説明

音響再生装置

【課題】 ボリューム等のレベル調整手段の設定情報のみならず、入力信号のレベルに応じて適切なラウドネス補償特性を与えることができる音響再生装置を提供する。
【解決手段】 音響再生装置の信号処理部は、ラウドネス補償回路の出力信号に所定のゲイン値を与えて増幅器に出力するレベル調整回路と、分岐された入力信号にレベル調整回路で調整されたゲイン値を設定ゲイン値として与えて出力する連動レベル調整回路と、連動レベル調整回路の出力信号の第1実効値レベルに対応する等ラウドネス特性の逆特性を連動レベル調整回路の出力信号に与えるラウドネスレベル検出回路と、ラウドネスレベル検出回路の出力信号の実効値レベルを検出する第2実効値検出回路と、を含み、ラウドネス補償回路が、第2実効値検出回路が検出する第2実効値レベルに対応するラウドネス補償特性を入力信号に与えて出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカーまたはヘッドホンといった電気音響変換器で再生する音圧レベルに応じたラウドネス補償特性を与える信号処理部および増幅器を備える音響再生装置であって、ボリューム等のレベル調整手段の設定情報のみならず、入力信号のレベルに応じて適切なラウドネス補償特性を与えることができる音響再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声信号をスピーカーまたはヘッドホンといった電気音響変換器により音波に変換して再生する音響再生装置では、ラウドネス補償特性を与えるラウドネス補償回路等が用いられる場合がある。ラウドネス補償回路は、音圧レベルに応じて変化する聴覚の周波数特性である等ラウドネス特性を反映させたラウドネス補償特性を、入力信号に対して与えて出力する。人間の聴覚の等ラウドネス特性は、音波の音圧レベルが小さくなるほど、中音域よりも低音域および高音域の感度が相対的に小さくなるので、ラウドネス補償特性は、音波の音圧レベルが小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に大きくなるように補償するのが一般的である。電気音響変換器が再生する音圧レベルは、入力信号のレベル、ボリューム設定値、増幅器の増幅率、および、電気音響変換器の再生能率、等により定まるので、音響再生装置において適切なラウドネス補償特性を設定するには、上記のような様々な要因を考慮する必要がある。
【0003】
従来には、スピーカーの特性と人間の心理量であるラウドネスレベルに応じて信号レベルの圧縮率を制御するように、音声信号を入力するオーディオ信号入力
手段と、増幅率が可変であり、音声信号を電力増幅する増幅器と、前記増幅器の増幅出力を再生するスピーカーと、前記スピーカーのインパルス時間応答と相当のタップ係数を有し、前記オーディオ信号入力手段から入力される音声信号の周波数特性を前記スピーカーと同一特性となるよう音声信号を補正して出力するFIR型フィルタと、前記増幅器の増幅率を検出する増幅率検出手段と、前記FIR型フィルタによって畳み込まれた音声信号と前記増幅率検出手段で検出された増幅率とを用いて、音声信号の各帯域の音圧レベルに重み付けをし、それらの値の総和をラウドネスレベルとして演算するラウドネス演算手段と、前記ラウドネス演算手段で演算されたラウドネスレベルに対応する乗算係数を記憶する複数の記憶部と、前記ラウドネス演算手段が出力するラウドネスレベルに基づき、前記記憶部から特定の乗算係数を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された乗算係数を前記オーディオ信号入力手段の音声信号に乗算して前記増幅器に与える乗算器と、を具備したことを特徴とする信号レベル圧縮装置がある(特許文献1)。
【0004】
また、従来には、音声信号を、信号処理しつつ、再生する音声再生装置であって、前記音声信号の信号レベルを検出する信号レベル検出手段と、前記音声信号の増幅率を示す音圧レベルを変化させる音圧レベル調整手段と、少なくとも前記音声信号の周波数特性を、補正量に基づいて補正する周波数特性補正手段と、(i)
前記信号レベル、及び前記音圧レベルに基づいて、前記補正量を決定し、(ii)
決定された前記補正量に基づいて補正するように前記周波数特性補正手段を逐次制御する制御手段とを備えることを特徴とする音声再生装置がある(特許文献2)。
【0005】
また、従来には、オーディオ信号を濾波し、該オーディオ信号の互いに異なる複数の周波数領域の周波数成分の信号をそれぞれ通す複数のフィルタと、前記各フィルタから前記周波数成分の信号をそれぞれ入力し、該周波数成分の信号が示す音を増幅した増幅信号をそれぞれ生成する複数の増幅手段と、前記各フィルタが出力する前記周波数成分の信号の示す音の強度をそれぞれ検出し、その強度に応じて該各フィルタに接続された前記各増幅手段の増幅率をそれぞれ設定する複
数の増幅率設定手段と、前記複数の増幅手段の出力する増幅信号を合成して出力する合成手段と、を備えることを特徴とするオーディオ装置がある(特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】特開平7−122953号公報 (第1図〜第5図)
【特許文献2】再公表特許WO2006/093256号公報 (第1図〜第12図)
【特許文献3】特開2008−236025号公報 (第1図〜第5図)
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3等の従来技術では、音響再生装置においてラウドネス補償特性を与えようとする場合に、入力信号のレベルに応じて適切なラウドネス補償特性を与えるのが困難な場合がある。音響再生装置に接続されて入力される音声信号の入力レベルが様々である場合には、入力信号のレベルおよびボリューム設定値を得るだけでは、適切なラウドネスレベルを判断するのが困難な場合があり、その場合には、低音域及び高音域が不足したり過大になった再生音を電気音響変換器を通じて再生してしまう場合があるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、スピーカーまたはヘッドホンといった電気音響変換器で再生する音圧レベルに応じたラウドネス補償特性を与える信号処理部および増幅器を備える音響再生装置であって、ボリューム等のレベル調整手段の設定情報のみならず、入力信号のレベルに応じて適切なラウドネス補償特性を与えることができる音響再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の音響再生装置は、入力される音声の入力信号を信号処理して出力する信号処理部と、信号処理部の出力信号を増幅して出力する増幅器と、増幅された音声信号を音波に変換する電気音響変換器と、を備え、信号処理部が、入力信号にラウドネス補償特性を与えて出力するラウドネス補償回路と、ラウドネス補償回路の出力信号に所定のゲイン値を与えて増幅器に出力するレベル調整回路と、分岐された入力信号に電気音響変換器の応答特性に相当する特性を与えて出力する変換器特性反映回路と、変換器特性反映回路の出力信号にレベル調整回路で調整されたゲイン値を設定ゲイン値として与えて出力する連動レベル調整回路と、連動レベル調整回路の出力信号の実効値レベルを検出する第1実効値検出回路と、第1実効値検出回路が検出する第1実効値レベルに対応する等ラウドネス特性の逆特性を連動レベル調整回路の出力信号に与えるラウドネスレベル検出回路と、ラウドネスレベル検出回路の出力信号の実効値レベルを検出する第2実効値検出回路と、を含み、ラウドネス補償回路が、第2実効値検出回路が検出する第2実効値レベルに対応するラウドネス補償特性を入力信号に与えて出力する。
【0010】
また、好ましくは、本発明の音響再生装置は、信号処理部のラウドネス補償回路が、第2実効値検出回路が検出する第2実効値レベルが小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に大きくなるラウドネス補償特性を含み、ラウドネスレベル検出回路が、第1実効値検出回路が検出する第1実効値レベルが小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に小さくなる等ラウドネス特性の逆特性を含む。
【0011】
また、好ましくは、本発明の音響再生装置は、信号処理部の第1実効値検出回路および第2実効値検出回路が、入力信号の実効値信号を出力する実効値算出回路と、実効値信号の低周波成分を出力する低域通過フィルタ回路と、低域通過フィルタの出力の変動を抑制するリミッタ回路と、をそれぞれ含む。
【0012】
また、好ましくは、本発明の音響再生装置は、信号処理部のラウドネス補償回路およびラウドネスレベル検出回路が、入力信号を遅延させて出力する遅延回路をそれぞれ含み、ラウドネスレベル検出回路の遅延回路が、第1実効値検出回路が第1実効値レベルを検出する遅延特性に応じた第1遅延時間を遅延時間に設定し、ラウドネス補償回路の遅延回路が、第2実効値検出回路が第2実効値レベルを検出する遅延特性に応じた第2遅延時間と第1遅延時間との和を遅延時間に設定する。
【0013】
また、好ましくは、本発明の音響再生装置は、信号処理部のレベル調整回路が、信号処理部でのゲイン値および増幅器での増幅ゲイン値を含めて設定ゲイン値を設定し、連動レベル調整回路が、分岐された入力信号に設定ゲイン値を与えて出力する。
【0014】
また、好ましくは、本発明の音響再生装置は、信号処理部が、入力信号に電気音響変換器の応答特性を補正する補正特性を与えてラウドネス補償回路および連動レベル調整回路に出力する変換器特性補正回路をさらに含む。
【0015】
また、好ましくは、本発明の音響再生装置は、電気音響変換器が、スピーカーまたはヘッドホンのいずれかである。
【0016】
以下、本発明の作用について説明する。
【0017】
本発明の音響再生装置は、入力される音声の入力信号を信号処理して出力する信号処理部と、信号処理部の出力信号を増幅して出力する増幅器と、増幅された音声信号を音波に変換する電気音響変換器と、を備える。好ましくは、電気音響変換器は、スピーカーまたはヘッドホンのいずれかである。信号処理部は、デジタル信号処理を行なうDSP(Digital Signal Processor)およびD/A(Digital−Analog)変換器を含んで構成されていてもよい。本発明の音響再生装置は、入力信号に対して適切なラウドネス補償特性を与えて、電気音響変換器により音波に変換して再生する。
【0018】
本発明の音響再生装置では、信号処理部が、入力信号にラウドネス補償特性を与えて出力するラウドネス補償回路と、ラウドネス補償回路の出力信号に所定のゲイン値を与えて増幅器に出力するレベル調整回路と、分岐された入力信号に電気音響変換器の応答特性に相当する特性を与えて出力する変換器特性反映回路と、変換器特性反映回路の出力信号にレベル調整回路で調整されたゲイン値を設定ゲイン値として与えて出力する連動レベル調整回路と、連動レベル調整回路の出力信号の実効値レベルを検出する第1実効値検出回路と、第1実効値検出回路が検出する第1実効値レベルに対応する等ラウドネス特性の逆特性を連動レベル調整回路の出力信号に与えるラウドネスレベル検出回路と、ラウドネスレベル検出回路の出力信号の実効値レベルを検出する第2実効値検出回路と、を含む。信号処理部のラウドネス補償回路は、好ましくは、第2実効値検出回路が検出する第2実効値レベルが小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に大きくなるラウドネス補償特性を含み、ラウドネスレベル検出回路が、第1実効値検出回路が検出する第1実効値レベルが小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に小さくなる等ラウドネス特性の逆特性を含む。
【0019】
したがって、信号処理部のラウドネス補償回路は、分岐した入力信号に基づいて第2実効値検出回路が検出する第2実効値レベルに対応するラウドネス補償特性を入力信号に与えて出力することができる。第2実効値検出回路が検出する第2実効値レベルは、変換器特性反映回路ならびに連動レベル調整回路を経た入力レベルに応じた等ラウドネス特性の逆特性を反映させたラウドネスレベル検出回路の出力により定まるので、その結果、音響再生装置に接続されて入力される音声信号の入力レベルが様々である場合であっても、適切なラウドネス補償特性を与えることができる。
【0020】
また、好ましくは、本発明の音響再生装置は、信号処理部の第1実効値検出回路および第2実効値検出回路が、入力信号の実効値信号を出力する実効値算出回路と、実効値信号の低周波成分を出力する低域通過フィルタ回路と、低域通過フィルタの出力の変動を抑制するリミッタ回路と、をそれぞれ含む。したがって、入力信号の変動が大きい場合であっても、ラウドネス補償特性が急激に変動しないようにして、違和感のない音声再生が可能になる。
【0021】
さらに、音響再生装置の信号処理部のラウドネス補償回路およびラウドネスレベル検出回路が、入力信号を遅延させて出力する遅延回路をそれぞれ含み、ラウドネスレベル検出回路の遅延回路が、第1実効値検出回路が第1実効値レベルを検出する遅延特性に応じた第1遅延時間を遅延時間に設定し、ラウドネス補償回路の遅延回路が、第2実効値検出回路が第2実効値レベルを検出する遅延特性に応じた第2遅延時間と第1遅延時間との和を遅延時間に設定する場合には、音声信号の変化がほぼ同時に適切にラウドネス補償に反映されるようになるので、違和感のない音声再生が可能になる。
【0022】
また、好ましくは、本発明の音響再生装置は、信号処理部のレベル調整回路が、信号処理部でのゲイン値および増幅器での増幅ゲイン値を含めて設定ゲイン値を設定し、連動レベル調整回路が、分岐された入力信号に設定ゲイン値を与えて出力する。したがって、例えば、音響再生装置の再生音圧レベルを低下させる場合に、DSPで構成する信号処理部でのレベル調整回路によりゲイン値を小さくしすぎると、D/Aの出力信号が小さくなりすぎて雑音の影響が相対的に大きくなる場合がある。レベル調整手段である増幅器でのボリューム等の増幅ゲイン値を含めて設定ゲイン値を設定することで、上記のような場合にも適切なラウドネス補償特性を与えることができる。
【0023】
また、好ましくは、本発明の音響再生装置は、信号処理部が、入力信号に電気音響変換器の応答特性を補正する補正特性を与えてラウドネス補償回路および連動レベル調整回路に出力する変換器特性補正回路をさらに含む。したがって、最低共振周波数f0以下の再生音圧レベルが低下するスピーカーの低音域をブーストする補正特性を加える場合であっても、その補正特性を考慮した上で入力信号のレベルに応じて適切なラウドネス補償特性を与えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の音響再生装置は、スピーカーまたはヘッドホンといった電気音響変換器で再生する音圧レベルに応じて、ボリューム等のレベル調整手段の設定情報のみならず、入力信号のレベルに応じて適切なラウドネス補償特性を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の好ましい実施形態による音響再生装置1について説明する図である。(実施例1)
【図2】本発明の好ましい実施形態による音響再生装置1を構成する信号処理部2のDSP5について説明する図である。(実施例1)
【図3】本発明の好ましい実施形態による音響再生装置1を構成する信号処理部2のラウドネスレベル検出回路15の等ラウドネス特性を説明するグラフである。(実施例1)
【図4】本発明の好ましい実施形態による音響再生装置1を構成する信号処理部2のラウドネスレベル補償回路11のラウドネス補償特性を説明するグラフである。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態による音響再生装置について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の好ましい実施形態による音響再生装置1について説明する図である。具体的には、図1(a)は、スピーカーシステム3を含む音響再生装置1の構成を示すブロック図であり、図1(b)は、スピーカーシステム3をヘッドホン9に代える場合を説明する図である。また、図2は、音響再生装置1を構成する信号処理回路2のDSP5について説明する図である。また、図3は、信号処理部2のラウドネスレベル検出回路15の等ラウドネス特性の逆特性を説明するグラフである。さらに、図4は、信号処理回路2のラウドネスレベル補償回路11のラウドネス補償特性を説明するグラフである。なお、説明に不要な一部の構造や、内部構造等は、図示ならびに説明を省略している。
【0028】
音響再生装置1は、信号処理回路2と、スピーカーシステム3(左スピーカー3L、右スピーカー3R)と、から構成される。音響再生装置1は、スピーカーシステム3に代えてヘッドホン9を用いることができる。音響再生装置1は、ステレオ左右音声信号LおよびRを再生する場合に、ボリューム等のレベル調整手段の設定情報と、入力信号のレベルと、再生する音圧レベルと、に応じて適切なラウドネス補償特性を与えて、スピーカーシステム3またはヘッドホン9により音声再生ができる。音響再生装置1を使用するリスナーは、再生する音圧レベルが低い場合、あるいは、高い場合でも、低音域および高音域のバランスがよい音声を得ることができる。
【0029】
信号処理回路2は、信号処理回路2の全体を制御する制御回路4と、2つのステレオ左右音声信号LおよびRを入力して信号処理するDSP(デジタルシグナルプロセッサ)5と、DSP5の2チャンネル分の出力を受けてアナログ信号に変換するD/A変換器6、および、これらのアナログ信号をそれぞれ増幅してスピーカーシステム3へ出力するアンプ回路7と、制御回路4に接続するボリューム操作部8と、を少なくとも含む。信号処理回路2は、左信号Lおよび右信号Rを入力する入力端子InputLおよびInputRと、2つのアンプ回路7の出力を出力する出力端子OutputLおよびOutputRを有する。具体的には、信号処理回路2は、ステレオ音声に対応したDSPおよびステレオアンプ回路を内蔵するAVレシーバー等により構成し得る。制御回路4は、信号処理回路2を制御するマイコン等であればよく、ユーザーがボリューム操作部8を操作する場合には、得られるボリューム制御情報をDSP5に与えて制御する。もちろん、信号処理回路2は、DSPと、D/A変換器と、アンプ回路と、を含む他の音響再生装置により構成してもよい。
【0030】
スピーカーシステム3は、それぞれキャビネットに取り付けられたスピーカーユニットを含む左スピーカー3Lおよび右スピーカー3Rにより構成される。左スピーカー3Lおよび右スピーカー3Rが直接放射型の動電型スピーカーの場合には、キャビネットの体積が小さい場合にはキャビネット内部の空気のスティフネスが大きくなり、スピーカーユニットの最低共振周波数f0が上昇する。スピーカーユニットの最低共振周波数f0以下の周波数では、スピーカーシステム3は音圧レベルが低下するので、キャビネットが小さいほど低音再生には不利になる。したがって、信号処理回路2は、左スピーカー3Lおよび右スピーカー3Rの低域特性を改善するように、音声信号処理を含む。左スピーカー3Lおよび右スピーカー3Rは、ほぼ同じ音響放射特性を有するものが好ましく、同一のものが最も好ましい。
【0031】
また、ヘッドホン9は、スピーカーシステム3に代えて音響再生装置1を構成する。ヘッドホン9は、リスナーの両耳に対応する左右のドライバー部と、これらの左右のドライバー部を連結してリスナーの頭部に載置するヘッドバンド部と、左右のドライバー部にアンプ回路7の出力を接続する接続線部と、を少なくとも含む。ヘッドホン9のドライバー部は、動電型、静電型、その他の形式にかかわらず小型になるほど低音域の周波数では、スピーカーシステム3は音圧レベルが低下する。したがって、信号処理回路2は、ヘッドホン9の低域特性を改善するように、音声信号処理を行なう。
【0032】
なお、以下の具体例では、ヘッドホン9に代えてスピーカーシステム3を用いる場合の音響再生装置1を説明する。
【0033】
信号処理回路2のDSP5は、デジタル信号である左信号Lおよび右信号Rを信号処理して出力する。DSP5は、入力端子InputLおよびInputRに入力される左信号Lおよび右信号Rにスピーカーシステム3の応答特性を補正する補正特性を与える変換器特性補正回路17と、変換器特性補正回路17の出力信号にラウドネス補償特性を与えて出力するラウドネス補償回路11と、ラウドネス補償回路11の出力信号に所定のゲイン値Gを与えてアンプ回路7に出力するレベル調整回路12と、分岐された入力信号にスピーカーシステム3の応答特性に相当する特性を与えて出力する変換器特性反映回路10と、変換器特性反映回路10の出力信号にレベル調整回路12で調整されたゲイン値Gを設定ゲイン値として与えて出力する連動レベル調整回路13と、連動レベル調整回路13の出力信号の実効値レベルを検出する第1実効値検出回路14と、第1実効値検出回路14が検出する第1実効値レベルRMS1に対応する等ラウドネス特性の逆特性を連動レベル調整回路13の出力信号に与えるラウドネスレベル検出回路15と、ラウドネスレベル検出回路15の出力信号の実効値レベル(第2実効値レベルRMS2)を検出する第2実効値検出回路16と、を含む。また、DSP5には、制御回路4に接続してボリューム操作部8から得られるボリューム制御情報Cを入力する所定の制御端子を有する。
【0034】
DSP5の変換器特性補正回路17は、入力端子InputLおよびInputRに入力される左信号Lおよび右信号Rにスピーカーシステム3の応答特性を補正する補正特性を与えて、ラウドネス補償回路11および変換器特性反映回路10に出力する。例えば、変換器特性補正回路17は、スピーカーシステム3の最低共振周波数f0以下の周波数帯域の一部を相対的にレベルが大きくなるような周波数特性を、入力される左信号Lおよび右信号Rに与えるフィルタ回路30Lおよび30Rと、を含む。フィルタ回路30Lおよび30Rは、LPF、HPF等のパラメータを変更できるフィルタの組み合わせから構成されるデジタルフィルタ回路であればよい。なお、変換器特性補正回路17は、所定の周波数特性を与えるものであればよく、また、何も特性補正を行なわずにスルーして、ラウドネス補償回路11および変換器特性反映回路10に出力してもよい。
【0035】
DSP5のラウドネス補償回路11は、第2実効値検出回路16が検出する第2実効値レベルRMS2に対応するラウドネス補償特性を、入力される左信号Lおよび右信号Rに与えて、レベル調整回路12を通じてD/A変換器6に出力する。ラウドネス補償回路11は、左右の入力信号を遅延させる遅延回路28Lおよび28Rと、ラウドネス補償特性を遅延回路28Lおよび28Rの出力信号に与えるフィルタ回路27Lおよび27Rと、を含む。遅延回路28Lおよび28Rは、後述するように、第1実効値検出回路14と第2実効値検出回路16との遅延特性に応じて遅延時間T0を設定する。また、フィルタ回路27Lおよび27Rは、LPF、HPF等のパラメータを変更できるフィルタの組み合わせから構成されるデジタルフィルタ回路である。このように、ラウドネス補償回路11は、ボリューム制御情報Cを参照して所定のラウドネス補償特性を入力される左信号Lおよび右信号Rに与えて、レベル調整回路12に出力する。
【0036】
DSP5のレベル調整回路12は、ラウドネス補償回路11からの左右の出力信号に所定のゲインを与える2つの乗算器20を含む。乗算器20のゲインGは、制御回路4からボリューム制御情報Cに基づいて設定される。ユーザーがボリューム操作部8を、再生音量が大きくなるように操作する場合にはゲインGは相対的に大きい値となり、再生音量が小さくなるように操作する場合にはゲインGは相対的に小さい値となる。レベル調整回路12は、D/A変換器6にレベル調整された左右信号を出力する。
【0037】
DSP5の変換器特性反映回路10は、変換器特性補正回路17の出力信号である左信号Lおよび右信号Rにスピーカーシステム3の応答特性に相当する応答特性を与えて、連動レベル調整回路13に出力する。変換器特性反映回路10は、スピーカーシステム3の最低共振周波数f0以下の周波数帯域の一部を相対的にレベルが小さくなるような周波数特性を、入力される左信号Lおよび右信号Rに与えるフィルタ回路31Lおよび31Rと、を含む。フィルタ回路31Lおよび301は、LPF、HPF等のパラメータを変更できるフィルタの組み合わせから構成されるデジタルフィルタ回路であればよい。なお、変換器特性反映回路10は、所定の周波数特性を与えるものであればよく、連動レベル調整回路13に出力すればよい。
【0038】
DSP5の連動レベル調整回路13は、ラウドネス補償回路11からの左右の出力信号に所定のゲインを与える2つの乗算器21と、2つの乗算器21の出力を加算する加算器22と、を含む。連動レベル調整回路13の乗算器21の設定ゲイン値は、レベル調整回路12で調整されたゲイン値Gに連動して設定される。レベル調整回路12で調整されたゲイン値Gは、上述の通り、制御回路4からボリューム制御情報Cに基づいて設定されるので、ユーザーがボリューム操作部8を、再生音量が大きくなるように操作する場合には、乗算器21の設定ゲイン値も相対的に大きい値となり、再生音量が小さくなるように操作する場合には相対的に小さい値となる。連動レベル調整回路13は、レベル調整された左右信号を加算器22で加算して、第1実効値検出回路14およびラウドネスレベル検出回路15にレベル調整された左右加算信号を出力する。
【0039】
DSP5の第1実効値検出回路14は、連動レベル調整回路13の出力信号の実効値レベル(第1実効値レベルRMS1)を検出する。具体的には、第1実効値検出回路14は、入力信号の実効値信号を出力する実効値算出回路18と、実効値信号の低周波成分を出力する低域通過フィルタ回路23と、低域通過フィルタ23の出力の変動を抑制するリミッタ回路24と、をそれぞれ含む。第1実効値検出回路14の出力である第1実効値レベルRMS1は、連動レベル調整回路13を通過した音声信号の全周波数帯域の包絡線(エンベロープ)の情報であるので、左信号Lおよび右信号Rを音声再生した場合の音圧レベルにほぼ比例する。第1実効値検出回路14は、検出した第1実効値レベルRMS1を、ラウドネスレベル検出回路15に制御情報として出力する。なお、低域通過フィルタ回路23は、通過域を極めて低い周波数に設定される。また、リミッタ回路24は、低域通過フィルタ23の出力の変動を抑制するフィルタ回路を含むので、所定の遅延が生じる。したがって、第1実効値レベルRMS1は、入力される連動レベル調整回路13の出力信号の包絡線よりも、第1実効値検出回路14の具体的構成の遅延特性に応じて実際には遅延する。この遅延時間を第1遅延時間T1とする。
【0040】
DSP5のラウドネスレベル検出回路15は、第1実効値検出回路14が検出する第1実効値レベルRMS1に対応する等ラウドネス特性の逆特性を、入力される連動レベル調整回路13の出力信号に与える。ラウドネスレベル検出回路15は、連動レベル調整回路13の出力信号に与えるフィルタ回路29を含み、フィルタ回路29は、第1実効値レベルRMS1により所定のフィルタ特性に変更される。フィルタ回路29は、LPF、HPF等のパラメータを変更できるフィルタの組み合わせから構成されるデジタルフィルタ回路である。このように、ラウドネスレベル検出回路15は、第1実効値レベルRMS1を参照して所定の等ラウドネス特性の逆特性を入力される連動レベル調整回路13の出力信号に与えて、第2実効値検出回路16に出力する。
【0041】
図3は、信号処理部2のラウドネスレベル検出回路15の等ラウドネス特性の逆特性を説明するグラフである。等ラウドネス特性の逆特性は、音声信号である左信号Lおよび右信号Rの信号レベルが小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に小さくなる周波数特性になる。具体的には、ラウドネスレベル検出回路15の等ラウドネス特性の逆特性は、第1実効値検出回路14が検出する第1実効値レベルRMS1が小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に小さくなり、第1実効値レベルRMS1が大きくなるほど、中音域レベルに対する低音域レベルおよび高音域レベルの相対的なレベル差が小さくなる。この等ラウドネス特性の逆特性は、人間の聴覚特性を反映したものであって、音波の音圧レベルが小さくなるほど、中音域よりも低音域および高音域の感度が相対的に小さくなることを模している。したがって、ラウドネスレベル検出回路15の出力は、リスナーが感じる音の大きさを反映した信号として第2実効値検出回路16に入力される。
【0042】
DSP5の第2実効値検出回路16は、ラウドネスレベル検出回路15の出力信号の実効値レベル(第2実効値レベルRMS2)を検出する。具体的には、第2実効値検出回路16は、入力信号の実効値信号を出力する実効値算出回路19と、実効値信号の低周波成分を出力する低域通過フィルタ回路25と、低域通過フィルタ25の出力の変動を抑制するリミッタ回路26と、をそれぞれ含む。第2実効値検出回路16の出力である第2実効値レベルRMS2は、連動レベル調整回路13を通過した音声信号であってそのうちの聴覚特性を反映したフィルタを通過した信号の包絡線(エンベロープ)の情報であるので、左信号Lおよび右信号Rを音声再生した場合のリスナーの聴覚上の音の大きさにほぼ比例する。第2実効値検出回路16は、検出した第2実効値レベルRMS2を、ラウドネスレベル補償回路11に制御情報として出力する。なお、低域通過フィルタ回路25は、通過域を極めて低い周波数に設定される。また、リミッタ回路26は、低域通過フィルタ25の出力の変動を抑制するフィルタ回路を含むので、所定の遅延が生じる。したがって、第2実効値レベルRMS2は、入力されるラウドネスレベル検出回路15の出力信号の包絡線よりも、第2実効値検出回路16の具体的構成の遅延特性に応じて実際には遅延する。この遅延時間を第2遅延時間T2とする。
【0043】
図4は、信号処理部2のラウドネスレベル補償回路11のラウドネス補償特性を説明するグラフである。ラウドネス補償特性は、ボリューム制御情報Cを参照して、等ラウドネス特性と同様に再生音量レベルが小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に大きくなる周波数特性になる。具体的には、ラウドネス補償回路11のラウドネス補償特性は、第2実効値検出回路16が検出する第2実効値レベルRMS2が小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に大きくなり、第2実効値レベルRMS2が大きくなるほど、中音域レベルに対する低音域レベルおよび高音域レベルの相対的なレベル差が小さくなる。ラウドネスレベル補償回路11のフィルタ回路27Lおよび27Rは、LPF、HPF等のパラメータを変更できるフィルタの組み合わせから構成されるデジタルフィルタ回路である。したがって、ラウドネス補償回路11は、ボリューム制御情報Cを参照して所定のラウドネス補償特性を入力される左信号Lおよび右信号Rに与えて、レベル調整回路12に出力することができる。
【0044】
なお、上述の通り、ラウドネス補償回路11の遅延回路28Lおよび28Rは、第1実効値検出回路14での第1遅延時間T1と、第2実効値検出回路16での第2遅延時間T2との和の遅延時間を、遅延時間T0として設定する。したがって、入力される左右の音声信号に対して、その音声が再生される場合の聴覚上の音の大きさに応じて、ラウドネス補償特性を反映することができる。第1実効値検出回路14および第2実効値検出回路16は、それぞれ検出する音声信号の実効値の変動を抑制するフィルタ回路ならびにリミット回路を含むので、急激な音声レベルの変動があっても、音声信号に追従して適切にラウドネス補償特性を反映した音声再生が可能になる。音声信号の変化がほぼ同時に適切にラウドネス補償に反映されるようになるので、違和感のない音声再生が可能になる。
【0045】
なお、音響再生装置1は、信号処理部2のレベル調整回路12および連動レベル調整回路13が、信号処理部2でのゲイン値Gおよびアンプ回路7での増幅ゲイン値Gaを含めて、設定ゲイン値を設定するものであってもよい。つまり、ボリューム操作部8をユーザーが操作する場合に、アンプ回路7での増幅ゲイン値Gaが制御回路4から変更されると、連動レベル調整回路13は、アンプ回路7での増幅ゲイン値Gaの変更を反映させた上で分岐された入力信号に設定ゲイン値を与えて出力する。したがって、ボリューム操作部8をユーザーが操作して音響再生装置1の再生音圧レベルを低下させる場合に、DSPで構成する信号処理部2でのレベル調整回路12のゲイン値Gを小さくしすぎなくてすむので、D/Aの出力信号が小さくなりすぎて雑音の影響が相対的に大きくなるような不具合が発生しない。アンプ回路7での増幅ゲイン値Gaを含めて設定ゲイン値を設定することで、上記のような場合にも適切なラウドネス補償特性を与えることができる。
【0046】
また、音響再生装置1では、信号処理部2が、入力信号である左信号Lおよび右信号Rに対して、ラウドネス補償回路11および変換器特性反映回路10へ分岐する前に変換器特性補正回路17によってスピーカーシステム3の応答特性を補正する補正特性を与えている。したがって、最低共振周波数f0が異なる他のスピーカーシステム3に対応する場合には、この変換器特性補正回路17を変更することによって、スピーカーシステム3の低音域をブーストする補正特性を変更して適切なラウドネス補償特性を与えることができる。
【0047】
もちろん、スピーカーシステム3に代えてヘッドホン9を用いることができ、音響再生装置1は、ステレオ左右音声信号LおよびRを再生する場合に、ボリューム等のレベル調整手段の設定情報と、入力信号のレベルと、再生する音圧レベルと、に応じて適切なラウドネス補償特性を与えて、スピーカーシステム3またはヘッドホン9により音声再生ができる。音響再生装置1を使用するリスナーは、再生する音圧レベルが低い場合、あるいは、高い場合でも、低音域および高音域のバランスがよい音声を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の音響再生装置は、単独でステレオ音声信号を再生するステレオ装置、あるいは、マルチチャンネルサラウンド音声再生装置のみならず、ディスプレイ等の映像・音響機器に内蔵するスピーカー、または、音声を再生するスピーカーを内蔵するキャビネットを有するゲーム機、スロットマシン等の遊戯機にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 音響再生装置
2 信号処理部
3 スピーカーシステム
4 制御回路
5 DSP
6 D/A変換器
7 アンプ回路
8 ボリューム操作部
9 ヘッドホン
10 変換器特性反映回路
11 ラウドネス補償回路
12 レベル調整回路
13 連動レベル調整回路
14 第1実効値検出回路
15 ラウドネスレベル検出回路
16 第2実効値検出回路
17 変換器特性補正回路
18、19 実効値算出回路
20、21 乗算器
22 加算器
23、25 低域通過フィルタ回路
24、26 リミッタ回路
27L、27R、29、30L、30R、31L、31R フィルタ回路
28L、28R 遅延回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される音声の入力信号を信号処理して出力する信号処理部と、該信号処理部の出力信号を増幅して出力する増幅器と、増幅された該音声信号を音波に変換する電気音響変換器と、を備え、
該信号処理部が、該入力信号にラウドネス補償特性を与えて出力するラウドネス補償回路と、該ラウドネス補償回路の出力信号に所定のゲイン値を与えて該増幅器に出力するレベル調整回路と、分岐された該入力信号に該電気音響変換器の応答特性に相当する特性を与えて出力する変換器特性反映回路と、該変換器特性反映回路の出力信号に該レベル調整回路で調整された該ゲイン値を設定ゲイン値として与えて出力する連動レベル調整回路と、該連動レベル調整回路の出力信号の実効値レベルを検出する第1実効値検出回路と、該第1実効値検出回路が検出する第1実効値レベルに対応する等ラウドネス特性の逆特性を該連動レベル調整回路の出力信号に与えるラウドネスレベル検出回路と、該ラウドネスレベル検出回路の出力信号の実効値レベルを検出する第2実効値検出回路と、を含み、
該ラウドネス補償回路が、該第2実効値検出回路が検出する第2実効値レベルに対応する該ラウドネス補償特性を該入力信号に与えて出力する、
音響再生装置。
【請求項2】
前記信号処理部の前記ラウドネス補償回路が、前記第2実効値検出回路が検出する前記第2実効値レベルが小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に大きくなる前記ラウドネス補償特性を含み、
前記ラウドネスレベル検出回路が、前記第1実効値検出回路が検出する前記第1実効値レベルが小さくなるほど、中音域レベルよりも低音域レベルおよび高音域レベルが相対的に小さくなる前記等ラウドネス特性の逆特性を含む、
請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項3】
前記信号処理部の前記第1実効値検出回路および前記第2実効値検出回路が、入力信号の実効値信号を出力する実効値算出回路と、該実効値信号の低周波成分を出力する低域通過フィルタ回路と、該低域通過フィルタの出力の変動を抑制するリミッタ回路と、をそれぞれ含む、
請求項1または2に記載の音響再生装置。
【請求項4】
前記信号処理部の前記ラウドネス補償回路および前記ラウドネスレベル検出回路が、入力信号を遅延させて出力する遅延回路をそれぞれ含み、
該ラウドネスレベル検出回路の該遅延回路が、前記第1実効値検出回路が前記第1実効値レベルを検出する遅延特性に応じた第1遅延時間を遅延時間に設定し、該ラウドネス補償回路の該遅延回路が、前記第2実効値検出回路が前記第2実効値レベルを検出する遅延特性に応じた第2遅延時間と該第1遅延時間との和を遅延時間に設定する、
請求項1から3のいずれかに記載の音響再生装置。
【請求項5】
前記信号処理部の前記レベル調整回路が、該信号処理部での前記ゲイン値および前記増幅器での増幅ゲイン値を含めて前記設定ゲイン値を設定し、前記連動レベル調整回路が、分岐された該入力信号に該設定ゲイン値を与えて出力する、
請求項1から4のいずれかに記載の音響再生装置。
【請求項6】
前記信号処理部が、入力信号に前記電気音響変換器の応答特性を補正する補正特性を与えて前記ラウドネス補償回路および前記連動レベル調整回路に出力する変換器特性補正回路をさらに含む、
請求項1から5のいずれかに記載の音響再生装置。
【請求項7】
前記電気音響変換器が、スピーカーまたはヘッドホンのいずれかである、
請求項1から6のいずれかに記載の音響再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−98951(P2013−98951A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242971(P2011−242971)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】