説明

顕微鏡カメラ用ビデオアダプタ

【課題】ビデオアダプタを、技術的により簡便な方式で実現すること。
【解決手段】本発明は、顕微鏡(100)への接続部とカメラ(12)への接続部を有する顕微鏡(100)用ビデオアダプタ(1)に関し、ビデオアダプタ(1)は、露出設定用、焦点及び/又は倍率設定用、及び/又は、顕微鏡(100)の観測ビーム経路(109)の少なくとも一部を偏向するための少なくとも1つの光学部品(14〜17)を有し、少なくとも1つの光学部品(14〜17)は、SLM光学ユニットを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡への接続部とカメラへの接続部を有する顕微鏡用ビデオアダプタであって、露出設定、焦点及び/又は倍率設定、及び/又は、顕微鏡の観測ビーム経路の少なくとも一部をカメラの画像面に偏向するための少なくとも1つの第1の光学部品を有するビデオアダプタに関し、かかるビデオアダプタを備えた顕微鏡、特に、立体顕微鏡(実体顕微鏡)に関する。「接続部」という用語は、取り外し可能な接続部のみならず、固定接続部も含むものとする。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡カメラ用ビデオアダプタは、例えば、米国特許第6056409号及び欧州特許第1216431号により公知となっており、両者は実質上同一の構成のビデオアダプタに関するものである。ビデオアダプタは、ビデオカメラを顕微鏡に接続する。ビデオカメラという用語は、デジタル及びアナログの動画又は静止画カメラを含む。CCD(Charge Coupled Devices)カメラがしばしば用いられる。顕微鏡は、原理的には、任意の顕微鏡であってもよく、特に、立体顕微鏡又は外科手術用顕微鏡であってもよい。カメラをそのような顕微鏡に接続することによって、例えば、検査過程を文書化することができる。特に、外科手術用顕微鏡の場合には、このようにして、処置を文書化することができるのみならず、リアルタイムに追跡することもできる。特に、カメラ画像を検査箇所又は処置箇所から離れた場所へ遠隔送信するも可能となる(遠隔診断、遠隔手術)。
【0003】
様々な写真アダプタ及びカメラアダプタの様々なモデル、それらが使用される分野、それらに関する技術的なデータ、及び、ビームコースの表示が非特許文献1に見られる。この文書は、立体顕微鏡における公知のビームコースを表示しており、変倍部と双眼鏡筒との間の平行ビーム部において、立体顕微鏡の2つのチャネルのうちの少なくとも1つにビームスプリッタが設けられている。ビームスプリッタは、観測ビーム経路の一部を立体顕微鏡の文書化ポートに偏向する。顕微鏡の文書化ポートに対して、写真、フィルム又はTVアダプタとして設計されたビデオアダプタが接続される。言及されている様々なアダプタの構成は類似していることから、様々なアダプタは、本願において「ビデオアダプタ」という用語に統合するものとする。平行ビーム経路が出射されることから、カメラの画像面において画像を生成するためには、各ビデオアダプタは収束光学ユニットを有していなければならない。ビーム経路は、通常、偏向ミラーによってカメラの方向に導かれる。フィルムカメラ用のアダプタは、さらに、可変絞り(アイリス絞り)を有している。それは手動で駆動してもよいし、又は、上述のように、モータ制御方式で駆動してもよい。異なる作業視野(物体領域)の照明条件、及び、異なる顕微鏡の倍率設定に対して、カメラにおける最適な露出を保障するために、(自動)絞り制御は非常に重要である。上述のビデオアダプタの光学部品、すなわち、収束光学ユニット又はズームシステム、偏向ミラー及びアイリス絞りについても、構造及び機能に関して、引用文献(特許文献1、2)においてより詳細に記載されている。ここで、これらの文献を明示的に引用するものとする。
【0004】
例えば、患者の目、脳又は耳の処置の場合や、ウエハ検査のような工業的応用の場合において、被検査領域の位置が原因で、又は、被検査対象の動きが原因で、検査すべき領域が、しばしば、カメラの中心又は視野にないことがある。したがって、顕微鏡自体を移動することなく、再調整を行う必要がある。同じことは、検査すべき領域がカメラによってはっきり画像化されていない場合にも当てはまる。手術の場合に、外科医又は補助者が、ビデオアダプタに対するそのような再調整を行うことは、一般に合理的でない。したがって、そのような再調整を主に自動で行えるようにする必要がある。
【0005】
このために、引用文献(特許文献2)は、上記の再調整が操作者によってモータ制御方式で行うことができ、カメラ画像を遠隔で制御することができるビデオアダプタを提案している。この文献で提案されているビデオアダプタは、接続部から顕微鏡に向かって、アイリス絞りと、ズームシステムと、観測ビームをカメラに対する接続部品へ90度偏向する偏向ミラーを有している。自動調整のために、ビデオアダプタは、アイリス絞りを駆動する第1のモータ、焦点制御用の第2のモータ、並びに、偏向ミラーを動かす第3及び第4のモータを有する。顕微鏡画像を表す、偏向ミラーにおける画像を所望の方向に回転することができ、特定の抜粋された画像をカメラの画像面の特定の位置に導くことができるように、最後に言及したこれら2個のモータによって、偏向ミラーは、2つの互いに垂直な軸の周りに動かすことができる。上述の第2のモータによると、焦点を制御するために、ズームシステムを格納するシリンダを、ビデオアダプタ内において光軸にそって移動させることができる。さらに、ズームシステム自身は、その倍率を手動で、及び/又は、自動で調整することができる。
【0006】
この公知のモータに基づくビデオアダプタは、偏向ミラーを調整する少なくとも2つのモータを有する。アイリス絞りの機能を制御するため、並びに、焦点及びズーム調整を制御するために、さらにモータが設けられている。
【0007】
異なる文脈で、可変性の光学特性を有する立体顕微鏡システムが、特許文献3に記載されている。この文献は、正の屈折力を有する第1のレンズと、負の屈折力を有する第2のレンズと、立体顕微鏡システムの作動距離を可変とするための可変屈折力を有する第3のレンズとを備えた対物レンズを用いることを提案している。可変屈折力を有するレンズとして、電極構造により駆動することができる液晶層を有するレンズが提案されている。さらに、この文献は、ズーム光学ユニットのレンズアセンブリをズーム光学ユニットの主軸に沿って移動させることなく、立体顕微鏡システムの倍率を可変とするために、立体顕微鏡システムの左右のステレオチャネルにおける2つのズーム光学ユニットに対して、可変屈折力を有するレンズを用いることを提案している。最後に、特許文献3は、立体顕微鏡システムの接眼レンズとして、そのような可変屈折力を有するレンズを用いることも提案している。可変屈折力を有する上述の液晶レンズに加えて、異なる屈折率を有する2つの非混合性の液体と2つの電極を備えた純粋な液体レンズも提案されており、電極間の電圧を変更することによって、2つの液体の境界面とこれらを囲む壁との間の角度を変えることができる。この角度の変更により、液体レンズのレンズ効果における変化がもたらされる。
【0008】
さらに他の文脈で、2つの偏向プリズムの間に設けられた電気光学層(例えば、液晶ディスプレイ、LCD)を用いることが、特許文献4に記載されており、それによって、入射光ビームに対するプリズム配置の反射率は、電子的に制御可能な方式で設定することができる。同様にして、特許文献5によると、例えば外科出術用顕微鏡において、強度及び/又は波長に依存して、対象物への照射強度を削減するために、LCDとして設置することができるスペクトルフィルタを用いることができる。
【0009】
さらに他の文脈で、光ビームを偏向するミラー素子を有するアレイが、特許文献6に一般的な形式で記載されており、アレイは、重くて大きなレンズを代替するために、例えば光イメージングシステムとして具体化することができる。
【0010】
さらに、マイクロミラーアレイレンズを有する3次元撮像装置が、特許文献7に記載されており、それによると、対象物の特定の対象平面から2次元画像が得られる。マイクロミラーアレイレンズを対応させて設定することによって、対象物の異なる焦面が、2次元画像として連続して画像化される。対応する画像は統合されて、画像処理により3次元画像を形成する。このために、2次元画像は、マイクロミラーアレイレンズの設定に起因する、奥行き情報と一緒に重ね合わされて、3次元画像を形成する。
【0011】
最後に、引用文献である特許文献6における構造と類似の構造が、特許文献8に記載されており、この構造は自動焦点システムとして用いられている。対象物は、レンズによって、検出器領域に画像化される。マイクロミラーアレイは、レンズと検出器との間に設けられる。対象物の焦点が合っていない場合には、検出器にぼやけた画像が生じ、検出器信号が変更されることとなる。変更された対象物の位置に画像システムの有効焦点距離が追従するように、対応する制御部によって、マイクロミラーアレイのマイクロミラーの方向を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6056409号明細書
【特許文献2】欧州特許第1216431号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10349293号明細書
【特許文献4】米国特許第6377397号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開1235093号明細書
【特許文献6】独国未公開特許第10116723号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開2005/0225884号明細書
【特許文献8】国際公開第2006/019570号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】"ZEISS Microscopes for Microsurgery," Springer-Verlag, 1981, edited by W.H. Lang and F. Muchel, pp. 86-96
【非特許文献2】Sven Krueger et al., "Schaltbare diffraktiv-optische Elemente zur Steuerung von Laserlicht" ["Switchable Diffractive Optical Elements for Controlling Laser Light"], Photonik 1/2004, page 46 et seq.
【非特許文献3】Photonik 5/2003, page 14, "Fluessigkristall-Optik" ["Liquid Crystal Optics"]
【非特許文献4】optics & laser europe (OLE), May 2006, page 11, "Liquid Crystals ease bifocal stain"
【非特許文献5】"DLP Technologie - nicht nur fuer Projektoren und Fernsehen" ["DLP Technology - not just for projectors and television"] in Photonik 1/2005, pp. 32-35
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献2のモータは、対応する機械的なギア機構と、それ相当に大きな体積と、それ相当に大きな重みと、モータ制御用の大規模な電子技術を必要とする。実際上、これは技術的に複雑であって、欠点となることが分かる。さらに、雑音及び振動の発生を削減するための手段を講じる必要があり、これらの手段は同様に複雑であり、しばしば慎重に設定されていないという欠点がある。
また、特許文献3において言及されている、光学部品、対物レンズ、ズーム光学ユニット及び接眼レンズは、正の屈折力を有する第1のレンズと、負の屈折力を有する第2のレンズと、可変屈折力を有する第3のレンズとを有する、少なくとも1つのレンズアセンブリを備えている。この手段によると、可動式のレンズアセンブリを設けることなく、焦点及び倍率変更を行うことができるものの、同時に、光学部品の部品点数が増加し、それによって、光学計算の複雑さが増大してコストが増加するのみならず、体積の増加も招くことになるという欠点がある。
本発明の目的は、上述の従来技術について言及した型のビデオアダプタであって、より技術的に簡便な方式で実現でき、特に、導入部において言及した欠点を回避したものを記載することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる目的は、本発明によると、請求項1に係るビデオアダプタによって達成される(形態1)。
【0016】
すなわち、第1の視点に係るビデオアダプタは、
顕微鏡への接続部とカメラへのさらなる接続部とを備え、露出設定用、焦点及び/又は倍率設定用、及び/又は、顕微鏡の観測ビーム経路(109)の少なくとも一部をカメラの画像面に偏向するための少なくとも1つの光学部品(4、5、6、7、14、15、16、17)を備えている、顕微鏡用のビデオアダプタであって、
少なくとも1つの光学部品(14、15、16、17)は、SLM光学ユニットを有する。(形態1)
【0017】
また、有利な構成は、従属請求項及び以下の記載から明らかにされる。
【0018】
第2の形態のビデオアダプタは、光学部品(17)のSLM光学ユニットが、反射型マイクロディスプレイを構成することが好ましい。反射型マイクロディスプレイは、特に、反射型LCDとしてもよい。
【0019】
第3の形態のビデオアダプタは、光学部品(17)のSLM光学ユニットが、個別に駆動しうるマイクロミラーであって、向きを設定することができるものを有するマイクロミラーアレイを構成することが好ましい。
【0020】
第4の形態のビデオアダプタは、光学部品(14,15、16)のSLM光学ユニットが、透過型マイクロディスプレイを構成することが好ましい。透過型マイクロディスプレイは、特に、透過型LCD又は液晶レンズ方式の透過型マイクロディスプレイとしてもよい。
【0021】
第5の形態のビデオアダプタは、少なくとも1つのSLM光学ユニットが、輝度制御、スペクトル強度制御、被写界深度制御、焦点合わせ制御、倍率制御、ビーム偏向、ビーム分離、ビームコースの光学補正を含むグループの中から選択された、前記ビデオアダプタにおける1又は2以上の機能を果たすことが好ましい。
【0022】
第6の形態のビデオアダプタは、光学部品(17)のSLM光学ユニットが、ビーム偏向用、焦点設定用、及び/又は、露出設定用のマイクロミラーアレイを有していることが好ましい。
【0023】
第7の形態のビデオアダプタは、光学部品(17)のSLM光学ユニットが、ビーム偏向用及び/又は露出設定用の反射型マイクロディスプレイを有していることが好ましい。
【0024】
第8の形態のビデオアダプタは、光学部品(14、15、16)のSLM光学ユニットが、焦点及び又は倍率設定用及び/又は露出設定用の透過型マイクロディスプレイを有していることが好ましい。
【0025】
第9の形態の顕微鏡システムは、上記のビデオアダプタとそれに接続することができる顕微鏡を備えていることが好ましい。
【0026】
第10の形態の顕微鏡システムは、前記ビデオアダプタに接続することができるカメラを備えていることが好ましい。
【0027】
第11の形態の顕微鏡システムは、
対物レンズ(101)と、立体顕微鏡のチャネル(102、103)の少なくとも2つに設けられた変倍部(104、105)と、双眼鏡筒(106)とを有し、観測ビーム経路(109)の少なくとも一部を立体顕微鏡の文書化ポート(110)に出射するビームスプリッタ(107)が、チャネル(102、103)の少なくとも1つに設けられた、立体顕微鏡(101)と、
立体顕微鏡の文書化ポート(110)に接続される顕微鏡用接続部とカメラ用接続部とを有するビデオアダプタと、を備えていることが好ましい。
【0028】
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るビデオアダプタは、ビデオアダプタのビーム経路に設けられた少なくとも1つのSLM光学ユニットを有している。かかるSLM光学ユニットは、それ自体は先行技術から公知であるが、特にビデオアダプタにおける使用に適している。これまでよりも技術的に非常に簡単に、特に、非常に小型で、軽量で、よりコンパクトで、応答時間が非常に短く、より精密な駆動を伴って、ビデオアダプタが実現されるという驚くべき広範な利点が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】立体顕微鏡とビデオアダプタを有する公知の顕微鏡システムの断面を示す。
【図2】公知のビデオアダプタの構造の断面を示す。
【図3】本発明の特定の実施形態におけるビデオアダプタの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本出願において、「SLM光学ユニット」という用語は、光波面の振幅及び/又は位相に高精度で影響を及ぼすことができるオプトエレクトロニック素子に対する総称として用いられるものとする。「SLM」という略語は、「空間光変調器(Spatial Light Modulator)」を表す。これは、一般に、入射ビーム形状を変更するために、アレイの各点において駆動することができる電子駆動アレイ(光学駆動SLMも存在する。)を含む。SLM技術の概要は、例えば非特許文献2に見られる。
【0032】
SLM光学ユニットは、特に、焦点合わせ及び/又は拡大のためにも用いられる。可変かつ調整可能な焦点距離を有する液晶レンズのような液晶光学ユニットが知られている(非特許文献3及び非特許文献4参照)。そのような液晶レンズの一形態は、2枚のガラス層の間に液晶層を有し、ガラス層は同心の透明電極リングによって表面が覆われている。電極リングに印加される電圧を変更することによって、これらの液晶レンズは、その焦点距離が変わる。いわゆる「EAPレンズ」(EAPとは、エレクトロアクティブポリマーをいう。)によると、他の可能性が生じ、レンズの屈折力は電圧を印加することによって変えることができる。そのような素子は、ビデオアダプタに存在する従来のレンズを全体として又は部分的に置き換えるのに非常に適している。かかる手段によると、簡単な焦点合わせが可能となる。ズームシステムの場合には、SLM光学ユニットを使用することによって、置換可能なズーム素子が不要となる。電子的に駆動が行われることから、レンズ群を全体として又は互いに相対的に移動させる従前のモータを無しで済ませることもできる。
【0033】
SLM光学ユニットは、反射型マイクロディスプレイであってもよく、特に、反射型液晶ディスプレイ(LCD)であってもよい。そのような反射型LCDは、例えば、LCoS(エルコス、Liquid Crystal over Silicon)光変調器として実現することができる。反射型のLCoSマイクロディスプレイの構成及び機能に関しては、引用文献(非特許文献2)を参照されたい。
【0034】
LCDシステムは、小型でアドレス指定可能な構造、高い分解能、及び、高いダイナミックレンジという長所を有する。高い精度かつ短い応答時間で、振幅及び位相変調を実現することができる。したがって、これらは、ビーム整形、ビーム分離、動的な収差補正等のために用いることができる。比較的新しい反射型LCDに加えて、透過型液晶ディスプレイのような透過型マイクロディスプレイ(「電子トランスペアレンシ」)が比較的長い期間にわたって知られており、本発明に対して同様に有利に用いることができる。
【0035】
SLM光学ユニットのさらに重要な代表例は、向きを設定することができ、個別に駆動しうるマイクロミラーを有するマイクロミラーアレイである(DMD、デジタルマイクロミラーデバイス(Digtal Micromirror Device))。そのようなマイクロミラーアレイは、ビーム偏向及びビーム分離のために使用することができる。マイクロミラーの向きが、球面又は非球面式に(ないし、より一般的に非平面式に)適当に方向付けられている場合には、マイクロミラーアレイは、焦点合わせ及び/又は光学補正のために用いることができる。技術的原理及び可能な用途に関しては、非特許文献5を参照されたい。
【0036】
以下の通り、従来のビデオアダプタの必須部品は、全体として、又は、少なくとも部分的に、SLM光学ユニットによって置き換えることができる。
【0037】
従来のビデオアダプタは、露出設定用の第1の光学部品と、焦点及び/又は倍率設定用の第2の光学部品と、観測ビーム経路をカメラの画像面に偏向するための第3の光学部品とを有する。すでに説明した通り、これらの光学部品は、一般に、それぞれ、アイリス絞り、収束レンズアセンブリ及び/又はズームシステム、及び、偏向ミラーである。
【0038】
ビデオアダプタに通例含まれており、ビデオアダプタにおけるビーム経路をカメラの画像面に導く偏向ミラー(第3の光学部品)は、本発明によるとSLM光学ユニットとして、特に、反射型マイクロディスプレイ又はマイクロミラーアレイとして具体化することができる。例えば、検査対象領域をカメラの視野又は画像中心に移動するために、2つの互いに垂直な(x−y)空間軸の周りに偏向ミラーを傾けることは、例えば、マイクロミラーアレイのマイクロミラーを対応して傾けることによって置き換えることができる。このようにして、マイクロミラーを支える基板はその位置を変えることなく、マイクロミラーのみが向きを変える。この場合には、マイクロミラーはもっぱら電子的に駆動され、その結果として、偏向ミラーを駆動するための従来のモータは不要となる。これに相当する場所、重さ及びノイズの問題も、これによって解消される。さらに、電子技術はより明快に構成し得る。
【0039】
さらに有利な構成によると、従来のビデオアダプタに含まれ、カメラの露出制御に役立つ駆動可能な(虹彩)絞り(第1の光学部品)は、SLM光学ユニットによって置き換えることができる。特に、透過型マイクロディスプレイは、かかる目的に適合する。これによって、例えば、ビデオアダプタにおいて、輝度、スペクトル強度及びビームコースの被写界深度を電子的に制御することが可能となる。アイリス絞りを駆動するモータは不要となる。このことは、すでに述べた利点と関連している。透過型SLM光学ユニットの絞りの形態、位置及び(分光)透過率は、適宜選択される。
【0040】
最後に、従来のビデオアダプタに含まれ、焦点合わせ及び/又は拡大、又は、ズーム設定に役立つ素子(第2の光学部品)も、SLM光学ユニットによって置き換えることができる。
【0041】
マイクロミラーを非球面若しくは球面、又は、より一般に非平面に配向することによって、例えば、偏向ミラーを置き換えるSLM光学ユニット(例えば、マイクロミラーアレイ)を、焦点合わせのためにも利用することが考えられる。マイクロミラーアレイ又は反射型マイクロディスプレイは、偏向ミラーとして用いた場合には、輝度設定にも用いることができる。他方、アイリス絞りを置き換える透過型SLM光学ユニットを、さらに焦点合わせにも利用することが考えられる。さらに、上記の場合には、光学補正(収差補正)も行うことができる。
【0042】
本発明によると、ビデオアダプタにおいてSLM光学ユニットを用いることによって、特に、従来のビデオアダプタにおいて異なる光学部品の間に分散していた機能を統合することができる。さらに、(光学補正のような)従前から利用されてきた光学部品によっては実現することができなかった新たな機能も、実装することができる。
【0043】
1又は2以上のSLM光学ユニットは、輝度制御、スペクトル強度制御、被写界深度制御、焦点合わせ制御、倍率制御、ビーム偏向、ビーム分離、ビームコースの光学補正を含むグループの中から選択された、ビデオアダプタにおける1又は2以上の機能を果たすことができる。この場合には、上記の機能の2つ又はそれ以上を、単一のSLM光学ユニットによって実現することができる。
【0044】
特に好ましい構成によると、ビデオアダプタの光学部品のSLM光学ユニットは、マイクロミラーアレイを有する。このマイクロミラーアレイは、上記の機能の複数を同時に果たすことができ、第1に、例えば、顕微鏡の観測ビーム経路の少なくとも一部をカメラの画像面にビーム偏向するのに役立つ。例えば、マイクロミラーアレイを球面又は非球面に配置することで、個々のマイクロミラーを非平面状に設定することによって、同時に焦点効果も得られる。最後に、個々のマイクロミラー又はマイクロミラーのグループがカメラの画像面ではなく、例えば吸収体が設けられた異なる場所へ入射光を反射するように、これらを設定することによって、マイクロミラーアレイは露出設定にも適することになる。したがって、マイクロミラーアレイは、特定のダイナミックレンジ内で、露出を設定するのにも用いることができる。したがって、このように用いられたマイクロミラーアレイは、アイリス絞り、焦点合わせ素子、及び、偏向素子のように従来のビデオアダプタにおいて使用されていた3つの光学部品のすべてを原理的に置き換えることができる。
【0045】
さらに有利な構成によると、本発明に係るビデオアダプタの光学部品のSLM光学ユニットは、反射型マイクロディスプレイを有しており、反射型マイクロディスプレイは、上述の機能の少なくとも2つの機能を果たすことができる。第1に、反射型マイクロディスプレイは、観測ビーム経路をカメラの画像面に偏向するのに適しており、第2に、露出設定に対する絞り効果は、目標を定めてマイクロディスプレイの領域を駆動することによって達成することができる。
【0046】
最後に、本発明に係るビデオアダプタの光学部品のSLM光学ユニットは、透過型マイクロディスプレイを有していてもよい。この場合、「透過型マイクロディスプレイ」という用語は、上述の液晶レンズを含むものとする。したがって、透過型マイクロディスプレイは、ビデオアダプタにおける上記の機能のうちの複数の機能を果たすのに適しており、輝度、スペクトル強度、被写界深度、焦点合わせ、及び、倍率を制御することができる。最後に、ビームコースの光学補正も、特定の限度内で行うことができる。一般に、透過型ディスプレイは、アイリス絞り、及び、焦点合わせ及び/又は拡大素子のような従来のビデオアダプタに含まれる第1及び第2の光学部品を置き換えることができる。
【0047】
本発明は、さらに、本発明に係るビデオアダプタを有する顕微鏡システム、及び、そのビデオアダプタに接続しうる顕微鏡に関し、他の構成によると、顕微鏡システムは、そのビデオアダプタに接続することができるカメラを有している。
【0048】
このような顕微鏡システムに本発明に係るビデオアダプタを組み込むことによって、特に、ビデオアダプタのモータ駆動システムを省略できることに付随し、ビデオアダプタにおいてSLM光学ユニットにより新たに可能となる機能に関連する、すでに述べた利点が生じる。この点について、上記の説明を参照されたい。
【0049】
特に、本発明に係る顕微鏡システムは、対物レンズ(立体顕微鏡の少なくとも2つのチャネルに対する共通の主体物レンズ、又は、立体顕微鏡のチャネルごとの別々の対物レンズ)と、立体顕微鏡のチャネルのうちの少なくとも2つに設けられた変倍部(不連続又は連続(ズーム)系)と、(オプションとして)双眼鏡筒とを有する立体顕微鏡を備え、観測ビーム経路の少なくとも一部を立体顕微鏡の文書化ポートに出射するビームスプリッタが立体顕微鏡のチャネルの少なくとも1つに設けられ、さらに、立体顕微鏡の文書化ポートに接続される顕微鏡用接続部とカメラ用接続部とを有する本発明に係るビデオアダプタを備えている。この場合において、少なくとも1つの光学部品は、SLM光学ユニットを有している。SLM光学ユニットは、特に、反射型マイクロディスプレイ又はマイクロミラーアレイであってもよい。この手段によって、すでに説明した通り、(特に、マイクロミラーアレイの形式による)関連する光学部品は、ビーム偏向に加えて、従来は第2の光学部品に付与されていた焦点設定の機能を同時に果たすことができ、その結果として、焦点設定に対して提供すべき機械的な(メカニカルな)解決手段は不要となる。他方で、すでに同様に説明したように、関連する光学部品は、露出設定の機能も果たすことができ、その結果として、ビデオアダプタに従来含まれていた第1の光学部品(特に、アイリス絞り)は不要となる。
【0050】
概略を示した本発明の様々な特徴は、ここで提示した組み合わせとして用いることができるのみならず、本発明の枠組みから離れることなく、他の組み合わせとして、又は、それら自身として用いることもできる。
【0051】
本発明及びその利点は、図面に示した実施例に基づいて、以下においてより詳細に説明がなされる。
【実施例】
【0052】
図1は、立体顕微鏡100とビデオアダプタ1を有する顕微鏡システム80を示す。ビデオアダプタ1のさらなる変形例が、図1Bと図1Cの部分図に示されている。図1に従った顕微鏡システム80の構造及び機能に関するより詳細な説明は、非特許文献1に見出される。ここで、当該文献を明示的に引用する。したがって、以下のテキストは大まかな概略を述べるに止まる。
【0053】
対象物10を検査するために、当該対象物は、立体顕微鏡100、例えば、外科手術用顕微鏡によって観察されるとともに、カメラ(非図示)に接続することによって、検査過程を追跡し、伝達し、かつ/又は、文書化することもできる。カメラを顕微鏡100に接続するために、顕微鏡100用接続部とカメラ用接続部3を有するビデオアダプタ1が提供される。
【0054】
立体顕微鏡100は、公知の方式で構成される。すなわち、対象物10から生じた光は、観測ビーム経路108、109の形状で、立体顕微鏡100の共通の主対物レンズ101を介して、変倍部104、105のチャネルに到達する。前記変倍部104、105は、例えば、広い倍率範囲にわたって連続変倍を可能とするズームシステムであってもよい。図は、立体顕微鏡100の2つのチャネル102、103を示しているが、例えば、補助ビーム経路、付加的な文書化ビーム経路等に対するチャネルをさらに有する構成も存在する。ビームスプリッタ107は、立体顕微鏡100のチャネル103に存在し、当該ビームスプリッタは、観測ビーム経路の一部を文書化ポート110に出射する。立体顕微鏡100の左右のチャネル102、103において光の条件が同一となるように、さらなるビームスプリッタ111が左のチャネル102に設けられ、当該ビームスプリッタは、主ビーム経路から、観測ビーム経路108のうちの同じ分だけを出射する。2つの主観察ビーム経路は、公知の方式で構成された双眼鏡筒106に到達する。図示された立体顕微鏡100の構成によると、対象物10に対する3次元の高倍率の観測が可能となる。
【0055】
符号1は、ビデオアダプタを示し、より明確には、例えば、写真、フィルム又はTVアダプタを表していてもよい(部分図A、B、Cにおける1、1’、1”を参照)。3つの光学部品が、3タイプのビデオアダプタ1、1’、1”のすべてに共通している。平行なビーム経路が顕微鏡100のチャネル103から出射されることから、カメラの画像面に画像を生成するために、焦点設定用の(第2の)光学部品5、5’、5”が存在している。さらに、カメラの露出を設定するための(第1の)光学部品4、4’、4”が存在している。最後に、出射された(水平な)ビーム経路を、カメラの(垂直な)軸、又は、カメラの画像面の表面に垂直な方向に偏向するための偏向素子が、(第3の)光学部品7、7’、7”として存在している。部品4、4’、4”は、絞り、特に、アイリス絞りであってもよい。部品5、5’、5”は、レンズ又はレンズアセンブリを構成する。部品7、7’、7”は、ミラー又はプリズムのような偏向素子である。倍率の変更はカメラ画像における輝度の変更にも結びつくことから、特に可変倍率を有する立体顕微鏡100の場合には、露出設定用の光学部品4、4’、4”は非常に重要である。露出設定用の光学部品4、4’、4”は、これに応じて、輝度の変化を補償するために駆動される。
【0056】
図2は、先行技術によるビデオアダプタ1の断面を詳細に示す。ここで、本明細書の導入部においてすでに引用された、図2に示したビデオアダプタ1の構造及び機能を詳細に説明する特許文献1を明示的に引用するものとする。したがって、以下のテキストは、単に基本的な原理を提示するに止まる。
【0057】
図2に示したビデオアダプタ1は、顕微鏡に対する接続部2を有しており、当該接続部2は、顕微鏡の文書化ポート110に接続することができる。前記接続部2から進むと、ビデオアダプタ1は、露出設定用の(第1の)光学部品4を有しており、当該光学部品はここではアイリス絞りとして具体化されている。対応するギアとシャフトを有するモータ30は、対応するギア、シャフト、レバー31、32、33とともに、アイリス絞り4の口径を制御する。倍率設定用の光学部品6が、軸18の方向に続く。これは、ズームシステムであり、外部のハンドル46a、46bによって手動で駆動されるようにしてもよいし、より好ましくはモータによって駆動されるようにしてもよい。符号5は、焦点設定用の光学部品を示し、軸18の方向に変位可能な円筒を構成するとともに、その内部にはズームシステム6が格納されている。この場合には、軸方向の変位はモータ40によって行われる。さらに軸18に沿って進むと、ビーム経路をカメラ12の画像面に偏向する光学部品7がこれに続く。ここでは、光学部品7は、モータ50によってx軸の周りに、さらなるモータ(非図示)によってこれに垂直なy軸の周りに、回転/旋回することができる簡単なミラーとして具体化されている。光学部品4乃至7からなるモータによる駆動システムのさらなる詳細は、引用した特許文献1(又はこれに対応する特許文献2)から収集することができる。
【0058】
図2に示したビデオアダプタ1によって、対象物10(図1参照)の出射像は、カメラ12の画像面に導かれ、対象物画像は、ミラー7のXY方向への移動によって、カメラ12の画像面において方向づけられる。
【0059】
図2による公知のビデオアダプタ1は、アイリス絞り4、焦点設定用部品5及びビーム偏向用部品7に対して、すでに4つのモータを有しており、ズームシステム6の駆動のためにさらなるモータが存在しうる。このことは、本明細書の導入部においてすでに述べた欠点と関連している。
【0060】
これらの欠点を回避するために、技術的により簡便に実現することができる、図3によるビデオアダプタを提案する。
【0061】
図2と図3における同一の参照番号は、同一の要素を示している。図3によるビデオアダプタ1の基本的な原理に関しては、図2についての説明を参照することができる。図3によるビデオアダプタは、光学部品14乃至17を有し、これらは概略的に示されているにすぎず、各々はSLM光学ユニットを含むか、又は構成する。簡単化するために、図3は、4つの光学部品14乃至17のすべてがSLM光学ユニットを有するものとしているが、SLM光学ユニットを有していなければならないのは、少なくとも1つの光学部品にすぎないことを、はっきりと指摘しておく。(残りの部品は、図2の通りであってもよいし、完全に省略してもよい。)しかし、あらゆる置換の可能性を別々の図面に示さなくてもよいように、ここでは、上記の4つの部品14乃至17のすべてをSLM光学ユニットとして構成するという単純なやり方を選択した。この点について、以下で詳細に説明する。
【0062】
光学部品14はSLM光学ユニットを有しており、SLM光学ユニットは、特に透過型マイクロディスプレイであってもよいし、特に透過型LCDであってもよい。これによって、任意の所望の絞り形状を設定することができる。さらに、透過型マイクロディスプレイによると、透過率とスペクトル強度の設定が可能となり、様々な絞り形状により、被写界深度の設定も可能となる。SLM光学ユニットを有する光学部品14を設けることによって、従来の露出設定用部品4(図2参照)と比較して、より多くの機能を実現することができる。さらに、部品14を完全に電子的に駆動することができるため、光学部品4を駆動するモータ30(図2参照)は不要となる。電子的駆動についての詳細は、さらに以下で説明する。
【0063】
SLM光学ユニットを有する光学部品14は、液晶レンズ形式の透過型マイクロディスプレイであってもよい。そのような液晶レンズによると、様々な焦点距離の設定が可能となる。適当に駆動することによって、この部品は、可変絞りを設定するためにも用いることができる。最後に、すでに述べた、透過型マイクロディスプレイのさらなる機能は、それに対応する駆動によって、少なくとも一部を実現しうる。したがって、この場合には、部品14は、従来の部品4、5、6(図2参照)の機能を果たすことができる。
【0064】
SLM光学ユニットを有する光学部品15は、好ましくは透過型マイクロディスプレイであってもよく、特に液晶レンズ方式の透過型マイクロディスプレイであってもよい。焦点設定のための軸18方向への移動を無くすることができるように、このレンズの焦点距離は電子的に設定し、調整することができる。したがって、従来の光学部品5に対応するモータ40(図2参照)は不要となる。
【0065】
SLM光学ユニットを有する光学部品16は、好ましくは、1又は2以上のレンズが特に液晶レンズ形式の透過型マイクロディスプレイによって置き換えられた、変倍又はズームシステムである。これによると、対応するレンズアセンブリを軸18に沿って移動させることなく、倍率を設定することができ、その結果として、図2による従来の光学部品6において対応するハンドル46a、46b(又はモータに基づく駆動システム)を不要とすることができる。
【0066】
SLM光学ユニットを有する光学部品17は、好ましくは、反射型LCD又は向きを設定することができ、個別に駆動し得るマイクロミラーを有するマイクロミラーアレイのような反射型マイクロディスプレイを構成する。マイクロミラーアレイは、ビデオアダプタの従来の光学部品による実質的にすべての機能を果たすことができるため、かかる状況においては特に好ましい。すなわち、個々のマイクロミラーは、(アレイの基準面に沿った)x及びy方向に(個別に)調整可能/旋回可能であり、その結果として、対象物画像をカメラの画像面において移動させることができる。マイクロミラーアレイは完全に電子的に駆動することができるため、従来の光学部品7(図2についての説明を参照のこと)を駆動するための対応するモータは不要となる。さらに、マイクロミラーアレイは、マイクロミラーを非球面若しくは球面、又は、より一般的に非平面に適宜配向することによって、焦点合わせにも、画像収差の補正にも用いることができる。さらに、マイクロミラーを適宜配向することで、マイクロミラーアレイは輝度設定にも用いることができる。これは、すでに説明した通り、マイクロミラーアレイが、入射光の大体をカメラの画像面の方向に(軸19の方向に)導くことができるからである。最後に、焦点の変更は倍率の変更にも関連しているため、マイクロミラーアレイ17は、一定の領域においては倍率の設定にも適しており、従来の光学部品6(図2参照)を置き換えることができる。
【0067】
上記の説明により、マイクロミラーアレイ17を用いた場合には、図2による従来の光学部品4乃至7のすべての機能が、少なくとも特定の領域においてマイクロミラーアレイ17によって果たされることが明らかとなる。したがって、マイクロミラーは、原理的に、上述の従来の光学部品4乃至7のすべてと、図3に示した光学部品14、15及び16を置き換えることができる。
【0068】
すでに説明したように、焦点合わせ効果を有する透過型マイクロディスプレイを用いることによって、光学部品14は、従来の光学部品4、5と、おそらくは6を置き換えることができるため、光学部品15と、おそらくは16も置き換えることができる。同じことが、焦点合わせ及び絞り効果を有する透過型マイクロディスプレイを部品15として用いることによって成り立つため、当該マイクロディスプレイは光学部品14と、おそらくは16も置き換えることができる。同様の考え方が、光学部品16についても成り立つ。これらの様々な置換可能性について別々に図示することは、(保護範囲を限定するためではなく)説明を簡単化するために省略した。
【0069】
図3は、さらに電子的駆動システムを示している。すなわち、符号200は、光学部品14、15及び16における単数又は複数の透過型マイクロディスプレイに対する電子的駆動システムを示している。符号150は、光学部品17に対する電子的駆動システムを示している。部品17と、14、15又は16とを一緒に用いる際、統合された電子駆動システム300が提供される。これによって、ダイナミックレンジに応じて輝度を制御/調整するために、透過型マイクロディスプレイとマイクロミラーアレイの双方について、例えば露出設定が連動して駆動されるようにすることができる。電子的駆動システムによると、特に、中央制御システム400によって、顕微鏡100とビデオアダプタ1に対する品質のより優れた、遅延を伴わない連動した駆動が可能となる。中央制御システム400によると、例えば、顕微鏡において設定されたズーム倍率を抽出し、輝度の変化を補償するために、ビデオアダプタ1における露出設定に役立つSLM光学ユニットを有する光学部品14乃至17を、これに応じて駆動することができる。
【0070】
本発明により提案されたビデオアダプタと本発明による顕微鏡システムによると、ビデオアダプタ、及び、ビデオアダプタと顕微鏡を有する共通システムを駆動及び調整する、新たな可能性が開かれる。さらに、提案した新規な光学部品によると、対応するビデオアダプタの従来の部品の複数の機能を果たすことができるため、従来の光学部品の1又は2以上のものを置き換えることができる。
【符号の説明】
【0071】
1、1’、1” ビデオアダプタ
2、2’、2” 顕微鏡用接続部
3、3’3” カメラ用接続部
4 露出設定用光学部品
5 焦点設定用光学部品
6 倍率設定用光学部品
7 ビーム経路偏向用光学部品
10 対象物
12 カメラ
14〜17 SLM光学ユニットを有する光学部品
18、19 軸
30 光学部品4用モータ
31 シャフト
32 トランスミッション
33 レバー
40 光学部品5用モータ
46a、46b ハンドル
50 光学部品7用モータ
80 顕微鏡システム
100 顕微鏡、立体顕微鏡
101 対物レンズ
102、103 立体顕微鏡のチャネル
104、105 変倍部
106 双眼鏡筒
107 ビームスプリッタ
108、109 観測ビーム経路
110 文書化ポート
111 ビームスプリッタ
150、200 SLM光学ユニット用電子駆動システム
300 統合電子駆動システム
400 中央制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡への接続部とカメラへのさらなる接続部とを備え、露出設定用、焦点及び/又は倍率設定用、及び/又は、顕微鏡の観測ビーム経路(109)の少なくとも一部をカメラの画像面に偏向するための少なくとも1つの光学部品(4、5、6、7、14、15、16、17)を備えている、顕微鏡用のビデオアダプタであって、
少なくとも1つの光学部品(14、15、16、17)は、SLM光学ユニットを有することを特徴とするビデオアダプタ。
【請求項2】
光学部品(17)のSLM光学ユニットは、反射型マイクロディスプレイ、特に、反射型LCDを構成することを特徴とする、請求項1に記載のビデオアダプタ。
【請求項3】
光学部品(17)のSLM光学ユニットは、個別に駆動しうるマイクロミラーであって、向きを設定することができるものを有するマイクロミラーアレイを構成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のビデオアダプタ。
【請求項4】
光学部品(14,15、16)のSLM光学ユニットは、透過型マイクロディスプレイ、特に、透過型LCD又は液晶レンズ方式の透過型マイクロディスプレイを構成することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のビデオアダプタ。
【請求項5】
少なくとも1つのSLM光学ユニットは、輝度制御、スペクトル強度制御、被写界深度制御、焦点合わせ制御、倍率制御、ビーム偏向、ビーム分離、ビームコースの光学補正を含むグループの中から選択された、前記ビデオアダプタにおける1又は2以上の機能を果たすことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のビデオアダプタ。
【請求項6】
光学部品(17)のSLM光学ユニットは、ビーム偏向用、焦点設定用、及び/又は、露出設定用のマイクロミラーアレイを有していることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のビデオアダプタ。
【請求項7】
光学部品(17)のSLM光学ユニットは、ビーム偏向用及び/又は露出設定用の反射型マイクロディスプレイを有していることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のビデオアダプタ。
【請求項8】
光学部品(14、15、16)のSLM光学ユニットは、焦点及び又は倍率設定用及び/又は露出設定用の透過型マイクロディスプレイを有していることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のビデオアダプタ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のビデオアダプタとそれに接続することができる顕微鏡を備えている顕微鏡システム。
【請求項10】
前記ビデオアダプタに接続することができるカメラを備えている、請求項9に記載の顕微鏡システム。
【請求項11】
対物レンズ(101)と、立体顕微鏡のチャネル(102、103)の少なくとも2つに設けられた変倍部(104、105)と、双眼鏡筒(106)とを有し、観測ビーム経路(109)の少なくとも一部を立体顕微鏡の文書化ポート(110)に出射するビームスプリッタ(107)が、チャネル(102、103)の少なくとも1つに設けられた、立体顕微鏡(101)と、
立体顕微鏡の文書化ポート(110)に接続される顕微鏡用接続部とカメラ用接続部とを有するビデオアダプタと、を備えている、請求項9又は10に記載の顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−61141(P2010−61141A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204932(P2009−204932)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(500056219)ライカ ミクロジュステムス(シュヴァイツ)アーゲー (42)
【Fターム(参考)】