説明

音響システム、音響制御方法および音響システムの設定方法

【課題】複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響システムにおいて、漏れ音の影響を考慮した音響設定を簡易に行うことを可能とすることを課題とする。
【解決手段】座席A、B、C、Dに対して夫々異なる音響を出力するスピーカ17a、17b、17c、17dと、座席A、B、C、Dのうち、一部の座席に対して対応するスピーカによって出力される音響に係る出力音響設定を行う制御部11と、を備え、スピーカ17a、17b、17c、17dは、夫々の座席A、B、C、Dに対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響を更に出力し、制御部11は、前記出力音響設定の内容に応じて、前記一部の座席に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響に係る漏れ音低減音響設定を更に行う、音響システムとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力することが可能な音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出力音を制御することにより生成される音響空間に対応するイメージを表示し、ユーザの指示に合わせてこのイメージを変化させ、更にイメージの変化に対応して出力音を変化させる音響空間制御装置がある(特許文献1を参照)。
【0003】
また、車両のタイプを示す文字情報およびパターンデータを表示し、選択された車両タイプに対応したイコライザ特性の調整を行う車載用音響装置や(特許文献2を参照)、選択されたシートポジションを示すパターンデータを表示し、シートポジションに対応して配置されたスピーカから出力される音声信号の信号レベルおよび遅延時間を調整する車載用音響装置(特許文献3を参照)、音場モードや音量レベルを示すパターンデータを表示して、所望する音場モードや音量を設定させる車載用音響装置がある(特許文献4および5を参照)。
【特許文献1】特開2007−116363号公報
【特許文献2】特開平10−32890号公報
【特許文献3】特開平10−32898号公報
【特許文献4】特開平10−32899号公報
【特許文献5】特開平10−32900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力することで、聴取位置に居る聴取者ごとに異なる音響を聴かせる音響システムがある。しかし、このような音響システムでは、夫々の聴取位置のために出力された音響の漏れ音が、他の聴取位置の聴取環境に影響を与えるという問題が発生する。この漏れ音による影響を低減させるために、漏れ音の打ち消しやイコライジング等の技術が用いられている。このような技術によれば、例えば車両内で各席の聴取者ごとに異なる音源を聴きたいといった場合に、夫々の聴取位置において仮想的な音響空間を生成し、各聴取位置の音響上の独立性を高めることが可能である。
【0005】
しかし、各聴取位置に対して出力される音響に係る音響設定が変更された場合、他の聴取位置に対する漏れ音の特性が変わってしまう。このため、従来の音響システムでは、設定変更の都度、他の聴取位置における漏れ音の打ち消しやイコライジング等の設定を手動で変更する必要が発生する。また、手動による変更を行わないようにするためには、夫々の聴取位置の近傍にエラーマイクを設けて漏れ音の状況を監視し、状況に応じた漏れ音の打ち消しやイコライジング等を行うための機能を、聴取位置ごとに設ける必要がある。
【0006】
本発明は、上記した問題に鑑み、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響システムにおいて、漏れ音の影響を考慮した音響設定を簡易に行うことを可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するために、一部の聴取位置に対して出力される音響に係る設定の内容に応じて、前記一部の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための音響に係る設定を行うことで、漏れ音の影響を考慮した音響設定を簡易に
行うことを可能にした。
【0008】
詳細には、本発明は、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響出力手段と、前記複数の聴取位置のうち、一部の聴取位置に対して前記音響出力手段によって出力される音響に係る出力音響設定を行う設定手段と、を備え、前記音響出力手段は、前記夫々の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響を更に出力し、前記設定手段は、前記出力音響設定の内容に応じて、前記一部の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響に係る漏れ音低減音響設定を更に行う、音響システムである。
【0009】
ここで、複数の聴取位置とは、音響システムによって音響が出力される空間に定義された複数の聴取位置である。音響出力手段は、聴取位置毎に、異なる音源に係る音響や、異なる出力音響設定に係る音響を出力する。即ち、本発明に係る音響システムは、このような音響出力手段によって、聴取位置毎に異なる音響環境を提供する音響システムである。
【0010】
また、本発明に係る音響システムでは、異なる音響が出力されている夫々の聴取位置において、聴取位置に生成されている音響空間の独立性を高めるために、打ち消し音の生成やイコライジング等による、漏れ音の低減処理が行われる。
【0011】
このような音響システムにおいて、一部の聴取位置に対する音響に係る出力音響設定が行われると、この設定の内容は、漏れ音の特性にも影響を与える。このため、本発明は、出力音響設定の内容に応じた漏れ音低減音響設定を行うことで、一部の聴取位置に対する音響の設定がなされた場合に、漏れ音低減の効果を維持することを可能とした。
【0012】
また、本発明に係る音響システムは、前記設定手段によって設定された内容または設定される内容をユーザに対して視覚的に把握させるための画像を表示する表示手段と、前記表示手段による表示内容を見たユーザによる操作を受け付ける受付手段と、を更に備え、前記設定手段は、前記受付手段によって受け付けられた操作に従って、前記出力音響設定および前記漏れ音低減音響設定を行ってもよい。
【0013】
これによって、ユーザは、表示された画像によって設定内容を把握しながら、出力音響設定を行うことが可能となる。また、前記表示手段は、画像をタッチパネルディスプレイに表示し、前記受付手段は、前記タッチパネルディスプレイを介して、ユーザによる操作を受け付けてもよい。タッチパネルディスプレイを用いて表示と操作の受付とを行うことで、ディスプレイとは別に設けられた入力機器を用いて操作の受付を行う場合に比べて、ユーザはより直感的に操作を行い、操作の結果を把握することが出来る。
【0014】
また、本発明に係る音響システムは、前記設定手段によって行われる設定の内容として、予め定義された複数の音響設定内容を記憶する記憶手段を更に備え、前記表示手段は、前記音響設定内容に従って前記音響出力手段による音響が出力された場合に、ユーザに聴覚上認識される仮想音響空間の大きさに対応する大きさを有する画像を表示し、前記受付手段は、ユーザによる前記音響設定内容の選択を受け付け、前記設定手段は、選択された前記音響設定内容に応じた前記出力音響設定および前記漏れ音低減音響設定を行ってもよい。
【0015】
ここで、仮想音響空間とは、音響システムによって音響が出力される実際の空間とは異なる、出力音響を聴いたユーザが聴覚上認識する空間である。本発明は、この仮想音響空間の大きさに対応した大きさを有する画像を表示することで、ユーザが直感的に仮想音響空間の大きさを把握できるようにしている。即ち、本発明によれば、表示された画像によって仮想音響空間の大きさを把握しながら、予め定義された複数の音響設定内容から、目
的の音響設定内容を見つけることが可能となる。
【0016】
また、前記受付手段は、前記表示手段によって表示された、前記聴取位置を示す画像、および該聴取位置に対する音像の定位位置を示すための画像を、前記表示手段上で互いに独立して移動させる操作を受け付け、前記表示手段は、前記受付手段によって受け付けられた操作に従って、前記聴取位置を示す画像または前記定位位置を示す画像の表示位置を更新しながら表示し、前記設定手段は、前記聴取位置と該聴取位置に対する音像の定位位置との位置関係が、前記操作に従って表示位置が更新された前記聴取位置を示す画像と前記定位位置を示す画像との位置関係に対応するように、前記出力音響設定および前記漏れ音低減音響設定を行ってもよい。
【0017】
前記聴取位置を示す画像は、例えば、音響システムによって音響が出力される空間を表す表示領域に表示された、人型のアイコンや座席型のアイコンとすることが出来る。また、音像の定位位置を示すための画像は、音響システムによって音響が出力される空間を表す表示領域に表示された、定位位置そのものを示す丸等のアイコンであってもよいし、定位位置に対応する仮想的なスピーカの位置に表示されるスピーカ型のアイコンであってもよい。
【0018】
本発明に拠れば、前記聴取位置を示す画像と前記定位位置を示す画像とがユーザの操作によって移動し、この移動に合わせて設定内容が反映され、音像の定位位置が変化する。このため、ユーザは、視覚を介して音像の定位位置をイメージしながら、実際の出力音響を、聴覚を介して確認し、目的の定位位置を見つけることが出来る。
【0019】
また、前記受付手段は、前記表示手段によって表示されたスピーカを示す画像を前記表示手段上で選択して行われる所定の操作を受け付け、前記設定手段は、受け付けられた操作に従って、選択されたスピーカをミュート状態に設定し、該設定の内容に応じた前記漏れ音低減音響設定を行い、前記表示手段は、受け付けられた操作に従って前記スピーカのアイコンを変化させることによって、ユーザに対して該アイコンに対応するスピーカがミュート状態であることを視覚的に把握させてもよい。
【0020】
本発明によれば、複数の聴取位置に対して異なる音響を出力する音響システムにおいて、一部の聴取位置に対する音響出力をミュートすることが可能となり、更に、視覚を介して音響出力の状態を直感的に把握することが可能となる。
【0021】
また、本発明は、音響制御方法の発明としても把握することが出来る。即ち、本発明は、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響出力ステップと、前記複数の聴取位置のうち、一部の聴取位置に対して前記音響出力ステップで出力される音響に係る出力音響設定を行う設定ステップと、を備え、前記音響出力ステップでは、前記夫々の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響が更に出力され、前記設定ステップでは、前記出力音響設定の内容に応じて、前記一部の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響に係る漏れ音低減音響設定が更に行われる、音響制御方法である。
【0022】
また、本発明は、音響システムの設定方法としても把握することが出来る。即ち、本発明は、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力し、更に、前記夫々の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響を更に出力する、音響システムを設定する方法であって、前記複数の聴取位置のうち、一部の聴取位置に対して前記音響システムによって出力される音響に係る出力音響設定を行い、更に、前記出力音響設定の内容に応じて、前記一部の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響に係る漏れ音低減音響設定を更に行う、設定ステップと、
前記設定ステップで設定された内容または設定される内容をユーザに対して視覚的に把握させるための画像を表示する表示ステップと、前記表示ステップで表示された表示内容を見たユーザによる操作を受け付ける受付ステップと、を備える、音響システムの設定方法である。
【0023】
本発明に拠れば、一部の聴取位置に対する音響に係る出力音響設定が、漏れ音の特性にも影響を与えるような音響システムにおいて、出力音響設定の内容に応じた漏れ音低減音響設定を行うことで、一部の聴取位置に対する音響の設定変更があった場合にも、漏れ音低減の効果を維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって、複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響システムにおいて、漏れ音の影響を考慮した音響設定を簡易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る音響システム、音響制御方法および音響システムの設定方法の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0026】
<音響システムの構成>
図1は、本実施形態に係る音響システムの構成を示す図である。本実施形態に係る音響システム1は、4席の座席A、B、C、Dを有する車両に設置された車載用音響システム1であり、システム全体を制御する制御部11と、複数の音源から入力された音響信号を選択するセレクタ12と、セレクタ12によって選択された音源から入力されたアナログ音響信号をデジタル音響信号に変換するA/D変換器13と、デジタル音響信号を制御するDSP(Digital Signal Processor)14と、DSP14から出力されたデジタル音響信号をアナログ音響信号に変換するD/A変換器15と、D/A変換器15によって出力されたアナログ音響信号を増幅するアンプ(増幅器)16と、増幅された音響信号の入力を受けて、音響を出力するスピーカ17a、17b、17c、17dと、予め準備されたパラメータの組み合わせである複数のプリセットパターンを保持する記憶部18と、制御部11によってDSP14等から読み出された設定内容や、記憶部18から読み出されたプリセットパターン等に基づいて生成された画像を出力する表示部19aと、ユーザによる各種操作を受け付ける操作受付部19bと、を備える。
【0027】
本実施形態に係る音響システム1は、複数の音源からの入力を受け付けて、車両内の夫々の座席(聴取位置)A、B、C、Dに対して配置された複数組のスピーカ17a、17b、17c、17dによって、夫々の座席に対して異なる音源からの音響、または異なる音響設定が適用された音響を出力することが可能な音響システム1である。以下、単に「スピーカ17」と記載した場合には、ステレオ2チャンネルや5.1チャンネル等の、単一の音場を生成するための一組のスピーカセットを指すものとする。また、複数の音源としては、例えば、CD/DVDドライブ、MDドライブ、ラジオ受信機(AM/FM)、テレビジョン放送受信機(アナログ放送/デジタル放送)、ナビゲーションシステム20等がある。
【0028】
制御部11は、後述する表示部19aおよび操作受付部19bによって実現されるGUI(Graphical User Interface)を介して入力された指示に従って、セレクタ12によって選択される音源を指定する処理や、DSP14によって行われる処理に使用される各種パラメータを設定する処理を行うことによって、システム全体を制御する。
【0029】
セレクタ12は、複数の音源から入力される音響信号のうち、操作受付部19bを介し
て指示され、制御部11によって指定された音源から入力された音響信号を選択する。即ち、本実施形態に係る音響システム1によれば、座席A(運転席)に設置されたスピーカ17aからはナビゲーションシステム20からの音響を出力し、座席B(助手席)に設置されたスピーカ17bからはラジオ受信機からの音響を出力し、座席C、D(後部座席)に設置されたスピーカ17c、17dからはCD/DVDドライブからの音響を出力する、といったことが可能である。なお、車両内のすべての座席に対して同一の音源からの音響、または同一の音響設定が適用された音響を出力することも可能である。
【0030】
DSP14は、音響システム1においてデジタル音響信号に対する各種制御を行う装置であり、例えば、デジタル音響信号に対するイコライジング処理等を実行する。また、本実施形態に係るDSP14は、夫々の座席において定位制御を行うための定位制御フィルタ14a、および夫々の座席において漏れ音による影響を低減させるための漏れ音低減フィルタ14bとして機能する。
【0031】
定位制御フィルタ14aは、音源から入力された音響信号に対して、聴取者が聴覚上認識する音響の出力位置である音像定位位置と、聴取者が聴覚上認識する仮想音響空間の広さと、を制御するための信号処理を行うフィルタである。具体的には、イコライジングによる周波数帯域ごとの音量バランスの制御や、残響音の制御等が含まれる信号処理によって、音像定位位置および仮想音響空間の制御が行われる。なお、本実施形態に係る定位制御フィルタ14aは、各座席用のスピーカ17毎に、異なる設定に基づいた定位制御を行うことが可能である。即ち、本実施形態では、座席毎に、異なる音像定位位置および仮想音響空間を生成することが可能である。本実施形態では、定位制御フィルタ14aは、DSP14が定位制御フィルタ14a処理のためのプログラムを実行することによって実現される。但し、定位制御フィルタ14aは、音響信号に対して定位制御を行うための信号処理を行う専用のプロセッサによって実現されてもよい。
【0032】
図2は、本実施形態に係る定位制御フィルタ14aによって用いられるパラメータリストを示す図である。本実施形態に係る定位制御フィルタ14a用パラメータには、聴取位置(正確には、座席に着席した聴取者の頭または耳の位置)から仮想音源までの距離、聴取位置の正面軸に対する仮想音源の角度、残響音の時間、および残響音の音量が含まれる。但し、パラメータの種類は、これらの例示に限定されるものではない。そして、本実施形態では、予め定められた仮想音響空間の種別(コンサートホール、ライブハウス、カラオケボックス、リビングルーム等)ごとに、各パラメータの値が予め用意されており、記憶部18に保持されている。なお、記憶部18としては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やHDDドライブ等の、一般に補助記憶装置として用いられているデバイスが用いられることが好ましい。
【0033】
漏れ音低減フィルタ14bは、ある座席(例えば後部座席)において出力されている音響に対して、その他の座席(例えば運転席および助手席)において出力されている音響の漏れ音が影響することを低減させるために、その他の座席のスピーカ17から出力されている音響の漏れ音に対して逆位相となる音響を出力させるためのフィルタである。上記例では、後部座席用のスピーカ17c、17dからは、後部座席のために出力されている音響に加えて、運転席および助手席から漏れてくる音響の逆位相音響が出力され、運転席および助手席からの漏れ音を打ち消し、漏れ音を低減させる。なお、本実施形態に係る漏れ音低減フィルタ14bは、各座席用のスピーカ17毎に、異なる設定に基づいた漏れ音低減用の音響を出力する。本実施形態では、漏れ音低減フィルタ14bは、定位制御フィルタ14a同様、DSP14が漏れ音低減フィルタ14b処理のためのプログラムを実行することによって実現される。なお、音響信号に対して漏れ音低減を行うための信号処理を行う専用のプロセッサによって実現されてもよいことも、定位制御フィルタ14aと同様
である。
【0034】
表示部19aは、制御部11によって定位制御フィルタ14aおよび漏れ音低減フィルタ14b等から読み出された設定内容に基づいて生成された画像や、記憶部18から読み出されたプリセットパターンに基づいて生成された画像を出力し、操作受付部19bは、ユーザによる各種操作の内容を受け付ける。本実施形態では、表示部19aおよび操作受付部19bとして、生成された画像を表示するディスプレイと、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネルとが一体化された、所謂タッチパネルディスプレイ19が用いられる。ディスプレイの方式としては、本実施形態では液晶が用いられる。但し、ディスプレイの表示機構は液晶に限定されるものではなく、実施の形態によって、プラズマ、CRT(Cathode Ray Tube)等の各種方式から適宜最適な方式が採用されることが好ましい。同様に、タッチパネルディスプレイの検知方式としても、抵抗膜方式(感圧型)、静電容量方式等の各種方式から適宜最適な方式が採用されることが好ましい。
【0035】
<処理の流れ>
次に、フローチャートおよび表示部19aに表示される表示画像を用いて、本実施形態における音響設定処理の流れを説明する。
【0036】
図3は、本実施形態に係る音響システム設定処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、ユーザによって、設定開始を指示する操作が行われ、この操作が受け付けられたことを契機として開始される。なお、以下の説明では、図4に示すナビゲーション画面40が表示されたタッチパネルディスプレイ19において、画面右上に表示された音響出力モード表示アイコンが選択されることで処理が開始されるが、処理の開始は、その他の操作から開始されてもよい。
【0037】
ステップS101およびS102では、座席選択モードへの遷移が行われる。図4は、本実施形態においてナビゲーション画面40が表示されたタッチパネルディスプレイ19の様子を示す図である。ナビゲーション画面40には、ナビゲーションに用いられる地図画像41、詳細地図を表示するための詳細ボタン画像42、広域地図を表示するための広域ボタン画像43、および音響システム1によって車両内に出力されている音響の状態を示す音響出力モード表示アイコン44等が含まれる。音響出力モード表示アイコン44は、その形状や色彩等によって、車両内の仮想音響空間の分割状況や、夫々の座席に提供されている音源の種類等を、ユーザが視覚を通じて把握可能に表示するアイコンである。
【0038】
操作受付部19bは、ナビゲーション画面40が表示されたタッチパネルディスプレイ19の右上に表示された音響出力モード表示アイコン44(図4を参照)がタッチされたことを検知することで、座席選択モードへの遷移を指示する操作を受け付ける(S101)。座席選択モードへの遷移が指示されると、表示部19aは、図5に示す座席選択画面50を生成して表示する(S102)。図5は、本実施形態において座席選択画面50が表示されたタッチパネルディスプレイ19の様子を示す図である。座席選択画面50には、所定の空間(ここでは車両内の空間)を表す図形51、所定の空間における座席を示す座席アイコン52a、52b、52c、52d(夫々座席A、座席B、座席C、座席Dに対応する)、全ての座席を選択するための全選択ボタン画像53、および次の音響設定ステップに進みたい場合にタッチされる設定ボタン画像54等が含まれる。その後、処理はステップS103へ進む。
【0039】
ステップS103およびS104では、設定の対象となる座席が選択される。操作受付部19bは、図5に示す座席選択画面50を介して、ユーザが各位置の座席を示す座席アイコン52a、52b、52c、52dの何れかをタッチしたことを検出することで、ユーザによる座席の選択の操作を受け付ける(S103)。このとき、座席は複数選択する
ことが可能である。一つの座席を選択する場合、ユーザは何れか一の座席アイコン52a、52b、52c、52dにタッチすることで選択して設定ボタン画像54にタッチするか、何れか一の座席アイコン52a、52b、52c、52dを二回連続タッチする。複数の座席を選択する場合、ユーザは座席のアイコン52a、52b、52c、52dのうち、選択したい座席に対応したアイコンに任意の順でタッチして選択状態とし、選択したい座席を全て選択状態としてから、設定ボタン画像54にタッチする。
【0040】
なお、ここで「タッチする」とは、タッチパネルディスプレイ19上の所定の領域に指先等で触れることをいう。本実施形態において示した操作手順は一例であり、実施の形態によって、操作手順は適宜最適な手順が採用されることが好ましい。例えば、範囲指定を行うことで複数の座席を選択可能としてもよい。設定の対象となる座席が確定すると、表示部19aは、図6に示すプリセットパターン選択画面60を生成して表示する(S104)。その後、処理はステップS105へ進む。
【0041】
ステップS105からS107では、プリセットパターンから仮想音響空間の種類が選択される。図6は、本実施形態において表示部19aによって表示される、プリセットパターンの一覧、および現在選択されているプリセットパターンの画像を含む、プリセットパターン選択画面60を示す図である。プリセットパターン選択画面60には、プリセットパターン一覧表示領域61、現在選択されているプリセットパターンに係る仮想音響空間の大きさをイメージさせるための立方体62、詳細設定ボタン画像63、決定ボタン画像64、および戻るボタン画像65が含まれる。表示部19aは、プリセットパターンの一覧をタッチパネルディスプレイ19の左領域に表示する。なお、全てのプリセットパターンが一画面で表示しきれない場合には、一覧表示領域61をスクロール表示させることで、全てのプリセットパターンを表示させることが出来る。
【0042】
また、表示部19aは、現在選択されているプリセットパターンをタッチパネルディスプレイ19の右領域に表示する。本実施形態では、プリセットパターンの内容は、タッチパネルディスプレイ19に表示されたときに所定の表示大きさとなる立方体62を用いて表示される。各プリセットパターンを示す立方体62同士の表示の大きさの相対的な関係は、対応するプリセットパターンによって生成される仮想音響空間の広さの相対的な関係と対応する。即ち、プリセットパターンによって生成される仮想音響空間の広がりは、表示部19aによって表示される立方体62の大きさによって表現され、仮想音響空間が広いほど大きい立方体62が、仮想音響空間が狭いほど小さい立方体62が表示される。ユーザは、表示された立方体62の大きさによって、プリセットパターンによって生成される仮想音響空間の広がりを直感的に把握することが出来る。
【0043】
操作受付部19bは、タッチパネルディスプレイ19に表示されたプリセットパターン一覧における表示領域のうちの何れの領域がタッチされたかを検知することによって、ユーザによるプリセットパターンの選択の操作を受け付ける(S105)。制御部11は、操作受付部19bを介して何れのプリセットパターンが選択されたかを把握し、表示部19aは、選択されたプリセットパターンに対応する大きさの立方体62を表示部19aの右領域に表示させる(S106)。即ち、ユーザは、左領域に表示された立方体の大きさを見ながらプリセットパターンを選択し、右領域に表示された立方体62の大きさによって、選択されたプリセットパターンによって生成される仮想音響空間の広さを直感的に把握することが可能である。
【0044】
制御部11は、選択されたプリセットパターンに応じてパラメータリストから設定値を読み出し、定位制御フィルタ14aの設定を行う(S107)。ステップS107における定位制御フィルタ14aの設定変更が行われた場合、これに伴って選択された座席に対して出力される音響の特性が変化するために、他の座席に対する漏れ音の特性も変化する
。このため、制御部11は、変化した定位制御フィルタ14aの設定内容に従って、変化した漏れ音に対応するための設定変更を、漏れ音低減フィルタ14bに対しても行う(S108)。即ち、制御部11は、定位制御フィルタ14aの設定内容に応じて、他の座席についての漏れ音低減フィルタ14bの設定を行う。
【0045】
図7は、本実施形態において、プリセットパターンが選択された際に、定位制御フィルタ14aおよび漏れ音低減フィルタ14bが関連して設定される様子を示す図である。具体的には、例えばプリセットパターンからコンサートホールが選択された場合、パラメータリストの(1)が適用され(図2を参照)、残響時間が通常より長くなる。このため、他席に対応する漏れ音低減フィルタ14bの設定値において、タップ長を長くする設定変更を行う。但し、漏れ音低減フィルタ14bに対する設定の内容はタップ長の設定に限定されず、その他定位制御フィルタ14aの設定変更に応じて漏れ音を低減させるために必要な設定内容が適宜変更されることが好ましい。
【0046】
本実施形態によれば、プリセットパターンを選択すると、選択後即座に設定内容が反映され、出力音響の特性が変化する。このため、表示された立法体によって視覚を介して仮想音響空間の大きさをイメージしながら、実際の出力音響を、聴覚を介して確認し、この作業を繰り返すことでユーザの好みのプリセットパターンを容易に見つけることが可能となる。
【0047】
図8は、本実施形態に係る音響システム設定処理の詳細設定の流れを示すフローチャートである。プリセットパターンの選択後、操作受付部19bによって詳細設定ボタン画像63の表示領域がタッチされたことが検出された場合(ステップS201)、表示部19aは、詳細な音響設定を可能とするための詳細設定画面90をタッチパネルディスプレイ19に表示する(ステップS202)。
【0048】
なお、プリセットパターンの選択後、操作受付部19bによって、決定ボタン画像64(図6を参照)がタッチされた場合、その後、音響システム設定処理は終了する。また、戻るボタン画像65(図6を参照)がタッチされた場合、選択されたプリセットパターンに係る設定内容が破棄されて、図5のステップS102で表示されたものと同様の座席選択画面50が表示される。
【0049】
図9は、本実施形態に係る詳細設定画面90が表示されたタッチパネルディスプレイ19の様子を示す図である。詳細設定画面90には、聴取位置を示す人型の聴取位置アイコン91と、音像の定位位置を示すための仮想スピーカアイコン92と、仮想的なスピーカ位置を決定するための決定ボタン画像93と、詳細設定画面90において行われた操作による設定内容を消去して、ステップS107およびS108で設定されたプリセットパターンによる設定内容に戻すためのクリアボタン画像94と、が含まれる。
【0050】
ステップS203では、仮想スピーカアイコン92または聴取位置アイコン91が、ユーザの操作に従って移動される。図10は、本実施形態に係る詳細設定画面90において、ユーザによって仮想スピーカアイコン92が移動される様子を示す図である。また、図11は、本実施形態に係る詳細設定画面90において、ユーザによって聴取位置アイコン91が移動される様子を示す図である。操作受付部19bおよび表示部19aは、ユーザが指でタッチパネルディスプレイ19のアイコン表示領域に触れたことを検出することで、聴取位置アイコン91または仮想スピーカアイコン92を選択状態とし、更に、ユーザが指でアイコン表示領域に触れたままタッチパネルディスプレイ19の画面上で指を移動させた場合の指の位置を検出して、指の移動先に前記選択されたアイコンを描画することで、前記選択されたアイコンの表示位置を移動させる。その後、処理はステップS204へ進む。
【0051】
ステップS204では、定位制御フィルタ14aの設定が行われる。制御部11は、ステップS203で移動された聴取位置アイコン91と仮想スピーカアイコン92との位置関係に基づいて、定位制御フィルタ14aの設定を行う(S204)。例えば、ステップS203で、聴取位置アイコン91からみて仮想スピーカアイコン92がより離れた位置に移動された場合、定位制御フィルタ14aの設定値のうち、仮想音源までの距離に係るパラメータが変更される。このとき、ディスプレイには数値として表示されなくてもよいが、制御部11は、表示部19aによって表示された聴取位置アイコン91と仮想スピーカアイコン92との間の距離を、実際の空間における聴取位置と仮想スピーカ位置との距離に換算して、仮想音源までの距離を設定するためのパラメータに反映させる。その後、処理はステップS205へ進む。
【0052】
ステップS205では、漏れ音低減フィルタ14bの設定が行われる。ステップS204における定位制御フィルタ14aの設定変更が行われた場合、これに伴って選択された座席に対して出力される音響の特性が変化するために、他の座席に対する漏れ音の特性も変化する。このため、制御部11は、変化した定位制御フィルタ14aの設定内容に従って、変化した漏れ音に対応するための設定変更を、漏れ音低減フィルタ14bに対しても行う(S205)。即ち、制御部11は、定位制御フィルタ14aの設定内容に応じて、他の座席についての漏れ音低減フィルタ14bの設定を行う。
【0053】
図12は、本実施形態において、仮想スピーカアイコン92または聴取位置アイコン91が移動された際に、定位制御フィルタ14aおよび漏れ音低減フィルタ14bが関連して設定される様子を示す図である。具体的には、ステップS204で音像の定位位置が聴取位置からより遠い位置に設定された場合、他の聴取位置への漏れ音到達時間が変化するため、他席に対応する漏れ音低減フィルタ14bの設定値において、ディレイ時間を変更する設定変更が行われる。例えば、漏れ音低減フィルタ14bが適用される聴取位置からも定位位置が遠くなった場合、ディレイ時間はより長く設定される。但し、漏れ音低減フィルタ14bに対する設定の内容はディレイ時間の設定に限定されず、その他定位制御フィルタ14aの設定変更に応じて漏れ音を低減させるために必要な設定内容を適宜変更することが好ましい。その後、処理はステップS206へ進む。
【0054】
本実施形態によれば、聴取位置アイコン91と仮想スピーカアイコン92とがユーザのタッチ操作によって移動し、この移動に合わせて設定内容が反映され、音像の定位位置が変化する。このため、表示された聴取位置アイコン91と仮想スピーカアイコン92との位置関係によって視覚を介して音像の定位位置をイメージしながら、実際の出力音響を、聴覚を介して確認し、この作業を繰り返すことでユーザの好みの定位位置を容易に見つけることが可能となる。
【0055】
ステップS206からS208では、ミュート処理が行われる。図13は、本実施形態に係る詳細設定画面90において、ユーザによって仮想スピーカアイコン92がミュート操作される様子を示す図である。操作受付部19bは、タッチパネルディスプレイ19上の、仮想スピーカアイコン表示領域が所定の時間内に続けて2回タッチされたことを検出することで、ユーザによって行われたミュート操作を受け付ける(S206)。但し、ミュート操作の手順は2回タッチに限定されず、実施の態様に応じて適宜最適な操作手順が採用されることが好ましい。そして、制御部11は、ミュート操作が受け付けられた仮想スピーカアイコン92に係るスピーカ17からの音響出力を中止する(S207)。なお、ミュートのために音響信号が止められる箇所は、スピーカ17、アンプ16、DSP14、セレクタ12等、音響システム1における構成のうちの何れでもよい。
【0056】
また、表示部19aは、ミュート操作が行われたスピーカ17に係る仮想スピーカアイ
コンの画像を変更して表示する(S208)。このようにすることで、ユーザは直感的に、該当するスピーカ17がミュート状態であることを把握することが出来る。ユーザに直感的にスピーカ17がミュート状態であることを把握させることができる仮想スピーカアイコンの表示としては、例えば、破線表示された仮想スピーカアイコン92b、淡い色調で表示された仮想スピーカアイコン、透過表示された仮想スピーカアイコン、x(バツ印)が重畳表示された仮想スピーカアイコン、等がある。但し、ミュート状態であることを示す仮想スピーカアイコンは、これらの例に限定されず、実施の態様に応じて適宜最適な表示が採用されることが好ましい。その後、処理はステップS209へ進む。
【0057】
ステップS209では、漏れ音低減フィルタ14bの設定が変更される。選択されたスピーカ17からの音響出力がミュートされた場合、選択されたスピーカ17からの音響が他の座席に対して漏れることが無くなる。このため、制御部11は、漏れ音低減フィルタ14bの設定を変更することで、選択されたスピーカ17からの音響に対応する漏れ音低減処理を中止する(図12を参照)。但し、その他のスピーカ17からの漏れ音が存在する場合があるため、漏れ音低減処理全体としては停止されない。その後、処理はステップS210へ進む。なお、ミュート操作が受け付けられなかった場合には、スピーカ17のミュートは行われず、処理はステップS206からS209を飛ばしてステップS210へ進む。
【0058】
本実施形態によれば、音量を示すパラメータの値を確認することなく、視覚を介してスピーカ17からの音響出力状態を直感的に把握することが可能である。なお、いったんミュート操作が行われたことでミュート状態であることを示す表示となっている仮想スピーカアイコン92bを選択して2回タッチ等の所定の操作を行うことで、対応するスピーカ17をミュート状態から音響出力状態へ変更することも可能である。
【0059】
ステップS210では、決定ボタン93がタッチされたか否かが判定される。制御部11は、操作受付部19bによって決定ボタン画像93の表示領域がタッチされたか否かを検出することによって、ユーザによって設定内容の決定操作が行われたか否かを判定する。決定ボタン93がタッチされていないと判定された場合、処理はステップS203へ進む。即ち、本フローチャートに示された処理では、ユーザによって決定ボタン93がタッチされるまでステップS203からS210の処理が繰り返され、ユーザは好みの音響環境になるまで調整を繰り返すことが可能である。決定ボタン93がタッチされたと判定された場合、これまでに設定された音響設定の内容が確定され、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0060】
本実施形態に拠れば、複数の座席に対して異なる音源からの音響、または異なる音響設定が適用された音響を出力することが可能な音響システムにおいて、直感的なインターフェースを用いて音響設定を行うこと、および、ユーザが意識することなく、音響設定に応じて変化する漏れ音に対応した漏れ音低減の設定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施形態に係る音響システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る定位制御フィルタによって用いられるパラメータリストを示す図である。
【図3】実施形態に係る音響システム設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施形態においてナビゲーション画面が表示されたタッチパネルディスプレイの様子を示す図である。
【図5】実施形態において座席選択画面が表示されたタッチパネルディスプレイの様子を示す図である。
【図6】実施形態において表示部によって表示されるプリセットパターン選択画面を示す図である。
【図7】実施形態において、プリセットパターンが選択された際に、定位制御フィルタおよび漏れ音低減フィルタが関連して設定される様子を示す図である。
【図8】実施形態に係る音響システム設定処理の詳細設定の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係る詳細設定画面が表示されたタッチパネルディスプレイの様子を示す図である。
【図10】実施形態に係る詳細設定画面において、ユーザによってスピーカアイコンが移動される様子を示す図である。
【図11】実施形態に係る詳細設定画面において、ユーザによって聴取位置アイコンが移動される様子を示す図である。
【図12】実施形態において、スピーカアイコンまたは聴取位置アイコンが移動された際に、定位制御フィルタおよび漏れ音低減フィルタが関連して設定される様子を示す図である。
【図13】実施形態に係る詳細設定画面において、ユーザによってスピーカアイコンがミュート操作される様子を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 音響システム
11 制御部
14 DSP(Digital Signal Processor)
14a 定位制御フィルタ
14b 漏れ音低減フィルタ
17a、17b、17c、17d スピーカ
18 記憶部
19 タッチパネルディスプレイ
19a 表示部
19b 操作受付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響出力手段と、
前記複数の聴取位置のうち、一部の聴取位置に対して前記音響出力手段によって出力される音響に係る出力音響設定を行う設定手段と、を備え、
前記音響出力手段は、前記夫々の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響を更に出力し、
前記設定手段は、前記出力音響設定の内容に応じて、前記一部の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響に係る漏れ音低減音響設定を更に行う、
音響システム。
【請求項2】
前記設定手段によって設定された内容または設定される内容をユーザに対して視覚的に把握させるための画像を表示する表示手段と、
前記表示手段による表示内容を見たユーザによる操作を受け付ける受付手段と、
を更に備え、
前記設定手段は、前記受付手段によって受け付けられた操作に従って、前記出力音響設定および前記漏れ音低減音響設定を行う、
請求項1に記載の音響システム。
【請求項3】
前記設定手段によって行われる設定の内容として、予め定義された複数の音響設定内容を記憶する記憶手段を更に備え、
前記表示手段は、前記音響設定内容に従って前記音響出力手段による音響が出力された場合に、ユーザに聴覚上認識される仮想音響空間の大きさに対応する大きさを有する画像を表示し、
前記受付手段は、ユーザによる前記音響設定内容の選択を受け付け、
前記設定手段は、選択された前記音響設定内容に応じた前記出力音響設定および前記漏れ音低減音響設定を行う、
請求項2に記載の音響システム。
【請求項4】
前記受付手段は、前記表示手段によって表示された、前記聴取位置を示す画像、および該聴取位置に対する音像の定位位置を示すための画像を、前記表示手段上で互いに独立して移動させる操作を受け付け、
前記表示手段は、前記受付手段によって受け付けられた操作に従って、前記聴取位置を示す画像または前記定位位置を示す画像の表示位置を更新しながら表示し、
前記設定手段は、前記聴取位置と該聴取位置に対する音像の定位位置との位置関係が、前記操作に従って表示位置が更新された前記聴取位置を示す画像と前記定位位置を示す画像との位置関係に対応するように、前記出力音響設定および前記漏れ音低減音響設定を行う、
請求項2に記載の音響システム。
【請求項5】
前記受付手段は、前記表示手段によって表示されたスピーカを示す画像を前記表示手段上で選択して行われる所定の操作を受け付け、
前記設定手段は、受け付けられた操作に従って、選択されたスピーカをミュート状態に設定し、該設定の内容に応じた前記漏れ音低減音響設定を行い、
前記表示手段は、受け付けられた操作に従って前記スピーカのアイコンを変化させることによって、ユーザに対して該アイコンに対応するスピーカがミュート状態であることを視覚的に把握させる、
請求項2から4の何れか一に記載の音響システム。
【請求項6】
複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力する音響出力ステップと、
前記複数の聴取位置のうち、一部の聴取位置に対して前記音響出力ステップで出力される音響に係る出力音響設定を行う設定ステップと、を備え、
前記音響出力ステップでは、前記夫々の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響が更に出力され、
前記設定ステップでは、前記出力音響設定の内容に応じて、前記一部の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響に係る漏れ音低減音響設定が更に行われる、
音響制御方法。
【請求項7】
複数の聴取位置に対して夫々異なる音響を出力し、更に、前記夫々の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響を更に出力する、音響システムを設定する方法であって、
前記複数の聴取位置のうち、一部の聴取位置に対して前記音響システムによって出力される音響に係る出力音響設定を行い、更に、前記出力音響設定の内容に応じて、前記一部の聴取位置に対して出力された音響による漏れ音を低減させるための漏れ音低減音響に係る漏れ音低減音響設定を更に行う、設定ステップと、
前記設定ステップで設定された内容または設定される内容をユーザに対して視覚的に把握させるための画像を表示する表示ステップと、
前記表示ステップで表示された表示内容を見たユーザによる操作を受け付ける受付ステップと、
を備える、音響システムの設定方法。
【請求項8】
前記音響システムは、前記設定手段によって行われる設定の内容として、予め定義された複数の音響設定内容を記憶する記憶手段を更に備え、
前記表示ステップでは、前記音響設定内容に従って前記音響システムによる音響が出力された場合に、ユーザに聴覚上認識される仮想音響空間の大きさに対応する大きさを有する画像が表示され、
前記受付ステップでは、ユーザによる前記音響設定内容の選択が受け付けられ、
前記設定ステップでは、選択された前記音響設定内容に応じた前記出力音響設定および前記漏れ音低減音響設定が行われる、
請求項7に記載の音響システムの設定方法。
【請求項9】
前記受付ステップでは、前記表示ステップで表示された、前記聴取位置を示す画像、および該聴取位置に対する音像の定位位置を示すための画像を、互いに独立して移動させる操作が受け付けられ、
前記表示ステップでは、前記受付ステップで受け付けられた操作に従って、前記聴取位置を示す画像または前記定位位置を示す画像の表示位置が更新しながら表示され、
前記設定ステップでは、前記聴取位置と該聴取位置に対する音像の定位位置との位置関係が、前記操作に従って表示位置が更新された前記聴取位置を示す画像と前記定位位置を示す画像との位置関係に対応するように、前記出力音響設定および前記漏れ音低減音響設定が行われる、
請求項7に記載の音響システムの設定方法。
【請求項10】
前記受付ステップでは、前記表示ステップで表示されたスピーカを示す画像を選択して行われる所定の操作が受け付けられ、
前記設定ステップでは、受け付けられた操作に従って、選択されたスピーカをミュート状態に設定し、該設定の内容に応じた前記漏れ音低減音響設定が行われ、
前記表示ステップでは、受け付けられた操作に従って前記スピーカのアイコンを変化させることによって、ユーザに対して該アイコンに対応するスピーカがミュート状態である
ことを視覚的に把握させる、
請求項7に記載の音響システムの設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−147812(P2009−147812A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325081(P2007−325081)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】