説明

音響再生装置

【課題】サブウーファから出力された低域信号と他のスピーカから出力された低域信号が互いに打ち消しあうことを防止する。
【解決手段】各チャンネルのオーディオ信号を再生する各スピーカにテストノイズ信号を供給してから聴取位置に配置したマイクロフォンで前記テストノイズ信号を受信するまでの時間をもとに、各スピーカと聴取位置との間の距離の差に基づき、各スピーカの再生音が同時に聴取位置に到達するように前記各チャンネルの再生経路に挿入した遅延器の遅延時間を調整する制御部34と、全チャンネルから再生される前記テストサイン波を受信した前記マイクロフォンの出力をもとに再生信号のレベルを測定する振幅測定部33とを備え、前記振幅測定部で測定する再生信号のレベルが最大となるように、前記サブウーファチャンネル再生経路に挿入した遅延器の遅延時間を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響再生装置に係り、特に低音再生用のサブウーファを備えた音響再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭で映画等を楽しむ場合、テレビ放送等による地上波放送によるものが主流であった。しかし、近年では、ビデオテープ、DVDディスク、衛星放送等の普及により、映画等の音をオリジナルのまま楽しむことができるようになった。これらオリジナルの音で楽しむことが可能なビデオテープ、DVDディスク、衛星放送等のメディアの中には、複数チャンネル(マルチチャンネル)のオーディオ信号にマトリクス処理及びエンコード処理を施し、元のチャンネル数より少ないチャンネル数に変換して記録し、また、伝送しているものがある。
【0003】
これらのマルチチャンネルのオーディオ信号は、音響再生装置におけるAV(Audio Visual)プロセッサ等の専用マルチチャンネルデコーダを内蔵したAVアンプ等により復調することにより臨場感のある音を楽しむことができる。
【0004】
マルチチャンネルのオーディオ信号は、それがマトリクス処理が施されたオーディオ信号である場合はレフト(L)チャンネル、センター(C)チャンネル、ライト(R)チャンネル、サラウンド(S)チャンネルの4チャンネルのオーディオ信号に復調される。また、エンコード処理が施されたオーディオ信号である場合は、フロントレフト(FL)チャンネル、センター(C)チャンネル、フロントライト(FR)チャンネル、サラウンドレフト(SL)チャンネル、サラウンドライト(SR)チャンネル、サブウーファ(SW)チャンネルの6チャンネルのオーディオ信号に復調される。
【0005】
このようなマルチチャンネルのオーディオ信号は、周波数帯域がそれぞれ約20Hzないし20KHzのFLチャンネル、Cチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル、SRチャンネルと、周波数帯域が約20Hzないし200Hzの低音再生用のSWチャンネルを備えている。これらのオーディオ信号のうち、Cチャンネル信号は台詞の明瞭性、明確な定位を得るための役割を果たし、SWチャンネル信号は、低音の効果音等を再生して迫力感を得るための役割を果たす。
【0006】
図3は、従来の音響再生装置を含む音響再生システムを説明する図である。図3において、音響再生システムは、DVD再生装置等の信号供給装置1、音響再生装置40、FLチャンネルスピーカ3、FRチャンネルスピーカ4、Cチャンネルスピーカ5、SLチャンネルスピーカ6、SRチャンネルスピーカ7、SWチャンネルスピーカ(サブウーフア)8、およびモニタ45を備えている。
【0007】
信号供給装置1は、ビデオテープ、ビデオディスク、衛星放送等から得たビデオ信号及びオーディオ信号をそれぞれモニタ9および音響再生装置40に供給する。音響再生装置40は、DIR(Digital interface receiver)11、マルチチャンネルデコーダ部13、D/A(Digital/Analog)変換回路15、および信号増幅部(アンプ16)を備えている。DIR11は、例えば、信号供給装置1からのSPDIF(Sony Philips Degital Interface)信号をIIS(Internet Information Server)フォーマットに変換する。マルチチャンネルデコーダ部13は、DIR11から出力されたオーディオ信号にデコード処理等の音響処理を施して、FLチャンネルスピーカ3、FRチャンネルスピーカ4、Cチャンネルスピーカ5、SLチャンネルスピーカ6、SRチャンネルスピーカ7及びSWチャンネルスピーカ8の各スピーカを駆動するオーディオ信号を生成する。また、D/A変換回路15はデジタル信号をアナログ信号に変換する。アンプ16は、マルチチャンネルデコーダ部13から出力された信号を増幅して各スピーカに供給する。
【0008】
これにより、聴取者に対するサラウンド感や低音の量感が増加した臨場感のあるオーディオ信号を楽しむことができる。
【0009】
しかしながら、このような音響再生システムを構成する各スピーカ(FLチャンネルスピーカ、FRチャンネルスピーカ、Cチャンネルスピーカ、SLチャンネルスピーカ、SRチャンネルスピーカ、サブウーフア)を、それぞれサラウンド再生における推奨位置に配置することは困難な場合が多い。特にスピーカから出力された低域の音は中高域の音と比して音像定位が明確でなく、また、壁や障害物などの影響で干渉を起こしやすく、音の打ち消し合いが起こりやすい。このため、サブウーファから出力される低域の音と、メインのFLチャンネルスピーカ、FRチャンネルスピーカ、Cチャンネルスピーカ、SLチャンネルスピーカあるいはSRチャンネルスピーカから出力される広帯域の音の内の低域の音が干渉し、打ち消し合って期待したような効果が得られないことが多い。
【0010】
すなわち、サブウーフアから出力される低域の音と、メインのFLチャンネルスピーカ、FRチャンネルスピーカ、Cチャンネルスピーカ、SLチャンネルスピーカあるいはSRチャンネルスピーカから出力された音の低域の成分との間の位相差が180度になると、互いに打ち消しあって合成された低域成分は非常に小さな値になり、低音の音量が小さくなる。このため、サブウーフアを設けたことにより低音の音量が低下するという現象が発生することになる。
【0011】
そこで、従来では、サブウーファ用のアンプの入力段に信号の位相を180度反転させる回路を設け、あるいはサブウーファ用のアンプからサブウーファ用のスピーカヘの配線の極性を逆転させることで信号の位相を反転させて、音の打ち消し合いを解消する手法がとられてきた。しかしながら、FLチャンネルスピーカ、FRチャンネルスピーカ、Cチャンネルスピーカ、SLチャンネルスピーカ、あるいはSRチャンネルスピーカから出力される音と、サブウーフアから出力される音の位相のずれは必ずしも180度であるとは限らない。このため、このような手法では音の打ち消し合いを確実に解消することは困難である。
【0012】
このような問題を解決する手段として、出力される音楽ソースを聴取しながら聴取者が低域成分の位相を手動で変化させ、サブウーファから出力するオーディオ信号の位相を調整する音響再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−101499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に示される装置では、聴取する音楽ソース毎に低域成分量が異なることから、これらの音楽ソースを聴取しながらサブウーファから出力するオーディオ信号の位相の調整を最適に行うことは困難である。また、音楽ソースは、その再生時点が異なると再生される低域成分も異なるため、使用者が任意の音楽ソースを用いてオーディオ信号の位相の調整を行おうとしても、音楽ソースの再生時点の変化によって出力されるオーディオ信号の低域成分が変化し、音場調整を最適にすることは困難である。
【0014】
また、複数のスピーカを用いてマルチチャンネルのオーディオ信号を再生する場合、オーディオを聴取する位置からスピーカの位置までの距離がそれぞれそれのスピーカによって異なって設置されている場合が多い。この場合は、各スピーカから同時に放音された音は聴取位置に同時に到達することなく遅延が生じてしまう。この遅延を補正するため、それぞれのスピーカに出力するオーディオ信号の遅延時間を調整する機能を備えた再生装置が知られている。しかしながら、このような遅延時間を調整する機能を備えた音響再生装置では、サブウーファから出力された低域信号が他のスピーカから出力された低域信号によって打ち消されてしまうのを効果的に防止することはできない。
【0015】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、サブウーファから出力された低域信号と他のスピーカから出力された低域信号が互いに打ち消しあうことを防止することのできる音響再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0017】
サブウーファチャンネル再生経路を含むマルチチャンネルの音響再生を行う音響再生装置において、パルス信号を含むテストノイズ信号を発生するテストノイズ発生部と、
前記サブウーファのカットオフ周波数以下の周波数のテストサイン波を発生するテストサイン波発生部と、各チャンネルのオーディオ信号を再生する各スピーカに前記テストノイズ信号を供給してから聴取位置に配置したマイクロフォンで前記テストノイズ信号を受信するまでの時間をもとに、前記各スピーカと聴取位置との間の距離を測定する距離測定部と、各チャンネルの再生経路に挿入した遅延器と、前記距離測定部により測定した各スピーカと聴取位置との間の距離の差に基づき、各スピーカの再生音が同時に聴取位置に到達するように前記各チャンネルの再生経路に挿入した遅延器の遅延時間を調整する制御部と、全チャンネルのスピーカから再生される前記テストサイン波を受信した前記マイクロフォンの出力をもとに再生信号のレベルを測定する振幅測定部とを備え、前記制御部は、前記テストサイン波を全チャンネルのスピーカに供給し、前記振幅測定部で測定する再生信号のレベルが最大となるように、前記サブウーファチャンネル再生経路に挿入した遅延器の遅延時間を調整する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上の構成を備えるため、サブウーファから出力された低域信号と他のスピーカから出力された低域信号が互いに打ち消しあうことを防止することのできる音響再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る音響再生装置を含む音響再生システムを説明する図である。図1に示すように、音響再生システムは、DVDプレーヤ等の信号供給装置1、音響再生装置2、フロントレフトチャンネルスピーカ(FLチャンネルスピーカ)3、フロントライトチャンネルスピーカ(FRチャンネルスピーカ)4、センターチャンネルスピーカ(Cチャンネルスピーカ)5、サラウンドレフトチャンネルスピーカ(SLチャンネルスピーカ)6、サラウンドライトチャンネルスピーカ(SRチャンネルスピーカ)7、サブウーファスピーカ(SWスピーカ)8、マイクロフォン9を備えている。
【0020】
音響再生装置2は、マイクロフォン9からの入力をデジタル信号に変換するA/D変換回路10、信号供給装置1からのSPDIF信号をIISフォーマットに変換するDIRll、それぞれの入力信号を切り替えるデジタル入力切替部12、エンコードされた圧縮信号をデコードしマルチチャンネルに変換するマルチチャンネルデコーダ部13、テストノイズあるいはテストサイン波を発生させ、低域信号の位相を調整する音響処理部14、デジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換回路15、信号を増幅するアンプ16を備えている。
【0021】
図2は、図1に示す音響処理部の詳細を説明する図である。図に示すように、音響処理部14は、テストノイズ発生部20、出力チャンネル切替部21、距離測定部22、各チャンネルのスピーカを駆動する回路毎に挿入した遅延器23〜28、マイク入力切替部29、SWカットオフ周波数測定部30、テストサイン波発生部31、ローパスフィルタ32及び振幅判定部33、およびこれらの各部を制御する制御部34を備える。
【0022】
次に、サブウーファから出力された低域信号と他のスピーカから出力された低域信号が互いに打ち消しあうことを防止するための処理を説明する。
【0023】
まず、制御部34は、テストノイズ発生部20からホワイトノイズおよびパルス信号の混合信号からなるテストノイズを発生させて、聴取位置(マイクフォン9の位置)からスピーカまでの距離を測定する。測定に際しては、聴取位置に無指向性のマイクロフォン9を設置し、テストノイズ発生部20からテストノイズを発生させる。
【0024】
次に、例えば、出力チャンネル切替部21をFLチャンネルに設定しテストノイズをFLチャンネルスピーカのみに出力する。出力されたテストノイズはD/A変換回路15、アンプ16を介してFLチャンネルスピーカ3を駆動する。FLチャンネルスピーカ3から発生されたテストノイズはマイクロフォン9により集音し、A/D変換回路10、デジタル入力切替部12,マルチチャンネルデコーダ部13を介して音響処理部14に入力される。ここで、音響処理部14からスピーカまでの信号伝搬時間およびマイクロフォン9から音響処理部14までの信号伝搬時間は無視することができる。このため、距離測定部は22は、テストノイズ(例えばテストノイズに含まれるパルス信号)をFLチャンネルスピーカに出力した時点からマイクロフォン9により集音したテストノイズ(前記パルス信号)を検出した時点までの遅延時間を計測することにより、FLチャンネルスピーカ3からマイクロフォン9までの距離を測定することができる。
【0025】
このような手順を更に繰り返すことにより、フロントライトチャンネルスピーカ(FRチャンネルスピーカ)4、センターチャンネルスピーカ(Cチャンネルスピーカ)5、サラウンドレフトチャンネルスピーカ(SLチャンネルスピーカ)6、サラウンドライトチャンネルスピーカ(SRチャンネルスピーカ)7、サブウーファスピーカ(SWスピーカ)8とマイクロフォン9間の距離をそれぞれ測定することができる。なお、この測定値は図示しないメモリ等に格納しておく。
【0026】
次いで、聴取位置(マイクロフォン9の位置)から最も距離の長い位置にあるスピーカから出力されるテストノイズの聴取位置に到達する時点に、他のチャンネルのスピーカから出力されるテストノイズが前記聴取位置に到達するように、前記他のチャンネルの駆動回路に挿入した遅延器の遅延時間を調整する。この調整は、例えば、制御部34が遅延器23ないし28に遅延係数を設定することにより行うことができる。
【0027】
次に、サブウーファのカットオフ周波数の測定処理について説明する。まず、制御部34は、テストノイズ発生部20からテストノイズを発生させる。発生したテストノイズは出力チャンネル切替部21を介してSWチャンネルの駆動回路に供給し、D/A変換回路15およびアンプ16を介してSWチャンネルスピーカ8に出力する。SWチャンネルスピーカ8から発生した音はマイクロフォン9で集音される。集音されたアナログ信号はA/D変換回路10、デジタル入力切替部12,マルチチャンネルデコーダ部13を介して音響処理部14に入力される。
【0028】
音響処理部14のSWカットオフ周波数測定部30は、マイクロフォン9で集音した信号のA/D変換値をもとに、該信号の周波数帯域を測定し、サブウーファのカットオフ周波数を求める。
【0029】
次いで、制御部34は、求めたカットオフ周波数を実現する係数をローパスフィルタ32に設定する。また、前記カットオフ周波数およびそれを実現する係数は図示しないメモリに格納しておく。ここではカットオフ周波数は200Hzであるとする。
【0030】
次に、テストサイン波発生部31からサイン波を発生させ、全スピーカから出力される低域信号の位相の調整を行う処理を説明する。
【0031】
前述のように、オーディオ信号の低域成分は、マルチチャンネル再生時における空間合成により干渉を受けやすく、信号が打ち消されて再生レベルが減少することがある。特に映画における爆発音などの低域成分は高域成分に比して信号の周期が長く、波形も複雑ではない。このため、各スピーカからの出力信号の聴取位置における信号到達時間を一致させても、部屋の壁による反射や障害物により低域再生レベルが減少することがある。
【0032】
このため、テストサイン波発生部31からサイン波を発生させ、全スピーカから出力される低域信号の位相の調整を行うことが必要となる。なお、このとき、出力するサイン波の周波数としては、サブウーファから減衰せずに出力する周波数であることが必要であるため、前記サブウーファのカットオフ周波数測定処理で求めた値以下の周波数を使用する。ここでは150Hzとする。テストサイン波発生部31から出力させるサイン波の周波数は前記カットオフ周波数の測定処理で求めた周波数に応じて最適な周波数を自動的に設定する構成としても良い。これにより、サブウーファの容量等の違いにより個々のサブウーファによって周波数特性が異なる場合でも、そのサブウーファに最適な周波数のテストサイン波を用いて低域成分の減少を補正することができる。
【0033】
低域信号の位相の調整を行って低域成分の減少を補正する際には、まず、制御部34は、テストサイン波発生部31から150Hzのサイン波を発生させ、出力チャンネル切替部21を全チャンネル出力に設定し、全チャンネルスピーカから150Hzのサイン波を出力する。全チャンネルスピーカから出力されたサイン波は聴取位置に設置したマイクロフォン9により集音され、集音されたアナログ信号はA/D変換回路10、デジタル入力切替部12,マルチチャンネルデコーダ部13を介して音響処理部14に入力される。
【0034】
音響処理部14に入力されたデジタル信号は、マイク入力切替部29を介して振幅測定部33に入力する。振幅測定部33は、時間軸上における低域信号の振幅レベルを測定する。
【0035】
次に、制御部34は、遅延器28に設定する遅延係数変更し、サブウーファ8からの出力信号(サイン波)の位相のみを変化させる。このとき、前述と同様に、全チャンネルスピーカから出力されたサイン波は聴取位置に設置したマイクロフォン9により集音され、集音されたアナログ信号はA/D変換回路10、デジタル入力切替部12,マルチチャンネルデコーダ部13を介して音響処理部14に入力される。また、音響処理部14に入力されたデジタル信号は、マイク入力切替部29を介して振幅測定部33に入力する。また、振幅測定部33は、時間軸上における低域信号の振幅レベルを測定する。
【0036】
このように、サブウーファの駆動回路に挿入した遅延器28の遅延係数を変化させ、振幅測定部33における測定結果が最大となる遅延係数を求める。そして、振幅測定部33における測定結果が最大となる遅延係数を遅延器28の遅延係数として設定すればよい。
【0037】
なお、サブウーファ8から出力する信号を遅延する遅延器28の遅延時間範囲は、例えば、再生可能な周波数の下限値が10Hzであるとすると、この周波数の信号の位相を0ないし180度変化させるに要する時間である0ないし50msの範囲で調整可能としておくとよい。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、サブウーファ駆動経路に遅延器を設け、該遅延器の遅延時間を変化させながら、全スピーカから低域のテスト信号を発生させる。また、このテスト信号を聴取位置に設置したマイクロフォンで集音して、その振幅を測定する。そして、前記測定した低域のテスト信号の振幅レベルが最大であったときの遅延時間をサブウーファ駆動経路の遅延器に設定する。これにより、信号の打ち消しあいによる低域感の減少を抑えることができる。また、低域の音の量感を増して臨場感を得ることができ、音源の音場を忠実に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態に係る音響再生装置を含む音響再生システムを説明する図である。
【図2】図1に示す音響処理部の詳細を説明する図である。
【図3】従来の音響再生装置を含む音響再生システムを説明する図である。
【符号の説明】
【0040】
1 信号供給装置
2 音響再生装置
3 フロントレフトチャンネルスピーカ(FLチャンネルスピーカ)
4 フロントライトチャンネルスピーカ(FRチャンネルスピーカ)
5 センターチャンネルスピーカ(Cチャンネルスピーカ)
6 サラウンドレフトチャンネルスピーカ(SLチャンネルスピーカ)
7 サラウンドライトチャンネルスピーカ(SRチャンネルスピーカ)・
8 サブウーファ(SWチャンネルスピーカ)
9 マイクロフォン
10 A/D変換回路
11 DIR
12 デジタル入力切替部
13 マルチチャンネルデコーダ部
14 音響処理部
15 D/A変換回路
16 アンプ
20 テストノイズ発生部
21 出力チャンネル切替部
22 距離測定部
23〜28 遅延器
29 マイク入力切替部
30 SWカットオフ周波数測定部
31 テストサイン波発生部
32 ローパスフィルタ
33 振幅測定部
34 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブウーファチャンネル再生経路を含むマルチチャンネルの音響再生を行う音響再生装置において、
パルス信号を含むテストノイズ信号を発生するテストノイズ発生部と、
サブウーファのカットオフ周波数以下の周波数のテストサイン波を発生するテストサイン波発生部と、
各チャンネルのオーディオ信号を再生する各スピーカに前記テストノイズ信号を供給してから聴取位置に配置したマイクロフォンで前記テストノイズ信号を受信するまでの時間をもとに、各スピーカと聴取位置との間の距離を測定する距離測定部と、
各チャンネルの再生経路に挿入した遅延器と、
前記距離測定部により測定した各スピーカと聴取位置との間の距離の差に基づき、各スピーカの再生音が同時に聴取位置に到達するように前記各チャンネルの再生経路に挿入した前記遅延器の遅延時間を調整する制御部と、
全チャンネルのスピーカから再生される前記テストサイン波を受信した前記マイクロフォンの出力をもとに再生信号のレベルを測定する振幅測定部とを備え、
前記制御部は、前記テストサイン波を全チャンネルのスピーカに供給し、前記振幅測定部で測定する再生信号のレベルが最大となるように、前記サブウーファチャンネル再生経路に挿入した遅延器の遅延時間を調整することを特徴とする音響再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の音響再生装置において、
サブウーファカットオフ周波数測定部を備え、該測定部は前記テストノイズ発生部が発生するテストノイズ信号を供給したサブウーファの再生信号の帯域を測定し、測定した帯域をもとにカットオフ周波数を測定することを特徴とする音響再生装置。
【請求項3】
請求項1記載の音響再生装置において、
前記サブウーファチャンネル再生経路にはサブウーファのカットオフ周波数以下を通過帯域とするローバスフィルタを備えたことを特徴とする音響再生装置。
【請求項4】
請求項1記載の音響再生装置において、
前記テストノイズ発生部が発生するテストノイズ信号はホワイトノイズ信号を含むことを特徴とする音響再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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