説明

風力発電機に用いる蓄電池設備

【課題】 風力発電機に併設され発電電力変動を平準化する、設備コストが最小となる最適容量を有する蓄電池を提供する。
【解決手段】 風力発電機と並設する蓄電池を備え、蓄電池制御器が、風力発電電力PGとその移動平均値Pcomとの偏差Rを求め、蓄電池残存容量Wbatの目標値との差に傾きαで比例した修正係数Mにインバータ容量CIを乗じて得た修正電力値Pcを偏差Rに加えて蓄電池出力指令値Pbatとするもので、蓄電池制御器の伝達関数モデルを使って、移動平均算定データ数n、傾きα、不感帯幅Dzoneを選択しては風速実測値を使った充放電シミュレーションを行って、設備コストCcap=CBP+CIWが最終的に最小となる蓄電池容量CB、インバータ容量CIを求めて蓄電池制御器を構築する。CP,CWは蓄電池とインバータの容量当たりコストである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に導入された風力発電機に併設して発電電力を平準化する蓄電池設備において、設備コストが最小になる最適容量を有する蓄電池を提供する方法および蓄電池設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー資源である石油・石炭などの化石燃料の枯渇が懸念されるようになってきた。また、電力需要の増大によるCO2排出量の増加や森林破壊によるCO2吸収源の減少などにより、大気中のCO2濃度が増加し地球温暖化が進行している。このような背景から、風力エネルギーを利用した風力発電システムが欧米を中心に世界各国で注目を集めている。風力発電システムは無尽蔵な自然エネルギーを活用するもので、CO2を排出しないクリーンな発電設備であるため、日本においても、風力発電の総設備容量は今後増加すると考えられる。
【0003】
風力発電機の出力電力は風速の3乗に比例するため、風速の変化に従い激しく変動する。このため、電力系統に導入する風力発電システムの容量が大きい程、風力発電機の発電電力変動によって系統電圧変動や系統周波数変動が生じることになり電力品質が悪化しやすい。
このため、電力系統に風力発電機を導入するときには、発電電力変動を許容範囲まで平準化する必要がある。特に、大規模風力発電システムを電力系統に導入するためには、何らかの対策が求められる。風力発電機に蓄電池を併設して風力発電電力を平準化することは従来からよく行われている。風力発電システムに蓄電池を附属させることにより、風力発電の発電電力変動を平準化し、電力系統に与える影響を抑制することができる。蓄電池の利用により、風力発電システムの短周期から長周期までの発電電力変動が補償できる。
【0004】
しかし、蓄電池を附属させるときには、設備コストが増加する上、蓄電池特性が経時により劣化するため維持費も必要になる。
蓄電池の設備コストや維持費用は蓄電池の充放電特性により左右され、充放電特性は蓄電池の制御器の特性によって決まる。
風力発電機に併設される蓄電池は、発電電力変動の平準化を目的とするもので容量が大きいほど効果があるが、設備コストの観点からはできるだけ小容量の蓄電池を導入することが好ましい。
従来は、蓄電池の充放電による平準化効果を評価する方法は知られているが、蓄電池の制御器特性や蓄電池コストの評価方法について開示する文献は見当たらない。
【0005】
たとえば、特許文献1は、蓄電池を使った風力発電出力安定化方法を開示するが、コンバータとインバータを介して蓄電池を電力線に接続し、風力発電機の発生電力の微小単位時間における移動平均値を求めて、発生電力が移動平均値より大きいときに超過分を蓄電池に蓄え、不足があるときには不足分を蓄電池から電力線に給電するものであって、蓄電池の容量を最適化する思想は含まれていない。
なお、特許文献2には、太陽電池に蓄電池を組み合わせたシステムの蓄電池容量を決定する方法が開示されている。この開示方法は、太陽電池の容量と価格および蓄電池の容量と価格をパラメータとして、全天日射量の測定データを使ってシミュレーションを行って得たメリットを表した経済性評価図を作成して、これから最も経済的な太陽電池と蓄電池の組合せを決定するものである。
特許文献2に開示された方法は、太陽電池システムを対象とするものであるから、瞬時の発生電力が激しく変動する風力発電に適用することはできない。
【特許文献1】特開平11-299106号公報
【特許文献2】特開2004−032989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、風力発電機に併設され充放電により発電電力変動を平準化する蓄電池において、設備コストが最小となる最適容量を有する蓄電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の風力発電機に用いる蓄電池設備は、蓄電池とインバータと蓄電池制御器を備えて、風力発電機と並列に系統に電力供給するものである。蓄電池制御器は、風力発電機の発電電力の移動平均値を算出する平均演算器と、移動平均値から風力発電機の発電電力値を差し引いて偏差を求める減算器と、蓄電池残存容量値に対して比例する修正係数を出力する実質的には関数発生器ともいえる適応ゲイン制御器と、適応ゲイン制御器から入力した修正係数にインバータの容量値を乗じて修正電力値を出力する乗算器と、偏差と修正電力値を加える加算器と、加算器の出力を上下限値で制約して蓄電池の出力指令値として出力する出力リミッタを備える。
【0008】
蓄電池出力指令値は、風力発電機の発電電力の移動平均値と比較して過剰な分を蓄電池に蓄え、不足の分を蓄電池から補充させるように指令するので、系統に供給される電力は移動平均値に平準化されて、激しい電力変動を示さない。
また、蓄電池残存容量が目標とする50%から大きく隔たると、蓄電池の出力指令値に大きな修正量が作用するので、蓄電池残量は常時目標値近傍に存在するように管理される。
【0009】
出力リミッタの上下限値は、インバータ容量に関連して決定される。
蓄電池の残存容量は、積分器により、蓄電池出力指令値を積分して算定するようにしてもよい。
さらに、減算器と加算器の間に、不感帯素子を備えて、偏差の絶対値が所定の値に達しない場合に加算器への出力がゼロになるようにしてもよい。
【0010】
本発明の蓄電池制御器モデルを使って、移動平均算定に使うデータ数n、適応ゲイン制御器の修正係数における傾きα、不感帯幅Dzoneを設定し、充放電シミュレーションを行って、最大発電電力変動ΔPmax、合成出力電力変動ΔPsysの標準偏差σxが決められた条件を満たすことを前提として、設備コストCcap=CBP+CIWが最小となる蓄電池容量CB、インバータ容量CIを求める。ここで、CPは蓄電池の容量当たりコスト、CWはインバータの容量当たりコストである。
制御器パラメータn、α、Dzoneを設定された範囲内で変化させることにより、範囲内で設備コストCcapが最小となる蓄電池容量CB、インバータ容量CIとそのときの制御器パラメータを求めると、これらの値が最適解となる。
【0011】
本発明では、風力発電機に充放電により風力発電電力変動を平準化する蓄電池を併設した上記システムにおいて、実地に得た風速観測データに基づいたシミュレーションにより蓄電池の設備コストが最小になる最適容量を算定することができる。蓄電池の最適容量は、蓄電池制御器のパラメータを大きな間隔で網羅的に変化させた条件の下で実地観測データを使ってシミュレートし、さらに設備コストを最小にする蓄電池容量とインバータ容量を局所的なシミュレートにより探索して得る。
【発明の効果】
【0012】
風力発電機が出力する発電電力は風速の変化により激しく変動する。蓄電池を併設することによりこの発電電力変動を平準化することができるが、蓄電池容量、インバータ容量によって平準化効果が変化する。また、蓄電池の充放電動作は蓄電池の制御器パラメータによって大きな影響を受ける。
本発明の風力発電機に用いる蓄電池設備は、発電電力変動の許容値まで平準化することを制約条件として、合成出力電力変動が制約条件を満たすと共に設備コストが最小となる最適な蓄電池容量、インバータ容量および蓄電池の制御器パラメータを備えるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用い実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は本実施例に係る風力発電機に用いる蓄電池設備の蓄電池制御器のブロック図、図2は風力発電機に用いる蓄電池設備の結線図、図3は蓄電池制御器に用いる適応ゲイン制御器の特性を示すグラフ、図4は1年間にわたる実測風速データを示すグラフ、図5は地表状態と補正係数の対応を示す表、図6は風力発電機の運転特性を表すグラフ、図7は実測風速データから算出した1年間にわたる発電電力変動を示すグラフ、図8は蓄電池とインバータの容量と平準化効果の関係を確認する手順を表すフロー図、図9は充放電シミュレーションにより得られた合成出力電力の標準偏差σxをインバータ容量CI と蓄電池容量CBの座標上に描いたグラフ、図10は充放電シミュレーションにより得られた合成出力電力の最大出力変動量ΔPmaxをインバータ容量CI と蓄電池容量CBの座標上に描いたグラフ、図11は図4をもとに算出した大容量蓄電池で平準化した風力発電機の1年間の合成出力電力変動を表すグラフ、図12は蓄電池とインバータの最適容量と最適な蓄電池制御パラメータをシミュレーションにより決定する手順を表すフロー図、図13は図12のシミュレーションにおけるインバータ容量CI と蓄電池容量CBの最適値を探索する手法を説明する図面、図14は最適解を求めるシミュレーションにおけるパラメータ設定値を示す表、図15はシミュレーション結果を示す表、図16から図19はそれぞれ第1ケースから第4ケースの最適解を適用した蓄電池システムで制御したときの合成出力電力の変動量を示す図面である。
【0014】
本実施例の風力発電機に用いる蓄電池設備は、図2に示すように、風力発電機11にインバータ13を介して蓄電池12が並列に接続されて、風力発電機11の発電出力PGと蓄電池12の入出力電力Pbatの和である合成出力電力Psysを電力需要部に接続された電力系統14に供給するシステムである。
蓄電池12は、発電出力PGが基準値を超えるときは蓄電池12に受け入れて蓄積し、基準値に足りないときは蓄電池12から不足分を補うことによって風力発電機11の出力変動を平準化するものである。
蓄電池12により発電出力PGを平準化する機能は、図1のブロック図で示す蓄電池の制御器で生成される蓄電池出力電力指令値Pbatにより達成される。
【0015】
蓄電池制御器は、風力発電機11の発電電力PGについて過去の連続する所定数n個の移動平均値Pcomを算出する平均演算器1と、移動平均値Pcomから風力発電機11の発電電力値PGを差し引いて偏差Rを求める減算器2と、蓄電池残存容量値Wbatに傾きαで比例する係数を修正係数Mとして出力する適応ゲイン制御器7と、適応ゲイン制御器7から入力した修正係数Mにインバータ13の容量値CIを乗じて修正電力値Pcとして出力する乗算器8と、偏差Rと修正電力値Pcを加える加算器4と、加算器4の出力を上下限値で制約して蓄電池の出力指令値Pbatとして出力する出力リミッタ5を備える。
【0016】
出力リミッタ5から供給される蓄電池出力指令値Pbatは、正のときは蓄電池12からの電力出力を指令し、負のときは蓄電池12への電力入力を指令するもので、出力リミッタ5の上下限値はインバータ13の容量値CI以下の値が使われる。
蓄電池出力指令値Pbatは、風力発電機11の発電電力の移動平均値Pcomと比較して過剰な分を蓄電池12に蓄え、不足の分を蓄電池12から補充させるように指令するので、系統14に供給される電力は移動平均値Pcomに平準化されて、激しい電力変動を示さない。
【0017】
また、適応ゲイン制御器7は蓄電池充電率ξ=Wbat/CBを所定の値に維持するために適当なゲインを指定するもので、蓄電池充電率ξを入力して修正率Mを出力する関数発生器である。図3は適応ゲイン制御器7の機能を例示する図である。例示した機能は蓄電池充電率ξを50%付近に維持させるもので、蓄電池の放電時には蓄電池充電率ξが55%を超えたときに修正値Mを出力し、ξが55%より大きくなると修正値Mはξの増加量に対して傾きαで増加させる。同様に、蓄電池の充電時にはξが45%より低下したときに修正値Mを出力し、ξがさらに減少するとξの減少量に対して傾きαで修正値Mを減少させる。
【0018】
したがって、蓄電池残存容量Wbatが目標とする値、たとえば蓄電池容量の50%から大きく隔たると、蓄電池の出力指令値Pbatに大きな修正量Pcが作用することになる。
このように、蓄電池残存容量Wbatが増加すると放電量Pbatが増加し、蓄電池残存容量Wbatが減少すると充電量Pbatが増える傾向が生じ、蓄電池残容量Wbatは常時目標値近傍に収まるように管理される。
しかし、傾きαの設定を大きくすると、蓄電池12の出力電力変動が大きくなり、発電電力変動の平準化に悪影響を与える。
このためシステム設計上、ΔMを適当に設定する必要がある。
【0019】
また、出力リミッタ5の上下限値は、インバータ13の容量に関連して決定される。
蓄電池12の残存容量Wbatは適宜な測定器から得られる実測値を使うことができるが、積分器9を用いて蓄電池出力指令値Pbatを積分して算定するようにしてもよい。なお、積分器9には、蓄電池容量の上下限値に対応する上下限リミッタを附属させることが好ましい。
【0020】
さらに、減算器2と加算器4の間に不感帯素子3を備えて、偏差Rの絶対値が所定の不感帯幅Dzoneより小さい場合に加算器4への出力がゼロになるようにしてもよい。
不感帯素子3は、風力発電機11の発電電力PGと移動平均値Pcomの偏差Rの絶対値が不感帯幅Dzoneより大きいときに偏差Rを出力する。したがって、大きな発電出力変動が発生したときのみ蓄電池12の充放電を行うことになるので、不感帯素子3を導入することにより充放電回数を抑制して蓄電池12の寿命を延長させることができる。
ただし、電力系統14に供給される合成出力電力Psysは、風力発電機11の発電出力PGと蓄電池12の入出力電力Pbatの和であるため、不感帯幅Dzoneより絶対値が小さい変動が電力系統14に供給されて外乱となる。この外乱は不感帯幅Dzoneを小さくすれば抑制することができる。したがって、不感帯幅Dzoneの大きさを適当に設定する必要がある。
【0021】
本実施例の風力発電機に用いる蓄電池設備において、風力発電機設置予定地において予め取得した風速データを用いたシミュレーションにより、適度な平準化効果を有し設備コストが最小となる最適な蓄電池容量CB、インバータ容量CI、制御器パラメータn、α、Dzoneを選択することができる。
最適値を決定するためのシミュレーションは、本実施例の蓄電池制御器モデルを使って、移動平均算定に使うデータ数n、適応ゲイン制御器の修正係数Mにおける傾きα、不感帯幅Dzoneを設定し、風速の実地データを用いて充放電シミュレーションを行う。
【0022】
充放電シミュレーションの結果から、合成出力電力Psysの最大電力変動ΔPmaxと標準偏差σxが予め決められた条件を満たすことを前提として、設備コストCcap=CBP+CIWが極小となる蓄電池のkWh容量CB、インバータのkW容量CIを求める。なお、CPは蓄電池の容量kWh当たりのコスト、CWはインバータの容量kW当たりのコストであり、蓄電池やインバータの形式により異なる。
充放電シミュレーションは、制御器パラメータn、α、Dzoneを設定された範囲内で変化させて行い、その設定範囲内で設備コストCcapが最小となる蓄電池容量CB、インバータ容量CIとそのときの制御器パラメータn、α、Dzoneを求めると、これらの値が最適解となるので、得られた値を用いたシステムを構築すれば、設備コストが最小の風力発電変動を平準化する蓄電池設備を得ることができる。
【0023】
以下に、本実施例において、風力発電機に充放電により風力発電電力変動を平準化する蓄電池を併設した上記システムにおいて、実地に得た風速観測データに基づいて蓄電池の設備コストが最小になる最適容量を算定するシミュレーションの例を説明する。
シミュレーションは、図1の蓄電池制御器のブロック図において、発電出力PGについて風速の実測値から算定した風力発電機の発電出力値を相当させて行う。
【0024】
(風速の実測と補正)
本実施例の実証試験には、琉球大学工学部2号館屋上で測定した風速データを用いた。測定は、2005年11月から2006年10月までの約1年間行い、10分間平均風速のデータを収集した。
図4は上記実測した1年間にわたる風速データを示すグラフである。
当該風速データについての観測日数は357日、1年間の平均風速は3.58m/sであった。
【0025】
風速の実測データから発電電力を算出するには、風力発電機の地上高と観測点の地上高が異なるため、補正を行う必要がある。補正は下式を用いて行った。
z=Vh(z/h)1/N (1)
ここで、Vzは風力発電機のハブ高さにおける風速、Vhは観測地点における風速、zはハブ高さ、hは観測地点高さ、Nは補正係数である。
補正係数Nは図5の表に示される通り、風力発電機を設置する場所の地表状態に基づいて決まる係数で、本実施例ではN=2を採用した。
なお、気象観測機を設置した地上高は21.2m、想定した風力発電機のハブ高さは60mである。
【0026】
(風力発電機の運転特性)
風力発電機の発電電力PWは風速Vに対して3乗特性を持ち、下式で表される。
W=ρAV3η/2 (2)
ここで、ρは空気密度、Aは受風面積、ηは発電効率である。
本実施例で使用する風力発電機は定格出力1MWで、受風面積Aは2,980m2、発電効率ηは機械的損失も考慮すると40%である。また、空気密度ρは日本の平地における年平均値である1.225kg/m3とした。風速Vはハブ高さにおける風速を使う。
ただし、風力発電機は、ごく低速の2.5m/s以下の領域では出力を出さず、所定の風速たとえば12m/sを超える高速領域では定格値で出力が飽和し、さらにたとえば25m/s以上の風速領域では安全のため出力を遮断するようになっている。風力発電機の運転特性は、図6に示す通りになる。
【0027】
(1年間の発電電力変動)
図7は、上記1年間にわたる風速データに基づいて算定した1年間の発電電力変動を示すグラフである。発電電力変動は、10分間平均風速データから得られた発電電力の差分から計算した。
風速データから算出された発電電力変動の標準偏差は63.4kW、発電電力の最大変動幅は981.2kWであった。
発電電力変動が正規分布に従うとすると、±100kWの変動範囲に88.53%の変動データが含まれることになる。
【0028】
(蓄電池設備の平準化効果)
平均演算器1は、発電電力PGの移動平均値Pcomを算出して平準化の目標値とする。移動平均値Pcomは、風力発電機の過去の発電電力平均値から下式を用いて算出する。
Pcom=(Pt+Pt-1+Pt-2+・・・+Pt-(n-1))/n (3)
ここで、Piは時間iにおける発電電力平均値、nは移動平均をとる窓の幅を示す整数である。
移動平均窓の幅nを大きくすると、移動平均値Pcomの変動が小さくなり、平準化効果が大きくなるが、蓄電池充電率の変動は大きい。逆にnを小さくすると蓄電池充電率の変動は小さいが平準化効果も小さくなる。
【0029】
(蓄電池容量およびインバータ容量と平準化効果)
平準化効果は、最大発電電力変動ΔPmaxの最大値と合成出力電力変動ΔPsysの標準偏差σxの大きさで評価することができる。最大発電電力変動ΔPmaxは、平準化期間T内における合成出力電力Psysの最大値と最小値の差の最大値である。なお、シミュレーションにおいては、電力系統14に供給される合成出力電力Psysは、出力部に設けた加算器6によって、風力発電機11の発電出力PGと蓄電池12の入出力電力Pbatの和を求めることにより生成することができる。
標準偏差σxは、合成出力電力Psys同士の差分から算出した合成出力電力変動に下式を適用して求める。
σx2=n/(n−1)*Σ1〜n(xj−μ)2 (4)
ここで、μは平均値である。
【0030】
図8は、蓄電池とインバータの容量と平準化効果の関係を確認する手順を表すフロー図である。
初めに、蓄電池制御パラメータを設定する(Step1)。蓄電池制御パラメータは、平均演算器1において発電電力の移動平均値を求めるときの窓の幅n、適応ゲイン制御器7における修正係数の傾きα、不感帯素子3における不感帯幅Dzone、変動状態を評価する平準化期間Tである。
次に、蓄電池の容量CBを設定する(Step2)。また、インバータの容量CI を設定する(Step3)。
【0031】
1年分の充放電シミュレーションを行って合成出力Psysを算出し、得られたPsysからΔPmaxとσxを算出する(Step4)。
次のインバータ容量CI を選択し(Step5)、ステップ3に進む。
そのときの蓄電池容量CBについて予定したインバータ容量CI の全てを処理したら、次の蓄電池容量CBを選択し(Step6)、ステップ2に進む。
予定した蓄電池容量CBの全てについて処理できたら、最適な蓄電池容量CBとインバータ容量CI を決定して(Step7)、処理を終了する。
【0032】
図9と10は、こうして得られたσxとΔPmaxを蓄電池容量CBとインバータ容量CI の面上にプロットした図面である。
このとき、蓄電池制御パラメータは、n=40min、α=0.0002pu、Dzone=0kW、T=10minとした。
図から、合成出力電力の最大変動量ΔPmaxと標準偏差σxはいずれも、蓄電池容量とインバータ容量を増加するにしたがって減少することが分かる。インバータ容量が増大すると指令値により忠実に従った充放電ができるので、平準化が容易になる。また、蓄電池容量が増大すると、大きな変動が生じたときにも電力変動分を吸収することができるため平準化が容易になる。
しかし、蓄電池容量が500kWhを超えるとΔPmaxが減少しなくなり、これ以上の容量増加は平準化に貢献しないことから、蓄電池やインバータの容量に最適値があることが分かる。
【0033】
(大容量の蓄電池とインバータにより平準化した合成出力電力変動)
図11は、設備コストを考慮せず、大容量の蓄電池と大容量のインバータを用いて風力発電機の出力を平準化したときの合成出力電力変化を示すグラフである。
図11は、1MW容量の風力発電機に容量CI =600kWのインバータを介して容量CB=500kWhの蓄電池を並列接続した装置を、図4に表された1年間の実測風力変動下で稼働させて発電電力を平準化するシミュレーションを行って得られた合成出力変動ΔPsysの状況を表す。
蓄電池制御パラメータは、n=40min、α=0.0002pu、Dzone=0kW、T=10minとした。
シミュレーションの結果は、最大発電電力変動ΔPmax=374kW、合成出力電力変動の標準偏差σx=21.43kWであった。すなわち、図7に表された風力発電機の発電電力変動が高度に平準化されて、合成出力では1年間を通して最大±374kWの変動しか発生しないことが確認された。
【0034】
(蓄電池設備の最適容量算定基準)
風力発電機の発電電力変動を平準化する本実施例の蓄電池システムでは、蓄電池の制御器パラメータn、α、Dzoneの値により充放電結果が異なり、蓄電池等の容量の最適値も異なる。
そこで、発電電力変動を要求される水準まで平準化し、かつ設備コストが最小になるように蓄電池設備とインバータの容量を最適化する。このとき、蓄電池の制御器パラメータも最適値を使う必要がある。
【0035】
シミュレーション結果を評価して最適な容量値を得るため、目的関数と制約条件を明定する。
目的関数:minCcap=CBP+CIW (5)
制約条件:ΔPd max≧ΔPmax,σd≧σx (6)
すなわち、制御器パラメータや蓄電池容量等は、合成出力電力Psysの最大電力変動ΔPmaxが管理目標とする変動幅ΔPd max以下であり、かつ合成出力電力Psysの標準偏差σxが目標とする値σd以下であるという条件を満たすことを前提として、蓄電池システムの設備コストCcapを最小にすることを目的とする。
【0036】
(最適容量と制御器パラメータの決定手順)
図12は、蓄電池とインバータの最適な容量と最適な蓄電池制御パラメータをシミュレーションにより決定する手順を表すフロー図である。
初めに、発電電力変動の許容条件として、合成出力電力Psysの管理目標とする電力変動幅ΔPd max[kW]、電力変動の変動許容範囲±Pdev[kW]および許容範囲に含まれる確率g(Pdev)[%]、平準化期間T[min]を設定する(Step1)。合成出力電力変動ΔPsysは正規分布すると想定する。ΔPsysは±Pdevの範囲にg(Pdev)以上含まれることが要求される。
【0037】
さらに、評価指標の制約値を算出する(Step2)。蓄電池等の容量を算定する上で、合成出力電力Psysの制約条件は、(6)式に示す通り、最大電力変動ΔPmaxの管理目標とする変動幅ΔPd maxと標準偏差σxの管理目標値σdである。
変動幅ΔPd maxはステップ1で与えられる。また、標準偏差の管理目標値σdは、電力変動の確率g(Pdev)[%]と変動許容範囲±Pdev[kW]に基づいて、最も妥当な標準偏差値を算定して使用する。
【0038】
次に、制御器パラメータn、α、Dzoneを設定する(Step3)。これら制御器パラメータが変化すると、蓄電池の充放電状況が変化し、蓄電池やインバータの最適容量も変化する。そこで、図12の最適値決定手順では、制御器パラメータn、α、Dzoneを順次変化させて、真の最適容量値を見出すようにしている。
【0039】
これらの準備を整えてから、充放電シミュレーションを行う(Step4)。シミュレーションは、図1に表した蓄電池制御器システムにおいて蓄電池容量CBとインバータ容量CIを順次選択しては、1年間の風速パラメータから形成された1年間の風力発電電力変動データを入力させることにより行われる。
シミュレーションにより、電力系統14に供給される合成出力電力Psysの想定データが取得できるので、このデータから最大電力変動ΔPmaxと標準偏差σxを算定して(6)式の制約条件を満たすことを確認する。
【0040】
さらに、(5)式の目的関数に表されるように,設備コストが最小となる蓄電池容量CBとインバータ容量CIを探索する。
蓄電池容量CBとインバータ容量CIの最適値探索は、図13に示すように、蓄電池容量CBとインバータ容量CIをプロットする平面に粗い格子目を描き格子の交点を測定点に取り、それら測定点が示す容量値をブロック図の要素に代入してシミュレーションし、ΔPmaxとσxを求める。
【0041】
目標関数の極値がありそうな格子目を検出したときに、その格子目の中にさらに細かい格子目を形成してその細かい格子目の交点が表す測定点CB,CIについて精査してminPconになるCB,CIの組合せを探索する。このような探索法を2段重ねて実行すると、さらに少ないシミュレーションで効率的にピーク解を検出することができる。
なお、設備コストが最小となる上位3個の解をそれぞれ細かく詮索することにより局所解に収束しないようにして真の最適解を見落とすことを防止しながら、与えられた制御器パラメータについての最適容量解を決定する。
【0042】
予定の終了回数に達していないときは、設定した制御器パラメータにおける最適容量を評価し、ステップ3に戻って新しい制御器パラメータをセットしてステップ4の工程を繰り返す(Step5)。また、終了回数に達したときは、それまでのシミュレーションの結果として最適な蓄電池容量とインバータ容量、およびそのときの制御器パラメータを決定して(Step6),演算処理を終了する。
【0043】
こうして求めた蓄電池容量値、インバータ容量値、制御器パラメータ値などを実現した蓄電池設備を備えることによって、蓄電池システムは目標とする合成出力の平準化を達成するものであって設備コストが最も小さいシステムとなる。
【0044】
(最適容量、最適パラメータの決定例)
出力1MWの風力発電機に併設する蓄電池としてNaS電池を使った蓄電池システムについて、管理目標とする最大電力変動ΔPmaxの変動幅ΔPd max[kW]、電力変動の変動許容範囲±Pdev[kW]とこの範囲に含まれる確率g(Pdev)[%]、および平準化期間T[min]とが異なる4個のケースを対象として、本実施例の手順によりシミュレーションを使って容量最適値と制御器パラメータ最適値を求めた。
なお、NaS電池のkWh当たりコストを700$、インバータのkW当たりコストを1500$と想定した。
【0045】
図14は、4個のケースについてこれらシミュレーションパラメータの設定値を示す表である。
ケース1では、ΔPd maxを400kW、g(Pdev)を99.95%、Pdevを100kW、Tを10minとし、ケース2〜4はケース1と比較して1項目ずつ設定値を変えたものである。ケース2はΔPd maxを100kW減らした場合、ケース3はPdevを30kW減らした場合、ケース4はTを10min増やした場合である。
【0046】
図15は、シミュレーションにより得られた最適解を示す表で、ケース毎に、最適な制御器パラメータn,α,Dzone、合成出力電力Psysの標準偏差σx、最大発電電力変動ΔPmax、最適インバータ容量CI 、最適蓄電池容量CB、設備コストCcapを示す。
【0047】
(ケース1の特性)
ケース1の容量最適化においては、発電出力の移動平均値をとるサンプル期間nを増加させると、設備コストCcapが増加した。蓄電池残存容量の変動が大きく、満放電、満充電時は発電電力変動を平準化できないため、ΔPmaxが増大した。不感帯幅Dzone<10kW以下では、nを小さくしても不感帯幅以内の発電電力変動がΔPsysに現れてσxが増加し制約条件を満たせないため、解が得られなかった。
ケース1の最適値は、蓄電池最適容量が274kWh、インバータ最適容量が580kW、このときの制御器パラメータn、α、Dzoneはそれぞれ、3、0.0004pu、10kWであり、設備コストは$1,061,800になった。
【0048】
(ケース2の特性)
ケース2は、最大発電電力変動ΔPmaxの許容幅を400kWから300kWに減らしたものである。nを3以下にすると、ΔPmaxを300kW以下にするという制約条件を満たすことができず、最適解が得られなかった。
ケース2の最適値は、蓄電池最適容量が451kWh、インバータ最適容量が675kW、このときの制御器パラメータn、α、Dzoneはそれぞれ、4、0.0002pu、0kW、設備コストは$1,328,200になった。
出力変動幅を抑制しようとしたためケース1と比較するとインバータ容量、蓄電池容量が大きく、設備コストも大きい。ケース1のシミュレーション結果によると、ΔPmaxが300kW以上になるのは、年間数回しかないので、大きな設備コストに見合うメリットはないと評価される。
【0049】
(ケース3の特性)
ケース3は、合成出力電力の99.95%統計的変動範囲Pdevを100kWから70kWに狭くしたものである。発電電力変動の確率的な分布を小さくするためには十分な蓄電池容量が必要になるので、設備コストも増大した。またnを5以上にしないと解が得られなくなる。また、α、Dzoneは十分小さな値にしなければ、設備コストが増大して最適解が得られないことがある。
ケース3の最適値は、蓄電池最適容量が501kWh、インバータ最適容量が574kW、このときの制御器パラメータn、α、Dzoneはそれぞれ、5、0.0001pu、0kW、設備コストは$1,211,700になった。
ケース1と比較すると平準化効果は大きい。しかし、設備コストを抑制するためには、発電電力変動が小さい地域に立地するなどの工夫が必要である。
【0050】
(ケース4の特性)
ケース4では、20分間の変動を平準化させる制約条件の下で最適化を行っている。平準化期間を長く設定すると発電電力変動が大きくなるので、変動を抑制する蓄電池容量が増大し、設備コストが増大した。
ケース4の最適値は、蓄電池最適容量が720kWh、インバータ最適容量が601kW、このときの制御器パラメータn、α、Dzoneはそれぞれ、3、0.0008pu、0kW、設備コストは$1,384,500になった。
全てのケースの内で設備コストが最も大きかった。平準化期間を長くすると蓄電池容量を増大する必要が出てくるので、風車のピッチ角制御や電力系統との協調制御などにより蓄電池の負担を低減させることが好ましい。
【0051】
(最適値を適用したときの風力発電機の運転成績)
図16〜19は、風力発電機に併設した本実施例による蓄電池設備に上記ケース毎に算定された最適容量、そのときの制御器パラメータを適用し、通年の風速実測データから得られた図7の発電電力変動データを入力して求めた発電電力変動平準化効果を示す図面である。図は、風力発電機と蓄電池設備の合成出力Psysの差分から算定した合成出力変動ΔPsysの1年にわたる変動状態を示す。
【0052】
いずれのケースにおいても、図7に示した風力発電機出力における変動を抑制
して顕著な平準化効果を示している。
ケース1は、適度な平準化効果を有し、設備コストはケース中最小である。
ケース2では、ケース1と比較して合成出力電力Psysの変動幅が小さい。しかし、設備コストが大きく、大きな変動が年に数回程度しか生じないので、設備が過重であると判定することができる。
ケース3は設備コストがケース1とケース2の中間になるが、ケース2並の平準化効果を呈している。
さらにケース4では、最もよく出力変動が抑制されるが、設備容量が最も大きく設備コストも最大になる。
【0053】
本発明の蓄電池設備は、風力発電機の発電電力について所定期間に係る移動平均値との偏差を蓄電池制御装置に設定値として与えるので、電力系統への合成出力電力を移動平均値に近づくように平準化させる作用効果を有する。設定値を算定するときに、蓄電池容量の上下限値を考慮し、蓄電池残存容量を目標のレベルに収束するような修正値を算出して設定値を修正しながら出力する。
さらに、本発明の方法に基づいて、風速の実測データを用いて風力発電機出力に換算した発電電力データを使って、シミュレーションにより所定の条件下で設備コストが最小で最適な蓄電池容量やインバータ容量、およびそのときの制御器パラメータを探索し、実機に設定することができる。
したがって、本発明により、電力系統に出力する合成出力を十分平準化するものであって、最小の設備コストの蓄電池設備を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の1実施例に係る風力発電機に用いる蓄電池設備の蓄電池制御器のブロック図である。
【図2】本実施例における風力発電機に用いる蓄電池設備の結線図である。
【図3】本実施例における蓄電池制御器に用いる適応ゲイン制御器の特性を示すグラフである。
【図4】1年間にわたる実測風速データを示すグラフである。
【図5】本実施例に使う補助係数と地表状態の対応を示す表である。
【図6】本実施例に使う風力発電機の運転特性を表すグラフである。
【図7】図4をもとに算出した定格容量1MWの風力発電機の1年間の発電電力変動を表すグラフである。
【図8】本実施例における蓄電池とインバータの容量と平準化効果の関係を確認する手順を表すフロー図である。
【図9】本実施例の充放電シミュレーションにより得られた合成出力電力の標準偏差σxをインバータ容量CI と蓄電池容量CBの座標上に描いたグラフである。
【図10】本実施例の充放電シミュレーションにより得られた合成出力電力の最大出力変動量ΔPmaxをインバータ容量CI と蓄電池容量CBの座標上に描いたグラフである。
【図11】図4をもとに算出した大容量蓄電池で平準化した風力発電機の1年間の合成出力電力変動を表すグラフである。
【図12】本実施例の蓄電池とインバータの最適容量と最適な蓄電池制御パラメータをシミュレーションにより決定する手順を表すフロー図である。
【図13】図12のシミュレーションにおけるインバータ容量CI と蓄電池容量CBの最適値を探索する手法を説明する図面である。
【図14】本実施例において最適解を求めるシミュレーションのパラメータ設定値を示す表である。
【図15】本実施例のシミュレーション結果を示す表である。
【図16】本実施例のシミュレーションにおける第1ケースの最適解を適用した蓄電池システムで制御したときの合成出力電力の変動量を示す図面である。
【図17】本実施例のシミュレーションにおける第2ケースの最適解を適用した蓄電池システムで制御したときの合成出力電力の変動量を示す図面である。
【図18】本実施例のシミュレーションにおける第3ケースの最適解を適用した蓄電池システムで制御したときの合成出力電力の変動量を示す図面である。
【図19】本実施例のシミュレーションにおける第4ケースの最適解を適用した蓄電池システムで制御したときの合成出力電力の変動量を示す図面である。
【符号の説明】
【0055】
1 平均演算器
2 減算器
3 不感帯素子
4 加算器
5 出力リミッタ
6 加算器
7 適応ゲイン制御器
8 乗算器
9 積分器
11 風力発電機
12 蓄電池
13 インバータ
14 電力系統

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電機と併設して電力系統に風力発電機と並列に電力供給するようにした蓄電池設備であって、蓄電池とインバータと蓄電池制御器を備え、該蓄電池制御器は、前記風力発電機の発電電力の移動平均値を算出する平均演算器と、該移動平均値から前記風力発電機の発電電力値を差し引いて偏差を求める減算器と、前記蓄電池の残存容量値に対して比例する修正係数を出力する関数発生器と、該関数発生器から入力した前記修正係数に前記インバータの容量値を乗じて修正電力値を出力する乗算器と、該修正電力値と前記偏差を加える加算器と、該加算器の出力を上下限値で制約して前記蓄電池の出力指令値として出力する出力リミッタを備え、該蓄電池出力指令値は、前記風力発電機の発電電力の移動平均値と比較して過剰な分を前記蓄電池に蓄え、不足の分を前記蓄電池から補充させるように指令することを特徴とする、風力発電機用蓄電池設備。
【請求項2】
さらに、前記減算器と加算器の間に不感帯素子を備えて、前記偏差の絶対値が所定の値に達しない場合に前記加算器への出力がゼロになるようにすることを特徴とする請求項1記載の風力発電機用蓄電池設備。
【請求項3】
さらに、出力指令値を積分する積分器を設け、前記蓄電池の残存容量は、前記積分器により前記蓄電池出力指令値を積分して算定することを特徴とする請求項1または2記載の風力発電機用蓄電池設備。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の蓄電池制御器を表す伝達関数モデルに従って、制御器パラメータである移動平均算定に使うデータ数nと関数発生器の修正係数における傾きαと不感帯幅Dzoneの設定幅を入力し、該移動平均算定に使うデータ数nと傾きαと不感帯幅Dzoneを前記入力した設定幅内において選択し、蓄電池容量CBとインバータ容量CIを順次選択しては充放電シミュレーションを行って、合成出力電力Psysの最大発電電力変動ΔPmaxと標準偏差σxが決められた制約条件を満たすことを前提として、設備コストCcap=CBP+CIWが最小となる蓄電池容量CBとインバータ容量CIを求めて、前記選択された制御器パラメータn,α,Dzoneにおける最適な蓄電池容量CBとインバータ容量CIとすることを、前記制御器パラメータn、α、Dzoneを設定された範囲内で変化させては繰り返し、該設定された範囲内で設備コストCcapが最小となる蓄電池容量CB、インバータ容量CIを求めて該設定範囲内で最適な蓄電池容量CB、インバータ容量CIとして採用し、そのときの制御器パラメータを採用して風力発電機用蓄電池設備を構築することを特徴とする風力発電機用蓄電池設備の製作方法。ここで、CPは蓄電池の容量当たりコスト、CWはインバータの容量当たりコストである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−65787(P2009−65787A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232066(P2007−232066)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(504145308)国立大学法人 琉球大学 (100)
【Fターム(参考)】