説明

音出力装置、音出力方法及びプログラム

【課題】 音データの実際の再生出力の状況に応じて再生出力の制限対象となる音データを適切に選択し、同時に再生出力される音データの数を好適に抑制することができる音出力装置を提供すること。
【解決手段】 現在の再生出力対象である1又は複数の音データを取得する再生出力対象音データ取得部66と、再生出力対象音データ取得部66により取得される各音データの再生音量を決定する再生音量決定部68と、再生音量決定部68により決定される各音データの再生音量に応じて、再生出力対象音データ取得部66により取得される前記1又は複数の音データのうち、一部又は全部を再生出力する音データ再生出力部74と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音出力装置、音出力方法及びプログラムに関し、特に、最大同時発音数が制限された音出力装置、音出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム装置では、そのハードウェアの制約上、同時に再生出力できる音データの数に上限がある。このため、多数の音データの再生要求がゲーム中に同時期に発生すると、その中で重要度の高い音データを優先的に再生出力し、それ以外の音声データについては必要に応じて再生出力を行わないようにして、同時発音数を制限するようにしている。具体的には、音データに対して優先情報を予め設定しておき、それに応じて再生出力を制限する音データを選出するようにしている(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−311019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、各音データの実際の再生出力の状況を考慮せずに、音データに対して予め設定された優先情報に基づいて、再生出力を制限する音データを制限するようにしているために、適切な音データが制限対象として選ばれないことがあった。すなわち、上記従来技術では、実際には小さな音量でしか再生されず、他の音に紛れてしまう音であっても、その音データに対して高い優先度が与えられていれば、制限対象から外れてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、音データの実際の再生出力の状況に応じて再生出力の制限対象となる音データを適切に選択し、同時に再生出力される音データの数を好適に抑制することができる音出力装置、音出力方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る音出力装置は、現在の再生出力対象である1又は複数の音データを取得する音データ取得手段と、前記音データ取得手段により取得される各音データの再生音量を決定する再生音量決定手段と、前記再生音量決定手段により決定される各音データの再生音量に応じて、前記音データ取得手段により取得される前記1又は複数の音データのうち、一部又は全部を再生出力する音データ再生出力手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る音出力方法は、現在の再生出力対象である1又は複数の音データを取得する音データ取得ステップと、前記音データ取得ステップで取得される各音データの再生音量を決定する再生音量決定ステップと、前記再生音量決定ステップで決定される各音データの再生音量に応じて、前記音データ取得ステップにより取得される前記1又は複数の音データのうち、一部又は全部を再生出力する音データ再生出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るプログラムは、現在の再生出力対象である1又は複数の音データを取得する音データ取得手段、前記音データ取得手段により取得される各音データの再生音量を決定する再生音量決定手段、及び前記再生音量決定手段により決定される各音データの再生音量に応じて、前記音データ取得手段により取得される前記1又は複数の音データのうち、一部又は全部を再生出力する音データ再生出力手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。コンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、携帯用ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末等である。また、プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてもよい。
【0008】
本発明によれば、現在の再生出力対象である1又は複数の音データが取得される。例えば、本発明がゲーム装置に適用される場合には、ゲーム進行等のイベントに応じて、現在の再生出力対象である1又は複数の音データが取得される。そして、これら取得された音データについて再生音量が決定され、再生音量に応じて、取得された1又は複数の音データのうち一部又は全部が出力される。本発明によれば、音データの再生出力の実際状況(再生音量)に応じて、再生出力の制限対象となる音データを適切に選択し、同時に再生出力される音データの数を好適に抑制することができるようになる。
【0009】
本発明の一態様では、前記再生音量決定手段により決定される各音データの再生音量をソートする再生音量ソート手段をさらに含み、前記音データ再生出力手段は、前記再生音量ソート手段によるソート結果に応じて、前記音データ取得手段により取得される前記1又は複数の音データのうち、一部又は全部を再生出力する。こうすれば、再生音量の大小比較に応じて、適切な音データを再生出力の制限対象として選ぶことができる。
【0010】
また、本発明の一態様では、仮想空間に設定される発音源の位置から前記仮想空間に設定される聴取位置までの距離と、前記聴取位置での前記発音源から発せられる音の音量減衰率と、の関係を示す音量減衰率データを記憶する音量減衰率データ記憶手段をさらに含み、前記音データ取得手段は、現在の再生出力対象である前記1又は複数の音データにより示される音の前記仮想空間における各発音源の位置をさらに取得し、前記再生音量決定手段は、前記音データ取得手段により取得される各音データにより示される音の前記仮想空間における発音源の位置から前記聴取位置までの距離を算出する伝搬距離算出手段と、前記伝搬距離算出手段により算出される前記距離に対応する音量減衰率を前記音量減衰率データ記憶手段に記憶される前記音量減衰率データから取得する音量減衰率取得手段と、を含み、前記音量減衰率取得手段により取得される音量減衰率に基づいて、前記音データ取得手段により選択される各音データの再生音量を決定する。こうすれば、仮想空間において音が伝搬する距離に応じた減衰量を考慮して、各音データの再生音量を決定することができる。
【0011】
この態様では、前記音量減衰率データ記憶手段は、前記仮想空間に設定される発音源から発せられる音の周波数に対応づけて、前記音量減衰率データを複数記憶し、前記音データ取得手段は、現在の再生出力対象である前記1又は複数の音データにより示される音の周波数をさらに取得し、前記音量減衰率取得手段は、前記音データ取得手段により取得される周波数に対応する前記音量減衰率データから、前記伝搬距離算出手段により算出される前記距離に対応する音量減衰率を取得するようにしてもよい。こうすれば、音の周波数に応じた減衰量を考慮して、各音データの再生音量を決定することができる。
【0012】
また、前記音データ取得手段は、現在の再生出力対象である前記1又は複数の音データにより示される音の基準音量をさらに取得し、前記再生音量決定手段は、前記音データ取得手段により取得される基準音量と、前記音量減衰率取得手段により取得される音量減衰率と、に基づいて、前記音データ取得手段により取得される各音データの再生音量を決定するようにしてもよい。こうすれば、各音データの再生音量を簡易に決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置の構成を示す図である。同図に示すゲーム装置10は、家庭用ゲーム機11に情報記憶媒体たるDVD−ROM25及びメモリカード28が装着され、さらにモニタ18及びスピーカ22が接続されることによって構成されるものであり、例えば、モニタ18には家庭用テレビ受像機が用いられ、スピーカ22にはその内蔵スピーカが用いられる。このゲーム装置10は、本発明の実施形態に係る音出力装置として動作するものである。
【0015】
家庭用ゲーム機11は、バス12、マイクロプロセッサ14、画像処理部16、音声処理部20、DVD−ROM再生部24、主記憶26、入出力処理部30及びコントローラ32を含んで構成される公知のコンピュータゲームシステムである。コントローラ32以外の構成要素は筐体内に収容される。
【0016】
バス12はアドレス及びデータを家庭用ゲーム機11の各部でやり取りするためのものである。マイクロプロセッサ14、画像処理部16、主記憶26及び入出力処理部30は、バス12によって相互データ通信可能に接続される。
【0017】
マイクロプロセッサ14は、図示しないROMに格納されるオペレーティングシステム、DVD−ROM25から読み出されるプログラムや、メモリカード28から読み出されるデータに基づいて、家庭用ゲーム機11の各部を制御する。主記憶26は、例えばRAMを含んで構成されるものであり、DVD−ROM25から読み出されたプログラムやメモリカード28から読み出されたデータが必要に応じて書き込まれる。主記憶26はマイクロプロセッサ14の作業用としても用いられる。
【0018】
画像処理部16はVRAMを含んで構成されており、マイクロプロセッサ14から送られる画像データに基づいてVRAM上にゲーム画面を描画する。そして、その内容をビデオ信号に変換して所定のタイミングでモニタ18に出力する。
【0019】
入出力処理部30は、マイクロプロセッサ14が音声処理部20、DVD−ROM再生部24、メモリカード28及びコントローラ32にアクセスするためのインタフェースである。入出力処理部30には、音声処理部20、DVD−ROM再生部24、メモリカード28及びコントローラ32が接続される。
【0020】
音声処理部20はサウンドバッファを含んで構成されており、DVD−ROM25から読み出され、該サウンドバッファに記憶されたゲーム音楽、ゲーム効果音、メッセージ等の各種音声データを再生してスピーカ22から出力する。具体的には、音声処理部20は、所定数のチャネルを処理可能であり、各チャネルに割り当てられた音データをミキシング再生し、スピーカ22から出力する。
【0021】
DVD−ROM再生部24は、マイクロプロセッサ14からの指示に従ってDVD−ROM25に記録されたプログラムを読み取る。なお、ここではプログラムを家庭用ゲーム機11に供給するためにDVD−ROM25を用いることとするが、CD−ROMやROMカード等、他のあらゆるコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を用いるようにしてもよい。また、インターネット等のデータ通信網を介して遠隔地からプログラムを家庭用ゲーム機11に供給するようにしてもよい。
【0022】
メモリカード28は、不揮発性メモリ(例えばEEPROM等)を含んで構成される。家庭用ゲーム機11は、メモリカード28を装着するための複数のメモリカードスロットを備えており、複数のメモリカード28を同時に装着可能となっている。メモリカード28は、このメモリカードスロットに対して脱着可能に構成され、例えばセーブデータなどの各種ゲームデータを記憶させるために用いられる。
【0023】
コントローラ32は、プレイヤが各種ゲーム操作の入力をするための汎用操作入力手段である。入出力処理部30は一定周期毎(例えば1/60秒毎)にコントローラ32の各部の状態をスキャンし、そのスキャン結果を表す操作信号を、バス12を介してマイクロプロセッサ14に渡す。マイクロプロセッサ14は、その操作信号に基づいてプレイヤのゲーム操作を判定する。家庭用ゲーム機11は複数のコントローラ32を接続可能に構成されており、各コントローラ32から入力される操作信号に基づいて、マイクロプロセッサ14がゲーム制御を行うようになっている。
【0024】
以上のハードウェア構成を有する家庭用ゲーム機11により、ゲーム中に複数の音データを好適にミキシング再生する技術について、以下に詳細に説明する。
【0025】
図2は、ゲーム装置10により実行されるゲームにおいて、主記憶26に構築される仮想3次元空間を模式的に示す斜視図である。同図に示すように、このゲームの舞台となる仮想3次元空間50には、フィールドオブジェクト58が配置され、そこに発音源オブジェクト54−1〜54−3が配置される。さらに、プレイヤの操作対象であるプレイヤキャラクタオブジェクト52も配置される。ゲーム装置10では、仮想3次元空間50の各オブジェクトの位置及び姿勢を示すデータを主記憶26に記憶しており、DVD−ROM25に記憶されたプログラムやコントローラ32から入力される操作信号に従って、それを所定時間毎に更新するようにしている。そして、所定時間毎に、最新のデータに従って、仮想3次元空間50内に配置された視点から、該仮想3次元空間50を見た様子を画像化し、それをモニタ18に出力するようにしている。こうして、モニタ18には、仮想3次元空間50の様子がリアルタイムに映し出されるようになっている。なお、視点は、ここではプレイヤキャラクタの眼の位置に固定され、プレイヤキャラクタオブジェクト52と従動するようにしている。その他、仮想3次元空間50の所定の箇所に固定されてもよいし、プレイヤキャラクタオブジェクト52の後ろ上空の位置等、他の位置関係でプレイヤキャラクタオブジェクト52と従動するようにしてもよい。
【0026】
発音源オブジェクト54は、ここでは怪獣オブジェクト等、プレイヤの操作対象外のゲームキャラクタオブジェクト、すなわちDVD−ROM25に記憶されたプログラムに既述されたアルゴリズムに従って仮想3次元空間50を移動するオブジェクト等であり、プログラムに従って決定されるタイミングにて、予め定められた鳴き声等の音を発する。そして、本ゲーム装置10では、この様子がリアルに演出されるようになっている。すなわち、本ゲーム装置10では、プレイヤキャラクタオブジェクト52の代表位置53に聴取位置が設定されており、この聴取位置と、各発音源オブジェクト54−1〜54−3の代表位置56−1〜56−3と、の距離L1〜L3が算出され、この距離に応じた音量の音がスピーカ22から出力されるようになっている。
【0027】
斯かる音声出力処理について、以下、さらに詳細に説明する。
【0028】
図3は、ゲーム装置10で実現される音データ記憶部の記憶内容を示す図である。音データ記憶部(図6参照)は、主記憶26又はDVD−ROM25の組合せ又はそれら単独により実現される。同図に示すように、ゲーム装置10の音データ記憶部には、ゲーム中に再生出力される怪獣オブジェクトの鳴き声等を示す、複数の音データが、そのファイル名に関連づけられて記憶されている。音データの形式はどのようなものであってもよく、例えばWAV形式等である。さらに、各音データには、付属情報が関連づけて記憶されている。
【0029】
図4は、付属情報の内容を説明する図であり、同図(a)は、各音データに複数の区間が設定されている様子を示す図であり、同図(b)は、付属情報が区間毎の情報を含むことを示す図である。まず、同図(a)に示すように、各音データには再生開始位置から再生終了位置までが複数の区間に分割されており、ゲーム装置10では、各区間を特定するデータ(例えば区間の開始タイミング及び終了タイミングを特定するデータ)と、該区間における音データが示す音の周波数と、該区間における音データが示す音の基準音量と、を関連づけてなる情報を、付属情報として予め記憶している。この付属情報は、上述のように各音声データに関連づけられて記憶されている。周波数や基準音量の値は、音データに基づいて計算により求めてもよいし、実際に音データを再生出力して、そこから任意に決定してもよい。
【0030】
ゲーム装置10では、仮想3次元空間50における発音源の位置(発音位置)と、聴取位置(ここではプレイヤゲームキャラクタ52の代表位置53)と、の間の距離Lを算出して、この距離Lに対応する音量減衰率αを求めるようにしている。このため、ゲーム装置10では、図5に示すように、音データの周波数の値毎に、ゲーム装置10では、距離Lと音量減衰率αとの関係を示す音量減衰率データを記憶している。ここでは、距離Lが大きくなればなるほど、音量減衰率αは0に近づき、また距離Lが小さくなればなるほど、音量減衰率αは1に近づくようにしている。また、同じ距離Lでは、周波数が低いほど音量減衰率αは大きな値に設定されている(fa<fb<fc)。こうして、周波数が高い音ほど早く減衰し、周波数が低い音ほど遠くまで伝わることを演出している。
【0031】
そして、実際に音データを再生出力する場合には、まずその音データの発音位置と聴取位置との距離Lを算出するとともに、その距離Lの値に対応する音量減衰率αを、音データに関連づけて記憶された周波数に対応した音量減衰率データから取得するようにしている。その後、この音量減衰率αを、音データに関連づけて記憶された基準音量に乗算して、その値を再生音量としている。この値は、音データが音声処理部20に供給される際に、併せて供給されるようにしており、音声処理部20は供給された音データを、供給された再生音量の値にて、スピーカ22から出力するようにしている。この際、ゲーム装置10では、音声処理部20のチャネル数(最大同時発音数)よりも多い数の音データを同時に再生出力する必要が生じると、再生音量の値が小さいものについて、その再生出力を行わないようにしている。こうして、実際にスピーカ22から再生出力されても、音量が小さく、目立たないものを再生対象から除外し、逆に音量が大きく、目立つものを確実に再生対象に残すようにしている。そして、以上のような実際に再生出力する音データの選択は、リアルタイムに行われるようになっており、再生途中である音データの再生音量が小さくなった場合において、多数の音データを大きな再生音量にて再生出力する必要が生じると、その音データの再生出力が停止されるようになっている。
【0032】
図6は、以上の動作を実行する、ゲーム装置10の機能ブロック図を示している。同図に示すように、ゲーム装置10は、機能的には、ゲーム進行部60、仮想空間データ記憶部62、再生出力対象音データ記憶部64、再生出力対象音データ取得部66、再生音量決定部68、ソート部70、音量減衰率データ記憶部72、音データ再生出力部74及び音データ記憶部76を含んでいる。また、再生音量決定部68は、伝搬距離算出部68a、音量減衰率取得部68b及び再生音量算出部68cを含んでいる。これらの機能は、DVD−ROM25に格納されたプログラムをマイクロプロセッサ14が実行することにより実現されるものである。
【0033】
まず、ゲーム進行部60は、仮想3次元空間50を舞台とするゲームの進行を司る。具体的には、コントローラ32から入力される操作信号に従って、プレイヤキャラクタオブジェクト52の位置及び姿勢を更新し、その内容を仮想空間データ記憶部62に書き込む。また、仮想3次元空間50におけるイベントの発生を所定のアルゴリズムに従って判断し、イベントが発生した場合には、それに応じて仮想3次元空間50の状況を更新する。さらに、効果音の発生イベントやゲーム音楽の再生開始イベント等、音データを再生出力するイベントが発生した場合には、その音データのファイル名を再生出力対象音データ記憶部64に書き込む。このとき、その音データの現在再生位置をスタート位置(ゼロ)に初期化する。再生出力対象音データ記憶部64は、こうしてゲーム進行部60から書き込まれる現在の再生出力の対象である音データのファイル名、及びその現在の再生位置を関連づけて記憶するものである。図7には、再生出力対象音データ記憶部64の記憶内容が示されている。各音データの現在の再生位置は、ゲーム進行部60により所定時間毎に1ずつインクリメントされ、更新される。
【0034】
仮想空間データ記憶部62は、主記憶26を中心として構成されるものであり、仮想3次元空間50の状況を示すデータ、例えば仮想3次元空間50に配置されたオブジェクトの位置や姿勢を示すデータを記憶するものであり、この記憶内容は上述のようにゲーム進行部60により更新される。
【0035】
再生出力対象音データ取得部66は、所定時間毎に、再生出力対象音データ記憶部64から、現在の再生出力対象である1又は複数の音データ(のファイル名)を取得する。また、再生出力対象音データ取得部66は、現在の再生出力対象である音データにより示される音の仮想3次元空間50における各発音源の位置を、仮想空間データ記憶部62から読み出す。さらに、再生出力対象音データ取得部66は、現在の再生出力対象である音データにより示される音の周波数、及びその基準音量を、該音データに関連づけて音データ記憶部76に記憶された付属情報から取得する。
【0036】
再生音量決定部68は、再生出力対象音データ取得部66により取得される各音データの再生音量を決定する。このため、伝搬距離算出部68aは、再生出力対象音データ取得部66により取得される各音データにより示される音の発音位置である、仮想3次元空間50における発音源オブジェクト54の代表位置56から、聴取位置である、プレイヤキャラクタオブジェクト52の代表位置53までの距離Lを算出する。このとき、発音位置や聴取位置は仮想空間データ記憶部62から読み出す。音量減衰率取得部68bは、伝搬距離算出部68aにより算出される距離Lに対応する音量減衰率αを音量減衰率データ記憶部72に記憶される音量減衰率データから取得する。より具体的には、音量減衰率データ記憶部72は、音量減衰率データを音の周波数に対応づけて記憶しており、音量減衰率取得部68bは、そのうち、再生出力対象音データ取得部66により取得される各音データの周波数に対応する音量減衰率データを参照して、そこから距離Lに対応する音量減衰率αを取得する。再生音量算出部68cは、音量減衰率取得部68bにより取得される音量減衰率αを、再生出力対象音データ取得部66により取得される音データの基準音量に乗じて、該音データの再生音量を算出する。
【0037】
ソート部70では、こうして算出される再生出力対象である各音データを、再生音量をソートキーとして並べ替える。そして、音データ再生出力部74では、再生音量決定部68により決定される各音データの再生音量に応じて、再生出力対象音データ取得部66により取得される音データのうち、一部又は全部をスピーカ22から再生出力する。具体的には、再生音量の大きなものから順に所定数の音データを実際の再生出力の対象として音声処理部20に供給し、それらの音データをミキシング再生する。そして、残りの再生音量の小さな音データは再生出力の対象から外される。
【0038】
ここで、ゲーム装置10による音出力処理の手順を説明する。図7は、ゲーム装置10により音出力処理を示すフロー図である。同図に示すように、ゲーム装置10では一連の処理(S101〜S112)を所定時間毎に繰り返して、各繰り返しタイミングの時点で再生出力対象となっている音データから音声処理部20により実際に再生出力するものを決定し、これにより、リアルタイムに再生出力対象の音データを取捨選択している。この処理では、まず再生出力対象音データ取得部66が、現在、再生出力対象となっている音データの各ファイル名及びその現在の再生位置を再生出力対象音データ記憶部64から取得する(S101)。次に、再生出力対象である音データに対応する各発音源の位置座標を仮想空間データ記憶部62から読み出す(S102)。また、再生出力対象である音データの付属情報のうち、S101で取得した現在の再生位置が属する区間に対応するものから、代表周波数f及び基準音量Voを取得する(S103)。さらに、再生出力対象音データ取得部66は、仮想空間データ記憶部62から聴取位置、すなわちプレイヤキャラクタオブジェクト52の代表位置53の座標を読み出す(S104)。そして、伝搬距離算出部68aでは、各発音源の位置と聴取位置との距離Lを算出する(S105)。そして、S103で取得した周波数fに対応する音量減衰率データから、S105で算出した距離Lに対応する音量減衰率αを読み出すことにより、各音データについて音量減衰率αを取得する(S106)。そして、各音データについて、S106で取得した音量減衰率αを、S103で取得した基準音量Voに乗算することにより、該音データの再生音量を算出する(S107)。
【0039】
次に、再生出力対象となっている音データの数が所定数(例えば音声処理部20の最大同時発音数)を超えるか否かを判断する(S108)。超えていなければ、S107で算出された再生音量にて、全ての再生出力対象となっている音データを出力するよう、音データ及び再生音量の組を音声処理部20に供給する(S111)。そして、次の処理タイミング(繰り返しタイミング)を待って(S112)S101以降の処理を再度実行する。一方、再生出力対象となっている音データの数を超えていれば、再生出力対象となっている音データを、その再生音量をソートキーとして昇順又は降順にソートする(S109)。そして、再生音量が大きな音データから順に所定数を選択し、それらの音データ及びその再生音量を音声処理部20に供給し、ミキシング再生する(S110)。
【0040】
以上説明したゲーム装置10によれば、リアルタイムに、再生出力の対象となっている音データについて、発音位置と聴取位置との距離及び周波数に基づいて、その再生音量を決定して、大きな再生音量で再生出力されるものについて優先的に音声処理部20により再生出力するようにできるので、実際の出力状況に応じて、適切な音データを選択的に再生出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置(音出力装置)のハードウェア構成を示す図である。
【図2】仮想3次元空間を模式的に示す斜視図である。
【図3】音データ記憶部の記憶内容を示す図である。
【図4】付属情報の構成を説明する図である。
【図5】音量減衰率データを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るゲーム装置の機能ブロック図である。
【図7】再生出力対象音データ記憶部の記憶内容を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るゲーム装置の音出力処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0042】
10 ゲーム装置、11 家庭用ゲーム機、12 バス、14 マイクロプロセッサ、16 画像処理部、18 モニタ、20 音声処理部、22 スピーカ、24 DVD−ROM再生部、25 DVD−ROM、26 主記憶、28 メモリカード、30 入出力処理部、32 コントローラ、50 仮想3次元空間、52 プレイヤキャラクタオブジェクト、53,56 代表位置、54 発音源オブジェクト、58 フィールドオブジェクト、60 ゲーム進行部、62 仮想空間データ記憶部、64 再生出力対象音データ記憶部、66 再生出力対象音データ取得部、68 再生音量決定部、68a 伝搬距離算出部、68b 音量減衰率取得部、68c 再生音量算出部、70 ソート部、72 音量減衰率データ記憶部、74 音データ再生出力部、76 音データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の再生出力対象である1又は複数の音データを取得する音データ取得手段と、
前記音データ取得手段により取得される各音データの再生音量を決定する再生音量決定手段と、
前記再生音量決定手段により決定される各音データの再生音量に応じて、前記音データ取得手段により取得される前記1又は複数の音データのうち、一部又は全部を再生出力する音データ再生出力手段と、
を含むことを特徴とする音出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音出力装置において、
前記再生音量決定手段により決定される各音データの再生音量をソートする再生音量ソート手段をさらに含み、
前記音データ再生出力手段は、前記再生音量ソート手段によるソート結果に応じて、前記音データ取得手段により取得される前記1又は複数の音データのうち、一部又は全部を再生出力する、
ことを特徴とする音出力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の音出力装置において、
仮想空間に設定される発音源の位置から前記仮想空間に設定される聴取位置までの距離と、前記聴取位置での前記発音源から発せられる音の音量減衰率と、の関係を示す音量減衰率データを記憶する音量減衰率データ記憶手段をさらに含み、
前記音データ取得手段は、現在の再生出力対象である前記1又は複数の音データにより示される音の前記仮想空間における各発音源の位置をさらに取得し、
前記再生音量決定手段は、
前記音データ取得手段により取得される各音データにより示される音の前記仮想空間における発音源の位置から前記聴取位置までの距離を算出する伝搬距離算出手段と、
前記伝搬距離算出手段により算出される前記距離に対応する音量減衰率を前記音量減衰率データ記憶手段に記憶される前記音量減衰率データから取得する音量減衰率取得手段と、を含み、
前記音量減衰率取得手段により取得される音量減衰率に基づいて、前記音データ取得手段により選択される各音データの再生音量を決定する、
ことを特徴とする音出力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の音出力装置において、
前記音量減衰率データ記憶手段は、前記仮想空間に設定される発音源から発せられる音の周波数に対応づけて、前記音量減衰率データを複数記憶し、
前記音データ取得手段は、現在の再生出力対象である前記1又は複数の音データにより示される音の周波数をさらに取得し、
前記音量減衰率取得手段は、前記音データ取得手段により取得される周波数に対応する前記音量減衰率データから、前記伝搬距離算出手段により算出される前記距離に対応する音量減衰率を取得する、
ことを特徴とする音出力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の音出力装置において、
前記音データ取得手段は、現在の再生出力対象である前記1又は複数の音データにより示される音の基準音量をさらに取得し、
前記再生音量決定手段は、前記音データ取得手段により取得される基準音量と、前記音量減衰率取得手段により取得される音量減衰率と、に基づいて、前記音データ取得手段により取得される各音データの再生音量を決定する、
ことを特徴とする音出力装置。
【請求項6】
現在の再生出力対象である1又は複数の音データを取得する音データ取得ステップと、
前記音データ取得ステップで取得される各音データの再生音量を決定する再生音量決定ステップと、
前記再生音量決定ステップで決定される各音データの再生音量に応じて、前記音データ取得ステップにより取得される前記1又は複数の音データのうち、一部又は全部を再生出力する音データ再生出力ステップと、
を含むことを特徴とする音出力方法。
【請求項7】
現在の再生出力対象である1又は複数の音データを取得する音データ取得手段、
前記音データ取得手段により取得される各音データの再生音量を決定する再生音量決定手段、及び
前記再生音量決定手段により決定される各音データの再生音量に応じて、前記音データ取得手段により取得される前記1又は複数の音データのうち、一部又は全部を再生出力する音データ再生出力手段
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−37728(P2007−37728A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224639(P2005−224639)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】