説明

音叉型屈曲水晶振動素子

【課題】Z軸に平行な向きで振動する振動によるクリスタルインピーダンスの値が大きくなることを防ぎ生産性を向上させた音叉型屈曲水晶振動素子を提供する。
【解決手段】互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有し厚み方向がZ軸に平行となっている平板状の基部の側面から二つ一対の振動腕部がY軸に平行な方向で同一方向に延設されており、それぞれの振動腕部のそれぞれの主面に溝部が形成され、両主面に形成されている溝部の底面が対向しないようにY軸に平行な方向に交互にずらした位置のうち、
溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する前記振動腕部に最も近い辺の長さが前記溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する前記振動腕部から最も遠い溝部の開口部の辺の長さと異なっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音叉型屈曲水晶振動素子に関する。
【背景技術】
【0002】
音叉型屈曲水晶振動素子500は、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、基部510及び振動腕部520からなる水晶片と、振動腕部520に設けられている溝部521(521a,521b)と、励振用電極530(531,532,533,534)と、周波数調整用電極540と、接続用電極550と、配線部Hと、を少なくとも備えている。
【0003】
水晶片は、図6(a)及び図6(b)に示すように、基部510と二つ一対の振動腕部520とから構成されている。
【0004】
基部510は、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、平面視略四角形状の平板である。
また、基部510は、図6(a)及び図6(b)に示すように、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有している。
また、基部310は、図6(a)及び図6(b)に示すように、両主面がX軸及びY軸に平行となっており、厚み方向がZ軸に平行となっている。
【0005】
振動腕部520は、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、二つ一対で設けられており、基部510の側面から同一方向に延設され基部510と一体となって形成されている。このとき、図6(a)と図6(b)と図7(a)と図7(b)に示すように、振動腕部520の基部510側から先端側に向かう方向がY軸に平行となっている。
また、振動腕部520は、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、溝部521が設けられている。
【0006】
溝部521は、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、それぞれの振動腕部520のそれぞれの主面に形成されている。
また、溝部521は、開口部から底面に向かう向き、つまり、深さ方向がZ軸に平行に形成されている。
また、溝部521は、開口部が矩形形状となっており、所定の二辺がX軸に平行となっている。また、溝部521は、開口部の所定の二辺H51が開口部の所定の他の二辺H52,H53と比較して短くなっている。
【0007】
また、溝部521aは、振動腕部520の一方の主面を見た場合、図6(a)に示すように、X軸に平行な振動腕部520の辺W5の中点を通過しつつY軸に平行な仮想線上に、溝部521aの開口部の所定の二辺H51の中点が位置している。
【0008】
ここで、X軸に平行な振動腕部520の辺W5の中点を通過しつつY軸に平行な仮想線を第一の仮想線K51とする。
【0009】
従って、溝部521aは、第一の仮想線K51を基準として、所定の他の二辺H52,H53のうち隣接する振動腕部520に最も近い辺H52と、所定の他の二辺H52,H53のうち隣接する振動腕部520から最も遠い辺H53とが線対称となっている。
【0010】
また、溝部521bは、振動腕部520の他方の主面を見た場合、図6(b)に示すように、第一の仮想線K51上に溝部521bの開口部の所定の二辺H51の中点が位置している。
従って、溝部521bは、第一の仮想線K51を基準として、所定の他の二辺H52,H53のうち隣接する振動腕部520に最も近い辺H52と、所定の他の二辺H52,H53のうち隣接する振動腕部520から最も遠い辺H53とが線対称となっている。
【0011】
このように基部510と二つ一対の振動腕部520からなる水晶片は、音叉形状となっており、例えば、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により設けられている。
【0012】
振動腕部520の表面には、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、励振用電極530及び周波数調整用電極540が設けられている。
【0013】
一方の振動腕部520に着目すると、振動腕部520の表面には、例えば、四つ一対の励振用電極330及び二つ一対の周波数調整用電極540が設けられている。
【0014】
励振用電極530は、図6(a)及び図6(b)に示すように、所定の二つの励振用電極531,532が振動腕部520の両主面に設けられ、所定の他の二つの励振用電極533,534が、振動腕部320のY軸及びZ軸に平行な面に設けられている。
【0015】
ここで、振動腕部520のY軸及びZ軸に平行な面のうち隣接する振動腕部520側を向く面を振動腕部520の内側側面とし、この内側側面に対向する面を振動腕部520の外側側面とする。
【0016】
従って、所定の他の二つの励振用電極533,534は、振動腕部520の内側側面及び外側側面に設けられている。
【0017】
周波数調整用電極540は、図6(a)及び図6(b)に示すように、振動腕部520の両主面であって振動腕部520の先端側に設けられている。
【0018】
接続用電極550は、図6(a)及び図6(b)に示すように、二つ一対で基部510に設けられている。
一方の接続用電極550は、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、基部510の一方の主面から他方の主面にわたって設けられつつ、振動腕部520の主面を見た場合に振動腕部520に接している基部510の辺に対向する基部510の辺の一方の角端部に位置するように設けられている。
他方の接続用電極550は、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、基部510の一方の主面から他方の主面にわたって設けられつつ、振動腕部520の主面を見た場合に振動腕部520に接している基部510の辺に対向する基部510の辺の他方の角端部に位置するように設けられている。
【0019】
配線部Hは、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、所定の励振用電極530間、又は、所定の励振用電極530と所定の周波数調整用電極540との間、又は、所定の励振用電極530と所定の接続用電極550との間、を電気的に接続させるように水晶片の表面に設けられている。
【0020】
このような音叉型屈曲水晶振動素子500は、図6(a)及び図6(b)に示すように、一方の接続用電極550が、配線部H及び周波数調整用電極140を介して、一方の振動腕部520の両主面に設けられている所定の二つの励振用電極531,532と他方の振動腕部520の内側側面及び外側側面に設けられている所定の他の二つの励振用533,534とに電気的に接続されている。
また、このような音叉側屈曲水晶振動素子500は、図6(a)及び図6(b)に示すように、他方の接続用電極550が配線部H及び周波数調整用電極540を介して、一方の振動腕部520の内側側面及び外側側面に設けられている所定の他の二つの励振用電極533,534と他方の振動腕部520の両主面に設けられている所定の二つの励振用電極531,532とに電気的に接続されている。
【0021】
また、このような音叉型屈曲水晶振動素子500は、例えば、励振用電極530と周波数調整用電極540と接続用電極550とがクロム層の上に金層が設けられた金属の積層構造となっており、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により形成されている。
【0022】
また、このような音叉型屈曲水晶振動素子500は、二つ一対の接続用電極550に交番電圧を印加させることで、二つ一対の振動腕部520を屈曲振動させる構造となっている。
【0023】
また、このような音叉型屈曲水晶振動素子500で振動腕部520が振動しているときの電気的状態を瞬間的にとらえると、一方の振動腕部520では、一方の振動腕部520の所定の二つの励振用電極531,532がプラス電位となり、一方の振動腕部520の所定の他の二つの励振用電極533,534がマイナス電位となり、所定の二つの励振用電極531,532から所定の他の二つの励振用電極533,534に向かう向きに電界が生じている。
このとき、他方の振動腕部520では、他方の振動腕部520の所定の他の二つの励振用電極533,434がプラス電位となり、他方の振動腕部520の所定の二つの励振用電極531,532がマイナス電位となり、所定の他の二つの励振用電極533,534から所定の二つの励振用電極531,532に向かう向きに電界が生じている。
【0024】
このような音叉型屈曲水晶振動素子500は、交番電圧が接続用電極550に接続されそれぞれの振動腕部530に電界が生じることによって、それぞれの振動腕部530に伸縮現象が生じる。
その結果、このような音叉型屈曲水晶振動素子500は、所定の振動腕部520に設定した共振周波数で屈曲振動する。
なお、このような音叉型屈曲水晶振動素子500は、それぞれの振動腕部520に設けられている周波数調整用電極540を構成する金属の量を増減させることで共振周波数を調整することができる構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0025】
このような音叉型屈曲水晶振動素子500に用いる水晶片は、例えば、図7(a)と図7(b)と図7(c)に示すように、それぞれの振動腕部520の両主面に一つずつ同じ大きさの溝部521(521a,521b)が設けられている。
このとき、図7(a)と図7(b)と図7(c)に示すように、振動腕部520の一方の主面に形成されている溝部521aの底面が振動腕部520の他方の主面に形成されている溝部521bの底面と同一振動腕部520内で対向しないように、振動腕部520の一方の主面に形成されている溝部521a及び振動腕部520の他方の主面に形成されている溝部521bがY軸に平行な方向に交互にずらした位置にそれぞれ設けられている。
なお、このような水晶片を用いている音叉型屈曲水晶振動素子500は、一方の主面に設けられている溝部521aの底面の全面に励振用電極531の一部が設けられており、他方の主面に設けられている溝部521bの底面の全面に励振用電極532の一部が設けられている。
【0026】
また、このような水晶片は、振動腕部520の一方の主面を見た場合、図7(a)に示すように、溝部521aの開口部の辺のうちX軸に平行な辺H31の中点が第一の仮想線K51上に位置している。
従って、このような水晶片は、図7(a)に示すように、溝部521aの開口部の辺のうちY軸に平行な辺H52,H53が第一の仮想線K51を基準として線対称となっている。
【0027】
また、このような水晶片は、振動腕部520の他方の主面を見た場合、図7(b)に示すように、溝部521bの開口部の辺のうちX軸に平行な辺H31の中点が第一の仮想線K51上に位置している。
従って、このような水晶片は、図7(b)に示すように、溝部521bの開口部の辺のうちY軸に平行な辺H52,H53が第一の仮想線K51を基準として線対称となっている。
【0028】
また、このような水晶片は、図7(c)に示すように、溝部521の開口部の大きさが溝部521の底面の大きさと比較すると大きくなっている。
ここで、溝部521内側を向く面のうち、溝部521の開口部及び溝部521の底面に接している面を溝部521の側面とする。
【0029】
また、このような水晶片は、図7(c)に示すように、溝部521の底面から開口部に向かうに従って溝部521の底面から溝部521の側面までのZ軸に平行な向きの長さが長くなるように溝部521の側面が設けられている。
【0030】
また、このような水晶片は、例えば、図7(c)に示すように、振動腕部520の断面を見た場合、振動腕部520の一方の主面に形成されている溝部521aの側面のうち振動腕部520の先端側に近い側面が、振動腕部520の他方の主面に形成されている溝部521bの側面のうち基部510側に近い側面に対向している。
【0031】
ここで、一方の主面に設けられている溝部521aの側面のうち振動腕部520の先端側の側面と、他方の主面に設けられている溝部521bの側面のうち基部510側の側面とで挟まれた振動腕部520の一部をオーバーラップ部分とする。
言い換えると、オーバーラップ部分は、一方の主面に設けられている溝部521aの所定の一つの側面と他方の主面に設けられている溝部521bの側面のうち一方の主面に設けられている溝部521aの所定の一つの側面に対向する面とで挟まれている振動腕部520の一部である。
【0032】
このような水晶片は、水晶片の一方の主面側から見た場合、両主面に設けられた溝部521の開口部のY軸に平行な辺H52,H53が第一の仮想線K51を基準として線対称となっているので、オーバーラップ部分が所定の二辺がX軸に平行でかつ所定の他の二辺がY軸に平行となる矩形形状になっている。
【0033】
両主面に一つずつ同じ大きさの溝部521が設けられている水晶片を用いている音叉型屈曲水晶振動素子500について説明したが、別の一例として、図8(a)と図8(b)と図8(c)に示すように、両主面に二つずつ同じ大きさの溝部621が設けられている水晶片を用いる場合がある。
【0034】
このような水晶片は、振動腕部620の一方の主面に形成されている溝部621aの底面が振動腕部620の他方の主面に形成されている溝部621bの底面と同一振動腕部620内で対向しないように、振動腕部620の一方の主面に形成されている溝部621a及び振動腕部620の他方の主面に形成されている溝部621bがY軸に平行な方向に交互にずらした位置にそれぞれ形成されている。
なお、このような水晶片を用いている水晶振動素子は、一方の主面に形成されている溝部621aの底面の全面に励振用電極の一部が形成されており、他方の主面に形成されている溝部621bの底面の全面に励振用電極の一部が形成されている。
【0035】
また、この水晶片は、振動腕部620の一方の主面を見た場合、図8(a)に示すように、一方の主面に形成されている二つ一対の溝部421aがX軸に平行な振動腕部620の辺W6の中点を通過しつつY軸に平行となっている仮想線、つまり、第一の仮想線K61を基準として線対称となるように設けられている。
また、この水晶片は、図8(a)に示すように、隣接する振動腕部620に最も近い溝部621aの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部620に最も近い辺H62と、隣接する振動腕部620から最も離れた溝部621aの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部620から最も離れた辺H63とが第一の仮想線K61を基準として線対称となっている。
【0036】
また、この水晶片は、振動腕部520の他方の主面を見た場合、図8(b)に示すように、他方の主面に形成されている二つの溝部621bがX軸に平行な振動腕部620の辺W6の中点を通過しつつY軸に平行な仮想線、つまり、第一の仮想線K61を基準として線対称となるように設けられている。
また、この水晶片は、振動腕部620の他方の主面を見た場合、図8(b)に示すように、隣接する振動腕部620に最も近い溝部621bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部620に最も近い辺H62と、隣接する振動腕部620から最も離れた溝部621bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部620から最も離れた辺H63とが第一の仮想線K61を基準として線対称となっている。
【0037】
また、この水晶片は、図8(c)に示すように、溝部621の開口部の大きさが溝部521の底面の大きさと比較すると大きくなっている。
また、このような水晶片は、溝部621の底面から溝部621の開口部に向かうに従って、溝部621の底面から溝部621の側面までのZ軸に平行な向きの長さが長くなるように溝部621の側面が設けられている。
【0038】
また、この水晶片は、水晶片の一方の主面側から見た場合、水晶片の両主面に設けられている二つ一対の溝部621が第一の仮想線K61を基準に線対称となるように設けられ、水晶片の両主面に設けられている二つ一対の溝部621の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部620に最も近い辺H62と、隣接する振動腕部621から最も遠い辺H63とが第一の仮想線K61を基準に線対称となるように設けられているので、
オーバーラップ部分が所定の二辺がX軸に平行でかつ所定の他の二辺がY軸に平行となっている矩形形状となっている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2007−329879号公報
【特許文献2】特許第4578499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
しかしながら、従来の音叉型屈曲水晶振動素子は、両主面に設けられている溝部の底面が対向しないようにそれぞれの振動腕部のそれぞれの主面にY軸に平行な向きで交互にずらした位置に溝部が設けられ、かつ、振動腕部に設けられている溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部に最も近い辺と振動腕部に設けられている溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部に最も遠い辺とが
第一の仮想線を基準として線対称となるようにそれぞれの振動腕部のそれぞれの主面に溝部が設けられているので、溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部に最も近い辺の長さと、溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部から最も遠い辺の長さとが同じとなっている。
このため、二つ一対の接続用電極に交番電圧が印加され振動する場合、従来の音叉型屈曲水晶振動素子は、振動腕部の内側側面側でのZ軸に平行な振動と振動腕部の外側側面側でのZ軸に平行な振動とが互いに相乗し、X軸およびY軸に平行な平面上で振動する屈曲振動にZ軸に平行な向きに振動する振動がスプリアスとして混在してしまい、クリスタルインピーダンスの値が大きくなる。
従って、従来の音叉型屈曲水晶振動素子は、クリスタルインピーダンスの値が大きくなり、クリスタルインピーダンスの値が大きいことによる不良が発生し生産性が低下する。
【0041】
そこで、本発明では、Z軸に平行な向きで振動する振動がスプリアスとして混在することを抑え、生産性を向上させた音叉型屈曲水晶振動素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0042】
前記課題を解決するため、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有し、両主面が前記X軸及び前記Y軸に平行となっている平板状の基部と、両主面が前記X軸及び前記Y軸に平行となっている矩形形状となっており、前記基部の側面から前記Y軸に平行な向きであって同一方向に延設されて前記基部と一体化されている二つ一対の振動腕部と、開口部が四角形状となっており、
開口部の所定の二辺が前記Y軸に平行となるようにそれぞれの前記振動腕部の両主面にそれぞれ形成されている溝部と、前記振動腕部の表面に所望のパターンで形成されている複数の励振用電極と、前記基部の表面に所望のパターンで形成されている接続用電極と、前記励振用電極間又は前記励振用電極と前記接続用電極との間を電気的に接続している配線部と、を備え、
前記振動腕部の一方の主面に形成されている溝部の底面と前記振動腕部の他方の主面に形成されている溝部の底面とが対向しないように、前記溝部が前記Y軸に平行な方向に交互にずらした位置にそれぞれ形成されつつ、前記溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する前記振動腕部に最も近い辺の長さが前記溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する前記振動腕部から最も遠い溝部の開口部の辺の長さと異なっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
このような音叉型屈曲水晶振動素子によれば、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有した平板状の基部の側面から二つ一対の振動腕部が延設され、それぞれの振動腕部のそれぞれの主面に一方の主面に設けられている溝部の底面と他方の主面に設けられている溝部の底面とが対向しないように溝部が設けれ、Y軸に平行な溝部の開口部の辺のうち隣接する振動腕部に最も近い辺の長さが、
Y軸に平行な溝部の開口部の辺のうち隣接する振動腕部から最も離れた辺の長さと異なっているので、二つ一対の接続用電極に交番電圧が印加され振動する場合、隣接する振動腕部側を向くY軸及びZ軸に平行な振動腕部の面側でのZ軸に平行な振動と隣接する振動腕部側を向くY軸及びZ軸に平行な振動腕部の面に対向する同一振動腕部内の面側でのZ軸に平行な振動とを互いに相殺させることができる。
従って、このような音叉型屈曲水晶振動素子によれば、Z軸に平行な振動を互いに相殺させることができるので、従来の音叉型屈曲水晶振動素子と比較して、X軸およびY軸に平行な平面上で振動する屈曲振動に混在するスプリアスを抑えることができ、従来の音叉型屈曲水晶振動素子と比較してクリスタルインピーダンスの値が大きくなることを抑えることができる。
このため、このような音叉型屈曲水晶振動素子によれば、クリスタルインピーダンスの値が大きくなることによる不良を従来の音叉型屈曲水晶振動素子と比較して抑えることができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)は、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子の一方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(b)は、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子の他方の主面の状態の一例を示す平面図である。
【図2】(a)は、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の一方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(b)は、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の他方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(c)は、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の状態の一例を示す断面図である。
【図3】(a)は、本発明の第二の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の一方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(b)は、本発明の第二の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の他方の主面の状態の一例を示す平面図である。
【図4】(a)は、本発明の第三の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の一方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(b)は、本発明の第三の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の他方の主面の状態の一例を示す平面図である。
【図5】(a)は、本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の一方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(b)は、本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の他方の主面の状態の一例を示す平面図である。
【図6】(a)は、従来の音叉型屈曲水晶振動素子の一方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(b)は、従来の音叉型屈曲水晶振動素子の他方の主面の状態の一例を示す平面図である。
【図7】(a)は、従来の音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の一方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(b)は、従来の音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の他方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(c)は、従来の音叉型屈曲水晶振動素子で用いる水晶片の状態の一例を示す断面図である。
【図8】(a)は、従来の音叉型屈曲水晶振動素子で用いる別の一例の水晶片の一方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(b)は、従来の音叉型屈曲水晶振動素子で用いる別の一例の水晶片の他方の主面の状態の一例を示す平面図であり、(c)は、従来の音叉型屈曲水晶振動素子で用いる別の一例の水晶片の状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、各図面において各構成要素の状態を分かりやすくするために誇張して図示している。
【0046】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100は、図1(a)及び図1(b)に示すように、基部110及び振動腕部120からなる水晶片と、振動腕部120に設けられている溝部121(121a,121b)と、励振用電極130(131,132,133,134)と、周波数調整用電極140と、接続用電極150と、配線部Hと、を少なくとも備えている。
【0047】
水晶片は、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)に示すように、基部110と二つ一対の振動腕部120とから構成されており、振動腕部120の両主面に溝部121(121a,121b)が設けられている。
また、水晶片は、例えば、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により、設けられている。
【0048】
基部110は、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)に示すように、平面視略四角形状の平板である。
また、基部110は、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)に示すように、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有しており、両主面がX軸およびY軸に平行となっており、厚み方向がZ軸に平行となっている。
【0049】
振動腕部120は、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)に示すように、二つ一対で設けられており、基部110の側面から同一方向に延設され基部110と一体で形成されている。このとき、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)に示すように、振動腕部120の基部110側から先端側に向かう方向がY軸に平行となっている。
また、振動腕部120は、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)に示すように、両主面が四角形状に形成され、両主面がX軸及びY軸に平行となっており、厚み方向がZ軸に平行となっている。このとき、振動腕部120の両主面は、基部110の両主面と同一平面上に位置している。
また、振動腕部120は、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)に示すように、一方の主面又は他方の主面を見た場合、基部110に接する辺及びこの辺に対向する辺がX軸に平行となっており、隣接する振動腕部120側を向く辺及びこの辺に対向する辺がY軸に平行となっている。
また、振動腕部120は、例えば、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)に示すように、両主面に一つずつ溝部121が形成されている。
【0050】
溝部121は、例えば、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)に示すように、それぞれの振動腕部120のそれぞれの主面に一つずつ設けられている。
また、溝部121は、底面及び開口部がX軸及びY軸に平行となっており、開口部から底面に向かう向き、つまり、深さ方向がZ軸に平行となっている。
【0051】
また、溝部121は、例えば、図1(a)と図1(b)と図2(a)と図2(b)と図2(c)に示すように、開口部が四角形状となっており、例えば、開口部の所定の二辺H12,H13がY軸に平行となっている台形形状となっている。
また、溝部121は、溝部121の開口部のY軸に平行な辺H12,H13のうち隣接する振動腕部120に最も近い辺H12の長さと、溝部321の開口部のY軸に平行な辺H12,H13のうち隣接する振動腕部120から最も遠い辺H13の長さとが異なるように設けられている。
【0052】
振動腕部220の一方の主面を見た場合、溝部121aは、例えば、図1(a)及び図2(a)に示すように、Y軸に平行な溝部121aの開口部の辺のうち隣接する振動腕部120に最も近い辺H21の長さが、Y軸に平行な溝部121aの開口部の辺のうち隣接する振動腕部120から最も遠い辺H31の長さより長くなっている。
また、溝部121aは、図1(a)と図2(a)と図2(c)に示すように、振動腕部120の基部110側に設けられている。
【0053】
振動腕部220の他方の主面を見た場合、溝部121bは、例えば、図1(b)及び図2(b)に示すように、Y軸に平行な溝部121bの開口部の辺のうち隣接する振動腕部120に最も近い辺H12の長さが、Y軸に平行な溝部121bの開口部の辺のうち隣接する振動腕部120から最も遠い辺H31の長さより短くなっている。
また、溝部121bは、図1(b)と図2(b)と図2(c)に示すように、振動腕部120の先端側に設けられている。
【0054】
また、それぞれの振動腕部120のそれぞれの主面に設けられる溝部121は、同一振動腕部120内で一方の主面に設けられている溝部121aの底面と他方の主面に設けられている溝部121bの底面とが対向しないようにY軸に平行な方向で交互にずらした位置に設けられている。
【0055】
このような水晶片は、基部110の側面から二つ一対の振動腕部120が同一方向に延設されて音叉形状となっている。
また、水晶片は、それぞれの主面に設けられている溝部121が同一振動腕部120内で一方の主面に設けられている溝部121aの底面と他方の主面に設けられている溝部121bの底面とが対向しないようにY軸に平行な方向で交互にずらした位置に設けられている。
【0056】
また、水晶片は、それぞれの振動腕部120の一方の主面又は他方の主面を見た場合、溝部121の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部120に最も近い辺H12の長さが、溝部121の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部120から最も遠い辺H13の長さとなっている。
【0057】
つまり、水晶片は、振動腕部120の一方の主面又は振動腕部120の他方の主面を見た場合、溝部121の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部120に最も近い辺H11と、溝部121の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部120から最も遠い辺H13とが、X軸に平行な振動腕部120の辺W1の中点を通過しつつY軸に平行な仮想線を基準として線対称となっていない。
ここで、X軸に平行な振動腕部120の辺W1の中点を通過しつつY軸に平行な仮想線を第一の仮想線K11とする。
このため、このような水晶片は、後述する励振用電極120と接続用電極150と周波数調整用電極140と配線部Hを設け振動させた場合、
それぞれの振動腕部120の隣接する振動腕部120側を向くY軸及びZ軸に平行な面での振動変位と隣接する振動腕部120側を向くY軸及びZ軸に平行な面に対向する同一腕部120のY軸及びZ軸に平行な面側での振動変位とが互いに相殺するようにZ軸に平行な向きに振動させることができる構成となっている。
【0058】
また、このような水晶片は、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、励振用電極130と周波数調整用電極140と接続用電極150と配線部Hとが表面に設けられている。
このとき、励振用電極130と周波数調整用電極140と接続用電極150と配線部Hは、例えば、クロム層の上に金層が設けられた金属の積層構造となっており、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により設けられている。
【0059】
励振用電極130は、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、振動腕部120の表面に四つ一対で設けられている。
また、励振用電極130は、図1(a)及び図1(b)に示すように、所定の二つの励振用電極131,132が振動腕部120の両主面、つまり、X軸及びY軸に平行な面に設けられ、所定の他の二つの励振用電極133,134が振動腕部120のY軸及びZ軸に平行な面に設けられている。
【0060】
ここで、隣接する振動腕部120側を向くY軸及びZ軸に平行な振動腕部120の面を
振動腕部120の内側側面とし、この内側側面に対向する同一振動腕部120の面を外側側面とする。
【0061】
また、励振用電極130は、一方の振動腕部120に着目すると、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、振動腕部120の一方の主面に励振用電極131が設けられ、振動腕部120の他方の主面に励振用電極132が設けられ、振動腕部120の内側側面に励振用電極133が設けられ、振動腕部120の外側側面に励振用電極134が設けられている。
このとき、所定の二つの励振用電極131,132は、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、その一部が溝部121の底面の全面に設けられている。
【0062】
また、励振用電極130は、他方の振動腕部120に着目すると、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、振動腕部120の一方の主面に励振用電極131が設けられ、振動腕部120の他方の主面に励振用電極132が設けられ、振動腕部120の内側側面に励振用電極133が設けられ、振動腕部120の外側側面に励振用電極134が設けられている。
このとき、所定の二つの励振用電極131,132は、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、その一部が溝部121の底面の全面に設けられている。
【0063】
周波数調整用電極140は、図1(a)及び図1(b)に示すように、一方の振動腕部120の振動腕部120の先端側の両主面に設けられている。
ここで、振動腕部120の先端側とは、振動腕部120の一方の主面又は振動腕部120の他方の主面を見た場合、基部120と振動腕部120とが接している辺に対向する振動腕部120の辺に沿った縁部をいう。
【0064】
また、周波数調整用電極140は、構成する金属の量を増減させることで本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100の共振周波数を調整することができる構成となっている。
【0065】
接続用電極150は、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、二つ一対で基部110の表面に設けられている。
一方の接続用電極150は、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、基部110の一方の主面から他方の主面にわたって設けられつつ、基部110の一方の主面を見た場合に振動腕部120に接している辺に対向する辺の一方の角端部に位置するように設けられている。
他方の接続用電極150は、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、基部110の一方の主面から他方の主面にわたって設けられつつ、基部110の一方の主面を見た場合に振動腕部120の接している辺に対向する辺の他方の角端部に位置するように設けられている。
【0066】
配線部Hは、励振用電極130間、又は、励振用電極130と接続用電極150との間、又は、励振用電極130と周波数調整用電極140との間を電気的に接続するように、水晶片の表面に設けられている。
【0067】
配線部Hは、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、一方の接続用電極150を一方の振動腕部120の一方の主面に設けられている励振用電極131及び一方の振動腕部120の他方の主面に設けられている励振用電極132に電気的に接続させつつ、一方の接続用電極150を他方の振動腕部120の内側側面に設けられている励振用電極133に電気的に接続させる位置に設けられている。
このとき、図1(b)に示すように、他方の振動腕部120の内側側面に設けられている励振用電極133と他方の振動腕部120の外側側面に設けられている励振用電極134とが他方の振動腕部120に設けられている周波数調整用電極140を介して電気的に接続されている。
【0068】
また、配線部Hは、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、他方の接続用電極150を他方の振動腕部120の一方の主面に設けけられている励振用電極131及び他方の振動腕部120の他方の主面に設けられている励振用電極132に電気的に接続させつつ、他方の接続用電極150を一方の振動腕部120の内側側面に設けられている励振用電極133に電気的に接続させる位置に設けられている。
このとき、図1(b)に示すように、一方の振動腕部120の内側側面に設けられている励振用電極133と他方の振動腕部120の外側側面に設けられている励振用電極134とが一方の振動腕部120に設けられている周波数調整用電極140を介して電気的に接続されている。
【0069】
従って、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100は、図1(a)及び図1(b)に示すように、基部110と二つ一対の振動腕部120とが一体となって設けられ音叉形状となっている水晶片の表面に、振動用電極130と周波数調整用電極140と接続用電極150と配線部Hとが設けられている。
また、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子は、Y軸に平行な溝部121の開口部の辺のうち隣接する振動腕部120に最も近い辺H12の長さと、Y軸に平行な溝部121の開口部の辺のうち隣接する振動腕部120から最も遠い辺H13の長さとが異なる溝部がそれぞれの振動腕部120のそれぞれの主面に設けられつつ、両主面に設けられた溝部121の底面が対向しないようにY軸に平行な方向に交互に溝部121が設けられている。
【0070】
このような本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100は、二つ一対の接続用電極150に交番電圧を印加させることで、二つ一対の振動腕部120を屈曲振動させることができる構成となっている。
【0071】
本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100は、二つ一対の振動腕部120が振動しているときの一方の振動腕部120の電気的状態を瞬間的にとらえると、
一方の振動腕部120の両主面に設けられている所定の二つの励振用電極131,132がプラス電位となり、一方の振動腕部120の内側側面及び外側側面に設けられている所定の他の二つの励振用電極133,134がマイナス電位となり、プラス電位の発生している所定の二つの励振用電極131,132からマイナス電位の発生している所定の他の二つの励振用電極133,134に向かう向きに電界が生じている。
また、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100は、二つ一対の振動腕部120が振動しているときの他方の振動腕部120の電気的状態を瞬間的にとらえると、他方の振動腕部120の両主面に設けられている所定の二つの励振用電極131,132がマイナス電位となり、他方の振動腕部120の内側側面及び外側側面に設けられている所定の他の二つの励振用電極133,134がプラス電位となり、
プラス電位が発生している所定の他の二つの励振用電極133,134からマイナス電位が発生している所定の二つの励振用電極131,132に向かう向きに電界が生じている。
【0072】
従って、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100は、二つ一対の接続用電極150に交番電圧を印加しそれぞれの振動腕部120に電界を生じさせることで、それぞれの振動腕部120が振動する。
このとき、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100は、それぞれの振動腕部120の一方の主面又は振動腕部120の他方の主面を見た場合に、Y軸に平行な溝部120の開口部の辺のうち隣接する振動腕部120に最も近い辺H12の長さが、Y軸に平行な溝部120の開口部の辺のうち隣接する振動腕部120から最も遠い辺H13の長さと異なっているので、振動する際に、振動腕部120の内側側面側と振動腕部120の外側側面側とで互いに相殺しあうZ軸に平行な振動が生じる。
このため、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100は、二つ一対の接続用電極150に交番電圧を印加しそれぞれの振動腕部120に電界を生じさせることでそれぞれの振動腕部120を振動させた場合、2種類のZ軸に平行な向きの振動が相殺しあうため、見かけ上、X軸およびZ軸に平行な平面上で振動する屈曲振動のみを振動する。
【0073】
このような本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100によれば、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有した平板状の基部110の側面から二つ一対の振動腕部120が延設され、それぞれの振動腕部120のそれぞれの主面に一方の主面に設けられている溝部121aの底面と他方の主面に設けられている溝部121bの底面とが対向しないように溝部121が設けられ、Y軸に平行な溝部121の開口部の辺のうち隣接する振動腕部120に最も近い辺H12の長さが、
Y軸に平行な溝部121の開口部の辺のうち隣接する振動腕部120から最も離れた辺H13の長さと異なっているので、二つ一対の接続用電極150に交番電圧が印加され振動する場合、隣接する振動腕部120側を向くY軸及びZ軸に平行な振動腕部120の面側でのZ軸に平行な振動と隣接する振動腕部120側を向くY軸及びZ軸に平行な振動腕部120の面に対向する同一振動腕部120内の面側でのZ軸に平行な振動とを互いに相殺させることができる。
従って、このような本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100によれば、Z軸に平行な振動を互いに相殺させることができるので、従来の音叉型屈曲水晶振動素子500と比較して、X軸およびY軸に平行な平面上で振動する屈曲振動に混在するスプリアスを抑えることができ、従来の音叉型屈曲水晶振動素子500と比較してクリスタルインピーダンスの値が大きくなることを抑えることができる。
このため、このような本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子100によれば、クリスタルインピーダンスの値が大きくなることによる不良を従来の音叉型屈曲水晶振動素子500と比較して抑えることができ、生産性を向上させることができる。
【0074】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子は、図3(a)及び図3(b)に示すように、それぞれの振動腕部220のそれぞれの主面に二つの溝部221(221a,221b)が設けられている水晶片を用いている点で第一の実施形態と異なる。
【0075】
このような水晶片は、図3(a)及び図3(b)に示すように、基部210と二つ一対の振動腕部220とからなる、それぞれの振動腕部220のそれぞれの主面に二つ一対の溝部221が設けられている。
また、このような水晶片は、例えば、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により設けられている。
【0076】
基部210は、図3(a)及び図3(b)に示すように、平面視略四角形状の平板である。
また、基部210は、図3(a)及び図3(b)に示すように、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有しており、両主面がX軸及びY軸に平行となっており、厚み方向がZ軸に平行となっている。
【0077】
振動腕部220は、図3(a)及び図3(b)に示すように、二つ一対で設けられており、基部210の側面から同一方向に延設され基部210と一体で形成されている。このとき、図3(a)及び図3(b)に示すように、振動腕部220の基部210側から先端側に向かう方向がY軸に平行となっている。
また、振動腕部210は、図3(a)及び図3(b)に示すように、両主面が四角形状に形成され、両主面がX軸及びY軸に平行となっており、厚み方向がZ軸方向となっている。このとき、振動腕部220の両主面は、基部210の両主面と同一平面上に位置している。
また、振動腕部220は、図3(a)及び図3(b)に示すように、振動腕部220の一方の主面又は振動腕部220の他方の主面を見た場合、基部210に接する辺及びこの辺に対向する辺がX軸に平行となっており、隣接する振動腕部220側を向く辺及びこの辺に対向する辺がY軸に平行となっている。
また、振動腕部220は、例えば、図3(a)及び図3(b)に示すように、両主面に二つ一対の溝部221が設けられている。
【0078】
溝部221は、例えば、図3(a)及び図3(b)に示すように、それぞれの振動腕部220のそれぞれの主面に二つ一対で設けられている。
また、二つ一対の溝部221は、例えば、図3(a)及び図3(b)に示すように、振動腕部220の一方の主面又は振動腕部220の他方の主面を見た場合に、X軸に平行な振動腕部220の辺の中点を通過しつつY軸に平行な仮想線、つまり、第一の仮想線K21を基準として二つ一対の溝部221の開口部が線対称となっていない。
また、溝部221は、底面及び開口部がX軸及びY軸に平行となっており、開口部から底面に向かう向き、つまり、深さ方向がZ軸に平行となっている。
【0079】
また、溝部221は、図3(a)及び図3(b)に示すように、開口部が台形形状となっており、所定の二辺がY軸に平行となっている。
また、溝部221は、図3(a)及び図3(b)に示すように、振動腕部220の一方の主面又は振動腕部220の他方の主面を見た場合、隣接する振動腕部220に最も近い溝部221の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220に最も近い辺H22の長さが、隣接する振動腕部220から最も遠い溝部221の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220から最も離れた辺H23の長さと異なっている。
【0080】
また、一方の主面に設けられている溝部221aは、例えば、振動腕部220の一方の主面を見た場合、図3(a)に示すように、溝部221aの開口部が台形形状となっており、溝部221aの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220に近い辺の長さが、溝部221aの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220から遠い辺の長さと比較して長くなっている。
また、一方の主面に設けられている溝部221aは、例えば、振動腕部220の一方の主面を見た場合、図3(a)に示すように、隣接する振動腕部220に最も近い溝部221aの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220から遠い辺の長さが、隣接する振動腕部220から最も遠い溝部221aの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220に近い辺の長さと比較して長くなっている。
従って、一方の主面に設けられている溝部221aは、例えば、振動腕部220の一方の主面を見た場合、図3(a)に示すように、隣接する振動腕部220に近くなるに従って、溝部221aの開口部のY軸に平行な辺の長さが長くなっている。
また、一方の主面に設けられている溝部221aは、例えば、振動腕部220の一方の主面を見た場合、図3(a)に示すように、振動腕部220の基部210側に設けられている。
【0081】
また、一方の主面に設けられている溝部221bは、例えば、振動腕部220の他方の主面を見た場合、図3(b)に示すように、溝部221bの開口部が台形形状となっており、溝部221bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220に近い辺の長さが、溝部221bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220から遠い辺の長さと比較すると短くなっている。
また、他方の主面に設けられている溝部221bは、例えば、振動腕部220の他方の主面を見た場合、図3(b)に示すように、隣接する振動腕部220に最も近い溝部221bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220から遠い辺の長さが、隣接する振動腕部220から最も遠い溝部221bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220に近い辺の長さと比較すると短くなっている。
従って、他方の主面に設けられている溝部221bは、例えば、振動腕部220の他方の主面を見た場合、図3(b)に示すように、隣接する振動腕部220に近くなるに従って溝部221bの開口部のY軸に平行な辺の長さが短くなっている。
また、他方の主面に設けられている溝部221bは、例えば、振動腕部220の他方の主面を見た場合、図3(b)に示すように、振動腕部220の先端側に設けられている。
【0082】
つまり、それぞれの振動腕部220のそれぞれの主面に設けられている二つ一対の溝部221は、隣接する振動腕部220に最も近い溝部221の開口部のY軸に平行な辺H22の長さと、隣接する振動腕部220から最も遠い溝部221の開口部のY軸に平行な辺H23の長さとが異なっている。
また、それぞれの振動腕部220のそれぞれの主面に設けられている二つ一対の溝部221は、同一振動腕部220内で一方の主面に設けられている溝部221aの底面と他方の主面に設けられている溝部221bの底面とが対向しないようにY軸に平行な方向で交互にずらした位置設けられている。
【0083】
従って、基部210と溝部221が設けられている二つ一対の振動腕部220とからなる水晶片は、図3(a)及び図3(b)に示すように、基部210の側面から二つ一対の振動腕部220が同一方向に延設され音叉形状となっている。
また、水晶片は、図3(a)及び図3(b)に示すように、同一振動腕部220内で一方の主面に設けられている二つ一対の溝部221aの底面と他方の主面に設けられている二つ一対の溝部221bの底面とが対向しないようにY軸に平行な方向で交互にずらした位置にそれぞれの振動腕部220のそれぞれの主面に二つ一対の溝部221が設けられている。
また、水晶片は、図3(a)及び図3(b)に示すように、振動腕部220の一方の主面又は振動腕部220の他方の主面を見た場合、隣接する振動腕部220に最も近い溝部221の開口部の辺H22の長さが、隣接する振動腕部220から最も遠い溝部221の開口部の辺H23の長さと異なるように二つ一対の溝部221が設けられている。
【0084】
このため、このような水晶片は、励振用電極と接続用電極と周波数調整用電極と配線部を設け振動させた場合、それぞれの振動腕部220の隣接する振動腕部220側を向くY軸及びZ軸に平行な面での振動変位と、隣接する振動腕部220側を向くY軸及びZ軸に平行な面に対向する同一腕部220のY軸及びZ軸に平行な面側での振動変位とが互いに相殺するようにZ軸に平行な向きに振動させることができる。
【0085】
このような水晶片を用いた第二の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子は、振動腕部220の内側側面側で生じるZ軸に平行な向きの振動と振動腕部220の外側側面側で生じるZ軸に平行な向きの振動とを互いに相殺させることができ、見かけ上Z軸に平行な向きの振動を従来の音叉型屈曲水晶振動素子と比較して抑えることができるので、第一の実施形態と同様の効果を奏する。
【0086】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子は、図4(a)及び図4(b)に示すように、溝部の開口部321が四角形状となっている水晶片を用いている点で第二の実施形態と異なる。
【0087】
本発明の第三の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子に用いる水晶片は、図4(a)及び図4(b)に示すように、基部310と二つ一対の振動腕部320とからなり、それぞれの振動腕部320のそれぞれの主面に二つ一対の溝部321が設けられている。
また、このような水晶片は、例えば、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により設けられている。
【0088】
基部310は、図4(a)及び図4(b)に示すように、平面視略四角形状の平板である。
また、基部310は、図4(a)及び図4(b)に示すように、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有しており、両主面がX軸及びY軸に平行となっており、厚み方向がZ軸に平行となっている。
【0089】
振動腕部320は、図4(a)及び図4(b)に示すように、二つ一対で設けられており、基部310の側面から同一方向に延設され基部310と一体で形成されている。
このとき、図4(a)及び図4(b)に示すように、振動腕部320の基部310側から先端側に向かう方向がY軸に平行となっている。
また、振動腕部310は、図4(a)及び図4(b)に示すように、両主面が四角形状に形成され、両主面がX軸及びY軸に平行となっており、厚み方向がZ軸方向となっている。このとき、振動腕部320の両主面は、基部310の両主面と同一平面上に位置している。
また、振動腕部320は、図4(a)及び図4(b)に示すように、振動腕部320の一方の主面又は振動腕部320の他方の主面を見た場合、基部310に接する辺及びこの辺に対向する辺がX軸に平行となっており、隣接する振動腕部320側を向く辺及びこの辺に対向する辺がY軸に平行となっている。
また、振動腕部320は、例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、両主面に二つ一対の溝部321が設けられている。
【0090】
溝部321は、例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、それぞれの振動腕部320のそれぞれの主面に二つ一対で設けられている。
また、二つ一対の溝部321は、例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、それぞれの開口部の大きさが異なっており、振動腕部320の一方の主面又は振動腕部320の他方の主面を見た場合に、X軸に平行な振動腕部320の辺の中点を通過しつつY軸に平行な仮想線、つまり、第一の仮想線K31を基準として二つ一対の溝部321の開口部が線対称となっていない。
また、溝部321は、底面及び開口部がX軸及びY軸に平行となっており、開口部から底面に向かう向き、つまり、深さ方向がZ軸に平行となっている。
【0091】
また、溝部321は、図4(a)及び図4(b)に示すように、開口部が四角形状となっており、所定の二辺がY軸に平行となっている。
また、溝部321は、図4(a)及び図4(b)に示すように、振動腕部320の一方の主面又は振動腕部320の他方の主面を見た場合、隣接する振動腕部320に最も近い溝部321の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部220に最も近い辺H32の長さが、隣接する振動腕部320から最も遠い溝部321の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部320から最も離れた辺H33の長さと異なっている。
【0092】
また、一方の主面に設けられている二つ一対の溝部321aは、例えば、振動腕部320の一方の主面を見た場合、図4(a)に示すように、二つ一対の溝部321aの開口部が矩形形状となっている。
また、一方の主面に設けられている溝部321aは、例えば、振動腕部320の一方の主面を見た場合、図4(a)に示すように、隣接する振動腕部320に最も近い溝部321aの開口部の大きさが隣接する振動腕部320から最も離れている溝部321aの開口部の大きさと比較すると大きくなっている。
また、一方の主面に設けられている溝部321aは、例えば、振動腕部320の一方の主面を見た場合、図4(a)に示すように、隣接する振動腕部320に最も近い溝部321aの開口部のY軸に平行な辺の長さが、隣接する振動腕部320から最も遠い溝部321bの開口部のY軸に平行な辺の長さと比較して長くなっている。
従って、一方の主面に設けられている溝部321aは、例えば、振動腕部220の一方の主面を見た場合、図4(a)に示すように、隣接する振動腕部220に最も近い溝部321aの辺H32の長さが、隣接する振動腕部320から最も遠い溝部321aの辺H33の長さと比較して長くなっている。
また、一方の主面に設けられている溝部321aは、例えば、振動腕部320の一方の主面を見た場合、図4(a)に示すように、振動腕部320の基部310側に設けられている。
【0093】
また、他方の主面に設けられている二つ一対の溝部321bは、例えば、振動腕部320の他方の主面を見た場合、図4(b)に示すように、二つ一対の溝部321bの開口部が矩形形状となっている。
また、他方の主面に設けられている溝部321bは、例えば、振動腕部320の他方の主面を見た場合、図4(b)に示すように、隣接する振動腕部320に最も近い溝部320bの開口部の大きさが隣接する振動腕部320から最も離れた320bの開口部の大きさと比較すると小さくなっている。
また、他方の主面に設けられている溝部321bは、例えば、振動腕部320の他方の主面を見た場合、図4(b)に示すように、隣接する振動腕部320に最も近い溝部321bの開口部のY軸に平行な辺の長さが、隣接する振動腕部320から最も遠い溝部321bの開口部のY軸に平行な辺の長さと比べて短くなっている。
従って、他方の主面に設けられている溝部321bは、例えば、振動腕部320の他方の主面を見た場合、図4(b)に示すように、隣接する振動腕部320に最も近い溝部321bの辺H32の長さが、隣接する振動腕部320から最も遠い溝部321bの辺H33の長さと比較して短くなっている。
また、他方の主面に設けられている溝部321bは、例えば、振動腕部320の他方の主面を見た場合、図4(b)に示すように、振動腕部320の先端側に設けられている。
【0094】
つまり、それぞれの振動腕部320のそれぞれの主面に設けられている二つ一対の溝部321は、隣接する振動腕部320に最も近い溝部321の開口部のY軸に平行な辺H32の長さが、隣接する振動腕部320から最も遠い溝部321の開口部のY軸に平行な辺H33の長さと異なっている。
また、それぞれの振動腕部320のそれぞれの主面に設けられている二つ一対の溝部321は、同一振動腕部320内で一方の主面に設けられている溝部321aの底面と、他方の主面に設けられている溝部321bの底面とが対向しないようにY軸に平行な方向で交互にずらした位置に設けられている。
【0095】
従って、基部310と溝部321が設けられている二つ一対の振動腕部320とからなる水晶片は、図4(a)及び図4(b)に示すように、基部310の側面から二つ一対の振動腕部320の同一方向に延設され音叉形状となっている。
また、水晶片は、図4(a)及び図4(b)に示すように、同一振動腕部320内で一方の主面に設けられている二つ一対の溝部321aの底面と他方の主面に設けられている二つ一対の溝部321bの底面とが対向しないようにY軸に平行な方向で交互にずらした位置にそれぞれの振動腕部320のそれぞれの主面に二つ一対の溝部321が設けられている。
また、水晶片は、図4(a)及び図4(b)に示すように、振動腕部320の一方の主面又は振動腕部320の他方の主面を見た場合、隣接する振動腕部320に最も近い溝部321の開口部のY軸に平行な辺の長さと隣接する振動腕部320から最も遠い溝部321の開口部のY軸に平行な辺の長さとが異なるように、開口部の大きさの異なる二つ一対の溝部321が設けられている。
【0096】
このため、このような水晶片は、励振用電極と接続用電極と周波数調整用電極と配線部を設け振動させた場合、それぞれの振動腕部320の隣接する振動腕部320側を向くY軸及びZ軸に平行な面での振動変位と隣接する振動腕部320側を向くY軸及びZ軸に平行な面に対向する同一腕部320のY軸及びZ軸に平行な面側での振動変位とが互いに相殺するようにZ軸に平行な向きに振動させることができる。
【0097】
このような水晶片を用いた第三の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子は、振動腕部320の内側側面側で生じるZ軸に平行な向きの振動と振動腕部320の外側側面側で生じるZ軸に平行な向きの振動とを互いに相殺させることができ、見かけ上Z軸に平行な向きの振動を従来の音叉型屈曲水晶振動素子と比較して抑えることができるので、第二の実施形態と同様の効果を奏する。
【0098】
(第四の実施形態)
本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子は、図5(a)及び図5(b)に示すように、溝部の開口部321の大きさが同じとなっている水晶片を用いている点で第二の実施形態と異なる。
【0099】
本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子に用いる水晶片は、図5(a)及び図5(b)に示すように、基部410と二つ一対の振動腕部420とからなり、それぞれの振動腕部420のそれぞれの主面に二つ一対の溝部421が設けられている。
また、このような水晶片は、例えば、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により設けられている。
【0100】
基部410は、図5(a)及び図5(b)に示すように、平面視略四角形状の平板である。
また、基部410は、図5(a)及び図5(b)に示すように、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有しており、両主面がX軸及びY軸に平行となっており、厚み方向がZ軸に平行となっている。
【0101】
振動腕部420は、図5(a)及び図5(b)に示すように、二つ一対で設けられており、基部410の側面から同一方向に延設され基部410と一体で形成されている。
このとき、図5(a)及び図5(b)に示すように、振動腕部420の基部410側から先端側に向かう方向がY軸に平行となっている。
また、振動腕部410は、図5(a)及び図5(b)に示すように、両主面が四角形状となっており、両主面がX軸及びY軸に平行となっており、厚み方向がZ軸方向となっている。このとき、振動腕部420の両主面は、基部410の両主面と同一平面上に位置している。
また、振動腕部420は、図5(a)及び図5(b)に示すように、両主面が四角形状となっており、両主面がX軸及びY軸に平行となっとり、厚み方向がZ軸方向となっている。このとき、振動腕部420の両主面は、基部410の両主面と同一平面上に位置している。
また、振動腕部420は、図5(a)及び図5(b)に示すように、振動腕部420の一方の主面又は振動腕部420の他方の主面を見た場合、基部410に接する辺及びこの辺に対向する辺がX軸に平行となっており、隣接する振動腕部420側を向く辺及びこの辺に対向する辺がY軸に平行となっている。
また、振動腕部420は、例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、両主面に二つ一対の溝部421が設けられている。
【0102】
溝部421は、例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、それぞれの振動腕部420のそれぞれの主面に二つ一対で設けられている。
また、二つ一対の溝部321は、例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、第一の仮想線K41を基準として二つ一対の溝部421の開口部が線対称となっていない。
また、溝部421は、底面及び開口部がX軸及びY軸に平行となっており、開口部から底面に向かう向き、つまり、深さ方向がZ軸に平行となっている。
【0103】
また、溝部421は、図5(a)及び図5(b)に示すように、開口部が台形形状となっており、所定の二辺がY軸に平行となっている。
また、溝部421は、図5(a)及び図5(b)に示すように、振動腕部420の一方の主面又は振動腕部420の他方の主面を見た場合、溝部421の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420に最も近い辺の長さが、溝部421の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420から最も遠い辺の長さと異なっている。
【0104】
一方の主面に設けられている二つ一対の溝部421aは、例えば、振動腕部420の一方の主面を見た場合、図5(a)に示すように、二つ一対の溝部421aの開口部が台形形状となっている。
また、一方の主面に設けられている二つ一対の溝部421aは、例えば、開口部の大きさが同じ大きさとなっており、溝部421aの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420に近い辺の長さが、溝部421aの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420から遠い辺の長さと比較して長くなっている。
従って、一方の主面に設けられている溝部421aは、例えば、振動腕部420の一方の主面を見た場合、図5(a)に示すように、隣接する振動腕部420に最も近い溝部421aの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420に最も近い辺H42の長さが、隣接する振動腕部420から最も遠い溝部421bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420から最も遠い辺H43の長さと比較して長くなっている。
また、一方の主面に設けられている溝部421aは、例えば、振動腕部420の一方の主面を見た場合、図5(a)に示すように、振動腕部420の基部410側に設けられている。
【0105】
他方の主面に設けられている二つ一対の溝部421bは、例えば、振動腕部420の他方の主面を見た場合、図5(b)に示すように、二つ一対の溝部421bの開口部が台形形状となっている。
また、他方の主面に設けられている二つ一対の溝部421bは、例えば、開口部の大きさが同じ大きさとなっており、溝部421bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420に近い辺の長さが、溝部421bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420から遠い辺の長さと比較して短くなっている。
従って、他方の主面に設けられている溝部421bは、例えば、振動腕部420の他方の主面を見た場合、図5(b)に示すように、隣接する振動腕部520に最も近い溝部521bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420に最も近い辺H42の長さが、隣接する振動腕部420から最も遠い溝部421bの開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する振動腕部420から最も遠い辺H43の長さと比較して短くなっている。
また、他方の主面に設けられている溝部421bは、例えば、振動腕部420の他方の主面を見た場合、図5(b)に示すように、振動腕部420の先端側に設けられている。
【0106】
つまり、それぞれの振動腕部420のそれぞれの主面に設けられている二つ一対の溝部421は、隣接する振動腕部420に最も近い溝部421の開口部のY軸に平行な辺H42の長さと隣接する振動腕部420から最も遠い溝部421の開口部のY軸に平行な辺H43の長さとが異なっている。
また、それぞれの振動腕部420のそれぞれの主面に設けられている二つ一対の溝部421は、同一振動腕部420内で一方の主面に設けられている溝部421aの底面と他方の主面に設けられている溝部421bの底面とが対向しないようにY軸に平行な方向で交互にずらした位置に設けられている。
【0107】
従って、基部410と溝部421が設けられている二つ一対の振動腕部420とからなる水晶片は、図5(a)及び図5(b)に示すように、基部410の側面から二つ一対の振動腕部420の同一方向に延設され音叉形状となっている。
また、水晶片は、図5(a)及び図5(b)に示すように、同一振動腕部420内で一方の主面に設けられている二つ一対の溝部421aの底面と他方の主面に設けられている二つ一対の溝部421bの底面とが対向しないようにY軸に平行な方向で交互にずらした位置にそれぞれの振動腕部420のそれぞれの主面に二つ一対の溝部421が設けられている。
また、水晶片は、図5(a)及び図5(b)に示すように、振動腕部420の一方の主面又は振動腕部420の他方の主面を見た場合、隣接する振動腕部420に最も近い溝部421の開口部のY軸に平行な辺の長さと隣接する振動腕部420から最も遠い溝部421の開口部のY軸に平行な辺の長さとが異なるように、開口部の大きさの異なる二つ一対の溝部421が設けられている。
【0108】
このため、このような水晶片は、励振用電極と接続用電極と周波数調整用電極と配線部を設け振動させた場合、それぞれの振動腕部420の隣接する振動腕部420側を向くY軸及びZ軸に平行な面での振動変位と隣接する振動腕部420側を向くY軸及びZ軸に平行な面に対向する同一腕部420のY軸及びZ軸に平行な面側での振動変位とが互いに相殺するようにZ軸に平行な向きに振動させることができる。
【0109】
このような水晶片を用いた第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動素子は、振動腕部420の内側側面側で生じるZ軸に平行な向きの振動と振動腕部420の外側側面側で生じるZ軸に平行な向きの振動とを互いに相殺させることができ、見かけ上Z軸に平行な向きの振動を従来の音叉型屈曲水晶振動素子と比較して抑えることができるので、第二の実施形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0110】
100,50 音叉型屈曲水晶振動素子
110,210,310,410,510,610 基部
120,220,320,420,520,620 振動腕部
121,221,321,421,521,621 溝部
130,530 励振用電極
140,540 周波数調整用電極
150,550 接続用電極
H 配線部
W1,W2,W3,W4,W5,W6 X軸に平行な向きの振動腕部の辺
H12,H22,H32,H42,H52,H62 隣接する振動腕部に最も近い辺
H13,H23,H33,H43,H53,H63 隣接する振動腕部から最も遠い辺
K11,K21,K31,K41,K51,K61 第一の仮想線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有し、両主面が前記X軸及び前記Y軸に平行となっている平板状の基部と、
両主面が前記X軸及び前記Y軸に平行となっている矩形形状となっており、前記基部の側面から前記Y軸に平行な向きであって同一方向に延設されて前記基部と一体化されている二つ一対の振動腕部と、
開口部が四角形状となっており、開口部の所定の二辺が前記Y軸に平行となるようにそれぞれの前記振動腕部の両主面にそれぞれ形成されている溝部と、
前記振動腕部の表面に所望のパターンで形成されている複数の励振用電極と、
前記基部の表面に所望のパターンで形成されている接続用電極と、
前記励振用電極間又は前記励振用電極と前記接続用電極との間を電気的に接続している配線部と、
を備え、
前記振動腕部の一方の主面に形成されている溝部の底面と前記振動腕部の他方の主面に形成されている溝部の底面とが対向しないように、前記溝部が前記Y軸に平行な方向に交互にずらした位置にそれぞれ形成されつつ、
前記溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する前記振動腕部に最も近い辺の長さが前記溝部の開口部のY軸に平行な辺のうち隣接する前記振動腕部から最も遠い溝部の開口部の辺の長さと異なっている
ことを特徴とする音叉型屈曲水晶振動素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−249246(P2012−249246A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121754(P2011−121754)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】