説明

音響光学デバイス

【課題】 発生させることが可能なSAWの周波数帯域を拡大させることができるようにした、音響光学デバイスを提供する。
【解決手段】 光を伝搬させるための光伝搬部13a−1,13a−2と、光伝搬部13a−1,13a−2を伝搬する光との間で相互作用を生じさせる弾性表面波を伝搬しうる弾性表面波伝搬部13b−1〜13b−3と、弾性表面波伝搬部13b−1〜13b−3を伝搬する弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応すべく構成された電極15−1,15−2が複数設けられたトランスデューサ電極部15と、をそなえて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムにおいて用いて好適の、音響光学デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響光学デバイスは、超音波と光の相互作用、音響光学効果を利用したデバイスであって、例えばAOTF(Acousto-Optic Tunable Filter;音響光学波長可変フィルタ)がある。このAOTFは、WDM(Wavelength Division Multiplexing;波長多重)光通信システムにおけるOADM(Optical Add-Drop Multiplexer;光分岐挿入装置)のほか、光クロスコネクト,光スイッチまたは光変調等の用途への適用も期待されている。
【0003】
音響光学波長可変フィルタは、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)基板(以下、単にLN基板という場合がある)等の圧電材料に作製された導波路中の光と、その上に印加されたSAW(Surface Acoustic Wave;弾性表面波)との相互作用である、音響光学効果によるTE−TMモード変換を用いた波長フィルタである。
図17は、一般的なAOTFの構成例について示す模式的上視図であり、このAOTF100は、LN基板101に、2本の光導波路103a−1,103a−2とその上に薄膜が形成されたSAWの導波路である弾性表面波ガイド103bとからなる、相互作用領域としてのモード変換部103が形成されている。そして、モード変換部103の前後段にそれぞれ形成された偏光ビームスプリッタ102,104とともに、超音波信号[例えばRF(Radio Frequency)信号]を印加することで弾性表面波ガイド103bを伝搬させるSAWを生成しうる櫛型電極対(IDT:Inter Digit Transducer)105が形成されている。
【0004】
このような構成のAOTF100においては、入力された光について、入力側の偏光ビームスプリッタ102においてTE光とTM光とに分離するとともに、櫛形電極105からのSAWにより、モード変換部103をなす光導波路103a−1,103a−2においてそれぞれ別々に特定の波長の光のみTE/TMモード変換を行なって、出力側の偏光ビームスプリッタ104において合波する。これにより、デバイス特性の偏光無依存化を実現している。
【0005】
また、上述のAOTF100においては、TE/TMモード変換がなされる光波長と、SAWの周波数とは対応しているので、このSAWの周波数を変化させることでモード変換がなされる光波長をチューニングすることができる。具体的には、SAW励振のためにIDT105に印加するRF信号を変化させることで励振されるSAWを変化させ、これにより、モード変換がなされる光波長をチューニングすることができるようになっている。
【0006】
その他のAOTFの構成例としては、図18に示すような方向性結合型のAOTF100Aがある。このAOTF100Aにおいては、IDT105Aを光導波路103a−1,103a−2上流側における光伝搬方向左側に設けるとともに、2つの平行な弾性表面波ガイド103b−1,103b−2を設け、IDT105AにRF信号を印加することで生成されたSAWを、弾性表面波ガイド103b−1から光導波路103a−1,103a−2上に形成された弾性表面波ガイド103b−2に方向性結合するようにしている。換言すれば、光導波路103a−1,103a−2上に形成された弾性表面波ガイド103b−2の形成領域を、相互作用領域103Aとしている。尚、図18中、図17と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0007】
その他、本願発明に関連する公知技術としては、以下に示す特許文献1〜3に記載されたものがある。
特許文献1には、製作に余分なプロセス段階を追加せずにサイドローブを下げるために、電気信号に応答して音響波ビームを生じさせる変換器の中心を光軸の一方の側に片寄らせるとともに、音響波ビームの軸を光軸と斜角で交差させるようにした、音響光学チューナブルフィルタについて記載されている。
【0008】
特許文献2には、中心波長に対する非対称性の少ないフィルタ特性とするために、歪み付与部を設けた、光波長可変フィルタについて記載されている。
特許文献3には、高周波電気信号のパワーの増大を回避しつつ、互いに近接する多波長の光を同時選択可能とした音響光学型可変波長TE/TMモード変換器について記載されている。
【特許文献1】特開平10−10481号公報
【特許文献2】特開平11−326855号公報
【特許文献3】特開2001−209019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の図17に示すAOTF100のごとき音響光学デバイスにおいては、SAWとして生成しうる帯域に制限があるため、AOTFとして用いる場合には、モード変換がなされる光波長についてのチューニング可能な光波長範囲には制約が生じ、チューニング可能な光波長範囲を広げることが困難であるという課題がある。
すなわち、図17に示すAOTF100においては、SAWを発生させるためにIDT105に印加する周波数領域や、弾性表面波ガイド103bにおいて伝搬可能な周波数領域には、それぞれ適正な周波数範囲があるので、上述のAOTF100によりモード変換がなされる光波長についてのチューニング可能な光波長範囲についても、これらIDT105や弾性表面波ガイド103bでの適正周波数領域との関係において定まることとなる。
【0010】
ここで、SAWを発生させるためにIDT105に印加する一定振幅の電気信号の周波数(横軸)と、対応して励振されるSAWの強度(縦軸)と、の関係の一例を図19に示す。この図19に示すように、消費電力の上限として定められた値PMを下回る範囲において、定められた強度のSAWを生成するためには、図20に示すように、上述の図19に相当する帯域B1に限定されてしまう。
【0011】
すなわち、IDT105におけるSAWの励振効率は、IDT105に印加する電気信号の周波数に対する依存性が比較的大きい。そして、IDT105に供給する電気信号の周波数が、励振されるSAWの周波数の特性に反映されることが知られている。
換言すれば、IDT105に電気信号を供給する図示しない電源の消費電力と、モード変換のために必要なSAW強度を考慮すると、当該IDT105に供給しうるRF信号の周波数帯域としては、図19,図20の帯域B1に限定されてしまうことになり、SAWの周波数帯域についても、帯域B1に相当する帯域に限定されてしまうのである。
【0012】
また、上述の図18に示すAOTF100Aにおいては、IDT105Aにおいては通常0次モードのSAWが励振されるのであるが、IDT105Aで励振されるSAWは、例えば図21に示すように、その波長によって弾性表面波ガイド103b−2に結合する範囲に制約がある。このため、方向性結合型の音響光学デバイスにおいては、SAWの周波数範囲について、完全結合する周波数範囲に基づく制約もある。
【0013】
なお、図21において、点Cは、IDT105Aで励振された0次モードのSAWが弾性表面波ガイド103b−2の下流側端部で結合する波長を有している場合を示している。即ち、IDT105Aで励振されたSAWがもとのSAW103b−1の軸上に戻るには(完全結合するには)弾性表面波ガイド103b−1,103b−2の長さの2倍の長さが必要であることを示している。
【0014】
また、点Dは、IDT105Aで励振された0次モードのSAWが弾性表面波ガイド103b−2の中間部で結合する波長を有している場合を示している。即ち、完全結合するには弾性表面波ガイド103b−1,103b−2と同等の長さが必要であることを示している。従って、この図21に示すように、IDT105Aで励振された0次モードのSAWとしては、点Cに相当するSAW波長から点Dに相当するSAW波長(又はSAW周波数)までしか使用することができない。このSAW波長の制約は、そのままモード変換可能な光波長の制約につながる。
【0015】
したがって、モード変換可能な光波長の範囲を広げるためには、発生させるSAWの波長(周波数)の制約について軽減させることが望ましい。
なお、上述の特許文献1〜3に記載された技術においては、上述のごときSAW波長の帯域を広げるための技術については何ら記載されていない。尚、特許文献3に記載された技術においては、近接した周波数同士を別々の櫛形電極に印加するようにしているが、前述の図19に示すようなRF周波数の帯域B1即ちSAW周波数の帯域を拡大させることはできない。
【0016】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、発生させることが可能なSAWの周波数帯域を拡大させることができるようにした、音響光学デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このため、本発明の音響光学デバイスは、光を伝搬させるための光伝搬部と、該光伝搬部を伝搬する光との間で相互作用を生じさせる弾性表面波を伝搬しうる弾性表面波伝搬部と、該弾性表面波伝搬部を伝搬する上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応すべく構成された電極が複数設けられたトランスデューサ電極部と、をそなえて構成されたことを特徴としている。
【0018】
また、好ましくは、前記電極を複数の櫛歯電極対で構成し、該各櫛歯電極対を、該弾性表面波伝搬部を伝搬する上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応して、互いに異なる櫛歯間隔を有するように構成することとしてもよい。
さらに、該弾性表面波伝搬部は弾性表面波ガイドを備え、該弾性表面波ガイドは上記生成される弾性表面波が該光伝搬部に対して方向性結合するように構成し、かつ、前記複数の電極は、該弾性表面波ガイドを伝搬する上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応して、それぞれ異なる種類のモード次数の弾性表面波を生成しうるように構成することもできる。
【0019】
この場合においては、前記複数の電極は、少なくとも生成される弾性表面波が互いに逆相となるように、櫛歯電極パターンが形成された2つの櫛歯電極対を含むことができる。
または、電気信号源から前記複数の電極のうち第1電極に印加される電気信号と第2電極に印加される電気信号とを互いに逆相とする位相シフタをそなえることもできる。
【発明の効果】
【0020】
このように、本発明によれば、弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応すべく構成された複数の電極をそなえているので、弾性表面波として生成可能な周波数帯域についても広げることができる利点がある。
特に、本発明によれば、電極を複数の櫛歯電極対で構成し、弾性表面波伝搬部を伝搬する弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応して、互いに異なる櫛歯間隔を有する複数の櫛歯電極対をそなえているので、弾性表面波の励振のために供給可能なRF信号の周波数帯域を広げることで、弾性表面波として生成可能な周波数帯域についても広げることができる利点がある。
【0021】
また、本発明によれば、弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応すべく構成された複数の櫛歯電極対として、弾性表面波ガイドを伝搬する弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応して、互いに異なる種類のモード次数の弾性表面波を生成しうるように構成されているので、従来広帯域化させることができなかった(高周波)範囲まで、励振可能なSAWの周波数帯域を広げることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
〔A1〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかる音響光学デバイスを示す図である。この図1に示す音響光学デバイス10は、LN基板等の複屈折性を有しかつ音響光学効果を有する基板11に、偏光ビームスプリッタ12,14および2本の平行光導波路13a−1,13a−2が形成されるとともに、弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3およびトランスデューサ電極部15が形成され、例えば音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)として適用することができるようになっている。
【0023】
なお、16はトランスデューサ電極部15に印加するための電気信号(RF周波数を有するRF信号)を発生しうる電気信号源としてのRF電源、17はRF電源16からの電気信号のトランスデューサ電極部15への印加を制御しうるRF信号制御部、18はRF電源16からの電気信号をトランスデューサ電極部15に供給制御するための切り替えスイッチである。
【0024】
ここで、偏光ビームスプリッタ12は、音響光学デバイス10に設けられた2つの入力ポート10−1,10−2のうちの少なくとも一つの入力ポート10−1からの光を2つの偏波(例えばTE光およびTM光)に分離するものである。又、光導波路13a−1,13a−2は、偏光ビームスプリッタ12で偏光分離された光をそれぞれ伝搬して、偏光ビームスプリッタ14へ出力するようになっている。更に、偏光ビームスプリッタ14は、光導波路13a−1,13a−2からの光を入力され、これらの光を2つの偏波に分離して(偏波ごとに規定される出力方向へ分離して)出力するものである。従って、上述の光導波路12,14,13a−1,13a−2により、光を伝搬させるための光導波路を構成する。
【0025】
また、弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3はそれぞれ、薄膜またはチタン等の金属を拡散させることにより形成された領域であって、弾性表面波ガイド13b−1,13b−3は、基板11における、平行光導波路13a−1,13a−2に対して光伝搬方向左右の所定距離を置いた領域に形成され、弾性表面波ガイド13b−2は、2本の平行光導波路13a−1,13a−2上の領域に形成されている。これらの弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3は、方向性結合型の弾性表面波ガイドを構成する。
【0026】
さらに、トランスデューサ電極部15は、弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3とともに、これらのガイド13b−1〜13b−3によって挟まれている領域13c−1,13c−2を伝搬しうるSAWを励振(発生)させるためのものであり、弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3および領域13c−1,13c−2を伝搬するSAWとして生成すべき周波数帯域に対応した櫛歯パターンを有する2組の櫛歯電極対15−1,15−2を備えて構成されている。
【0027】
すなわち、櫛歯電極対15−1で励振されるSAWは、弾性表面波ガイド13b−1から領域13c−1を介して平行光導波路13a−1,13a−2上の弾性表面波ガイド13b−2に方向性結合するようになっており、同様に、櫛歯電極対15−2で励振されるSAWは、弾性表面波ガイド13b−3から領域13c−2を介して弾性表面波ガイド13b−2に方向性結合するようになっている。
【0028】
さらに、各櫛歯電極対15−1,15−2は、互いに対向してかみ合わされるように配置された一対の櫛歯電極をそなえてなるものであって、例えば図2(A),図2(B)に示すように、生成すべきSAWの周波数帯域に応じて異なる櫛歯間隔を有している。即ち、図2(A)に示すように、一方の櫛歯電極対15−1の各櫛歯間隔をL1とし、図2(B)に示すように、他方の櫛歯電極対15−2の各櫛歯間隔を、L1よりも大きいL2として構成されている。
【0029】
このような櫛歯間隔の異なる櫛歯電極対15−1,15−2においては、SAW発生のために使用しうるRF信号の領域(図19,図20のB1参照)における中心周波数が、図3に示すように異ならしめることができる。即ち、比較的狭い櫛歯間隔L1の櫛歯電極対15−1に印加するRF信号の周波数と、所定強度のSAWを生成させるための消費電力との関係は、分布E1のようになり、比較的広い櫛歯間隔L2の櫛歯電極対15−2に印加するRF信号の周波数と、所定強度のSAWを生成させるための消費電力との関係は、分布E1の場合よりも低周波の中心周波数を持つ分布E2のようになる。
【0030】
また、上述のSAWを生成させるためのRF周波数帯域と消費電力との関係において、RF電源16から供給可能な最大電力PMを考慮すると、櫛歯電極対15−1に印加可能な周波数帯域は図3に示すB2となり、櫛歯電極対15−2に印加可能な周波数帯域は図3に示すB3となる。従って、トランスデューサ電極部15に供給可能なRF信号の周波数帯域としては、上述の帯域B2とB3とをあわせて、帯域B4とすることができる。
【0031】
前述したように、トランスデューサ電極部15に供給可能なRF信号の周波数帯域を広げることができるので、励振されるSAWの周波数帯域についても大幅に広げることができる。従って、この音響光学デバイス10をAOTFとして用いる場合には、モード変換可能な光波長範囲(チューナブル波長の範囲)を大幅に広げることができる。
換言すれば、トランスデューサ電極部15をなす各櫛歯電極対15−1,15−2は、SAWとして生成すべき周波数帯域が高周波帯域となるに従って櫛歯間隔が狭くなるように構成しているので、図17に示す従来のIDT105に印加可能な帯域B1に相当するB2よりも広帯域な帯域B4においてRF信号を印加させることができるので、励振されるSAWの周波数帯域についても大幅に広げることができるのである。
【0032】
したがって、櫛歯電極対15−1は、第1周波数帯域としての帯域B5の電気信号を印加されて、第2周波数帯域の弾性表面波を生成しうる第1櫛歯電極対として構成され、櫛歯電極対15−2は、第1周波数帯域B5とは異なる第3周波数帯域B3の電気信号を印加されて、第2周波数帯域とは異なる第4周波数帯域の弾性表面波を生成しうる第2櫛歯電極対を構成する。
【0033】
ところで、上述のRF信号制御部17は、RF電源16で発生される電気信号を、SAWとして生成すべき周波数帯域に応じて、櫛歯電極対15−1又は櫛歯電極対15−2のいずれか一方に供給すべく制御する制御部として機能するものである。具体的には、RF信号制御部17は、トランスデューサ電極部15に供給すべき電気信号の周波数を設定すべくRF電源16を制御する周波数設定制御部17aと、周波数設定制御部17aで設定される上記周波数の電気信号を、櫛歯電極対15−1,15−2のうちのいずれか一方に対して出力すべく切り替え制御する切り替え制御部17bと、をそなえている。
【0034】
切り替えスイッチ18は、切り替え制御部17bからの上記切り替え信号に基づいて、RF電源16からの電気信号を、櫛歯電極対15−1,15−2のうちのいずれか一方に選択的に出力するものである。即ち、RF信号制御部17の切り替え制御部17bからの切り替え制御信号に基づいて、RF電源16からのRF信号について、図3に示す周波数帯域B3のRF信号については低周波用の櫛歯電極対15−2に供給する一方、周波数帯域B4における周波数帯域B3よりも高周波帯域である帯域B5のRF信号については、高周波用の櫛歯電極対15−1に供給するようになっている。
【0035】
なお、上述の図3においては、櫛歯電極対15−1で供給可能なRF信号の周波数帯域B2と、櫛歯電極対15−2で供給可能なRF信号の周波数帯域B3とが一部重なっている。第1実施形態においては、この重なっている領域のRF信号については、櫛歯電極対15−2を優先的に使用しているが、もちろん櫛歯電極対15−1を使用するようにしてもよい。又、2つの櫛歯電極対15−1,15−2に供給可能なRF信号の周波数帯域として重なる領域をなくしてもよいし、大きくしても良い。
【0036】
上述の構成により、本発明の第1実施形態にかかる音響光学デバイス10においては、例えばTE/TMモード変換を行なうAOTFとして動作させることができる。
具体的には、入力ポート10−1から光が入力されると、偏光ビームスプリッタ12において入力光をTE光およびTM光に偏光分離する。そして、偏光分離されたTM光は平行光導波路13a−1を伝搬するとともに、TE光については平行光導波路13a−2を伝搬する。
【0037】
そして、この平行光導波路13a−1,13a−2を伝搬する光のうちの所定波長の光は、トランスデューサ電極部15をなす櫛歯電極対15−1,15−2のいずれかに印加されるRF信号によって励振されたSAWとの相互作用によって、TE/TMモード変換がなされる。即ち、SAW発生のトランスデューサ電極部15に供給されるRF信号の周波数により、AOTFにおいてモード変換される光波長を設定する。
【0038】
これにより、偏光ビームスプリッタ14で偏光合成された光のうちで、SAWとの相互作用でモード変換がなされた波長の光は、音響光学デバイス10における出力ポート10−3,10−4のうちの一方の出力ポート10−4から出力され、モード変換がなされていない波長の光については、他方の出力ポート10−3から出力される。
このとき、櫛歯間隔の互いに異なる2つの櫛歯電極対15−1,15−2をそなえているので、RF信号制御部17の制御によって、RF電源16からのRF信号の周波数帯域に応じて、RF信号を印加する櫛歯電極対15−1,15−2を使い分けて、SAWを励振するために供給しうるRF信号の周波数帯域を広げることができ、結果的に励振可能なSAWの周波数帯域についても広げることができる。
【0039】
すなわち、SAWの周波数帯域について広げることができるので、AOTFとして使用する場合のモード変換を行なうための光波長のチューニング可能な帯域を広げることが可能となる。
このように、本発明の第1実施形態にかかる音響光学デバイス10によれば、弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応すべく構成された櫛歯電極対として、互いに異なる櫛歯間隔を有する櫛歯電極対15−1,15−2をそなえているので、SAW励振のために供給可能なRF信号の周波数帯域を広げることができるので、SAWとして生成可能な周波数帯域についても広げることができる利点がある。
【0040】
〔A2〕第1実施形態の第1変形例の説明
上述の図1に示す第1実施形態においては、トランスデューサ電極部15をなす櫛歯電極対15−1,15−2に供給するRF信号を周波数帯域に応じて切り分ける際に、切り替えスイッチ18と、RF電源16および切り替えスイッチ18を制御する機能を有するRF信号制御部17と、をそなえて構成しているが、例えば図4に示すように、バンドパスフィルタ18AとRF信号制御部17Aとをそなえて構成することとしてもよい。尚、図4中において、図1と同一の符号は、同様の部分を示している。
【0041】
バンドパスフィルタ・スプリッタ18Aは、RF電源16からの電気信号を、周波数に応じて櫛歯電極対15−1,15−2のうちのいずれか一方に振り分けて出力する振り分け出力部として機能するものである。即ち、RF電源16から入力される電気信号の周波数帯域を弁別して、前述の図3に示す周波数帯域B5の電気信号については、櫛歯間隔の比較的狭い櫛歯電極対15−1に供給するとともに、周波数帯域B3の電気信号については、櫛歯間隔の比較的広い櫛歯電極対15−2に供給するようになっている。
【0042】
また、RF信号制御部17Aとしては、トランスデューサ電極部15に供給すべき電気信号の周波数を設定すべくRF電源16を制御する周波数設定制御部として構成される。即ち、バンドパスフィルタ・スプリッタ18Aを制御するための機能についてはそなえる必要はない。
したがって、第1実施形態の第1変形例においても、RF信号制御部17Aおよびバンドパスフィルタ・スプリッタ18Aにより、トランスデューサ電極部15を構成する櫛歯電極対15−1,15−2に印加する電気信号を、その周波数に応じて切り分けすることができるので、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
【0043】
〔A3〕第1実施形態の第2変形例の説明
上述の図1,図4に示す場合においては、単一のRF電源16で生成されるRF信号を、切り替えスイッチ18又はバンドパスフィルタ・スプリッタ18Aにより2つの櫛歯電極対15−1,15−2のいずれか一方に供給するようにしているが、本発明によれば、例えば図5に示すように、櫛歯電極対15−1および櫛歯電極対15−2用に別個のRF電源16a,16bをそなえるようにしてもよい。尚、図5中において、図1と同一の符号は、同様の部分を示している。
【0044】
第1電気信号源としてのRF電源16aは、前述の図3に示す周波数帯域B5を有する比較的高周波の電気信号を生成するためのもので、第2電気信号源としてのRF電源16bは、前述の図3に示す周波数帯域B3を有する比較的低周波の電気信号を生成するためのものである。そして、RF信号制御部17Bは、上記の櫛歯電極対15−1,15−2のいずれか一方において電気信号を生成すべくRF電源16a,16bを制御する電気信号源切り替え制御部を構成する。
【0045】
したがって、第1実施形態の第2変形例においても、RF電源16a,16bおよびRF信号制御部17Bにより、トランスデューサ電極部15を構成する櫛歯電極対15−1,15−2に印加する電気信号を、その周波数に応じて切り分けすることができるので、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
〔A4〕第1実施形態の第3変形例の説明
上述の図1,図4,図5に示す場合においては、トランスデューサ電極部15としては、2組の独立した櫛歯電極対15−1,15−2により構成されているが、例えば図6に示す音響光学デバイス10Aのように、2つの櫛歯電極対としての機能を共用化された電極構成のトランスデューサ電極部15Aとすることもできる。尚、図6中において、図1と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0046】
この図6に示すトランスデューサ電極部15Aは、平行光導波路13a−1,13a−2の光伝搬方向の左右両側を連絡するように一体に形成された根電極15aと、光導波路13a−1,13a−2間に挟まれた箇所に形成された根電極15bと、をそなえるとともに、歯電極15c〜15fをそなえて構成されている。
すなわち、歯電極15cは、根電極15aと一体に形成されて、比較的幅が狭く[図2(A)に示すL1参照]構成されている。又、歯電極15dは、歯電極15cと噛み合うように根電極15bと一体に形成され、歯電極15cと同様の電極間隔L1で構成されている。従って、上述の根電極15a,15bおよび歯電極15c,15dにより、光導波路13a−1,13a−2の上流側における光伝搬方向左側に形成された、比較的幅が狭い櫛歯間隔を持つ第1櫛歯電極対15A−1を構成する。
【0047】
また、歯電極15eは、根電極15aと一体に形成されて、比較的幅が広く[図2(B)に示すL2参照]構成されている。又、歯電極15fは、歯電極15eと噛み合うように根電極15bと一体に形成され、歯電極15eと同様の電極間隔L2で構成されている。従って、上述の根電極15a,15bおよび歯電極15e,15fにより、光導波路13a−1,13a−2の上流側における光伝搬方向右側に形成された、比較的幅が広い櫛歯間隔を持つ第2櫛歯電極対15A−2を構成する。
【0048】
したがって、上述の第1櫛歯電極対15A−1および第2櫛歯電極対15A−2を、それぞれ根電極15a,15bによって共用化された構成とし、根電極15aに供給されるRF信号を、第1櫛歯電極対15A−1および第2櫛歯電極対15A−2用のRF信号として共用することができるようになっている。即ち、RF電源16で生成するRF信号の周波数を設定制御する周波数設定制御部としてのRF信号制御部17Aを、第1,第2櫛歯電極対15A−1,15A−2用に共用することができる。
【0049】
また、この櫛歯電極対15A−1で励振されるSAWについても、弾性表面波ガイド13b−1から領域13c−1を介して弾性表面波ガイド13b−2に方向性結合させることができ、同様に、櫛歯電極対15A−2で励振されるSAWについても、弾性表面波ガイド13b−3から領域13c−2を介して弾性表面波ガイド13b−2に方向性結合させることができる。
【0050】
さらに、この音響光学デバイス10Aにおいては、RF電源16から根電極15aに供給するRF信号によって、RF信号に対するSAW励振効率を例えば図7に示すような特性となるように、歯電極15c〜15fの電極間隔の関係(L1,L2)を調整するものとする。
すなわち、歯電極15c〜15fの電極間隔を調整することにより、上述の第1櫛歯電極対15A−1におけるSAW励振効率は、図7に示す点H1においてSAW励振効率がもっとも効率的となるようにする一方、この点H1における第2櫛歯電極対15A−2におけるSAW励振効率はほぼ「0」、即ちほぼ励振されないようにする。同様に、歯電極15c〜15fの電極間隔を調整することにより、上述の第2櫛歯電極対15A−2におけるSAW励振効率は、図7に示す点H2においてSAW励振効率がもっとも効率的となるようにする一方、この点H2における第1櫛歯電極対15A−1におけるSAW励振効率はほぼ「0」、即ちほぼ励振されないようにする。
【0051】
換言すれば、櫛歯電極対15A−1,15A−2に対して、根電極15aを通じ同じ周波数のRF信号を印加した場合においても、それぞれの歯電極15c〜15fの電極間隔に応じて励振効率が高くなるRF周波数帯域を異ならしめ、互いの櫛歯電極対15A−1,15A−2同士の影響を無視できるほど小さくすることができるので、実質的に励振効率が高くなる櫛歯電極対15A−1,15A−2のみにRF信号を印加している状態にすることができる。
【0052】
この場合においては、SAWを励振させるためにRF電源16で供給可能な電力を考慮すると、従来技術の場合においてはRF信号の周波数帯域はB1(図19参照)であったのに対して、図7に示す帯域B6に示すように、RF信号として供給可能な帯域を広げることができる。即ち、励振可能なSAWの周波数帯域についても、RF信号の帯域の拡大に対応して拡大させることができる。
【0053】
したがって、第1実施形態の第3変形例においては、第1,第2櫛歯電極対15A−1,15A−2が共用化された構成を有しても、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
また、RF電源16から根電極15aに供給するRF信号によって、RF信号に対するSAW励振効率を例えば図7に示すような特性となるように、歯電極15c〜15fの電極間隔の関係(L1,L2)を調整しているので、RF電源16からのRF信号を切り替えスイッチ18やバンドパスフィルタ・スプリッタ18A等により切り分ける必要もなくなり、装置構成を簡素化させることもできる。
【0054】
〔A5〕第1実施形態の第4変形例の説明
上述の第1実施形態および各変形例においては、トランスデューサ電極部15(15A)は、光導波路13a−1,13a−2の上流側に設けられた櫛歯電極対15−1,15−2(15A−1,15A−2)により構成されているが、例えば図8に示す音響光学デバイス10Bのように、平行光導波路13a−1,13a−2の光伝搬方向上流側および下流側の左右に互いに櫛歯間隔の異なる4つの櫛歯電極対15−1〜15−4をそなえることとしてもよい。
【0055】
なお、図8中においては図示を省略しているが、第1実施形態の場合と同様に、RF電源16,RF信号制御部17および切り替えスイッチ18をそなえることができ、更には変形例として図4〜図6に示すような構成を適用することとしてもよい。又、図8中において、図1と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
また、櫛歯電極対15−1〜15−4としては、生成すべきSAWの周波数帯域に応じて、例えば櫛歯電極対15−3,15−1,15−2,15−4の順に櫛歯間隔を幅広とするように構成されている。即ち、図示しないRF信号制御部17は、印加すべきRF信号が、上述の櫛歯電極対15−3で最も高周波とすることができ、順次、櫛歯電極対15−1,15−2,15−4の順に低周波帯域となるように制御することができる。
【0056】
換言すれば、RF電源16から周波数帯域ごとに定められた櫛歯電極対15−1〜15−4にRF信号を供給することができる。この場合においては、櫛歯電極対15−3,15−1,15−2,15−4で励振されるSAWの順でSAW周波数を低周波としていくことができる。
また、櫛歯電極対15−1〜15−4で励振されるSAWは、第1実施形態の場合と同様に、いずれも弾性表面波ガイド13b−2に方向性結合するようになっている。即ち、櫛歯電極対15−1,15−2で励振されるSAWはそれぞれ、弾性表面波ガイド13b−1,13b−3における光導波路13a−1,13a−2の上流側箇所から、領域13c−1,13c−2を介して、弾性表面波ガイド13b−2に方向性結合するようになっている。同様に、櫛歯電極対15−3,15−4で励振されるSAWはそれぞれ、弾性表面波ガイド13b−1,13b−3の光導波路13a−1,13a−2の下流側箇所から、領域13c−1,13c−2を介して、弾性表面波ガイド13b−2に方向性結合するようになっている。
【0057】
したがって、第1実施形態の第4変形例にかかる音響光学デバイス10Bにおいても、前述の第1実施形態の場合と同様の利点があるほか、平行光導波路13a−1,13a−2の光伝搬方向上流側および下流側の左右に互いに櫛歯間隔の異なる4つの櫛歯電極対15−1〜15−4をそなえているので、SAWとして生成可能な周波数帯域についても更に広帯域に広げることができる利点がある。
【0058】
〔A6〕第1実施形態の第5変形例の説明
上述の第1実施形態および各変形例においては、トランスデューサ電極部15(15A,15B)を、励振されるSAWを弾性表面波ガイド13b−2に方向性結合する櫛歯電極対により構成しているが、例えば、図9に示す音響光学デバイス10Cのように、トランスデューサ電極部15Cを、平行光導波路13a−1,13a−2上の上流側および下流側に、互いに櫛歯間隔の異なる櫛歯電極対15C−1,15C−2により構成することとしてもよい。
【0059】
この図9に示す音響光学デバイス10Cにおいては、例えば光導波路13a−1,13a−2上における上流側に設けられた櫛歯電極対15C−1の櫛歯間隔を比較的幅狭のL1[図2(A)参照]とし、下流側に設けられた櫛歯電極対15C−2の櫛歯間隔を比較的幅広のL2[図2(B)参照]とすることにより、RF信号を供給する櫛歯電極対15C−1,15C−2をその周波数帯域に応じて分けることができるようになっている。
【0060】
なお、図9中においては図示を省略しているが、第1実施形態の場合と同様に、RF信号を供給するための構成として、RF電源16,RF信号制御部17および切り替えスイッチ18をそなえることができ、更には変形例として図4,図5に示すような構成を適用することとしてもよい。又、図9中において、図1と同一の符号は、同様の部分を示している。
【0061】
このように構成された音響光学デバイス10Cでは、トランスデューサ電極部15Cをなす櫛歯電極対15C−1,15C−2において、図示しないRF電源から周波数帯域ごとに定められたRF信号の供給を受ける。これにより、櫛歯電極対15C−1では比較的高周波のSAWが励振されるとともに、櫛歯電極対15C−2では比較的低周波のSAWが励振される。
【0062】
このとき、各櫛歯電極対15C−1,15C−2で励振されるSAWについては、弾性表面波ガイド13b−2上を閉じ込められて伝搬するので、平行光導波路13a−1,13a−2を伝搬する光との相互作用によって、SAWの周波数に応じた光波長の光がモード変換される。従って、上述の弾性表面波ガイド13b−2と平行光導波路13a−1,13a−2により、相互作用領域13を構成する。
【0063】
したがって、第1実施形態の第5変形例にかかる音響光学デバイス10Cにおいても、弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応すべく構成された櫛歯電極対として、互いに異なる櫛歯間隔を有する櫛歯電極対15C−1,15C−2をそなえているので、前述の第1実施形態の場合と同様、SAW励振のために供給可能なRF信号の周波数帯域を広げることができるので、SAWとして生成可能な周波数帯域についても広げることができる利点がある。
【0064】
なお、上述の図9においては、トランスデューサ電極部15Cを、平行光導波路13a−1,13a−2上の上流側および下流側に、励振可能な周波数の異なる0次モードのSAWを生成しうる櫛歯電極対15C−1,15C−2により構成しているが、本発明によればこれに限定されず、各光導波路13a−1,13a−2上における上流側に2つの櫛歯電極対をそなえることとし、各櫛歯電極対の櫛歯間隔を異なるように構成することとしてもよい。同様に、各光導波路13a−1,13a−2上における下流側に2つの櫛歯電極対をそなえることとし、各櫛歯電極対の櫛歯間隔を異なるように構成することとしてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において櫛歯電極対を配置することも可能である。
【0065】
〔A7〕第1実施形態の第6変形例の説明
上述の第1実施形態の第5変形例においては、トランスデューサ電極部15Cを、平行光導波路13a−1,13a−2上の上流側および下流側に、励振可能な周波数の異なる0次モードのSAWを生成しうる櫛歯電極対15C−1,15C−2により構成しているが、変形例として、例えば図10に示す音響光学デバイス10Dのように、上流側の櫛歯電極対15C−1とともに高次モードのSAWを生成しうる櫛歯電極対15D−2を下流側に設けたトランスデューサ電極部15Dをそなえることとしてもよい。
【0066】
すなわち、この図10に示す音響光学デバイス10Dにおいては、トランスデューサ電極部15Dとして、前述の第1実施形態の第5変形例(図9参照)の場合と同様の0次モードの強度分布のSAWを生成しうる櫛歯電極対15C−1をそなえるとともに、櫛歯電極対15C−2の位置に、高次モードMHのSAWを励振しうる櫛歯電極対15D−2が設けられている。
【0067】
また、この図10に示すトランスデューサ電極部15Dにおいても、櫛歯電極対15C−1の櫛歯間隔については、比較的幅狭のL1[図2(A)参照]とし、下流側に設けられた櫛歯電極対15D−2の櫛歯間隔については、比較的幅広のL2[図2(B)参照]とすることにより、RF信号を供給する櫛歯電極対15C−1,15D−2をその周波数帯域に応じて分けることができるようになっている。換言すれば、櫛歯電極対15D−2のように高次モードMHの強度分布を有するものにおいても、櫛歯電極対15C−1で励振されるSAWよりも低周波のSAWを励振させることで、SAWの周波数帯域を広帯域化させることができるのである。
【0068】
なお、櫛歯電極対15D−2は、例えば図11に示すように、平行光導波路13a−1,13a−2の光伝搬方向の左右両側を連絡するように一体に形成された根電極21と、光導波路13a−1,13a−2間に挟まれた箇所に形成された根電極22と、をそなえるとともに、歯電極23〜26をそなえて構成されている。
すなわち、歯電極23は、光導波路13a−1上を直交するように根電極21と一体に形成されて、比較的幅が広く[図2(B)に示すL2参照]構成されている。又、歯電極24は、歯電極23と噛み合うように根電極22と一体に形成され、歯電極23と同様の電極間隔L1で構成されている。又、歯電極25は、光導波路13a−2上を直交するように根電極21と一体に形成されて、比較的幅が広く[図2(B)に示すL2参照]構成されている。又、歯電極26は、歯電極25と噛み合うように根電極22と一体に形成され、歯電極25と同様の電極間隔L2で構成されている。
【0069】
さらに、上述の光導波路13a−1上を直交する歯電極23,24と、光導波路13a−2上を直交する歯電極25,26の形成パターンが、互いに逆パターンで形成されており、これにより、根電極21,22および歯電極23,24で生成される弾性表面波と、根電極21,22および歯電極25,26で生成される弾性表面波と、が互いに逆相とすることができるようになっている。従って、この櫛歯電極対15D−2において励振されるSAWとしては、図10又は図11に示すような高次モードMHの強度分布とすることができる。
【0070】
また、図10中においては図示を省略しているが、第1実施形態の場合と同様に、RF信号を供給するための構成として、RF電源16,RF信号制御部17および切り替えスイッチ18をそなえることができ、更には変形例として図4,図5に示すような構成を適用することとしてもよい。又、図10中において、図1と同一の符号は、同様の部分を示している。
【0071】
このように構成された音響光学デバイス10Dでは、トランスデューサ電極部15Dをなす櫛歯電極対15C−1,15D−2において、図示しないRF電源から周波数帯域ごとに定められたRF信号の供給を受ける。これにより、櫛歯電極対15C−1では比較的低周波で0次モードの強度分布を有するSAWが励振されるとともに、櫛歯電極対15D−2では比較的高周波で高次モードの強度分布を有するSAWが励振される。
【0072】
したがって、第1実施形態の第6変形例にかかる音響光学デバイス10Dにおいても、弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応すべく構成された櫛歯電極対として、互いに異なる櫛歯間隔を有する櫛歯電極対15C−1,15D−2をそなえているので、前述の第1実施形態の場合と同様、SAW励振のために供給可能なRF信号の周波数帯域を広げることができるので、SAWとして生成可能な周波数帯域についても広げることができる利点がある。
【0073】
なお、上述の図10に示す音響光学デバイス10Dにおいては、櫛歯電極対15D−2において高次モードの強度分布のSAWを生成するために、光導波路13a−1上を直交する歯電極23,24と、光導波路13a−2上を直交する歯電極25,26の形成パターンを、互いに逆パターンで形成しているが、その他の手法で高次モードの強度分布のSAWを生成することとしてもよい。
【0074】
たとえば、光導波路13a−1上の櫛歯電極対と光導波路13a−2上の櫛歯電極対とを別々に分離させながら櫛歯パターンを同相パターンとして形成するとともに、各櫛歯電極対に印加するRF信号を位相シフタ等を用いることにより互いに逆相となるように構成することとしてもよい。
〔B1〕第2実施形態の説明
図12は本発明の第2実施形態にかかる音響光学デバイスを示す図である。この図12に示す音響光学デバイス30は、前述の第1実施形態における音響光学デバイス10(図1参照)に比して異なるトランスデューサ電極部35をそなえている。尚、トランスデューサ電極部35以外の構成については、前述の第1実施形態の場合と基本的に同様であり、図12中、図1と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0075】
また、図12中においては図示を省略しているが、第1実施形態の場合と同様に、RF信号を供給するための構成として、RF電源16,RF信号制御部17および切り替えスイッチ18をそなえることができ、更には変形例として図4,図5に示すような構成を適用することとしてもよい。又、図12中において、図1と同一の符号は、同様の部分を示している。
【0076】
ここで、図12に示す音響光学デバイス30において、トランスデューサ電極部35は、弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3および領域13c−1,13c−2を伝搬するSAWとして生成すべき周波数帯域に対応した櫛歯パターンを有する櫛歯電極対35−1,35−2が設けられている。具体的には、各櫛歯電極対35−1,35−2は、生成されるSAWが平行光導波路13a−1,13a−2に対して方向性結合すべく構成されるとともに、SAWとして生成すべき周波数帯域に対応して、互いに異なる種類のモード次数の弾性表面波を生成しうる櫛歯パターンとなるように構成されている。
【0077】
すなわち、櫛歯電極対35−1は、励振するSAWの周波数として比較的低周波帯域が割り当てられて、0次モードの強度分布を有するSAWを励振しうるものである。又、櫛歯電極対35−2は、励振するSAWの周波数として比較的高周波帯域が割り当てられて、高次モードの強度分布を有するSAWを励振しうるものである。
この櫛歯電極対35−2としては、前述の図11に示す櫛歯電極対15D−2と同様に構成することができる。即ち、例えば図13に示すように、根電極31a,31bおよび歯電極32a〜32dをそなえて構成されて、歯電極32a,32bの噛み合わせパターンと、歯電極32c,32dの噛み合わせパターンとが、互いに逆相パターンとなるように形成される。これにより、この櫛歯電極対35−2において励振されるSAWとしても、図12に示すような高次モードMHの強度分布とすることができる。
【0078】
図14は、図12のごとき方向性結合型の弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3を有してなる音響光学デバイスにおいて、SAW波長に応じた方向性結合長分布を示す図である。この図13に示すように、弾性表面波ガイド13b−2に結合するSAW波長の範囲には制約があるが、伝搬するSAWのモード次数によっても弾性表面波ガイド13b−2に結合する波長帯域(又は周波数帯域)が異なっている。
【0079】
すなわち、櫛歯電極対35−2で励振された高次モードのSAWに関し、SAW波長が図14の点P1に相当する波長の場合には、完全結合長は弾性表面波ガイド13b−1の長さの2倍であり、弾性表面波ガイド13b−2には下流側端部で結合するようになっている。又、SAW波長が図14の点P2に相当する波長の場合には、完全結合長は弾性表面波ガイド13b−1の長さに相当し、弾性表面波ガイド13b−2には長手方向中間箇所で結合するようになっている。
【0080】
また、櫛歯電極対35−1で励振された0次モードのSAWに関し、SAW波長が図14の点P3に相当する波長の場合には、完全結合長は弾性表面波ガイド13b−1の長さの2倍であり、弾性表面波ガイド13b−2には下流側端部で結合するようになっている。又、SAW波長が図14の点P4に相当する波長の場合には、完全結合長は弾性表面波ガイド13b−1の長さに相当し、弾性表面波ガイド13b−2には長手方向中間箇所で結合するようになっている。
【0081】
櫛歯電極対35−1,35−2で励振されるSAWによって、光導波路13a−1,13a−2を伝搬する光をモード変換させるためには、励振されるSAWが、少なくとも光導波路13a−1,13a−2上に形成されている弾性表面波ガイド13b−2に結合する必要がある。従って、櫛歯電極対35−1で励振されるSAWとしては、波長P3〜P4に相当する帯域B0を光のモード変換のために使用できる。櫛歯電極対35−2で励振されるSAWとしては、波長P1〜P2に相当する帯域のうち帯域B0と重複する帯域を除く帯域BHを光のモード変換のために使用することができる。
【0082】
なお、上述の場合においては、波長P1〜P2に相当する帯域のうち帯域B0と重複する帯域については、櫛歯電極対35−1で励振される0次モードのSAWを使用することとしているが、この重複帯域においては、0次モードのSAWおよび高次モードのSAWともに弾性表面波ガイド13b−2に結合しているので、櫛歯電極対35−2で励振される高次モードのSAWを使用することとしてもよい。
【0083】
また、櫛歯電極対35−1,35−2としては、前述の第1実施形態の場合に準じて、励振すべきSAWの波長帯域(即ち周波数帯域)に応じて櫛歯間隔を設定しておくことができる。この場合においては、櫛歯電極対35−1の櫛歯間隔を、櫛歯電極対35−2の櫛歯間隔よりも幅を広くしておくことができる。
上述のごとく構成された第2実施形態にかかる音響光学デバイス30においては、励振されるモード次数によって弾性表面波ガイド13b−2に結合するSAW波長が相違することを利用して、比較的低周波(即ち比較的長波長の)SAWを励振しようとする場合には、0次モードのSAWを励振する櫛歯電極対35−1にRF信号を印加するとともに、比較的高周波(即ち比較的短波長の)SAWを励振しようとする場合には、高次モードのSAWを励振する櫛歯電極対35−2にRF信号を印加する。
【0084】
このRF信号を印加された櫛歯電極対35−1においては、比較的低周波(図14の波長帯B0の範囲参照)のSAWを励振する一方、櫛歯電極対35−2においては、比較的高周波(図14の波長帯BHの範囲参照)のSAWを励振することができる。
これにより、前述の図1に示す場合においては、帯域B0の範囲内においてのSAW周波数帯域の広帯域化にとどまっていたものが、帯域BH+B0の範囲内におけるSAW周波数帯域にまで広げることができる。このように広帯域化されたSAWによって、モード変換可能な光波長の範囲についても更なる広帯域化を図ることが可能となる。
【0085】
このように、本発明の第2実施形態にかかる音響光学デバイス30によれば、トランスデューサ電極部35をなす櫛歯電極対35−1,35−2が、弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3を伝搬する弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応して、互いに異なる種類のモード次数の弾性表面波を生成しうるように構成されているので、従来広帯域化させることができなかった(高周波)範囲まで、励振可能なSAWの周波数帯域を広げることができる利点がある。
【0086】
なお、上述の第2実施形態においては、各櫛歯電極対35−1,35−2においては、励振させるSAW波長に対応させて櫛歯間隔を設定するようにしているが、各櫛歯電極対において生成させるSAW波長の帯域を割り当てる際には、これ以外の手法を採用することとしてもよく、このようにしても、0次モードのSAWでは従来広帯域化させることができなかった範囲までもSAWの周波数帯域を広げることができる利点がある。
【0087】
〔B2〕第2実施形態の変形例の説明
図15は本発明の第2実施形態の変形例にかかる音響光学デバイス30Aを示す図で、図16は音響光学デバイス30Aの要部となる櫛歯電極対35A−2を示す図である。この図15に示す音響光学デバイス30Aは、前述の第2実施形態にかかる音響光学デバイス30に比して、トランスデューサ電極部35Aの構成が異なり、且つ、このトランスデューサ電極部35AへのRF信号の供給態様が異なっている。
【0088】
すなわち、上述の第2実施形態においては、トランスデューサ電極部35の櫛歯電極対35−2においては、高次モードのSAWを励振するために、歯電極32a,32bと歯電極32c,32dとが互いに逆相の噛み合わせパターンで形成された櫛歯電極対35−2をそなえているが、変形例として、例えば図15,図16に示すように櫛歯電極対35A−2を構成することとしてもよい。
【0089】
ここで、この櫛歯電極対35A−2は、図16に示すように、根電極36aおよび歯電極37aが一体に形成されるとともに、根電極36bおよび歯電極37b,37cが一体に形成され、且つ、根電極36cおよび歯電極37dが一体に形成される。そして、歯電極37a,37bの噛み合わせパターンと、歯電極37c,37dの噛み合わせパターンとが、互いに同相パターンで噛み合わされるように形成される。
【0090】
さらに、根電極36a,36cには、RF電源16からのRF信号が切り替えスイッチ18を介して入力されるようになっているが、特に根電極36aに入力されるRF信号については、位相シフタ39によって、根電極36cに入力されるRF信号に対して逆位相となるように位相変換がなされている。これにより、この櫛歯電極対35A−2において励振されるSAWとしても、図15,図16に示すような高次モードMHの強度分布とすることができる。
【0091】
なお、櫛歯電極対35A−1,35A−2としては、前述の第2実施形態の場合に準じて、励振すべきSAWの波長帯域(即ち周波数帯域)に応じて櫛歯間隔を設定しておくことができる。この場合においては、櫛歯電極対35A−1の櫛歯間隔を、櫛歯電極対35A−2の櫛歯間隔よりも幅を広くしておくことができる。
したがって、本発明の第2実施形態の変形例にかかる音響光学デバイス30Aにおいても、方向性結合型の弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3をそなえるとともに、0次モードのSAWを励振しうる櫛歯電極対35A−1と、高次モードのSAWを励振しうる櫛歯電極対35A−2とをそなえているので、従来広帯域化させることができなかった(高周波)範囲まで、励振可能なSAWの周波数帯域を広げることができる利点がある。
【0092】
〔C〕その他
上述の各実施形態にかかわらず、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
たとえば、図22に示すように音響光学デバイス40を構成することとしてもよい。
図22に示す音響光学デバイス40は、前述の図9に示す音響光学デバイス10Cに比して、弾性表面波ガイド13b−2を形成せずに、光導波路13a−1,13a−2上における上流側および下流側に設けられた櫛歯電極対15C−1,15C−2に代えて、湾曲櫛歯電極対45−1,45−2が設けられている。湾曲櫛歯電極対45−1,45−2はそれぞれ根電極45aおよび湾曲歯電極45bをそなえて構成されている。
【0093】
そして、各湾曲櫛歯電極対45−1,45−2の湾曲歯電極45bは、円弧状に湾曲するように形成され、かつ、これらの櫛歯電極対45−1,45−2の湾曲歯電極45bの湾曲向きは、円弧の内側が互いに対向するようになっている。従って、これらの櫛歯電極対45−1,45−2間の領域43が、光と弾性表面波との相互作用を引き起こす相互作用領域を構成する。そして、この相互作用領域43が、光導波路13a−1を伝搬する光との間で相互作用を生じさせる弾性表面波を伝搬しうる弾性表面波伝搬部として構成される。
【0094】
このように構成された音響光学デバイス40においては、湾曲櫛歯電極対45−1,45−2で励振されたSAWは相互作用領域43を伝搬する。このとき、この相互作用領域43においては図1に示すような弾性表面波ガイド13b−2をそなえていないので、励振されるSAWは、光導波路13a−1,13a−2上において収束するが、この光導波路13a−1,13a−2を伝搬する光との間で相互作用を引き起こす。
【0095】
そして、各湾曲櫛歯電極対45−1,45−2をなす湾曲歯電極45bの間隔(櫛歯間隔)が、互いに異なるような櫛歯間隔を有しているので、SAW励振のために供給可能なRF信号の周波数帯域を広げることができるので、SAWとして生成可能な周波数帯域についても広げることができる利点がある。
なお、この湾曲櫛歯電極対としては、上述の図9に示すもののほかに、前述の各実施形態におけるIDTに適宜適用することとしてもよい。
【0096】
さらに、上述の各実施形態においては、弾性表面波伝搬部として、弾性表面波を伝搬させるために弾性表面波ガイド13b−1〜13b−3を形成しているが、その他、例えば仕切りで区切られた領域に弾性表面波を閉じ込めて伝搬させるようにした基板領域を、弾性表面波伝搬部として構成することとしてもよい。この仕切りで区切って弾性表面波を伝搬させる技術については、例えばUSP5,218,653がある。
【0097】
また、上述した実施形態により、本発明の装置を製造することは可能である。
〔D〕付記
(付記1) 光を伝搬させるための光伝搬部と、
該光伝搬部を伝搬する光との間で相互作用を生じさせる弾性表面波を伝搬しうる弾性表面波伝搬部と、
該弾性表面波伝搬部を伝搬する上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応すべく構成された電極が複数設けられたトランスデューサ電極部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、音響光学デバイス。
【0098】
(付記2) 前記電極は複数の櫛歯電極対で構成され、該各櫛歯電極対は、該弾性表面波伝搬部を伝搬する上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応して、互いに異なる櫛歯間隔を有するように構成されたことを特徴とする、付記1項記載の音響光学デバイス。
(付記3) 該弾性表面波伝搬部は、弾性表面波ガイドを備え、該弾性表面波ガイドは、上記生成される弾性表面波が該光伝搬部に対して方向性結合するように構成され、
かつ、前記複数の電極が、該弾性表面波ガイドを伝搬する上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応して、それぞれ異なる種類のモード次数の弾性表面波を生成しうるように構成されたことを特徴とする、付記1又は2記載の音響光学デバイス。
【0099】
(付記4) 前記複数の電極は、少なくとも生成される弾性表面波が互いに逆相となるように、櫛歯電極パターンが形成された2つの櫛歯電極対を含むことを特徴とする、付記3記載の音響光学デバイス。
(付記5) 電気信号源から前記複数の電極のうち第1電極に印加される電気信号と第2電極に印加される電気信号とを互いに逆相とする位相シフタをそなえたことを特徴とする、付記3記載の音響光学デバイス。
【0100】
(付記6) 該トランスデューサ電極部をなす櫛歯電極対が、該光伝搬部における光伝搬方向の上流側および下流側に分かれて設けられたことを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
(付記7) 該トランスデューサ電極部をなす櫛歯電極対が、該光伝搬部における光伝搬方向の上流側においては左右に2個設けられたことを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
【0101】
(付記8) 該トランスデューサ電極部をなす櫛歯電極対が、該光伝搬部における光伝搬方向の下流側においては左右に2個設けられたことを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
(付記9) 該複数の櫛歯電極対のうちの少なくとも2つが、共用化された構造を有することを特徴とする、付記1〜8のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
【0102】
(付記10) 該トランスデューサ電極部が、第1周波数帯域の電気信号を印加されて、第2周波数帯域の弾性表面波を生成しうる第1櫛歯電極対と、上記第1周波数帯域とは異なる第3周波数帯域の電気信号を印加されて、該第2周波数帯域とは異なる第4周波数帯域の弾性表面波を生成しうる第2櫛歯電極対と、をそなえて構成され、
該トランスデューサ電極部に印加するための電気信号を発生しうる電気信号源と、該電気信号源で発生される電気信号を、上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に応じて、上記の第1櫛歯電極対又は第2櫛歯電極対のいずれか一方に供給すべく制御する制御部と、をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1〜9のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
【0103】
(付記11) 該制御部が、該トランスデューサ電極部に供給すべき電気信号の周波数を設定すべく該電気信号源を制御する周波数設定制御部と、該周波数設定制御部で設定される上記周波数の電気信号を、上記の第1櫛歯電極対又は第2櫛歯電極対のうちのいずれか一方に対して出力すべく切り替え制御信号を出力する切り替え制御部と、をそなえ、
かつ、該切り替え制御部からの上記切り替え制御信号に基づいて、該電気信号源からの電気信号を、上記の第1櫛歯電極対又は第2櫛歯電極対のうちのいずれか一方に選択的に出力する切り替えスイッチをそなえて構成されたことを特徴とする、付記10記載の音響光学デバイス。
【0104】
(付記12) 該制御部が、該トランスデューサ電極部に供給すべき電気信号の周波数を設定すべく該電気信号源を制御する周波数設定制御部をそなえ、
かつ、該電気信号源からの電気信号を、周波数に応じて上記の第1櫛歯電極対又は第2櫛歯電極対のうちのいずれか一方に振り分けて出力する振り分け出力部をそなえて構成されたことを特徴とする、付記10記載の音響光学デバイス。
【0105】
(付記13) 該電気信号源が、該第1櫛歯電極対に供給するための上記第1周波数帯域を有する第1電気信号を生成しうる第1電気信号源と、該第2櫛歯電極対に供給するための上記第3周波数帯域を有する第2電気信号を生成しうる第2電気信号源と、をそなえ、
かつ、該制御部が、上記の第1櫛歯電極対又は第2電極対のいずれか一方において電気信号を生成すべく上記の第1電気信号源又は第2電気信号源を制御する電気信号源切り替え制御部をそなえて構成されたことを特徴とする、付記10記載の音響光学デバイス。
【0106】
(付記14) 上記の光伝搬部,弾性表面波ガイドおよびトランスデューサ電極部が、複屈折性および音響光学効果を有する基板に設けられていることを特徴とする、付記1〜13のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【図2】(A),(B)はともに、生成すべきSAWの周波数帯域に応じて異なる櫛歯間隔を有する櫛歯電極対について示す図である。
【図3】第1実施形態の作用効果について説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態の第1変形例にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態の第2変形例にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態の第3変形例にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【図7】第1実施形態の第3変形例の作用効果を説明するための図である。
【図8】本発明の第1実施形態の第4変形例にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態の第5変形例にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態の第6変形例にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【図11】第1実施形態の第6変形例にかかる音響光学デバイスの要部を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【図13】第2実施形態にかかる音響光学デバイスの要部を示す図である。
【図14】第2実施形態の作用効果を説明するための図である。
【図15】本発明の第2実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【図16】第2実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスの要部を示す図である。
【図17】一般的なAOTFの構成例について示す模式的上視図である。
【図18】一般的なAOTFの構成例について示す模式的上視図である。
【図19】図17,図18に示すAOTFについて解決すべき課題を説明するための図である。
【図20】図17,図18に示すAOTFについて解決すべき課題を説明するための図である。
【図21】図18に示すAOTFについて解決すべき課題を説明するための図である。
【図22】本発明の他の実施形態にかかる音響光学デバイスを示す図である。
【符号の説明】
【0108】
10,10A〜10D,30,30A,40 音響光学デバイス
10−1〜10−4 ポート
11 基板
12,14 偏光ビームスプリッタ
13,43 相互作用領域
13a−1,13a−2 平行光導波路
13b−1〜13b−3 弾性表面波ガイド
13c−1,13c−2 領域
15,15A〜15D,35,35A トランスデューサ電極部
15−1〜15−4,15A−1,15A−2,15C−1,15C−2,15D−2,35−1,35−2,35A−2 櫛歯電極対
15a,15b,21,22,31a,31b,36a〜36c 根電極
15c〜15f,23〜26,32a〜32d,37a〜37d 歯電極
16,16a,16b RF電源(電気信号源)
17,17A,17B RF信号制御部(制御部)
17a 周波数設定制御部
17b 切り替え制御部
18 切り替えスイッチ
18A バンドパスフィルタ・スプリッタ
39 位相シフタ
45−1,45−2 湾曲櫛歯電極対
45a 根電極
45b 湾曲歯電極
100,100A AOTF
101 LN基板
102,104 偏光ビームスプリッタ
103,103A モード変換器
103a−1,103a−2 光導波路
103b,103b−1,103b−2 弾性表面波ガイド
105,105A 櫛型電極対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を伝搬させるための光伝搬部と、
該光伝搬部を伝搬する光との間で相互作用を生じさせる弾性表面波を伝搬しうる弾性表面波伝搬部と、
該弾性表面波伝搬部を伝搬する上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応すべく構成された電極が複数設けられたトランスデューサ電極部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、音響光学デバイス。
【請求項2】
前記電極は複数の櫛歯電極対で構成され、該各櫛歯電極対は、該弾性表面波伝搬部を伝搬する上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応して、互いに異なる櫛歯間隔を有するように構成されたことを特徴とする、請求項1項記載の音響光学デバイス。
【請求項3】
該弾性表面波伝搬部は、弾性表面波ガイドを備え、該弾性表面波ガイドは、上記生成される弾性表面波が該光伝搬部に対して方向性結合するように構成され、
かつ、前記複数の電極が、該弾性表面波ガイドを伝搬する上記弾性表面波として生成すべき周波数帯域に対応して、それぞれ異なる種類のモード次数の弾性表面波を生成しうるように構成されたことを特徴とする、請求項1又は2記載の音響光学デバイス。
【請求項4】
前記複数の電極は、少なくとも生成される弾性表面波が互いに逆相となるように、櫛歯電極パターンが形成された2つの櫛歯電極対を含むことを特徴とする、請求項3記載の音響光学デバイス。
【請求項5】
電気信号源から前記複数の電極のうち第1電極に印加される電気信号と第2電極に印加される電気信号とを互いに逆相とする位相シフタをそなえたことを特徴とする、請求項3記載の音響光学デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−23341(P2006−23341A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198919(P2004−198919)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年、独立行政法人情報通信研究機構、「フォトニックネットワークに関する光アクセス網高速広帯域通信技術の研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】