説明

食品収納容器

【課題】廃棄あるいはリサイクルが容易で、かつ、機能性を低コストで確保できる食品収納容器を提供する。
【解決手段】一主面P1aに樹脂コーティングを施した板紙材P1の折り曲げによって容器本体13を形成することで、廃棄あるいはリサイクルを容易とする。底板部21に対して一主面側へと立ち上がるように側板部22,23を折り曲げる。側板部22,23の上端から外側へと折返板部24,25の外側板部31,41を折り返して重合する。折返板部24,25の底板側フラップ部33,43を底板部21の他主面側に固定する。隣接する側板部22,23間に連続する折込部を第2側板部23の外側と第1折返板部24の第1外側板部31との間に折り込んで容器本体13を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば弁当などの食品を収納する容器本体を備えた食品収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の食品収納容器は、容器本体と、この容器本体と別体に形成された蓋体とを備えている。そして、近年、環境問題などを考慮し、容器本体と蓋体とを紙によって形成して、リサイクルや廃棄を容易としたものがある。
【0003】
例えば、ブランクとなる板紙材を折り曲げて容器本体を形成する場合には、この板紙を適宜形状に型抜きし、底板部に対して側板部を立ち上げるように折り曲げながら箱状に組み上げる。特に、板紙材は、それ自体の強度が比較的小さいため、側板部はフラップ状の先端側を内側へと多重に折り込んで容器本体としての充分な強度を得ている。さらに、この容器本体は、角部などからの汁漏れを防止するために、角部をフラップ状に形成して多重に折り重ねて形成している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−156938号公報(第2−4頁、図1および図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の食品収納容器では、折り込まれた側板部の端面などにより容器本体の内面側に段差が形成される。板紙材には、食品と接触する側の主面に耐水性の樹脂コーティングが施されることが多いが、この段差に位置する板紙材の端面にはこのような樹脂コーティングを施すことが容易でない。しかも、容器本体は、側板部の先端側を内側へと折り込んで形成するため、底板部の上面側と各側板部の内面側とには、板紙材の互いに異なる主面が現れる。すなわち、底板部の上面側を樹脂コーティング面とした場合には側板部の内面側が樹脂コーティング面とならず、側板部の内面側を樹脂コーティング面とした場合には底板部の上面側が樹脂コーティング面とならない。
【0006】
したがって、上記のような構成の場合、衛生面などの観点から、容器本体に食品を直接収納することが好ましくなく、板紙製の中敷(トレイ)などを容器本体の内部に別途取り付ける必要があるため、低コスト化の妨げになるだけでなく、容器本体の内容積が実質的に減少するという問題点を有している。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、廃棄あるいはリサイクルが容易で、かつ、機能性を低コストで確保できる食品収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の食品収納容器は、一主面側に耐水性コーティングが施された平坦状の板紙材を折り曲げて形成した容器本体を備えた食品収納容器であって、前記容器本体は、底板部と、この底板部の周囲に連続して形成され、この底板部に対して前記一主面側へと立ち上がるように折り曲げられた複数の側板部と、これら側板部の前記底板部に対して反対側に連続して形成され前記底板部に対して折り曲げられた前記側板部の上端からこれら側板部の外側へと折り返されて重合され前記底板部の他主面側に固定される折返板部と、隣接する前記側板部間に連続してそれぞれ形成され、前記底板部に対して折り曲げられたいずれかの前記側板部の外側と前記折返板部との間に折り込まれる折込部とを有しているものである。
【0009】
請求項2記載の食品収納容器は、請求項1記載の食品収納容器において、底板部は、四角形状に形成され、側板部は、前記底板部の互いに対向する一の1対の辺にそれぞれ連続する第1側板部と、前記底板部の互いに対向する他の1対の辺にそれぞれ連続する第2側板部とを備え、折返板部は、前記各第1側板部に連続してそれぞれ形成され前記底板部の背面側に貼着固定される第1折返板部と、前記各第2側板部に連続してそれぞれ形成され前記底板部の背面側と前記第1折返板部との間に挿入されて係止固定される第2折返板部とを備えているものである。
【0010】
請求項3記載の食品収納容器は、請求項1または2記載の食品収納容器において、容器本体とは別体で少なくとも一主面側に耐水性コーティングが施された平坦状の板紙材を折り曲げて形成され、前記容器本体の底板部上に配置されてこの容器本体内を間仕切りする間仕切体を備え、前記間仕切体は、四角形状の間仕切本体部と、この間仕切本体部の互いに対向する一の1対の辺にそれぞれ連続しこの間仕切本体部に対して前記一主面側に立ち上がる間仕切側板部と、前記間仕切本体部の前記間仕切側板部と異なる1つの辺に前記間仕切本体部に対して立ち上がった前記間仕切側板部よりも側方へと突出するように連続し前記間仕切本体部に対して前記一主面側に立ち上がるように折り曲げられた間仕切端板部と、この間仕切端板部の前記間仕切本体部に対して反対側に連続して形成されこの間仕切本体部に対して折り曲げられた前記間仕切端板部の上端からこの間仕切端板部に対して前記間仕切本体部と反対側へと折り返されて前記間仕切端板部に重合された間仕切折返端片部とを有し、前記間仕切側板部は、前記間仕切端板部に係止され、前記間仕切体を前記容器本体の前記底板部上に配置した状態で前記容器本体の一の側板部と前記間仕切端板部との間に亘って位置しているものである。
【0011】
請求項4記載の食品収納容器は、請求項3記載の食品収納容器において、間仕切体は、間仕切折返端片部の間仕切端板部に対して反対側に連続して形成され間仕切本体部側へと折り曲げられてこの間仕切本体部と重合されかつ前記間仕切端板部が係止された間仕切底板部を有しているものである。
【0012】
請求項5記載の食品収納容器は、請求項4記載の食品収納容器において、間仕切側板部は、間仕切底板部に係止されているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、一主面側を耐水性コーティングした板紙材の折り曲げによって容器本体を形成することで、廃棄あるいはリサイクルを容易とするとともに、底板部に対して一主面側へと立ち上がるように複数の側板部を折り曲げ、これら側板部の上端からこれら側板部の外側へと折返板部を折り返して重合するとともに底板部の他主面側に固定し、隣接する側板部間に連続する折込部をいずれかの側板部の外側と折返板部との間に折り込んで容器本体を形成することで、容器本体の内面側全体を板紙材の耐水性コーティングを施した一主面側で区画することが可能になり、かつ、容器本体の内面側に各部の端面により段差などが生じることがなく、中敷を不要としてコストの抑制を可能としつつ衛生性を確保でき、さらには、隣接する側板部間からの汁漏れを折込部によって防止できるなど、食品収納容器としての充分な機能性を低コストで確保できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、四角形状の底板部の互いに対向する一の1対の辺に連続する第1側板部のそれぞれに底板部の背面側に貼着固定される第1折返板部を連続させ、底板部の互いに対向する他の1対の辺に連続する第2側板部のそれぞれに底板部の背面側と第1折返板部との間に挿入されて係止固定される第2折返板部を連続させることで、容器本体を容易にかつ強固に組み立てできるとともに、容易に解体することも可能になる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、容器本体の底板部上に配置されてこの容器本体内を間仕切りする間仕切体を容器本体とは別体でかつ一主面側を耐水性コーティングした板紙材を折り曲げて形成することで、間仕切体の廃棄あるいはリサイクルを容易とするとともに、四角形状の間仕切本体部の互いに対向する一の1対の辺に連続する間仕切側板部を間仕切本体部に対して一主面側へと立ち上がらせ、間仕切本体部の間仕切側板部と異なる1つの辺に間仕切側板部よりも側方へと突出するように連続する間仕切端板部を間仕切本体部に対して一主面側に立ち上がらせ、間仕切端板部の間仕切本体部に対して反対側に連続する間仕切折返端片部を間仕切端板部の上端からこの間仕切端板部に対して間仕切本体部と反対側へと折り返して重合させて、この間仕切端板部に間仕切側板部をそれぞれ係止して、これら間仕切側板部が容器本体の一の側板部と間仕切端板部との間に亘って位置するように間仕切体を容器本体の底板部上に配置することで、一の側板部と間仕切端板部との間に複数の空間を区画しつつ、他の側板部と間仕切折返端片部との間の空間の内面側全体を、容器本体の板紙材の耐水性コーティングを施した一主面側と、間仕切体の板紙材の耐水性コーティングを施した一主面側とで区画することが可能になり、かつ、他の側板部と間仕切折返端片部との間の空間に各部の端面などにより段差などが生じることがなく、衛生性を確保できるなど、食品収納容器としての機能性をより向上できる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、間仕切体の間仕切折返端片部の間仕切端板部に対して反対側に連続し間仕切本体部側へと折り曲げてこの間仕切本体部と重合した間仕切底板部に間仕切端板部を係止することで、間仕切端板部と間仕切折返端片部とを効果的に重合させることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、間仕切側板部を間仕切底板部に係止することにより、間仕切側板部をより強固に固定でき、容器本体の内側をより効果的に区画できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態の食品収納容器を示す分解斜視図である。
【図2】同上食品収納容器の使用状態を示す平面図であり、(a)は間仕切体を使用しない状態、(b)は間仕切体を使用する状態を示す。
【図3】同上食品収納容器の容器本体の組み立て手順の一部を示す斜視図である。
【図4】同上容器本体の組み立て手順の他の一部を示す斜視図である。
【図5】同上間仕切体の組み立て手順を(a)ないし(c)の順に示す斜視図である。
【図6】同上容器本体の展開図である。
【図7】同上間仕切体の展開図である。
【図8】同上蓋体の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態の構成を図1ないし図8を参照して説明する。
【0020】
図1において、11は食品収納容器を示し、この食品収納容器11は、例えば弁当などの図示しない食品の直接の収納に用いるものである。そして、この食品収納容器11は、上側が開口した容器本体13と、この容器本体13に対して着脱可能な間仕切体15と、容器本体13の上側を覆う蓋体17とを備えている。
【0021】
容器本体13は、図6に示すように型抜きした1枚の平坦状の板紙材P1をブランクとして、この板紙材P1を折り曲げて組み上げるものである。ここで、板紙材P1は、例えば0.5mm程度の厚みを有しており、少なくとも一主面P1aに耐水性コーティング、例えば樹脂コーティングが施されている。そして、容器本体13は、図1、図2および図6に示すように、四角形(長方形)状の底板部21、この底板部21の互いに対向する一の1対の辺(長辺)21a,21aに連続する側板部としての第1側板部22,22、底板部21の互いに対向する他の1対の辺(短辺)21b,21bに連続する側板部としての第2側板部23,23、各第1側板部22に対して底板部21と反対側に連続する折返板部としての第1折返板部24、各第2側板部23に対して底板部21と反対側に連続する折返板部としての第2折返板部25、および、互いに隣接する第1側板部22と第2側板部23との間に連続する折込部26を一体に有し、全体として内部に空間Sを区画する四角形箱状に形成されている。なお、この容器本体13は、図6に示す展開状態で上下および左右に対称な形状となっている。
【0022】
底板部21は、容器本体13の底面を構成するもので、例えば辺21a,21aが辺21b,21bよりも長く、例えば2倍程度に形成されている。
【0023】
また、各第1側板部22は、容器本体13の内面の両側を構成するもので、各辺21aと略等しい長手寸法を有する四角形状に形成されている。そして、各第1側板部22は、辺21aを折り線として底板部21の一主面P1a側に対して略垂直状に立ち上がるように折り曲げられている。
【0024】
また、各第2側板部23は、容器本体13の内面の両端を構成するもので、各辺21bと略等しい長手寸法を有する四角形状に形成されている。そして、各第2側板部23は、辺21bを折り線として底板部21の一主面P1a側に対して略垂直状に立ち上がるように折り曲げられている。
【0025】
したがって、第1側板部22と第2側板部23とは、平面視で互いに略直交する方向に沿って形成されている。
【0026】
また、各第1折返板部24は、底板部21に対して略垂直状に折り曲げられた各第1側板部22の上端から外側、すなわち底板部21に対して反対側へと折り返されているもので、各第1側板部22に連続する第1外側板部31と、この第1外側板部31に折り線32を介して連続する第1底板側フラップ部33とを一体に備えている。
【0027】
各第1外側板部31は、各第1側板部22と略等しい大きさの四角形状に形成されており、各第1側板部22に対して折り線35を介して連続しており、この折り線35から折り曲げられて各第1側板部22の外側に重合される部分である。
【0028】
また、各折り線32には、図6中の上下端近傍に、切込部37がそれぞれ形成されている。これら切込部37は、各折り線32から各第1底板側フラップ部33を各第1外側板部31に対して折り曲げた際に、各第2折返板部25側が係止される係止孔38を各第1外側板部31に開口するように構成されている。
【0029】
また、各第1底板側フラップ部33は、四角形状に形成されており、各折り線32から折り曲げられて底板部21の背面側である他主面P1bに重合され、この底板部21に一部が貼着固定される部分である。さらに、各第1底板側フラップ部33の先端側の長手方向両端部には、折り線32に対して反対側の側部に、切欠部39がそれぞれ切り欠き形成されている。
【0030】
また、各第2折返板部25は、各第2側板部23の上端から外側、すなわち底板部21に対して反対側へと折り返されて、各折込部26を介して各第2側板部23の外側に重合されているもので、各第2側板部23に連続する第2外側板部41と、この第2外側板部41に折り線42を介して連続する第2底板側フラップ部43とを一体に備えている。
【0031】
各第2外側板部41は、各第2側板部23と略等しい大きさの四角形状に形成されており、各第2側板部23に対して折り線45を介して連続しており、この折り線45から折り曲げられて各第2側板部23の外側に重合される部分である。
【0032】
また、各第2底板側フラップ部43は、四角形状に形成されており、各折り線42から折り曲げられて底板部21の背面側である他主面P1bに重合され、この底板部21に一部が貼着固定された上記第1底板側フラップ部33,33と底板部21との間に挿入されて係止固定される部分である。この係止固定状態で、各第2底板側フラップ部43は、先端部が切欠部39,39に対向する位置となっている。さらに、各第2底板側フラップ部43の先端側の長手方向両端部には、係止孔38,38に係止される爪部47,47が突出して形成されている。
【0033】
また、各折込部26は、展開状態で四角形状に形成されており、側板部22,23に対して折り線51,52を介して連続しているとともに、底板部21の角部へと対角線状に折り線53が形成されている。
【0034】
一方、間仕切体15は、図7に示すように型抜きした1枚の平坦状の板紙材P2をブランクとして、この板紙材P2を折り曲げて組み上げるものである。ここで、板紙材P2は、例えば0.5mm程度の厚みを有しており、少なくとも一主面P2aに耐水性コーティング、例えば樹脂コーティングが施されている。そして、間仕切体15は、図1、図2、図5および図7に示すように、必要に応じて容器本体13の底板部21上に配置されて、図示しないトレイなどの容器に小分けにした食品(副食)などを収納するための空間、本実施の形態では例えば3つの空間S1,S2,S3を容器本体13の内部に区画するものである。したがって、この間仕切体15を容器本体13に取り付けたとき(図2(b))には、容器本体13の内部の空間S中の空間S1〜S3を除く部分が御飯などの主食を収納するための空間S4となる。
【0035】
そして、この間仕切体15は、四角形(長方形)状の間仕切本体部61、この間仕切本体部61の互いに対向する一の1対の辺(長辺)61a,61aに連続する間仕切側板部62,62、間仕切本体部61の辺61a,61aと異なる1つの辺(短辺)61bに連続する間仕切端板部63、この間仕切端板部63の間仕切本体部61に対して反対側に折り線64を介して連続する間仕切折返端片部65、および、この間仕切折返端片部65の間仕切端板部63に対して反対側に折り線66を介して連続する間仕切底板部67を一体に有している。なお、この間仕切体15は、図7に示す展開状態で左右に対称な形状となっている。
【0036】
間仕切本体部61は、間仕切底板部67に重合されて間仕切体15の底面の一部、ここでは空間S2の底面を構成するものである。
【0037】
また、各間仕切側板部62は、各空間S1,S2間、および、空間S2,S3間に位置するもので、間仕切本体部61に連続する第1側片部71と、この第1側片部71に折り線72を介して連続する第2側片部73とを一体に備えている。さらに、各間仕切側板部62は、間仕切体15を容器本体13に取り付けた状態で、間仕切端板部63と容器本体13の一方の第2側板部23との間に亘って位置している。そして、各間仕切側板部62には、第1側片部71と第2側片部73とに亘って、間仕切端板部63側に切欠凹部74がそれぞれ形成されている。
【0038】
各第1側片部71は、それぞれ空間S2側に臨むもので、四角形状に形成されており、辺61aを折り線として間仕切本体部61の一主面P2a側に対して略垂直状に立ち上がるように折り曲げられている。
【0039】
また、各第2側片部73は、空間S1側、あるいは空間S3側に臨むもので、各第1側片部71と略等しい大きさの四角形状に形成されており、間仕切本体部61に対して略垂直状に折り曲げられた各第1側片部71の上端から各折り線72を介して折り返されてこの第1側片部71に重合される部分である。さらに、各第2側片部73には、間仕切端板部63側に、第1係合片部76がそれぞれ突出して形成されている。そして、各第2側片部73には、折り線72に対して反対側の位置に、第2係合片部77がそれぞれ突出して形成されている。
【0040】
各第1係合片部76は、各間仕切側板部62を間仕切端板部63に対して係止するためのもので、例えば円弧状に形成されている。
【0041】
また、各第2係合片部77は、各間仕切側板部62を間仕切底板部67に対して係止するためのもので、例えば四角形状に形成されている。
【0042】
また、間仕切端板部63は、空間S1〜S3と空間S4との間の空間S1〜S3側に臨むもので、間仕切本体部61の幅方向に対して突出する長手寸法を有する四角形状に形成されており、全体としては図6に示す容器本体13の第1側板部22,22間の距離と略等しい長手寸法(辺61bの3倍程度の長さ)を有している。より詳細には、間仕切端板部63は、辺61bに対して両側方へと、この辺61bと略等しい長さ分それぞれ突出している。このため、間仕切端板部63は、間仕切本体部61に対して立ち上がった間仕切側板部62よりも側方へと突出しており、間仕切体15を容器本体13に取り付けた状態(図2(b))で第1側板部22,22間に亘って位置している。さらに、間仕切端板部63には、間仕切本体部61の辺61a,61a近傍に対応する位置に、第1係合片部76,76を係止するための係止孔部81,81が形成されている。また、この間仕切端板部63には、上記各切欠凹部74によって切り起こされる突起部82,82が展開状態で間仕切側板部側62,62側へと突出して形成されている。そして、この間仕切端板部63は、辺61bを折り線として間仕切本体部61の一主面P2a側に対して略垂直状に立ち上がるように折り曲げられる。
【0043】
また、間仕切折返端片部65は、図2(b)に示す空間S1〜S3と空間S4との間の空間S4側に臨むもので、間仕切端板部63と略等しい大きさの四角形状に形成されており、間仕切本体部61に対して折り曲げられた間仕切端板部63の上端から折り線64を介して折り返され、この間仕切端板部63の外側に重合される部分である。
【0044】
また、折り線66には、長手方向の両端近傍に、切込部84がそれぞれ形成されている。これら切込部84は、各折り線66から間仕切底板部67を間仕切折返端片部65に対して折り曲げた際に、間仕切端板部63の突起部82,82が挿入されて係止される係止孔85を間仕切底板部67に開口するように構成されている。
【0045】
また、間仕切底板部67は、空間S1〜S3の底側に位置して底板部21上に載置され、空間S1および空間S3の底面を形成するもので、間仕切端板部63と略等しい長手寸法、および、間仕切本体部61の長手寸法と略等しい幅寸法を有する四角形状に形成されており、折り線66を介して間仕切折返端片部65に対して折り曲げられて間仕切本体部61の背面側である他主面側に重合される部分である。したがって、この間仕切底板部67に対して、各間仕切側板部62と間仕切端板部63および間仕切折返端片部65とが、それぞれ垂直状となっている。そして、この間仕切底板部67には、間仕切側板部62,62に対応する位置に、これら間仕切側板部62の第2係合片部77,77を係止するための孔部87,87が形成されている。なお、これら第2係合片部77および孔部87は、それぞれ必須の構成ではない。
【0046】
さらに、蓋体17は、図8に示すように型抜きした1枚の平坦状の板紙材P3をブランクとして、この板紙材P3を折り曲げて組み上げるものである。ここで、板紙材P3は、例えば0.5mm程度の厚みを有しており、少なくとも一主面P3aに耐水性コーティング、例えば樹脂コーティングが施されている。また、この蓋体17は、図1および図8に示すように、容器本体13の底板部21と略等しい、または、この底板部21よりも若干大きい四角形状に形成された天板部91と、この天板部91の互いに対向する一の1対の辺91a,91aに連続する蓋体側板部92,92と、天板部91の互いに対向する他の1対の辺91b,91bに連続する蓋体端板部93,93とを一体に有している。そして、この蓋体17は、図示しないが、例えば輪ゴムなどの固定部材を介して容器本体13と一体的に固定される。
【0047】
次に、上記一実施の形態の作用を説明する。
【0048】
まず、容器本体13を組み立てる際には、底板部21に対して、各第1側板部22を各辺21aから垂直状に折り曲げ、これら第1側板部22の上端から第1折返板部24の第1外側板部31を、折り線35を介して外側へとそれぞれ折り返して第1側板部22に重合させ、かつ、各第1外側板部31の下端から第1底板側フラップ部33を、折り線32を介して底板部21の下側へとそれぞれ折り曲げて、これら第1底板側フラップ部33を底板部21の下部に接着剤などにより貼着固定する。
【0049】
次いで、底板部21に対して、各第2側板部23を各辺21bから垂直状に折り曲げ、図3に示すように、各折込部26を、折り線51,52,53に沿って三角形状に折り畳みながら各第2側板部23の外側へと折り込み、各第2側板部23の上端から第2折返板部24の第2外側板部41を、各折込部26を各第2側板部23との間で挟持するように折り線45を介して外側へとそれぞれ折り返し、かつ、図4に示すように、各第2外側板部41の下端から第2底板側フラップ部43を、折り線42を介して底板部21の下側へとそれぞれ折り曲げつつ、この底板部21と、互いに対向する第1底板側フラップ部33,33間へと挿入し、各第2側板側フラップ部43の両端部の爪部47,47を係止孔38,38にそれぞれ係合させて(想像線A)、容器本体13を完成する。
【0050】
また、間仕切体15を組み立てる際には、図5(a)に示すように、間仕切本体部61に対して、各間仕切側板部62の第1側片部71を、各辺61aからそれぞれ垂直状に折り曲げるとともに、間仕切端板部63を辺61bから垂直状に折り曲げ、図5(b)に示すように、各第1側片部71に対して、折り線72を介して第2側片部73を間仕切本体部61に対して反対側へとそれぞれ折り返してこれら第1側片部71に重合させ、これら第2側片部73の各第1係合片部76を、垂直状に立ち上がった間仕切端板部63の係止孔部81,81に挿入係止する。さらに、間仕切端板部63の上端から、折り線64を介して間仕切折返端片部65を、間仕切本体部61に対して反対側へと折り返して間仕切端板部63に重合させるとともに、図5(c)に示すように、この間仕切折返端片部65の下端から、折り線66を介して間仕切底板部67を間仕切本体部61の下側へと折り曲げて重合させ、かつ、各第2側片部73の第2係合片部77,77を孔部87,87に挿入係止させて、間仕切体15を完成する。
【0051】
なお、蓋体17は、各辺91a,91bを折り線として各蓋体側板部92および各蓋体端板部93を天板部91の一主面P3a側へとそれぞれ折り曲げて形成される。
【0052】
そして、食品収納容器11の使用に際しては、例えば主食の収納のみに用いる場合には、図2(a)に示すように、間仕切体15を使用せず、容器本体13の空間S内に主食を収納して蓋体17で覆い、固定部材を介して蓋体17を容器本体13に固定する。
【0053】
また、食品収納容器11を、例えば主食と副食との収納に用いる場合には、図2(b)に示すように、間仕切体15を、容器本体13の長手方向の一端側の位置に、間仕切側板部62側を一方の第2側板部23側に向けて底板部21上に配置し、この間仕切体15と容器本体13の他方の第2側板部23との間の空間S4に主食を収納し、間仕切体15により区画された空間S1〜S3のそれぞれに、トレイなどに小分けした副食を配置して蓋体17で覆い、固定部材を介して蓋体17を容器本体13に固定する。
【0054】
このとき、間仕切体15は、間仕切側板部62、間仕切底板部67、あるいは間仕切本体部61の端面が容器本体13の一方の第2側板部23側、すなわち主食に対して反対方向に向くため、これら端面が主食と接触することがない。また、空間S1,S3については、間仕切底板部67の樹脂コーティングが施されていない他主面P2b側が底面となるものの、副食はトレイなどに小分けしているため、これら底面と食品との直接の接触による衛生面の問題が生じることがない。なお、板紙材P2として、両面に樹脂コーティングを施したものを用いれば、副食を各空間S1〜S3に直接収納することも可能になる。
【0055】
また、間仕切体15は、容器本体13に特に係止せずとも、間仕切底板部67に対して副食の重量が加わることにより容器本体13に固定されるものであるが、例えば間仕切底板部67、あるいは間仕切折返端片部65などに、容器本体13の底板部21などに間仕切体15を固定するための突出部などを設けてもよい。
【0056】
また、使用済みの食品収納容器11は、容器本体13、間仕切体15、あるいは蓋体17をそれぞれそのまま廃棄することもできるし、上記の組み立て手順と逆の手順で解体して板状に戻して廃棄することもできる。
【0057】
上述したように、上記一実施の形態では、容器本体13を、一主面P1a側を樹脂コーティングした板紙材P1の折り曲げによって形成する構成、具体的には、底板部21に対して一主面P1a側へと立ち上がるように各側板部22,23を折り曲げ、これら側板部22,23の上端からこれら側板部22,23の外側へと各折返板部24,25の各外側板部31,41を折り返して重合するとともに各折返板部24,25の各底板側フラップ部33,43を底板部21の他主面P1b側に固定し、隣接する側板部22,23間に連続する各折込部26を第2側板部23の外側と第2折返板部25の第2外側板部41との間に折り込んで形成する構成とした。
【0058】
このため、例えば合成樹脂などにより容器本体を形成する場合などと比較して、廃棄あるいはリサイクルを容易とするだけでなく、容器本体13の内面側全体を板紙材P1の樹脂コーティングを施した一主面P1a側とすることが可能になり、かつ、容器本体13の内面側に各部の端面により段差などが生じることがなく、中敷を不要としてコストの抑制を可能としつつ衛生性を確保でき、さらには、隣接する側板部22,23間からの汁漏れを折込部26によって防止できるなど、食品収納容器11としての充分な機能性を低コストで確保できる。
【0059】
また、容器本体13の内面側に段差が生じないため、例えばご飯などを空間S(空間S4)に収納した場合、この段差に米粒が引っ掛かったりすることがなく、食事しやすい構成とすることが可能になるとともに、中敷により容器本体13の収納容積が低下することもなく、容器本体13の容積を効果的に利用できる。
【0060】
さらに、四角形状の底板部21の互いに対向する一の1対の辺21a,21aに連続する第1側板部22のそれぞれに底板部21の背面側に貼着固定される第1折返板部24を連続させ、底板部21の互いに対向する他の1対の辺21b,21bに連続する第2側板部23のそれぞれに底板部21の背面側と第1折返板部24,24の第1底板側フラップ部33,33との間に挿入されて係止固定される第2底板側フラップ部43,43を備える第2折返板部25を連続させることで、各側板部22,23の部分の強度を確保して、容器本体13を強固に組み立てできるだけでなく、各第1底板側フラップ部33,33を底板部21に貼着固定して各第2底板側フラップ部43,43を底板部21と各第1底板側フラップ部33,33との間に挿入するだけで容器本体13を容易に組み立てでき、かつ、容器本体13を容易に解体することも可能になる。
【0061】
そして、容器本体13の底板部21上に着脱可能に配置される間仕切体15は、容器本体13とは別体で一主面P2a側を樹脂コーティングした板紙材P2を折り曲げて形成する構成、具体的には、四角形状の間仕切本体部61の互いに対向する一の1対の辺61a,61aに連続する間仕切側板部62,62を間仕切本体部61に対して一主面P2a側へと立ち上がらせ、間仕切本体部61の間仕切側板部62側と異なる1つの辺61bに間仕切側板部62,62よりも側方へと突出するように連続する間仕切端板部63を間仕切本体部61に対して一主面P2a側に立ち上がらせ、間仕切端板部63の間仕切本体部61に対して反対側に連続する間仕切折返端片部65を間仕切端板部63の上端からこの間仕切端板部63に対して間仕切本体部61と反対側へと折り返して重合させて、この間仕切端板部63に間仕切側板部62,62をそれぞれ係止する構成とし、さらに、これら間仕切側板部62,62が容器本体13の一の第2側板部23と間仕切端板部63との間に亘って位置するように間仕切体15を容器本体13の底板部21上に配置する構成とした。このため、例えば合成樹脂などにより間仕切体を形成する場合などと比較して、廃棄あるいはリサイクルを容易とするだけでなく、間仕切体15により、一の第2側板部23と間仕切端板部63との間に例えば副食などを収納可能な複数の空間S1〜S3を区画しつつ、他の第2側板部23と間仕切折返端片部65との間の空間S4の内面側全体を、容器本体13の板紙材P1の樹脂コーティングを施した一主面P1a側と、間仕切体15の板紙材P2の樹脂コーティングを施した一主面P2a側とで区画することが可能になり、かつ、他の第2側板部23と間仕切折返端片部65との間の空間S4に各部の端面などにより段差などが生じることがなく、衛生性を確保できるなど、食品収納容器11としての機能性をより向上できる。
【0062】
また、間仕切体15の間仕切折返端片部65の間仕切端板部63に対して反対側に連続し間仕切本体部61側へと折り曲げてこの間仕切本体部61と重合した間仕切底板部67に間仕切端板部63を係止することで、間仕切端板部63と間仕切折返端片部65とを効果的に重合させることができる。
【0063】
さらに、間仕切側板部62,62を間仕切底板部67に係止することにより、間仕切側板部62,62をより強固に固定でき、間仕切体15によって、容器本体13の内側をより効果的に区画できる。
【0064】
そして、蓋体17も板紙材P3を折り曲げて形成することにより、蓋体17の廃棄あるいはリサイクルが容易になるとともに、容器本体13に収納された食品を蓋体17によって効果的に覆うことができ、食品収納容器11としての機能性をより向上できる。
【0065】
なお、上記一実施の形態において、容器本体13は、四角形状に限定されるものではなく、多角形状、あるいは略円形状(円形状に近似した多角形状)などであっても同様に対応させて構成することができる。
【0066】
また、間仕切体15や蓋体17の形状および材質などは、任意に設定できる。
【符号の説明】
【0067】
11 食品収納容器
13 容器本体
15 間仕切体
21 底板部
22 側板部としての第1側板部
23 側板部としての第2側板部
24 折返板部としての第1折返板部
25 折返板部としての第2折返板部
26 折込部
61 間仕切本体部
62 間仕切側板部
63 間仕切端板部
65 間仕切折返端片部
67 間仕切底板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面側に耐水性コーティングが施された平坦状の板紙材を折り曲げて形成した容器本体を備えた食品収納容器であって、
前記容器本体は、
底板部と、
この底板部の周囲に連続して形成され、この底板部に対して前記一主面側へと立ち上がるように折り曲げられた複数の側板部と、
これら側板部の前記底板部に対して反対側に連続して形成され前記底板部に対して折り曲げられた前記側板部の上端からこれら側板部の外側へと折り返されて重合され前記底板部の他主面側に固定される折返板部と、
隣接する前記側板部間に連続してそれぞれ形成され、前記底板部に対して折り曲げられたいずれかの前記側板部の外側と前記折返板部との間に折り込まれる折込部とを有している
ことを特徴とした食品収納容器。
【請求項2】
底板部は、四角形状に形成され、
側板部は、
前記底板部の互いに対向する一の1対の辺にそれぞれ連続する第1側板部と、
前記底板部の互いに対向する他の1対の辺にそれぞれ連続する第2側板部とを備え、
折返板部は、
前記各第1側板部に連続してそれぞれ形成され前記底板部の背面側に貼着固定される第1折返板部と、
前記各第2側板部に連続してそれぞれ形成され前記底板部の背面側と前記第1折返板部との間に挿入されて係止固定される第2折返板部とを備えている
ことを特徴とした請求項1記載の食品収納容器。
【請求項3】
容器本体とは別体で少なくとも一主面側に耐水性コーティングが施された平坦状の板紙材を折り曲げて形成され、前記容器本体の底板部上に配置されてこの容器本体内を間仕切りする間仕切体を備え、
前記間仕切体は、
四角形状の間仕切本体部と、
この間仕切本体部の互いに対向する一の1対の辺にそれぞれ連続しこの間仕切本体部に対して前記一主面側に立ち上がる間仕切側板部と、
前記間仕切本体部の前記間仕切側板部と異なる1つの辺に前記間仕切本体部に対して立ち上がった前記間仕切側板部よりも側方へと突出するように連続し前記間仕切本体部に対して前記一主面側に立ち上がるように折り曲げられた間仕切端板部と、
この間仕切端板部の前記間仕切本体部に対して反対側に連続して形成されこの間仕切本体部に対して折り曲げられた前記間仕切端板部の上端からこの間仕切端板部に対して前記間仕切本体部と反対側へと折り返されて前記間仕切端板部に重合された間仕切折返端片部とを有し、
前記間仕切側板部は、前記間仕切端板部に係止され、前記間仕切体を前記容器本体の前記底板部上に配置した状態で前記容器本体の一の側板部と前記間仕切端板部との間に亘って位置している
ことを特徴とした請求項1または2記載の食品収納容器。
【請求項4】
間仕切体は、間仕切折返端片部の間仕切端板部に対して反対側に連続して形成され間仕切本体部側へと折り曲げられてこの間仕切本体部と重合されかつ前記間仕切端板部が係止された間仕切底板部を有している
ことを特徴とした請求項3記載の食品収納容器。
【請求項5】
間仕切側板部は、間仕切底板部に係止されている
ことを特徴とした請求項4記載の食品収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−79531(P2011−79531A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230819(P2009−230819)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(597157990)三愛パック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】