説明

食品加工装置

食品加工装置の工具(410a,b)を蓋(2)の取外し後1.5秒内に停止させるために食品加工装置が提案され、食品加工装置(1)は、容器底部(201)に固定的に取り付けられる中心シャフト(200)を含む容器(2)と、容器(2)を覆う蓋(3)と、食品加工装置(410a,b)を支持する加工工具ユニット(4)とを含み、その上方端部(400)は、蓋(3)を通じて駆動ユニットと結合可能であり、その下方端部(401)は、中心シャフト(200)と回転可能に係合し且つ中心シャフト(200)の軸(A)についての旋回運動を可能にするための細長い空洞(402)を有し、軸受部分(403)が空洞(402)内部に設けられ、軸受部分(403)は、旋回運動中に中心シャフト(200)で詰まるために、その内表面上に所定の形状(405,407,408)を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器底部上に固定的に取り付けられる中心シャフトを含む容器と、容器を覆う蓋と、食品加工工具を支持する加工工具ユニットとを含み、その上方端部は、蓋を通じて駆動ユニットと結合可能であり、その下方端部は、中心シャフトと回転可能に係合するための細長いキャビティを有し、且つ、中心シャフトについての旋回運動を可能にする。具体的には、それは細断のためのように、高速回転で作動する食品加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品加工装置は、特にもしそれらがブレードのような危険な工具と共に動作するならば、厳格な安全基準に制約される。普通、例えば台所用電化製品による食品の加工は、工具の回転運動に基づく。ブレード、一組のブレード、又は、一組のブレードを備えるディスクを回転することによって、食品は、細断され、切断され、すりつぶされ、混合され、或いは、調合等される。もし電化製品の電気が切られるならば、工具は慣性の故に極めて高速で回転し続ける。よって、使用者は依然として彼自身を傷付け得る。
【0003】
大部分の食品加工装置は、加工中に食品が容器外部に跳ね散るのを避けるよう蓋付き容器を有し、工具が容器内部で動作する。承認を得るために、そのような装置は、とりわけ、安全基準IEC:2002−60335−2−14/Part20.112を満足しなければならず、それに従って、食品加工機の切断ブレードは、負荷なし並びに高速でさえも、蓋が開放されるか或いは取り外された後の1.5秒内に停止しなければならない。
【0004】
WO 02/32278 A1には、この基準を満足する台所用電化製品が記載されている。台所用電化製品は、容器と、容器のためのカバーと、工具駆動手段とを含み、工具駆動手段は、容器内に収容され、軸受手段の助けを得て容器内に回転可能に支持され、軸受手段は、カバーが取り外される場合に、垂直軸についての旋回運動を許容する。その底壁の中心に、容器は工具駆動手段を回転可能に支持する軸受ピンを有する。工具駆動手段は、軸受ピンと協働するための軸受手段を有する。軸受手段は軸受キャップを有し、軸受キャップはフレア式中心軸受リムに変化する。軸受キャップは中心軸受リムに向かって僅かに広がる形状を有し、その結果として、軸受手段は軸受ピンが取り除かれ、よって、工具駆動手段が軸受ピンについて限定的な旋回運動を行うことを可能にする。工具駆動手段は、ゴムから成り且つ容器の底壁に面する制動リングを備える。旋回運動中、制動リングは容器の底壁と接触するようになり、台所用電化製品の標準速度、例えば、3000rmpで、極めて急速で効果的な制動作用をもたらす。
【0005】
細断のような特殊な種類の加工専用の電化製品では、より高速、より高い効率のために、通常、約12000〜15000rmpが使用される。遠心力が強いので、制動リングは効果を有さず、工具駆動手段は軸受ピンから排出される。これは使用者にとって極めて危険である。何故ならば、工具駆動手段は、カバーを取り除くときに容器から排出されさえし得るからである。その上、工具駆動手段は、電化製品の他の部分を損傷し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、蓋を取り除くことによって、中心軸の周りの旋回運動が許容されるときに、極めて早く減速する食品加工装置を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、容器底部の上に固定的に取り付けられる中心シャフトを含む容器と、容器を覆う蓋と、食品加工工具を支持する加工工具ユニットとを含み、その上方端部は、蓋を通じて駆動ユニットと係合し、その下方端部は、中心シャフトと回転可能に係合し且つ中心シャフトの軸について旋回運動を許容する細長い空洞を有し、軸受部分は、細長い空洞の内部に設けられる食品加工装置であって、軸受部分は、旋回運動中に中心シャフトで詰まる(jam)ために、その内表面の上に所定の形状を有する食品加工装置によって達成される。
【0008】
驚くべきことに、大きな表面に亘る摩擦に依存する代わりに詰まりを引き起こすよう、加工工具ユニットを中心シャフトに対して傾斜するための手段を提供することによって、並びに、より少ない回転速度として既知であるような高い摩擦係数を備える材料の故に、極めて高い回転速度で最良の制動作用が達成され得ることが分かった。例えば、蓋の取外しの故に、中心シャフトに対する加工工具装置の旋回運動が開始するや否や、加工工具装置の軸受部分は中心シャフトに対して傾斜し、よって、即座の詰まりをもたらす。この種類の制動のお陰で、加工工具ユニットは、12000〜15000rpsの高速でさえも、旋回運動の開始後1.5秒内に停止する。
【0009】
本発明の好適実施態様において、軸受部分は、2つの縁部接触ゾーンを含み、その縁部の両方は、旋回運動中に中心シャフトと接触する。旋回運動中の詰まり(jamming)は、中心シャフトに対して傾斜する2つの縁部を軸受部分に設けることによって効率的に誘発されることが分かった。2つの縁部の配置は、中心シャフト及び細長い空洞の長さ並びに旋回角に依存して選択され得る。極めて好適な配置は、あらゆる傾斜位置で詰まりを得るよう中心シャフトの周りで走行する2つの同心的な縁部を有することである。
【0010】
有利に、2つの縁部接触ゾーンは円筒形である。円筒の上方及び下方の縁部は、旋回運動中に詰まるための縁部である。加工工具ユニットの正規回転中、即ち、加工動作中、円筒形の2つの縁部接触ゾーンは、中心シャフトのための軸受として作用する。正規動作中、加工工具ユニットは結合手段によって芯出しされる。結合手段は蓋の一部であり、或いは、縁を通じて到達し、加工工具ユニットを駆動ユニットと結合する。芯出しされる加工工具ユニットの故に、傾斜はなく、2つの縁部間の円筒形部分によってもたらされる軸受によって滑らかな回転が強化されさえする。
【0011】
好ましくは、2つの縁部接触ゾーンは、細長い空洞の下方半分に配置される。これはより大きな旋回角並びにより素速く且つより効率的な傾斜及び詰まりを可能にし、よって、加工工具ユニットのより迅速な停止を可能にする。円筒形の2つの縁部接触ゾーンの場合には、正規回転中の安定性はさらに向上する。
【0012】
有利に、軸受部分は、その内表面上に2つの接触ゾーンに向かってテーパ形状を有する。何故ならば、滑らかな内表面は、より容易に洗浄され得るからである。
【0013】
本発明の好適実施態様において、空洞は、傾斜及び詰まりの間の騒音を減衰するよう、プラスチック材料から成る部分をさらに含む。
【0014】
中心シャフト及び空洞は、好ましくは、正規回転中の安定性を増大し且つ旋回運動中の加工工具ユニットの無作為な排出を避けるために、加工工具ユニットの3分の1が中心シャフトを取り囲むような寸法とされる。
【0015】
食品を加工するための工具は、有利に、加工工具ユニットの下方端部上に配置される。これは加工工具ユニットの重心を下げ、回転中の安定性を増大し、旋回運動中の加工工具ユニットの無作為な排出を回避するのに役立つ。
【0016】
本発明の好適実施態様において、食品を加工するための工具は、細断ブレードである。他の可能な工具は、例えば、すりつぶし又はおろし用のディスクである。
【0017】
金属製の中心シャフト及びプラスチック材料製の軸受部分、即ち、接触時に低い摩擦係数を有する一対の材料を使用することによって、最良の結果が達成された。
【0018】
本発明の詳細な記載が以下に提供される。前記の記載は、添付の図面を参照して読まれるべき非限定的な実施例によって提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、図1に例証されるような細断機1を参照してさらに詳細に説明される。
【0020】
細断機1は、細断されるべき食品、例えば、ナッツ、ハーブ、植物等を収容する容器2を含む。動作中、容器2は、食品が容器2から排出されることを避けるために、蓋3によって覆われている。容器2の底壁201の中央には、鋼製の中心シャフト200が設けられ、加工工具ユニット4はその上を滑動する。
【0021】
その下方端部401に、加工工具ユニット4は、細断ブレード410a,bを有する。上方端部400は、何らかの駆動ユニット(図示せず)に結合されるよう設計される。駆動ユニットは、専用の駆動ユニットであり得るし、或いは、他の食品加工装置とも使用され得る駆動ユニットでもあり得る。本実施例において、結合は2つの結合素子300,301の助けを得て達成される。結合素子300は蓋3内に挿入され、結合素子300を駆動ユニットに適合する。加工工具ユニット4の上方端部400は、結合素子300内に挿入される。加工工具ユニット4の上方端部400は結合素子300内に挿入される間、加工工具ユニット4は軸Aで芯出しされて直立し、よって、細断のために15000rpmまでの軸Aの周りの高速回転を可能にする。
【0022】
加工工具ユニット4の下方部分401は、中心シャフト200の挿入のための細長い空洞402を有する。回転中の安定性を向上し、旋回運動中に加工工具ユニット4が排出され且つ細断機1の他の部分を損傷するのを避けるために、空洞402及び中心シャフト200は、加工工具ユニット4の全長の40%が中心シャフト200を取り囲むような寸法とされる。
【0023】
細断ブレード410a,bを加工工具ユニット4の下方端部401に配置させ、よって、加工工具ユニット4の重心を中心シャフト200を取り囲む領域に移動することによって、回転中の安定性はさらに改良される。その上、もし細断ブレード410a,bが容器底部201の近くにあるならば、特に少量の食品だけがあるならば、食品はより効率的に加工される。例えば、おろし、切断、又は、すりつぶし用のディスクを使用する食品加工装置の場合には、ディスクは、食品を加工するためにディスクの下に十分な場所があるよう配置される。結局、中心シャフト200及び細長い空洞402はより一層長い。
【0024】
細長い空洞402は、鋼製の中心シャフト200に低い摩擦係数をもたらすよう、ABS(アクリロニトリル−ブタジエンン−スチレン)のような食品と共に使用することが認可された硬質プラスチック材料製の軸受部分402を含む。軸受部分403は、旋回運動中に中心シャフトで詰まるために、その内周面上に所定形状を有する。これは図3中により詳細に示されている。
【0025】
本実施例の軸受部分403は、3つのゾーン404,407,408を有する。中心シャフト200を軸受する実際の機能は、円筒形の2つの縁部接触ゾーン404によって充足される。このゾーン404は、回転中の安定性を増大し且つ旋回運動を許容するために、軸受部分403の下方の3分の1に配置されている。円筒形の2つの縁部接触ゾーン404に近くには、テーパ角γを備える下方テーパゾーン408と、テーパ角βを備える上方テーパゾーン407とがある。これは軸受部分403の滑らかな内表面をもたらし、洗浄が容易であり且つ軸受部分403自体の安定性を向上する。下方テーパゾーン408は、加工工具ユニット4を中心シャフト200の上に滑動させるのを助ける。
【0026】
もし、図2に例証されるように、蓋3が容器2から取り除かれるならば、それ以上回転のために駆動されないのは加工工具ユニット4であるのみならず、図4により詳細に示されるように、軸Aの周りの旋回角αを伴う旋回運動でもある。慣性の故に、加工工具ユニット4は、極めて高速で回転し続け、同時に、旋回角αで旋回する。旋回角αは、軸受部分403の上に配置されるゴムリング409の内径並びに円筒形の2つの縁部接触ゾーン404の位置及び高さによって定められる。円筒形の2つの縁部接触ゾーンの高さは、一方では、回転中にそれが中心シャフト200のための軸受機能を有し、他方では、芯出し結合素子300を備える蓋3が取り外されるや否や、それが旋回運動を依然として許容するように選択される。
【0027】
2つの縁部405,406によらない限り旋回運動に影響を及ぼさないよう(図4中の挿入を参照)、テーパ角β及びγは旋回角αよりも大きいことが分かるであろう。旋回運動の故に、軸受部分403は中心シャフト200に対して傾斜する。次に、中心シャフト200は、一方の側の上方縁部405と他方の側の下方縁部406との間に締め付けられるようになる。たとえ回転速度が12000〜15000rpmの高さであったとしても、これは1.5秒内で加工工具ユニット4の目詰まり及び停止をもたらす。使用者が蓋を取り外し且つそれを脇に置くとき、加工工具ユニット4は静止し、容器を洗浄するために並びに容器2を空にするために、傷付けられたり或いは加工工具ユニット4が排出され細断機の他の部分に損害を与えたりすることなしに、取り取り外され得る。
【0028】
旋回運動中、細長い空洞402の内壁を打つ中心シャフト200の上方端部は、迷惑な騒音を引き起こし得る。この騒音を減衰させるために、ゴムリング409が、軸受部分403の上の細長い空洞402の内部に設けられる。ゴムの代わりに、如何なる他の弾性材料も利用され得る。
【0029】
本発明の幾つかの好適実施態様が記載されたが、当業者であれば、本発明の精神及び着想から逸脱せずに、様々な変化、変更、及び、置換が行われ得ることを理解しよう。従って、本発明は、付属の請求項の正しい範囲を伴うその形態又は修正のいずれにおいても請求され得る。例えば、以下の従属項の機能の様々な組み合わせは、本発明の範囲から逸脱せずに、独立項の機能と共に行われ得る。さらに、請求項中の如何なる参照番号も、範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】容器を覆う歌を備える本発明に従った食品加工装置を示す断面図である。
【図2】蓋が取り外された状態の図1の食品加工装置を示す断面図である。
【図3】図1の食品加工装置の下方部分を示す拡大詳細図である。
【図4】図2の食品加工装置の下方部分を示す拡大詳細図である。
【符号の説明】
【0031】
1 細断機
2 容器
3 蓋
4 加工工具ユニット
200 中心シャフト
201 容器底部
300 蓋結合素子
301 駆動ユニット結合素子
400 上方端部
401 下方端部
402 細長い空洞
403 軸受部分
404 2つの縁部接触ゾーン
405 上方縁部
406 下方縁部
407 上方テーパゾーン
408 下方テーパゾーン
409 ゴム部分
410a 細断ブレード
410b 細断ブレード
A 中心軸
α 旋回角
β 上方テーパ角
γ 下方テーパ角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器底部の上に固定的に取り付けられる中心シャフトを含む容器と、
該容器を覆う蓋と、
食品加工工具を支持する加工工具ユニットとを含み、その上方端部は、前記蓋を通じて駆動ユニットと係合し、その下方端部は、前記中心シャフトと回転可能に係合し且つ前記中心シャフトの軸について旋回運動を許容する細長い空洞を有し、該細長い空洞は、軸受部分を備える、
食品加工装置であって、
前記軸受部分は、前記旋回運動中に前記中心シャフトで詰まるために、その内表面の上に所定の形状を有することを特徴とする、
食品加工装置。
【請求項2】
前記軸受部分は、2つの縁部接触ゾーンを含み、その縁部の両方は、前記旋回運動中に前記中心シャフトと接触することを特徴とする、請求項1に記載の食品加工装置。
【請求項3】
前記2つの接触ゾーンは、円筒形であることを特徴とする、請求項2に記載の食品加工装置。
【請求項4】
前記2つの接触ゾーンは、前記細長い空洞の下方半分に配置されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の食品加工装置。
【請求項5】
前記軸受部分は、その内表面上に前記2つの接触ゾーンに向かってテーパ形状を有することを特徴とする、請求項2乃至4のうちのいずれかに記載の食品加工装置。
【請求項6】
前記空洞は、ゴム部分をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の食品加工装置。
【請求項7】
前記中心シャフト及び前記空洞は、前記加工工具ユニットの3分の1が前記中心シャフトを取り囲むような寸法とされることを特徴とする、請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の食品加工装置。
【請求項8】
前記食品を加工するための工具は、前記加工工具ユニットの前記下方端部上に配置されることを特徴とする、請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の食品加工装置。
【請求項9】
前記食品を加工するための工具は、細断ブレードであることを特徴とする、請求項1乃至8のうちのいずれかに記載の食品加工装置。
【請求項10】
前記中心シャフトは金属製であり、前記軸受部分はプラスチック材料製であることを特徴とする、請求項1乃至9のうちのいずれかに記載の食品加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−502401(P2009−502401A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524640(P2008−524640)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052540
【国際公開番号】WO2007/015189
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】