説明

音声信号中継回路および音声信号中継方法

【課題】音声信号生成回路をより安定して動作させることが可能な音声信号中継回路等を提供すること。
【解決手段】音声信号中継回路100が、イネーブル信号入力部110と、搬送クロックを入力する搬送クロック入力部150と、サンプリングレートクロックを入力するサンプリングレートクロック入力部160と、音声信号を入力する音声信号入力部170と、搬送クロックを音声信号生成回路30に出力する搬送クロック出力部150と、サンプリングレートクロックを音声信号生成回路30に出力するサンプリングレートクロック出力部161と、音声信号を音声信号再生回路50に出力する音声信号出力部171と、擬似搬送クロックを生成する擬似搬送クロック生成部130と、擬似サンプリングレートクロックを生成する擬似サンプリングレートクロック生成部140を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号中継回路および音声信号中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音声信号生成回路が、音声データを音声信号再生回路に出力する方式としては、同期用のクロック等と音声データを音声信号再生回路に出力する方式と、同期用のクロックを音声信号再生回路から入力して音声データ等を音声信号再生回路に出力する方式がある。例えば、特開2003−22095号公報では、外部からタイミング信号を入力して出力アドレスを決定する音声信号生成回路が記載されている。
【特許文献1】特開2003−22095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、音声信号再生回路のデータ出力バッファはFIFOであるため、後者の方式の場合、同期用のクロックを入力できない時には音声信号のバッファ書き込みを停止させないと、出力機能が停止してしまい、バッファオーバーフローが発生して動作異常が発生する場合があった。
【0004】
また、例えば、プロジェクタ等の表示装置の場合、音声と映像をリンクさせるため、映像入力端子と音声入力端子が対になって動作する場合もあり、音声入力端子ごとに音声信号生成回路が設けられる場合もある。このような場合、映像ソース(画像信号の供給元)が変更された際に、有効な音声信号を入力する音声入力端子も同期して変更され、有効な音声信号生成回路も変更されることになる。また、これにより、音声信号再生回路は、変更後の音声信号生成回路からのマスタークロックに基づく搬送クロック等を変更前の音声信号生成回路に出力してしまい、変更前の音声信号生成回路が誤動作してしまう場合があった。
【0005】
本発明の目的は、音声信号生成回路をより安定して動作させることが可能な音声信号中継回路および音声信号中継方法を提供することにあり、特に、プロジェクタ等の表示装置が単体で動画データを再生可能な場合に、画像供給元のソースを切り替える場合であっても、動画等の再生を停止することなく自然に継続することが可能な音声信号中継回路および音声信号中継方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る音声信号中継回路は、音声信号再生回路から信号出力タイミングを示す搬送クロックおよびサンプリングレートを示すサンプリングレートクロックを入力して前記音声信号再生回路へ向け音声信号を出力する音声信号生成回路と、前記音声信号再生回路との間で前記搬送クロック、前記サンプリングレートクロックおよび前記音声信号を中継する音声信号中継回路において、前記音声信号中継回路から前記音声信号再生回路への信号出力が有効かどうかを示すイネーブル信号を入力するイネーブル信号入力部と、前記音声信号再生回路から前記搬送クロックを入力する搬送クロック入力部と、前記音声信号再生回路から前記サンプリングレートクロックを入力するサンプリングレートクロック入力部と、前記音声信号生成回路から前記音声信号を入力する音声信号入力部と、前記搬送クロックを前記音声信号生成回路に出力する搬送クロック出力部と、前記サンプリングレートクロックを前記音声信号生成回路に出力するサンプリングレートクロック出力部と、前記音声信号を前記音声信号再生回路に出力する音声信号出力部と、擬似搬送クロックを生成する擬似搬送クロック生成部と、擬似サンプリングレートクロックを生成する擬似サンプリングレートクロック生成部と、を含み、前記イネーブル信号が、前記信号出力が無効であることを示す場合、前記搬送クロック出力部は、前記擬似搬送クロックを前記音声信号生成回路に出力し、前記サンプリングレートクロック出力部は、前記擬似サンプリングレートクロックを前記音声信号生成回路に出力し、前記音声信号出力部は、前記音声信号の出力を停止することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る音声信号中継方法は、音声信号再生回路から信号出力タイミングを示す搬送クロックおよびサンプリングレートを示すサンプリングレートクロックを入力して前記音声信号再生回路へ向け音声信号を出力する音声信号生成回路と、前記音声信号再生回路との間で前記搬送クロック、前記サンプリングレートクロックおよび前記音声信号を中継する音声信号中継回路における音声信号中継方法において、前記音声信号中継回路から前記音声信号再生回路への信号出力が有効かどうかを示すイネーブル信号を入力し、前記イネーブル信号が、前記信号出力が有効であることを示す場合、前記音声信号再生回路から前記搬送クロックを入力して前記音声信号生成回路に出力し、前記音声信号再生回路から前記サンプリングレートクロックを入力して前記音声信号生成回路に出力し、前記音声信号生成回路から前記音声信号を入力して前記音声信号再生回路に出力し、前記イネーブル信号が、前記信号出力が無効であることを示す場合、前記音声再生回路への前記音声信号の出力を停止し、擬似搬送クロックを生成して前記音声信号生成回路に出力し、擬似サンプリングレートクロックを生成して前記音声信号生成回路に出力することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、音声信号中継回路は、音声信号再生回路からの搬送クロックおよびサンプリングレートクロックが無効になった場合に擬似搬送クロックおよび擬似サンプリングレートクロックを生成して音声信号生成回路に出力することにより、音声信号生成回路に動作を続行させることができるため、音声信号生成回路をより安定して動作させることができ、動画等の再生を停止することなく自然に継続することができる。
【0009】
また、前記音声信号中継回路は、前記音声信号生成回路からマスタークロックを入力するマスタークロック入力部を含み、前記擬似搬送クロック生成部は、前記マスタークロックをm(ただし、mは2以上の整数)分の1倍することにより、前記擬似搬送クロックを生成し、前記擬似サンプリングレートクロック生成部は、前記擬似搬送クロックをn(ただし、nは2以上の整数)分の1倍することにより、前記擬似サンプリングレートクロックを生成してもよい。
【0010】
これによれば、音声信号中継回路は、音声信号生成回路からのマスタークロックを用いて各擬似クロックを生成することにより、音声信号生成回路の動作に適したクロックを音声信号生成回路に提供することができる上、効率的に各擬似クロックを生成することができる。
【0011】
また、前記音声信号生成回路は、前記音声信号再生回路と同期して画像信号を再生する画像信号再生回路に画像信号を供給する第1の画像信号生成回路における画像信号の生成と同期して前記音声信号を生成し、前記イネーブル信号は、前記画像信号再生回路への前記画像信号の供給元が前記第1の画像信号生成回路から第2の画像信号生成回路に変更された場合、前記搬送クロックおよび前記サンプリングレートクロックが無効であることを示し、前記供給元が前記第2の画像信号生成回路から前記第1の画像信号生成回路に変更された場合、前記搬送クロックおよび前記サンプリングレートクロックが有効であることを示してもよい。
【0012】
これによれば、音声信号中継回路は、画像信号の供給元の変更に同期して音声信号等を適切に中継することができる。
【0013】
また、前記画像信号の供給元が前記第1の画像信号生成回路から前記第2の画像信号生成回路に変更された場合、前記擬似搬送クロック生成部は、初回のみ前記擬似搬送クロックを前記搬送クロックと合成して生成し、前記擬似サンプリングレートクロック生成部は、初回のみ前記擬似搬送クロックを前記サンプリングレートクロックと合成して生成してもよい。
【0014】
これによれば、音声信号中継回路は、初回のみ各擬似クロックを本物のクロックと合成して生成することにより、切替タイミングによって各擬似クロックが不適切な状態(例えば、パルス幅が極端に短い状態等)で出力されることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をプロジェクタ内の音声信号中継回路に適用した実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、従来の音声信号中継回路90の一例を示す図である。プロジェクタは、複数組の音声信号入力端子10および画像信号入力端子20を有する。例えば、プロジェクタは、動画データの記録されたストレージデバイス(USBメモリ、USBハードディスク、メモリカード等)から動画データを入力するストレージインターフェイス11と、DVDプレーヤからS-Video信号を入力する画像信号入力端子20と、当該DVDプレーヤから音声信号を入力する音声信号入力端子10を含んで構成されている。
【0017】
また、プロジェクタは、ストレージインターフェイス11から動画データに基づく画像信号を生成する画像信号生成回路40−1と、画像信号入力端子20からのS-Video信号に基づく画像信号を生成する画像信号生成回路40−2と、ストレージインターフェイス11からの動画データに基づく音声信号を生成して音声信号中継回路90に出力する音声信号生成回路30−1と、音声信号入力端子10からの音声信号を入力して音声信号中継回路100に出力する音声信号生成回路30−2を含んで構成されている。
【0018】
また、プロジェクタは、各音声信号生成回路30からの音声信号をスピーカ70や音声信号出力端子80に出力する音声信号再生回路50と、各画像信号生成回路40からの画像信号を入力して液晶パネル駆動回路等に出力する画像信号再生回路60と、音声信号生成回路30−1と音声信号再生回路50との間で入出力されるクロックや音声信号を中継する音声信号中継回路90を含んで構成されている。
【0019】
なお、音声信号生成回路30−1は、動作の基準になるマスタークロックMCLK、音声信号DATAを、音声信号中継回路90を介して音声信号再生回路50に出力し、音声信号中継回路90を介して音声信号再生回路50から信号出力タイミングを示す搬送クロックBCLKおよびサンプリングレートを示すサンプリングレートクロックLRCLKを入力し、音声信号生成回路30−2は、マスタークロックや音声信号DATAを音声信号再生回路50に直接出力するものとする。
【0020】
このような従来のシステムでは、例えば、画像信号の供給元がストレージデバイスからDVDプレーヤに変更された場合、音声信号生成回路30−1は、音声信号再生回路50から搬送クロックやサンプリングレートクロックが出力されなかったり、不適切なクロックが出力されることにより、バッファオーバーフローが発生したり、動作が停止したりする場合があった。また、この不具合を回避するためには、信号の状態を検出して映像の再生を停止させるソフトウェア制御が必要であり、画像信号の供給元が再びストレージデバイスに戻された場合、壊れたデータを破棄し、区切りとなる再生位置から再び音声データを組み直すといった複雑な処理が必要であった。
【0021】
これに対し、本実施例の音声信号中継回路は、内部で搬送クロックおよびサンプリングレートクロックを生成して音声信号生成回路30−1に出力する機能を有する。次に、このような機能を有する音声信号中継回路について説明する。
【0022】
図2は、本実施例の音声信号中継回路100の一例を示す図である。本実施例の音声信号中継回路100は、音声信号中継回路100から音声信号再生回路50への信号出力が有効かどうかを示すイネーブル信号を入力するイネーブル信号入力部110と、音声信号生成回路30−1からマスタークロックを入力するマスタークロック入力部120と、マスタークロック入力部120からのマスタークロックを音声信号再生回路50に出力するマスタークロック出力部121と、マスタークロックに基づいて擬似搬送クロックを生成する擬似搬送クロック生成部130と、擬似搬送クロックに基づいて擬似サンプリングレートクロックを生成する擬似サンプリングレートクロック生成部140と、音声信号再生回路50から搬送クロックを入力する搬送クロック入力部150と、搬送クロック入力部150からの搬送クロックを音声信号生成回路30−1に出力する搬送クロック出力部151と、音声信号再生回路50からサンプリングレートクロックを入力するサンプリングレートクロック入力部160と、サンプリングレートクロック入力部160からのサンプリングレートクロックを音声信号生成回路30−1に出力するサンプリングレートクロック出力部161と、音声信号生成回路30−1から音声信号を入力する音声信号入力部170と、音声信号入力部170からの音声信号を音声信号再生回路50に出力する音声信号出力部171を含んで構成されている。
【0023】
また、擬似搬送クロック生成部130および擬似サンプリングレートクロック生成部140は、画像信号の切り替え時に1回目のみ本物のクロック(搬送クロックまたはサンプリングレートクロック)と合成した擬似クロック(擬似搬送クロックまたは擬似サンプリングレートクロック)を生成する。
【0024】
図3(A)は、クロックを合成しない場合の出力クロックを示す図であり、図3(B)は、クロックを合成した場合の出力クロックを示す図である。例えば、図3(A)に示すように、切替タイミングによっては出力クロックの幅が狭くなり、不適切な擬似クロックが音声信号生成回路30−1に出力されてしまう場合がある。本実施例では、図3(B)に示すように、1回目(1カウント目)のみ本物のクロックと合成した擬似クロックを出力することにより、出力クロックの幅を広げ、音声信号生成回路30−1に適切なクロックを出力し、音声信号生成回路30−1を安定して動作させる。
【0025】
なお、音声信号生成回路30−1は、搬送クロックに基づいて音声信号の出力タイミングを決定し、サンプリングレートクロックに基づき、サンプリングレートを決定するとともに、内部のデータ出力バッファ内の音声データにおける左右チャネルの区別を行う。また、音声信号再生回路50は、各音声信号生成回路30からのマスタークロックに基づき、例えば、PLLによって内部の動作クロックを生成し、当該動作クロックに応じて出力先(スピーカ70および音声信号出力端子80)を切り替える切替器、コンバータ(音声信号を複合化してアナログ信号波形に変換)、アンプ等を動作させる。
【0026】
次に、擬似搬送クロック生成部130等を用いた音声信号中継手順について説明する。図4は、本実施例の音声信号中継手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、プロジェクタが、画像供給元を動画データの記録されたストレージデバイスから別の画像供給元に切り替える場合を例に採り説明する。具体的には、初期状態でストレージデバイスからストレージインターフェイス11を介して動画データ(画像データと音声データ)が入力され、ユーザの操作によって画像信号の供給元がストレージデバイスからDVDプレーヤに変更されることにより、DVDプレーヤから音声信号入力端子10を介して音声信号が入力され、画像信号入力端子20を介して画像信号が入力さるものとする。
【0027】
初期状態では、マスタークロック入力部120は、音声信号生成回路30−1からマスタークロックを入力し、マスタークロック出力部121は、マスタークロックを音声信号再生回路50に出力する(ステップS1)。音声信号再生回路50は、当該マスタークロックに基づいて搬送クロックおよびサンプリングレートクロックを生成して音声信号中継回路100に出力する。
【0028】
搬送クロック入力部150およびサンプリングレートクロック入力部160は、イネーブル信号入力部110によって入力されるイネーブル信号が、音声信号再生回路50への信号出力が有効であることを示すかどうかを判定する(ステップS2)。信号出力が有効である場合、搬送クロック入力部150は、音声信号再生回路50から搬送クロックを入力し、搬送クロック出力部151は、当該搬送クロックを音声信号生成回路30−1に出力する(ステップS3)。
【0029】
また、信号出力が有効である場合、サンプリングレートクロック入力部160は、音声信号再生回路50からサンプリングレートクロックを入力し、サンプリングレートクロック出力部161は、当該サンプリングレートクロックを音声信号生成回路30−1に出力する(ステップS4)。
【0030】
また、信号出力が有効である場合、音声信号入力部170は、音声信号生成回路30−1からの音声信号を入力し、音声信号出力部171は、当該音声信号を音声信号再生回路50に出力する(ステップS5)。なお、音声信号生成回路30−1は、搬送クロック(または擬似搬送クロック)に基づいて音声信号の出力タイミングを調整し、サンプリングレートクロック(または擬似サンプリングレートクロック)に基づいてサンプリングを行ったり、データ出力バッファ内の出力対象の音声信号を決定したりする。
【0031】
一方、信号出力が有効ではない場合(例えば、画像信号の供給元が切り替えられた場合等)、擬似搬送クロック生成部130は、マスタークロックを1/19倍して擬似搬送クロックを生成する(ステップS6)。なお、本実施例では、マスタークロックが27.00MHz、本物の搬送クロックが1.4112MHz、本物のサンプリングレートクロックが44.1kHzであり、擬似搬送クロックは1.421053MHzになる。
【0032】
また、信号出力が有効ではない場合、擬似サンプリングレートクロック生成部130は、擬似搬送クロックを1/32倍して擬似サンプリングレートクロックを生成する(ステップS7)。例えば、擬似搬送クロックが1.421053MHzの場合、擬似サンプリングレートクロックは44.4kHzになる。
【0033】
なお、擬似搬送クロック生成部130は、マスタークロックの立ち上がり、立ち下がりの両エッジを用いた2倍速クロックを生成してから0から18までをカウントする分周を行うことにより、マスタークロックの1/19の周波数(擬似搬送クロック)を生成することができる。また、擬似サンプリングレートクロック生成部140は、擬似搬送クロックの立ち上がり片エッジを用いて0から15までをカウントする分周を行うことにより、擬似搬送クロックの1/32の周波数(擬似サンプリングレートクロック)を生成することができる。
【0034】
また、信号出力が有効ではない場合、音声信号出力部171は、音声信号再生回路50への音声信号の出力を停止し、信号線を開放する(ステップS8)。このように、イネーブル信号と信号出力動作は連動している。
【0035】
また、信号出力が有効ではない場合、搬送クロック出力部151は、擬似搬送クロック生成部130からの擬似搬送クロックを音声信号生成回路30−1に出力し、サンプリングレートクロック出力部161は、擬似サンプリングレートクロック生成部140からの擬似サンプリングレートクロックを音声信号生成回路30−1に出力する(ステップS9)。
【0036】
なお、この場合、音声信号入力部170は、音声信号生成回路30−1からの音声信号を入力するが、音声信号出力部171は、当該音声信号を出力しない。
【0037】
音声信号中継回路100は、例えば、信号出力が有効ではなくなってから所定時間経過するかどうかにより、終了可能かどうかを判定し(ステップS10)、終了可能な場合は上述した処理を終了し、終了可能ではない場合(例えば、信号出力が有効な場合等)、上述したステップS1〜S10の処理を続行する。なお、画像信号の供給元の切り替えを検出するCPU等が上述したイネーブル信号OEを音声信号中継回路100に出力してもよい。
【0038】
以上のように、本実施例によれば、音声信号中継回路100は、音声信号再生回路50からの搬送クロックおよびサンプリングレートクロックが無効になった場合に擬似搬送クロックおよび擬似サンプリングレートクロックを生成して音声信号生成回路30−1に出力することにより、音声信号生成回路30−1に動作を続行させることができるため、音声信号生成回路30−1をより安定して動作させることができる。
【0039】
また、本実施例によれば、音声信号中継回路100は、音声信号生成回路30−1からのマスタークロックを用いて各擬似クロックを生成することにより、音声信号生成回路30−1の動作に適したクロックを音声信号生成回路30−1に提供することができる上、効率的に各擬似クロックを生成することができる。
【0040】
また、本実施例によれば、音声信号中継回路100は、画像信号の供給元の変更に同期して音声信号等を適切に中継することができる。さらに、本実施例によれば、音声信号中継回路100は、初回のみ各擬似クロックを本物のクロックと合成して生成することにより、切替タイミングによって各擬似クロックが不適切な状態で出力されることを防止することができる。
【0041】
また、本実施例によれば、音声信号中継回路100は、プロジェクタ等の表示装置が単体で動画データを再生可能な場合に、従来の動画再生システムに実装されたソフトウェアのように複雑な音声停止制御を行うことなく、画像供給元のソースを切り替える場合であっても、動画等の再生を停止することなく自然に継続することができる。
【0042】
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上述した実施では音声信号中継回路100は1つのみであるが、音声信号中継回路100は、音声信号生成回路30ごとに複数設けられてもよい。また、出力が有効でない場合、マスタークロック出力部121はマスタークロックを音声信号再生回路50に出力しているが、出力を停止してもよい。
【0043】
また、音声信号中継回路100は、マスタークロックを同期の基準クロックとして、搬送クロック、サンプリングレートクロック、音声信号を一旦フリップフロップでラッチすることにより、各クロックおよび音声信号のエッジを揃えてもよい。また、音声信号生成回路30以外の発振器および回路がマスタークロックを生成し、各部に供給してもよい。また、マスタークロック等の数値は上述した実施例の値には限定されず、適用する回路に応じて種々の値を採用可能である。また、クロックの分周も、適用するサンプリングレートやデータビット数に応じて種々の値を採用可能である。
【0044】
なお、音声信号生成回路30と画像信号生成回路40は一体化されてもよい。また、本発明が有効な画像供給元の切り替えは、ストレージデバイスとDVDプレーヤとの切り替えには限定されず、例えば、動画データの記録されたストレージデバイスと別の動画データの記録されたストレージデバイスとの切り替え、ビデオデッキとDVDプレーヤとの切り替えといった種々の切り替えが該当する。
【0045】
また、プロジェクタは、液晶プロジェクタには限定されず、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を用いたプロジェクタ等であってもよい。なお、DMDは米国テキサス・インスツルメンツ社の商標である。
【0046】
また、上述した音声信号中継回路を実装可能な装置は、プロジェクタには限定されず、例えば、テレビ、ゲーム装置、DVDプレーヤ等の音声信号を中継する種々の装置を採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来の音声信号中継回路の一例を示す図である。
【図2】本実施例の音声信号中継回路の一例を示す図である。
【図3】図3(A)は、クロックを合成しない場合の出力クロックを示す図であり、図3(B)は、クロックを合成した場合の出力クロックを示す図である。
【図4】本実施例の音声信号中継手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10 音声信号入力端子、11 ストレージインターフェイス、20 画像信号入力端子、30 音声信号生成回路、40 画像信号生成回路、50 音声信号再生回路、60 画像信号再生回路、70 スピーカ、80 音声信号出力端子、90、100 音声信号中継回路、110 イネーブル信号入力部、120 マスタークロック入力部、121 マスタークロック出力部、130 擬似搬送クロック生成部、140 擬似サンプリングレートクロック生成部、150 搬送クロック入力部、151 搬送クロック出力部、160 サンプリングレートクロック入力部、161 サンプリングレートクロック出力部、170 音声信号入力部、171 音声信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号再生回路から信号出力タイミングを示す搬送クロックおよびサンプリングレートを示すサンプリングレートクロックを入力して前記音声信号再生回路へ向け音声信号を出力する音声信号生成回路と、前記音声信号再生回路との間で前記搬送クロック、前記サンプリングレートクロックおよび前記音声信号を中継する音声信号中継回路において、
前記音声信号中継回路から前記音声信号再生回路への信号出力が有効かどうかを示すイネーブル信号を入力するイネーブル信号入力部と、
前記音声信号再生回路から前記搬送クロックを入力する搬送クロック入力部と、
前記音声信号再生回路から前記サンプリングレートクロックを入力するサンプリングレートクロック入力部と、
前記音声信号生成回路から前記音声信号を入力する音声信号入力部と、
前記搬送クロックを前記音声信号生成回路に出力する搬送クロック出力部と、
前記サンプリングレートクロックを前記音声信号生成回路に出力するサンプリングレートクロック出力部と、
前記音声信号を前記音声信号再生回路に出力する音声信号出力部と、
擬似搬送クロックを生成する擬似搬送クロック生成部と、
擬似サンプリングレートクロックを生成する擬似サンプリングレートクロック生成部と、
を含み、
前記イネーブル信号が、前記信号出力が無効であることを示す場合、
前記搬送クロック出力部は、前記擬似搬送クロックを前記音声信号生成回路に出力し、
前記サンプリングレートクロック出力部は、前記擬似サンプリングレートクロックを前記音声信号生成回路に出力し、
前記音声信号出力部は、前記音声信号の出力を停止することを特徴とする音声信号中継回路。
【請求項2】
請求項1に記載の音声信号中継回路において、
前記音声信号生成回路からマスタークロックを入力するマスタークロック入力部を含み、
前記擬似搬送クロック生成部は、前記マスタークロックをm(ただし、mは2以上の整数)分の1倍することにより、前記擬似搬送クロックを生成し、
前記擬似サンプリングレートクロック生成部は、前記擬似搬送クロックをn(ただし、nは2以上の整数)分の1倍することにより、前記擬似サンプリングレートクロックを生成することを特徴とする音声信号中継回路。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかに記載の音声信号中継回路において、
前記音声信号生成回路は、前記音声信号再生回路と同期して画像信号を再生する画像信号再生回路に画像信号を供給する第1の画像信号生成回路における画像信号の生成と同期して前記音声信号を生成し、
前記イネーブル信号は、前記画像信号再生回路への前記画像信号の供給元が前記第1の画像信号生成回路から第2の画像信号生成回路に変更された場合、前記搬送クロックおよび前記サンプリングレートクロックが無効であることを示し、前記供給元が前記第2の画像信号生成回路から前記第1の画像信号生成回路に変更された場合、前記搬送クロックおよび前記サンプリングレートクロックが有効であることを示すことを特徴とする音声信号中継回路。
【請求項4】
請求項3に記載の音声信号中継回路において、
前記画像信号の供給元が前記第1の画像信号生成回路から前記第2の画像信号生成回路に変更された場合、
前記擬似搬送クロック生成部は、初回のみ前記擬似搬送クロックを前記搬送クロックと合成して生成し、
前記擬似サンプリングレートクロック生成部は、初回のみ前記擬似搬送クロックを前記サンプリングレートクロックと合成して生成することを特徴とする音声信号中継回路。
【請求項5】
音声信号再生回路から信号出力タイミングを示す搬送クロックおよびサンプリングレートを示すサンプリングレートクロックを入力して前記音声信号再生回路へ向け音声信号を出力する音声信号生成回路と、前記音声信号再生回路との間で前記搬送クロック、前記サンプリングレートクロックおよび前記音声信号を中継する音声信号中継回路における音声信号中継方法において、
前記音声信号中継回路から前記音声信号再生回路への信号出力が有効かどうかを示すイネーブル信号を入力し、
前記イネーブル信号が、前記信号出力が有効であることを示す場合、
前記音声信号再生回路から前記搬送クロックを入力して前記音声信号生成回路に出力し、
前記音声信号再生回路から前記サンプリングレートクロックを入力して前記音声信号生成回路に出力し、
前記音声信号生成回路から前記音声信号を入力して前記音声信号再生回路に出力し、
前記イネーブル信号が、前記信号出力が無効であることを示す場合、
前記音声再生回路への前記音声信号の出力を停止し、
擬似搬送クロックを生成して前記音声信号生成回路に出力し、
擬似サンプリングレートクロックを生成して前記音声信号生成回路に出力することを特徴とする音声信号中継方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−124626(P2009−124626A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298849(P2007−298849)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】