説明

音データ出力制御装置、方法、プログラム、記録媒体及び遊技装置

【課題】プライオリティに応じた音データの出力制御を行う音データ出力制御装置、方法、プログラム、記録媒体及び遊技装置を提供する。
【解決手段】音データを格納する記憶手段から前記音データを入力し、音を発生するための発音手段に出力する、出力制御装置であって、前記入力した音データから、複数チャンネルの合成音データを生成し、前記発音手段へ出力する出力制御手段を備え、前記出力制御手段は、前記合成音データが、前記発音手段の出力制限値を超えているか否か判定し、超えている場合は、前記複数チャンネル毎若しくは前記音データ毎に設定されているプライオリティに基づいて、再度、合成音データを生成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音データ出力制御装置、方法、プログラム、記録媒体及び遊技装置に関し、特に、プライオリティに応じた音データの出力制御を行う音データ出力制御装置、方法、プログラム、記録媒体及び遊技装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機における音データ出力制御に関し、例えば以下のような技術が知られている。
【0003】
イベントの変化を表示手段に表示するシステムを用いるビデオゲームにおいて、表示する画像を盛り上げる効果を得るために、一般に、画像に対応して作成された背景音をスピーカから出力することで、ゲームの臨場感の増大を狙っている。このような背景音は、通常、複数チャンネルで構成され、各チャンネル毎に設定された種々の擬似音が合成されてスピーカから出力される(特許文献1参照)。
【0004】
このように遊技機において臨場感を増大するためには、背景音を画像に対応して出力することの他、大音量で鳴らすことも求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−112485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遊技機において大音量で鳴らす必要性があるものの、スピーカには大きなコストを避けることが出来ないという現状から、ボリュームの最大値とスピーカの耐久性とを考慮したボリューム調整が必要となる。すなわち、遊技機における大音量状態の中、スピーカの定格(もしくは、アンプがクリップしない等の他、フィルタの特性等を種々考慮した上限設定)を超えないぎりぎりでのボリューム調整を行うことが求められる。ユーザはスピーカが壊れない限度で、ぎりぎりまで出力したいという要望がある。
【0007】
しかしながら、ボリューム調整は非常に困難で調整に多大な時間が必要となってしまうという問題があった。具体的には、全体のボリュームの最大が、定格に合うようにトライを繰り返しながら設定することが行われるが、抽選やボタンにて発生する音の組み合わせは無数にあり、調整に大変な負担がかかる。音の重なりが増えた場合の最大値を考慮しなければ、リードが焼けて壊れる等の市場トラブルになりかねない。
【0008】
また、その場面において必要な、重要な音(例えば当たり音)が目立つように、音のバランスも考慮しなければならず、同一の音でありながらボリューム値の異なる設定を制御することも求められる。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、プライオリティに応じた音データの出力制御を行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る音データ出力制御装置は、音データを格納する記憶手段から前記音データを入力し、音を発生するための発音手段に出力する、出力制御装置であって、前記入力した音データから、複数チャンネルの合成音データを生成し、前記発音手段へ出力する出力制御手段を備え、前記出力制御手段は、前記合成音データが、前記発音手段の出力制限値を超えているか否か判定し、超えている場合は、前記複数チャンネル毎若しくは前記音データ毎に設定されているプライオリティに基づいて、再度、合成音データを生成することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る音データ出力制御方法は、音データを格納する記憶部から前記音データを入力し、前記入力した音データから複数チャンネルの合成音データを生成し、音を発生するための発音部へ出力するステップを備え、前記出力するステップは、前記合成音データが、前記発音部の出力制限値を超えているか否か判定し、超えている場合は、前記複数チャンネル毎若しくは前記音データ毎に設定されているプライオリティに基づいて、再度、合成音データを生成することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る音データ出力制御プログラムは、音データを格納する記憶部から前記音データを入力し、前記入力した音データから複数チャンネルの合成音データを生成し、音を発生するための発音部へ出力する処理をコンピュータに実行させ、前記出力する処理は、前記合成音データが、前記発音部の出力制限値を超えているか否か判定し、超えている場合は、前記複数チャンネル毎若しくは前記音データ毎に設定されているプライオリティに基づいて、再度、合成音データを生成することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る記録媒体は、上記本発明に係る音データ出力制御プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0014】
本発明に係る遊技装置は、上記本発明に係る音データ出力制御装置を備え、イベントの変化を表示する表示部の変化と、前記発音手段への出力を合わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プライオリティに応じた音データの出力制御を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る音データ出力制御装置周辺の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る音データ出力制御の動作処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係るサウンドチップ2における音データ出力制御の流れの一例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係るスピーカの閾値の設定について説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係るプライオリティに応じた音量の圧縮イメージの一例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る数フレームの時間経過と、音圧との関係を示すイメージ図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る音データ出力制御の動作処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る音データ出力制御装置周辺の構成ブロック図である。
【0019】
音を出力するためのAMP部4(増幅回路)及びスピーカ5(発音手段)、ゲームプログラム61を格納したROM(Read Only Memory)6と接続するCPU1(Central Processing Unit)、音データ31を格納したサウンドROM3と接続するサウンドチップ2(音データ出力制御装置)から構成される。
【0020】
CPU1は、ROM6に格納されているゲームプログラム61に従って各部の動作を制御するものである。
【0021】
サウンドチップ2は、サウンドROM3に格納されているゲームの音データ31に対して、スピーカ5から出力させる際の出力比率を各チャンネル毎に制御する。
【0022】
なお、本実施形態では、ゲームプログラム61や音データ31は、各ROM(記憶手段)にそれぞれ格納されているが、本発明はこれに限られることはなく、サウンドチップ2が必要なデータ(音データ31等)を取得出来れば良い。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る音データ出力制御の動作処理を示すフローチャートである。
【0024】
サウンドチップ2は、CPU1(上流)から各チャンネルの再生命令を受信する(ステップS1)。各チャンネルについては、音量等パラメータ設定がなされている。
【0025】
次に、各チャンネルのデコードを行う(ステップS2)。
【0026】
次に、音量等パラメータ設定に従い、各チャンネルのボリューム設定を行う(ステップS3)。図3は、サウンドチップ2における音データ出力制御の流れの一例を示す模式図である。例えばチャンネルボリューム0〜Nのボリューム設定を行う。
【0027】
次に、各チャンネルを合成(Mix)する(ステップS4)。
【0028】
Mixした音の出力(マスタボリューム)が、スピーカの定格出力(閾値)を超えているか否か確認する(ステップS5)。
【0029】
ここで、スピーカの閾値(限界点パラメータ、出力制限値)の算出は、図4に示すように、スピーカ特性やアンプ特性等、適宜参照して予め設定することが可能である。スピーカの閾値をどの特性に基づいて設定するかは、本発明では特に限定しない。
【0030】
マスタボリュームが閾値を超えていた場合(ステップS5/Yes)、各ボリューム値を再設定するために、調整を行う(ステップS6)。この際、各チャンネルのプライオリティに応じた音量の圧縮を行うことにより、音量のバランスを考慮して全体のボリュームを最適化することが出来る。
【0031】
図5は、本実施形態に係るプライオリティに応じた音量の圧縮イメージの一例を示す図である。ここでは、チャンネル(以下、ch):0、ch:1、及びch:2 をMixし、閾値を超えた場合(図5(b))、プライオリティに応じて音量の圧縮を行う(図5(c))。本実施形態では、各チャンネルのプライオリティが、ch:0・・・100%、ch:1・・・50%、ch:2・・・50%、となっていると想定する。
【0032】
各チャンネルのプライオリティについては、チャンネル毎に予め任意に設定することが可能である。何チャンネルもあれば、プライオリティ高のチャンネルに、重要な音を流すように設定すれば良い。また、チャンネル数が少ない場合は、プライオリティの高さと、音の組み合わせについて煩雑になるため、音毎にプライオリティを設定しても良い。
【0033】
このようなプライオリティの設定は、予め、例えばROM6、若しくはサウンドROM3、又はどちらにも格納させておき、必要な場合に読み出す。
【0034】
ステップS6で調整されたボリューム値で再設定を行い(図2 ステップS3)、再Mixし、閾値を超えていないか確認する(ステップS5)。図5(d)に示すように、再Mixしたマスタボリュームが閾値を超えていない場合は(ステップS5/Yes)、AMP部4へ出力される(ステップS6)。
【0035】
再Mixしても閾値を超えてしまう場合は、再度音量の圧縮を行うが、ループが何度も繰り返されると音の出力に時間がかかり、表示部(図示せず)に表示するイベントの変化と合わせて背景音として出力する場合は、音の出力がイベントの変化より遅れてしまう。そこで、例えば2ループまで、と制限をかけても良い。
【0036】
この場合、最終ループの際に、プライオリティの低いチャンネルについてはいくらでも下げて良いようにする等して、閾値を下回る可能性の高い音量に設定する。
【0037】
また、何チャンネルのMixであるかに応じてプライオリティを設定しておくことで、少ない調整で閾値を下回る可能性がさらに高くなる。例えば、図5で示した音量の圧縮において、ch:1は50%と設定されているが、Mixするチャンネル数が5つ以上の場合は10%と設定しても良い。
【0038】
上記実施形態により、チャンネルごとに予め設定されたプライオリティを考慮し、プライオリティに応じた音量の圧縮を行うことで、許容範囲の中で、スピーカ定格出力のぎりぎりまで大音量が鳴らせるよう、全体のボリュームを最適化設定することが出来る。
【0039】
次に、本発明に係る他の実施形態について説明する。上記実施形態では、閾値を超えた場合のみ、音量の圧縮を行っている。これにより、瞬間的なボリューム変動があった場合に、対象フレーム以前のフレームと、対象フレーム、その後のフレームに実際のボリューム差とは矛盾する結果が生じる場合がある。また、短時間で急激な音の変化がある場合、若しくは、その状態が交互に発生する場合、聴感上問題が生じる。
【0040】
図6は、数フレームの時間経過と、音圧との関係を示すイメージ図である。図6の(a)で、閾値を超えた音量は圧縮され、図6(b)の状態となる。本来は、瞬間的に大きな音量で目立たせるべき音量が、閾値を下回る程度に圧縮されるため、その後のフレームとの差が生じず、結局、瞬間的に目立たせる音量が実際は大きくならないことになる。
【0041】
そこで、前後数フレームのデコード−調整−フィードバックを行い、なだらかに補正することも可能である。例えば図6(c)のように、後のフレームにおいて、音量が閾値を超えていなくても、前のフレームとの差をつけるために音量を圧縮する(フレーム間での補正)ことも考え得る。図示しないが、サウンドチップ2の機能ブロックとして、音データ出力制御部の他、フレーム間補正部を備える。
【0042】
図7は、本実施形態に係る音データ出力制御の動作処理を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS1からS6は、図2を用いて上述した処理と同様である。
【0044】
ステップS5で、閾値を超えない音量に調整された後(ステップS5/No)、数フレーム分をバッファし(ステップS10)、必要な場合はフレーム間での補正(平滑化)を行う(ステップS11)。例えば図6(c)のように、後ろのフレームが補正される。
【0045】
平滑化が行われた出力比率で、再度チャンネル毎の設定が行われ(ステップS12)、出力される(ステップS13)。
【0046】
上記実施形態により、瞬間的なボリューム変動がある場合でも、実際のボリューム差と矛盾しないよう制御することが出来る。
【0047】
なお、上述した音データ出力制御装置は、ゲーム機などの遊技装置に適用され得る。この場合、イベントの変化を表示する表示部に合わせて音データが出力される必要がある。数フレームバッファする上記実施形態の場合、例えば音が常に3フレーム遅れるならば、映像(表示部に表示されるイベント)も合わせて遅れるようにすることで、表示部の変化に合わせた音データの出力が出来る。
【0048】
なお、各図のフローチャートに示す処理を、CPUが実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録する記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0049】
以上、本発明を好適な実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 CPU
2 サウンドチップ
3 サウンドROM
31 音データ
4 AMP部
5 スピーカ
6 ROM
61 ゲームプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音データを格納する記憶手段から前記音データを入力し、音を発生するための発音手段に出力する、出力制御装置であって、
前記入力した音データから、複数チャンネルの合成音データを生成し、前記発音手段へ出力する出力制御手段を備え、
前記出力制御手段は、前記合成音データが、前記発音手段の出力制限値を超えているか否か判定し、超えている場合は、前記複数チャンネル毎若しくは前記音データ毎に設定されているプライオリティに基づいて、再度、合成音データを生成することを特徴とする音データ出力制御装置。
【請求項2】
前記出力制御手段による合成音データの再生成は、予め定められた回数までは繰り返し行えることを特徴とする請求項1記載の音データ出力制御装置。
【請求項3】
前記出力制御手段は、前記合成音データの生成をフレーム毎に行い、
数フレーム分の合成音データをバッファし、フレーム間で合成音データの補正を行う補正手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の音データ出力制御装置。
【請求項4】
音データを格納する記憶部から前記音データを入力し、前記入力した音データから複数チャンネルの合成音データを生成し、音を発生するための発音部へ出力するステップを備え、
前記出力するステップは、前記合成音データが、前記発音部の出力制限値を超えているか否か判定し、超えている場合は、前記複数チャンネル毎若しくは前記音データ毎に設定されているプライオリティに基づいて、再度、合成音データを生成することを特徴とする音データ出力制御方法。
【請求項5】
音データを格納する記憶部から前記音データを入力し、前記入力した音データから複数チャンネルの合成音データを生成し、音を発生するための発音部へ出力する処理をコンピュータに実行させ、
前記出力する処理は、前記合成音データが、前記発音部の出力制限値を超えているか否か判定し、超えている場合は、前記複数チャンネル毎若しくは前記音データ毎に設定されているプライオリティに基づいて、再度、合成音データを生成することを特徴とする音データ出力制御プログラム。
【請求項6】
請求項5記載の音データ出力制御プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項記載の音データ出力制御装置を備え、
イベントの変化を表示する表示部の変化と、前記発音手段への出力を合わせることを特徴とする遊技装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−61349(P2011−61349A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206872(P2009−206872)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】