイプ
4 メインフレーム
6L,6R ダウンフレーム
10 燃料タンク
12 エンジン
22 エンジンガード部材
25 クランクケース
26 シリンダ部
27 シリンダヘッド
55 キャニスタ
64 パージ管
65 チャージ管
66 逆止弁
H ホーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(3)と、該ヘッドパイプ(3)から後方へ延出するメインフレーム(4)と、前記ヘッドパイプ(3)から下方へ延出するダウンフレーム(6L,6R)と、を備える車体フレーム(2)と、
クランク軸を収容するクランクケース(25)と、該クランクケース(25)の前部に設けられるシリンダ部(26)と、該シリンダ部(26)に設けられるシリンダヘッド(27)と、を備え、前記車体フレーム(2)の前記メインフレーム(4)の下方に配置されるエンジン(12)と、
前記エンジン(12)の上方に配置される燃料タンク(10)と、
前記燃料タンク(10)の内部で生じた蒸発燃料を、チャージ管(65)を通して吸着するキャニスタ(55)を有し、該キャニスタ(55)で吸着した燃料を、該キャニスタ(55)からパージ管(64)を通して前記エンジン(12)の吸気系に供給する蒸発燃料処理装置と、を備える鞍乗型車両のキャニスタ配置構造において、
前記ダウンフレーム(6L,6R)には、前記エンジン(12)の前方に配置されて該エンジン(12)を前方から保護するエンジンガード部材(22)が取付けられ、
該エンジンガード部材(22)は、前記エンジン(12)の車幅方向の幅寸法よりも大きい幅寸法を有し、
前記キャニスタ(55)は、前面視で、前記エンジンガード部材(22)の車幅方向における両端部の間に配置されるとともに、側面視で、前記エンジンガード部材(22)に重なる位置に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両のキャニスタ配置構造。
【請求項2】
前記ダウンフレーム(6L,6R)に、ホーン(H)が前方に向くように取付けられ、
前記キャニスタ(55)は前面視で、前記ホーン(H)と重ならない位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構造。
【請求項3】
前記キャニスタ(55)はさらに、上面視で、前記エンジンガード部材(22)に重なる位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構造。
【請求項4】
前記キャニスタ(55)はさらに、下面視で、前記エンジンガード部材(22)に重なる位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構造。
【請求項5】
前記エンジンガード部材(22)は、枠体で構成され、
前記キャニスタ(55)は、前記エンジンガード部材(22)の一部に沿うように、該エンジンガード部材(22)に取付けられる、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構造。
【請求項6】
前記キャニスタ(55)は、前記ダウンフレーム(6L,6R)に沿うように、該ダウンフレーム(6L,6R)に取付けられる、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のキャニスタ配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−67276(P2013−67276A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207521(P2011−207521)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】