説明

食器洗浄機用洗浄剤組成物

【課題】食器洗浄機による食器の洗浄において優れた洗浄力を示し、且つ食器の使用、洗浄の繰り返しによる色素汚れの付着遅延性にも優れた食器洗浄機用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)珪酸塩及び炭酸塩からなる群より選ばれる1種以上の無機化合物、(B)有機酸アルカリ金属塩、(C)(C−1)ポリアクリル酸又はその塩及び(C−2)マレイン酸の共重合体又はその塩、並びに(D)塩素系漂白成分を含有し、(C−1)成分と(C−2)成分の質量比(C−1)/(C−2)が98/2〜55/45である、食器洗浄機用洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機で使用するための洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機は、汚れた皿、グラス、料理器具などの食器を洗浄する設備であり、家庭やレストラン、喫茶店などの厨房で使用されている。通常、食器洗浄は、洗浄工程―濯ぎ工程の順で行われるが、業務用の食器洗浄機では、家庭用のものと比較すると格段に短時間でこれらの工程が行われる必要がある。そのため、業務用の食器洗浄機の洗浄工程では、手洗い用食器洗浄剤と異なる高pHの無泡性或いは低泡性の食器洗浄機用洗浄剤が使用されている。さらに食器洗浄機用洗浄剤では、食器類への茶、コーヒー等、食品由来の色素汚れの付着遅延を促す為、漂白剤が配合されることがある。
【0003】
特許文献1には、水溶性アミノポリカルボキレートを含有する、漂白作用、酵素安定性に優れた、自動食器洗浄機に使用できる漂白洗浄剤組成物が記載されている。また、特許文献2には、(A)珪酸塩、炭酸塩及び硫酸塩からなる群より選ばれる1種以上の無機化合物、(B)塩素系漂白剤、(C)クエン酸又はその塩、及び(D)ノニオン性界面活性剤を特定条件で含有する食器洗浄機用洗浄剤組成物が記載されている。また、特許文献3には、(a)アルカリ剤と(b)金属イオン捕捉能を有するポリアクリル酸またはマレイン酸系の高分子物質と(c)漂白剤を特定条件で含有する自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−176690号公報
【特許文献2】特開2009−173704号公報
【特許文献3】特開平8−199194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
漂白剤を配合した自動食器洗浄機用洗剤で食器類を洗浄することで食器は清浄な状態となるが、使用、洗浄を繰り返すことで、茶渋等の色素汚れのわずかな付着が累積し、ひいては食器(コップ等)全体が茶褐色になることがある。そのような状態になった場合、通常の自動食器洗浄機用洗剤では除去が困難であるため、塩素系漂白剤を用いた浸漬漂白を別途実施する必要がある。しかしながら、浸漬漂白を行うスペースを確保することは設備の規模によっては難しい場合があったり、塩素系漂白剤による浸漬漂白工程を繰り返す事により食器の劣化が進み、より茶渋が付着し易い状態となることが懸念される。
【0006】
本発明の課題は、食器洗浄機による食器の洗浄において、わずかな茶渋等の色素汚れの付着ですら残留しないほどの優れた洗浄力を示し、且つ食器の使用、洗浄の繰り返しによる色素汚れの付着遅延性にも優れた食器洗浄機用洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、課題の解決手段として、下記(A)〜(D)成分を含有し、(C−1)成分と(C−2)成分の質量比(C−1)/(C−2)が98/2〜55/45である、食器洗浄機用洗浄剤組成物を提供する。
(A)成分:珪酸塩及び炭酸塩からなる群より選ばれる1種以上の無機化合物
(B)成分:有機酸アルカリ金属塩
(C)成分:下記(C−1)成分及び(C−2)成分
(C−1)成分:ポリアクリル酸又はその塩
(C−2)成分:マレイン酸の共重合体又はその塩
(D)成分:塩素系漂白成分
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、食器洗浄機による食器の洗浄において、わずかな茶渋等の色素汚れの付着ですら残留しないほどの優れた洗浄力を示し、且つ食器の使用、洗浄の繰り返しによる色素汚れの付着遅延性にも優れた食器洗浄機用洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<(A)成分>
(A)成分の無機化合物のうち、珪酸塩は好ましくはメタ珪酸のアルカリ金属塩であり、炭酸塩は好ましくは炭酸のアルカリ金属塩である。(A)成分は、無水物であることがより好ましい。
【0010】
(A)成分は、
(A−1)珪酸塩から選ばれる1種以上のもの、
(A−2)炭酸塩から選ばれる1種以上のもの、
(A−3)珪酸塩から選ばれる1種以上のものと、炭酸塩から選ばれる1種以上のものの組み合わせ、
にすることができ、洗浄性と色素汚れ付着防止性の観点で(A―3)が好ましい。
【0011】
(A−3)の組み合わせの場合には、珪酸塩及び炭酸塩の含有量の合計中の珪酸塩の含有量の割合は20〜35質量%が好ましく、23〜33質量%がより好ましく、25〜30質量%がさらに好ましい。洗浄性の観点で20質量%以上が好ましく、色素汚れ付着防止性の観点で35質量%以下が好ましい。
【0012】
<(B)成分>
(B)成分の有機酸アルカリ金属塩の有機酸としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸が挙げられる。また、有機酸の種類としては、アミノ酸、ヒドロキシカルボン酸が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸が好ましい。(B)成分の分子量は1000未満が好ましい。
【0013】
(B)成分の有機酸のうち、ジカルボン酸としては、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、スペリン酸、イタコン酸、テレフタル酸などが、トリカルボン酸としては、クエン酸などが、アミノ酸としては、フェニルアラニン、トリプトファン、アスパラギン、グルタミン、バリン、イソロイシン、ロイシン、ヒスチジン、メチオニン、チロシンなどが挙げられる。
【0014】
アルカリ金属塩の種類は、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられ、好ましくはナトリウム塩である。
【0015】
(B)成分は、ヒドロキシカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、酒石酸、リンゴ酸、及びクエン酸から選ばれるヒドロキシカルボン酸のアルカリ金属塩が更に好ましく、クエン酸のアルカリ金属塩がより好ましい。金属イオン捕捉能の観点からクエン酸ナトリウムが更に好ましい。
【0016】
<(C)成分>
(C)成分のうち、(C−2)成分であるマレイン酸の共重合体又はその塩としては、アクリル酸とマレイン酸の共重合体、炭素数1〜10(好ましくは炭素数5)のオレフィンとマレイン酸の共重合体、ポリスチレンスルホン酸とマレイン酸の共重合体又はその塩が好ましく、より好ましくはアクリル酸とマレイン酸の共重合体又はその塩である。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属が好ましい。アクリル酸とマレイン酸の共重合体又はその塩では、アクリル酸/マレイン酸のモル比は90/10〜50/50、更に75/25〜65/35が好ましい。
【0017】
アクリル酸とマレイン酸の共重合体又はその塩中のアクリル酸/マレイン酸のモル比は熱分解ガスクロマトグラフィー(PGC)で、共重合体の熱分解物を検出することにより求めることができる。
【0018】
(C)成分のうち、(C−1)成分であるポリアクリル酸の重量平均分子量は、色素汚れ付着防止性の観点から1000〜10000が好ましく、3000〜5000がより好ましい。(C)成分のうち、(C−2)成分であるポリアクリル酸の重量平均分子量は、色素汚れ付着防止性の観点から10000〜100000が好ましく、60000〜80000がより好ましい。この重量平均分子量は、アセトニトリルと水の混合溶媒(リン酸緩衝溶液)を展開溶媒とし、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーでポリアクリル酸を標準物質として求めることができる。
【0019】
<(D)成分>
(D)成分の塩素系漂白成分としては、ジクロロイソシアヌール酸、ジクロロイソシアヌール酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌール酸カリウム、トリジクロロイソシアヌール酸、サラシ粉、高度サラシ粉、亜塩素酸ナトリウム等の粉末の洗浄剤に配合することができ、水中で次亜塩素酸又は亜塩素酸を発生しうるものを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(D)成分は、ジクロロイソシアヌール酸及びその塩から選ばれる化合物が好ましく、色素汚れ付着防止性の観点からジクロロイソシアヌール酸ナトリウムなどのジクロロイソシアヌール酸塩が好ましい。
【0020】
<(E)成分>
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は(E)成分としてノニオン性界面活性剤を含有することができる。(E)成分としては洗浄性の観点から、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレングリコールなどを挙げることができる。
【0021】
(E)成分は、洗浄性の観点から、下記一般式(I)で表されるノニオン性界面活性剤〔以下、(E1)成分という〕が好適に用いられる。
1−(AO)n−R2 (I)
〔式中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜24の炭化水素基である。nは平均付加モル数であり、1〜500の数である。AOは、同一又は異なっていてもよいオキシエチレン基、オキシプロピレン基、又はオキシブチレン基である。〕
【0022】
(E1)成分の一般式(I)中、R1、R2は、それぞれ独立して、好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜24のアルキル基、より好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数6〜18のアルキル基、特に好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8〜14のアルキル基である。また、一般式(I)中、nは平均付加モル数であり、好ましくは1〜400、より好ましくは1〜350、更に好ましくは1〜200、特に好ましくは1〜100の数である。また、一般式(E1)中、AOは、同一又は異なっていてもよく、好ましくはエチレン基、プロピレン基である。
【0023】
更に、(E)成分は、洗浄性と低泡性の観点から、下記一般式(II−1)で表されるノニオン性界面活性剤、及び一般式(II−2)で表されるノニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤〔以下、(E2)成分という〕が好ましい。
HO(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH (II−1)
HO(CH(CH3)CH2O)d(CH2CH2O)e(CH(CH3)CH2O)fH (II−2)
〔式中、a、b、c、d、e及びfは、平均付加モル数であり、それぞれ独立して、1〜350の数である〕。
【0024】
(E2)成分は、何れも、エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)の合計中、EOを10モル%以上含むことが好ましく、これを満たすようにa、b、c、d、e及びfを選定することが好ましい。
【0025】
また、(E2)成分の重量平均分子量は洗浄性と低泡性の観点から、1,000〜15,000が好ましく、より好ましくは1,500〜6,000である。(E2)成分は、「プルロニック」、「プルロニックR」の商品名でBASF社から入手可能である。(E2)成分としては、低泡性の観点から、式(II−2)のノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0026】
<(F)成分>
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は(F)成分として硫酸塩及び硝酸塩からなる群より選ばれる1種以上の無機化合物を含有することができる。(F)成分は、洗浄剤組成物が固まるのを防ぎ作業性を確保する観点で配合するのが好ましい成分である。硫酸塩としては、硫酸のアルカリ金属塩、更に硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム等が挙げられる。また、硝酸塩としては、硝酸のアルカリ金属塩、更に硝酸ナトリウム等が挙げられる。(F)成分としては、硫酸塩が好ましく、なかでも硫酸のアルカリ金属塩、更に硫酸ナトリウム、より更に無水硫酸ナトリウムが好ましい。
【0027】
<食器洗浄機用洗浄剤組成物>
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(A)〜(D)成分の含有量の合計100質量部、又は(E)成分及び(F)成分を含有する場合は更に(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、洗浄性と色素汚れ付着防止性の観点から(A)成分の含有量が42〜53質量部、更に43〜53質量部、より更に45〜52質量部であることが好ましい。つまり、(A)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕又は(A)/〔(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)〕の質量比が42/100〜53/100、更に43/100〜53/100、より更に45/100〜52/100であることが好ましい。
【0028】
また、(A)〜(D)成分の含有量の合計100質量部、又は(E)成分及び(F)成分を含有する場合は更に(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、洗浄性の観点から(B)成分の含有量が25〜40質量部、更に26〜35質量部、より更に27〜33質量部であることが好ましい。つまり、(B)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕又は(B)/〔(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)〕の質量比が25/100〜40/100、更に26/100〜35/100、より更に27/100〜33/100であることが好ましい。
【0029】
また、(A)〜(D)成分の含有量の合計100質量部、又は(E)成分及び(F)成分を含有する場合は更に(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、色素汚れ付着防止性の観点から(C)成分の含有量が7〜15質量部、更に8〜14.5質量部、より更に8〜14質量部であることが好ましい。つまり、(C)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕又は(C)/〔(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)〕の質量比が7/100〜15/100、更に8/100〜14.5/100、より更に8/100〜14/100であることが好ましい。
【0030】
また、(A)〜(D)成分の含有量の合計100質量部、又は(E)成分及び(F)成分を含有する場合は更に(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、色素汚れ付着防止性の観点から(D)成分の含有量が1〜2質量部、更に1.2〜1.8質量部、より更に1.4〜1.7質量部であることが好ましい。つまり、(D)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕又は(D)/〔(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)〕の質量比が1/100〜2/100、更に1.2/100〜1.8/100、より更に1.4/100〜1.7/100であることが好ましい。
【0031】
また、(E)成分及び(F)成分を含有する場合は更に(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、洗浄性の観点から(E)成分の含有量が0.1〜2質量部、更に0.3〜1.8質量部、より更に0.5〜1.5質量部であることが好ましい。つまり、(E)/〔(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)〕の質量比が0.1/100〜2/100、更に0.3/100〜1.8/100、より更には0.5/100〜1.5/100であることが好ましい。
【0032】
また、(E)成分及び(F)成分を含有する場合は更に(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、洗浄剤組成物が固まるのを防ぎ作業性を確保する観点より(F)成分の含有量が0.1〜25質量部、更に1〜15質量部、より更に4〜12質量部であることが好ましい。つまり、(F)/〔(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)〕の質量比が0.1/100〜25/100、更に1/100〜15/100、より更に4/100〜12/100であることが好ましい。
【0033】
また、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物では、色素汚れ付着防止性の観点から、(C−1)成分と(C−2)成分の質量比(C−1)/(C−2)が98/2〜55/45、好ましくは97/3〜60/40、更に好ましくは95/5〜65/35である。
【0034】
上記割合を満たした上で、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(A)成分を、洗浄性の観点から、好ましくは40〜53重量%、より好ましくは43〜53重量%、更に好ましくは45〜52重量%含有する。
【0035】
また、上記割合を満たした上で、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(B)成分を、カルシウム捕捉能の観点から、好ましくは25〜35重量%、より好ましくは26〜34重量%、更に好ましくは27〜33重量%含有する。
【0036】
また、上記割合を満たした上で、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(C)成分を、洗浄性とカルシウム捕捉能の観点から、合計で、好ましくは7〜15重量%、より好ましくは8〜14重量%、更に好ましくは8〜12重量%含有する。
【0037】
また、上記割合を満たした上で、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(D)成分を、漂白性能の観点から、好ましくは1〜2重量%、より好ましくは1.2〜1.8重量%、更に好ましくは1.4〜1.7重量%含有する。
【0038】
また、上記割合を満たした上で、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(E)成分を、洗浄性の観点から、好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは0.5〜2.5重量%、更に好ましくは0.5〜1.5重量%含有する。
【0039】
また、上記割合を満たした上で、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(F)成分を、洗浄剤組成物が固まるのを防ぎ作業性を確保する観点から、好ましくは0.1〜25重量%、より好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは4〜12重量%含有する。
【0040】
食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(A)〜(D)成分又は(A)〜(F)成分を合計で好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%含有する。
【0041】
本発明の好ましい態様として、上記(A)〜(F)成分を含有し、
(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、(A)成分の含有量が42〜53質量部、(B)成分の含有量が25〜40質量部、(C)成分の含有量が7〜15質量部、(D)成分の含有量が1〜2質量部、(E)成分の含有量が0.1〜2質量部であり、(F)成分の含有量が0.1〜25質量部であり、
(C−1)成分と(C−2)成分の質量比(C−1)/(C−2)が98/2〜55/45である、
食器洗浄機用洗浄剤組成物が挙げられる。
【0042】
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物の形態は、作業性の確保と洗浄剤の保存安定性の観点から、粉末状であることが望ましい。
【0043】
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、使用にあたっては水等で適当な濃度に希釈した洗浄液として用いることができ、その場合には、該組成物の濃度が例えば0.05〜0.3重量%となるように希釈して用いることができる。
【0044】
その他、国際公開第99/58633号パンフレットに記載されているアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、酵素、漂白剤、消泡剤、防錆剤、ハイドロトロープ剤、表面改質剤、香料などを含有することができる。
【0045】
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、業務用及び家庭用の食器洗浄機用として使用することができるが、特に一回あたりの洗浄時間が短く、一回あたりの洗浄物が大量であり、かつ1日に何度も洗浄を行う業務用の食器洗浄機用として適している。また、対象とする食器も、陶磁器、ガラス、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、木、金属等の種々の材料からなるコップ、グラス、ボウル、椀、箸、皿、ナイフ、フォーク、スプーン等、食器洗浄機用での洗浄が可能なものが挙げられる。
【0046】
業務用の食器洗浄機で洗浄するときには、例えば、業務用食器洗浄機専用ホッパーに食器洗浄機用洗浄剤組成物が充填されたプラスチックなどの容器ごと決められた方向にセットして、或いはパウチ容器などに充填された食器洗浄機用洗浄剤組成物を業務用食器洗浄機専用ホッパーに移しかえる。そして、セットされた組成物に対して水や温水をスプレーやシャワーなどが噴霧され、溶解された洗浄液が業務用食器洗浄機内部へ供給され、食器の洗浄に使用される。
【0047】
業務用食器洗浄機では、食器を連続洗浄する場合、洗浄液はポンプで循環させて繰り返し使用されることになる。本発明の組成物から調製された洗浄液は、保存安定性に優れ、有効塩素濃度の低下が少ないため、このような連続して循環させる使用態様においても優れた洗浄効果を得ることができる。その結果、このような連続して循環させる使用態様においても優れた洗浄力と色素汚れの付着防止効果を得ることができるものと考えられる。
【0048】
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物から調製される洗浄液を用いた業務用食器洗浄機による洗浄の際には、該組成物は、供給装置によって業務用食器洗浄機内部に一定量任意に移送され、適正な洗浄液の濃度が維持される。業務用食器洗浄機により食器を連続洗浄する場合、食器による洗浄液の持ち出しや、洗浄槽への濯ぎ水のキャリーオーバーなどによって、洗浄回数とともに洗浄液の濃度が減少する。適切な洗浄液の濃度を維持するため、自動供給装置によって適正濃度となるように食器洗浄機用洗浄剤組成物が供給される。食器洗浄機用洗浄剤組成物の自動供給装置としては、特に限定されるものではないが、洗浄液の濃度をセンシングし、シグナルを受信して、粉末等の固体の食器洗浄機用洗浄剤組成物に、水や温水をスプレーやシャワー状で噴霧して、必要量の食器洗浄機用洗浄剤組成物を供給する。この自動供給装置は、1日の洗浄回数が非常に多い業務用には好適に用いられ、洗浄回数毎の手投入に比べ、格段に手間が省けるという利点があり、またそれ以外に、1日中(洗浄中)適正濃度を維持することが容易となる。
【実施例】
【0049】
表1、2に示した配合組成の粉末状食器洗浄機用洗浄剤組成物を調製し、以下の方法で洗浄性及び色素汚れ付着防止性を評価した。結果を表1、2に示す。
【0050】
〔1〕洗浄性評価
三洋電機(株)製自動食器洗浄機(SANYO DR53)の洗浄槽(38L)に表1、表2の食器洗浄機用洗浄剤組成物38gを投入して、50℃の温水で溶解させた。一方、磁器製皿1枚当りに卵黄2gを全面に塗布し、80℃で30分間乾燥、室温下にて1Hr放置したものをモデル汚垢として用いた。その際、エリスロシン色素1重量%水溶液にて着色させ、画像処理ソフトを用い着色部分を含む一定領域を切り出し、当該領域における着色部分の面積率(%)を求めておく。専用ラックにモデル汚垢を塗布した磁器製皿4枚をセットして、50℃の洗浄液にて40秒間洗浄した後、80℃の濯ぎ水にて10秒間濯いだ。専用ラックから磁器製皿を取り出し、乾燥後、磁性皿にエリスロシン色素1重量%水溶液にて着色させた。その後、洗浄前と同一箇所の領域を切り出し、洗浄後の着色部分の面積率(%)を求めた。洗浄前の着色部分の面積率(S0)と洗浄後の着色部分の面積率(S1)とから、〔1−(S1/S0)〕×100により、洗浄率(%)を求めた。モデル汚垢を塗布した磁器製皿4枚についてそれぞれ洗浄率を求め、その平均値を表1、2に示した。
【0051】
〔2〕色素汚れ付着防止性評価
所定量(約2kg)の洗浄剤組成物を1ドアタイプの業務用食器洗浄機(三洋電機DW−230L型)のホッパーに投入し、洗浄機を、洗浄液濃度が0.1質量%となるような設定で運転し、洗浄温度60℃、洗浄剤組成物濃度0.1質量%、洗浄時間40秒、濯ぎ温度80℃、濯ぎ時間10秒の条件で50回空運転を行った。その後運転を停止し、ホッパー中の洗剤が水を含んだ状態で16時間放置した。
【0052】
洗浄温度60℃、洗浄剤組成物濃度0.1質量%、洗浄時間40秒、濯ぎ温度80℃、濯ぎ時間10秒の条件になるように洗浄機を調整する。ほうじ茶の煮出し物(沸騰水1.8Lに対し、ほうじ茶ティーバッグを10個入れ、10分間煮出したものを室温まで冷ましたもの)を、メラミン製コップ(容量約150cc)4個に、各々8分目まで入れて10〜20秒間静置後ほうじ茶を廃棄、前記条件にて100回の繰り返し洗浄を行った後、外観を目視で観察、下記の基準で茶渋付着性を判定した。なお、個々の洗浄剤組成物での洗浄では、4個のコップ間の状態の差を確認することはできなかった。
【0053】
5:メラミン製コップ4個とも、茶渋が付着していない。
4:メラミン製コップ4個とも、僅かに茶渋が付着している。(評価5よりも、僅かな付着が確認できる)
3:メラミン製コップ4個とも、茶色の部分付着が認められる。
2:メラミン製コップ4個とも、茶渋付着が認められる。(評価3よりも付着が多く又、評価1より付着が少ないことが確認できる)
1:メラミン製コップ4個とも、濃い茶渋の付着が認められる。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
(注)表中の成分は以下のものである。
*ポリアクリル酸:Sokalan PA25CL Granules(BASF社製)(質量平均分子量=4,000、純度=92%)
*アクリル酸−マレイン酸共重合体:ナトリウム塩〔アクリル酸/マレイン酸(モル比)=70/30、質量平均分子量=70,000、純度=92%〕
*ノニオン性界面活性剤:PO・EO・POブロックポリマー、Pluronic RPE2520(BASF社製)
【0057】
本発明の実施例1〜11は洗浄性に優れている。また、実施例1〜11は色素汚れ付着防止性にも優れていることが分かる。一方、比較例1〜3は洗浄性に劣っていることが分かる。また、比較例1〜3は色素汚れ防止性に劣っていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(D)成分を含有し、(C−1)成分と(C−2)成分の質量比(C−1)/(C−2)が98/2〜55/45である、食器洗浄機用洗浄剤組成物。
(A)成分:珪酸塩及び炭酸塩からなる群より選ばれる1種以上の無機化合物
(B)成分:有機酸アルカリ金属塩
(C)成分:下記(C−1)成分及び(C−2)成分
(C−1)成分:ポリアクリル酸又はその塩
(C−2)成分:マレイン酸の共重合体又はその塩
(D)成分:塩素系漂白成分
【請求項2】
更に下記(E)〜(F)成分を含有し、(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、(A)成分の含有量が42〜53質量部である、請求項1記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
(E)成分:ノニオン性界面活性剤
(F)成分:硫酸塩及び硝酸塩からなる群より選ばれる1種以上の無機化合物
【請求項3】
(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して(B)成分の含有量が25〜40質量部である、請求項2記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項4】
(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して(C)成分の含有量が7〜15質量部である、請求項2又は3記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項5】
(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、(D)成分の含有量が1〜2質量部である、請求項2〜4のいずれか1項記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項6】
(A)〜(F)成分の含有量の合計100質量部に対して、(E)成分の含有量が0.1〜2質量部である、請求項2〜5のいずれか1項記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項7】
(A)〜(F)成分を合計で80〜100質量%を含有する、請求項2〜6のいずれか1項記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項8】
(A)成分が、珪酸塩及び炭酸塩であり、珪酸塩及び炭酸塩の含有量の合計中の珪酸塩の含有量の割合が20〜35質量%である、請求項1〜7のいずれか1項記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項9】
(C−2)成分が、アクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩である請求項1〜8のいずれか1項記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−219527(P2011−219527A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86881(P2010−86881)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】