説明

音符入力装置及び音符入力プログラム

【課題】電子楽譜上に音符を入力する際の入力操作の作業量を大幅に軽減できるようにする。
【解決手段】音符が入力されると、入力された音符と、すでに楽譜中に入力されているフレーズの先頭部分の音符との一致を検出し、前記フレーズの先頭部分と一致していると判断された際に、前記フレーズの先頭部分の続きの入力部分を予測し、前記続きの入力部分を表示装置に表示し、前記続きの入力部分の可否をユーザから受け付け、受け付けた可否に応じて前記表示装置に表示されている予測音楽記号を確定するようにして、ユーザは表示装置に表示される予測音楽記号の可否を入力するだけで、同じフレーズの音楽記号を簡単に入力できるようにして、マウスを使用することなく記号を選択してコピー&ペーストしたり、小節単位でコピー&ペーストしたりする作業と同等の作業を行うことができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音符入力装置及び音符入力プログラムに関し、特に、電子楽譜上に音符を入力する際の入力操作の作業量を軽減するのに好適な音符入力装置及び音符入力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ上で楽譜作成のプログラム(楽譜作成ソフト)を実行して楽譜を作成することが行われている。つまり、パーソナルコンピュータを音符入力装置として機能させることが知られている。例えば、各種音楽記号と五線譜とを記憶させておき、これら音楽記号と五線譜とを画面上に表示させて楽譜を作成する。
【0003】
特許文献1には、パレット状に画面表示した各種音楽記号やフォント等をマウス等で拾って五線譜上に貼り付け、電子楽譜を作成することができる音符入力装置が開示されている。
【0004】
また、上述のように音楽記号を五線譜上に貼り付ける手法だけでなく、紙に記載された楽譜をスキャナを使ってパーソナルコンピュータに取り込み、これを編集して電子楽譜を作成することができる音符入力装置も知られている。
【0005】
例えば、特許文献2には、画像入力手段が読み取った第1楽譜画像データに基づいて楽譜情報を認識して第2楽譜画像データを構成し、第1楽譜画像データ及び第2楽譜画像データを表示手段に並べて表示する装置が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−114453号公報
【特許文献2】特開平7−121661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
楽譜作成ソフトには、電子楽譜を楽典/浄書ルールに基づいて自動編集する機能を含むものがある。例えば、画面表示された五線譜上に音符を貼り付ける際の音符の間隔(スペーシング)や符尾の向き等を、楽典/浄書ルールに基づいて自動的に決定する機能である。この編集機能によれば、記譜についての知識が乏しい場合でも、簡単に、しかも楽典/浄書ルールに従ったきれいな楽譜を作成することができる。
【0008】
ところで、同じフレーズの音符/休符群を入力する際に、記号を選択してコピー&ペーストしたり、小節単位でコピー&ペーストしたりすると、音符をひとつずつ入力するよりは効率がよい。
【0009】
しかしながら、ステップ入力、すなわち、1音ずつ非リアルタイムに入力する場合のように、キーボードのみで操作している場合にはマウスを途中で使う必要があるので、手間がかかる問題点があった。
【0010】
また、小節のコピー&ペーストではピッチが違う場合は、ペースト後に各音符/休符のピッチを修正する手間がかかり、電子楽譜上に音符を入力する際の入力操作の作業量を大幅に軽減することはできないという問題点があった。
【0011】
本発明は前述の問題点に鑑み、電子楽譜上に音符を入力する際の入力操作の作業量を大幅に軽減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の音符入力装置は、ポインティング・デバイスを使用して、音楽記号記憶手段から音楽記号及び音符のフォントを読み出すとともに、前記ポインティング・デバイスを使用して指示された表示画面上の位置に対応する画像メモリに前記フォントのイメージデータを展開する音符入力装置であって、前記ポインティング・デバイスを使用して入力された音符と、すでに楽譜中に入力されているフレーズの先頭部分の音符、または他の楽譜のフレーズの先頭部分の音符、或いはフレーズ登録されて記憶部に記録されているフレーズの先頭部分の音符との一致を検出する一致検出手段と、前記一致検出手段により、前記フレーズの先頭部分と一致していると判断された際に、前記フレーズの先頭部分の続きの入力部分を予測する入力予測手段と、前記入力予測手段により予測された前記続きの入力部分を表示装置に表示する音楽記号表示手段と、前記表示装置に表示された前記続きの入力部分の可否をユーザから受け付ける予測結果可否入力手段と、前記予測結果可否入力手段を介して入力される可否に応じて前記表示装置に表示されている予測音楽記号を確定する音楽記号入力手段とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の音符入力プログラムは、ポインティング・デバイスを使用して、音楽記号記憶手段から音楽記号及び音符のフォントを読み出すとともに、前記ポインティング・デバイスを使用して指示された表示画面上の位置に対応する画像メモリに前記フォントのイメージデータを展開するようコンピュータに実行させる音符入力プログラムであって、前記ポインティング・デバイスを使用して入力された音符と、すでに楽譜中に入力されているフレーズの先頭部分の音符、または他の楽譜のフレーズの先頭部分の音符、或いはフレーズ登録されて記憶部に記録されているフレーズの先頭部分の音符との一致を検出する一致検出工程と、前記一致検出工程において、前記フレーズの先頭部分と一致していると判断された際に、前記フレーズの先頭部分の続きの入力部分を予測する入力予測工程と、前記入力予測工程において予測された前記続きの入力部分を表示装置に表示する音楽記号表示工程と、前記表示装置に表示された前記続きの入力部分の可否をユーザから受け付ける予測結果可否入力工程と、前記予測結果可否入力工程において入力される可否に応じて前記表示装置に表示されている予測音楽記号を確定する音楽記号入力工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、音符が入力されると、入力された音符と、すでに楽譜中に入力されているフレーズの先頭部分の音符との一致を検出し、前記フレーズの先頭部分と一致していると判断された際に、前記フレーズの先頭部分の続きの入力部分を予測し、前記続きの入力部分を表示装置に表示し、前記続きの入力部分の可否をユーザから受け付け、受け付けた可否に応じて前記表示装置に表示されている予測音楽記号を確定するようにしたので、ユーザは表示装置に表示される予測音楽記号の可否を入力するだけで、同じフレーズの音楽記号を簡単に入力することが可能となり、楽譜上に音楽記号を入力する際の入力操作の作業量を大幅に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は本発明の一実施形態に係る音符入力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2において、音符入力装置のハードウェアはパーソナルコンピュータ等の汎用情報処理装置によって実現できる。
図2に示すように、本実施形態の音符入力装置1は、CPU2、ROM3、RAM4、表示装置5、キーボード6、マウス7、音源部8、及び通信インタフェース9を備える。
【0016】
表示装置5、キーボード6、及びマウス7はそれぞれVRAM10、キースキャン回路11、及びマウススキャン回路12を介してバス13に接続される。なお、マウス7は、タブレット、タッチスクリーン、及びタッチパネル等、周知のポインティング・デバイスであってもよい。
【0017】
マウス7のX・Y方向の移動量はRAM4上のカーソルポイントレジスタのカーソル座標データに加算され、この座標データに基づいて表示装置5上でのカーソルの位置が決定される。キーボード6のキーのオン・オフはキースキャン回路11で検出され、検出結果はRAM4に書き込まれる。キーボード6のキーのオン・オフが直前の状態と比較されてキーオンイベントやキーオフイベントが認識される。
【0018】
また、音符入力装置1には、ハードディスク、CD−ROM、MOディスク、DVD、及びメモリカード等の外部記憶装置を必要に応じて設けることができる。また、プリンタドライバを介してプリンタに接続することもできる。
【0019】
CPU2は、所定の制御プログラムに従って各種処理を実行し、装置全体を制御する。ROM3は、CPU2に楽譜作成処理を実行させるための楽譜表示プログラムや五線譜、及び音符等の音楽記号を含む各種データ(楽譜作成ソフト)を記憶する。RAM4は、CPU2での処理に使用される情報を一時記憶する。
【0020】
本実施形態においては、CPU2,ROM3及びRAM4により構成されるコンピュータシステムにより、本発明の主要な機能である一致検出手段、入力予測手段、音楽記号表示手段、予測結果可否入力手段、音楽記号入力手段等が構成される。
【0021】
表示装置5は、LCDやCRT等の表示器あるいはLED等の表示灯を含んでいる。表示器には、アイコン、楽譜、複数のタグシートつまり付箋を付けた複数のシートからなる音楽記号のパレット、鍵盤図形等を表示する。
【0022】
音源部8は、音源としてのソフトウェアや効果付与のためのDSPを含んでいる。音源部8には、D/A変換器、アンプ、スピーカを含むサウンドシステム14が接続される。通信インタフェース9は、LANやインターネット、電話回線などの通信ネットワーク、あるいはMIDI用ネットワークに接続されるインタフェースであり、サーバ等など、他の情報処理装置やMIDI機器などの外部機器15との各種情報の授受に使用される。音符入力装置1は、この通信インタフェースを介して取り込んだ演奏情報に基づく楽譜作成も可能である。
【0023】
音源部8は、RAM4上に設けられる演奏情報記憶手段から、ノートナンバー、音色、ステップ、ゲートタイム、ベロシティ等演奏情報を読み込み、それに基づいて楽音波形の加工をしてサウンドシステム14に入力する。
【0024】
図1は、上述した本実施形態の音符入力装置1の要部機能を示すブロック図である。図1において、音楽記号記憶部16には、音楽記号(音符/休符群)等のフォントが記憶される。音楽記号等は使い勝手等を考慮し、タグ付きのパレットの形態で表示装置5上に表示可能にするため、グループ別または階層別に記憶している。
【0025】
機能ボタン記憶部17は、編集機能選択用のボタンの状態、つまり編集機能の有効・無効の区別をこのボタンの表示位置情報とともに記憶する。編集機能選択用のボタンは上述したパレット上で音楽記号等に近接して表示できるように設定されている。機能ボタン記憶部17に記憶されている編集機能の有効・無効の設定は、マウス7によるパレット操作で反転する。
【0026】
音楽記号展開部18は、音楽記号等のフォントをビットマップデータに展開する手段とVRAM10上の画像メモリとを含んでいる。機能指示部19は機能ボタン記憶部17から読み出された有効となっている機能に従って音楽記号展開部18に自動編集指示を出力する。音楽記号展開部18は楽典や浄書ルールに従って音楽記号等を編集するための編集プログラムを有している。音楽記号等のフォントデータをイメージデータに変換して画像メモリに展開する際には、上述した編集機能の有効・無効の区別を編集プログラムに反映して自動編集が行われる。
【0027】
機能反転部20は、マウス7の操作に従って機能ボタン記憶部17から読み出された編集機能の有効・無効の設定状態を反転する。五線譜記憶部21は、五線譜を描画範囲に描画するためのビットマップデータを有する画像メモリである。
【0028】
この構成において、マウススキャン回路12は、マウス7のクリックによってコマンドを認識し、かつ、マウス7の操作によるカーソルの移動量を認識してカーソルの位置を検出する。キースキャン回路11は、キーボード6を構成する複数のキーをスキャンし、各キーの状態(オンかオフか)を読み取る。
【0029】
音楽記号記憶部16のフォントはカーソルの位置とマウス7からのコマンドとによって選択され、音楽記号展開部18に入力される。機能ボタン記憶部17に記憶された機能は、カーソルの位置とマウス7からのコマンドとによって有効・無効が設定され、この設定内容は機能指示部19から音楽記号展開部18に入力される。これにより、有効となっている編集機能によってフォントデータは編集され、音楽記号展開部18の画像メモリにイメージデータが展開される。
【0030】
指定キー検出部22は、キースキャン回路11によって、押し下げられているキーのうちに指定のキー(例えば、シフトキー)が含まれているかを判断する。指定キー検出部22で指定のキーが含まれていたことを検出したら、機能反転部20は機能ボタン記憶部17から機能指示部19に読み出されて音楽記号展開部18に入力される編集機能の有効・無効を反転させる。
【0031】
無効が選択された編集機能は停止され、有効な編集機能のみによって自動編集が行われる。こうして、有効な編集機能によって編集されて音楽記号展開部18に展開された音楽記号等のイメージデータは五線譜記憶部21に格納されている五線譜のイメージデータと合成されて表示装置5に入力される。なお、表示画面上の位置はその左上隅を(0,0)とするX・Y座標で管理される。
【0032】
次に、具体例を説明する。図3は表示装置5の表示例を示す図である。表示装置5には、楽譜作成モード画面が表示されている。画面24の上部にはメニューバー25及びツールバー26が設けられる。メニューバー25及びツールバー26のボタンは本発明の要部ではないので一部のみ図示する。画面24の右側には楽譜の描画範囲27を設ける。描画画面には予め多段(この例では5段)に五線譜を配する。ここでは、五線譜に音部記号を表示した例を示したが、この音部記号は作成者が任意に変更できるし、五線譜のみの初期画面として任意に音部記号を設定することができるものにしてもよい。
【0033】
画面24の左側には、音楽記号等や編集コマンドを含むパレット28が表示される。パレット28は複数のタグシート28−1、28−2、…、28−9からなる。楽譜の作成・編集上使用頻度の高いものを最上部2枚のタグシート28−1,28−2に収容して記号の選択を容易にしている。画面24には、マウス7で移動可能なカーソル29が表示される。
【0034】
楽譜の作成例を、図3及び図4を参照して説明する。まず、図3の楽譜作成モード画面を表示装置5に表示させる。この画面は、図示しないモード選択画面の「楽譜作成モード」をクリックする等して指示を行い、この指示に応答して上述した記憶部16,18,21から読み出したデータに従って表示される。
【0035】
続いて、描画範囲27の五線譜上に音楽記号等を記入する。図4(a)に示すように、描画範囲27には、音部記号31がすでに初期表示として描画されている五線譜30が表示されているので、拍子を示す記号を描画する。この場合、カーソル29を、マウス7を使ってタグシート28−8に合わせ、クリックする。そして、タグシート28−8に含まれている拍子記号(図示せず)のうちの一つにカーソル29を合わせてマウス7をクリックする。この例では4/4拍子(C)を選択する。
【0036】
それから、カーソル29を描画範囲27の五線譜30に合わせてマウス7をクリックする。この操作によって、図4(b)に示すように、4/4拍子の記号32が五線譜30上に描画される。なお、カーソル29は五線譜30上の、拍子記号が置かれるべき位置におおよそ合わせてクリック操作をすれば正しい位置に描画されるように編集プログラムを作成する。
【0037】
次に、音符を描画する。タグシート28−1上の4分音符のボタン33にカーソル29を合わせてマウス7をクリックし、続いてカーソル29を五線譜30上の所望の位置に合わせてマウス7をクリックすれば、4分音符34が五線譜30上に描画される。
【0038】
さらに、カーソル29を五線譜30上の別の位置に合わせ、8分音符等、符鈎(はた)付きの音符が連続する場合、符鈎を表示する代わりに音符間を連桁で連結する編集機能を設定する。タグシート28−1のトグルボタン36はクリックする毎に自動連桁機能を有効から無効、または無効から有効に切り替える機能を有する。
【0039】
自動連桁機能を有効にした状態で、タグシート28−1の8分音符のボタン37を使って五線譜30上に8分音符38,39を描画すると、自動的に8分音符38,39が連結されて音符40に編集される。
【0040】
このようにして、音符を次々に入力していくと音符が五線譜30上に描画されるとともに、音楽記号記憶部16には、音楽記号(音符/休符群)等のフォントが記憶される。本実施形態の音楽記号展開部18は音符入力予測モードを有し、音符入力予測モードに設定されている場合には、音符が入力された時に予測表示を行う。
【0041】
次に、図5のフローチャートを参照しながら本実施形態の音符入力装置の予測表示の処理手順を説明する。
ステップS501において音符が入力されたか否かを判断する。この判断の結果、音符が入力された場合にはステップS502に進み、楽譜中に入力された音符、すなわち、既に入力された音符について、五線譜30上のノートナンバー、音価及び位置を検出する。
【0042】
次に、ステップS503に進み、ステップS502で検出した音価及び位置と、すでに五線譜30上に入力されて音楽記号記憶部16に記憶されているフレーズの先頭部分とが一致しているかどうかを検出する。この一致検出は、すでに楽譜中に入力されているフレーズの先頭部分の音符、または他の楽譜のフレーズの先頭部分の音符、或いはフレーズ登録されて記憶部に記録されているフレーズの先頭部分の音符との一致を検出して行う。具体的にはフレーズの先頭部分の数拍分の音符について、五線譜上の五線の位置またはノートナンバー、音の長さ等に基づいて一致検出を行う。ステップS503の一致検出の結果、一致している場合にはステップS504に進み、一致していない場合にはステップS501に戻る。
【0043】
ステップS504においては、すでに五線譜30上に入力されて音楽記号記憶部16に記憶されているフレーズを読み出して、入力された音符の続きの入力部分の音楽記号を予測する。次に、ステップS505に進み、ステップS504で予測した音楽記号を表示装置5に表示する。
【0044】
次に、ステップS506において予測がOKか否かの判断をユーザに求める。この判断の結果、OKである場合にはステップS510に進み、OKでない場合にはステップS507に進む。
【0045】
ステップS507において、他の予測結果を表示するか否かの判断をユーザに求める。この判断の結果、YESである場合にはステップS508に進む。また、NOの場合には予測入力を行わないとしてステップS501に戻る。
【0046】
ステップS508においては、ステップS505で表示した予測結果とは異なる予測結果を選択して表示装置5に表示する。その後、ステップS509に進んで予測OKか否かの判断をユーザに求める。この判断の結果、YESである場合にはステップS510に進み、NOの場合には予測入力を行わないとしてステップS501に戻る。
【0047】
ステップS510においては、ステップS504またはステップS508の予測結果である予測音楽記号を、入力音符として順次確定する処理を行う。この処理により、図4(a)において符号400で示している、3小節目を入力完了した時点で3拍目以降の薄く記載した候補の部分が、図4(b)において符号401で通常の記載で示したように入力される。
【0048】
なお、ステップS508において、図4(d)において符号403で示した候補や、図4(e)において符号404で示した候補を表示装置5に一覧表示する方法も考えられる。その場合は、表示装置5に複数表示された候補の中から、ユーザが選択して五線譜30に入力するようにすることもできる。なお、図4(e)において、符号404で示した候補は、図4(c)で符号402で示したように、フレーズ登録されて音楽記号記憶部16に予め記録されているフレーズである。
【0049】
前述した実施形態では、フレーズの先頭部分の数拍分の音符について一致検出を行う場合、五線譜上の五線の位置またはノートナンバー、音の長さについて、完全に一致している場合に、フレーズの先頭部分が一致していると判断する例を示した。しかし、フレーズの先頭部分の数拍分の音符について相対的なピッチ、音の長さより同じフレーズと判断することもできる。
【0050】
すなわち、1小節目と2小節目とは、2半音違うだけで相対的なピッチ、音の長さは同じである。この場合は、1小節目を入力した後、2小節目の途中まで入力した時点で判断して候補を表示することが可能となる。例えば、図4(f)に示すように、2小節目の3音まで入力したら、破線の音符で示したように「レ」、「ラ」の音符を候補として表示することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態においては、音符が入力されると、入力された音符の五線譜30上の音価及び位置を検出し、検出した音価及び位置と既に入力されて音楽記号記憶部16に記憶されているフレーズの先頭部分とを比較し、比較結果に基いて続いて入力される部分の予測を行い、予測結果を表示装置5に表示するようにした。
【0052】
これにより、マウス7を用いること無く、記号を選択してコピー&ペーストしたり、小節単位でコピー&ペーストしたりするのと同様な効率で音符入力を行うことが可能となり、同じフレーズが繰り返し出てくる楽譜を入力する際の入力操作の作業効率を大幅に向上させることができる。
【0053】
(本発明に係る他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における音符入力装置を構成する各手段は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0054】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0055】
なお、本発明は、前述した図5に示すフローチャートに対応した音符入力プログラムを、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0056】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0057】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0058】
プログラムを供給するための記録媒体としては種々の記録媒体を使用することができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0059】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0060】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0061】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0062】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行うことによっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0063】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態を示し、音符入力装置の要部機能を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態を示し、音符入力装置のハード構成部分であるパーソナルコンピュータの構成を説明するブロック図である。
【図3】本発明の実施形態を示し、音符入力装置の表示画面の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態を示し、楽譜描画の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態を示し、音符入力装置の予測表示の処理手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1 音符入力装置
2 CPU
3 ROM
4 RAM
5 表示装置
6 キーボード
7 マウス
8 音源部
9 通信インタフェース
10 VRAM
11 キースキャン回路
12 マウススキャン回路
13 バス
14 サウンドシステム
15 外部機器
16 音楽記号記憶部
17 機能ボタン記憶部
18 音楽記号展開部
19 機能指示部
20 機能反転部
21 5線譜記憶部
22 指定キー検出部
27 描画範囲
28 パレット
29 カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインティング・デバイスを使用して、音楽記号記憶手段から音楽記号及び音符のフォントを読み出すとともに、前記ポインティング・デバイスを使用して指示された表示画面上の位置に対応する画像メモリに前記フォントのイメージデータを展開する音符入力装置であって、
前記ポインティング・デバイスを使用して入力された音符と、すでに楽譜中に入力されているフレーズの先頭部分の音符、または他の楽譜のフレーズの先頭部分の音符、或いはフレーズ登録されて記憶部に記録されているフレーズの先頭部分の音符との一致を検出する一致検出手段と、
前記一致検出手段により、前記フレーズの先頭部分と一致していると判断された際に、前記フレーズの先頭部分の続きの入力部分を予測する入力予測手段と、
前記入力予測手段により予測された前記続きの入力部分を表示装置に表示する音楽記号表示手段と、
前記表示装置に表示された前記続きの入力部分の可否をユーザから受け付ける予測結果可否入力手段と、
前記予測結果可否入力手段を介して入力される可否に応じて前記表示装置に表示されている予測音楽記号を確定する音楽記号入力手段とを有することを特徴とする音符入力装置。
【請求項2】
前記一致検出手段は、前記フレーズの先頭部分の数拍分の音符について、五線譜上の五線の位置またはノートナンバー、音の長さに基づいて一致検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の音符入力装置。
【請求項3】
前記音楽記号入力手段は、前記表示装置に表示されている予測音楽記号を順次に確定、またはフレーズの全体をまとめて確定することを特徴とする請求項1に記載の音符入力装置。
【請求項4】
ポインティング・デバイスを使用して、音楽記号記憶手段から音楽記号及び音符のフォントを読み出すとともに、前記ポインティング・デバイスを使用して指示された表示画面上の位置に対応する画像メモリに前記フォントのイメージデータを展開するようコンピュータに実行させる音符入力プログラムであって、
前記ポインティング・デバイスを使用して入力された音符と、すでに楽譜中に入力されているフレーズの先頭部分の音符、または他の楽譜のフレーズの先頭部分の音符、或いはフレーズ登録されて記憶部に記録されているフレーズの先頭部分の音符との一致を検出する一致検出工程と、
前記一致検出工程において、前記フレーズの先頭部分と一致していると判断された際に、前記フレーズの先頭部分の続きの入力部分を予測する入力予測工程と、
前記入力予測工程において予測された前記続きの入力部分を表示装置に表示する音楽記号表示工程と、
前記表示装置に表示された前記続きの入力部分の可否をユーザから受け付ける予測結果可否入力工程と、
前記予測結果可否入力工程において入力される可否に応じて前記表示装置に表示されている予測音楽記号を確定する音楽記号入力工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする音符入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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