説明

食品ゲル成形体の切断装置及び食品ゲル成形体の製造装置

【課題】食品ゲル成形体をところてん状体に切断する切断手段とサイコロ状体等の柱状体に切断する切断手段とが併用され、且つ小型化された食品ゲル成形体の切断装置を提供する。
【解決手段】寒天ゲルから成る所定厚さの板状の寒天ゲル成形体を切断する切断装置であって、前記寒天ゲル成形体の側面を第1切断部材60に押し付けて、前記寒天ゲル成形体をところてん状体に突き出す第1切断手段と、前記寒天ゲル成形体の底面を第2切断部材56に押し付けて、前記寒天ゲル成形体をサイコロ状に突き出す第2切断手段とが併設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品ゲル成形体の切断装置及び食品ゲル成形体の製造方法に関し、更に詳細には所定形状に成形した食品ゲルから成る板状の食品ゲル成形体を、ところてん状体に切断する切断手段と、所定の横断面形状の柱状体に切断する切断手段とが併設されている食品ゲル成形体の切断装置及び、前記切断装置を具備する食品ゲル成形体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品ゲルとして代表的な寒天ゲルを用いた、みつ豆やところてん等の食品には、寒天ゲルから成る寒天ゲル成形体を所定形状に切断して得られた切断品が用いられる。
寒天ゲル成形体をところてん状体に切断する際には、下記特許文献1に提案されている突出具を用いる。この突出具を図7に示す。図7に示す突出具では、筒状部材100の一端側に切断刃102を設け[図7(a)及び図7(b)]、筒状部材100の他端側から挿入し、図7(c)に示す様に、切断刃102に一端面が当接する寒天ゲル成形体104を、その他端面に当接する突き部材106を突き棒108によって切断刃102方向に押圧し、寒天ゲル成形体104を切断刃102からところてん状体に突き出す。
また、寒天ゲル成形体をサイコロ状体に切断する際には、下記特許文献2に提案されている切断手段を用いることができる。この切断手段を図8に示す。図8に示す切断手段では、移送路200上を移送されてきた板状の寒天ゲル成形体202を縦切りカッター204によって細幅の帯状体202aに切断し、更にカッター206によって短冊状体202bに切断する。この短冊状体202bは横切りカッター208によって更に切断される。
この横切りカッター208は、図9に示す様に、切断刃が多段に配設されており、短冊状体202bをサイコロ状体に切断する。
【特許文献1】特開2003−339556号公報
【特許文献2】特開2003−180319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この様に、寒天ゲル成形体をところてん状体に切断する切断手段と、寒天ゲル成形体をサイコロ状体等の柱状体に切断する切断手段とは、採用する切断装置の構成及び切断方法が異なり、切断装置内に両切断手段を併用できなかった。
しかし、近年の近年の健康志向の高まりに伴ってみつ豆やところてん等の食品に用いられる寒天ゲルは、種々の食品に用いられるようになり、その消費量が増大している。
かかる寒天ゲルの消費量の増大に伴って、寒天ゲルを使った食品の注文が増加しているレストラン等では、ところてん状体に切断する切断手段とサイコロ状体等の柱状体に切断する切断手段とが併用され、且つ狭い厨房にも載置できる程度に小型の寒天ゲル成形体の切断装置が求められている。
そこで、本発明の課題は、食品ゲル成形体をところてん状体に切断する切断手段とサイコロ状体等の柱状体に切断する切断手段とが併用され、且つ小型化された食品ゲル成形体の切断装置、及び前記切断装置を具備する食品ゲル成形体の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記課題を解決すべく検討した結果、食品ゲル成形体をサイコロ状体等の柱状体に切断する切断手段として、ところてん状体に切断する切断手段と同様に、食品ゲル成形体を突き出してサイコロ状体等の柱状体に切断する切断手段を採用することによって、ところてん状体に切断する切断手段とサイコロ状体等の柱状体に切断する切断手段とを併用しても、切断装置を小型化できることを知り、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、食品ゲルから成る所定厚さの板状の食品ゲル成形体の側面を第1切断部材に押し付けて、前記食品ゲル成形体をところてん状体に突き出す第1切断手段と、前記食品ゲル成形体の側面を第2切断部材に押し付けて、前記食品ゲル成形体を所定の横断面形状の柱状体に突き出す第2切断手段とが併設されていることを特徴とする食品ゲル成形体の切断装置にある。
また、本発明は、所定量の食品用のゾル溶液が貯留される溶解タンクの下方に設けられ、食品ゲルから成る所定厚さの板状の食品ゲル成形体を成形する複数個の型から構成される型群と、前記溶解タンクから型群を構成する型の各々にゾル溶液を供給する供給手段によって、ゾル溶液が充填された型内のゾル溶液を冷却して食品ゲル成形体とする冷却手段と、前記型群の下方に設けられ、前記型群を構成する型内で成形された前記食品ゲル成形体を切断する切断装置とを具備する食品ゲル成形体の製造装置であって、前記切断装置には、前記食品ゲル成形体の側面を第1切断部材に押し付けて、前記食品ゲル成形体をところてん状体に突き出す第1切断手段と、前記食品ゲル成形体の底面を第2切断部材に押し付けて、前記食品ゲル成形体を所定の横断面形状の柱状体に突き出す第2切断手段とが併設されていることを特徴とする食品ゲル成形体の製造装置でもある。
【0005】
かかる本発明において、第1切断手段には、複数枚の切断刃によって囲まれて成る複数の区画が、突き出されたところてん状体の横断面形状と等しい形状に形成されている第1切断部材と、前記第1切断部材に接触する寒天ゲル成形体の一端面に対して反対面となる他端面を、前記第1切断部材方向に押圧する第1押圧部材とを設けることによって、食品ゲル成形体を容易にところてん状に突き出すことができる。
更に、第2切断手段には、複数枚の切断刃によって囲まれて成る複数の区画が、突き出された柱状体の横断面形状と等しい形状に形成されている第2切断部材と、前記第2切断部材に一端面が接触する板状成形体の他端面を、前記第2切断部材方向に押圧する第2押圧部材とを設けることによって、食品ゲル成形体を容易にサイコロ状体等の柱状体に突き出すことができる。
また、傾斜して配設された第2切断部材に対して、第1切断手段の第1切断部材を直角に配設し、前記第1切断部材を用いる際には、前記第2切断部材を覆う仕切板を設けることにより、第1切断手段と第2切断手段とを効率的に用いることができ、且つ更に切断装置の小型化を図ることができる。
この仕切板を、駆動手段によってスライド可能に設けることによって、第1切断手段と第2切断手段と切替を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る切断装置によれば、第1切断手段の第1切断部材と第2切断手段の第2切断部材とは、共に食品ゲル成形体を所定形状に突き出して切断する切断部材を用いている。このため、食品ゲル成形体をサイコロ状体等の柱状体に切断する際に、第2切断部材のみを用いればよく、従来の如く、縦切りカッターと横切りカッターとを併用することは要しない。
したがって、食品ゲル成形体をところてん状体に突き出す第1切断手段と、この食品ゲル成形体を柱状体に突き出す第2切断手段とを容易に併設でき、切断装置の小型化も図ることができる。
その結果、レストラン等の厨房に設置した一台の切断装置によって、客からの注文に応じて、食品ゲル成形体を、ところてん状に或いはサイコロ状等の柱状に切断できる。
【0007】
また、本発明に係る食品ゲル成形体の製造装置では、上方から下方に向けて順次ゾル溶液を貯留する溶解タンク、型群及び切断装置を設け、且つ切断装置として、食品ゲル成形体の側面を第1切断部材に押し付けてところてん状に突き出す第1切断手段と、この食品ゲル成形体の側面を第2切断部材に押し付けて、食品ゲル成形体を所定の横断面形状の柱状体に突き出す第2切断手段とを併設した切断装置を用いている。
かかる本発明に係る食品ゲル成形体の製造装置では、重力を利用してゾル溶液等を移送でき、送液ポンプ等を不要にできることと、小型化された切断装置を用いていることによって、食品ゲル成形体の製造装置を小型化できる。このため、食品ゲル成形体の製造装置をレストラン等の厨房に設置でき、客からの注文に応じて、新鮮なところてん状の食品ゲル成形体或いはサイコロ状等の柱状の食品ゲル成形体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る切断装置の一例を説明するための概略図を図1に示す。図1に示す切断装置52では、食品ゲルとしての寒天ゲルから成る所定厚さの板状の寒天ゲル成形体(以下、単に寒天ゲル成形体と称することがある)を切断部材に案内するすり鉢状のシュータ48が設けられており、シュータ48のテーパ面を水で濡らす散水ノズル50,50・・が設けられている。シュータ48のテーパ面を水で濡らして、板状成形体の滑りをよくするためである。このシュータ48の横断面形状は丸型であっても角型であってもよい。
シュータ48の下方には、第2切断部材56が傾斜して設けられており、第1切断部材60が第2切断部材56に対して直角に設けられている。
第1切断部材60は、図3(a)に示す様に、ステンレス製の枠体60aに複数枚の切断刃60b,60b・・が格子状に組み合わされている。この切断刃60b,60b・・によって形成された区画の形状は、突き出されたところてん状体の横断面形状と等しい。かかる切断刃60b,60b・・は、互いに交差する部分で一体化されている共に、枠体60aとも端面で一体化されていることが、第1切断部材60の強度等の点で好ましい。
【0009】
更に、第2切断部材56も、図3(b)に示す様に、ステンレス製の枠体56aに複数枚の切断刃56b,56b・・が格子状に組み合わされている。この切断刃56b,56b・・によって形成された区画の形状が、突き出された柱状体の横断面形状と等しい。かかる切断刃56b,56b・・は、互いに交差する部分で一体化されている共に、枠体56aとも端面で一体化されていることが、第2切断部材56の強度等の点で好ましい。
図3(b)に示す第2切断部材56の切断刃56b,56b・・によって形成された複数の区画から構成される切断部の切断面積は、図3(a)に示す第1切断部材60の切断刃60b,60b・・によって形成された複数の区画から構成される切断部の切断面積よりも大きい。この第2切断部材56の切断面積は、寒天ゲル成形体の底面の面積と略等しく、第1切断部材60の切断面積は、寒天ゲル成形体の側面の面積と略等しい。
更に、第2切断部材56を構成する切断刃56b,56b・・によって形成された区画の各々も、第1切断部材60を構成する切断刃60b,60b・・によって形成された区画の各々よりも大きい。
かかる第1切断部材60の切断刃60b,60b・・によって形成された区画から突き出された切断体は、糸状態のところてん状体となり、第2切断部材56の切断刃56b,56b・・によって形成された区画から突き出された切断体は、サイコロ状の柱状体となる。
尚、図3に示す第1切断部材60及び第2切断部材60を構成する区画は、いずれも四角形であるが、菱形や三角形等としてもよい。
【0010】
第2切断部材56の切断部は、図1に示す様に、第2切断部材56を使用しない場合、仕切板64によって覆われている。この仕切板64は、図2に示す様に、第2切断部材56の切断部に対し、シリンダ装置66によって進退可能に設けられている。
第2切断部材56の切断部を覆う仕切板64上には、シュータ48から案内された、寒天ゲル成形体が、傾斜して設けられている仕切板64上を滑って、その側面が第1切断部材60の切断部にが当接する。この第1切断部材60の切断部に当接している寒天ゲル成形体の側面に対する反対面を、第1切断部材60の方向に押圧する押圧装置としてのシリンダ装置58が設けられている。このシリンダ装置58には、その本体部に挿入された一端部にピストンが設けられたコ字状のロッド58aの他端部に、寒天ゲル成形体の反対面を押圧する第1押圧部材としての押圧板58bが設けられている。
また、シリンダ装置54によって第2切断部材56に対して接離する方向に移動する第2押圧部材としての押圧板54aが設けられており、仕切板64が後退して露出した第2切断部材56を用いて寒天ゲル成形体を切断する場合、寒天ゲル成形体の表面を第2切断部材56の方向に押圧する。
この第2切断部材56の下方に位置する傾斜板62は、第2切断部材56によって切断された柱状体を取り出す取出板である。
尚、第1切断部材60を用いる場合には、仕切板64と押圧板54aとは、寒天ゲル成形体を第1切断部材60の方向に案内するガイド板としての役目も奏する。
【0011】
図1及び図2に示す切断装置52を用いて、寒天ゲル成形体をところてん状体に切断する際には、図2に示すシリンダ装置66を駆動して、図4に示す様に、仕切板64を前進させて第2切断部材56の切断部を覆った後、テーパ面に散水ノズル50,50・・から散水して水で濡らしたシュータ48に投入した板状の寒天ゲル成形体は、仕切板64と押圧板54aとによって案内され、寒天ゲル成形体46の側面が第1切断部材60の切断部に当接する。
次いで、シリンダ装置58を駆動し、第1切断部材60の切断部に当接する寒天ゲル成形体46の側面に対する反対面を、押圧板58bによって第1切断部材60の方向に押圧し、寒天ゲル成形体46を第1切断部材60から突き出す。
この様に、第1切断部材60の切断刃60b,60b・・によって形成された区画から突き出された切断体は、横断面形状が四角形のところてん状体であって、容器に受けることができる。
【0012】
また、図1及び図2に示す切断装置52を用いて、寒天ゲル成形体をサイコロ状の柱状体に切断する際には、シュータ48のテーパ面を散水ノズル50,50・・から散水して水で濡らし、シュータ48に板状の寒天ゲル成形体を投入する。
シュータ48に投入された寒天ゲル成形体46は、シュータ48の水で濡れたテーパ面に案内され、寒天ゲル成形体46の側面が第2切断部材60の切断部に当接する。
次いで、図2に示すシリンダ装置66を駆動して、図5に示す様に、仕切板64を後退して第2切断部材56の切断部が露出させると共に、シリンダ装置54を駆動し、押圧板54aによって寒天ゲル成形体の表面を第2切断部材56の方向に押圧し、寒天ゲル成形体46を第2切断部材56から突き出す。
この様に、第2切断部材56の切断刃56b,56b・・によって形成された区画から突き出された切断体は、横断面形状が四角形のサイコロ状体である。サイコロ状体は、傾斜板62によって切断装置52から取り出され、容器に受けることができる。
【0013】
図1及び図2に示す切断装置52によれば、寒天ゲル成形体を突き出してところてん状又はサイコロ状に任意に切断できる。
更に、ところてん状に突き出す第1切断部材60とサイコロ状体に突き出す第2切断部材56とは、切断部材そのものの大きさや切断刃で囲まれた各区画の大きさ等が異なるものの、その構成は近似している。このため、ところてん状体に突き出す第1切断部材60とサイコロ状体に突き出す第2切断部材56とを併用しても、切断装置52を小型化でき、レストラン等の厨房に設置できる。
ところで、所定形状に切断された寒天ゲルは、冷蔵庫等に冷却して保存しても、保存中に離水現象等によって味や歯触り等が低下する。このため、長期間保存した寒天ゲルから作ったみつ豆やところてん等の食品はおいしく食することができない。
このため、レストラン等の厨房に、寒天ゲルの製造装置を設置できれば、みつ豆やところてん等の食品の注文があったとき、新鮮な寒天ゲルを用いたみつ豆やところてん等の食品を提供できる。
【0014】
レストラン等の厨房に設置できる寒天ゲル成形体の製造装置の一例を図6に示す。図6に示す寒天ゲル成形体の製造装置は、攪拌機12が設けられた溶解タンク10に、寒天ゲル成形体の原料である寒天粉を所定量供給する原料粉供給手段としての寒天粉供給装置14と、所定量の熱湯を供給する熱湯供給手段としての熱湯供給装置16とが設けられている。
寒天粉供給装置14には、寒天粉が充填された箱体14aの底部近傍に、ギアモータ14bがスクリュ14cの一端部に設けられている。ギアモータ14bを駆動してスクリュ14cを回転し、箱体14a内の寒天粉を溶解タンク10に供給する。寒天粉の供給量は、ギアモータ14bの駆動時間によって調整する。
また、熱湯供給装置16には、ヒータ20やフロートスイッチ22が設けられ、80〜95℃の熱湯が一定量貯留される熱湯貯留槽18には、自動弁24を経由した水が浄化器26を通過して供給される。熱湯貯留槽18の熱湯は、自動弁28が途中に設けられた供給配管30を経由して溶解タンク10に供給される。
【0015】
溶解タンク10の底部からは、下方に向けて供給ノズル配管32が延出されており、供給ノズル配管32の途中には、自動弁34が設けられている。この供給ノズル配管32は、途中に寒天溶液の液溜ができないように、溶解タンク10の底部から略直線状に延出されている。
かかる溶解タンク10は、水平方向に設けられたスライダシリンダ装置38に垂直に設けられたシリンダ装置36の本体部に固着されている。このため、シリンダ装置36が、スライダシリンダ装置38によって左右方向に移動し、その際に、溶解タンク10及び供給ノズル配管32も左右方向に移動する。
このシリンダ装置36は、後述する型42内で冷却された寒天ゲル成形体の押出手段を構成しており、その下端側には、シリンダ装置36内に挿入された一端部にピストンが設けられたロッドの先端側に鍔状部材33が設けられている。この鍔状部材33は、シリンダ装置36によって昇降し、型42内に挿入されたとき、寒天ゲル成形体を排出口方向に押し出す。
尚、シリンダ装置36(溶解タンク10及び供給ノズル配管32)のホームポジションは、スライダシリンダ装置38の一端側に設定されている。
【0016】
かかる供給ノズル配管32の先端方向には、複数個の型42,42・・が一列に配列された型群が設けられており、型群を構成する型42,42・・の中途部が冷却槽40に貯留された冷媒に浸されている。この冷却槽40には、冷却機45で冷却された冷媒が循環使用されている。
型42,42・・の各々は、横断面形状が矩形の筒状部であって、冷却槽40の上端から露出する型42の先端には、ゾル溶液としての寒天溶液が供給される供給口としての開口部が形成されており、型42の後端には、型42内の寒天ゲル成形体を排出する排出口が形成されている。この排出口は、開閉手段としてのシャッター44によって閉塞されている。
【0017】
かかる冷却槽40の下方には、図1及び図2に示す切断装置52が設けられている。この切断装置52は、先に説明しており、詳細な説明を省略する。
図6に示す寒天ゲル成形体の製造装置を用いる際には、自動弁24を開き、ホームポジションに位置する溶解タンク10に熱湯を注入し、溶解タンク10を暖めた後、自動弁34を開いて溶解タンク10内の熱湯を供給ノズル配管32から排出し、供給ノズル配管32も暖める。供給ノズル配管32から排出された熱湯は、配管31を経由して系外に排出される。
次いで、自動弁34を開いて所定量の熱湯を溶解タンク10に供給すると共に、溶解タンク10内の攪拌機12を駆動しつつ、寒天粉供給装置14のギアモータ14bを駆動し、スクリュ14cによって箱体14a内の所定量の寒天粉を溶解タンク10に供給する。寒天粉の供給量はギアモータ14bの駆動時間で調整し、熱湯の供給量は自動弁34の開放時間で調整する。
溶解タンク10内で寒天粉と熱湯とを所定時間攪拌して、寒天粉を熱湯に充分溶解した後、攪拌機12を停止する。
【0018】
その後、スライダシリンダ装置38内のシリンダ装置(図示せず)を駆動し、供給ノズル配管32の先端が寒天溶液を充填する型42の供給口に至るように、シリンダ装置36を移動する。
寒天溶液を充填する型42の上端の供給口に供給ノズル配管32の先端が到達したとき、スライダシリンダ装置38内のシリンダ装置の駆動を停止し、自動弁34を開いて溶解タンク10内の寒天溶液を型42内に充填する。
型42への寒天溶液の充填が完了したとき、自動弁34を閉じて供給ノズル配管32内の寒天溶液を型42に排出する。このとき、溶解タンク10内の寒天溶液量の全量が型42に充填されるように、自動弁34を所定時間開くと、溶解タンク10及び供給ノズル配管32を空にでき、溶解タンク10や供給ノズル配管32に残留した寒天溶液のゲル化による閉塞を防止できる。
型42への寒天溶液の充填が完了し、自動弁34が閉じられたとき、スライダシリンダ装置38内のシリンダ装置を駆動して、シリンダ装置36はホームポジションに戻す。
【0019】
また、型群を構成する型42,42・・のうち、所定の型42から寒天ゲル成形体を取り出す際には、シリンダ装置36の鍔状部材33が所定の型42の上方に位置するようにスライダシリンダ装置38内のシリンダ装置を駆動する。
更に、寒天ゲル成形体を取り出す型42の排出口を閉塞しているシャッター44を移動し、型42の排出口を開放する。
次いで、シリンダ装置36を駆動し、図3の鍔状部材33を型42内に挿入して寒天ゲル成形体を型42の排出口からシュータ48に押し出し、切断装置52によってところてん状体又はサイコロ状体に切断する。この切断装置52での寒天ゲル成形体の切断については、先に説明したので詳細な説明を省略する。
この様に、型42の排出口から寒天ゲル成形体を押し出した後、型42から鍔状部材33を抜き出したシリンダ装置36は、スライダシリンダ装置38によってホームポジションに戻る。
【0020】
ここで、型群を構成する型42,42・・を同一容量とし、溶解タンク10に貯留された寒天溶液の全量を、型42内に充填されるように、寒天粉供給装置14と熱湯供給装置16とから供給される寒天粉量と熱湯量とを制御し、且つ溶解タンク10から型42に寒天溶液を充填する際に、自動弁34を所定時間開いて溶解タンク10内を空とするように自動弁34を制御することが、溶解タンク10及び供給ノズル配管32内の寒天溶液を確実に残留することなく型42に充填でき好ましい。
この様に、溶解タンク10及び供給ノズル配管32内の寒天溶液を残留させることなく型42に充填することによって、型42,42・・の全てに寒天ゲル成形体が存在し、溶解タンク10での寒天溶液の調整が休止されても、溶解タンク10及び供給ノズル配管32内に寒天溶液が残留してゲル化し、供給ノズル配管32等が閉塞する事態を防止できる。
したがって、図6に示す寒天ゲルの製造装置では、寒天溶液の調製が必要に応じて休止されていても、寒天溶液の調製が必要となったとき、直ちに寒天溶液の調製ができる。
尚、図6に示す寒天ゲルの製造装置では、先に寒天溶液を充填して寒天ゲル成形体とした型42から取り出すため、先に寒天ゲル成形体を取り出した型42から順次寒天溶液を充填する。
【0021】
図6に示す寒天ゲルの製造装置では、装置上方に設けられた溶解タンク10で調製された寒天溶液を、溶解タンク10の下方に設けられた縦型の型42に充填して寒天ゲル成形体とする。このため、寒天溶液の送液ポンプ等を用いることを要せず、装置の小型化を図ることができる。
更に、供給ノズル配管32は、途中に寒天溶液の液溜ができないように、溶解タンク10の底部から略直線状に延出されている。このため、寒天溶液の調製が不要で休止していても、供給ノズル配管32中に残留した寒天溶液がゲル化して、供給ノズル配管32を閉塞することを防止できる結果、寒天溶液の調整が必要となったとき、直ちに寒天溶液を調製できる。
しかも、型42を縦型としても、押出装置としてのシリンダ装置36を構成する鍔状部材33によって寒天ゲル成形体を型42から確実に押し出すことができる。
したがって、図1に示す寒天ゲルの製造装置は、レストラン等の厨房の片隅に載置できる程度に小型化でき、且つ寒天ゲルを用いた料理の注文がない場合には、休止状態を維持しても、寒天ゲルを用いた料理の注文があったとき、直ちに駆動状態とすることができ、新鮮な寒天ゲルを確実に提供できる。
以上、図1〜図6についての説明では、寒天ゲル成形体についての切断装置及び製造装置ついて説明してきたが、ゼラチン等の他の食品ゲル成形体の切断装置及び製造装置にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る食品ゲル成形体の切断装置の一例として、寒天ゲル成形体の切断装置を説明するための概略図である。
【図2】図1に示す切断装置で用いる仕切板64を駆動する駆動手段についての概略図である。
【図3】第1切断部材60と第2切断部材56との斜視図である。
【図4】図1に示す切断装置を用いて寒天ゲル成形体をところてん状体に突き出す工程を説明する説明図である。
【図5】図1に示す切断装置を用いて寒天ゲル成形体をサイコロ状体に突き出す工程を説明する説明図である。
【図6】図1及び図2に示す切断装置を用いた食品ゲル成形体の製造装置の一例として、寒天ゲル成形体の製造装置を説明するための概略図である。
【図7】寒天ゲル成形体をところてん状体に突き出す従来の突出具を説明する説明図である。
【図8】寒天ゲル成形体をサイコロ状体に切断する従来の切断装置を説明する概略図である。
【図9】図8に示す従来の切断装置を用いて寒天ゲル成形体を切断する工程を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0023】
10 溶解タンク
14 寒天粉供給装置
16 熱湯供給装置
32 供給ノズル配管
33 鍔状部材
34 自動弁
36,54,58,66 シリンダ装置
38 スライダシリンダ装置
40 冷却槽
42 型
44 シャッター
46 寒天ゲル成形体
48 シュータ
50 散水ノズル
52 切断装置
54a,58b 押圧板
56b,60b 切断刃
56 第2切断部材
60 第1切断部材
62 傾斜板
64 仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品ゲルから成る所定厚さの板状の食品ゲル成形体の側面を第1切断部材に押し付けて、前記食品ゲル成形体をところてん状体に突き出す第1切断手段と、
前記食品ゲル成形体の側面を第2切断部材に押し付けて、前記食品ゲル成形体を所定の横断面形状の柱状体に突き出す第2切断手段とが併設されていることを特徴とする食品ゲル成形体の切断装置。
【請求項2】
第1切断手段には、複数枚の切断刃によって囲まれて成る複数の区画が、突き出されたところてん状体の横断面形状と等しい形状に形成されている第1切断部材と、
前記第1切断部材に接触する板状成形体の一端面に対して反対面となる他端面を、前記第1切断部材方向に押圧する第1押圧部材とが設けられている請求項1記載の食品ゲル成形体の切断装置。
【請求項3】
第2切断手段には、複数枚の切断刃によって囲まれて成る複数の区画が、突き出された柱状体の横断面形状と等しい形状に形成されている第2切断部材と、
前記第2切断部材に一端面が接触する板状成形体の他端面を、前記第2切断部材方向に押圧する第2押圧部材とが設けられている請求項1又は請求項2記載の食品ゲル成形体の切断装置。
【請求項4】
傾斜して配設された第2切断部材に対して、第1切断手段の第1切断部材が直角に配設され、前記第1切断部材を用いる際には、前記第2切断部材を覆う仕切板が設けられている請求項1〜3のいずれか一項記載の食品ゲル成形体の切断装置。
【請求項5】
仕切板が、駆動手段によって第2切断部材に対して進退可能に設けられている請求項4記載の食品ゲル成形体の切断装置。
【請求項6】
所定量の食品用のゾル溶液が貯留される溶解タンクの下方に設けられ、食品ゲルから成る所定厚さの板状の食品ゲル成形体を成形する複数個の型から構成される型群と、
前記溶解タンクから型群を構成する型の各々にゾル溶液を供給する供給手段によって、ゾル溶液が充填された型内のゾル溶液を冷却して食品ゲル成形体とする冷却手段と、
前記型群の下方に設けられ、前記型群を構成する型内で成形された前記食品ゲル成形体を切断する切断装置とを具備する食品ゲル成形体の製造装置であって、
前記切断装置には、前記食品ゲル成形体の側面を第1切断部材に押し付けて、前記食品ゲル成形体をところてん状体に突き出す第1切断手段と、前記食品ゲル成形体の側面を第2切断部材に押し付けて、前記食品ゲル成形体を所定の横断面形状の柱状体に突き出す第2切断手段とが併設されていることを特徴とする食品ゲル成形体の製造装置。
【請求項7】
第1切断手段には、複数枚の切断刃によって囲まれて成る複数の区画が、突き出されたところてん状体の横断面形状と等しい形状に形成されている第1切断部材と、
前記第1切断部材に接触する食品ゲル成形体の一端面に対して反対面となる他端面を、前記第1切断部材方向に押圧する第1押圧部材とが設けられている請求項6記載の食品ゲル成形体の製造装置。
【請求項8】
第2切断手段には、複数枚の切断刃によって囲まれて成る複数の区画が、突き出された柱状体の横断面形状と等しい形状に形成されている第2切断部材と、
前記第2切断部材に一端面が接触する板状成形体の他端面を、前記第2切断部材方向に押圧する第2押圧部材とが設けられている請求項6又は請求項7記載の食品ゲル成形体の製造装置。
【請求項9】
傾斜して配設された第2切断部材に対して、第1切断手段の第1切断部材が直角に配設され、前記第1切断部材を用いる際には、前記第2切断部材を覆う仕切板が設けられている請求項6〜8のいずれか一項記載の食品ゲル成形体の製造装置。
【請求項10】
仕切板が、駆動手段によって第2切断部材に対して進退可能に設けられている請求項9記載の食品ゲル成形体の製造装置。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−320003(P2007−320003A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154461(P2006−154461)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】