説明

風力発電装置の制御装置、風力発電システム、及び風力発電装置の制御方法

【課題】電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなること防ぐことを目的とする。
【解決手段】風車制御装置は、複数枚の翼を有するロータが風を受けて回転し、該ロータの回転により発電機が発電し、電力系統に電力を供給すると共に、該電力系統の周波数の変動に応じて電力系統へ供給する電力量が変更可能な風力発電装置を制御する。風車制御装置が備える減算器62は、風力発電装置の発電出力の周波数計測値と、該風力発電装置の発電出力の周波数設定値との差である周波数変化量を算出し、制限部66は、減算器62が算出した周波数変化量に応じた電力変化量を、発電機の回転数に基づいて制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置の制御装置、風力発電システム、及び風力発電装置の制御方法
に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、系統連系されている風力発電装置に対して、電力系統の擾乱発生から予め定められた時間内(例えば30秒以内)に電力系統の周波数の変動の回復に寄与すること(Primary Frequency Response、以下、「PFR」という。)が求められている。
特許文献1には、PFRにおいて、ロータの回転数や発電出力に基づいて、出力する有効電力に制限を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7345373号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PFRは、一般には設定周波数と実際の周波数(計測値)との偏差(周波数変化量)に応じて、風力発電装置の発電出力を増減させるが、一定しない自然エネルギを動力源とする風力発電装置では、ガスの燃焼や蒸気等の制御可能な安定したエネルギを動力源とするタービン発電機(同期発電機)に比べて、ロータの回転数が大きく変動する場合がある。
【0005】
そのため、図10に示すように、PFRを行うために追加して要求される発電出力であるPFR要求量が大きすぎると、例えば、ロータの回転数が小さい場合に、ロータが有する慣性力までも発電に用いられると、ロータの回転数が解列下限を下回って、風力発電装置が解列する可能性がある。また、例えば、ロータの回転数が大きい場合に、さらに発電量の増加を求められると、ロータの回転数が過速度上限を超過し、風力発電装置がトリップ(出力の遮断)する可能性がある。なお、トリップする場合とは、ロータの過回転の他、過出力、過電流でも起こる場合もある。
このような、PFRの実行中の風力発電装置の解列やトリップは、電力系統に対して擾乱として作用し、PFRを行わない場合よりも電力系統の周波数をより不安定にする可能性がある。また、一旦トリップすると再起動までに時間を要するため、風力発電装置は、電力系統の周波数を回復させるという目的を達成できない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなること防ぐことができる、風力発電装置の制御装置、風力発電システム、及び風力発電装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の風力発電装置の制御装置、風力発電システム、及び風力発電装置の制御方法は以下の手段を採用する。
【0008】
すなわち、本発明に係る風力発電装置の制御装置は、複数枚の翼を有するロータが風を受けて回転し、該ロータの回転により発電機が発電し、電力系統に電力を供給すると共に、該電力系統の周波数の変動に応じて電力系統へ供給する電力量が変更可能な風力発電装置の制御装置であって、前記風力発電装置の発電出力の周波数の計測値と、該風力発電装置の発電出力の周波数の設定値との差である周波数変化量を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された前記周波数変化量に応じた電力変化量を、前記発電機の回転数に基づいて制限する制限手段と、を備える。
【0009】
本発明によれば、風力発電装置の制御装置は、複数枚の翼を有するロータが風を受けて回転し、該ロータの回転により発電機が発電し、電力系統に電力を供給すると共に、該電力系統の周波数の変動に応じて電力系統へ供給する電力量が変更可能な風力発電装置を制御する。
【0010】
そして、風力発電装置の制御装置は、算出手段によって、風力発電装置の発電出力の周波数の計測値と、該風力発電装置の発電出力の周波数の設定値との差である周波数変化量が算出される。周波数変化量とは、風力発電装置が要求されている発電出力の周波数と実際の発電出力の周波数との差であり、電力系統に周波数の変動が生じると、制御手段には該変動を回復させるための設定値が入力される。すなわち、電力系統に周波数の変動が生じると、算出手段によって、電力系統の周波数の変動を回復させるために必要とされる周波数の変化量が算出される。
さらに、制限手段によって、算出手段で算出された周波数変化量に応じた電力変化量が、発電機の回転数に基づいて制限される。
【0011】
風力発電装置の発電出力の周波数と電力(有効電力)とは一対一の関係があり、周波数を変化させることは、電力を変化させることとなる。しかし、周波数変化量に応じて、より多くの電力を風力発電装置から出力させることによって、ロータの回転が、風力発電装置を電力系統から解列させる回転数以下になる場合がある。また、ロータの回転が過速度上限を超過し、風力発電装置がトリップする場合がある。風力発電装置の解列及びトリップは、電力系統の周波数の変動の回復に寄与しないばかりか、電力系統の周波数をより不安定にする可能性がある。さらに、発電機の回転数は、ロータの回転数と関係性を有し、発電機の回転数が低いとロータの回転数も低く、発電機の回転数が高いとロータの回転数も高い。
【0012】
そのため、本発明は、発電機の回転数に基づいて、周波数変化量に応じた電力変化量を制限することによって、電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなること防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の風力発電装置の制御装置は、前記制限手段が、前記発電機の回転数が第1設定値以下の場合に、前記電力変化量を予め定められた第1制限値とし、前記発電機の回転数が第2設定値以上の場合に、前記電力変化量を前記第1制限値よりも大きい予め定められた第2制限値とし、前記発電機の回転数が第1設定値を超え第2設定値未満の場合に、前記発電機の回転数の上昇と共に前記電力変化量の制限値を前記第1制限値から前記第2制限値の間で上昇させてもよい。
【0014】
本発明によれば、制限手段によって、発電機の回転数が第1設定値以下の場合に、電力変化量が第1制限値とされ、発電機の回転数が第2設定値以上の場合に、電力変化量が第1制限値よりも大きい予め定められた第2制限値とされる。さらに、制限手段によって、発電機の回転数が第1設定値を超え第2設定値未満の場合に、発電機の回転数の上昇と共に電力変化量の制限値が、第1制限値から第2制限値の間で上昇される。
【0015】
例えば、発電機の回転数が第1設定値以下の場合とは、ロータの回転数がより低い場合であり、現状よりも多くの電力を出力させようとすると、ロータの回転数が低くなりすぎ、風力発電装置の発電出力が解列下限よりも低くなる可能性がある場合である。このような場合に、電力変化量に第1制限値を設け、風力発電装置の解列を防止する。
【0016】
一方、発電機の回転数が第2設定値以上の場合とは、ロータの回転数がより高い場合であり、現状よりも多くの電力を出力させようとすると、風力発電装置がトリップする可能性がある場合である。このような場合に、電力変化量に第2制限値を設け、風力発電装置のトリップを防止する。
【0017】
そして、発電機の回転数が第1設定値を超え第2設定値未満の場合は、発電機の回転数の上昇と共に電力変化量の制限値が高くなるようにすることで、発電機の回転数に応じた制限値で電力変化量が制限される。
【0018】
従って、本発明は、電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなることを、より確実に防ぐことができる。
【0019】
また、本発明の風力発電装置の制御装置は、前記制限手段が、前記電力変化量に所定のゲインを乗算し、前記所定のゲインを、前記発電機の回転数が第1設定値以下の場合、第1ゲインとし、前記発電機の回転数が第2設定値以上の場合、第2ゲインとし、前記発電機の回転数が前記第1設定値を超えると、前記発電機の回転数の上昇と共に前記第1ゲイン及び前記第2ゲインよりも高い第3ゲインまで上昇し、該第3ゲインに達すると、前記第2設定値に達するまで前記第2ゲインに下降させてもよい。
【0020】
本発明によれば、制限手段によって電力変化量に乗算されるゲインは、発電機の回転数が第1設定値以下の場合、第1ゲインに設定され、発電機の回転数が第2設定値以上の場合、第2ゲインに設定される。すなわち、第1ゲイン及び第2ゲインを小さく設定する(例えば、0(零))ことで、電力変化量が、小さくされる。これにより、ロータの回転数が低くなりすぎること、及び発電出力が高くなりすぎることが防がれる。
【0021】
一方、発電機の回転数が第1設定値と第2設定値との間の場合、ゲインは、発電機の回転数の上昇と共に第1ゲイン及び第2ゲインよりも高い第3ゲインまで上昇し、該第3ゲインに達すると、第2ゲインに下降するように設定される。
【0022】
従って、本発明は、電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなることを、より確実に防ぐことができる。
【0023】
また、本発明の風力発電装置の制御装置は、前記制限手段が、前記発電機の回転の加速度に基づいて、前記電力変化量を補正してもよい。
【0024】
本発明によれば、例えば、発電機の回転数の微分値から求められる発電機の回転の加速度に基づいて、電力変化量が補正される。すなわち、回転数の減速及び加速に応じて電力変化量が補正される。
【0025】
従って、本発明は、電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなることを、より確実に防ぐことができる。
【0026】
また、本発明の風力発電装置の制御装置は、前記制限手段が、前記発電機の回転数、前記周波数の計測値、及び前記風力発電装置に対する風速に基づいて、前記風力発電装置の発電出力の周波数、前記風力発電装置に対する風速の変動量を予測し、予測結果に基づいて前記電力変化量を補正してもよい。
【0027】
本発明によれば、風力発電装置の発電出力の周波数、風速の変動量を予測し、予測結果に基づいて電力変化量が補正されるので、電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなることを、より確実に防ぐことができる。
【0028】
一方、本発明に係る風力発電システムは、複数枚の翼を有するロータが風を受けて回転し、該ロータの回転により発電機が発電し、電力系統に電力を供給すると共に、該電力系統の周波数の変動に応じて電力系統へ供給する電力量が変更可能な風力発電装置と、前記風力発電装置を制御する請求項1から請求項5の何れか1項に記載の制御装置と、を備える。
【0029】
本発明によれば、風力発電装置が上記記載の制御装置によって制御されるので、電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなること防ぐことができる。
【0030】
さらに、本発明に係る風力発電装置の制御方法は、複数枚の翼を有するロータが風を受けて回転し、該ロータの回転により発電機が発電し、電力系統に電力を供給すると共に、該電力系統の周波数の変動に応じて電力系統へ供給する電力量が変更可能な風力発電装置の制御方法であって、前記風力発電装置の発電出力の周波数の計測値と、該風力発電装置の発電出力の周波数の設定値との差である周波数変化量を算出する第1工程と、前記第1工程によって算出された前記周波数変化量に応じた電力変化量を、前記発電機の回転数に基づいて制限する第2工程と、を含む。
【0031】
本発明によれば、発電機の回転数に基づいて、周波数変化量に応じた電力変化量を制限することによって、電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなること防ぐことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、電力系統の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置が電力系統へ電力を供給できなくなること防ぐことができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る風力発電装置の外観図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るウインドファームの全体構成、及び風力発電装置の電気的構成を示した模式図である。。
【図3】本発明の第1実施形態に係る電力指令値生成部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るPFR要求量生成部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るPFR要求量制限値の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るPFR要求量生成部の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る可変ゲインの一例を示す模式図であり、(A)は、ゲインが三角形状に変化する場合を示し、(B)は、ゲインが円弧状に変化する場合を示す。
【図8】本発明の第3実施形態に係る電力指令値生成部の構成を示すブロック図であり、(A)は、電力変化量に発電機回転数計測値に応じたゲインを加算することで電力変化量を補正する場合であり、(B)は、調定率を可変とすることで電力変化量を補正する場合である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る電力指令値生成部の構成を示すブロック図であり、(A)は、電力変化量に発電出力の周波数、風速に応じた値を加算することで電力変化量を補正する場合であり、(B)は、調定率を可変とすることで電力変化量を補正する場合である。
【図10】従来の周波数応答制御の説明に要する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明に係る風力発電装置の制御装置、風力発電システム、及び風力発電装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0035】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態に係る風力発電装置10の外観図である。
図1に示す風力発電装置10は、所謂可変速風車であり、基礎12上に立設される支柱14と、支柱14の上端に設置されるナセル16と、略水平な軸線周りに回転可能にしてナセル16に設けられるロータ18とを有している。
【0036】
ロータ18には、その回転軸線周りに放射状にして複数(本第1実施形態では、一例として3つ)の風車回転翼(以下、単に「翼20」という)が取り付けられている。これにより、ロータ18の回転軸線方向から翼20に当たった風の力が、ロータ18を回転軸線周りに回転させる動力に変換され、該動力が同期発電機である発電機46(図2参照)によって電力に変換される。なお、翼20は、運転条件に応じて回動可能なようにロータ18に連結されており、翼20のピッチ角が変化可能とされている。
【0037】
図2は、第1実施形態に係るウインドファーム30の全体構成、及び風力発電装置10の電気的構成を示した模式図である。ウインドファーム30は、複数の風力発電装置10、サブステーション31、各風力発電装置10毎に対応して設けられた複数の風車制御装置32を備えている。なお、風力発電装置10と風車制御装置32との組み合わせを風力発電システムという。
【0038】
各風力発電装置10は、変圧器34を介してサブステーション31に接続されると共に、サブステーション31が有する変圧器34及び送電線36を介して系統連系され、電力系統38へ電力を供給する。
【0039】
また、サブステーション31には、ウインドファーム30全体の制御を司るマスターコントローラ41(例えば、SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition))が設けられている。
【0040】
マスターコントローラ41は、電力系統38から要求される出力値(電力量)を示す系統要求出力値を受信し、各風車制御装置32へ送信する。
【0041】
風車制御装置32は、対応する風力発電装置10を制御するために、系統要求出力値に応じた電力指令値を生成し、対応する風力発電装置10の発電出力(有効電力)を制御したり、翼20のピッチ角を制御するためにピッチ角指令値を生成し、ピッチアクチュエータ(不図示)へ出力する等を行う。また、風車制御装置32は、風力発電装置14の発電出力や風力発電装置14の制御状態を示すデータ等をマスターコントローラ41へ送信する。
【0042】
なお、風車制御装置32は、タービンコントローラ40及びコンバータコントローラ42を備える。
タービンコントローラ40は、系統要求出力値に応じたパラメータとして、風力発電装置10の発電出力の周波数の設定値(以下、「周波数設定値」という。)を記憶しており、該周波数設定値に基づいて、電力指令値を生成し、コンバータコントローラ42へ出力する。
そして、コンバータコントローラ42は、入力された電力指令値に基づいて、風力発電装置10に備えられたコンバータ44を制御する。
コンバータ44は、コンバータコントローラ42からの制御信号に基づいて、発電機46から電力系統38への発電出力を制御する。
【0043】
次に、タービンコントローラ40による電力指令値の生成について説明する。
図3は、電力指令値を生成する電力指令値生成部50の構成を示すブロック図である。
【0044】
電力指令値生成部50は、発電機回転数設定値ωと発電機回転数計測値ωとが入力される。発電機回転数設定値ωは、周波数設定値に基づいて生成され、発電機回転数計測値ωは、実際に計測された発電機46の回転数である。
【0045】
発電機回転数設定値ω及び発電機回転数計測値ωは、減算器52に入力され、減算器52は、発電機回転数設定値ωと発電機回転数計測値ωとの偏差を、PI制御部54へ出力する。
【0046】
PI制御部54は、入力された偏差に基づいた電力指令値Pを生成し、制限部56へ出力する。
【0047】
制限部56は、入力された電力指令値Pが予め定められた上限値を超えている場合は、電力指令値Pを該上限値に制限して出力する。制限部56から出力された電力指令値Pは、加算器58でPFR要求量Pと加算され、電力指令値Ptotalとしてコンバータコントローラ42へ出力される。なお、PFR要求量Pは、タービンコントローラ40に備えられている後述するPFR要求量生成部60から出力される。
【0048】
ここで、風力発電装置10は、風車制御装置32による制御によって、電力系統38の周波数(以下、「系統周波数」という。)の変動に応じて発電出力が変更可能とされている。すなわち、風力発電装置10は、系統周波数に変動が生じると、該変動を回復するPFRを実行する。そして、PFR要求量Pとは、PFRを実行するための発電出力の増加量、又減少量である。
【0049】
しかしながら、PFR要求量Pが大きすぎると、例えば、ロータ18の回転数が小さい場合に、ロータ18が有する慣性力までも発電に用いられると、ロータ18の回転数が解列下限を下回って、風力発電装置10が解列する可能性がある。また、ロータ18の回転数が大きい場合に、さらに発電量の増加を求められると、ロータ18の回転数が過速度上限を超過し、風力発電装置10がトリップする場合がある。風力発電装置10の解列及びトリップは、電力系統38の周波数の変動の回復に寄与しないばかりか、電力系統38の周波数をより不安定にする可能性がある。
【0050】
そこで、本第1実施形態に係る風車制御装置32は、過大とならないように制限したPFR要求量Pを生成する。
【0051】
図4は、本第1実施形態に係るPFR要求量生成部60の構成を示すブロック図である。
【0052】
PFR要求量生成部60は、減算器62、調定部64、及び制限部66を備えている。
減算器62は、風力発電装置10の発電出力の周波数の計測値(以下、「周波数計測値」という。)fと、風力発電装置10の周波数設定値fが入力され、周波数計測値fと周波数設定値fとの差である周波数変化量を算出する。
【0053】
周波数変化量とは、風力発電装置10が要求されている発電出力の周波数(周波数設定値f)と実際の発電出力の周波数(周波数計測値f)との差であり、電力系統38に周波数の変動が生じると、PFR要求量生成部60には該変動を回復させるための周波数設定値fが入力される。すなわち、電力系統38に周波数の変動が生じると、減算器62によって、電力系統38の周波数の変動を回復させるために必要とされる周波数変化量が算出される。
【0054】
調定部64は、周波数変化量に所定の調定率(1/R(R分の1)、Rは定数)を乗算することによって、周波数変化量に応じた電力変化量を算出する。
【0055】
そして、制限部66は、発電機46の回転数の計測値(以下、「発電機回転数計測値」という。)ωが入力され、入力された電力変化量を発電機回転数計測値ωに基づいて制限した、PFR要求量Pを電力指令値生成部50へ出力する。
【0056】
なお、上述のように、調定部64で周波数変化量に調定率を乗算することによって周波数に応じた電力を算出するように、風力発電装置10の発電出力の周波数と電力(有効電力)とは一対一の関係があり、周波数を変化させることは、電力を変化させることとなる。
また、発電機46の回転数は、ロータ18の回転数と関係性を有し、発電機46の回転数が低いとロータ18の回転数も低く、発電機46の回転数が高いとロータ18の回転数も高い。
【0057】
このように、本第1実施形態に係る風車制御装置32は、ロータ18の回転数と関連性のある発電機回転数計測値ωに基づいて、周波数変化量に応じた電力変化量を制限することによって、電力系統38の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置10が電力系統38へ電力を供給できなくなること防ぐ。
【0058】
なお、本第1実施形態に係る制限部66は、図4に示す発電機回転数ωとPFR要求量制限値との関係に基づいて、入力された電力変化量を制限したPFR要求量Pを出力する。
【0059】
本第1実施形態に係る制限部66は、発電機回転数計測値ωが最小設定値以下の場合に、電力変化量を第1制限値とし、発電機回転数計測値ωが最大設定値以上の場合に、電力変化量を第1制限値よりも大きい予め定められた第2制限値とする。さらに、制限部66は、発電機回転数計測値ωが最小設定値を超え最大設定値未満の場合に、発電機回転数計測値ωの上昇と共に電力変化量の制限値を、第1制限値から第2制限値の間で上昇させる。
【0060】
例えば、図5に示すように電力系統38の周波数低下時(周波数設定値fが周波数計測値fよりも大きくなる場合)において、発電機回転数計測値ωが最小設定値以下の場合とは、ロータ18の回転数がより低い場合であり、現状よりも多くの電力を出力させるためにロータ18の慣性力を用いると、ロータ18のその後回転数が低くなりすぎ、風力発電装置10の発電出力が解列下限よりも低くなる可能性がある場合である。このような場合に、電力変化量に第1制限値(図5の例では、0(零))を設け、風力発電装置10の解列を防止する。すなわち、発電機回転数計測値ωが最小設定値以下の風力発電装置10のPFR要求量Pは、0となるので、該風力発電装置10は、PFRを実行しない。
一方、電力系統38の周波数低下時において、発電機回転数計測値ωが最大設定値以上の場合とは、ロータ18の回転数がより高い場合であり、現状よりも多くの電力を出力させようとすると、風力発電装置10がトリップする可能性がある場合である。このような場合に、電力変化量に第2制限値を設け、風力発電装置10のトリップを防止する。
【0061】
そして、発電機回転数計測値ωが最小設定値を超え最大設定値未満の場合は、発電機46の回転数の上昇と共に電力変化量の制限値が高くなるようにすることで、発電機46の回転数に応じた制限値で電力変化量が制限され、PFR要求量Pとして出力される。
このように、電力系統38の周波数低下時では、PFR要求量Pは、0から正の値の範囲で変化するので、風力発電装置10は、より多くの電力を電力系統38へ供給する。具体的には、風車制御装置32は、翼20のピッチ角をよりファイン側へ変更し、ロータ18の回転数を上昇させて発電出力を増加させる制御、ロータ18に蓄えられている慣性力を用いて発電出力を上昇させる制御等を行う。
【0062】
一方、図5に示すように電力系統38の周波数上昇時(周波数設定値fが周波数計測値fよりも小さくなる場合)では、最小設定値に対応する第1制限値は、0以下であり、最大設定値に対応する第2制限値は、0である。
このため、電力系統38の周波数上昇時では、PFR要求量Pは、負の値から0の範囲で変化するので、風力発電装置10は、電力系統38へ供給する電力を減少させる。具体的には、風車制御装置32は、翼20のピッチ角をよりフェザー側へ変更し、ロータ18の回転数を下降させて発電出力を減少させる制御等を行う。
【0063】
従って、本第1実施形態に係る風車制御装置32は、電力系統38の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置10が電力系統へ電力を供給できなくなることを、より確実に防ぐことができる。
【0064】
なお、図5に示されるPFR要求量制限値は、一例であり、これに限定されない。
【0065】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、本第2実施形態に係る風力発電装置10、ウインドファーム30、及び電力指令値生成部50の構成は、図1,2,3に示される第1実施形態に係る風力発電装置10、ウインドファーム30、及び電力指令値生成部50の構成と同様であるので説明を省略する。
【0066】
図6は、本第2実施形態に係るPFR要求量生成部60の構成を示す。なお、図6における図4と同一の構成部分については図4と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第2実施形態に係るPFR要求量生成部60は、ゲイン部70及び乗算器72を備える。
【0067】
ゲイン部70には、発電機回転数計測値ωが入力され、発電機回転数計測値ωに基づいたゲインを乗算器72へ出力する。
ゲイン部70から出力されるゲインは、発電機回転数計測値ωに基づいて変化する可変ゲインであり、発電機回転数計測値ωが最小設定値以下の場合、第1ゲインに設定され、発電機回転数計測値ωが第2設定値以上の場合、第2ゲインに設定される。すなわち、第1ゲイン及び第2ゲインを小さく設定することで、電力変化量は、小さくされる。これにより、ロータ18の回転数が低くなりすぎること及び発電出力が高くなりすぎることが防がれる。
一方、発電機回転数計測値ωが第1設定値と第2設定値との間の場合、ゲインは、発電機回転数計測値ωの上昇と共に第1ゲイン及び第2ゲインよりも高い第3ゲインまで上昇し、該第3ゲインに達すると、第2ゲインに下降するように設定される。
【0068】
図7は、第2実施形態に係る可変ゲインの一例を示す模式図であり、(A)は、ゲインが三角形状に変化する場合を示し、(B)は、ゲインが円弧状に変化する場合を示す。なお、図7(A),(B)の例では、ゲイン=0が第1ゲイン及び第2ゲインであり、ゲイン=1.0が第3ゲインである。第1ゲイン、第2ゲイン、第3ゲインの値は、これに限らず、他の値でもよく、第1ゲインと第2ゲインとの値が異なってもよい。また、ゲインの変化も三角形状、円弧状に限定されず、例えば、連続的な変化ではなく、発電機回転数計測値に応じて段階的に変化する不連続な変化であってもよい。
【0069】
乗算器72は、調定部64から出力される電力変化量とゲイン部70から出力されるゲインが入力され、電力変化量とゲインとを乗算し、乗算した結果をPFR要求量Pとしてを電力指令値生成部50へ出力する。
【0070】
なお、電力系統38の周波数低下時(周波数設定値fが周波数計測値fよりも大きくなる場合)には、調定部64から出力される電力変化量は、正の値であるため、乗算器72から出力されるPFR要求量Pは、0から正の値の範囲で変化するので、風力発電装置10は、より多くの電力を電力系統38へ供給する。
一方、電力系統38の周波数上昇時(周波数設定値fが周波数計測値fよりも小さくなる場合)では、調定部64から出力される電力変化量は、負の値であるため、乗算器72から出力されるPFR要求量Pは、負の値から0の範囲で変化するので、風力発電装置10は、電力系統38へ供給する電力を減少させる。
【0071】
以上説明したように、第2実施形態に係る風車制御装置32は、発電機回転数計測値に応じた、ゲインを変化させ、該ゲインを電力変化量に乗算させるので、電力系統38の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置10が電力系統へ電力を供給できなくなることを、より確実に防ぐことができる。
【0072】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
【0073】
なお、本第3実施形態に係る風力発電装置10、ウインドファーム30、及び電力指令値生成部50の構成は、図1,2,3に示される第1実施形態に係る風力発電装置10、ウインドファーム30、及び電力指令値生成部50の構成と同様であるので説明を省略する。
【0074】
本第3実施形態に係るPFR要求量生成部60は、発電機46の回転の加速度に応じて電力変化量を補正する。例えば、発電機46が大きく減速する場合は(回転数の低下を防ぐために)、電力変化量を補正してPFR要求量を小さくし、発電機46が大きく加速する場合は、電力変化量を補正してPFR要求量を大きくする。
【0075】
図8は、本第3実施形態に係るPFR要求量生成部60の構成を示す。なお、図8における図4と同一の構成部分については図4と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0076】
図8(A)に示すPFR要求量生成部60の構成は、電力変化量に発電機回転数計測値に応じたゲインを加算することで電力変化量を補正する場合である。
図8(A)に示すPFR要求量生成部60は、微分器80、ゲイン部82、加算器84、及び制限部86を備える。
【0077】
微分器80は、発電機回転数計測値ωが入力され、発電機回転数計測値ωを微分することによって、発電機46の回転の加速度を算出し、加速度をゲイン部82に出力する。
なお、本第3実施形態に係るPFR要求量生成部60は、微分器80の代わりに、ノイズの影響を受けないようにするため、微分器80の機能に類似、近似的な特性(発電機46の回転の素早い変化を強調するような、高周波帯域のゲインが高い特性)を有するフィルタを用いてもよい。
【0078】
ゲイン部82は、加速度に応じたゲインを出力し、加算器84に出力する。
【0079】
加算器84は、調定部64から出力された電力変化量とゲイン部82から出力されるゲインが入力され、電力変化量をゲインで加算し、その結果を制限部86に出力する。
【0080】
制限部86は、下限値及び上限値が設定されており、加算器84から出力された結果を下限値及び上限値の範囲となるように、制限したPFR要求量Pを出力する。なお、本第3実施形態に係るPFR要求量生成部60は、制限部86として、第1実施形態に係るPFR要求量生成部60が備える制限部66を用いてもよい。
【0081】
図8(B)に示すPFR要求量生成部60の構成は、調停率を可変とすることで電力変化量を補正する場合である。
図8(B)に示すPFR要求量生成部60は、可変調定部88を備えている。
【0082】
可変調定部88は、減算器62から出力された周波数変化量とゲイン部82から出力されるゲインが入力される。そして、可変調定部88は、入力されたゲインに応じて、調定率を変化させ、変化させた調停率と周波数変化量を乗算することで、電圧変化量を算出し、電圧変化量を制限部86へ出力する。
なお、可変調定部88は、入力されるゲイン(発電機46の回転数の微分値)が大きい場合には、調定率を小さくして、慣性力の取りすぎに起因してロータ18の回転数が大きく変化する(落ち込む)ことを回避する一方、入力されるゲインが小さい場合には、慣性力を多めに取り出しても風力発電装置10が解列に至るまでロータ18の回転数が落ち込むことはないと考えられるため、調定率を大きくして、より多くの電力を風力発電装置10から電力系統38へ供給する。
【0083】
以上説明したように、第3実施形態に係る風車制御装置32は、発電機46の回転の加速度に応じて電力変化量を補正するので、電力系統38の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置10が電力系統へ電力を供給できなくなることを、より確実に防ぐことができる。
【0084】
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
なお、本第4実施形態に係る風力発電装置10、ウインドファーム30、及び電力指令値生成部50の構成は、図1,2,3に示される第1実施形態に係る風力発電装置10、ウインドファーム30、及び電力指令値生成部50の構成と同様であるので説明を省略する。
【0085】
本第4実施形態に係るPFR要求量生成部60は、風力発電装置10の発電出力の周波数、風速の変動を予測し、予測結果に応じて電力変化量を補正する。例えば、発電機46の発電出力の周波数、風速が小さくなる場合は(ロータの回転数の低下を防ぐために)、電力変化量を補正してPFR要求量を小さくし、発電機46の発電出力の周波数、風速が大きくなる場合は、電力変化量を補正してPFR要求量を大きくする。
【0086】
図9は、本第4実施形態に係るPFR要求量生成部60の構成を示す。なお、図9における図4と同一の構成部分については図4と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0087】
図9(A)に示すPFR要求量生成部60の構成は、電力変化量に発電出力の周波数、又は風速に応じた値を加算することで電力変化量を補正する場合である。
図9(A)に示すPFR要求量生成部60は、時系列推定部90A、加算器92、及び制限部94を備える。
【0088】
時系列推定部90Aは、発電機回転数計測値ω、周波数計測値f、及び風力発電装置10に対する風速に基づいた、自己回帰モデル等の統計的手法を用いた時系列推定アルゴリズムによって、風力発電装置10の発電出力の周波数、風力発電装置10に対する風速の変動量を予測し、予測結果から補正出力を求め、該補正出力を加算器92に出力する。
【0089】
加算器92は、調定部64から出力された電力変化量と時系列推定部90Aから出力される補正出力が入力され、電力変化量を補正値で加算し、その結果を制限部94に出力する。
【0090】
制限部94は、下限値及び上限値が設定されており、加算器92から出力された結果を下限値及び上限値の範囲となるように、制限したPFR要求量Pを出力する。なお、本第4実施形態に係るPFR要求量生成部60は、制限部94として、第1実施形態に係るPFR要求量生成部60が備える制限部66を用いてもよい。
【0091】
図9(B)に示すPFR要求量生成部60の構成は、調停率を可変とすることで電力変化量を補正する場合である。
図9(B)に示すPFR要求量生成部60は、時系列推定部90B、可変調定部64Bを備えている。
【0092】
時系列推定部90Bは、発電機回転数計測値ω、周波数計測値f、及び風力発電装置10に対する風速に基づいた、自己回帰モデル等の統計的手法を用いた時系列推定アルゴリズムによって、風力発電装置10の発電出力の周波数、風力発電装置10に対する風速の変動量を予測し、予測結果から補正係数を求め、該補正係数を加算器92に出力する。
【0093】
可変調定部64Bは、減算器62から出力された周波数変化量と時系列推定部90Bから出力される補正係数が入力される。そして、可変調定部64Bは、入力された補正係数を調定率に乗算することで調定率を変化させ、変化させた調停率と周波数変化量をさらに乗算することで、電圧変化量を算出し、電圧変化量を制限部94へ出力する。
【0094】
以上説明したように、第4実施形態に係る風車制御装置32は、発電機46の回転の加速度に応じて電力変化量を補正するので、電力系統38の周波数の変動を回復させる場合に発電出力の増減が過剰となり、風力発電装置10が電力系統へ電力を供給できなくなることを、より確実に防ぐことができる。
また、時系列推定部90A,90Bに入力される値は、周波数計測値f、発電機回転数計測値ω、及び風速に限らず、他の値が入力され、時系列推定アルゴリズムに用いられてもよい。
【0095】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0096】
例えば、上記各実施形態では、ウインドファーム30に複数の風力発電装置10が備えられている形態について説明したが、本発明は、これに限定されず、ウインドファーム30が一つの風力発電装置10を備える形態としてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10 風力発電装置
18 ロータ
20 翼
30 ウインドファーム
32 風車制御装置
38 電力系統
46 発電機
62 減算器
66 制限部
70 ゲイン部
80 微分器
82 ゲイン部
90A 時系列推定部
90B 時系列推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の翼を有するロータが風を受けて回転し、該ロータの回転により発電機が発電し、電力系統に電力を供給すると共に、該電力系統の周波数の変動に応じて電力系統へ供給する電力量が変更可能な風力発電装置の制御装置であって、
前記風力発電装置の発電出力の周波数の計測値と、該風力発電装置の発電出力の周波数の設定値との差である周波数変化量を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記周波数変化量に応じた電力変化量を、前記発電機の回転数に基づいて制限する制限手段と、
を備えた風力発電装置の制御装置。
【請求項2】
前記制限手段は、前記発電機の回転数が第1設定値以下の場合に、前記電力変化量を予め定められた第1制限値とし、前記発電機の回転数が第2設定値以上の場合に、前記電力変化量を前記第1制限値よりも大きい予め定められた第2制限値とし、前記発電機の回転数が第1設定値を超え第2設定値未満の場合に、前記発電機の回転数の上昇と共に前記電力変化量の制限値を前記第1制限値から前記第2制限値の間で上昇させる請求項1記載の風力発電装置の制御装置。
【請求項3】
前記制限手段は、前記電力変化量に所定のゲインを乗算し、
前記所定のゲインは、前記発電機の回転数が第1設定値以下の場合、第1ゲインであり、前記発電機の回転数が第2設定値以上の場合、第2ゲインであり、前記発電機の回転数が前記第1設定値を超えると、前記発電機の回転数の上昇と共に前記第1ゲイン及び前記第2ゲインよりも高い第3ゲインまで上昇し、該第3ゲインに達すると、前記第2設定値に達するまで前記第2ゲインに下降する請求項1記載の風力発電装置の制御装置。
【請求項4】
前記制限手段は、前記発電機の回転の加速度に基づいて、前記電力変化量を補正する請求項1記載の風力発電装置の制御装置。
【請求項5】
前記制限手段は、前記発電機の回転数、前記周波数の計測値、及び前記風力発電装置に対する風速に基づいて、前記風力発電装置の発電出力の周波数、前記風力発電装置に対する風速の変動量を予測し、予測結果に基づいて前記電力変化量を補正する請求項1記載の風力発電装置の制御装置。
【請求項6】
複数枚の翼を有するロータが風を受けて回転し、該ロータの回転により発電機が発電し、電力系統に電力を供給すると共に、該電力系統の周波数の変動に応じて電力系統へ供給する電力量が変更可能な風力発電装置と、
前記風力発電装置を制御する請求項1から請求項5の何れか1項に記載の風力発電装置の制御装置と、
を備えた風力発電システム。
【請求項7】
複数枚の翼を有するロータが風を受けて回転し、該ロータの回転により発電機が発電し、電力系統に電力を供給すると共に、該電力系統の周波数の変動に応じて電力系統へ供給する電力量が変更可能な風力発電装置の制御方法であって、
前記風力発電装置の発電出力の周波数の計測値と、該風力発電装置の発電出力の周波数の設定値との差である周波数変化量を算出する第1工程と、
前記第1工程によって算出された前記周波数変化量に応じた電力変化量を、前記発電機の回転数に基づいて制限する第2工程と、
を含んだ風力発電装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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