風力発電設備の構築方法および風力発電設備
基礎(1,2)上に配置されたタワーおよび電力モジュール(7)を具備してなる風力発電設備であって、電力モジュール(7)は少なくとも一つの変圧器を有し、この変圧器によって風力発電設備の発電機によって供給される電気エネルギーは中圧または高圧へと変圧され、電力モジュールはまたさらに、それを用いて、風力発電設備の発電機によって生成された電力エネルギーを制御しかつ/または供給するユニットを具備する。上記電力モジュール(7)は風力発電設備の基礎(1,2)の上に設置されたサポート(8)を有し、かつこのサポート(8)は、たとえば変圧器のような電力モジュール(7)の電気デバイスを収容し、かつ電力モジュールの幅および/または長さは基礎付近における風力発電設備のタワーの直径よりも小さく、電力モジュールはコンテナ(10)内に収容され、その壁はタワー壁(9)と電力モジュール(7)との間に配置されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電設備の構築方法および風力発電設備の構造自体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、風力発電設備構築の際は、基礎がまず形成され、続いて風力発電設備のパイロンが立てられ、続いてパイロンの上端部に装置ハウジングが取り付けられ、そしてローターブレードを備えたローターが適所に取り付けられていた。その後、たとえば変圧器、スイッチングキャビネット、場合によってはインバータ、中電圧設備などの電力モジュールが据え付けられていた。これは、風力発電設備の外部において、この目的専用の小さな建物内で、ほとんど常に行われていた。
【0003】
特許文献1には、もはや、それ自体の基礎を備えた特別な変圧器建物構築の必要がないように、パイロン内部にパイロン内変圧器を設置することが提案されている。
【特許文献1】DE 198 16 483.1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで本発明の目的は、風力発電設備の構築をさらに一層簡便に、だが特により迅速にも実施できる方法を開発することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、特に海上風力発電設備に好適な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1の特徴を有する方法によって達成される。有利な展開は、付随する請求項にて言及されている。
【0007】
本発明では、電力モジュールを、パイロン壁と電力モジュールとの間に配置される壁を有するコンテナ内に設置することをまず提案する。したがってそれゆえ、電力モジュールはそれ自身の囲いを有するか、あるいは風力発電設備のパイロン内の独立スペース内に配置される。この構造の独特の特長は次のようなものである。この方法では、独特の方式で、海上風力発電設備に関して、水がパイロン内に浸入したとき、その内部に設置された電力モジュールおよび電気機器品目はそのときに有害な影響を受けないということを保証できる。
【0008】
変圧器および電力モジュールのその他の部品、たとえばスイッチング器機、インバータなどが、風力発電設備内の独立スペース内に配置される場合、これらコンポーネントを風力発電設備のパイロン内の周囲の空気の残りから分離するのも比較的容易である。それが海上風力発電設備として作動させられ、ゆえに空気中にある程度の塩分を含有することがあり得る場合、風力発電設備内のある状況下では、これは非常に重要となり得る。ハウジング内に電気的に繊細な部品を格納することは、たとえば格納ハウジングと電力モジュールがまた人員通過可能なロック装備を備えることによって、原理的には、風力発電設備のパイロン内の塩分を含む内部空気からこの部品を保護できることを意味する。格納ハウジング内の電気部品の冷却が必要な場合、装置は適当な冷却ダクトを持つことができ、このダクトは上記パイロンの内部へと延び、そしてさらにたとえばパイロンの壁に沿って延在し、空気は上記装置によって冷却ダクト内へと(ファンによって)導入可能である。その後、空気は格納ハウジング内へと冷却された状態で再び戻る。このようにして、同じ空気が格納ハウジング内で常に循環し、しかもこの空気には、パイロン内部の残部において、ある状況下で塩分を含む空気が混じらない。
【0009】
コンテナ内の電力モジュールは、風力発電設備の先の設計構造からの発展として、パイロンが立てられる前に、風力発電設備の基礎が構築された後、風力発電設備の基礎の上に既に配置できる。あるいは、海上風力発電設備の電気部品を用いずに風力発電設備の構築が可能であるように、電力モジュールを備えたコンテナは工場でパイロン内に既に設置固定される。これは、水分および湿気に敏感であり、この設備を構築するとき有害な影響を受ける。
【0010】
電力モジュールは可能な限り予め組み立てられ、そしてキャリア上に配置される。これによって、風力発電設備の構築のためにいかなる場合でも必要なクレーンを用いて、電力モジュールはパイロン基礎すなわちプラットフォームの上に配置できる。そして、風力発電設備のためのシステム全体の構築作業、特にケーブルの設置、および制御モジュールの調整、スイッチングキャビネットその他の設定によるシステム全体の準備プロセスは、保護されたスペース内で行うことができ、しかもパイロンが立てられた後に、これらの作業を開始することが可能である。
【0011】
電力モジュールのサポートおよび/または電力モジュールのコンテナがその下側にサポート足を持つことが特に有用であり、この足は今度はパイロン基礎上に予め配置されたプレート上に載る。これらのプレートは、基礎が造られたとき、所与の位置において、既に基礎内に嵌めこまれ、そして基礎内に固定される。これによって電力モジュールのそれ以降の構築が非常に簡単な方式で実施できる。
【0012】
最後に、風力発電設備から延在するケーブル、すなわち特に送電ケーブル、制御ケーブルなどのために中空チューブが設けられると非常に有利である。これら中空チューブのために中空チューブタイバーが、風力発電設備の基礎内にあるいは基礎上に設けられ、しかもこれら中空チューブタイバーは規定位置で中空チューブを固定する。この目的のために、タイバーは保持アームによって保持され、この保持アームは今度は再び正確に基礎の部分内であるいはケーブル供給装置の下部セクションにおいて予め方向付けられる。特に保持アームは、電力モジュールから基礎内へと延在するケーブルが、統一された、最短で、しかも最適なケーブル経路を有するよう配置される。
【0013】
本発明による手法はそれゆえまた、基礎を構築するとき、中空チューブタイバー、電力モジュールサポートその他のような個々のモジュールの事前組立または規格化によって、風力発電設備の電気的セットアップ全体を既に容易にする。
【0014】
風力発電設備の全構築時間は本発明に係る手法によって著しく短縮できる。さらに、風力発電設備構築作業全体のコストは、技術的不利益をこうむることなく本発明によって低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について図示した実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
【0016】
図1は、鉄筋1および2を有する、事前に構築された基礎(コンクリートは打設していない)の平面図であり、中空チューブ3の上で、鉄筋1および2は、鉄筋に隣接するパイロン最下部に対してストラット構造体によって保持されている。この図はまたサポートプレート5を示し、このプレート5はパイロンの最下部に保持アームのために取り付けられている(その大部分は風力発電設備構築後にはもはや見ることはできない)。
【0017】
中空チューブ3はその後、ケーブル、たとえば電力ケーブルの収容に役立ち、この電力ケーブルによって風力発電設備からの全ての電気エネルギーは地中ケーブルを用いてネットワークに運ばれる。このために、しばしばただの単一チューブではなく複数のチューブが設けられる。
【0018】
図2にはコンクリートを打設後の基礎部を示す。この点に関し、中空チューブはその固定ポジションに留まりかつサポートプレートはまた適所へとコンクリートで固定されることを理解すべきであり、この点に関して、コンクリートで固定する作業においては、サポートプレートが構造コンクリート上に完全に載ることが、したがって荷重が面で支持されることが保証されるよう注意を払うべきである。コンクリートはサポートプレートの上縁まで達し、そしてプレート縁部に対して慎重に接合される。
【0019】
コンクリートが固まった後、サポートプレートを保持するための保持アームおよびさらに中空チューブを固定するためのタイバーを撤去でき、別の設備を構築するために再利用できる。
【0020】
コンクリートが固まった後、風力発電設備のさらなる構築のために、パイロンは(これまで常であったように)基礎部の上には配置されず、まず、本発明による電力モジュールがサポートプレート上に載置される。
【0021】
そうした電力モジュール7は図3に2部構成で示すが、依然としてその格納ハウジングは存在しておらず、この点に関して電力モジュールはまたさらなる部品を具備できる。
【0022】
電力モジュール7の二つの部分は図示の実施形態では一方が他方の上に配置されている。しかも電力モジュール全体は二つの相互に重なり合ったサポート8を具備し、このサポート8は今度は再び電力モジュールの主要部、すなわち、たとえば変圧器、インバータ、スイッチングキャビネット、中電圧器機などを収容する。
【0023】
相互に重ね合わせられたサポートはフレーム様式で構成され、そして互いの確実な固定がまた保証されるよう一方が他方の上に正確にフィットする。
【0024】
個々のサポートは特に四つの垂直ビーム部材を有し、これらは一つに接合されている(長方形を形成する)。これらビーム部材は、その下側および上側で一つにネジ止めされている。
【0025】
基礎の上に電力モジュールが組み立てられた後、パイロンが立て起こされ、そしてこの状況で電力モジュールの上に取り付けられる。このために、電力モジュールの外寸は、幅および長さに関して、下側パイロン領域/基礎領域において、パイロンの内径よりも小さなものとなっている。
【0026】
パイロンが立てられた後、風力発電設備には通常通り、装置ハウジングが取り付けられ、ローターが決まった場所に取り付けられ、そして設備の稼働のために発電機と電力モジュールとの間で適当な電気接続がなされ、かつ電力供給ネットワークに対して電力モジュール(変圧器の出力部)が接続される。
【0027】
上記中空チューブすなわちケーブルを支持するために設けられた装置が所与の規定位置に事前固定された際、電力モジュールとネットワークとの間の接続も極めて迅速かつ有利に行うことができ、この点に関して、中空チューブが配置されているのでケーブル長全体を最大限に利用できる。ゆえにケーブルは、電力モジュールの対応する部分への接続のための標準化され、最適化された構造的形態の場合に必要となる位置において、基礎から出る。
【0028】
本発明による風力発電設備の場合、固定基礎領域で従来型ドアを経て風力発電設備へアクセスする必要はもうないが、高電圧または中電圧を運ぶ電力モジュール部分の上の領域内へと開くように配置されたドア(アクセス)を経てアクセスする必要がある場合に有利である。このために、好適なはしご、または階段をパイロンの外部に設けることができる。アクセスドアの上記位置は次のような利点を有する。比較的頻繁に設備内に立ち入らねばならない人員は、常に、設備稼動中に電圧を運ぶ電力モジュール部分を通過して移動する必要がない。これによってまた、風力発電設備の稼動中に、誰かが、予期せずにあるいは誤って電力モジュールに非常に接近して、送電部または通電部と接触すること(これは重大な事故を引き起こし得る)が確実になくなる。
【0029】
その後、パイロンアクセスドア領域に適当な中間プラットフォームが設けられる。このプラットフォームは、パイロン内で風力発電設備内をさらに登るために、あるいはさまざまな制御デバイスの調整を実施するために、あるいはまた測定データを読み取るために、パイロン内に入る人員が通り抜けることができるものである。
【0030】
本発明による型の風力発電設備は、100kW以上の定格出力、好ましくは500kW、1MW、1.5MWあるいはそれよりも著しく高い範囲の定格出力を常に有するような設備を備える。好ましくは、中間プラットフォームは閉塞可能なパネルを備え、このパネルを経て人員が電力モジュールの下部領域内に入り込むことができる。フラップの閉塞によって、電力モジュールの下側部分が許可されていないアクセスまたは侵入に対して一層ガードされる、ということが保証される。
【0031】
上記の場合、基礎領域のパイロンの内径は数mとすることができ、これによって、そこの全面積はたとえば100m2以上となり、ゆえに電力モジュールを収容するのに十分に大きな面積が存在する。「電力モジュール」という用語は本明細書で使用する限りにおいて、特にコンバータおよび風力発電設備のネットワーク転送部位を意味する。特に、中圧スイッチングキャビネットあるいはまた配電器はもちろん、変圧器またはインバータまたは非常スイッチのようなアセンブリが存在する。
【0032】
上記の通り、電力モジュールは風力発電設備内のそれ自身のコンテナまたはスペース内に配置されることになる。このコンテナは円筒形チューブからなることができ、このチューブは、電力モジュールが基礎の上に配置された後、この電力モジュール全体の上に取り付けられる。あるいは電力モジュールは、円筒形チューブ内に製造工場において既に設置され、これによって円筒形チューブの輸送時に電力モジュールは輸送される。コンテナは特に全ての面に向かって極めて実質的に密閉されたものとすることができるが、それは少なくとも一つのアクセスドアを備え、そして電力モジュールがチューブ内に複数のレベルに構築される場合、電力モジュールのさまざまなレベルにモジュール内の階段またははしごによって到達することも可能である。
【0033】
コンテナ内にさらにスペースまたは部屋を設けることも可能であり、これはたとえばサービスエンジニアなどのような人々用の更衣室および/または休憩室として利用できる。これは特に、本発明が海上風力発電設備に関連して具現化される場合に極めて好適であり、悪天候では、エンジニアはしばらくの間、風力発電設備内に留まることを余儀なくされる。ゆえに、この部屋またはスペースはまた、長期滞在を可能にするたいていの必要な品目、たとえば真水、食料、睡眠設備、通信機器を備えているべきである。
【0034】
さらに上記スペースまたは部屋はロック装備機能を発揮でき、しかも風力発電設備の内部に関して密閉状態となるようシール可能とすることができる。この様式では、たとえば風力発電設備内での火事の場合、人々はそこに避難し、救助の準備をすると共にそれを待つことができる。
【0035】
格納ハウジングが円筒形チューブからなる場合、上側および下側のチューブ端部またはことによると設けられるかもしれないさらなる追加的開口は、構築現場への輸送のために閉塞できる。あるいは、上側および下側のチューブ端部は最初から固定的に閉塞され、これによって厳しい天候でさえ、構築現場への輸送または構築作業の中断は、海水または水分がコンテナ内に浸入し、したがって電力モジュールの電気的に繊細な部分に達するリスクを伴わない。
【0036】
電力モジュール要素の冷却が必要な場合、コンテナはまた、電力モジュールの内部と風力発電設備のパイロンの内部との間の空気の入替えが可能であるよう設計される。だが、好ましくは、電力モジュールからパイロン内部への廃熱の熱放散のみが電力モジュールの外部で生じ得る。この目的のため、電力モジュール用の閉じた空気回路を設けることが可能であり、これは、たとえば冷却コイルの形態の適当な熱交換器によってパイロン内部へ熱を運ぶ。
【0037】
電力モジュール個々の要素の冷却が必要な場合、これはまたエアダクト12−図7−(エアシャフト)によって格納ハウジングの内部から空気を流動させることによって実施できる。エアダクト12は一方では格納ハウジング内へと開口しており、そしてこのエアシャフトによって冷却された空気は他の位置で格納ハウジング内へと再び戻る。格納ハウジング内の空気の積極的な対流は、ファンによって一つのエアシャフトの入口および/または出口において形成されるべきである。風力発電設備のパイロンと接触状態のエアダクト(エアシャフト)内を空気が直接流動する場合、たとえば相互に重ね合わされた関係で複数の層からなる螺旋形状である場合、空気はエアダクト内で冷却される。なぜなら、パイロン壁自体が冷却要素を形成し、これは常に、その周りを外部からの空気や水が流れるからである。上記変形例は次の特別な利点を有する。すなわち格納ハウジングの内部はこうして常にパイロンの内部と分離され、そして風力発電設備が海上風力発電設備である場合に、格納ハウジングの内部は、パイロン内部へ侵入してしまったおそらく塩分を含む空気と接触しないよう極めて確実に保護される。これは、塩分を含む空気の侵入からパイロンの内部全体を同時に保護するための手段を全く必要とせずに、格納ハウジング内部の電力モジュールの全電気部品が、塩分を含む空気のような非常に強い腐食効果を有する空気との接触から保護されることを意味する。
【0038】
変圧器および他の電子部品用の閉塞された格納ハウジングの場合には、格納ハウジング内に防火設備を配置するのも好適である。この防火設備はそこで出火した際に作動させられる。この防火設備はたとえばさらに、装置全体がたとえばCO2のような不活性ガスで満たされるようにすることができ、これによって格納ハウジング内の酸素含有量は低下し、ゆえに生じうる炎から必要な酸素が奪われる。だが、たとえばCO2のようなガスの代わりに、窒素あるいは他の不活性ガスのようなガスを使用できる。この不活性ガスはタンク内に貯蔵されており、そして火災状況(あるいは著しい温度上昇)に反応する一つ以上のセンサーによって、不活性ガスが極めて急速に格納ハウジング内へ流れ込むことが可能であるように不活性ガスが充填されたタンクを閉鎖しているバルブを経て供給される。
【0039】
ある状況下では、人が格納ハウジング内にいるときに、不活性ガスがこの格納ハウジング内に流れ込むのを防止するための安全装置が設けられる。そうした安全装置はまた、たとえばスイッチング素子を具備することができ、このスイッチング素子は、格納ハウジングに入るとき、不活性ガスが格納ハウジング内へ流れ込むのを阻止するよう、作業員の一部分によって作動させられる。
【0040】
それにも関わらず塩分を含む空気が格納ハウジング内に侵入する場合、格納ハウジング内に、そこに存在する空気から塩分を除去する手段が設けられることがまた有益である。
【0041】
格納ハウジング内に侵入する塩分を含む空気ができるだけ少量となるよう、好ましくはガラス繊維強化プラスチック素材(GRP)からなるロック装備を格納ハウジングが備えることも有利である。操作人員がロック装備を経て格納ハウジング内に入りたい場合、空気は圧力下でロック装備内へと侵入し、これによって操作人員は空気流に抗して格納ハウジング内に入ることができる。それゆえ、格納ハウジングがまたさらなるタンクに接続されることが有利であり、この中には実質的に塩分を含まない空気が蓄えられ、この空気は、操作人員がロック装備を経て格納ハウジング内に行きたい場合に圧力下で格納ハウジング内へ送り込まれる。
【0042】
格納ハウジング内に、この格納ハウジング内の水分含有量をできる限り少なくするよう構成された手段が存在することもまた有利である。そうした手段はたとえばペルチエ素子とすることができる。
【0043】
空気から塩分を除去し、そして水分含有量を低減するための手段は、空気中の塩分含有量または水分含有量に反応する対応するセンサーが、所定の塩分値または水分含有量値を超えたことを検出した場合に作動させられるかもしれない。空気から塩分を除去しかつさらに水分含有量を低減するための手段はこうして、塩分含有量および/または水分含有量が所定の値以下に低下するまで作動させられる。
【0044】
内部に電力モジュールが納められた格納ハウジングは風力発電設備の基礎の上に、あるいは風力発電設備のパイロン内のプラットフォーム上に配置できる。このプラットフォームはまた好ましくは風力発電設備の装置ハウジングのすぐ下で極めて上方に配置できる。これは、風力発電設備が海上設備として構築される場合に、これによって最適な方法で格納ハウジング内へ侵入し得る塩分を可能な限り少なくできる、ということを保証するためである。
【0045】
風力発電設備全体を制御するか監視する中央ステーションへと、塩分含有量および/または水分含有量用センサーが測定するデータが送信されることがまた好ましい。格納ハウジング内で塩分含有量を低減するかまたは水分含有量を低減するための手段は、中央ステーションを経由して作動させることができる。
【0046】
電力モジュール部分に関して火災の発生を抑えるため、通常の運転中、酸素含有率の低い空気を格納ハウジング全体に行き渡らせることもできる。これは、たとえば、空気の通常の酸素含有量以下まで酸素含有量が低下するよう格納ハウジング内の空気から酸素を除去することによって実施できる。(タンクからの)CO2含有量の高い(100%まで)ガスまたは窒素含有量の高い(100%まで)ガスまたは他の不活性ガスを、格納ハウジング全体に供給することもまた可能であることが理解されるであろう。その内部に滞在できるよう格納ハウジング内が通常環境に戻されるのは、操作人員が格納ハウジング内に入りたいときだけである。その場合、呼吸装備なしで人が格納ハウジング内に滞在するのを可能にする環境が格納ハウジング内に作り出されるときだけロック装備が解放されるのが適切である。
【0047】
本発明による格納ハウジングは風力発電設備内に配置できるだけでなく、パイロンの外部でパイロンに直接取り付けることもできる。これは、たとえば、格納ハウジング全体をパイロンの外部でプラットフォームに取り付けることによって、あるいはパイロンに直接固定することによって実施できる。格納ハウジングが閉じたチューブの形態であり、しかもこのチューブがパイロンの外部に配置される場合、人は格納ハウジングに対する扉またはロック装備を経てこの格納ハウジングに、そしてパイロン内部に入ることができる。この変形例によれば、格納ハウジングの内部を、風力発電設備を取り巻く外部空気と格納ハウジング内の空気とを接触させることなく、パイロン内へと延在するかあるいはパイロンを取り囲むエアダクトによって冷却することが簡単にできる。
【0048】
たとえば電力モジュールの個々の部品を取り替えるとき、格納ハウジング全体を取り外す必要がなく、取り替えなければならない電力モジュールの備品を直接取り囲む格納ハウジングのモジュール部品のみを取り外せばいいように、格納ハウジングが複数部品からなる構造であることがまた有利である。
【0049】
図5は、パイロン9を備えた本発明による風力発電設備12の側面図である。図6は図5の線A−Aに沿って取った断面図である。この点に関して、図6から、格納ハウジング10は電力モジュール10とパイロン壁との間に配置されることがわかる。このハウジング10はまたチューブとすることができる。
【0050】
図7はパイロン部位を通る縦断面図である。これに関し、もう一度、格納ハウジング10がパイロン壁9から電力モジュール7を完全に遮蔽していることがわかる。電力モジュールを冷却するため、格納ハウジング内の空気はファン11によって空気冷却ダクト12内へと流動させられ、そしてエアダクト12がパイロン壁9に対して部分的に直接取り付けられる。これによって、特にそこで、熱くなった空気が冷却され、続いて格納ハウジング10内へと再び戻ることができる。空気冷却ダクトはいかなる形状を呈することもでき、しかも特にパイロン壁9に沿って螺旋状に流動させることもできることは明白である。これはエアダクト12内の空気を最適に冷却するためである。
【0051】
図8は本発明による風力発電設備の、一部を切り欠いた図である。この図から、風力発電設備のさまざまな部品が格納ハウジング内でさまざまなレベルに配置されることがわかる。
【0052】
図9は図8に示すレベルの一つの、部分的に切り欠いた図である。図9は入口レベル(第3レベル)への(部分的に切り欠いた様態の)平面図であり、ここに制御キャビネット、制御デスク、DUVデスクなどが配置される。そこに配置された床パネルは、第3のレベル以下に存在する部品を第3のレベルへと、したがって入口および出口レベルへと運搬するために取り外すことができる。ある状況下では、たとえば、風力発電設備の入口を経て外部に運搬するために、クレーンによって第1および第2のレベルから第3のレベルへと部品を上に移動させなければならないとき、これは重要である。
【0053】
図11は電力キャビネットレベルの部分的に切り欠いた図である。こうした電力キキャビネットレベルはまた複数のレベルに、たとえば第4、第5、第6および第7レベルに設けることができる。なぜなら、比較的大型の設備の場合、通常、複数の電力キャビネットが必要であり、しかもある状況下では、その全てを一つのレベルに配置できないからである。この点に関して、使用された空気を回収ダクトを経て排出でき、かつ風力発電設備のパイロン内へと流入できるよう(ここで空気はパイロン壁との熱交換によって冷却される)、各レベルには使用された空気用の壁開口部が設けられることにも留意すべきである。
【0054】
格納ハウジングが閉塞される場合、この格納ハウジング内の空気圧をハウジングの外の空気圧と、特に格納ハウジングの外部ではあるがパイロン内の空気圧と異なるようにすることもできる。
【0055】
最後に、格納ハウジング内の温度に影響を与えることが可能であるよう、加熱装置および/または冷却装置が格納ハウジングおよび/またはエアダクトの一つの中に配置することもできる。設備が(いかなる理由ででも)長期間にわたって停止する場合、そして冬に望ましくない温度まで冷える場合に、ある状況下では加熱デバイスの設置が適切である。他方で、格納ハウジング内の空気の冷却は、冷却装置(たとえば熱交換器)を用いて極めて効果的にかつ迅速に実施できる。
【0056】
最後に、格納ハウジング全体を、この格納ハウジング内に配置された装置と共に輸送できるよう、特にクレーンで動かすことができるよう、格納ハウジング全体は自立構造の形態であることが有利である。特に格納ハウジングが(たとえばスチール製の)チューブである場合、こうした設計構造は容易に実現できる。この設計構造の利点は特に次のようなものである。格納ハウジング全体はその内部の全ての部品と共に工場で、したがって最高レベルの品質で製造でき、以後はそれが建てられるべき場所まで輸送するだけとなる。
【0057】
さらに、上で示唆した構造によって、可能性のあるその後の撤去をかなり容易にできる。
【0058】
図12ないし図16は、既に上で説明した電力モジュールを備えた本発明による風力発電設備のさらなる細部を示す図である。この点に関して、図の記載は、特にロック装備がどのよう風力発電設備のパイロンへの外部入口と設備内部との間に設けられるかを、すなわち、どこに電力モジュールの重要な電子部品および電気部品が配置されるかを説明している。風力発電設備全体が海上風力発電設備として使用される状況において、上記ロック装備は、塩分を含んだ空気あるいは塩水が設備内部に入り込むのを、したがって電気部品または電子部品が損傷したり破壊されたりするのを阻止する。
【0059】
図15は、ある状況下で電力モジュールが分配されるさまざまなレベルを、パイロン下部の一部縦断面図に示す。しかも図15の上部左側には、パイロン内部への外部入口が示されている。この入口は通常、別個に閉塞可能なゲートすなわちドアである。既に図15から認識できたように、プラットフォーム101はパイロン壁に対して実質的に直交するよう内側にドア100から延在し、このプラットフォーム101は好ましくはパイロンに直接接続され、これによってパイロンが配置されたときには既にプラットフォームの上を歩くことができる。
【0060】
図16は図15に示す構造体を上から見た図であり、ドア100およびプラットフォーム101だけでなく、チューブモジュール7を示す。上記プラットフォームに関して横方向にさらなるプラットフォームが、好ましくは格子が存在し、これはまたパイロン壁に固定的に取り付けられており、しかも風力発電設備構築後の極めて初期の段階において、人が、上記プラットフォーム101,102によって、ドア100を経て、パイロン内に設けられたはしご103へと達することを可能にする。
【0061】
上記平面図だけでなく図15からもわかるように、パイロン内部に向かってプラットフォーム101に隣接してスペース(これに関連して図10の底側右部分も参照のこと)が直接配置されており、これは、場合によってはプラットフォーム101の上にあるスペースと共に閉鎖されたロック装備を形成する。このロックスペースの領域は図16においてハッチングで示している。
【0062】
作業員は外部から上記ロックスペース内に入り、そしてこのスペース内でおそらく衣服を取替えるか、あるいは少なくとも短期間滞在できる。この中には衛生設備も設けられる。上記ロックスペース内にはさらなるドア104が存在し、これはパイロン内部へ、すなわち電力モジュールの器機品目へとつながる。
【0063】
ドア104は好ましくは水密性を有し、ある状況下で水分がロックスペース内に侵入したとき、この水分はドア104を経て設備内部へと入り込むことはできない。
【0064】
図12は風力発電設備の出入口ドア100を外部から見た図である。
【0065】
図13は図16のロック入口スペース内を見た場合の上記部分を再び拡大して示す図である。
【0066】
図14は図15のさらなる詳細図である。この図から、ロック出入口スペースの床はパイロン内部それ自体に固定されており、しかもこの床は好ましくは水分を透過し、これによって出入口ドア100が開いているときに飛散水などがロック出入口スペース内に侵入した場合に飛散水などは床を伝って流れ出ることが可能であることが明確にわかる。好ましくはまた格子の形態である床の下方には遮水パネルが設けられ、このパネルはパイロン壁に向かって外側に傾斜している。それゆえ、作業員の着衣からの飛散水あるいはまた水分が格子を経て上記スペース内に落下した場合、この水は開口部105を経て再び直接外に流れ出ることができる。
【0067】
図16だけでなく図14および図13からもわかるように、ロック出入口スペース101はさらなるドア106によって閉塞可能とすることができる。好ましくはまた防湿性および水密性を備えた上記ドアは、ロック中央スペースに関連する上記ロック出入口スペースを、上で既に説明した衛生設備から分離する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】事前に構築された基礎(コンクリートは打設していない)の平面図である。
【図2】コンクリート打設後の基礎部を示す図である。
【図3】電力モジュールを2部構成で示す図である。
【図4】パイロンおよび電力モジュールを示す図である。
【図5】パイロンを備えた本発明による風力発電設備の側面図である。
【図6】図5の線A−Aに沿って取った断面図である。
【図7】パイロン部位を通る縦断面図である。
【図8】本発明による風力発電設備の一部を切り欠いた図である。
【図9】図8に示すレベルの一つの部分的に切り欠いた図である。
【図10】図8に示すレベルの一つの部分的に切り欠いた図である。
【図11】電力キャビネットレベルの部分的に切り欠いた図である。
【図12】風力発電設備の出入口ドアの外部から見た図である。
【図13】図16のロック入口スペース内を見た場合の拡大図である。
【図14】図15のさらなる詳細図である。
【図15】ある状況下で電力モジュールが分配されるさまざまなレベルを示す、パイロン下部の一部縦断面図である。
【図16】図15に示す構造体を上から見た図である。
【符号の説明】
【0069】
1,2 鉄筋
3 中空チューブ
5 サポートプレート
7 電力モジュール
8 サポート
9 パイロン
10 格納ハウジング
11 ファン
12 エアダクト
100 ドア
101,102 プラットフォーム
103 はしご
104 ドア
105 開口部
106 ドア
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電設備の構築方法および風力発電設備の構造自体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、風力発電設備構築の際は、基礎がまず形成され、続いて風力発電設備のパイロンが立てられ、続いてパイロンの上端部に装置ハウジングが取り付けられ、そしてローターブレードを備えたローターが適所に取り付けられていた。その後、たとえば変圧器、スイッチングキャビネット、場合によってはインバータ、中電圧設備などの電力モジュールが据え付けられていた。これは、風力発電設備の外部において、この目的専用の小さな建物内で、ほとんど常に行われていた。
【0003】
特許文献1には、もはや、それ自体の基礎を備えた特別な変圧器建物構築の必要がないように、パイロン内部にパイロン内変圧器を設置することが提案されている。
【特許文献1】DE 198 16 483.1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで本発明の目的は、風力発電設備の構築をさらに一層簡便に、だが特により迅速にも実施できる方法を開発することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、特に海上風力発電設備に好適な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1の特徴を有する方法によって達成される。有利な展開は、付随する請求項にて言及されている。
【0007】
本発明では、電力モジュールを、パイロン壁と電力モジュールとの間に配置される壁を有するコンテナ内に設置することをまず提案する。したがってそれゆえ、電力モジュールはそれ自身の囲いを有するか、あるいは風力発電設備のパイロン内の独立スペース内に配置される。この構造の独特の特長は次のようなものである。この方法では、独特の方式で、海上風力発電設備に関して、水がパイロン内に浸入したとき、その内部に設置された電力モジュールおよび電気機器品目はそのときに有害な影響を受けないということを保証できる。
【0008】
変圧器および電力モジュールのその他の部品、たとえばスイッチング器機、インバータなどが、風力発電設備内の独立スペース内に配置される場合、これらコンポーネントを風力発電設備のパイロン内の周囲の空気の残りから分離するのも比較的容易である。それが海上風力発電設備として作動させられ、ゆえに空気中にある程度の塩分を含有することがあり得る場合、風力発電設備内のある状況下では、これは非常に重要となり得る。ハウジング内に電気的に繊細な部品を格納することは、たとえば格納ハウジングと電力モジュールがまた人員通過可能なロック装備を備えることによって、原理的には、風力発電設備のパイロン内の塩分を含む内部空気からこの部品を保護できることを意味する。格納ハウジング内の電気部品の冷却が必要な場合、装置は適当な冷却ダクトを持つことができ、このダクトは上記パイロンの内部へと延び、そしてさらにたとえばパイロンの壁に沿って延在し、空気は上記装置によって冷却ダクト内へと(ファンによって)導入可能である。その後、空気は格納ハウジング内へと冷却された状態で再び戻る。このようにして、同じ空気が格納ハウジング内で常に循環し、しかもこの空気には、パイロン内部の残部において、ある状況下で塩分を含む空気が混じらない。
【0009】
コンテナ内の電力モジュールは、風力発電設備の先の設計構造からの発展として、パイロンが立てられる前に、風力発電設備の基礎が構築された後、風力発電設備の基礎の上に既に配置できる。あるいは、海上風力発電設備の電気部品を用いずに風力発電設備の構築が可能であるように、電力モジュールを備えたコンテナは工場でパイロン内に既に設置固定される。これは、水分および湿気に敏感であり、この設備を構築するとき有害な影響を受ける。
【0010】
電力モジュールは可能な限り予め組み立てられ、そしてキャリア上に配置される。これによって、風力発電設備の構築のためにいかなる場合でも必要なクレーンを用いて、電力モジュールはパイロン基礎すなわちプラットフォームの上に配置できる。そして、風力発電設備のためのシステム全体の構築作業、特にケーブルの設置、および制御モジュールの調整、スイッチングキャビネットその他の設定によるシステム全体の準備プロセスは、保護されたスペース内で行うことができ、しかもパイロンが立てられた後に、これらの作業を開始することが可能である。
【0011】
電力モジュールのサポートおよび/または電力モジュールのコンテナがその下側にサポート足を持つことが特に有用であり、この足は今度はパイロン基礎上に予め配置されたプレート上に載る。これらのプレートは、基礎が造られたとき、所与の位置において、既に基礎内に嵌めこまれ、そして基礎内に固定される。これによって電力モジュールのそれ以降の構築が非常に簡単な方式で実施できる。
【0012】
最後に、風力発電設備から延在するケーブル、すなわち特に送電ケーブル、制御ケーブルなどのために中空チューブが設けられると非常に有利である。これら中空チューブのために中空チューブタイバーが、風力発電設備の基礎内にあるいは基礎上に設けられ、しかもこれら中空チューブタイバーは規定位置で中空チューブを固定する。この目的のために、タイバーは保持アームによって保持され、この保持アームは今度は再び正確に基礎の部分内であるいはケーブル供給装置の下部セクションにおいて予め方向付けられる。特に保持アームは、電力モジュールから基礎内へと延在するケーブルが、統一された、最短で、しかも最適なケーブル経路を有するよう配置される。
【0013】
本発明による手法はそれゆえまた、基礎を構築するとき、中空チューブタイバー、電力モジュールサポートその他のような個々のモジュールの事前組立または規格化によって、風力発電設備の電気的セットアップ全体を既に容易にする。
【0014】
風力発電設備の全構築時間は本発明に係る手法によって著しく短縮できる。さらに、風力発電設備構築作業全体のコストは、技術的不利益をこうむることなく本発明によって低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について図示した実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
【0016】
図1は、鉄筋1および2を有する、事前に構築された基礎(コンクリートは打設していない)の平面図であり、中空チューブ3の上で、鉄筋1および2は、鉄筋に隣接するパイロン最下部に対してストラット構造体によって保持されている。この図はまたサポートプレート5を示し、このプレート5はパイロンの最下部に保持アームのために取り付けられている(その大部分は風力発電設備構築後にはもはや見ることはできない)。
【0017】
中空チューブ3はその後、ケーブル、たとえば電力ケーブルの収容に役立ち、この電力ケーブルによって風力発電設備からの全ての電気エネルギーは地中ケーブルを用いてネットワークに運ばれる。このために、しばしばただの単一チューブではなく複数のチューブが設けられる。
【0018】
図2にはコンクリートを打設後の基礎部を示す。この点に関し、中空チューブはその固定ポジションに留まりかつサポートプレートはまた適所へとコンクリートで固定されることを理解すべきであり、この点に関して、コンクリートで固定する作業においては、サポートプレートが構造コンクリート上に完全に載ることが、したがって荷重が面で支持されることが保証されるよう注意を払うべきである。コンクリートはサポートプレートの上縁まで達し、そしてプレート縁部に対して慎重に接合される。
【0019】
コンクリートが固まった後、サポートプレートを保持するための保持アームおよびさらに中空チューブを固定するためのタイバーを撤去でき、別の設備を構築するために再利用できる。
【0020】
コンクリートが固まった後、風力発電設備のさらなる構築のために、パイロンは(これまで常であったように)基礎部の上には配置されず、まず、本発明による電力モジュールがサポートプレート上に載置される。
【0021】
そうした電力モジュール7は図3に2部構成で示すが、依然としてその格納ハウジングは存在しておらず、この点に関して電力モジュールはまたさらなる部品を具備できる。
【0022】
電力モジュール7の二つの部分は図示の実施形態では一方が他方の上に配置されている。しかも電力モジュール全体は二つの相互に重なり合ったサポート8を具備し、このサポート8は今度は再び電力モジュールの主要部、すなわち、たとえば変圧器、インバータ、スイッチングキャビネット、中電圧器機などを収容する。
【0023】
相互に重ね合わせられたサポートはフレーム様式で構成され、そして互いの確実な固定がまた保証されるよう一方が他方の上に正確にフィットする。
【0024】
個々のサポートは特に四つの垂直ビーム部材を有し、これらは一つに接合されている(長方形を形成する)。これらビーム部材は、その下側および上側で一つにネジ止めされている。
【0025】
基礎の上に電力モジュールが組み立てられた後、パイロンが立て起こされ、そしてこの状況で電力モジュールの上に取り付けられる。このために、電力モジュールの外寸は、幅および長さに関して、下側パイロン領域/基礎領域において、パイロンの内径よりも小さなものとなっている。
【0026】
パイロンが立てられた後、風力発電設備には通常通り、装置ハウジングが取り付けられ、ローターが決まった場所に取り付けられ、そして設備の稼働のために発電機と電力モジュールとの間で適当な電気接続がなされ、かつ電力供給ネットワークに対して電力モジュール(変圧器の出力部)が接続される。
【0027】
上記中空チューブすなわちケーブルを支持するために設けられた装置が所与の規定位置に事前固定された際、電力モジュールとネットワークとの間の接続も極めて迅速かつ有利に行うことができ、この点に関して、中空チューブが配置されているのでケーブル長全体を最大限に利用できる。ゆえにケーブルは、電力モジュールの対応する部分への接続のための標準化され、最適化された構造的形態の場合に必要となる位置において、基礎から出る。
【0028】
本発明による風力発電設備の場合、固定基礎領域で従来型ドアを経て風力発電設備へアクセスする必要はもうないが、高電圧または中電圧を運ぶ電力モジュール部分の上の領域内へと開くように配置されたドア(アクセス)を経てアクセスする必要がある場合に有利である。このために、好適なはしご、または階段をパイロンの外部に設けることができる。アクセスドアの上記位置は次のような利点を有する。比較的頻繁に設備内に立ち入らねばならない人員は、常に、設備稼動中に電圧を運ぶ電力モジュール部分を通過して移動する必要がない。これによってまた、風力発電設備の稼動中に、誰かが、予期せずにあるいは誤って電力モジュールに非常に接近して、送電部または通電部と接触すること(これは重大な事故を引き起こし得る)が確実になくなる。
【0029】
その後、パイロンアクセスドア領域に適当な中間プラットフォームが設けられる。このプラットフォームは、パイロン内で風力発電設備内をさらに登るために、あるいはさまざまな制御デバイスの調整を実施するために、あるいはまた測定データを読み取るために、パイロン内に入る人員が通り抜けることができるものである。
【0030】
本発明による型の風力発電設備は、100kW以上の定格出力、好ましくは500kW、1MW、1.5MWあるいはそれよりも著しく高い範囲の定格出力を常に有するような設備を備える。好ましくは、中間プラットフォームは閉塞可能なパネルを備え、このパネルを経て人員が電力モジュールの下部領域内に入り込むことができる。フラップの閉塞によって、電力モジュールの下側部分が許可されていないアクセスまたは侵入に対して一層ガードされる、ということが保証される。
【0031】
上記の場合、基礎領域のパイロンの内径は数mとすることができ、これによって、そこの全面積はたとえば100m2以上となり、ゆえに電力モジュールを収容するのに十分に大きな面積が存在する。「電力モジュール」という用語は本明細書で使用する限りにおいて、特にコンバータおよび風力発電設備のネットワーク転送部位を意味する。特に、中圧スイッチングキャビネットあるいはまた配電器はもちろん、変圧器またはインバータまたは非常スイッチのようなアセンブリが存在する。
【0032】
上記の通り、電力モジュールは風力発電設備内のそれ自身のコンテナまたはスペース内に配置されることになる。このコンテナは円筒形チューブからなることができ、このチューブは、電力モジュールが基礎の上に配置された後、この電力モジュール全体の上に取り付けられる。あるいは電力モジュールは、円筒形チューブ内に製造工場において既に設置され、これによって円筒形チューブの輸送時に電力モジュールは輸送される。コンテナは特に全ての面に向かって極めて実質的に密閉されたものとすることができるが、それは少なくとも一つのアクセスドアを備え、そして電力モジュールがチューブ内に複数のレベルに構築される場合、電力モジュールのさまざまなレベルにモジュール内の階段またははしごによって到達することも可能である。
【0033】
コンテナ内にさらにスペースまたは部屋を設けることも可能であり、これはたとえばサービスエンジニアなどのような人々用の更衣室および/または休憩室として利用できる。これは特に、本発明が海上風力発電設備に関連して具現化される場合に極めて好適であり、悪天候では、エンジニアはしばらくの間、風力発電設備内に留まることを余儀なくされる。ゆえに、この部屋またはスペースはまた、長期滞在を可能にするたいていの必要な品目、たとえば真水、食料、睡眠設備、通信機器を備えているべきである。
【0034】
さらに上記スペースまたは部屋はロック装備機能を発揮でき、しかも風力発電設備の内部に関して密閉状態となるようシール可能とすることができる。この様式では、たとえば風力発電設備内での火事の場合、人々はそこに避難し、救助の準備をすると共にそれを待つことができる。
【0035】
格納ハウジングが円筒形チューブからなる場合、上側および下側のチューブ端部またはことによると設けられるかもしれないさらなる追加的開口は、構築現場への輸送のために閉塞できる。あるいは、上側および下側のチューブ端部は最初から固定的に閉塞され、これによって厳しい天候でさえ、構築現場への輸送または構築作業の中断は、海水または水分がコンテナ内に浸入し、したがって電力モジュールの電気的に繊細な部分に達するリスクを伴わない。
【0036】
電力モジュール要素の冷却が必要な場合、コンテナはまた、電力モジュールの内部と風力発電設備のパイロンの内部との間の空気の入替えが可能であるよう設計される。だが、好ましくは、電力モジュールからパイロン内部への廃熱の熱放散のみが電力モジュールの外部で生じ得る。この目的のため、電力モジュール用の閉じた空気回路を設けることが可能であり、これは、たとえば冷却コイルの形態の適当な熱交換器によってパイロン内部へ熱を運ぶ。
【0037】
電力モジュール個々の要素の冷却が必要な場合、これはまたエアダクト12−図7−(エアシャフト)によって格納ハウジングの内部から空気を流動させることによって実施できる。エアダクト12は一方では格納ハウジング内へと開口しており、そしてこのエアシャフトによって冷却された空気は他の位置で格納ハウジング内へと再び戻る。格納ハウジング内の空気の積極的な対流は、ファンによって一つのエアシャフトの入口および/または出口において形成されるべきである。風力発電設備のパイロンと接触状態のエアダクト(エアシャフト)内を空気が直接流動する場合、たとえば相互に重ね合わされた関係で複数の層からなる螺旋形状である場合、空気はエアダクト内で冷却される。なぜなら、パイロン壁自体が冷却要素を形成し、これは常に、その周りを外部からの空気や水が流れるからである。上記変形例は次の特別な利点を有する。すなわち格納ハウジングの内部はこうして常にパイロンの内部と分離され、そして風力発電設備が海上風力発電設備である場合に、格納ハウジングの内部は、パイロン内部へ侵入してしまったおそらく塩分を含む空気と接触しないよう極めて確実に保護される。これは、塩分を含む空気の侵入からパイロンの内部全体を同時に保護するための手段を全く必要とせずに、格納ハウジング内部の電力モジュールの全電気部品が、塩分を含む空気のような非常に強い腐食効果を有する空気との接触から保護されることを意味する。
【0038】
変圧器および他の電子部品用の閉塞された格納ハウジングの場合には、格納ハウジング内に防火設備を配置するのも好適である。この防火設備はそこで出火した際に作動させられる。この防火設備はたとえばさらに、装置全体がたとえばCO2のような不活性ガスで満たされるようにすることができ、これによって格納ハウジング内の酸素含有量は低下し、ゆえに生じうる炎から必要な酸素が奪われる。だが、たとえばCO2のようなガスの代わりに、窒素あるいは他の不活性ガスのようなガスを使用できる。この不活性ガスはタンク内に貯蔵されており、そして火災状況(あるいは著しい温度上昇)に反応する一つ以上のセンサーによって、不活性ガスが極めて急速に格納ハウジング内へ流れ込むことが可能であるように不活性ガスが充填されたタンクを閉鎖しているバルブを経て供給される。
【0039】
ある状況下では、人が格納ハウジング内にいるときに、不活性ガスがこの格納ハウジング内に流れ込むのを防止するための安全装置が設けられる。そうした安全装置はまた、たとえばスイッチング素子を具備することができ、このスイッチング素子は、格納ハウジングに入るとき、不活性ガスが格納ハウジング内へ流れ込むのを阻止するよう、作業員の一部分によって作動させられる。
【0040】
それにも関わらず塩分を含む空気が格納ハウジング内に侵入する場合、格納ハウジング内に、そこに存在する空気から塩分を除去する手段が設けられることがまた有益である。
【0041】
格納ハウジング内に侵入する塩分を含む空気ができるだけ少量となるよう、好ましくはガラス繊維強化プラスチック素材(GRP)からなるロック装備を格納ハウジングが備えることも有利である。操作人員がロック装備を経て格納ハウジング内に入りたい場合、空気は圧力下でロック装備内へと侵入し、これによって操作人員は空気流に抗して格納ハウジング内に入ることができる。それゆえ、格納ハウジングがまたさらなるタンクに接続されることが有利であり、この中には実質的に塩分を含まない空気が蓄えられ、この空気は、操作人員がロック装備を経て格納ハウジング内に行きたい場合に圧力下で格納ハウジング内へ送り込まれる。
【0042】
格納ハウジング内に、この格納ハウジング内の水分含有量をできる限り少なくするよう構成された手段が存在することもまた有利である。そうした手段はたとえばペルチエ素子とすることができる。
【0043】
空気から塩分を除去し、そして水分含有量を低減するための手段は、空気中の塩分含有量または水分含有量に反応する対応するセンサーが、所定の塩分値または水分含有量値を超えたことを検出した場合に作動させられるかもしれない。空気から塩分を除去しかつさらに水分含有量を低減するための手段はこうして、塩分含有量および/または水分含有量が所定の値以下に低下するまで作動させられる。
【0044】
内部に電力モジュールが納められた格納ハウジングは風力発電設備の基礎の上に、あるいは風力発電設備のパイロン内のプラットフォーム上に配置できる。このプラットフォームはまた好ましくは風力発電設備の装置ハウジングのすぐ下で極めて上方に配置できる。これは、風力発電設備が海上設備として構築される場合に、これによって最適な方法で格納ハウジング内へ侵入し得る塩分を可能な限り少なくできる、ということを保証するためである。
【0045】
風力発電設備全体を制御するか監視する中央ステーションへと、塩分含有量および/または水分含有量用センサーが測定するデータが送信されることがまた好ましい。格納ハウジング内で塩分含有量を低減するかまたは水分含有量を低減するための手段は、中央ステーションを経由して作動させることができる。
【0046】
電力モジュール部分に関して火災の発生を抑えるため、通常の運転中、酸素含有率の低い空気を格納ハウジング全体に行き渡らせることもできる。これは、たとえば、空気の通常の酸素含有量以下まで酸素含有量が低下するよう格納ハウジング内の空気から酸素を除去することによって実施できる。(タンクからの)CO2含有量の高い(100%まで)ガスまたは窒素含有量の高い(100%まで)ガスまたは他の不活性ガスを、格納ハウジング全体に供給することもまた可能であることが理解されるであろう。その内部に滞在できるよう格納ハウジング内が通常環境に戻されるのは、操作人員が格納ハウジング内に入りたいときだけである。その場合、呼吸装備なしで人が格納ハウジング内に滞在するのを可能にする環境が格納ハウジング内に作り出されるときだけロック装備が解放されるのが適切である。
【0047】
本発明による格納ハウジングは風力発電設備内に配置できるだけでなく、パイロンの外部でパイロンに直接取り付けることもできる。これは、たとえば、格納ハウジング全体をパイロンの外部でプラットフォームに取り付けることによって、あるいはパイロンに直接固定することによって実施できる。格納ハウジングが閉じたチューブの形態であり、しかもこのチューブがパイロンの外部に配置される場合、人は格納ハウジングに対する扉またはロック装備を経てこの格納ハウジングに、そしてパイロン内部に入ることができる。この変形例によれば、格納ハウジングの内部を、風力発電設備を取り巻く外部空気と格納ハウジング内の空気とを接触させることなく、パイロン内へと延在するかあるいはパイロンを取り囲むエアダクトによって冷却することが簡単にできる。
【0048】
たとえば電力モジュールの個々の部品を取り替えるとき、格納ハウジング全体を取り外す必要がなく、取り替えなければならない電力モジュールの備品を直接取り囲む格納ハウジングのモジュール部品のみを取り外せばいいように、格納ハウジングが複数部品からなる構造であることがまた有利である。
【0049】
図5は、パイロン9を備えた本発明による風力発電設備12の側面図である。図6は図5の線A−Aに沿って取った断面図である。この点に関して、図6から、格納ハウジング10は電力モジュール10とパイロン壁との間に配置されることがわかる。このハウジング10はまたチューブとすることができる。
【0050】
図7はパイロン部位を通る縦断面図である。これに関し、もう一度、格納ハウジング10がパイロン壁9から電力モジュール7を完全に遮蔽していることがわかる。電力モジュールを冷却するため、格納ハウジング内の空気はファン11によって空気冷却ダクト12内へと流動させられ、そしてエアダクト12がパイロン壁9に対して部分的に直接取り付けられる。これによって、特にそこで、熱くなった空気が冷却され、続いて格納ハウジング10内へと再び戻ることができる。空気冷却ダクトはいかなる形状を呈することもでき、しかも特にパイロン壁9に沿って螺旋状に流動させることもできることは明白である。これはエアダクト12内の空気を最適に冷却するためである。
【0051】
図8は本発明による風力発電設備の、一部を切り欠いた図である。この図から、風力発電設備のさまざまな部品が格納ハウジング内でさまざまなレベルに配置されることがわかる。
【0052】
図9は図8に示すレベルの一つの、部分的に切り欠いた図である。図9は入口レベル(第3レベル)への(部分的に切り欠いた様態の)平面図であり、ここに制御キャビネット、制御デスク、DUVデスクなどが配置される。そこに配置された床パネルは、第3のレベル以下に存在する部品を第3のレベルへと、したがって入口および出口レベルへと運搬するために取り外すことができる。ある状況下では、たとえば、風力発電設備の入口を経て外部に運搬するために、クレーンによって第1および第2のレベルから第3のレベルへと部品を上に移動させなければならないとき、これは重要である。
【0053】
図11は電力キャビネットレベルの部分的に切り欠いた図である。こうした電力キキャビネットレベルはまた複数のレベルに、たとえば第4、第5、第6および第7レベルに設けることができる。なぜなら、比較的大型の設備の場合、通常、複数の電力キャビネットが必要であり、しかもある状況下では、その全てを一つのレベルに配置できないからである。この点に関して、使用された空気を回収ダクトを経て排出でき、かつ風力発電設備のパイロン内へと流入できるよう(ここで空気はパイロン壁との熱交換によって冷却される)、各レベルには使用された空気用の壁開口部が設けられることにも留意すべきである。
【0054】
格納ハウジングが閉塞される場合、この格納ハウジング内の空気圧をハウジングの外の空気圧と、特に格納ハウジングの外部ではあるがパイロン内の空気圧と異なるようにすることもできる。
【0055】
最後に、格納ハウジング内の温度に影響を与えることが可能であるよう、加熱装置および/または冷却装置が格納ハウジングおよび/またはエアダクトの一つの中に配置することもできる。設備が(いかなる理由ででも)長期間にわたって停止する場合、そして冬に望ましくない温度まで冷える場合に、ある状況下では加熱デバイスの設置が適切である。他方で、格納ハウジング内の空気の冷却は、冷却装置(たとえば熱交換器)を用いて極めて効果的にかつ迅速に実施できる。
【0056】
最後に、格納ハウジング全体を、この格納ハウジング内に配置された装置と共に輸送できるよう、特にクレーンで動かすことができるよう、格納ハウジング全体は自立構造の形態であることが有利である。特に格納ハウジングが(たとえばスチール製の)チューブである場合、こうした設計構造は容易に実現できる。この設計構造の利点は特に次のようなものである。格納ハウジング全体はその内部の全ての部品と共に工場で、したがって最高レベルの品質で製造でき、以後はそれが建てられるべき場所まで輸送するだけとなる。
【0057】
さらに、上で示唆した構造によって、可能性のあるその後の撤去をかなり容易にできる。
【0058】
図12ないし図16は、既に上で説明した電力モジュールを備えた本発明による風力発電設備のさらなる細部を示す図である。この点に関して、図の記載は、特にロック装備がどのよう風力発電設備のパイロンへの外部入口と設備内部との間に設けられるかを、すなわち、どこに電力モジュールの重要な電子部品および電気部品が配置されるかを説明している。風力発電設備全体が海上風力発電設備として使用される状況において、上記ロック装備は、塩分を含んだ空気あるいは塩水が設備内部に入り込むのを、したがって電気部品または電子部品が損傷したり破壊されたりするのを阻止する。
【0059】
図15は、ある状況下で電力モジュールが分配されるさまざまなレベルを、パイロン下部の一部縦断面図に示す。しかも図15の上部左側には、パイロン内部への外部入口が示されている。この入口は通常、別個に閉塞可能なゲートすなわちドアである。既に図15から認識できたように、プラットフォーム101はパイロン壁に対して実質的に直交するよう内側にドア100から延在し、このプラットフォーム101は好ましくはパイロンに直接接続され、これによってパイロンが配置されたときには既にプラットフォームの上を歩くことができる。
【0060】
図16は図15に示す構造体を上から見た図であり、ドア100およびプラットフォーム101だけでなく、チューブモジュール7を示す。上記プラットフォームに関して横方向にさらなるプラットフォームが、好ましくは格子が存在し、これはまたパイロン壁に固定的に取り付けられており、しかも風力発電設備構築後の極めて初期の段階において、人が、上記プラットフォーム101,102によって、ドア100を経て、パイロン内に設けられたはしご103へと達することを可能にする。
【0061】
上記平面図だけでなく図15からもわかるように、パイロン内部に向かってプラットフォーム101に隣接してスペース(これに関連して図10の底側右部分も参照のこと)が直接配置されており、これは、場合によってはプラットフォーム101の上にあるスペースと共に閉鎖されたロック装備を形成する。このロックスペースの領域は図16においてハッチングで示している。
【0062】
作業員は外部から上記ロックスペース内に入り、そしてこのスペース内でおそらく衣服を取替えるか、あるいは少なくとも短期間滞在できる。この中には衛生設備も設けられる。上記ロックスペース内にはさらなるドア104が存在し、これはパイロン内部へ、すなわち電力モジュールの器機品目へとつながる。
【0063】
ドア104は好ましくは水密性を有し、ある状況下で水分がロックスペース内に侵入したとき、この水分はドア104を経て設備内部へと入り込むことはできない。
【0064】
図12は風力発電設備の出入口ドア100を外部から見た図である。
【0065】
図13は図16のロック入口スペース内を見た場合の上記部分を再び拡大して示す図である。
【0066】
図14は図15のさらなる詳細図である。この図から、ロック出入口スペースの床はパイロン内部それ自体に固定されており、しかもこの床は好ましくは水分を透過し、これによって出入口ドア100が開いているときに飛散水などがロック出入口スペース内に侵入した場合に飛散水などは床を伝って流れ出ることが可能であることが明確にわかる。好ましくはまた格子の形態である床の下方には遮水パネルが設けられ、このパネルはパイロン壁に向かって外側に傾斜している。それゆえ、作業員の着衣からの飛散水あるいはまた水分が格子を経て上記スペース内に落下した場合、この水は開口部105を経て再び直接外に流れ出ることができる。
【0067】
図16だけでなく図14および図13からもわかるように、ロック出入口スペース101はさらなるドア106によって閉塞可能とすることができる。好ましくはまた防湿性および水密性を備えた上記ドアは、ロック中央スペースに関連する上記ロック出入口スペースを、上で既に説明した衛生設備から分離する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】事前に構築された基礎(コンクリートは打設していない)の平面図である。
【図2】コンクリート打設後の基礎部を示す図である。
【図3】電力モジュールを2部構成で示す図である。
【図4】パイロンおよび電力モジュールを示す図である。
【図5】パイロンを備えた本発明による風力発電設備の側面図である。
【図6】図5の線A−Aに沿って取った断面図である。
【図7】パイロン部位を通る縦断面図である。
【図8】本発明による風力発電設備の一部を切り欠いた図である。
【図9】図8に示すレベルの一つの部分的に切り欠いた図である。
【図10】図8に示すレベルの一つの部分的に切り欠いた図である。
【図11】電力キャビネットレベルの部分的に切り欠いた図である。
【図12】風力発電設備の出入口ドアの外部から見た図である。
【図13】図16のロック入口スペース内を見た場合の拡大図である。
【図14】図15のさらなる詳細図である。
【図15】ある状況下で電力モジュールが分配されるさまざまなレベルを示す、パイロン下部の一部縦断面図である。
【図16】図15に示す構造体を上から見た図である。
【符号の説明】
【0069】
1,2 鉄筋
3 中空チューブ
5 サポートプレート
7 電力モジュール
8 サポート
9 パイロン
10 格納ハウジング
11 ファン
12 エアダクト
100 ドア
101,102 プラットフォーム
103 はしご
104 ドア
105 開口部
106 ドア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の上に配置されたパイロンおよび電力モジュールを具備してなる風力発電設備であって、
前記電力モジュールは少なくとも一つの変圧器を有し、この変圧器によって風力発電設備の発電機によって供給される電気エネルギーは中圧または高圧へと変圧され、
前記電力モジュールはまたさらに、それを用いて、風力発電設備の前記発電機によって生成された電力エネルギーを制御し、かつ/または供給し、かつ/または変換するさらなるユニットを具備し、
前記電力モジュールは風力発電設備の前記基礎の上に設置されたサポートを有し、かつこのサポートは、たとえば前記変圧器のような前記電力モジュールの電気デバイスを収容し、かつ前記電力モジュールの幅および/または長さは前記基礎領域における風力発電設備の前記パイロンの直径よりも小さく、
前記電力モジュールは壁を有するコンテナに収容され、前記コンテナの前記壁は前記パイロン壁と前記電力モジュールとの間に配置されていることを特徴とする風力発電設備。
【請求項2】
前記コンテナは、実質的に円筒形断面のチューブであることを特徴とする請求項1に記載の風力発電設備。
【請求項3】
前記コンテナ内には、風力発電設備のサービスエンジニア用の更衣室および/または休憩室として利用可能である独立したスペースが設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の風力発電設備。
【請求項4】
前記コンテナは、水密閉塞可能な構造のものであり、特に水密閉塞のための手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項5】
前記電力モジュールを備えた前記コンテナは風力発電設備の前記パイロン内に製造工場において既に設置され、かつそれに対して既に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項6】
前記電力モジュールを備えた前記コンテナは、前記パイロンの立て起こしに先立って、風力発電設備の基礎の上に設置されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項7】
前記コンテナ内の付加的な前記スペースは、それがまた大人数の長期滞在を可能にするように設備が整えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項8】
基礎の上に配置されたパイロンおよび電力モジュールを具備してなる風力発電設備の構築方法であって、
前記電力モジュールは、変圧器およびことによるとインバータまたは他の電気デバイス、たとえばスイッチングキャビネットを実質的に具備し、前記電力モジュールは風力発電設備を制御するため、および/または風力発電設備の発電機によって供給されかつネットワークに送り込まれる電気エネルギーを伝送しかつ/または変換するために設けられており、
前記電力モジュールを、前記パイロンの立て起こしに先立って前記基礎の上に設置されるかあるいは前記パイロンの製造時に製造工場で前記パイロン内に既に設置される、コンテナ内に配置することを特徴とする風力発電設備の構築方法。
【請求項9】
風力発電設備は海上風力発電設備であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項1】
基礎の上に配置されたパイロンおよび電力モジュールを具備してなる風力発電設備であって、
前記電力モジュールは少なくとも一つの変圧器を有し、この変圧器によって風力発電設備の発電機によって供給される電気エネルギーは中圧または高圧へと変圧され、
前記電力モジュールはまたさらに、それを用いて、風力発電設備の前記発電機によって生成された電力エネルギーを制御し、かつ/または供給し、かつ/または変換するさらなるユニットを具備し、
前記電力モジュールは風力発電設備の前記基礎の上に設置されたサポートを有し、かつこのサポートは、たとえば前記変圧器のような前記電力モジュールの電気デバイスを収容し、かつ前記電力モジュールの幅および/または長さは前記基礎領域における風力発電設備の前記パイロンの直径よりも小さく、
前記電力モジュールは壁を有するコンテナに収容され、前記コンテナの前記壁は前記パイロン壁と前記電力モジュールとの間に配置されていることを特徴とする風力発電設備。
【請求項2】
前記コンテナは、実質的に円筒形断面のチューブであることを特徴とする請求項1に記載の風力発電設備。
【請求項3】
前記コンテナ内には、風力発電設備のサービスエンジニア用の更衣室および/または休憩室として利用可能である独立したスペースが設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の風力発電設備。
【請求項4】
前記コンテナは、水密閉塞可能な構造のものであり、特に水密閉塞のための手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項5】
前記電力モジュールを備えた前記コンテナは風力発電設備の前記パイロン内に製造工場において既に設置され、かつそれに対して既に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項6】
前記電力モジュールを備えた前記コンテナは、前記パイロンの立て起こしに先立って、風力発電設備の基礎の上に設置されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項7】
前記コンテナ内の付加的な前記スペースは、それがまた大人数の長期滞在を可能にするように設備が整えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項8】
基礎の上に配置されたパイロンおよび電力モジュールを具備してなる風力発電設備の構築方法であって、
前記電力モジュールは、変圧器およびことによるとインバータまたは他の電気デバイス、たとえばスイッチングキャビネットを実質的に具備し、前記電力モジュールは風力発電設備を制御するため、および/または風力発電設備の発電機によって供給されかつネットワークに送り込まれる電気エネルギーを伝送しかつ/または変換するために設けられており、
前記電力モジュールを、前記パイロンの立て起こしに先立って前記基礎の上に設置されるかあるいは前記パイロンの製造時に製造工場で前記パイロン内に既に設置される、コンテナ内に配置することを特徴とする風力発電設備の構築方法。
【請求項9】
風力発電設備は海上風力発電設備であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2006−515400(P2006−515400A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518656(P2005−518656)
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000918
【国際公開番号】WO2004/067959
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000918
【国際公開番号】WO2004/067959
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】
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