風力発電装置
【課題】幅広い風速域において発電することができる風力発電装置および風力発電装置の運転方法を提供する。
【解決手段】風を受けた羽根により回転軸は軸線まわりに回転駆動され、回転軸の回転は伝達部を介して複数の発電機22,22に伝達される。制御部44により制御された複数の発電機22,22は、回転軸によって回転駆動されることにより発電を行う。制御部44は、羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸における回転速度に基づいて発電を行う発電機22の数を制御している。例えば、風の風速、または、回転軸における回転速度が速くなると発電を行う発電機22の数を増やし、風の風速、または、回転速度が遅くなると発電を行う発電機22の数を減らす制御を行うことにより、幅広い風速域において発電することができる。
【解決手段】風を受けた羽根により回転軸は軸線まわりに回転駆動され、回転軸の回転は伝達部を介して複数の発電機22,22に伝達される。制御部44により制御された複数の発電機22,22は、回転軸によって回転駆動されることにより発電を行う。制御部44は、羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸における回転速度に基づいて発電を行う発電機22の数を制御している。例えば、風の風速、または、回転軸における回転速度が速くなると発電を行う発電機22の数を増やし、風の風速、または、回転速度が遅くなると発電を行う発電機22の数を減らす制御を行うことにより、幅広い風速域において発電することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に関し、特に、幅広い風速域において発電することができる風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球環境問題に対する関心の高まりや、化石燃料の枯渇に対する懸念等から、再生可能エネルギを利用した電力の発電装置の開発が盛んになりつつある。その中でも、風力発電装置は、風のエネルギを電力に変換するものであり、太陽光発電装置、太陽熱発電装置、水力発電装置、地熱発電装置などと並んで、再生可能エネルギを利用した発電装置であり、発電時に二酸化炭素を排出しない発電装置として注目を浴びている。
【0003】
一般に風力発電装置では、一つの風車に対して一つの発電機が設けられ、風を受けた風車において発生された回転駆動力を発電機に伝達し、当該発電機において回転駆動力が電力に変換されている。しかしながら、種々の事情により、一つの風車に対して複数(例えば二つ)の発電機が設けられ、一つの風車において発生された回転駆動力を、歯車などの機構を介して複数の発電機に分割して伝達し、それぞれの発電機において発電を行う構成も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平08−000240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発電容量が大きな発電機が設けられた風力発電装置と比較して、合計の容量が同じ小型の発電機が複数設けられた風力発電装置は、風車を回転させ始める起動トルクが小さいことが知られている。そのため、特許文献1に記載された風力発電装置のように、複数の発電機が設けられた風力発電装置は、同じ発電容量を有する一つの発電機が設けられた風力発電装置よりも、低い風速から風車が回り始め、発電を行うことができる。言い換えるとカットイン風速を低くすることができる。
【0006】
しかしながら、大きな発電機が設けられた風力発電装置と比較して、小型の発電機が複数設けられた風力発電総は、カットイン風速を低くすることができるとしても限度があり、低い風速の風を十分に利用した発電が行えていないという問題があった。
【0007】
特に、カットアウト風速を高くした風力発電装置の場合には、高い風速においても効率的に発電を行えるように風力発電装置の全体における発電容量を大きくした設計がなされている。すると、上述のように小型の発電機を複数設けたとしても、風車を回転させる起動トルクを十分に小さくすることができず、低い風速を利用した発電は困難であるという問題があった。言い換えると、従来の風力発電装置では、幅広い風速域において発電を行うことは困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、幅広い風速域において発電することができる風力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の風力発電装置によれば、風を受けた羽根により回転軸は軸線まわりに回転駆動され、回転軸の回転は伝達部を介して複数の発電機に伝達される。制御部により制御された複数の発電機は、回転軸によって回転駆動されることにより発電を行う。制御部は、羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸における回転速度に基づいて発電を行う発電機の数を制御している。例えば、風の風速、または、回転軸における回転速度が速くなると発電を行う発電機の数を増やし、風の風速、または、回転速度が遅くなると発電を行う発電機の数を減らす制御を行う。
【0010】
羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸の回転速度が速い場合には、回転軸から発電機に伝達される回転トルク等の回転駆動力は、風速または回転速度が遅い場合と比較して大きくなる。そのため、回転駆動力を多くの発電機に分配しても、それぞれの発電機に対して発電を行わせるのに十分な大きさの回転駆動力を供給することができ、風のエネルギを余すことなく電力に変換させることができる。
【0011】
羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸の回転速度が遅い場合には、回転軸から発電機に伝達される回転トルク等の回転駆動力は、風速または回転速度が速い場合と比較して小さくなる。そのため、発電を行う発電機の数を減らして、回転軸が発電機に供給する必要がある回転駆動力を小さくすることにより、羽根および回転軸を継続して回転させ続けることができ、発電機による発電を継続させることができる。
【0012】
さらに、発電を開始することができる最低限の風の風速を遅くする、言い換えると、弱い風でも発電を開始することができる。つまり、複数の発電機の一部により発電を開始することで、全ての発電機により発電を開始する場合と比較して、羽根、回転軸、発電機を回転させ始めるのに必要な起動トルクを小さくすることができる。また、複数の発電機の合計発電容量と同等の発電容量を有する大型発電機を用いて発電を行う場合と比較しても、起動トルクを小さくすることができる。
【0013】
風の風速または回転軸の回転速度が遅くなって、発電を行う発電機の数を減らす制御を行う場合には、発電を行う発電機の数を増やす制御を行う場合と比較して、速い風速、または、速い回転速度において発電を行う発電機の数を減らすことが望ましい。
【0014】
風の風速または回転軸の回転速度が遅くなる場合には、風速または回転速度が早い段階で発電を行う発電機の数を減らして、羽根、回転軸および発電機を回転させるのに必要な回転駆動力を減少させる。これにより、風の風速が急激に遅くなっても、発電を行う発電機の数が減少され、羽根、回転軸および発電機を回転させるのに必要な回転駆動力は小さくなっているため、羽根、回転軸および発電機が停止することを防止できる。
【0015】
その一方で、風の風速または回転軸の回転速度が速くなる場合には、風速または回転速度が遅い段階で発電を行う発電機の数を増やして、発電できる発電量である発電容量を増加させる。これにより、風の風速が急激に早くなっても、発電容量に余裕があるため、風のエネルギを余すことなく電力に変換させることができる。
【0016】
一部の発電機で発電を行っている際に、発電を行っている発電機の発電量が、当該発電機の発電容量に対して約半分を超えた時点で、発電を行う発電機の数を増やす制御を行うことが望ましい。このようにすることで、発電容量に近い発電量のときに発電を行う発電機の数を増やす場合と比較して、伝達部における負担が過大になることを防止できる。ここで、発電機における発電容量とは、発電機が発電できる発電量の上限のことである。
【0017】
伝達部における負担は、発電を行っている発電機における発電量の増減によって変動するとともに、回転軸の軸線を中心とした発電を行う発電機の配置バランスによっても変動する。つまり、個々の発電機における発電量が同じであっても、発電を行う発電機の配置バランスが悪いと、伝達部における負担は大きくなる。そのため、発電を行っている発電機における発電量が小さい段階で、発電を行う発電機の数を増やすことにより、発電を行う発電機の配置バランスを早い段階でよくして、伝達部にかかる負担が過大になることを防止できる。
【0018】
発電を行う発電機の数を増やす際には、それまで発電を行っていた発電機の発電量を減らして、発電を行う発電機の数を増やし、発電を行う発電機の合計の発電量を増加させることが望ましい。このようにすることで、発電を行っていた発電機の発電量を減らすことなく、発電を行う発電機の数を増やす場合と比較して、伝達部における負担が過大になることを防止できるとともに、電力の配分における負担を小さくすることができる。
【0019】
発電を行う発電機の数を増やした際に、発電を行っている複数の発電機における発電量の差を早く小さくすることができる。そのため、伝達部における発電機へ伝達させる回転駆動力の大きさのアンバランスを早く改善することができ、伝達部における負担が過大になることを防止できる。また、発電を行っている発電機における発電量を早く均一にすることができるため、発電を行っている発電機が発電すべき電力の分配の偏りを早く解消することができる。
【0020】
発電を行う複数の発電機の数を増減させることなく、合計の発電量を増減させる場合、複数の発電機のそれぞれの発電量を同等に保ちつつ、合計の発電量を増減させることが望ましい。
【0021】
このようにすることで、複数の発電機のそれぞれの発電量が大きく異なる場合と比較して、伝達部における負担を減らすことができるとともに、電力の配分における負担を小さくすることができる。
【0022】
ここで、発電量が同等とは、発電量が完全に同一である場合だけでなく、発電量を同一にしようと発電機を制御した際に必ず発生する差異だけ、発電量が異なっている場合も含むものである。
【0023】
発電機には、第1発電機と第2発電機とが含まれ、第1発電機は、第2発電機と比較して起動トルクが小さく、風の風速または回転軸の回転速度が遅い時には、第1発電機のみで発電を行い、風速または回転速度が速い時には、第1発電機および第2発電機で発電を行うことが望ましい。
【0024】
このようにすることで、複数の発電機が同じ場合、つまり起動トルクが同じ場合と比較して、より遅い風の風速または回転軸の回転速度の時から発電を行うことができる。
例えば、風の風速において、3m/sから6m/sの出現率が高い時には、一部の発電機または第1発電機のみで発電を行い、7m/sから8m/sの風速が出現し始めたら、全ての発電機または第1発電機および第2発電機で発電を行う。
【発明の効果】
【0025】
本発明の風力発電装置によれば、風を受けた羽根により回転軸は軸線まわりに回転駆動され、回転軸の回転は伝達部を介して複数の発電機に伝達され、制御部により制御された複数の発電機は、回転軸によって回転駆動されることにより発電を行う。制御部は、羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸における回転速度に基づいて発電を行う発電機の数を制御しているため、幅広い風速域において発電することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る風力発電装置の概略構成を説明する模式図である。
【図2】図1の発電部の構成を説明する斜視図である。
【図3】図2の発電部の構成を説明する正面視図である。
【図4】図3の発電部の構成を説明するA−A線矢視断面図である。
【図5】図2の発電部の構成を説明する側面視図である。
【図6】図1の風力発電装置における連系部の構成を説明するブロック図である。
【図7】図6の制御部による制御内容を説明するグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る風力発電装置における発電機の配置を説明する模式図である。
【図9】図8の風力発電装置における連系部の構成を説明するブロック図である。
【図10】図9の制御部による制御内容を説明するグラフである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る風力発電装置の構成を説明する模式図である。
【図12】図11の連系部における構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る風力発電装置1ついて図1から図7を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る風力発電装置1の概略構成を説明する模式図である。
【0028】
本実施形態の風力発電装置1は、図1に示すように、垂直軸型風車10、発電部20および連系部40の組合せを複数備えたものであり、出力がMW級の大型水平軸型風車を用いた風力発電装置と比較して小型な(例えば、1台あたりの出力が数十kWから十数kW程度の)垂直軸型風車10、発電部20および連系部40の組合せを備えたものである。風力発電装置1には、垂直軸型風車10と、発電部20と、架台30と、連系部40とが主に設けられている。
【0029】
垂直軸型風車10は、風を受けて回転駆動力を発生させるものであり、発電部20に回転駆動力を供給するものである。垂直軸型風車10には、図1に示すように、シャフト(回転軸)11と、ブレード(羽根)12と、アーム13と、が主に設けられている。
【0030】
シャフト11は、垂直軸型風車10の中心に配置されるものであり、柱状、より具体的には円柱状に形成されたものである。シャフト11は、架台30によって、その中心線である回転軸線まわりに回転可能に支持されており、シャフト11を回転可能に支持する部材としては、ベアリングなど公知の軸受け部材を用いることができる。さらに、垂直軸型風車10のシャフト11は、その回転軸線が風の流れ方向に対して交差する方向、例えば垂直方向に延びて配置されている。本実施形態では、シャフト11が鉛直方向に延びて配置された例に適用して説明する。
【0031】
ブレード12は、風を受けてシャフト11を中心として回転する回転駆動力を発生させるものである。本実施形態では、ブレード12は、直線状に延びて形成されるとともに断面が翼形、つまり直線翼状に形成された羽根である。ブレード12は、シャフト11の回転軸線を中心とした同一の円筒面周上に、等間隔に配置されている。さらに、ブレード12は、翼形における正圧面がシャフト11側を向き、負圧面がシャフト11と反対側を向くように配置されている。本実施形態では、3つのブレード12,12,12が120°間隔に配置されている例に適用して説明する。
【0032】
さらに、1本のシャフト11には、3つのブレード12の組が2組、合計6つのブレード12が配置されている。つまり、1本のシャフト11を長手方向に2分割したうちの一方(シャフト11の上側部分)に3つのブレード12の組が配置され、他方(シャフト11の下側部分)に他の3つのブレード12の組が配置されている。
【0033】
下側部分に配置されたブレード12の組は、上側部分に配置されたブレード12の組と対比して、ブレード12が配置される位相(位置)が異なった状態でシャフト11に取り付けられている。本実施形態では、下側部分に配置されたブレード12の組は、上側部分に配置されたブレード12の組と対比して、位相を60°異ならせて配置されている。このようにすることで、垂直軸型風車10の起動性を向上させることができる。つまり、風の吹く方向による垂直軸型風車10における起動性のばらつきを抑えることができる。
【0034】
アーム13は、シャフト11とブレード12との間に配置された棒状の部材であって、シャフト11の回転軸線を中心に放射状に配置された部材である。アーム13は、シャフト11に対してブレード12を取り付けて固定するものであり、かつ、風を受けたブレード12において発生した揚力や抗力などの力をシャフト11に伝達するものである。1つのブレード12に対して2本のアーム13,13が用いられ、アーム13は、ブレード12に対して、ブレード12における上端側、および下端側に取り付けられ、シャフト11に対して、上下方向(回転軸線方向)に位置をずらして取り付けられている。
【0035】
図2は、図1の発電部20の構成を説明する斜視図である。図3は、図2の発電部20の構成を説明する正面視図である。図4は、図3の発電部20の構成を説明するA−A線矢視断面図である。図5は、図2の発電部20の構成を説明する側面視図である。
【0036】
発電部20は、図2から図5に示すように、垂直軸型風車10のシャフト11によって回転駆動されることにより、発電を行うものである。発電部20には、シャフト11から回転が伝えられるギア部(伝達部)21と、発電を行う2つの発電機22と、ギア部21および発電機22を支持する支持部23と、が主に設けられている。
【0037】
ギア部21は、シャフト11の回転を発電部20に伝達するものであり、かつ、シャフト11の回転速度を発電部20における発電に適した回転速度に変換するものである。ギア部21には、シャフト11に対して同軸に取り付けられた大歯車21Aと、発電機22の回転軸と同軸に取り付けられ、大歯車21Aと噛み合わされた小歯車21Bとが設けられている。
【0038】
大歯車21Aは、シャフト11の下端に取り付けられるとともに、シャフト11とともに回転可能に支持されたものである。小歯車21Bは、発電機22の回転軸の端部に取り付けられるとともに、発電機22の回転軸とともに回転可能とされたものである。大歯車21Aおよび小歯車21Bは、互いに噛み合って配置され、大歯車21Aの回転が小歯車21Bに伝達されるものである。
【0039】
本実施形態では、ギア部21の軽量化を目的として、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維強化樹脂や、ポリエチレンテレフタレートなどのエンジニアリングプラスチックや、ポリフェニレンスルファイドなどのスーパーエンジニアリングプラスチックなど、強度の高い樹脂を用いて大歯車21Aや、小歯車21Bが形成されている例に適用して説明する。
【0040】
さらに、大歯車21Aの近傍には、シャフト11の回転を機械的に規制する機械式ブレーキ14が設けられている。機械式ブレーキ14は、シャフト11に固定された円板部14Aと、円板部14Aを挟むことでシャフト11の回転を規制する挟持部14Bとから主に構成されている。
【0041】
発電機22は、シャフト11からギア部21を介して伝達された回転駆動力に基づいて発電を行うものである。本実施形態では、発電機22は永久磁石とコイルから構成されたコアレス発電機であり、2つの発電機22が発電部20に設けられている例に適用して説明する。2つの発電機22は、発電容量や大きさ等が同一のものであり、連系部40により制御されるものである。なお、発電機22としては、上述のようにコアレス発電機を用いてもよいし、他の形式の発電機を用いてもよく、特に限定するものではない。
【0042】
支持部23は、ギア部21および発電機22を支持するものであり、2つの発電機22の間にシャフト11が配置された状態で、これらのものを支持するものである。言い換えると、同一直線上に、発電機22、シャフト11、発電機22の順に並んで配置された状態で、これらのものを支持するものである)。さらに言い換えると、シャフト11の軸線を中心として、2つの発電機22が対象に配置された状態で、これらのものを支持するものである。
【0043】
支持部23には、発電機22を支持する台部23Aと、大歯車21Aを支持する段部23Bと、大歯車21Aを覆う天板部23Cおよび柱部23Dとが、主に設けられている。
台部23Aは、発電部20に設けられた他の部品を支持する板状の部材であり、発電機22、段部23B、柱部23Dが直接取り付けられるものである。段部23Bは、台部23Aの略中央に配置されたものであり、台部23A側から大歯車21Aおよびシャフト11を回転可能に支持するものである。また、シャフト11に取り付けられた大歯車21Aと、発電機22に取り付けられた小歯車21Bとの相対位置を調節し、両歯車が噛み合うように支持するものでもある。
【0044】
天板部23Cは、台部23Aとの間に大歯車21Aが配置されるものであり、大歯車21Aを上方から覆う板状の部材である。天板部23Cには、シャフト11が挿通される貫通孔が形成されている。天板部23Cと台部23Aとの間には4本の柱部23Dが配置され、天板部23Cが柱部23Dによって台部23Aに固定されている。
【0045】
架台30は、少なくとも垂直軸型風車10および発電部20からなる組を、複数組、支持するであるとともに、垂直軸型風車10および発電部20の周囲を取り囲むトラス構造またはラーメン構造を有するものである。本実施形態では、4組の垂直軸型風車10および発電部20を水平方向に直線状に並べた状態で支持する架台30の例に適用して説明する。架台30には、支柱31と、下方支持部33と、上方支持部34と、中央支持部35と、が主に設けられている。
【0046】
支柱31は、土台Bから架台30の上端(本実施形態では地面から11m上方)まで、鉛直方向に延びて配置された柱状の部材であり、架台30の外形を形成するものである。支柱31は、垂直軸型風車10および発電部20の質量の大半を支えるものであり、地面から上方へ離れた位置で垂直軸型風車10および発電部20を支えるものである。支柱31は柱状の部材であり、1つの垂直軸型風車10および発電部20の組を中心として四方に離れた4か所に配置されている。垂直軸型風車10および発電部20の組が隣接し、2本の支柱31が重複する場所では、一方の支柱31を省略して、残りの1本の支柱31が共用される。
【0047】
下方支持部33は、支柱31とともに垂直軸型風車10および発電部20の質量を支えるものである。下方支持部33は、地面から所望の距離だけ上方に離れた位置(本実施形態では約2m)において、4本の支柱31の間を水平方向に延びて配置されるとともに、架台30を上方から見て、4本の支柱31を対角線状につなぐように配置された棒状の部材である。本実施形態では、下方支持部33として、断面がI字状やH字状に形成された部材が用いられた例に適用して説明する。
【0048】
上方支持部34はシャフト11の上端を回転可能に支持するものである。上方支持部34は、支柱31の上端近傍において、4本の支柱31の間を水平方向に延びて配置されるとともに、架台30を上方から見て、4本の支柱31を対角線状につなぐように配置された棒状の部材である。
【0049】
中央支持部35はシャフト11の中央部分を回転可能に支持するものである。中央支持部35は、下方支持部33と上方支持部34との間であって、上下に並んで配置されたブレード12の間において、4本の支柱31の間を水平方向に延びて配置されるとともに、架台30を上方から見て、4本の主支柱31を対角線状につなぐように配置された棒状の部材である。上方支持部34とシャフト11の上端との間、および、中央支持部35とシャフト11との間には、シャフト11を回転軸線まわりに回転可能に支持するベアリングなどの公知の軸受けが配置されている。
【0050】
図6は、図1の風力発電装置1における連系部40の構成を説明するブロック図である。
連系部40は、発電機22により発電された電力における電圧および周波数を、外部の電力系統(例えば、商用電源)における電圧および周波数に変換するものであり、かつ、発電機22における発電を制御するものでもある。連系部40には、図6に示すように、コンバータ部41と、スイッチ部42と、パワーコンディショナ43と、制御部44と、が主に設けられている。
【0051】
コンバータ部41は、発電機22により発電された交流電力を、直流電力に変換した後、当該直流電力の電圧を所望の電圧を有する直流電力に変換するもの(AC−DC−DCコンバータ)である。また、コンバータ部41は、制御部44から入力される制御信号に基づいて、発電機22における発電を制御するものでもある。
【0052】
スイッチ部42は、制御部44から入力される制御信号に基づいて、コンバータ部41からパワーコンディショナ43に供給される直流電力量を制御するものである。さらに、スイッチ部42は、コンバータ部41からパワーコンディショナ43に供給される直流電力量を制御することにより、発電機22に対する負荷を制御して、発電機22における発電を制御するものである。
【0053】
パワーコンディショナ43は、直流電力を所望の周波数を有する交流電力に変換するもの(DC−ACコンバータ)である。所望の周波数としては、商用電源と同じ50Hzや60Hzの周波数を例示することができる。
【0054】
制御部44は、内蔵された記憶装置に書き込まれた各種のプログラムを読み込み、実行することにより各種の情報の演算処理を行う演算処理装置である。さらに制御部44は、コンバータ部41およびスイッチ部42を制御することにより、外部の電力系統に出力される電力量を制御するとともに、発電部20における発電を制御するものである。制御部44には、シャフト11の回転数速度を測定する回転センサ45の測定信号が入力され、制御部44は、測定信号に基づいてコンバータ部41およびスイッチ部42を制御する制御信号を生成している。生成された制御信号は、コンバータ部41およびスイッチ部42に出力される。
【0055】
次に、上記の構成からなる風力発電装置1における発電について図1、図2および図6を参照しながら説明する。
まず、風力発電装置1による発電について一般的な内容を説明する。図1に示すように、風力発電装置1の垂直軸型風車10は、風を受けるとシャフト11を中心として回転する。具体的には、垂直軸型風車10のブレード12は、風を受けることにより、揚力や抗力を発生してシャフト11を中心として回転する。垂直軸型風車10が回転し始めると、ブレード12は風に加えて自らの回転による相対的な空気の流れを受けることにより、揚力を発生してシャフト11を中心として回転する。
【0056】
シャフト11の回転はギア部21を介して発電機22に伝達され、発電機22は伝達された回転駆動力を用いて発電を行う。発電機22により発電された電力は、外部の電力系統に供給できるように、連系部40において電圧および周波数が変換される。連系部40から出力された電力は、外部の電力系統に供給、つまり売電される。その他にも、発電された電力を蓄電池に蓄電してもよいし、電力を消費する設備(例えば、工業設備や商業設備など)に供給してもよい。
【0057】
次に、本実施形態の特徴である、発電機22における発電の制御について説明する。具体的には、シャフト11の回転数に基づいて発電を行う発電機22の数を増減させる点が本実施形態の風力発電装置1の特徴であり、この点について説明する。図7は、図6の制御部による制御内容を説明するグラフである。
【0058】
風が止まっている状態から風が吹き始めて徐々に風速が早くなると、風を受けたブレード12およびシャフト11は回転し始める(図7の左から右に向かい始める。)。風速が、風力発電装置1において発電が可能となる風速であるカットイン風速を超えると、風力発電装置1において発電が開始される。
【0059】
制御部44には回転センサ45から出力された測定信号が入力され、制御部44は、測定信号に基づいてシャフト11の回転速度を推定する。シャフト11の回転速度が第1閾値未満の場合には、制御部44は2つの発電機22のうち、1つで発電を行い、残りの1つでは発電を行わない制御を行う。発電を行わない制御は、スイッチ部42に対してコンバータ部41からパワーコンディショナ43への電流の流れを遮断する制御信号を出力する等により行われる。
【0060】
ここで第1閾値とは、この回転速度でシャフト11が回転されている際に発電部20が発電している発電量が、当該発電部20の発電容量に対して40%から60%までの間の所定値となる値である。
【0061】
また、発電を行う発電機22に対して制御部44は、シャフト11の回転速度に応じて発電量、言い換えると、外部の電力系統へ供給する電力量を制御する制御信号を出力する。発電量または電力量の制御は、コンバータ部41における電力の電圧および周波数の変換や、スイッチ部42における電流の流れを制御することにより行われる。
【0062】
シャフト11の回転速度が第1閾値以上になると、制御部44は、それまで発電を行っていた発電機22における発電量を減少させる制御を行うとともに、それまで発電を行っていなかった2つ目の発電機22における発電を開始する制御を行う。2つの発電機22における合計の発電量は、図7に示すように、回転速度の増加に比例して増加するように制御されている。
【0063】
最初から発電していた発電機22における発電量は、2つの発電機22における発電量が等しくなるまで、回転速度の増加に伴い減少され、途中から発電し始めた発電機22における発電量は回転速度の増加に伴い増加される制御が行われる。
【0064】
2つの発電機22における発電量が等しくなると、その後は、2つの発電機22に対して、発電量が等しい関係を保ちつつ、回転速度の増加に伴い発電量を増加させる制御が制御部44によって行われる。
【0065】
その一方で風が弱くなり、風速が徐々に遅くなると、シャフト11の回転速度が低下し始める(図7の右から左に向かい始める。)。シャフト11の回転速度が第2閾値以上の場合には、2つの発電機22における発電量が等しくなる制御が行われる。シャフト11の回転速度が第2閾値未満に低下すると、回転速度の低下に伴い、1つの発電機22における発電量が増加されると共に、他の1つの発電機22における発電量は急激に減少される。2つの発電機22における合計の発電量は、回転速度の低下に伴い減少するように制御される。
【0066】
そして、シャフト11の回転速度が更に低下して、第3閾値未満に低下すると、1つの発電機22のみで発電が行われ、他の1つの発電機22では発電を行わない制御が行われる。発電を行う発電機22における発電量は、回転速度の低下に伴い減少する制御が行われる。ここで、第3閾値は第1閾値よりも大きな値を有するものであり、第2閾値は第3閾値よりも大きな値を有するものである。大小関係は以下の通りとなる。
第1閾値>第3閾値>第2閾値。
【0067】
上記の構成によれば、幅広い風速域において発電することができる。例えば、ブレード12に吹き付けられる風の風速、または、シャフト11の回転速度が速い場合には、シャフト11から発電機22に伝達される回転トルク等の回転駆動力は、風速または回転速度が遅い場合と比較して大きくなる。そのため、回転駆動力を2つの発電機22に分配しても、それぞれの発電機22に対して発電を行わせるのに十分な大きさの回転駆動力を供給することができ、風のエネルギを余すことなく電力に変換させることができる。
【0068】
逆に、ブレード12に吹き付けられる風の風速、または、シャフト11の回転速度が遅い場合には、シャフト11から発電機22に伝達される回転トルク等の回転駆動力は、風速または回転速度が速い場合と比較して小さくなる。そのため、発電を行う発電機22の数を1つに減らして、シャフト11が発電機22に供給する必要がある回転駆動力を小さくすることにより、ブレード12およびシャフト11を継続して回転させ続けることができ、発電機22による発電を継続させることができる。
【0069】
さらに、発電を開始することができる最低限の風の風速を遅くする、言い換えると、弱い風でも発電を開始することができる。つまり、1つの発電機22により発電を開始することで、2つの発電機22により発電を開始する場合と比較して、ブレード12、シャフト11、発電機22を回転させ始めるのに必要な起動トルクを小さくすることができる。また、2つの発電機22の合計発電容量と同等の発電容量を有する大型発電機を用いて発電を行う場合と比較しても、起動トルクを小さくすることができる。
【0070】
風の風速またはシャフト11の回転速度が遅くなる場合には、風速または回転速度が早い段階で発電を行う発電機22の数を減らして、ブレード12、シャフト11および発電機22を回転させるのに必要な回転駆動力を減少させる制御が行われる。これにより、風の風速が急激に遅くなっても、発電を行う発電機22の数が1つに減らされ、ブレード12、シャフト11および発電機22を回転させるのに必要な回転駆動力が小さくなっているため、ブレード12、シャフト11および発電機22が停止することを防止できる。
【0071】
その一方で、風の風速またはシャフト11の回転速度が速くなる場合には、風速または回転速度が遅い段階で発電を行う発電機22の数を2つに増やして、発電できる発電量である発電容量を増加させる制御が行われる。これにより、風の風速が急激に早くなっても、発電容量に余裕があるため、風のエネルギを余すことなく電力に変換させることができる。
【0072】
1つの発電機22で発電を行っている際に、発電を行っている発電機22の発電量が、当該発電機22の発電容量に対して40%から60%までの間の所定の値を超えた時点で、発電を行う発電機22の数を2つに増やす制御が行われる。このようにすることで、発電容量に近い発電量のときに発電を行う発電機22の数を2つに増やす場合と比較して、ギア部21における負担が過大になることを防止できる。
【0073】
シャフト11における負担は、発電を行っている発電機22における発電量の増減によって変動するとともに、シャフト11の軸線を中心とした発電を行う発電部の配置バランスによっても変動する。つまり、個々の発電機22における発電量が同じであっても、発電を行う発電機22の配置バランスが悪いと、ギア部21における負担は大きくなる。そのため、発電を行っている発電機22における発電量が小さい段階で、発電を行う発電機22の数を1つから2つに増やして配置バランスを早い段階で改善することにより、ギア部21にかかる負担が過大になることを防止できる。
【0074】
発電を行う発電機22の数を1つから2つに増やす際には、それまで発電を行っていた発電機22における発電量を減らして、発電を行う発電機22の数を2つに増やし、発電を行う発電機22の合計の発電量を増加させている。このようにすることで、発電を行っていた発電機22の発電量を減らすことなく発電を行う発電機22の数を増やす場合と比較して、ギア部21における負担が過大になることを防止できるとともに、電力の配分における負担を小さくすることができる。
【0075】
さらに、発電を行う発電機22の数を2つに増やした際に、発電を行っている2つの発電機22における発電量の差を早く小さくできる。そのため、ギア部21における2つの発電機22へ伝達する回転駆動力の大きさのアンバランスを早く改善することができ、ギア部21における負担が過大になることを防止できる。また、発電を行っている発電機22における発電量を早く均一にすることができるため、発電を行っている発電機22が発電すべき電力の分配の偏りを早く解消することができる。
【0076】
発電を行う発電機22の数を2つから増減させることなく、合計の発電量を増減させる場合、2つの発電機22のそれぞれの発電量を同等に保ちつつ、合計の発電量を増減させている。このようにすることで、2つの発電機22のそれぞれの発電量が大きく異なる場合と比較して、ギア部21における負担を減らすことができるとともに、電力の配分における負担を小さくすることができる。
【0077】
なお、制御部44は、コンバータ部41およびパワーコンディショナ43に対して最大電力点追従制御(MPPT制御)を行うことが望ましく、特に、コンバータ部41およびパワーコンディショナ43のそれぞれに対して、独立したMPPT制御を行うことが好ましい。
【0078】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図8から図10を参照して説明する。
本実施形態の風力発電装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、発電容量が異なる第1発電機および第2発電機を備えている点が異なっている。よって、本実施形態においては、図8から図10を用いて発電容量が異なる第1発電機および第2発電機を用いた発電について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0079】
図8は、本実施形態に係る風力発電装置101における発電機の配置を説明する模式図である。図9は、図8の風力発電装置における連系部140の構成を説明するブロック図である。本実施形態の風力発電装置101における発電部120には、図8に示すように、ギア部21と、発電を行う2つの第1発電機122Aおよび2つの第2発電機122Bと、支持部23(図2など参照。)と、が主に設けられている。
【0080】
第1発電機122Aおよび第2発電機122Bは、共にシャフト11からギア部21を介して伝達された回転駆動力に基づいて発電を行うものである。本実施形態では、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bは永久磁石とコイルから構成されたコアレス発電機であり、2つの第1発電機122Aおよび2つの第2発電機122Bが発電部120に設けられている例に適用して説明する。
【0081】
2つの第1発電機122Aと、2つの第2発電機122Bとは、シャフト11の軸線方向(図8の上下方向)に間隔をあけて配置されている。そのため、2つの第1発電機122Aに回転駆動力を伝えるギア部21と、2つの第2発電機122Bに回転駆動力を伝えるギア部21と、が別々に設けられている。
【0082】
2つの第1発電機122Aは、発電容量や大きさ等が同一のものであり、連系部140により制御されるものである。さらに2つの第1発電機122Aは、同一直線上に、第1発電機122A、シャフト11、第1発電機122Aの順に並んで配置されている。
【0083】
第2発電機122Bは、第1発電機122Aと比較して発電容量が大きなものである。また、2つの第2発電機122Bは、発電容量や大きさ等が同一のものであり、連系部140により制御されるものである。さらに2つの第2発電機122Bは、同一直線上に、第2発電機122B、シャフト11、第2発電機122Bの順に並んで配置されている。
【0084】
連系部140は、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにより発電された電力における電圧および周波数を、外部の電力系統(例えば、商用電源)における電圧および周波数に変換するものであり、かつ、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電を制御するものでもある。連系部140には、図9に示すように、コンバータ部41と、スイッチ部42と、パワーコンディショナ43と、制御部144と、が主に設けられている。
【0085】
制御部144は、内蔵された記憶装置に書き込まれた各種のプログラムを読み込み、実行することにより各種の情報の演算処理を行う演算処理装置である。さらに制御部144は、コンバータ部41およびスイッチ部42を制御することにより、外部の電力系統に出力される電力量を制御するとともに、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電を制御するものである。制御部144には、シャフト11の回転数速度を測定する回転センサ45の測定信号が入力され、制御部144は、測定信号に基づいてコンバータ部41およびスイッチ部42を制御する制御信号を生成している。生成された制御信号は、コンバータ部41およびスイッチ部42に出力される。
【0086】
次に、本実施形態の特徴である、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電の制御について説明する。具体的には、シャフト11の回転数に基づいて発電を行う第1発電機122Aおよび第2発電機122Bの発電を制御する点が本実施形態の風力発電装置101の特徴であり、この点について説明する。図10は、図9の制御部による制御内容を説明するグラフである。
【0087】
風が止まっている状態から風が吹き始めて徐々に風速が早くなると、風を受けたブレード12およびシャフト11は回転し始める(図10の左から右に向かい始める。)。風速が、風力発電装置101において発電が可能となる風速であるカットイン風速を超えると、風力発電装置101において発電が開始される。
【0088】
制御部144には回転センサ45から出力された測定信号が入力され、制御部144は、測定信号に基づいてシャフト11の回転速度を推定する。シャフト11の回転速度が第1閾値未満の場合には、制御部144は2つの第1発電機122Aで発電を行い、第2発電機122Bでは発電を行わない制御を行う。発電を行わない制御は、スイッチ部42に対してコンバータ部41からパワーコンディショナ43への電流の流れを遮断する制御信号を出力する等により行われる。
【0089】
シャフト11の回転速度が第1閾値以上になると、制御部144は、第1発電機122Aにおける発電量を減少させる制御を行うとともに、それまで発電を行っていなかった第2発電機122Bにおける発電を開始する制御を行う。第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける合計の発電量は、図10に示すように、回転速度の増加に比例して増加するように制御されている。
【0090】
第1発電機122Aにおける発電量は、第2発電機122Bにおける発電量との比率が、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bの間の発電容量の比率と同じになるまで、回転速度の増加に伴い減少される。その一方で、第2発電機122Bにおける発電量は、回転速度の増加に伴い増加される。
【0091】
第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電量の比率が、発電容量の比率と等しくなると、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bに対して、発電量の比率を一定に保ちつつ、回転速度の増加に伴い発電量を増加させる制御が制御部144によって行われる。
【0092】
その一方で風が弱くなり、風速が徐々に遅くなると、シャフト11の回転速度が低下し始める(図10の右から左に向かい始める。)。シャフト11の回転速度が第2閾値以上の場合には、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電量の比率が、発電容量の比率と等しくなる制御が行われる。シャフト11の回転速度が第2閾値未満に低下すると、回転速度の低下に伴い、第1発電機122Aにおける発電量が増加されると共に、第2発電機122Bにおける発電量は急激に減少される。第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける合計の発電量は、回転速度の低下に伴い減少するように制御される。
【0093】
そして、シャフト11の回転速度が更に低下して、第3閾値未満に低下すると、第1発電機122Aのみで発電が行われ、第2発電機122Bでは発電を行わない制御が行われる。第1発電機122Aにおける発電量は、回転速度の低下に伴い減少する制御が行われる。
【0094】
上記の構成によれば、複数の発電機が同じ場合、つまり起動トルクが同じ場合と比較して、風の風速またはシャフト11の回転速度が遅い時には、第1発電機122Aのみで発電を行い、風速または回転速度が速い時には、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bで発電を行うため、より遅い風の風速または回転軸の回転速度の時から発電を行うことができる。
【0095】
例えば、風の風速において、3m/sから6m/sの出現率が高い時には、第1発電機122Aのみで発電を行い、7m/sから8m/sの風速が出現し始めたら、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bで発電を行う。
【0096】
なお、上述の実施形態では2つの第1発電機122Aや、2つの第2発電機122Bが同時に発電を開始したり、発電を停止したりするように制御された例に適用して説明したが、さらに、第1の実施形態のように、2つの第1発電機122Aの間や、2つの第2発電機122Bの間で、発電を開始するタイミングや、発電を停止するタイミングを別々に制御してもよい。
【0097】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図11および図12を参照して説明する。
本実施形態の風力発電装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、風速および気象情報に基づいて発電機を制御する点が異なっている。よって、本実施形態においては、図11および図12を用いて発電機の制御について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0098】
図11は、本実施形態に係る風力発電装置201の構成を説明する模式図である。図12は、図11の連系部240における構成を説明するブロック図である。本実施形態の風力発電装置201には、図1に示すように、垂直軸型風車10と、発電部20と、架台30と、連系部240と、が主に設けられている。
【0099】
連系部240は、発電機22により発電された電力における電圧および周波数を、外部の電力系統(例えば、商用電源)における電圧および周波数に変換するものであり、かつ、発電機22における発電を制御するものでもある。連系部240には、図12に示すように、コンバータ部41と、スイッチ部42と、パワーコンディショナ43と、制御部244と、通信部246と、風速計245と、が主に設けられている。
【0100】
通信部246は、インターネットなどの外部の通信網と接続されるインターフェースであり、外部の通信網を介して取得した気象情報に係るデータを制御部244に出力するものである。通信部246としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
【0101】
風速計245は、ブレード12に吹き付ける風の風速を測定するものであり、測定した風速の値を測定信号として制御部244に向けて出力するものである。本実施形態では、水平軸型のプロペラを有する風速計245の例に適用して説明するが、風杯型の風速計であってもよく、その形式を限定するものではない。
【0102】
次に、本実施形態の特徴である、発電機22における発電の制御について説明する。具体的には、気象情報および風速に基づいて発電機22の発電を制御する点が本実施形態の風力発電装置201の特徴であり、この点について説明する。
【0103】
風が止まっている状態から風が吹き始めて徐々に風速が早くなると、風を受けたブレード12およびシャフト11は回転し始める。風速が、風力発電装置201において発電が可能となる風速であるカットイン風速を超えると、風力発電装置201において発電が開始される。
【0104】
制御部244には風速計245から出力された測定信号が入力されるとともに、通信部246を介して気象情報のデータが入力される。制御部244は、測定信号に基づいてシャフト11の回転速度を推定するとともに、気象情報のデータに基づいて今後の風速の変化を推定し、所定経過後の将来のシャフト11の回転速度を推定する。推定されたシャフト11の回転速度が第1閾値未満の場合には、制御部244は1つの発電機22で発電を行い、残りの1つの発電機22では発電を行わない制御を行う。
【0105】
推定されたシャフト11の回転速度が第1閾値以上になると、制御部244は、発電を行っている発電機22における発電量を減少させる制御を行うとともに、それまで発電を行っていなかった発電機22における発電を開始する制御を行う。2つの発電機22における合計の発電量は、回転速度の増加に比例して増加するように制御されている。
【0106】
その一方で風が弱くなり、風速が徐々に遅くなると、シャフト11の回転速度が低下し始める。推定されたシャフト11の回転速度が第2閾値以上の場合には、2つの発電機22における発電量が等しくなる制御が行われる。推定されたシャフト11の回転速度が第2閾値未満に低下すると、回転速度の低下に伴い、1つの発電機22における発電量が増加されると共に、他の1つの発電機22における発電量は急激に減少される。2つの発電機22における合計の発電量は、回転速度の低下に伴い減少するように制御される。
【0107】
そして、推定されたシャフト11の回転速度が更に低下して、第3閾値未満に低下すると、1つの発電機22のみで発電が行われ、他の1つの発電機22では発電を行わない制御が行われる。発電を行う発電機22における発電量は、回転速度の低下に伴い減少する制御が行われる。
【0108】
上記の構成によれば、ブレード12に吹き付けられる風の風速を測定した測定信号の他に、気象情報のデータにも基づいて将来のシャフト11の回転速度を推定するため、風速の変化に追従した発電機22の制御を行いやすくなる。風の風速を測定した測定信号にのみ基づく方法では、風速の変化を検知してからでなければ、発電機22の制御を行うことができず、発電機22の制御が遅れがちになる可能性がある。その一方で、気象情報のデータを加えて発電機22の制御を行うことにより、将来の風速の変化の傾向を踏まえた制御を行うことができるため、気象情報のデータを用いない場合と比較して、発電機22の制御が遅れにくくなる。
【0109】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、この発明を、垂直軸型風車を用いた風力発電装置に適用して説明したが、この発明は垂直軸型風車以外にも、水平軸型風車を用いた風力発電装置にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0110】
1,101,201…風力発電装置、11…シャフト(回転軸)、12…ブレード(羽根)、21…ギア部(伝達部)、22…発電機、44,144,244…制御部、122A…第1発電機、122B…第2発電機
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に関し、特に、幅広い風速域において発電することができる風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球環境問題に対する関心の高まりや、化石燃料の枯渇に対する懸念等から、再生可能エネルギを利用した電力の発電装置の開発が盛んになりつつある。その中でも、風力発電装置は、風のエネルギを電力に変換するものであり、太陽光発電装置、太陽熱発電装置、水力発電装置、地熱発電装置などと並んで、再生可能エネルギを利用した発電装置であり、発電時に二酸化炭素を排出しない発電装置として注目を浴びている。
【0003】
一般に風力発電装置では、一つの風車に対して一つの発電機が設けられ、風を受けた風車において発生された回転駆動力を発電機に伝達し、当該発電機において回転駆動力が電力に変換されている。しかしながら、種々の事情により、一つの風車に対して複数(例えば二つ)の発電機が設けられ、一つの風車において発生された回転駆動力を、歯車などの機構を介して複数の発電機に分割して伝達し、それぞれの発電機において発電を行う構成も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平08−000240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発電容量が大きな発電機が設けられた風力発電装置と比較して、合計の容量が同じ小型の発電機が複数設けられた風力発電装置は、風車を回転させ始める起動トルクが小さいことが知られている。そのため、特許文献1に記載された風力発電装置のように、複数の発電機が設けられた風力発電装置は、同じ発電容量を有する一つの発電機が設けられた風力発電装置よりも、低い風速から風車が回り始め、発電を行うことができる。言い換えるとカットイン風速を低くすることができる。
【0006】
しかしながら、大きな発電機が設けられた風力発電装置と比較して、小型の発電機が複数設けられた風力発電総は、カットイン風速を低くすることができるとしても限度があり、低い風速の風を十分に利用した発電が行えていないという問題があった。
【0007】
特に、カットアウト風速を高くした風力発電装置の場合には、高い風速においても効率的に発電を行えるように風力発電装置の全体における発電容量を大きくした設計がなされている。すると、上述のように小型の発電機を複数設けたとしても、風車を回転させる起動トルクを十分に小さくすることができず、低い風速を利用した発電は困難であるという問題があった。言い換えると、従来の風力発電装置では、幅広い風速域において発電を行うことは困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、幅広い風速域において発電することができる風力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の風力発電装置によれば、風を受けた羽根により回転軸は軸線まわりに回転駆動され、回転軸の回転は伝達部を介して複数の発電機に伝達される。制御部により制御された複数の発電機は、回転軸によって回転駆動されることにより発電を行う。制御部は、羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸における回転速度に基づいて発電を行う発電機の数を制御している。例えば、風の風速、または、回転軸における回転速度が速くなると発電を行う発電機の数を増やし、風の風速、または、回転速度が遅くなると発電を行う発電機の数を減らす制御を行う。
【0010】
羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸の回転速度が速い場合には、回転軸から発電機に伝達される回転トルク等の回転駆動力は、風速または回転速度が遅い場合と比較して大きくなる。そのため、回転駆動力を多くの発電機に分配しても、それぞれの発電機に対して発電を行わせるのに十分な大きさの回転駆動力を供給することができ、風のエネルギを余すことなく電力に変換させることができる。
【0011】
羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸の回転速度が遅い場合には、回転軸から発電機に伝達される回転トルク等の回転駆動力は、風速または回転速度が速い場合と比較して小さくなる。そのため、発電を行う発電機の数を減らして、回転軸が発電機に供給する必要がある回転駆動力を小さくすることにより、羽根および回転軸を継続して回転させ続けることができ、発電機による発電を継続させることができる。
【0012】
さらに、発電を開始することができる最低限の風の風速を遅くする、言い換えると、弱い風でも発電を開始することができる。つまり、複数の発電機の一部により発電を開始することで、全ての発電機により発電を開始する場合と比較して、羽根、回転軸、発電機を回転させ始めるのに必要な起動トルクを小さくすることができる。また、複数の発電機の合計発電容量と同等の発電容量を有する大型発電機を用いて発電を行う場合と比較しても、起動トルクを小さくすることができる。
【0013】
風の風速または回転軸の回転速度が遅くなって、発電を行う発電機の数を減らす制御を行う場合には、発電を行う発電機の数を増やす制御を行う場合と比較して、速い風速、または、速い回転速度において発電を行う発電機の数を減らすことが望ましい。
【0014】
風の風速または回転軸の回転速度が遅くなる場合には、風速または回転速度が早い段階で発電を行う発電機の数を減らして、羽根、回転軸および発電機を回転させるのに必要な回転駆動力を減少させる。これにより、風の風速が急激に遅くなっても、発電を行う発電機の数が減少され、羽根、回転軸および発電機を回転させるのに必要な回転駆動力は小さくなっているため、羽根、回転軸および発電機が停止することを防止できる。
【0015】
その一方で、風の風速または回転軸の回転速度が速くなる場合には、風速または回転速度が遅い段階で発電を行う発電機の数を増やして、発電できる発電量である発電容量を増加させる。これにより、風の風速が急激に早くなっても、発電容量に余裕があるため、風のエネルギを余すことなく電力に変換させることができる。
【0016】
一部の発電機で発電を行っている際に、発電を行っている発電機の発電量が、当該発電機の発電容量に対して約半分を超えた時点で、発電を行う発電機の数を増やす制御を行うことが望ましい。このようにすることで、発電容量に近い発電量のときに発電を行う発電機の数を増やす場合と比較して、伝達部における負担が過大になることを防止できる。ここで、発電機における発電容量とは、発電機が発電できる発電量の上限のことである。
【0017】
伝達部における負担は、発電を行っている発電機における発電量の増減によって変動するとともに、回転軸の軸線を中心とした発電を行う発電機の配置バランスによっても変動する。つまり、個々の発電機における発電量が同じであっても、発電を行う発電機の配置バランスが悪いと、伝達部における負担は大きくなる。そのため、発電を行っている発電機における発電量が小さい段階で、発電を行う発電機の数を増やすことにより、発電を行う発電機の配置バランスを早い段階でよくして、伝達部にかかる負担が過大になることを防止できる。
【0018】
発電を行う発電機の数を増やす際には、それまで発電を行っていた発電機の発電量を減らして、発電を行う発電機の数を増やし、発電を行う発電機の合計の発電量を増加させることが望ましい。このようにすることで、発電を行っていた発電機の発電量を減らすことなく、発電を行う発電機の数を増やす場合と比較して、伝達部における負担が過大になることを防止できるとともに、電力の配分における負担を小さくすることができる。
【0019】
発電を行う発電機の数を増やした際に、発電を行っている複数の発電機における発電量の差を早く小さくすることができる。そのため、伝達部における発電機へ伝達させる回転駆動力の大きさのアンバランスを早く改善することができ、伝達部における負担が過大になることを防止できる。また、発電を行っている発電機における発電量を早く均一にすることができるため、発電を行っている発電機が発電すべき電力の分配の偏りを早く解消することができる。
【0020】
発電を行う複数の発電機の数を増減させることなく、合計の発電量を増減させる場合、複数の発電機のそれぞれの発電量を同等に保ちつつ、合計の発電量を増減させることが望ましい。
【0021】
このようにすることで、複数の発電機のそれぞれの発電量が大きく異なる場合と比較して、伝達部における負担を減らすことができるとともに、電力の配分における負担を小さくすることができる。
【0022】
ここで、発電量が同等とは、発電量が完全に同一である場合だけでなく、発電量を同一にしようと発電機を制御した際に必ず発生する差異だけ、発電量が異なっている場合も含むものである。
【0023】
発電機には、第1発電機と第2発電機とが含まれ、第1発電機は、第2発電機と比較して起動トルクが小さく、風の風速または回転軸の回転速度が遅い時には、第1発電機のみで発電を行い、風速または回転速度が速い時には、第1発電機および第2発電機で発電を行うことが望ましい。
【0024】
このようにすることで、複数の発電機が同じ場合、つまり起動トルクが同じ場合と比較して、より遅い風の風速または回転軸の回転速度の時から発電を行うことができる。
例えば、風の風速において、3m/sから6m/sの出現率が高い時には、一部の発電機または第1発電機のみで発電を行い、7m/sから8m/sの風速が出現し始めたら、全ての発電機または第1発電機および第2発電機で発電を行う。
【発明の効果】
【0025】
本発明の風力発電装置によれば、風を受けた羽根により回転軸は軸線まわりに回転駆動され、回転軸の回転は伝達部を介して複数の発電機に伝達され、制御部により制御された複数の発電機は、回転軸によって回転駆動されることにより発電を行う。制御部は、羽根に吹き付けられる風の風速、または、回転軸における回転速度に基づいて発電を行う発電機の数を制御しているため、幅広い風速域において発電することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る風力発電装置の概略構成を説明する模式図である。
【図2】図1の発電部の構成を説明する斜視図である。
【図3】図2の発電部の構成を説明する正面視図である。
【図4】図3の発電部の構成を説明するA−A線矢視断面図である。
【図5】図2の発電部の構成を説明する側面視図である。
【図6】図1の風力発電装置における連系部の構成を説明するブロック図である。
【図7】図6の制御部による制御内容を説明するグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る風力発電装置における発電機の配置を説明する模式図である。
【図9】図8の風力発電装置における連系部の構成を説明するブロック図である。
【図10】図9の制御部による制御内容を説明するグラフである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る風力発電装置の構成を説明する模式図である。
【図12】図11の連系部における構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る風力発電装置1ついて図1から図7を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る風力発電装置1の概略構成を説明する模式図である。
【0028】
本実施形態の風力発電装置1は、図1に示すように、垂直軸型風車10、発電部20および連系部40の組合せを複数備えたものであり、出力がMW級の大型水平軸型風車を用いた風力発電装置と比較して小型な(例えば、1台あたりの出力が数十kWから十数kW程度の)垂直軸型風車10、発電部20および連系部40の組合せを備えたものである。風力発電装置1には、垂直軸型風車10と、発電部20と、架台30と、連系部40とが主に設けられている。
【0029】
垂直軸型風車10は、風を受けて回転駆動力を発生させるものであり、発電部20に回転駆動力を供給するものである。垂直軸型風車10には、図1に示すように、シャフト(回転軸)11と、ブレード(羽根)12と、アーム13と、が主に設けられている。
【0030】
シャフト11は、垂直軸型風車10の中心に配置されるものであり、柱状、より具体的には円柱状に形成されたものである。シャフト11は、架台30によって、その中心線である回転軸線まわりに回転可能に支持されており、シャフト11を回転可能に支持する部材としては、ベアリングなど公知の軸受け部材を用いることができる。さらに、垂直軸型風車10のシャフト11は、その回転軸線が風の流れ方向に対して交差する方向、例えば垂直方向に延びて配置されている。本実施形態では、シャフト11が鉛直方向に延びて配置された例に適用して説明する。
【0031】
ブレード12は、風を受けてシャフト11を中心として回転する回転駆動力を発生させるものである。本実施形態では、ブレード12は、直線状に延びて形成されるとともに断面が翼形、つまり直線翼状に形成された羽根である。ブレード12は、シャフト11の回転軸線を中心とした同一の円筒面周上に、等間隔に配置されている。さらに、ブレード12は、翼形における正圧面がシャフト11側を向き、負圧面がシャフト11と反対側を向くように配置されている。本実施形態では、3つのブレード12,12,12が120°間隔に配置されている例に適用して説明する。
【0032】
さらに、1本のシャフト11には、3つのブレード12の組が2組、合計6つのブレード12が配置されている。つまり、1本のシャフト11を長手方向に2分割したうちの一方(シャフト11の上側部分)に3つのブレード12の組が配置され、他方(シャフト11の下側部分)に他の3つのブレード12の組が配置されている。
【0033】
下側部分に配置されたブレード12の組は、上側部分に配置されたブレード12の組と対比して、ブレード12が配置される位相(位置)が異なった状態でシャフト11に取り付けられている。本実施形態では、下側部分に配置されたブレード12の組は、上側部分に配置されたブレード12の組と対比して、位相を60°異ならせて配置されている。このようにすることで、垂直軸型風車10の起動性を向上させることができる。つまり、風の吹く方向による垂直軸型風車10における起動性のばらつきを抑えることができる。
【0034】
アーム13は、シャフト11とブレード12との間に配置された棒状の部材であって、シャフト11の回転軸線を中心に放射状に配置された部材である。アーム13は、シャフト11に対してブレード12を取り付けて固定するものであり、かつ、風を受けたブレード12において発生した揚力や抗力などの力をシャフト11に伝達するものである。1つのブレード12に対して2本のアーム13,13が用いられ、アーム13は、ブレード12に対して、ブレード12における上端側、および下端側に取り付けられ、シャフト11に対して、上下方向(回転軸線方向)に位置をずらして取り付けられている。
【0035】
図2は、図1の発電部20の構成を説明する斜視図である。図3は、図2の発電部20の構成を説明する正面視図である。図4は、図3の発電部20の構成を説明するA−A線矢視断面図である。図5は、図2の発電部20の構成を説明する側面視図である。
【0036】
発電部20は、図2から図5に示すように、垂直軸型風車10のシャフト11によって回転駆動されることにより、発電を行うものである。発電部20には、シャフト11から回転が伝えられるギア部(伝達部)21と、発電を行う2つの発電機22と、ギア部21および発電機22を支持する支持部23と、が主に設けられている。
【0037】
ギア部21は、シャフト11の回転を発電部20に伝達するものであり、かつ、シャフト11の回転速度を発電部20における発電に適した回転速度に変換するものである。ギア部21には、シャフト11に対して同軸に取り付けられた大歯車21Aと、発電機22の回転軸と同軸に取り付けられ、大歯車21Aと噛み合わされた小歯車21Bとが設けられている。
【0038】
大歯車21Aは、シャフト11の下端に取り付けられるとともに、シャフト11とともに回転可能に支持されたものである。小歯車21Bは、発電機22の回転軸の端部に取り付けられるとともに、発電機22の回転軸とともに回転可能とされたものである。大歯車21Aおよび小歯車21Bは、互いに噛み合って配置され、大歯車21Aの回転が小歯車21Bに伝達されるものである。
【0039】
本実施形態では、ギア部21の軽量化を目的として、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維強化樹脂や、ポリエチレンテレフタレートなどのエンジニアリングプラスチックや、ポリフェニレンスルファイドなどのスーパーエンジニアリングプラスチックなど、強度の高い樹脂を用いて大歯車21Aや、小歯車21Bが形成されている例に適用して説明する。
【0040】
さらに、大歯車21Aの近傍には、シャフト11の回転を機械的に規制する機械式ブレーキ14が設けられている。機械式ブレーキ14は、シャフト11に固定された円板部14Aと、円板部14Aを挟むことでシャフト11の回転を規制する挟持部14Bとから主に構成されている。
【0041】
発電機22は、シャフト11からギア部21を介して伝達された回転駆動力に基づいて発電を行うものである。本実施形態では、発電機22は永久磁石とコイルから構成されたコアレス発電機であり、2つの発電機22が発電部20に設けられている例に適用して説明する。2つの発電機22は、発電容量や大きさ等が同一のものであり、連系部40により制御されるものである。なお、発電機22としては、上述のようにコアレス発電機を用いてもよいし、他の形式の発電機を用いてもよく、特に限定するものではない。
【0042】
支持部23は、ギア部21および発電機22を支持するものであり、2つの発電機22の間にシャフト11が配置された状態で、これらのものを支持するものである。言い換えると、同一直線上に、発電機22、シャフト11、発電機22の順に並んで配置された状態で、これらのものを支持するものである)。さらに言い換えると、シャフト11の軸線を中心として、2つの発電機22が対象に配置された状態で、これらのものを支持するものである。
【0043】
支持部23には、発電機22を支持する台部23Aと、大歯車21Aを支持する段部23Bと、大歯車21Aを覆う天板部23Cおよび柱部23Dとが、主に設けられている。
台部23Aは、発電部20に設けられた他の部品を支持する板状の部材であり、発電機22、段部23B、柱部23Dが直接取り付けられるものである。段部23Bは、台部23Aの略中央に配置されたものであり、台部23A側から大歯車21Aおよびシャフト11を回転可能に支持するものである。また、シャフト11に取り付けられた大歯車21Aと、発電機22に取り付けられた小歯車21Bとの相対位置を調節し、両歯車が噛み合うように支持するものでもある。
【0044】
天板部23Cは、台部23Aとの間に大歯車21Aが配置されるものであり、大歯車21Aを上方から覆う板状の部材である。天板部23Cには、シャフト11が挿通される貫通孔が形成されている。天板部23Cと台部23Aとの間には4本の柱部23Dが配置され、天板部23Cが柱部23Dによって台部23Aに固定されている。
【0045】
架台30は、少なくとも垂直軸型風車10および発電部20からなる組を、複数組、支持するであるとともに、垂直軸型風車10および発電部20の周囲を取り囲むトラス構造またはラーメン構造を有するものである。本実施形態では、4組の垂直軸型風車10および発電部20を水平方向に直線状に並べた状態で支持する架台30の例に適用して説明する。架台30には、支柱31と、下方支持部33と、上方支持部34と、中央支持部35と、が主に設けられている。
【0046】
支柱31は、土台Bから架台30の上端(本実施形態では地面から11m上方)まで、鉛直方向に延びて配置された柱状の部材であり、架台30の外形を形成するものである。支柱31は、垂直軸型風車10および発電部20の質量の大半を支えるものであり、地面から上方へ離れた位置で垂直軸型風車10および発電部20を支えるものである。支柱31は柱状の部材であり、1つの垂直軸型風車10および発電部20の組を中心として四方に離れた4か所に配置されている。垂直軸型風車10および発電部20の組が隣接し、2本の支柱31が重複する場所では、一方の支柱31を省略して、残りの1本の支柱31が共用される。
【0047】
下方支持部33は、支柱31とともに垂直軸型風車10および発電部20の質量を支えるものである。下方支持部33は、地面から所望の距離だけ上方に離れた位置(本実施形態では約2m)において、4本の支柱31の間を水平方向に延びて配置されるとともに、架台30を上方から見て、4本の支柱31を対角線状につなぐように配置された棒状の部材である。本実施形態では、下方支持部33として、断面がI字状やH字状に形成された部材が用いられた例に適用して説明する。
【0048】
上方支持部34はシャフト11の上端を回転可能に支持するものである。上方支持部34は、支柱31の上端近傍において、4本の支柱31の間を水平方向に延びて配置されるとともに、架台30を上方から見て、4本の支柱31を対角線状につなぐように配置された棒状の部材である。
【0049】
中央支持部35はシャフト11の中央部分を回転可能に支持するものである。中央支持部35は、下方支持部33と上方支持部34との間であって、上下に並んで配置されたブレード12の間において、4本の支柱31の間を水平方向に延びて配置されるとともに、架台30を上方から見て、4本の主支柱31を対角線状につなぐように配置された棒状の部材である。上方支持部34とシャフト11の上端との間、および、中央支持部35とシャフト11との間には、シャフト11を回転軸線まわりに回転可能に支持するベアリングなどの公知の軸受けが配置されている。
【0050】
図6は、図1の風力発電装置1における連系部40の構成を説明するブロック図である。
連系部40は、発電機22により発電された電力における電圧および周波数を、外部の電力系統(例えば、商用電源)における電圧および周波数に変換するものであり、かつ、発電機22における発電を制御するものでもある。連系部40には、図6に示すように、コンバータ部41と、スイッチ部42と、パワーコンディショナ43と、制御部44と、が主に設けられている。
【0051】
コンバータ部41は、発電機22により発電された交流電力を、直流電力に変換した後、当該直流電力の電圧を所望の電圧を有する直流電力に変換するもの(AC−DC−DCコンバータ)である。また、コンバータ部41は、制御部44から入力される制御信号に基づいて、発電機22における発電を制御するものでもある。
【0052】
スイッチ部42は、制御部44から入力される制御信号に基づいて、コンバータ部41からパワーコンディショナ43に供給される直流電力量を制御するものである。さらに、スイッチ部42は、コンバータ部41からパワーコンディショナ43に供給される直流電力量を制御することにより、発電機22に対する負荷を制御して、発電機22における発電を制御するものである。
【0053】
パワーコンディショナ43は、直流電力を所望の周波数を有する交流電力に変換するもの(DC−ACコンバータ)である。所望の周波数としては、商用電源と同じ50Hzや60Hzの周波数を例示することができる。
【0054】
制御部44は、内蔵された記憶装置に書き込まれた各種のプログラムを読み込み、実行することにより各種の情報の演算処理を行う演算処理装置である。さらに制御部44は、コンバータ部41およびスイッチ部42を制御することにより、外部の電力系統に出力される電力量を制御するとともに、発電部20における発電を制御するものである。制御部44には、シャフト11の回転数速度を測定する回転センサ45の測定信号が入力され、制御部44は、測定信号に基づいてコンバータ部41およびスイッチ部42を制御する制御信号を生成している。生成された制御信号は、コンバータ部41およびスイッチ部42に出力される。
【0055】
次に、上記の構成からなる風力発電装置1における発電について図1、図2および図6を参照しながら説明する。
まず、風力発電装置1による発電について一般的な内容を説明する。図1に示すように、風力発電装置1の垂直軸型風車10は、風を受けるとシャフト11を中心として回転する。具体的には、垂直軸型風車10のブレード12は、風を受けることにより、揚力や抗力を発生してシャフト11を中心として回転する。垂直軸型風車10が回転し始めると、ブレード12は風に加えて自らの回転による相対的な空気の流れを受けることにより、揚力を発生してシャフト11を中心として回転する。
【0056】
シャフト11の回転はギア部21を介して発電機22に伝達され、発電機22は伝達された回転駆動力を用いて発電を行う。発電機22により発電された電力は、外部の電力系統に供給できるように、連系部40において電圧および周波数が変換される。連系部40から出力された電力は、外部の電力系統に供給、つまり売電される。その他にも、発電された電力を蓄電池に蓄電してもよいし、電力を消費する設備(例えば、工業設備や商業設備など)に供給してもよい。
【0057】
次に、本実施形態の特徴である、発電機22における発電の制御について説明する。具体的には、シャフト11の回転数に基づいて発電を行う発電機22の数を増減させる点が本実施形態の風力発電装置1の特徴であり、この点について説明する。図7は、図6の制御部による制御内容を説明するグラフである。
【0058】
風が止まっている状態から風が吹き始めて徐々に風速が早くなると、風を受けたブレード12およびシャフト11は回転し始める(図7の左から右に向かい始める。)。風速が、風力発電装置1において発電が可能となる風速であるカットイン風速を超えると、風力発電装置1において発電が開始される。
【0059】
制御部44には回転センサ45から出力された測定信号が入力され、制御部44は、測定信号に基づいてシャフト11の回転速度を推定する。シャフト11の回転速度が第1閾値未満の場合には、制御部44は2つの発電機22のうち、1つで発電を行い、残りの1つでは発電を行わない制御を行う。発電を行わない制御は、スイッチ部42に対してコンバータ部41からパワーコンディショナ43への電流の流れを遮断する制御信号を出力する等により行われる。
【0060】
ここで第1閾値とは、この回転速度でシャフト11が回転されている際に発電部20が発電している発電量が、当該発電部20の発電容量に対して40%から60%までの間の所定値となる値である。
【0061】
また、発電を行う発電機22に対して制御部44は、シャフト11の回転速度に応じて発電量、言い換えると、外部の電力系統へ供給する電力量を制御する制御信号を出力する。発電量または電力量の制御は、コンバータ部41における電力の電圧および周波数の変換や、スイッチ部42における電流の流れを制御することにより行われる。
【0062】
シャフト11の回転速度が第1閾値以上になると、制御部44は、それまで発電を行っていた発電機22における発電量を減少させる制御を行うとともに、それまで発電を行っていなかった2つ目の発電機22における発電を開始する制御を行う。2つの発電機22における合計の発電量は、図7に示すように、回転速度の増加に比例して増加するように制御されている。
【0063】
最初から発電していた発電機22における発電量は、2つの発電機22における発電量が等しくなるまで、回転速度の増加に伴い減少され、途中から発電し始めた発電機22における発電量は回転速度の増加に伴い増加される制御が行われる。
【0064】
2つの発電機22における発電量が等しくなると、その後は、2つの発電機22に対して、発電量が等しい関係を保ちつつ、回転速度の増加に伴い発電量を増加させる制御が制御部44によって行われる。
【0065】
その一方で風が弱くなり、風速が徐々に遅くなると、シャフト11の回転速度が低下し始める(図7の右から左に向かい始める。)。シャフト11の回転速度が第2閾値以上の場合には、2つの発電機22における発電量が等しくなる制御が行われる。シャフト11の回転速度が第2閾値未満に低下すると、回転速度の低下に伴い、1つの発電機22における発電量が増加されると共に、他の1つの発電機22における発電量は急激に減少される。2つの発電機22における合計の発電量は、回転速度の低下に伴い減少するように制御される。
【0066】
そして、シャフト11の回転速度が更に低下して、第3閾値未満に低下すると、1つの発電機22のみで発電が行われ、他の1つの発電機22では発電を行わない制御が行われる。発電を行う発電機22における発電量は、回転速度の低下に伴い減少する制御が行われる。ここで、第3閾値は第1閾値よりも大きな値を有するものであり、第2閾値は第3閾値よりも大きな値を有するものである。大小関係は以下の通りとなる。
第1閾値>第3閾値>第2閾値。
【0067】
上記の構成によれば、幅広い風速域において発電することができる。例えば、ブレード12に吹き付けられる風の風速、または、シャフト11の回転速度が速い場合には、シャフト11から発電機22に伝達される回転トルク等の回転駆動力は、風速または回転速度が遅い場合と比較して大きくなる。そのため、回転駆動力を2つの発電機22に分配しても、それぞれの発電機22に対して発電を行わせるのに十分な大きさの回転駆動力を供給することができ、風のエネルギを余すことなく電力に変換させることができる。
【0068】
逆に、ブレード12に吹き付けられる風の風速、または、シャフト11の回転速度が遅い場合には、シャフト11から発電機22に伝達される回転トルク等の回転駆動力は、風速または回転速度が速い場合と比較して小さくなる。そのため、発電を行う発電機22の数を1つに減らして、シャフト11が発電機22に供給する必要がある回転駆動力を小さくすることにより、ブレード12およびシャフト11を継続して回転させ続けることができ、発電機22による発電を継続させることができる。
【0069】
さらに、発電を開始することができる最低限の風の風速を遅くする、言い換えると、弱い風でも発電を開始することができる。つまり、1つの発電機22により発電を開始することで、2つの発電機22により発電を開始する場合と比較して、ブレード12、シャフト11、発電機22を回転させ始めるのに必要な起動トルクを小さくすることができる。また、2つの発電機22の合計発電容量と同等の発電容量を有する大型発電機を用いて発電を行う場合と比較しても、起動トルクを小さくすることができる。
【0070】
風の風速またはシャフト11の回転速度が遅くなる場合には、風速または回転速度が早い段階で発電を行う発電機22の数を減らして、ブレード12、シャフト11および発電機22を回転させるのに必要な回転駆動力を減少させる制御が行われる。これにより、風の風速が急激に遅くなっても、発電を行う発電機22の数が1つに減らされ、ブレード12、シャフト11および発電機22を回転させるのに必要な回転駆動力が小さくなっているため、ブレード12、シャフト11および発電機22が停止することを防止できる。
【0071】
その一方で、風の風速またはシャフト11の回転速度が速くなる場合には、風速または回転速度が遅い段階で発電を行う発電機22の数を2つに増やして、発電できる発電量である発電容量を増加させる制御が行われる。これにより、風の風速が急激に早くなっても、発電容量に余裕があるため、風のエネルギを余すことなく電力に変換させることができる。
【0072】
1つの発電機22で発電を行っている際に、発電を行っている発電機22の発電量が、当該発電機22の発電容量に対して40%から60%までの間の所定の値を超えた時点で、発電を行う発電機22の数を2つに増やす制御が行われる。このようにすることで、発電容量に近い発電量のときに発電を行う発電機22の数を2つに増やす場合と比較して、ギア部21における負担が過大になることを防止できる。
【0073】
シャフト11における負担は、発電を行っている発電機22における発電量の増減によって変動するとともに、シャフト11の軸線を中心とした発電を行う発電部の配置バランスによっても変動する。つまり、個々の発電機22における発電量が同じであっても、発電を行う発電機22の配置バランスが悪いと、ギア部21における負担は大きくなる。そのため、発電を行っている発電機22における発電量が小さい段階で、発電を行う発電機22の数を1つから2つに増やして配置バランスを早い段階で改善することにより、ギア部21にかかる負担が過大になることを防止できる。
【0074】
発電を行う発電機22の数を1つから2つに増やす際には、それまで発電を行っていた発電機22における発電量を減らして、発電を行う発電機22の数を2つに増やし、発電を行う発電機22の合計の発電量を増加させている。このようにすることで、発電を行っていた発電機22の発電量を減らすことなく発電を行う発電機22の数を増やす場合と比較して、ギア部21における負担が過大になることを防止できるとともに、電力の配分における負担を小さくすることができる。
【0075】
さらに、発電を行う発電機22の数を2つに増やした際に、発電を行っている2つの発電機22における発電量の差を早く小さくできる。そのため、ギア部21における2つの発電機22へ伝達する回転駆動力の大きさのアンバランスを早く改善することができ、ギア部21における負担が過大になることを防止できる。また、発電を行っている発電機22における発電量を早く均一にすることができるため、発電を行っている発電機22が発電すべき電力の分配の偏りを早く解消することができる。
【0076】
発電を行う発電機22の数を2つから増減させることなく、合計の発電量を増減させる場合、2つの発電機22のそれぞれの発電量を同等に保ちつつ、合計の発電量を増減させている。このようにすることで、2つの発電機22のそれぞれの発電量が大きく異なる場合と比較して、ギア部21における負担を減らすことができるとともに、電力の配分における負担を小さくすることができる。
【0077】
なお、制御部44は、コンバータ部41およびパワーコンディショナ43に対して最大電力点追従制御(MPPT制御)を行うことが望ましく、特に、コンバータ部41およびパワーコンディショナ43のそれぞれに対して、独立したMPPT制御を行うことが好ましい。
【0078】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図8から図10を参照して説明する。
本実施形態の風力発電装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、発電容量が異なる第1発電機および第2発電機を備えている点が異なっている。よって、本実施形態においては、図8から図10を用いて発電容量が異なる第1発電機および第2発電機を用いた発電について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0079】
図8は、本実施形態に係る風力発電装置101における発電機の配置を説明する模式図である。図9は、図8の風力発電装置における連系部140の構成を説明するブロック図である。本実施形態の風力発電装置101における発電部120には、図8に示すように、ギア部21と、発電を行う2つの第1発電機122Aおよび2つの第2発電機122Bと、支持部23(図2など参照。)と、が主に設けられている。
【0080】
第1発電機122Aおよび第2発電機122Bは、共にシャフト11からギア部21を介して伝達された回転駆動力に基づいて発電を行うものである。本実施形態では、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bは永久磁石とコイルから構成されたコアレス発電機であり、2つの第1発電機122Aおよび2つの第2発電機122Bが発電部120に設けられている例に適用して説明する。
【0081】
2つの第1発電機122Aと、2つの第2発電機122Bとは、シャフト11の軸線方向(図8の上下方向)に間隔をあけて配置されている。そのため、2つの第1発電機122Aに回転駆動力を伝えるギア部21と、2つの第2発電機122Bに回転駆動力を伝えるギア部21と、が別々に設けられている。
【0082】
2つの第1発電機122Aは、発電容量や大きさ等が同一のものであり、連系部140により制御されるものである。さらに2つの第1発電機122Aは、同一直線上に、第1発電機122A、シャフト11、第1発電機122Aの順に並んで配置されている。
【0083】
第2発電機122Bは、第1発電機122Aと比較して発電容量が大きなものである。また、2つの第2発電機122Bは、発電容量や大きさ等が同一のものであり、連系部140により制御されるものである。さらに2つの第2発電機122Bは、同一直線上に、第2発電機122B、シャフト11、第2発電機122Bの順に並んで配置されている。
【0084】
連系部140は、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにより発電された電力における電圧および周波数を、外部の電力系統(例えば、商用電源)における電圧および周波数に変換するものであり、かつ、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電を制御するものでもある。連系部140には、図9に示すように、コンバータ部41と、スイッチ部42と、パワーコンディショナ43と、制御部144と、が主に設けられている。
【0085】
制御部144は、内蔵された記憶装置に書き込まれた各種のプログラムを読み込み、実行することにより各種の情報の演算処理を行う演算処理装置である。さらに制御部144は、コンバータ部41およびスイッチ部42を制御することにより、外部の電力系統に出力される電力量を制御するとともに、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電を制御するものである。制御部144には、シャフト11の回転数速度を測定する回転センサ45の測定信号が入力され、制御部144は、測定信号に基づいてコンバータ部41およびスイッチ部42を制御する制御信号を生成している。生成された制御信号は、コンバータ部41およびスイッチ部42に出力される。
【0086】
次に、本実施形態の特徴である、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電の制御について説明する。具体的には、シャフト11の回転数に基づいて発電を行う第1発電機122Aおよび第2発電機122Bの発電を制御する点が本実施形態の風力発電装置101の特徴であり、この点について説明する。図10は、図9の制御部による制御内容を説明するグラフである。
【0087】
風が止まっている状態から風が吹き始めて徐々に風速が早くなると、風を受けたブレード12およびシャフト11は回転し始める(図10の左から右に向かい始める。)。風速が、風力発電装置101において発電が可能となる風速であるカットイン風速を超えると、風力発電装置101において発電が開始される。
【0088】
制御部144には回転センサ45から出力された測定信号が入力され、制御部144は、測定信号に基づいてシャフト11の回転速度を推定する。シャフト11の回転速度が第1閾値未満の場合には、制御部144は2つの第1発電機122Aで発電を行い、第2発電機122Bでは発電を行わない制御を行う。発電を行わない制御は、スイッチ部42に対してコンバータ部41からパワーコンディショナ43への電流の流れを遮断する制御信号を出力する等により行われる。
【0089】
シャフト11の回転速度が第1閾値以上になると、制御部144は、第1発電機122Aにおける発電量を減少させる制御を行うとともに、それまで発電を行っていなかった第2発電機122Bにおける発電を開始する制御を行う。第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける合計の発電量は、図10に示すように、回転速度の増加に比例して増加するように制御されている。
【0090】
第1発電機122Aにおける発電量は、第2発電機122Bにおける発電量との比率が、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bの間の発電容量の比率と同じになるまで、回転速度の増加に伴い減少される。その一方で、第2発電機122Bにおける発電量は、回転速度の増加に伴い増加される。
【0091】
第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電量の比率が、発電容量の比率と等しくなると、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bに対して、発電量の比率を一定に保ちつつ、回転速度の増加に伴い発電量を増加させる制御が制御部144によって行われる。
【0092】
その一方で風が弱くなり、風速が徐々に遅くなると、シャフト11の回転速度が低下し始める(図10の右から左に向かい始める。)。シャフト11の回転速度が第2閾値以上の場合には、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける発電量の比率が、発電容量の比率と等しくなる制御が行われる。シャフト11の回転速度が第2閾値未満に低下すると、回転速度の低下に伴い、第1発電機122Aにおける発電量が増加されると共に、第2発電機122Bにおける発電量は急激に減少される。第1発電機122Aおよび第2発電機122Bにおける合計の発電量は、回転速度の低下に伴い減少するように制御される。
【0093】
そして、シャフト11の回転速度が更に低下して、第3閾値未満に低下すると、第1発電機122Aのみで発電が行われ、第2発電機122Bでは発電を行わない制御が行われる。第1発電機122Aにおける発電量は、回転速度の低下に伴い減少する制御が行われる。
【0094】
上記の構成によれば、複数の発電機が同じ場合、つまり起動トルクが同じ場合と比較して、風の風速またはシャフト11の回転速度が遅い時には、第1発電機122Aのみで発電を行い、風速または回転速度が速い時には、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bで発電を行うため、より遅い風の風速または回転軸の回転速度の時から発電を行うことができる。
【0095】
例えば、風の風速において、3m/sから6m/sの出現率が高い時には、第1発電機122Aのみで発電を行い、7m/sから8m/sの風速が出現し始めたら、第1発電機122Aおよび第2発電機122Bで発電を行う。
【0096】
なお、上述の実施形態では2つの第1発電機122Aや、2つの第2発電機122Bが同時に発電を開始したり、発電を停止したりするように制御された例に適用して説明したが、さらに、第1の実施形態のように、2つの第1発電機122Aの間や、2つの第2発電機122Bの間で、発電を開始するタイミングや、発電を停止するタイミングを別々に制御してもよい。
【0097】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図11および図12を参照して説明する。
本実施形態の風力発電装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、風速および気象情報に基づいて発電機を制御する点が異なっている。よって、本実施形態においては、図11および図12を用いて発電機の制御について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0098】
図11は、本実施形態に係る風力発電装置201の構成を説明する模式図である。図12は、図11の連系部240における構成を説明するブロック図である。本実施形態の風力発電装置201には、図1に示すように、垂直軸型風車10と、発電部20と、架台30と、連系部240と、が主に設けられている。
【0099】
連系部240は、発電機22により発電された電力における電圧および周波数を、外部の電力系統(例えば、商用電源)における電圧および周波数に変換するものであり、かつ、発電機22における発電を制御するものでもある。連系部240には、図12に示すように、コンバータ部41と、スイッチ部42と、パワーコンディショナ43と、制御部244と、通信部246と、風速計245と、が主に設けられている。
【0100】
通信部246は、インターネットなどの外部の通信網と接続されるインターフェースであり、外部の通信網を介して取得した気象情報に係るデータを制御部244に出力するものである。通信部246としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
【0101】
風速計245は、ブレード12に吹き付ける風の風速を測定するものであり、測定した風速の値を測定信号として制御部244に向けて出力するものである。本実施形態では、水平軸型のプロペラを有する風速計245の例に適用して説明するが、風杯型の風速計であってもよく、その形式を限定するものではない。
【0102】
次に、本実施形態の特徴である、発電機22における発電の制御について説明する。具体的には、気象情報および風速に基づいて発電機22の発電を制御する点が本実施形態の風力発電装置201の特徴であり、この点について説明する。
【0103】
風が止まっている状態から風が吹き始めて徐々に風速が早くなると、風を受けたブレード12およびシャフト11は回転し始める。風速が、風力発電装置201において発電が可能となる風速であるカットイン風速を超えると、風力発電装置201において発電が開始される。
【0104】
制御部244には風速計245から出力された測定信号が入力されるとともに、通信部246を介して気象情報のデータが入力される。制御部244は、測定信号に基づいてシャフト11の回転速度を推定するとともに、気象情報のデータに基づいて今後の風速の変化を推定し、所定経過後の将来のシャフト11の回転速度を推定する。推定されたシャフト11の回転速度が第1閾値未満の場合には、制御部244は1つの発電機22で発電を行い、残りの1つの発電機22では発電を行わない制御を行う。
【0105】
推定されたシャフト11の回転速度が第1閾値以上になると、制御部244は、発電を行っている発電機22における発電量を減少させる制御を行うとともに、それまで発電を行っていなかった発電機22における発電を開始する制御を行う。2つの発電機22における合計の発電量は、回転速度の増加に比例して増加するように制御されている。
【0106】
その一方で風が弱くなり、風速が徐々に遅くなると、シャフト11の回転速度が低下し始める。推定されたシャフト11の回転速度が第2閾値以上の場合には、2つの発電機22における発電量が等しくなる制御が行われる。推定されたシャフト11の回転速度が第2閾値未満に低下すると、回転速度の低下に伴い、1つの発電機22における発電量が増加されると共に、他の1つの発電機22における発電量は急激に減少される。2つの発電機22における合計の発電量は、回転速度の低下に伴い減少するように制御される。
【0107】
そして、推定されたシャフト11の回転速度が更に低下して、第3閾値未満に低下すると、1つの発電機22のみで発電が行われ、他の1つの発電機22では発電を行わない制御が行われる。発電を行う発電機22における発電量は、回転速度の低下に伴い減少する制御が行われる。
【0108】
上記の構成によれば、ブレード12に吹き付けられる風の風速を測定した測定信号の他に、気象情報のデータにも基づいて将来のシャフト11の回転速度を推定するため、風速の変化に追従した発電機22の制御を行いやすくなる。風の風速を測定した測定信号にのみ基づく方法では、風速の変化を検知してからでなければ、発電機22の制御を行うことができず、発電機22の制御が遅れがちになる可能性がある。その一方で、気象情報のデータを加えて発電機22の制御を行うことにより、将来の風速の変化の傾向を踏まえた制御を行うことができるため、気象情報のデータを用いない場合と比較して、発電機22の制御が遅れにくくなる。
【0109】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、この発明を、垂直軸型風車を用いた風力発電装置に適用して説明したが、この発明は垂直軸型風車以外にも、水平軸型風車を用いた風力発電装置にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0110】
1,101,201…風力発電装置、11…シャフト(回転軸)、12…ブレード(羽根)、21…ギア部(伝達部)、22…発電機、44,144,244…制御部、122A…第1発電機、122B…第2発電機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線まわりに回転可能に支持された回転軸と、
風を受けて前記回転軸を前記軸線まわりに回転させる羽根と、
回転駆動されることにより発電を行う複数の発電機と、
前記回転軸の回転を前記複数の発電機に伝達する伝達部と、
前記複数の発電機における発電を個別に制御し、前記風の風速、または、前記回転軸における回転速度に比例して、発電を行う前記発電機の数を増減させる制御部と、
が設けられていることを特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記風の風速、または、前記回転軸の回転速度が遅くなり、発電を行う前記発電機の数を減らす場合には、発電を行う前記発電機の数を増やす場合と比較して、速い前記風速または前記回転速度で発電を行う前記発電機の数を減らす制御を行うことを特徴とする請求項1記載の風力発電装置。
【請求項3】
前記制御部は、一部の前記発電機でのみ発電を行っている際に、発電を行っている前記発電機における発電量が、前記発電を行っている発電機における発電容量に対して約半分を超えると、発電を行う前記発電機の数を増やす制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の風力発電装置。
【請求項4】
前記制御部は、発電を行う前記発電機の数を増やす際に、
それまで発電を行っていた前記発電機における発電量を減少させ、かつ、それまで発電を行っていた前記発電機および新たに発電を開始した前記発電機による合計の発電量は増加させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項5】
前記制御部は、発電を行う前記発電機の数を一定に保ちつつ複数の前記発電機において発電を行い、かつ、合計の発電量を増減させる場合、
複数の前記発電機のそれぞれにおける発電量を同等に保ちつつ、前記合計の発電量を増減させる制御を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項6】
前記発電機には、比較して起動トルクが小さな第1発電機と、起動トルクが大きな第2発電機と、が含まれ、
前記制御部は、前記風の風速または前記回転軸の回転速度が遅い時には前記第1発電機のみで発電を行わせ、前記風の風速または前記回転軸の回転速度が速い時には、前記第1発電機および前記第2発電機により発電を行わせることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項1】
軸線まわりに回転可能に支持された回転軸と、
風を受けて前記回転軸を前記軸線まわりに回転させる羽根と、
回転駆動されることにより発電を行う複数の発電機と、
前記回転軸の回転を前記複数の発電機に伝達する伝達部と、
前記複数の発電機における発電を個別に制御し、前記風の風速、または、前記回転軸における回転速度に比例して、発電を行う前記発電機の数を増減させる制御部と、
が設けられていることを特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記風の風速、または、前記回転軸の回転速度が遅くなり、発電を行う前記発電機の数を減らす場合には、発電を行う前記発電機の数を増やす場合と比較して、速い前記風速または前記回転速度で発電を行う前記発電機の数を減らす制御を行うことを特徴とする請求項1記載の風力発電装置。
【請求項3】
前記制御部は、一部の前記発電機でのみ発電を行っている際に、発電を行っている前記発電機における発電量が、前記発電を行っている発電機における発電容量に対して約半分を超えると、発電を行う前記発電機の数を増やす制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の風力発電装置。
【請求項4】
前記制御部は、発電を行う前記発電機の数を増やす際に、
それまで発電を行っていた前記発電機における発電量を減少させ、かつ、それまで発電を行っていた前記発電機および新たに発電を開始した前記発電機による合計の発電量は増加させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項5】
前記制御部は、発電を行う前記発電機の数を一定に保ちつつ複数の前記発電機において発電を行い、かつ、合計の発電量を増減させる場合、
複数の前記発電機のそれぞれにおける発電量を同等に保ちつつ、前記合計の発電量を増減させる制御を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項6】
前記発電機には、比較して起動トルクが小さな第1発電機と、起動トルクが大きな第2発電機と、が含まれ、
前記制御部は、前記風の風速または前記回転軸の回転速度が遅い時には前記第1発電機のみで発電を行わせ、前記風の風速または前記回転軸の回転速度が速い時には、前記第1発電機および前記第2発電機により発電を行わせることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−237230(P2012−237230A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106264(P2011−106264)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(509180429)株式会社WIND−SMILE (8)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(509180429)株式会社WIND−SMILE (8)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】
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