説明

食品用可食容器とその製造方法並びに当該食品用可食容器を用いた食品

【課題】古来より存する麩の有効活用を図り、美味である冷菓子であるアイスクリーム、ソフトクリーム等の容器として健康的な食材であり、衛生的なアイスクリーム、ソフトクリーム等の可食性容器を提供すること。
【解決手段】グルテン及び小麦粉等の麩生成原料を棒状体に巻き付けこれを釜で焼き上げ筒状の麩原料容器1を製造する麩原料容器製造工程Aと、筒状の麩原料容器の片端部を閉止する閉止工程Bと、筒状原料の少なくとも内面に水分の浸入を軽減する表面処理工程Cとよりなるとすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アイスクリーム・カキ氷などの冷菓子や惣菜その他の食品の容器として用いられる食品用可食容器とその製造方法並びに当該食品用可食容器を用いた食品に関し、特に麩を原料として製造された食品用可食容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
夏の暑い季節になると、アイスクリーム、ソフトクリームあるいはかき氷などの冷菓子を食する機会が多くなっている。特に、アイスクリーム、ソフトクリームなどの冷菓子の容器としては、小麦粉などでできたコーンカップを用いる場合が多く、そのコーンカップは一緒に食することができることから、商品としての利用価値が高く、業務用の外、家庭においても食されることが多い。
そして、この種のソフトクリーム、アイスクリーム盛付用コーンカップやモナカは、従来小麦粉を主原料とする成形用練り材を焼き成形して製造することが一般である。
【0003】
このように、ソフトクリーム、アイスクリームの盛付用に使用されるコーンカップやモナカ等をはじめとする可食容器は、風味が良く、衛生的にかつ安全に食せることが必要であり、このような要求を満たした上で、更なる商品価値を向上させるべく種々の可食容器が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の技術では、エビ、カニ、マグロや昆布、海苔、よもぎなどを各別に酵素分解してカラフルな色彩とカルシウムなどの栄養素に富んだ多種の原材料を形成し、該原材料を色彩別に小麦粉と混合してカラフルに色分けされたコーンやモナカ等の可食容器を焼き成形する技術が提案されている。
また、特許文献2に記載の技術では、ソフトクリームあるいはアイスクリームなどの冷菓子の容器としてこれら冷菓子とともに食することが可能なコーンに、前記冷菓子に混入される野菜果物などの材料からなる乾燥粉末を含有させて形成する技術が提案されている。
【0005】
また、食品と一緒に食することのできる可食容器は、必ずしもアイスクリーム等の氷菓子の盛り付けに使用されるだけでなく、それ以外の食材を収容する容器も提供されている。例えばこの可食容器を広いい見合いで捉えれば、挽肉等を調理したものを、小麦粉を原料とする生地で包んで食する場合の、小麦粉で形成された生地も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−170905号公報
【特許文献2】特開平10−108614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従前においても、上記特許文献1及び2に記載されたアイスクリーム、ソフトクリーム等の可食性容器のように、新たな商品価値を付加する改良も提案されている。しかしながら、これら従前における改良は、従来から使用されているコーン等の可食容器の原料に対して、更に他の材料を添加したものであり、基本的な材料自体の改良がなされているものではない。
一方、アイスクリーム、ソフトクリーム等を始めとする各種の食品用の可食性容器を提供するにあたり、前述のように、風味が良く、衛生的にかつ安全に食せることが必要不可欠な条件となる。
そこで本発明は、これまで提供されている小麦粉で形成されたコーンカップや、更にこれに他の成分を添加したコーンカップではなく、まったく新しい食感を有する食品用の可食性容器を提供することを第一の課題とする。
【0008】
ここで、従来から食されている物として麩が存在する。麩は、味噌汁や煮物に利用されているように、風味が良く、衛生的にかつ安全に食せる材料である。しかしながら、もともと麩は、調理に使用される材料として提供されており、そのまま食されるものではない。更に麩自体は、内部に空間が多く、また水分を容易に吸収しやすい特質を有することから、飲食物、特にアイスクリーム、ソフトクリーム等のような氷菓子や、汁の多い煮物などの様に水分の多い飲食物の可食性容器と使用するときは、水分対策が必要となる。しかしながら、麩は、本来水分を染み込ませることで味付けして食されるのが一般的であることから、水分対策が施された物は存在しないのが実情である。
そこで本発明は、麩の水分を容易に吸収しやすい特質を考慮しつつ、古来より存する麩の有効活用を図り、アイスクリーム、ソフトクリーム等の氷菓子や、その他の食品の容器として使用可能な食品用の可食性容器を提供することを第二の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の少なくとも何れかを解決するべく、本発明では麩を用いて形成した食品用の可食容器とその製造方法並びに当該食品用可食容器を用いた食品を提供する。
即ち、飲食物を収容する容器であって容器自体も食することのできる可食容器であって、グルテン又はグルテン及び小麦粉を主原料として製造された筒状の麩原料容器における少なくとも中空部内面に、水分の浸入を軽減する表面処理が施されている食品用の可食性容器を提供する。
【0010】
従前において、麩は煮物や味噌汁に使用されるなど、本来的に味を染み込ませて食されるものであり、また麩をアイスクリームなどの容器として使用することは考えられておらす、本発明のように、麩に対して水分の浸入を軽減する表面処理を施すことはなかった。本発明では、麩で形成された麩原料容器に対して、水分の浸入を軽減する表面処理を施すことにより、仮にソフトクリームなどの氷菓子を収容し、これが溶けたとしても、容器から染み出したり、容器自体が破けたりする事が無くなり、一方でこれまでにない食感を与えることができる。即ち、水分を非常に含有しやすい麩原料容器を水分の多いアイスクリーム等に使用することができるようになる。
【0011】
上記水分の浸入を軽減する表面処理としては、例えば筒状に形成した麩原料容器を油で揚げる事によって行うことができ、更に麩原料容器を砂糖、黒糖、蜂蜜などの糖類を含有する溶液中に浸す事で、麩の中に溶液を染み込ませて味をつけてから、これを油で揚げることもできる。その他にも、麩で形成された麩原料容器にチョコレート等の油脂材料をコーティングすることによって行うこともできる。
【0012】
かかる麩原料容器は、筒状に形成されていれば良く、その軸方向に直交する向きの断面形状は、円形、楕円形、或いは三角形、四角形その他の多角形状、更にハート型などの各種意匠形状に形成することができる。そして筒状に形成された中空部は、アイスクリーム、カキ氷、生クリーム、更には煮物や果物などの各種食品を収容する為の空間として機能することができる。
【0013】
また上記麩原料容器は、グルテン又はグルテン及び小麦粉を主原料とする麩生成原料を、筒状その他の容器形状に成形し、これを釜で焼き上げて形成することができる。この場合、上記本発明にかかる食品用の可食性容器を製造する際は、グルテン及び小麦粉等の麩生成原料を容器状に成形し、これを釜で焼き上げ麩原料容器を製造する麩原料容器製造工程と、麩原料容器の少なくとも内面に水分に浸入を軽減する表面処理工程よりなる食品用の可食性容器の製造方法となり、これも前記課題を解決することができる。
【0014】
上記麩原料容器が筒状に形成されており、その中空部内に各種の食品を収容することから、当該収容した食品の脱落を阻止するために、少なくともその長さ方向の何れかの端部が、閉じた閉塞端部として形成されていることが必要である。このように端部が閉塞された麩原料容器としては、麩原料容器の製造に際して閉じたものを製造することも可能であるが、麩原料容器を形成した後にその何れかの端部を閉じるように加工して閉塞端部を形成することもできる。この場合、当該食品用の可食性容器は、グルテン及び小麦粉等の麩生成原料を棒状体に巻き付けこれを釜で焼き上げ筒状の麩原料容器を製造する麩原料容器製造工程と、筒状の麩原料容器の片端部を閉止する閉止工程と、筒状原料の少なくとも内面に水分の浸入を軽減する表面処理工程より製造することができる。このような工程を経て製造することにより、従来の巻き麩の製品をそのまま使用して食品用の可食性容器を製造することができ、よって作業の効率化が図ることができる。
【0015】
特に、閉止工程で筒状の麩原料容器の片端部を閉止する際には、麩原料容器内面に小麦粉等の食用可能な糊体を塗布し、この先端部及びその近傍を蒸気により含湿させ軟化処理を行い、そして片端部に塗布し軟化処理を施し麩原料容器片端部を挟持圧着するすることで、麩原料容器が壊れることなく、簡単に片端部を接着することができ、アイスクリーム、特にソフトクリームを収容する可食容器として簡単に製作することが出来る。また小麦粉等の食用可能な糊体により閉塞端部は確実に閉塞されることから、その部分から収容した食品に由来する水分が漏洩することを阻止することができる。
【0016】
また、当該麩原料容器の少なくとも内面に対して施されている表面処理(水分の浸入を軽減する表面処理)が、油で揚げる事によって施されている場合、油で揚げた後に、麩原料容器の余分な油分、及び水分を乾燥除去してあることが望ましい。よって、麩原料容器の少なくとも内面に水分に浸入を軽減する表面処理工程は、麩原料容器を油であげる表面安定化処理工程と、油で揚げた麩原料容器の余分な油分、及び水分の乾燥除去させる乾燥工程とよりなる事が望ましい。
【0017】
また、麩原料容器の少なくとも内面に水分に浸入を軽減する表面処理工程として、麩原料容器を油であげる表面安定化処理を行うに際し、黒糖、砂糖等の糖類や香料等を含む麩原料容器に麩原料容器を含浸させる含浸工程を設ける事が望ましく、これにより風味豊かで美味な麩原料容器を提供することができる。また糖質を含浸させることにより水分が安定化され、ソフトクリームなどの氷菓子を収容し、これが溶けたとしても、容器から染み出したり、容器自体が破けたりする事が無くなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来より存する麩を、アイスクリーム、ソフトクリーム等、或いは惣菜などの食品を収容する為の可食性容器に使用することができる。そして、比較的簡易な構成で美味な可食性容器を大量に生産することが出来る等優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のアイスクリーム用可食容器の製造方法に係る工程図である。
【図2】本発明の製造に係る麩原料容器の処理状態を示す説明図である。
【図3】本発明の製造に係る麩原料容器の片端部を軟化に使用する為の軟化処理装置の概略図である。
【図4】本発明の製造に係る麩原料容器の片端部を接着に使用する為の接着処理装置の概略図である。
【図5】本発明の製造に係る麩原料容器の含浸用装置の概略図である。
【図6】本発明の製造に係る麩原料容器の表面を安定化に使用する表面安定化処理装置の概略図である。
【図7】本発明の製造に係る麩原料容器を乾燥させる乾燥処理を行う概略図である。
【図8】本発明の製造に係る麩原料容器の製品状態を示す説明図であり、(a)は製品状体の麩原料容器の斜視図、(b)は、ソフトクリームを注入した製品状態の麩原料容器を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好適な実施形態の例として、通常の広く一般的に製造されている筒状の麩体を利用した実施の形態の例を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態にかかる食品(特にアイスクリーム)を収容する可食容器の製造工程を示すものであり、本実施の形態にかかる製造工程は麩原料容器製造工程Aと、麩原料容器の片端部閉止工程Bと、麩原料容器の表面処理工程Cに大別することが出来る。以下これらについて詳述する。
【0021】
<麩原料容器製造工程A>
麩原料容器製造工程Aは、通常の麩を製造する場合と同様である。即ち、一般的に麸をつくるには、まず小麦粉に水を加え練り、寝かせたあと澱粉を洗い流し、抽出物の小麦タンパクである麸の主原料グルテンを抽出する。そのグルテンに再び小麦粉を加え混練−熟成等を繰り返し麩原料を生成する。この後、図示しない棒状体に前記した生成した麩原料を隙間無く巻き付け、釜で焼き上げ、棒状体から引きはがしたものが図2(a)に示す筒状の麩原料容器1となり、麩原料容器製造工程Aを終える。
【0022】
<麩原料容器の片端部閉止工程B>
麩原料容器の片端部閉止工程Bは、前記した麩原料容器製造工程Aで製造した筒状の麩原料容器1の片端部の片端部糊付工程B1と、塗布した先端部及びその近傍の片端部軟化処理工程B2を挟持圧接着する片端部接着工程B3とよりなる。なお、上記の麩原料容器製造工程Aで製造した筒状の麩原料容器1の代わりに、市販の麩原料容器を使用して実施することもできる。
【0023】
ここで、片端部糊付工程B1は、例えば小麦粉等の食用可能な材料に水を加え練り糊体10を形成し、これを図2(b)に示すように麩原料容器1内面に刷毛等適宜手段で塗布することにより行う。
次いで、この片端部糊付工程B1を行った麩原料容器1を、糊体10を塗布した先端部及びその近傍を図3に示すように、片端部軟化処理装置2の一側面に設けている麩原料容器挿入孔20内に挿入する(図3(b))。そして片端部軟化処理装置2の蒸気導入管21から内部空間に蒸気を導入する。すると、麩原料容器1の先端部に蒸気が含浸し、先端部分が軟化する。この軟化の程度は後述する挟持圧接着する時に麩原料容器1にひび或いは破損しない程度であれば良い。例えば100℃の蒸気を約1分程度、麩原料容器1に晒すことで十分に軟化する。なお、この蒸気を晒すことで、塗布した糊体10の粘着力を促進させる作用も有している。
【0024】
前記した片端部軟化処理工程B2を経た麩原料容器1は、片端部閉止工程B3の圧着機3で、麩原料容器1の片端部を圧接着する。即ち、圧着機3は図4(a)に示すように、可動板30を上部に固定している対の支持棒31は、図示しない動力源で基板32に上下に移動可能に設けて、可動板30が基板32に対し上下に移動可能としている。
基板32には、載置台33が設けられている。この載置台33の背部には麩原料容器1の圧着時の先端位置を決める為の凸状部34と、前部には傾斜面35を設けている。この傾斜面34は、麩原料容器1の片端部を圧接着したとき、麩原料容器1の端部に無理な応力の加わることを防止する為のものであるが、特に設けない構成としても良いことは言うまでもない。
また同様に可動板30の下面には、前記した載置台33と傾斜面35と同様の形状の挟持体36を設け、前記した載置台30との間で麩原料容器1の片端部を挟持し圧接着を行う。
【0025】
このような構成で、図2(c)、図4(d)に示す如く前記した片端部軟化処理工程B2を経た麩原料容器1を矢印方向に押し込み先端を凸状部34に当接させた後、可動体30を図2(d)の矢印方向に移動させ、麩原料容器1の片端部の圧接着を行い片端部接着工程B3を終了する(図2(e)図4(c))。
なお、この麩原料容器1の片端部の圧接着に際しては、接着に際して押し潰した片端部を折り返して圧接着したり、接着に際して押し潰した片端部を波板状に湾曲させて圧接着することもでき、このように形成すれば、閉塞端部からの漏洩をより確実に阻止することができる。
【0026】
<麩原料容器の表面処理工程C>
次に、麩原料容器の少なくとも内面に水分に浸入を軽減する表面処理工程について述べる。この麩原料容器1の表面処理工程Cは、黒糖、砂糖、香料等を麩原料容器1に含浸させる含浸工程C1と、麩原料容器1を油であげる表面安定化処理工程C2と、油で揚げた麩原料容器1の余分の油分、水分を除き乾燥させる乾燥工程C3とよりなる。
【0027】
ここで、含浸工程は、麩原料容器1自体に風味を付け、更にアイスクリーム等に食材を引き立てる為に行うものであり、図5に示すように黒糖、砂糖、香料を含有する溶液40を満たした容器4に、前記した片端部接着工程B3を終了した麩原料容器1を漬けることで、麩原料容器1の麩の組織内にこれらの成分を含浸させるものである。麩原料容器1を漬ける時間は5〜30秒程度、特に15〜25秒程度が好ましい。5秒未満では、溶液40の含浸量が少なく、30秒を超えると必要以上に溶液が含まれ麩原料容器1の体積が多きくなりすぎ、経済的でないと共に、後述する油であげる表面安定化処理工程に余計な時間が係るからである。そして、このように溶液40に浸した麩原料容器1は、麩原料容器1の外面に付着した溶液40を十分に滴下させる。麩原料容器1の外面に大量の溶液40が付着していると、この後の表面安定化処理工程で油で揚げた際に、溶液中の糖分がフライヤー5の底部に溜まってしまい、作業効率が低下してしまうためである。
【0028】
次に、表面安定化処理工程は、麩原料容器の少なくとも内面に水分に浸入を軽減する為に設けるものである。この表面安定化処理に使用する機器は、例えば図6に示す如く通常市販されているフライヤー5を用いることが出来る。
そして、この表面安定化処理を終えた麩原料容器1は、余計の油分、水分を除去させるために乾燥させる為に、例えば図7に示す如く保持具6に吊り下げられ乾燥工程を終え、最終製品となる図8(a)に示すアイスクリーム用可食容器となり、図8(b)のようにソフトクリーム7を筒内及び先端部に詰め飲食に供することが出来る。
【0029】
なお、本発明では、筒状の麩原料容器1について説明したが、単なるカップ型の麩原料容器については、麩原料を平板状に伸ばしこれをカップ型に入れ成形し、これを釜で焼き上げ麩原料容器1とすることが出来る。そしてこの麩原料容器1の加工については、前記と同様に以外については、前記した麩原料容器の表面処理工程Cを経て製品とすることが出来る。
【0030】
そして以上のように形成した製品、即ち食品用可食容器は、軸方向に長い筒状であって、その下端側が閉塞されることになる。そして油で揚げることにより、食品用可食容器の表面から内側に対する水分の浸入を軽減する表面処理が施されていることから、中空部内にアイスクリームやソフトクリーム材料などを充填することで容器ごと食することのできる食品とすることができる。なお、この食品用可食容器内に収容する食品は、アイスクリームやソフトクリーム材料等の他に、挽肉等の肉類を用いた惣菜、魚介類を用いた惣菜、ピラフなどの穀物を用いた惣菜とすることもでき、これらの食品を充填することにより、簡易に手に持って食することができ、且つ容器ごと食することのできる食品が提供される。
【実施例1】
【0031】
次に本発明の1実施例を述べる。
麩原料容器1として、直径32mm、厚み2mm、長さ23cmの筒状体を成形し、これの片先端部3cmを片端部軟化処理装置2の麩原料容器挿入孔20内に挿入し、蒸気100℃の雰囲気で1分間軟化処理を施し、圧着機3で、麩原料容器1の片端部を圧接着させる。次いで、この麩原料容器1を黒糖、砂糖、香料を含有する溶液40に20分間浸漬し、これをフライヤー5で170℃の食用油で2分30秒間揚げ、これを乾燥させ製品とした。
出来あがったアイスクリーム用可食容器は、風味豊かなものが出来あがった。
なお、油で揚げることをしない等表面安定化処理工程を経ないものにあっては、外気温30℃の環境下では、3分間以内に、アイスクリーム等の水分が含まれ、形状が不安定化した。
また、黒糖、砂糖、香料を含浸工程を設けるものにあっては、特に風味を加味することが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、アイクリーム、ソフトクリーム、及び挽肉等を加工した惣菜などの各種食品を収容する器であって、これら食品と共に食することのできる可食用容器に利用することが出来る。
【符号の説明】
【0033】
A 麩原料容器製造工程
B 麩原料容器の片端部閉止工程
B1 片端部糊付工程
B2 片端部軟化処理工程
B3 片端部接着工程
C 麩原料容器の表面処理工程
C1 含浸工程
C2 表面安定化処理工程
C3 乾燥工程
1 麩原料容器
10 糊体
2 片端部軟化処理装置
20 麩原料容器挿入孔
21 蒸気導入管
3 圧着機
30 可動板
31 支持棒
32 基板
33 載置台
34 凸状部
35 傾斜面
36 挟持体
4 容器
40 溶液
5 フライヤー
6 保持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を収容する容器であって容器自体も食することのできる可食容器であって、
グルテン又はグルテン及び小麦粉を主原料として製造された筒状の麩原料容器における少なくとも中空部内面に、水分の浸入を軽減する表面処理が施されていることを特徴とする食品用の可食性容器。
【請求項2】
前記麩原料容器は、その長さ方向の一端側を潰す事により閉塞端部を構成しており、当該潰された閉塞端部は小麦粉等の食用可能な糊体で閉塞されている請求項1に記載の食品用の可食性容器。
【請求項3】
前記表面処理は、麩原料容器に糖類を含有する水溶液を含浸させて此れを油で揚げることにより行われている、請求項1または2に記載の食品用の可食性容器。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の食品用の可食性容器における中空部内にアイスクリーム、惣菜その他の食品が収容されている食品。
【請求項5】
請求項1に記載の食品用の可食性容器を製造する方法であって、
グルテン及び小麦粉等の麩生成原料を容器状に成形しこれを釜で焼き上げた麩原料容器の片端部を閉止する片端部閉止工程と、
糖類を含有する溶液を麩原料容器中に含浸させる含浸工程と、
筒状原料の少なくとも内面に水分の浸入を軽減する表面処理工程と、
からなる飲食物用可食容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−80800(P2012−80800A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228054(P2010−228054)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(510192112)有限会社木川屋本店 (1)
【Fターム(参考)】