説明

食品の高圧処理

【課題】食品を水中に浸した状態で高圧処理加工する方法を提供すること。
【解決手段】食品に6000気圧あるいはそれ以下の圧力下で加圧し、農薬等の化学物質の除去を実現する。また、粟・稗・黍などを水中で同様に 加圧し、加熱調理が容易な食品を提供するとともに、栄養強化食品を製造する。さらに小麦の練り生地に高圧を加えることによって、グルテンの結合を促進するとともに、添加した油脂を均等に浸透させ、食味の良好な食品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は食品を水中に浸した状態で高圧処理することによって、人体に害となる科学物質を食品等から除去あるいは著しく低減する。また栄養強化食品を製造する。
さらに、小麦粉に加水し練られた生地に含まれるグルテンの結合を促進させる。また油脂を含む生地では、その油脂を均一に浸透させ、良好な食感を実現する。
【背景技術】
【0002】
食品に含まれる農薬・アレルゲンを除去する方法としては、表面に付着する農薬を流水で洗浄する方法しかなかった。
小麦粉に水を加えて練った生地に加圧する手段としては、人力による、あるいは機械により圧延する方法がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、食品に付着ないし含まれる農薬などの化学物質・アレルゲンを除去し安全な食品を製造する。また、加圧によって穀類および他の食品の内部まで浸透困難であった栄養成分を加熱することなく浸透させる。
また小麦粉、特にグルテンの少ない国内産小麦のグルテンの結合を促進するとともに、油脂を加えた場合に油脂を均等に浸透させる。
【課題を解決する手段】
【0004】
図1に示された加圧装置の加圧室(3)の部分に水あるいは他の溶液を満たし,その液内に圧力を加えようとする物体を入れ、適宜圧力を加えることによって,目的とする効果を得ることができる。
【作用・実施例】
【0005】
玄米では、自身に含まれる酵素が最も活性化する約40℃の水に数時間漬け、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸(ギャバ)に変化させた後、6000気圧に加圧・乾燥すればギャバ強化玄米が製造出来る。このギャバ強化米は滅菌されているために、保存性が高く、風味の良いギャバ強化玄米を提供できる。
また栄養強化食品を製造するには、加圧室に入れる液にあらかじめ強化したい栄養素(各種ミネラル・ビタミン類・デキストリン・γ−アミノ酪酸(GABA)等)を溶解又は混合し、その中に直接穀類その他の食品を浸して、6000気圧以下の圧力を加える。そのことによって液中の栄養素が食品内部まで浸透し、安定した栄養強化食品を製造することが出来る。
農薬を含む物体から農薬を除去するには、水ないし他の液体にその物体を浸しながら6000気圧以下に加圧するのであるが、その際農薬は水中に溶出するか、もしくは二重結合が切断するなどの変化を受けて消失することが観察される。われわれは40種の農薬について分析を試み、良好な結果を得た。
また、国内産中力小麦粉を使って、通常の製法でパンを製造し、6000気圧で生地を1分間加圧した後醗酵させて焼いたパンの食味を比較検討した。その結果著しく食味が向上することが判った。
【発明の効果】
【0006】
以上のように食品の安全性を高めるとともに、調理が容易な食品の製造が可能となった。
国内産小麦を使用して、強力小麦粉使用のパンに劣らぬ品質のパンの製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 加圧装置の概略図である。
【符号の説明】
1.加圧部 2.油圧装置 3.加圧室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を水中に浸して9000気圧以下の圧力を加え、その食品に付着ないし含まれる農薬を分解ない水中に溶出せしめることによって、食品等の安全性の高い食品の製造法およびその食品。
【請求項2】
加圧室3に食品の栄養機能性物質を溶解若しくは混合し、さらに穀類などの食品を浸して加圧することによって、食品の栄養機能を強化する製造法およびその食品。
【請求項3】
小麦粉の練り生地に9000気圧以下の圧力を加えることによって、グルテンの結合を促進させる製造法。
【請求項4】
小麦粉の練り生地に9000気圧以下の圧力を加えることによって、練りこまれた油脂を均一に浸透させる製造法。
【請求項5】
大豆、小豆、粟、黍、稗を6000気圧・常温で5秒から数分間水中で加圧した後乾燥させることにより調理しやすい食品に変化させる製法およびその食品。

【図1】
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【公開番号】特開2008−167730(P2008−167730A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28563(P2007−28563)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(507041375)
【出願人】(507041630)
【Fターム(参考)】