説明

風力選別機及び混合廃棄物処理装置

【課題】 簡単で確実な選別ができ、作業環境も良好で大気汚染の原因にもならず、極力リサイクルを可能にする混合廃棄物の選別装置を提供する。
【解決手段】 混合廃棄物を移送する振動コンベアーと、該振動コンベアーの落下口の下に送風噴出口を配置した。送風噴出口は複数段設け、最終段の送風噴出口は、振動コンベヤー上で跳ね上がった廃棄物を吹き飛ばして比重選別するようにするのが好ましい。また、風力選別した回収資材を収容するコンテナーと前記送風噴出口付近を覆うチャンバーを備え、該チャンバー内を大気圧よりも僅かに負圧に保つための吸気装置を具備した風力選別機とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合廃棄物の選別装置に係わり、特に風力選別機を含む混合廃棄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木造家屋や鉄筋コンクリート等の構造物を取り壊した際等に発生する混合廃棄物は、石や土、砂、コンクリート、陶磁器やガラスの破片、木材の破片、合成樹脂の破片やシート、鉄等の金属、紙屑等の種々雑多なものが種々なる形や大きさで含まれており、その分別が困難で有効な処分方法がないために、このような混合廃棄物の処理が社会的な問題にもなっている。このような混合廃棄物の種類や大きさ等に応じて分別することが出来れば、埋め戻し材料や、合板や紙等の原料にも使用することが可能であり、ある種のものは焼却処分することも可能となるのであるが、目下のところ適当な分別手段がないために再利用が極めて困難で、環境上の理由等から処分さえもできない場合があった。
【0003】
このような問題に対処するために、例えば複数枚の平板状のふるいを、目の大きいものから下段に行くに従って次第に目が小さくなるように、複数段に重ね合わせて振動させることにより、最上段のふるい上に供給した混合廃棄物を、大きさによって複数のクラスに分別した後に、分別された各クラスの廃棄物毎に風力選別することにより、大小の各サイズの重量物と軽量物を分別するようにした仕分け装置が提案されている。
このような仕分け装置においては、サイズと風力選別だけで分別するものであることから分別が正確でなく、特に比重によって正確に分別することも困難であるために、分別された材質が一定でない等という問題があった。
また、混合廃棄物を破砕機によって破砕した後、マグネット装置で磁性材を分別し、更に、トロンメルで大小二種類のサイズに分別した後、大きなサイズのものだけを水槽に投入し、大比重材と小比重材に分別するようにした分別装置が提案されている。
かかる分別装置においては、特に小さなサイズのものの分別が不十分であり、その材質が一定でない等という問題を有していた。
【0004】
さらに、混合廃棄物の外観形状をコンパクト化し得る廃棄物選別処理装置として、混合廃棄物から大形廃棄物と小形廃棄物とを分離するグリズリーフィーダと、該グリズリーフィーダの下流側に設置されて重量物と軽量物とを分離する風力選別機とを具備した廃棄物選別処理装置が提案されている。この装置はグリズリーフィーダと風力選別機とを互いの一部をラップさせて配設している(例えば、特許文献1参照。)。
この装置によれば、廃棄物選別処理装置の全長を短縮させることができ、もって廃棄物選別処理装置のコンパクト化が達成される利点があるとされている。その結果、混合廃棄物の保管場所に廃棄物選別処理装置を設置する場合、設置面積が狭くて済むために現場における省スペース化を達成することができる。また、装置のコンパクト化が達成されることで、設置現場への廃棄物選別処理装置の搬入・搬出が容易であるばかりでなく、処理すべき混合廃棄物の運搬距離が短くなり、作業効率を飛躍的に向上させることが可能となる利点があるとされている。
【0005】
また、混合廃棄物を効率的に且つ精度良く分別することが出来、それによって混合廃棄物の処理や再利用性の向上が図れる新規な混合廃棄物の分別処理システムとして、混合廃棄物を第一の分別手段によって大きさに応じて複数のクラスに分別したものを、第二の分別手段で各クラス毎に別々に風力選別を行なうことによって複数のサブクラスに選別し、その後、更に風力選別後の同一のサブクラスに属するもの同士を再び寄せ集めて、第三の分別手段により水の比重を利用して分別するようにした混合廃棄物の分別処理システムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
この分別処理システムでは、篩等による大きさ基準の第一の分別手段と、風力選別手段としての第二の分別手段と、比重選別手段としての第三の分別手段を組み合わせたシステムである。
このシステムによれば、複数種類の廃材が混合した混合廃棄物を、効率的に且つ精度良く分別することが出来、しかもシステムを構成する各装置における処理効率を十分に高められると共に、処理負担が軽減され得るので各装置の小型化と耐久性の向上等も達成される利点を有するとされている。
【特許文献1】 特開2000−107699号公報
【特許文献2】 特開2001−009319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、一般に廃棄物にはコンクリート廃材の他にも、ガラス屑や石膏ボード等のセラミック廃材、金属材料廃材、木屑、紙屑、繊維屑、プラスチックス廃材等様々な種類の材料が混ざっており、選別時に多量の発塵があり作業環境が著しく悪く大気汚染の原因にもなっている。
上記に記載の従来の選別装置では、いずれも防塵対策については記載されていない。水を使用した比重選別では、その後の処理が面倒になり、経済的にも極めて不利となる。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、簡単で確実な選別ができ、しかも作業環境も良好で大気汚染の原因にもならず、極力リサイクルを可能にする混合廃棄物の選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の風力選別機は、混合廃棄物を移送する振動コンベアーと、該振動コンベアーの落下口の下に送風噴出口を配置し、風力選別した回収資材を収容するコンテナーと前記送風噴出口付近を覆うチャンバーを備え、該チャンバー内を大気圧よりも僅かに負圧に保つための吸気装置を具備してなる風力選別機とした。
本発明の風力選別機においては、前記送風噴出口を複数個設けるのが好ましい。そして前記複数の送風噴出口から噴出する送風の風圧と風量を主とする風速が互いに異なるようにすることが好ましい。そのうちの最終段の前記送風噴出口は振動コンベアー上に開口させ、該振動コンベヤーで跳ね上がった混合廃棄物を風力選別するように構成するのが好ましい。
【0008】
本発明の風力選別機においては、前記複数の送風噴出口から噴出される送風の風圧と風量を互いに異なるようにすることが好ましい。
比重の異なる材料を材質毎に効率良く分別するためである。
チャンバー内の圧力は大気圧よりも水柱で3mm以上低くすることが好ましい。
さらに前記チャンバーからの排気を前記振動コンベアーの落下口の送風噴出口に循環させる送風回路を備えることが好ましい。
このような構造の風力選別機とすることにより、簡単で確実な選別ができしかも選別時の粉塵発生を極力回避しつつ作業環境を良好に保ち、かつ、分離効率を高めてリサイクルを可能にする混合廃棄物選別装置を提供することができる。
【0009】
本発明の廃棄物選別装置は、供給された混合廃棄物を篩い分けする回転篩と、篩い分けされた廃棄物を分別するための上記に記載の本発明の風力選別機とを備えた廃棄物選別装置とした。
このような構造の廃棄物選別装置とすれば、簡単で確実な選別ができ、しかも選別時の発麈もなく作業環境も良好で、リサイクルを可能にする混合廃棄物の選別装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、種々雑多な材質とサイズの混合物である混合廃棄物を効率良く分別することができ、発塵も完全に吸収してしまうので作業環境も良く、 大気汚染の心配もないので、混合廃棄物のリサイクルに大いに貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の廃棄物処理装置を図面を使用して説明する。
図1は本発明の廃棄物処理作業の概略フローを示す図である。
本発明の廃棄物処理手順は、混合廃棄物を手選別可能な400mm程度以下までグリズリ等で分け、400mm程度以上のものは重機等で各材質毎に粗分別する。400mm程度以下の中には手選別しにくい50mm程度以下のものを含むので、トロンメル篩分機で50mm程度に篩い分ける。トロンメル篩分機で得られた50mm以上400mm以下のものは、ベルトコンベアー上で手選別され、コンクリート、金属、陶磁器、ガラス、木くず、プラスチックス、繊維くず、紙くず等の各資材毎に分別する。
50mm程度以下のものは図1の鎖線より下の風力選別工程にかけて、比重差を利用して各材質毎に分別する。本発明の風力選別機は例えば図に示すように3段方式になっており、比重差を利用して重い廃棄物、やや重い廃棄物、やや軽い廃棄物、軽い廃棄物に分別する。ここで、分別された各廃棄物は、サイズばかりでなく材質による比重により分別される。
例えば、最も重い廃棄物には、コンクリートの他に鉄材等の金属材料が含まれる。やや重い廃棄物として回収されるものには、コンクリート、ガラス、カワラ、レンガ、プラスチックス等の中粒が含まれる。やや軽い廃棄物として回収される廃棄物には、例えば、木屑、厚紙、プラスチックス(硬質のものを含む)等が含まれる。最も軽い廃棄物として回収される廃棄物には、例えば紙屑、布屑、プラスチックス片等が含まれる。
【0012】
図2は本発明の風力選別機の構成の一例を説明する図である。
本発明の風力選別機では、トロンメル篩分機で50mm程度以下に篩い分けされたものを比重差を利用して各材質毎に分別する。図中太い矢印は空気の流れを示し、破線の矢印は分別される廃棄物の流れを示している。
トロンメル篩分機から排出された50mm程度以下に篩い分けされた混合廃棄物は、トロンメル篩下のホッパー1から振動コンベアー2上に排出され、移送中に十分分散されて振動コンベアー先端2aから落下する。振動コンベアー先端2aの下方には複数の空気吹き出し口3a,3b,3cが多段状に配置されている。図2の例では空気吹き出し口3a,3bが連続して配置されており、空気吹き出し口3cは振り分けシュート6を介して一段下に配置してある。空気吹き出し口3a,3b,3cからはそれぞれ風速の異なる選別用空気が噴出している。
【0013】
各空気吹き出し口から吹き出す区気流の速度は自由に変えられるようになっているが、例えば一例を示せば、空気吹き出し口3aからは、風速10m/sec程度のやや遅い風速の気流が吹き出しており、空気吹き出し口3bからは、風速30m/sec程度の最も早い風速の気流が吹き出している。
振動コンベアー先端2a直下では、廃棄物のうち最も重いものを選別する。 振動コンベアー先端2aから落下した廃棄物のうち、最も重いものは直下に落下し、振り分けシュート6aを滑り落ちて重い回収物用のコンテナー8に回収される。重い回収物用のコンテナー8に回収される廃棄物には、コンクリート塊の他に鉄材等の金属材料が含まれている。これらの回収物は、必要によりさらに別途分別処理をする。
【0014】
最も重い廃棄物以外は、空気吹き出し口3a及び3bから噴出する選別空気によって吹き飛ばされる。ここで、最も軽い廃棄物は、空気吹き出し口3aからのやや遅い風速の気流によって吹き飛ばされて、捕集シュート7に入り、軽い廃棄物回収用のコンテナー11に回収される。軽い廃棄物回収用コンテナー11に回収される廃棄物には、例えばプラスチックス片、砂礫、紙屑、布屑、木屑等が含まれている。
【0015】
やや重い廃棄物は、空気吹き出し口3aを通り越して落下し、空気吹き出し口3bからの最も早い風速の気流によって吹き飛ばされて、振り分けシュート6bを滑り落ちて振動コンベヤー4上に落下する。この時、振り分けシュート6bの直下には空気吹き出し口3cが配置されていて、風速30m/sec程度の気流が吹き出している。振動コンベヤー4上に落下した廃棄物は、振動によって跳ね上げられたところを軽いものだけ空気吹き出し口3cからの気流により吹き飛ばされる。重いものは吹き飛ばされることなく、振動コンベヤー4の排出口まで移送され、やや重い廃棄物回収用のコンテナー9に回収される。やや重い廃棄物回収用のコンテナー9に回収される廃棄物には、ガラス、陶磁器片、アルミニウム箔等が含まれている。これらやや重い回収物は再利用可能なものが多い。
振動コンベヤー4上で空気吹き出し口3cからの気流により吹き飛ばされた廃棄物は、軽い廃棄物回収用のコンテナー10に回収される。軽い廃棄物回収用のコンテナー10に回収される廃棄物には、例えば木屑、厚紙、プラスチックス(硬質のものも含む)等が含まれている。これら軽い廃棄物も再利用可能なものが多い。
【0016】
上記のようにして粉砕された廃棄物を風力により選別していくが、この時微細な粉麈が発生する。粉麈が大気中に散逸しないようにするために、空気吹き出し口を含む装置全体をチャンバー5で覆い、チャンバー5内の圧力を外気よりも若干低くしておく。チャンバー5内の圧力は、大気圧よりも水柱で3mm以上低くしておけば充分である。チャンバー5内の圧力を低くするのには、チャンバー5内の空気をブロワー12を使って排気し、一部は排気管5aから空気吹き出し口3に戻して風力選別用に循環使用し、一部は排気管5bから集塵機13を通して大気中に放出するような吸気装置と空気循環回路を設けておく。コンベヤー出口近傍や空気吹き出し口近傍は、ゴムシート等で覆ってなるべく密閉状態を保つようにする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 本発明の廃棄物処理作業の概略フローを示す図である。
【図2】 本発明の風力選別機の構成の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0018】
1・・・・・ホッパー、2・・・・・振動コンベヤー、3・・・・・空気噴き出し口、4・・・・・振動コンベヤー、5・・・・・チャンバー、6・・・・・分配シュート、7・・・・・捕集シュート、8,9,10,11・・・・・回収コンテナー、12・・・・・ブロワー、13・・・・・集塵機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合廃棄物を移送する振動コンベアーと、該振動コンベアーの落下口の下に送風噴出口を配置し、風力選別した資材を回収するコンテナーと前記送風噴出口付近を覆うチャンバーを備え、該チャンバー内を大気圧よりも僅かに負圧に保つための吸気装置を具備してなることを特徴とする風力選別機。
【請求項2】
前記送風噴出口が複数個設けられていることを特徴とする請求項1に記載の風力選別機。
【請求項3】
最終段の前記送風噴出口が振動コンベアー上に開口しており、該振動コンベヤーで跳ね上がった混合廃棄物を風力選別するように構成してなることを特徴とする請求項2に記載の風力選別機。
【請求項4】
前記チャンバー内の圧力が、大気圧よりも水中で3mm以上低いことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の風力選別機。
【請求項5】
前記複数の送風噴出口から噴出される送風の風圧と風量が互いに異なることを特徴とする請求項4に記載の風力選別機。
【請求項6】
前記チャンバーからの排気を前記振動コンベアーの落下口の送風噴出口に循環させる送風回路を備えてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の風力選別機。
【請求項7】
供給された混合廃棄物を篩い分けする回転篩と、篩い分けされた廃棄物を分別するための前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の風力選別機とを備えたことを特徴とする混合廃棄物選別装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−175683(P2007−175683A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−381252(P2005−381252)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(502414493)株式会社リョーシン (1)
【Fターム(参考)】